(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6742854
(24)【登録日】2020年7月31日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】プロテクタ、及び、ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20200806BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
H02G3/04 050
B60R16/02 623V
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-154295(P2016-154295)
(22)【出願日】2016年8月5日
(65)【公開番号】特開2018-23242(P2018-23242A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2019年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】平沢 均
(72)【発明者】
【氏名】前原 猛
【審査官】
木村 励
(56)【参考文献】
【文献】
特開平9−65541(JP,A)
【文献】
実開平4−51016(JP,U)
【文献】
特開2014−165928(JP,A)
【文献】
特開平11−155216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に導電性の主配索材が挿通される本体部と、
前記本体部において前記主配索材から分岐した分岐配索材の分岐位置に開口して形成され前記分岐配索材を前記本体部の内部から外部に導出可能である位置合わせ切り欠き部と、
前記本体部において前記主配索材の挿通方向に対して前記分岐位置を挟んで一対で形成され、前記主配索材、又は、前記分岐配索材に巻かれて前記本体部に固定される巻き回し部材の一部を収容し当該巻き回し部材の前記挿通方向に沿った移動を規制する一対の移動規制凹部とを備え、
前記本体部は、前記本体部に挿通された前記主配索材が位置する配置空間部を挟んで対向する一対の壁面部を有し、
前記位置合わせ切り欠き部は、前記本体部において前記主配索材から分岐した前記分岐配索材の位置合わせ用であり、前記一対の壁面部のうちの一方に形成されることを特徴とする、
プロテクタ。
【請求項2】
前記一対の移動規制凹部は、前記壁面部の端部に形成された移動規制切り欠き部を含む、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記一対の移動規制凹部は、それぞれ、前記移動規制切り欠き部が前記一対の壁面部において前記挿通方向と直交する幅方向に対して対向する位置に一対で形成される、
請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
導電性の主配索材と、
前記主配索材から分岐した分岐配索材と、
内部に前記主配索材が挿通される本体部、前記本体部において前記分岐配索材の分岐位置に開口して形成され前記分岐配索材を前記本体部の内部から外部に導出可能である位置合わせ切り欠き部、及び、前記本体部において前記主配索材の挿通方向に対して前記分岐位置を挟んで一対で形成され、前記主配索材、又は、前記分岐配索材に巻かれて前記本体部に固定される巻き回し部材の一部を収容し当該巻き回し部材の前記挿通方向に沿った移動を規制する一対の移動規制凹部を含んで構成されるプロテクタとを備え、
前記本体部は、前記本体部に挿通された前記主配索材が位置する配置空間部を挟んで対向する一対の壁面部を有し、
前記位置合わせ切り欠き部は、前記本体部において前記主配索材から分岐した前記分岐配索材の位置合わせ用であり、前記一対の壁面部のうちの一方に形成されることを特徴とする、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクタ、及び、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されるワイヤハーネスのプロテクタとして、例えば、特許文献1には、ワイヤハーネス幹線を貫通させる樋形状で、その側壁にワイヤハーネス幹線より分岐する分岐線を取り出すための開口を設けたプロテクタが開示されている。このプロテクタは、上記開口が設けられたプロテクタ本体と、分岐用部材とからなり、当該分岐用部材をプロテクタ本体の開口両側の側壁に沿わせて位置調節できる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−065541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のプロテクタは、例えば、分岐線等を含む配索材の位置ズレ抑制の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適正な位置からの位置ズレを抑制することができるプロテクタ、及び、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るプロテクタは、内部に導電性の主配索材が挿通される本体部と、前記本体部において前記主配索材から分岐した分岐配索材の分岐位置に開口して形成され前記分岐配索材を前記本体部の内部から外部に導出可能である位置合わせ切り欠き部と、前記本体部において前記主配索材の挿通方向に対して前記分岐位置を挟んで一対で形成され、前記主配索材、又は、前記分岐配索材に巻かれて前記本体部に固定される巻き回し部材の一部を収容し当該巻き回し部材の前記挿通方向に沿った移動を規制する一対の移動規制凹部とを備え
、前記本体部は、前記本体部に挿通された前記主配索材が位置する配置空間部を挟んで対向する一対の壁面部を有し、前記位置合わせ切り欠き部は、前記本体部において前記主配索材から分岐した前記分岐配索材の位置合わせ用であり、前記一対の壁面部のうちの一方に形成されることを特徴とする。
【0007】
また、上記プロテクタでは、前記本体部は、前記本体部に挿通された前記主配索材が位置する配置空間部を挟んで対向する一対の壁面部を有し、前記一対の移動規制凹部は、前記壁面部の端部に形成された移動規制切り欠き部を含むものとすることができる。
【0008】
また、上記プロテクタでは、前記一対の移動規制凹部は、それぞれ、前記移動規制切り欠き部が前記一対の壁面部において前記挿通方向と直交する幅方向に対して対向する位置に一対で形成されるものとすることができる。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、導電性の主配索材と、前記主配索材から分岐した分岐配索材と、内部に前記主配索材が挿通される本体部、前記本体部において前記分岐配索材の分岐位置に開口して形成され前記分岐配索材を前記本体部の内部から外部に導出可能である位置合わせ切り欠き部、及び、前記本体部において前記主配索材の挿通方向に対して前記分岐位置を挟んで一対で形成され、前記主配索材、又は、前記分岐配索材に巻かれて前記本体部に固定される巻き回し部材の一部を収容し当該巻き回し部材の前記挿通方向に沿った移動を規制する一対の移動規制凹部を含んで構成されるプロテクタとを備え
、前記本体部は、前記本体部に挿通された前記主配索材が位置する配置空間部を挟んで対向する一対の壁面部を有し、前記位置合わせ切り欠き部は、前記本体部において前記主配索材から分岐した前記分岐配索材の位置合わせ用であり、前記一対の壁面部のうちの一方に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るプロテクタ、及び、ワイヤハーネスは、主配索材が挿通される本体部に形成された位置合わせ切り欠き部によって主配索材から分岐する分岐配索材の分岐位置を位置合わせすることができると共に、位置合わせ切り欠き部を挟むようにして本体部に形成された一対の移動規制凹部によって主配索材、又は、分岐配索材に巻かれて本体部に固定される巻き回し部材が挿通方向に沿って移動することを規制することができる。この結果、プロテクタ、及び、ワイヤハーネスは、適正な位置からの位置ズレを抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの概略構成を表す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るプロテクタの概略構成を表す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るプロテクタの組み付けについて説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
なお、以下で説明する各図において、当該各図をわかり易くするため、配索材の詳細な形状を省略して図示している。
【0014】
[実施形態]
図1、
図2、
図3に示すプロテクタ1は、自動車等の車両に搭載され、ワイヤハーネスWHに組み込まれ、導電性の配索材Wに外装され当該配索材Wを保護するものである。ここで、ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の配索材Wを一度に各装置に接続するようにしたものである。ワイヤハーネスWHは、導電性の配索材Wと、配索材Wが挿通されて当該配索材Wを保護するプロテクタ1とを備える。ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、グロメット、固定具、コネクタ等を含んで構成されてもよい。配索材Wは、例えば、導電性の棒状部材の外側を絶縁性の被覆部によって覆った金属棒、複数の導電性の金属素線からなる導体部(芯線)の外側を絶縁性の被覆部によって覆った電線、当該電線を束ねた電線束等によって構成される。本実施形態の配索材Wは、主配索材W1と、当該主配索材W1から分岐した分岐配索材W2とを含んで構成される。主配索材W1は、幹線となるメインの配索材Wであり、線状に延在して形成される。分岐配索材W2は、主配索材W1の中腹位置から分岐した枝線となる配索材Wであり、線状に延在して形成される。そして、本実施形態のワイヤハーネスWHは、当該主配索材W1と当該分岐配索材W2とによって構成される配索材Wに組み付けられるプロテクタ1において、位置合わせ切り欠き部としての切り欠き部20と、一対の移動規制凹部30、40とが設けられることで、配索材Wとプロテクタ1とを適正に固定し相対的に位置ズレし難いように構成されたものである。以下、各図を参照してプロテクタ1、ワイヤハーネスWHの構成について詳細に説明する。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、プロテクタ1の各部が組み付けられた状態での方向として説明する。
【0015】
具体的には、プロテクタ1は、絶縁性の樹脂材料によって略樋形状に形成される。本実施形態のプロテクタ1は、配索材Wの主配索材W1が挿通され当該主配索材W1が屈曲されて配索されるものであるがこれに限らず、当該主配索材W1が直線状に配索されるものであってもよい。プロテクタ1は、本体部10と、位置合わせ切り欠き部としての切り欠き部20と、一対の移動規制凹部30、40とを備え、これらが絶縁性の樹脂材料等によって一体成形される。
【0016】
本体部10は、内部に導電性の主配索材W1が挿通方向Xに沿って挿通され配索されるものである。挿通方向Xは、言い換えれば、プロテクタ1における主配索材W1の延在方向に沿う方向であり、ここでは上述したように屈曲した方向である。ここでは、本体部10は、挿通方向Xの両端部、及び、挿通方向Xと直交する高さ方向Yの一方側が開口した略樋形状に形成され、挿通方向Xに沿って一方の開口から他方の開口まで主配索材W1が挿通される。本体部10は、主配索材W1の周囲に外装され当該配索材Wを保護する。より詳細には、本体部10は、一対の壁面部としての一対の側壁部10a、10bと、底部10cとを含んで構成され、これらが一体で略矩形樋形状に形成される。
【0017】
一対の側壁部10a、10bは、共に幅方向Zが板厚方向となる略矩形板状に形成され、幅方向Zに沿って間隔をあけて対向して位置する。幅方向Zとは、挿通方向Xの各位置において、当該挿通方向X、及び、高さ方向Yと直交する方向である。一対の側壁部10a、10bは、挿通方向X、及び、高さ方向Yに沿って延在する。ここでは、側壁部10aと側壁部10bとは、挿通方向X、及び、高さ方向Yに沿った長さがほぼ同等となるように形成される。
【0018】
底部10cは、高さ方向Yが板厚方向となる略矩形板状に形成され、幅方向Zに対して一対の側壁部10a、10bの間に位置し、両端部がそれぞれ各側壁部10a、10bと接続される。底部10cは、幅方向Z、及び、挿通方向Xに沿って延在する。さらに言えば、底部10cは、幅方向Zに沿って一対の側壁部10a、10bの間に延在し、幅方向Zの一方の端部から側壁部10aが高さ方向Yに沿って立設され、幅方向Zの他方の端部から側壁部10bが高さ方向Yに沿って側壁部10aと同じ側に立設される。また、底部10cは、挿通方向Xに沿って側壁部10a、10bの一方の端部から他方の端部まで延在する。また、底部10cは、挿通方向Xの両端部に固定部10dが形成される。各固定部10dは、底部10cの挿通方向Xの両端部から挿通方向Xに沿って突出して形成される略矩形板状の部分である。各固定部10dは、挿通方向Xの両側に側壁部10a、10bから露出する位置まで突出して形成される。
【0019】
本体部10は、一対の側壁部10a、10b、及び、底部10cによって囲われた内部空間部が配置空間部11として機能する。配置空間部11は、配索材Wのうちの主配索材W1が挿通され、当該主配索材W1が位置する空間部であり、挿通方向Xの両側、及び、高さ方向Yの底部10cとは反対側に開口する。言い換えれば、一対の側壁部10a、10bは、幅方向Zに対して配置空間部11を挟んで対向し、底部10cは、配置空間部11の高さ方向Yの一方側を閉塞させる。本体部10は、内部に形成される当該配置空間部11内に主配索材W1が挿通され配索される。
【0020】
切り欠き部20は、本体部10において主配索材W1から分岐した分岐配索材W2の分岐位置に開口して形成される部分である。切り欠き部20は、主配索材W1から分岐した分岐配索材W2の位置合わせ用の切り欠きである。切り欠き部20は、一対の側壁部10a、10bのうちの一方、ここでは、側壁部10aに形成される。切り欠き部20は、高さ方向Yにおいて側壁部10aの底部10c側とは反対側の端部に形成される。切り欠き部20は、当該側壁部10aを幅方向Zに沿って貫通し本体部10の内外、すなわち、配置空間部11と当該本体部10の外側空間部とを連通する。ここでは、切り欠き部20は、略矩形状に形成され、挿通方向Xに沿って延在する。切り欠き部20は、分岐配索材W2を本体部10の内部、すなわち、配置空間部11から外部に導出可能である。
【0021】
一対の移動規制凹部30、40は、本体部10において主配索材W1の挿通方向Xに対して分岐配索材W2の分岐位置を挟んで一対で形成され、巻き回し部材50の挿通方向Xに沿った移動を規制する部分である。巻き回し部材50は、主配索材W1、又は、分岐配索材W2、あるいは両方に巻き回されて本体部10に固定されることで、主配索材W1、分岐配索材W2を本体部10に固定するものである。巻き回し部材50は、例えば、粘着性の巻テープであるがこれに限らずいわゆる結束バンド等であってもよい。各移動規制凹部30、40は、巻き回し部材50の一部を収容し当該巻き回し部材50の挿通方向Xに沿った移動を規制するものである。
【0022】
具体的には、本実施形態の一対の移動規制凹部30、40は、それぞれ側壁部10a、10bの端部に形成された移動規制切り欠き部としての切り欠き部31、41を含んで構成される。より詳細には、本実施形態の一対の移動規制凹部30、40は、それぞれ、当該切り欠き部31、41が一対の側壁部10a、10bにおいて幅方向Zに対して対向する位置に一対で形成される。つまりここでは、切り欠き部31は、側壁部10aに形成された切り欠き部31aと側壁部10bに形成された切り欠き部31bとを含んで一対で構成される。切り欠き部41は、側壁部10aに形成された切り欠き部41aと側壁部10bに形成された切り欠き部41bとを含んで一対で構成される。
【0023】
切り欠き部31a、41aは、高さ方向Yにおいて側壁部10aの底部10c側とは反対側の端部に形成される。切り欠き部31a、41aは、当該側壁部10aを幅方向Zに沿って貫通し本体部10の内外、すなわち、配置空間部11と当該本体部10の外側空間部とを連通する。ここでは、切り欠き部31a、41aは、略矩形状に形成され、挿通方向Xに沿って延在する。そして、切り欠き部31aと切り欠き部41aとは、挿通方向Xに対して分岐配索材W2の分岐位置を挟んで一対で形成され、切り欠き部31aが移動規制凹部30を構成し、切り欠き部41aが移動規制凹部40を構成し、両者で一対の移動規制凹部30、40を構成する。ここでは、切り欠き部31aと切り欠き部41aとは、側壁部10aにおいて、挿通方向Xに対して分岐配索材W2の分岐位置に形成された切り欠き部20を挟んで一対で形成される。言い換えれば、切り欠き部20は、側壁部10aにおいて、挿通方向Xに対して切り欠き部31aと切り欠き部41aとの間に形成される。切り欠き部31aと切り欠き部41aとは、切り欠き部20の挿通方向Xの両側にて当該切り欠き部20と連通するようにして形成される。つまり、側壁部10aは、切り欠き部31aと切り欠き部41aと切り欠き部20とが挿通方向Xに連続し、幅方向Zに貫通した貫通部分として形成される。ここでは、切り欠き部31a、41aは、高さ方向Yに沿った長さが切り欠き部20の高さ方向Yに沿った長さより短く形成される。
【0024】
同様に、切り欠き部31b、41bは、高さ方向Yにおいて側壁部10bの底部10c側とは反対側の端部に形成される。切り欠き部31b、41bは、当該側壁部10bを幅方向Zに沿って貫通し本体部10の内外、すなわち、配置空間部11と当該本体部10の外側空間部とを連通する。ここでは、切り欠き部31b、41bは、略矩形状に形成され、挿通方向Xに沿って延在する。そして、切り欠き部31bと切り欠き部41bとは、挿通方向Xに対して分岐配索材W2の分岐位置を挟んで一対で形成され、切り欠き部31bが移動規制凹部30を構成し、切り欠き部41bが移動規制凹部40を構成し、両者で上記とは別の一対の移動規制凹部30、40を構成する。また、切り欠き部31aと切り欠き部31bとは、幅方向Zに対して相互に対向する位置に形成され、切り欠き部41aと切り欠き部41bとは、幅方向Zに対して相互に対向する位置に形成される。ここでは、切り欠き部31b、41bは、高さ方向Yに沿った長さが切り欠き部31a、41aの高さ方向Yに沿った長さとほぼ同等に形成される。
【0025】
上記のように構成されるプロテクタ1は、
図3に示すように、本体部10の内部に形成される配置空間部11内に挿通方向Xに沿って主配索材W1が挿通され配索されると共に、切り欠き部20を介して分岐配索材W2が本体部10の内部、すなわち、配置空間部11側から外部に導出される。これにより、プロテクタ1は、分岐配索材W2が切り欠き部20から適正に導出される位置関係で配索材Wに組み付けられることで、分岐配索材W2と切り欠き部20との位置関係を基準として主配索材W1、分岐配索材W2とプロテクタ1とが適正な位置関係で位置決めされる。そして、プロテクタ1は、
図1に示すように、分岐配索材W2が高さ方向Yに立設されるような位置関係で、主配索材W1、分岐配索材W2に巻き回し部材50が巻き回され、当該巻き回し部材50が本体部10に巻き回されて当該本体部10に固定されることで、主配索材W1、分岐配索材W2が当該巻き回し部材50を介して本体部10に固定される。巻き回し部材50は、挿通方向Xに対して、主配索材W1から分岐位置で分岐する分岐配索材W2を挟んで位置する一対の移動規制凹部30、40に一部が収容されるようにして主配索材W1と分岐配索材W2と本体部10とに巻き回されることで、主配索材W1、分岐配索材W2と本体部10とを相対移動しないように固定する。より詳細には、巻き回し部材50は、移動規制凹部30、40を構成する切り欠き部31a、31b、41a、41bを通って主配索材W1と分岐配索材W2と本体部10とに巻き回されることで、一部が切り欠き部31a、31b、41a、41bに収容された状態で主配索材W1、分岐配索材W2と本体部10とを固定する。これにより、プロテクタ1は、巻き回し部材50の一部が収容された移動規制凹部30、40の端面、ここでは、切り欠き部31a、31b、41a、41bの端面が巻き回し部材50の押え部となり、当該巻き回し部材50が挿通方向Xに沿って移動することを規制する。そして、プロテクタ1は、粘着性の巻テープ等によって構成される巻き回し部材51等を介して各固定部10dに主配索材W1が束ねられた状態で固定される。巻き回し部材51は、主配索材W1と各固定部10dとに巻き回されることで、主配索材W1と各固定部10dとを相対移動しないように固定する。なお、このプロテクタ1は、上述の巻き回し部材50、51以外の部分にも巻き回し部材が巻き回され主配索材W1と本体部10とを相対移動しないように固定されてもよい。
【0026】
以上で説明したプロテクタ1、ワイヤハーネスWHは、主配索材W1が挿通される本体部10に形成された切り欠き部20によって主配索材W1から分岐する分岐配索材W2の分岐位置を位置合わせすることができると共に、切り欠き部20を挟むようにして本体部10に形成された一対の移動規制凹部30、40によって主配索材W1、又は、分岐配索材W2に巻かれて本体部20に固定される巻き回し部材50が挿通方向Xに沿って移動することを規制することができる。つまり、このプロテクタ1、ワイヤハーネスWHは、主配索材W1と分岐配索材W2とによって構成される配索材Wに組み付けられるプロテクタ1において、切り欠き部20と、一対の移動規制凹部30、40とが設けられることで、配索材Wを構成する主配索材W1、分岐配索材W2とプロテクタ1とを適正に固定し相対的に位置ズレし難いように構成することができる。例えば、プロテクタ1、ワイヤハーネスWHは、ワイヤハーネスWHを作製するためのいわゆる配索治具板上で、プロテクタ1と分岐配索材W2の分岐位置とを位置合わせしなくても分岐配索材W2と切り欠き部20との位置関係を基準として主配索材W1、分岐配索材W2とプロテクタ1とを適正な位置関係で位置決めすることができる。これにより、プロテクタ1、ワイヤハーネスWHは、組み付け性を向上し主配索材W1、分岐配索材W2とプロテクタ1とをより高精度に位置合わせし易い構成とすることができる。この結果、プロテクタ1、ワイヤハーネスWHは、適正な位置からの位置ズレを抑制することができる。
【0027】
さらに、以上で説明したプロテクタ1、ワイヤハーネスWHは、配置空間部11を挟んで対向する一対の側壁部10a、10bの端部に形成され移動規制凹部30、40を構成する切り欠き部31、41に巻き回し部材50の一部が収容されることで、当該切り欠き部31、41の端面が巻き回し部材50の押え部となり、当該巻き回し部材50が挿通方向Xに沿って移動することを規制することができる。また、プロテクタ1、ワイヤハーネスWHは、巻き回し部材50が切り欠き部31、41を通って主配索材W1、分岐配索材W2、本体部10に巻き回されることでより確実に主配索材W1、分岐配索材W2、本体部10に巻き回すことができ、より確実に位置決めし固定することができる。
【0028】
さらに、以上で説明したプロテクタ1、ワイヤハーネスWHは、移動規制凹部30、40を構成する切り欠き部31a、31b、41a、41bがそれぞれ一対の側壁部10a、10bにおいて幅方向Zに対して対向する位置に一対で形成されることから、より確実に巻き回し部材50が挿通方向Xに沿って移動することを規制することができ、適正な位置からの位置ズレをより確実に抑制することができる。
【0029】
なお、上述した本発明の実施形態に係るプロテクタ、及び、ワイヤハーネスは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0030】
以上で説明したプロテクタ1は、略樋形状に形成されるものとして説明したがこれに限らず、例えば、一部に蓋状部材が設けられ略筒形状に形成されてもよい。
【0031】
以上で説明した一対の移動規制凹部30、40は、それぞれ、切り欠き部31a、31b、41a、41bが一対の側壁部10a、10bにおいて幅方向Zに対して対向する位置に一対で形成されるものとして説明したがこれに限らない。一対の移動規制凹部30、40は、例えば、切り欠き部31aと切り欠き部41aとによって構成されてもよいし、切り欠き部31bと切り欠き部41bとによって構成されてもよいし、切り欠き部31aと切り欠き部41bとによって構成されてもよいし、切り欠き部31bと切り欠き部41aとによって構成されてもよい。
【0032】
以上で説明した移動規制凹部30、40は、側壁部10a、10bの端部に形成された移動規制切り欠き部としての切り欠き部31、41を含んで構成されるものとして説明したがこれに限らない。移動規制凹部30、40は、例えば、側壁部10a、10b、底部10cの外面(配置空間部11側とは反対側の面)に巻き回し部材50の巻き回し方向に沿って延在して形成され巻き回し部材50の一部を収容する凹部等であってもよい。この場合、移動規制凹部30、40は、当該凹部の壁面が巻き回し部材50の押え部となり、当該巻き回し部材50が挿通方向Xに沿って移動することを規制する。
【符号の説明】
【0033】
1 プロテクタ
10 本体部
10a、10b 側壁部(壁面部)
11 配置空間部
20 切り欠き部(位置合わせ切り欠き部)
30、40 移動規制凹部
31、31a、31b、41、41a、41b 切り欠き部(移動規制切り欠き部)
50、51 巻き回し部材
W1 主配索材
W2 分岐配索材
WH ワイヤハーネス
X 挿通方向