(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0019】
(第1実施例)
図1を参照し、蒸発燃料処理装置20を備える燃料供給システム6について説明する。燃料供給システム6は、燃料タンク14内に貯留されている燃料をエンジン2に供給するためのメイン供給経路10と、燃料タンク14内で発生した蒸発燃料をエンジン2に供給するためのパージ供給経路22を備えている。
【0020】
メイン供給経路10には、燃料ポンプユニット16と、供給経路12と、インジェクタ4が設けられている。燃料ポンプユニット16は、燃料ポンプ、プレッシャレギュレータ、制御回路等を備えている。燃料ポンプユニット16は、ECU100から供給される信号に応じて燃料ポンプを制御する。燃料ポンプは、燃料タンク14内の燃料を昇圧して吐出する。燃料ポンプから吐出される燃料は、プレッシャレギュレータで調圧され、燃料ポンプユニット16から供給経路12に供給される。供給経路12は、燃料ポンプユニット16とインジェクタ4に接続されている。供給経路12に供給された燃料は、供給経路12を通過してインジェクタ4に達する。インジェクタ4は、ECU100によって開度がコントロールされる弁(図示省略)を有している。インジェクタ4の弁が開かれると、供給経路12内の燃料が、エンジン2に接続されている吸気経路34に供給される。
【0021】
吸気経路34は、エアクリーナ30に接続されている。エアクリーナ30は、吸気経路34に流入する空気の異物を除去するフィルタを備えている。エンジン2とエアクリーナ30との間には、吸気経路34内に、スロットルバルブ32が設けられている。スロットルバルブ32が開くと、
図1の矢印に示すように、エアクリーナ30からエンジン2に向けて吸気が行われる。スロットルバルブ32は、吸気経路34の開度を調整し、エンジン2に流入する空気量を調整する。スロットルバルブ32は、インジェクタ4より上流側(エアクリーナ30側)に設けられている。
【0022】
メイン供給経路10に並んで、パージ供給経路22が配置されている。パージ供給経路22は、キャニスタ19からの蒸発燃料と空気との混合気体(以下では「パージガス」と呼ぶ)がキャニスタ19から吸気経路34に移動するときに通過する経路である。パージ供給経路22には、蒸発燃料処理装置20が設けられている。
図2に示すように、蒸発燃料処理装置20は、キャニスタ19と、制御弁26と、第1圧力センサ42と、第2圧力センサ44と、第3圧力センサ46と、ポンプ48と、ECU100内の制御部102を備える。
【0023】
燃料タンク14とキャニスタ19は、タンク経路18によって接続されている。キャニスタ19は、パージ経路24を介して、吸気経路34に接続されている。パージ経路24は、連通経路28を介して、インジェクタ4とスロットルバルブ32の間で、吸気経路34に接続されている。パージ経路24と連通経路28との間には、制御弁26が配置されている。制御弁26は、制御部102によって制御される電磁弁であり、開弁された開通状態と閉弁された閉塞状態の切替えが制御部102によってデューティ制御によって制御される弁である。制御部102は、制御弁26の開通状態と閉塞状態とを、空燃比等によって決定されるデューティ比に従って連続的に切り替える。開通状態では、パージ経路24が開通して、キャニスタ19と吸気経路34とを連通する。閉塞状態では、パージ経路24が閉塞して、キャニスタ19と吸気経路34とをパージ経路24上で遮断する。制御弁26は、開閉時間を制御(即ち開通状態と閉側状態の切替えタイミングを制御)することにより、蒸発燃料を含む気体(即ちパージガス)の流量を調整する。なお、制御弁26は、開度が調整可能なステッピングモータ式制御弁であってもよい。
【0024】
キャニスタ19は、大気ポート19aと、パージポート19bと、タンクポート19cと、を備えている。大気ポート19aは、大気経路17と図示省略したエアフィルタとを介して、大気に連通する。大気は、エアフィルタを通過した後、大気経路17を介して大気ポート19aからキャニスタ19内に流入する場合がある。このとき、エアフィルタによって、大気中の異物がキャニスタ19内に侵入することを防止する。大気経路17には、ポンプ48と第2圧力センサ44とが配置されている。ポンプ48は、制御部102に制御され、エアフィルタ側から大気経路17を介してキャニスタ19に気体を圧送する。ポンプ48は、渦流ポンプ、遠心式ポンプ等を用いることができる。第2圧力センサ44は、大気経路17の圧力を検出する。
【0025】
パージポート19bは、パージ経路24に接続されている。タンクポート19cは、タンク経路18を介して、燃料タンク14に接続されている。
【0026】
キャニスタ19内に、活性炭19dが収容されている。活性炭19dに面するキャニスタ19の壁面のうちの、1つの壁面にポート19a,19b,19cが設けられている。活性炭19dと、ポート19a,19b,19cが設けられているキャニスタ19の内壁との間には、空間が存在する。ポート19a,19b,19cが設けられている側のキャニスタ19の内壁に、第1仕切板19eと第2仕切板19fが固定されている。第1仕切板19eは、大気ポート19aとパージポート19bの間において、活性炭19dとキャニスタ19の内壁の間の空間を分離している。第1仕切板19eは、ポート19a,19b,19cが設けられている側と反対側の空間まで伸びている。第2仕切板19fは、パージポート19bとタンクポート19cの間において、活性炭19dとキャニスタ19の内壁の間の空間を分離している。
【0027】
活性炭19dは、燃料タンク14からタンク経路18、タンクポート19cを通じてキャニスタ19の内部に流入する気体から蒸発燃料を吸着する。蒸発燃料が吸着された後の気体は、大気ポート19a及び大気経路17を通過して大気に放出される。キャニスタ19は、燃料タンク14内の蒸発燃料が大気に放出されることを防止することができる。活性炭19dで吸着された蒸発燃料は、パージポート19bよりパージ経路24に供給される。第1仕切板19eは、大気ポート19aが接続されている空間と、パージポート19bが接続されている空間を分離している。第1仕切板19eは、蒸発燃料を含んだ気体が大気に放出されることを防止している。第2仕切板19fは、パージポート19bが接続されている空間と、タンクポート19cが接続されている空間を分離している。第2仕切板19fは、タンクポート19cからキャニスタ19に流入する気体が直接パージ経路24に移動することを防止している。
【0028】
パージ経路24には、第1圧力センサ42が配置されている。第1圧力センサ42は、パージ経路24内の圧力を検出する。燃料タンク14には、第3圧力センサ46が配置されている。第3圧力センサ46は、燃料タンク14の圧力を検出する。
【0029】
制御部102は、ポンプ48、制御弁26及び第1〜第3圧力センサ42,44,46に接続されている。制御部102は、CPU及びROM,RAM等のメモリを含む。制御部102は、ポンプ48、制御弁26を制御する。また、制御部102は、第1〜第3圧力センサ42,44,46の検出結果を取得する。
【0030】
次いで、蒸発燃料処理装置20の動作について説明する。エンジン2が駆動中であってパージ条件が成立すると、制御部102は、制御弁26をデューティ制御することによって、パージガスをエンジン2に供給するパージ処理を実行する。パージ処理が実行されると、
図2の矢印に示す方向にパージガスが供給される。パージ条件とは、パージガスをエンジン2に供給するパージ処理を実行すべき場合に成立する条件であり、エンジン2の冷却水温やパージガスの蒸発燃料濃度(以下「パージ濃度」と呼ぶ)によって、予め製造者によって制御部102に設定される条件である。制御部102は、エンジン2の駆動中に、パージ条件が成立するか否かを常時監視している。制御部102は、パージガスの濃度及び吸気経路34に配置されるエアフロメータ(図示省略)に基づいて、制御弁26のデューティ比を制御する。なお、エアフロメータは、吸気経路34を通過してエンジン2に供給される空気量を測定する。これにより、キャニスタ19に吸着されていたパージガスが、エンジン2に導入される。
【0031】
制御部102は、パージ処理を実行する場合、エンジン2の駆動によって吸気経路34に発生する負圧を利用して、パージガスを吸気経路34に供給する。制御部102は、さらに、ポンプ48を駆動して、パージガスを吸気経路34に供給することができる。この結果、吸気経路34の負圧が小さい場合でも、パージガスを供給することができる。なお、制御部102は、パージ処理中に、パージガスの供給状況に応じて、ポンプ48の駆動と停止を切り替えてもよい。
【0032】
なお、ECU100は、スロットルバルブ32の開度を制御する。また、ECU100は、インジェクタ4による噴射燃料量も制御する。具体的には、インジェクタ4の開弁時間を制御することによって、噴射燃料量を制御する。エンジン2が駆動されると、ECU100は、インジェクタ4からエンジン2に噴射される単位時間当たりの燃料噴射時間(即ちインジェクタ4の開弁時間)を算出する。燃料噴射時間は、空燃比を目標空燃比(例えば理想空燃比)に維持するために、実験によって予め特定された基準噴射時間を、フィードバック補正係数を用いて補正することによって算出する。なお、空燃比センサは、エンジン2の排気経路内に配置されている。
【0033】
制御部102は、第1〜第3圧力センサ42,44,46及びポンプ48を用いて、蒸発燃料処理装置20及び燃料タンク14の漏れ検出を実行する。具体的には、制御弁26が閉塞状態である間に、ポンプ48を駆動させる。このとき、蒸発燃料処理装置20、詳細には、キャニスタ19、大気経路17、タンク経路18及びパージ経路24と、燃料タンク14とによって画定される連通空間15は、ポンプ48によって昇圧され、大気圧よりも高くなる。しかしながら、連通空間15に漏れがあると、連通空間15内の圧力は、想定される圧力よりも低くなる。これにより、制御部102は、連通空間15の漏れを検出することができる。
【0034】
また、制御部102は、第1〜第3圧力センサ42,44,46及びポンプ48が正常に動作していないことを判断するための処理を実行する。本処理は、
図3に示す圧力検出処理と
図5〜
図8に示す正常判断処理とを含む。制御部102は、先に、圧力検出処理を実行する。
【0035】
圧力検出処理は、車両が停止している間に実行される。車両が停止している間は、制御弁26は閉塞状態であり、ポンプ48は停止している。S12では、制御部102は、第1〜第3圧力センサ42,44,46のそれぞれの検出結果が大気圧に等しいか否かを判断する。なお、制御部102は、ECU100が車両に搭載された大気圧センサ(図示省略)から取得した大気圧と、第1〜第3圧力センサ42,44,46のそれぞれの検出結果とを比較する。第1〜第3圧力センサ42,44,46のいずれかの検出結果が大気圧に等しくない場合(S12でNO)、S14において、制御部102は、第1〜第3圧力センサ42,44,46のうち、大気圧に等しくない圧力センサを特定して、S16に進む。
【0036】
第1〜第3圧力センサ42,44,46のいずれの検出結果も大気圧に等しい場合(S12でYES)、S14がスキップされ、S16に進む。
【0037】
S16では、制御部102は、ポンプ48を所定の回転数(例えば12000rpm)で駆動させる。次いで、S18において、制御部102は、第1〜第3圧力センサ42,44,46の検出結果である圧力P1,P2,P3をそれぞれ取得して、圧力検出処理を終了する。
【0038】
図4に示すように、S12では、ポンプ48が停止され、制御弁26が閉塞状態に維持される第1状態が達成される。第1状態では、連通空間15は大気と連通されているために大気圧に一致する。このため、第1〜第3圧力センサ42,44,46が正常に動作している場合、第1状態では、圧力P1,P2,P3は大気圧に等しい。また、S18では、ポンプ48が駆動され、制御弁26が閉塞状態に維持される第2状態が達成される。第2状態では、連通空間15は、ポンプ48によって昇圧されているために、大気圧よりも高い正圧になる。第1〜第3圧力センサ42,44,46が正常に動作している場合、第2状態では、圧力P1,P2,P3は正圧である。なお、第2状態の連通空間15の圧力は、ポンプ48の回転数によって決まる。
【0039】
制御部102は、圧力検出処理に続いて、正常判断処理を実行する。正常判断処理では、まず、
図5に示すように、S22において、制御部102は、第1圧力センサ42の検出結果である圧力P1が大気圧より高いか否かを判断する。圧力P1が大気圧よりも高い場合(S22でYES)、S24において、制御部102は、第2圧力センサ44の検出結果である圧力P2が大気圧より高いか否かを判断する。圧力P2が大気圧よりも高い場合(S24でYES)、S26において、制御部102は、第3圧力センサ46の検出結果である圧力P3が大気圧より高いか否かを判断する。
【0040】
圧力P3が大気圧よりも高い場合(S26でYES)、S28において、制御部102は、圧力P1と圧力P2との差が所定範囲内であるか否かを判断する。第1圧力センサ42と第2圧力センサ44がともに正常に動作している場合、圧力P1と圧力P2とはほぼ一致する。なお、第1圧力センサ42と第2圧力センサ44の検出誤差により、圧力P1と圧力P2とは若干異なる場合がある。なお、所定範囲は、第1圧力センサ42と第2圧力センサ44の検出誤差を考慮して、例えば±2kPaである。
【0041】
圧力P1と圧力P2との差が所定範囲内である(S28でYES)、S30において、S28と同様に、制御部102は、圧力P1と圧力P3との差が所定範囲内であるか否かを判断する。第1圧力センサ42と第3圧力センサ46がともに正常に動作している場合、圧力P1と圧力P3とはほぼ一致する。圧力P1と圧力P3との差が所定範囲内である(S30でYES)、正常判断処理を終了する。S30でYESと判断されて正常判断処理が終了した場合、第1圧力センサ42と第2圧力センサ44と第3圧力センサ46とは、ともに正常であると判断することができる。
【0042】
一方、圧力P1と圧力P3との差が所定範囲内でない(S30でNO)、第1圧力センサ42と第3圧力センサ46の少なくとも一方が、正常に圧力を検出できていない可能性が高い。S30でNOの場合、S36において、制御部102は、第1圧力センサ42と第3圧力センサ46の少なくとも一方が正常に動作していないと判断する。そして、制御部102は、第1圧力センサ42と第3圧力センサ46の少なくとも一方が正常に動作していないことを示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第1圧力センサ42と第3圧力センサ46の少なくとも一方が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0043】
なお、S36では、制御部102は、
図3のS14で特定された圧力センサが正常に動作していないことを示す情報を出力する。以下、表示装置に信号を出力する処理、即ち、S32,S34,S42,S44,S48,S50,S54,S58,S60でも同様に、制御部102は、
図3のS14で特定された圧力センサが正常に動作していないことを示す情報を出力する。
【0044】
また、S28において、圧力P1と圧力P2との差が所定範囲内でない(S28でNO)、第1圧力センサ42と第2圧力センサ44の少なくとも一方が、正常に圧力を検出できていない可能性が高い。S28でNOの場合、S34において、制御部102は、第1圧力センサ42と第2圧力センサ44の少なくとも一方が正常に動作していないと判断する。そして、制御部102は、第1圧力センサ42と第2圧力センサ44の少なくとも一方が正常に動作していないことを示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第1圧力センサ42と第2圧力センサ44の少なくとも一方が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0045】
S26において、圧力P3が大気圧よりも高くない場合(S26でNO)、S32において、制御部102は、第3圧力センサ46が正常に動作していないと判断し、第3圧力センサ46が正常に動作していないことを示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第3圧力センサ46が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0046】
一方、S22において、圧力P1が大気圧よりも高くない場合(S22でNO)、
図6に示すように、S38において、制御部102は、S24と同様に、圧力P2が大気圧より高いか否かを判断する。圧力P2が大気圧よりも高い場合(S38でYES)、S40において、制御部102は、S26と同様に、圧力P3が大気圧より高いか否かを判断する。
【0047】
圧力P3が大気圧よりも高い場合(S40でYES)、S42において、制御部102は、第1圧力センサ42が正常に動作していないと判断し、第1圧力センサ42が正常に動作していないことを示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第1圧力センサ42が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0048】
一方、圧力P3が大気圧よりも高くない場合(S40でNO)、S44において、制御部102は、第1圧力センサ42及び第3圧力センサ46が正常に動作していないと判断し、第1圧力センサ42及び第3圧力センサ46が正常に動作していないことを示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第1圧力センサ42及び第3圧力センサ46が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0049】
S38において、圧力P2が大気圧よりも高くない場合(S38でNO)、
図7に示すように、S46において、制御部102は、S26と同様に、圧力P3が大気圧より高いか否かを判断する。
【0050】
圧力P3が大気圧よりも高い場合(S46でYES)、S48において、制御部102は、第1圧力センサ42及び第2圧力センサ44が正常に動作していないと判断し、第1圧力センサ42及び第2圧力センサ44が正常に動作していないことを示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第1圧力センサ42及び第2圧力センサ44が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0051】
一方、圧力P3が大気圧よりも高くない場合(S46でNO)、S50において、制御部102は、ポンプ48が正常に動作していないと判断し、ポンプ48が正常に動作していないことを示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、ポンプ48が正常に動作していないことを示す情報を表示する。S46でNOの場合には、第1〜第3圧力センサ42,44,46の全てが想定されている圧力を検出することができていない。一方で、第1〜第3圧力センサ42,44,46の全てが同じタイミングで故障することは考えにくい。この場合、ポンプ48が正常に駆動しておらず、連通空間15を正圧に昇圧できていない可能性が高いため、ポンプ48が正常に動作していないことを示す信号が出力される。
【0052】
図5のS24において、圧力P2が大気圧よりも高くない場合(S24でNO)、
図8に示すように、S52において、制御部102は、S26と同様に、圧力P3が大気圧より高いか否かを判断する。
【0053】
圧力P3が大気圧よりも高い場合(S52でYES)、S56において、制御部102は、S30と同様に、圧力P1と圧力P3との差が所定範囲内であるか否かを判断する。圧力P1と圧力P3との差が所定範囲内である(S56でYES)、S58において、制御部102は、第2圧力センサ44が正常に動作していないと判断し、第2圧力センサ44が正常に動作していないことを示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第2圧力センサ44が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0054】
一方、圧力P1と圧力P3との差が所定範囲内でない(S56でNO)、S60において、制御部102は、第2圧力センサ44が正常に動作しておらず、第1圧力センサ42と第3圧力センサ46の少なくとも一方が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第2圧力センサ44が正常に動作しておらず、第1圧力センサ42と第3圧力センサ46の少なくとも一方が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0055】
S52において、圧力P3が大気圧よりも高くない場合(S52でNO)、S54において、制御部102は、第2圧力センサ44及び第3圧力センサ46が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第2圧力センサ44及び第3圧力センサ46が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0056】
この構成によると、運転者は、表示装置に表示される圧力センサが正常に動作していないことを知ることができる。
【0057】
蒸発燃料処理装置20では、ポンプ48によって連通空間15の圧力を昇圧することができる。これにより、エンジン2の駆動による負圧を利用しなくても、蒸発燃料処理装置20が正常に動作することができないことを判断することができる。
【0058】
また、第1〜第3圧力センサ42,44,46のそれぞれの検出結果を利用して、第1〜第3圧力センサ42,44,46のそれぞれについて、正常に動作しているか否かを判断することができる。
【0059】
さらに、第1状態と第2状態のそれぞれにおける第1〜第3圧力センサ42,44,46のそれぞれの検出結果を利用して、第1〜第3圧力センサ42,44,46のそれぞれについて、正常に動作しているか否かを判断することができる。
【0060】
また、ポンプ48を、パージ処理においてパージガスを圧送する機能と、連通空間15の圧力を変化させる機能と、で併用することができる。
【0061】
(第2実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。
図9に示すように、第2実施例の蒸発燃料処理装置20は、第1実施例の蒸発燃料処理装置20と比較して、ポンプ48に替えて、ポンプ248を備える。ポンプ248は、制御部102に制御され、キャニスタ19側から大気経路17を介してエアフィルタ側(即ち大気側)に気体を圧送する。
【0062】
制御部102は、第1〜第3圧力センサ42,44,46及びポンプ48が正常に動作していないことを検出する処理を実行する。本処理は、
図10に示す圧力検出処理と
図12〜
図15に示す正常判断処理とを含む。
【0063】
圧力検出処理では、
図3のS12〜S16と同様に、S72〜S76の処理を実行する。S76では、連通空間15は、ポンプ48の駆動によって、負圧になる。次いで、S78において、制御部102は、第1〜第3圧力センサ42,44,46の検出結果である圧力P1,P2,P3をそれぞれ取得して、圧力検出処理を終了する。
【0064】
図11に示すように、S72では、S12の第1状態と同様に、連通空間15は大気と連通されているために大気圧に一致する。一方、S78では、ポンプ48が駆動され、制御弁26が閉塞状態に維持される第2状態が達成される。第2状態では、連通空間15は、ポンプ48によって減圧されているために、大気圧よりも低い負圧になる。第1〜第3圧力センサ42,44,46が正常に動作している場合、第2状態では、圧力P1,P2,P3は負圧である。
【0065】
制御部102は、圧力検出処理に続いて、正常判断処理を実行する。正常判断処理では、まず、
図12に示すように、S92において、制御部102は、圧力P1が大気圧より低いか否かを判断する。圧力P1が大気圧よりも低い場合(S92でYES)、S94において、制御部102は、圧力P2が大気圧より低いか否かを判断する。圧力P2が大気圧よりも高い場合(S94でYES)、S96において、制御部102は、第3圧力センサ46の検出結果である圧力P3が大気圧より低いか否かを判断する。
【0066】
圧力P3が大気圧よりも低い場合(S96でYES)、S98において、制御部102は、圧力P1と圧力P2との差が所定範囲(例えば±2kPa)内であるか否かを判断する。圧力P1と圧力P2との差が所定範囲内である(S98でYES)、S100において、制御部102は、圧力P1と圧力P3との差が所定範囲内であるか否かを判断する。圧力P1と圧力P3との差が所定範囲内である(S100でYES)、正常判断処理を終了する。S100でYESと判断されて正常判断処理が終了した場合、第1圧力センサ42と第2圧力センサ44と第3圧力センサ46とは、ともに正常であると判断される。
【0067】
一方、圧力P1と圧力P3との差が所定範囲内でない(S100でNO)、S106において、制御部102は、第1圧力センサ42と第3圧力センサ46の少なくとも一方が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第1圧力センサ42と第3圧力センサ46の少なくとも一方が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0068】
なお、S106では、S36と同様に、制御部102は、
図10のS74で特定された圧力センサが正常に動作していないことを示す情報を出力する。以下、表示装置に信号を出力する処理、即ち、S102,S104,S112,S114,S118,S120,S124,S128,S130でも同様に、制御部102は、
図10のS74で特定された圧力センサが正常に動作していないことを示す情報を出力する。
【0069】
また、S98において、圧力P1と圧力P2との差が所定範囲内でない(S98でNO)、S104において、制御部102は、第1圧力センサ42と第2圧力センサ44の少なくとも一方が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第1圧力センサ42と第2圧力センサ44の少なくとも一方が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0070】
S96において、圧力P3が大気圧よりも高くない場合(S96でNO)、S102において、制御部102は、第3圧力センサ46が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第3圧力センサ46が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0071】
一方、S92において、圧力P1が大気圧よりも低くない場合(S92でNO)、
図13に示すように、S108において、制御部102は、S94と同様に、圧力P2が大気圧より低いか否かを判断する。圧力P2が大気圧よりも低い場合(S108でYES)、S110において、制御部102は、S96と同様に、圧力P3が大気圧より低いか否かを判断する。
【0072】
圧力P3が大気圧よりも低い場合(S110でYES)、S112において、制御部102は、第1圧力センサ42が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第1圧力センサ42が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0073】
一方、圧力P3が大気圧よりも低くない場合(S110でNO)、S114において、制御部102は、第1圧力センサ42及び第3圧力センサ46が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第1圧力センサ42及び第3圧力センサ46が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0074】
S108において、圧力P2が大気圧よりも低くない場合(S108でNO)、
図14に示すように、S116において、制御部102は、S96と同様に、圧力P3が大気圧より低いか否かを判断する。
【0075】
圧力P3が大気圧よりも低い場合(S116でYES)、S118において、制御部102は、第1圧力センサ42及び第2圧力センサ44が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第1圧力センサ42及び第2圧力センサ44が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0076】
一方、圧力P3が大気圧よりも低い場合(S116でNO)、S120において、制御部102は、ポンプ48が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、ポンプ48が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0077】
図12のS94において、圧力P2が大気圧よりも低くない場合(S94でNO)、
図15に示すように、S122において、制御部102は、S96と同様に、圧力P3が大気圧より高いか否かを判断する。
【0078】
圧力P3が大気圧よりも低い場合(S122でYES)、S126において、制御部102は、S100と同様に、圧力P1と圧力P3との差が所定範囲内であるか否かを判断する。圧力P1と圧力P3との差が所定範囲内である(S126でYES)、S128において、制御部102は、第2圧力センサ44が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第2圧力センサ44が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0079】
一方、圧力P1と圧力P3との差が所定範囲内でない(S126でNO)、S130において、制御部102は、第2圧力センサ44が正常に動作しておらず、第1圧力センサ42と第3圧力センサ46の少なくとも一方が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第2圧力センサ44が正常に動作しておらず、第1圧力センサ42と第3圧力センサ46の少なくとも一方が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0080】
S122において、圧力P3が大気圧よりも低くない場合(S122でNO)、S124において、制御部102は、第2圧力センサ44及び第3圧力センサ46が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、車両の表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。このとき、表示装置は、第2圧力センサ44及び第3圧力センサ46が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0081】
この構成によると、運転者は、表示装置に表示される圧力センサが正常に動作していないことを知ることができる。
【0082】
蒸発燃料処理装置20では、ポンプ248によって連通空間15の圧力を減圧することができる。これにより、エンジン2の駆動による負圧を利用しなくても、蒸発燃料処理装置20が正常に動作することができないことを判断することができる。
【0083】
また、第1実施例と同様に、第1〜第3圧力センサ42,44,46のそれぞれの検出結果を利用して、第1〜第3圧力センサ42,44,46のそれぞれについて、正常に動作しているか否かを判断することができる。また、第1状態と第2状態のそれぞれにおける第1〜第3圧力センサ42,44,46のそれぞれの検出結果を利用して、第1〜第3圧力センサ42,44,46のそれぞれについて、正常に動作しているか否かを判断することができる。
【0084】
(第3実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。
図16に示すように、第3実施例の蒸発燃料処理装置20は、第1実施例の蒸発燃料処理装置20と比較して、ポンプ48に替えて、ポンプ348を備える。ポンプ348は、パージ経路24に配置されている。ポンプ348は、第1圧力センサ42とキャニスタ19との間に配置されている。ポンプ348は、制御部102に制御され、キャニスタ19側から制御弁26側に気体を圧送する。
【0085】
蒸発燃料処理装置20は、さらに、大気弁347を備える。大気弁347は、大気経路17に配置されている。大気弁347は、第2圧力センサ44よりも大気側に配置されている。大気弁347は、制御部102によって開弁と閉弁に切り替えられる。開弁時は大気経路17を介してキャニスタ19を大気に連通する大気連通状態であり、閉弁時は大気経路17を閉塞してキャニスタ19を大気に連通しない大気非連通状態である。
【0086】
制御部102は、第1〜第3圧力センサ42,44,46及びポンプ48が正常に動作していないことを検出する処理を実行する。本処理は、
図17に示す圧力検出処理と
図12〜
図15に示す正常判断処理とを含む。
【0087】
圧力検出処理は、車両が停止している間に実行する。車両が停止している間は、制御弁26は閉塞状態であり、大気弁347は大気連通状態であり、ポンプ348は停止している。S132では、制御部102は、ポンプ348を駆動する。次いで、S134では、制御部102は、制御弁26を開弁する。これにより、制御弁26は、閉塞状態から開通状態に切り替わる。次いで、S136では、制御部102は、大気弁347を閉弁する。この結果、
図18に示す第1状態が達成される。第1〜第3圧力センサ42,44,46が正常に動作する場合、第1状態では、第1圧力センサ42では、大気圧が検出され、第2圧力センサ44及び第3圧力センサ46では、負圧が検出される。なお、
図18において、第2圧力センサ44及び第3圧力センサ46で負圧が「大」(即ち圧力が低い)と示しているが、後述する第2状態における負圧と比較して大きいことを意味する。
【0088】
S138では、制御部102は、第1〜第3圧力センサ42,44,46のそれぞれの検出結果が正常であるか否かを判断する。具体的には、制御部102は、圧力P1が大気圧に等しいか否かを判断する。また、制御部102は、圧力P2,P3が大気圧よりも低い(即ち負圧)であるか否かを判断する。圧力P1が大気圧に等しくない場合(S138でNO)、S140において、制御部102は、第1〜第3圧力センサ42,44,46のうち、第1圧力センサ42を特定する。また、圧力P2が大気圧よりも低い場合(S138でNO)、S140において、制御部102は、第2圧力センサ44を特定する。また、圧力P3が大気圧よりも低い場合(S138でNO)、S140において、制御部102は、第3圧力センサ46を特定する。
【0089】
圧力P1が大気圧に等しく、圧力P2,P3のいずれもが大気圧よりも低い場合(S138でYES)、S140がスキップされ、S142に進む。
【0090】
S142では、制御部102は、ポンプ348を停止する。次いで、S144において、制御部102は、制御弁26を開弁から閉弁に切り替える。これにより、制御弁26は、開通状態から閉塞状態に切り替わる。この結果、連通空間15は、制御弁26及び大気弁347によって、大気から遮断され、
図18に示す第2状態が達成される。第2状態では、連通空間15で圧力が均一化され、ポンプ348よりもキャニスタ19側の負圧が小さくなる。次いで、S146では、制御部102は、制御部102は、第1〜第3圧力センサ42,44,46の検出結果である圧力P1,P2,P3をそれぞれ取得して、圧力検出処理を終了する。
【0091】
圧力検出処理に続いて、
図12〜
図15に示す正常判断処理が実行される。正常判断処理では、S102,S104,S106,S112,S114,S118,S120,S124,S128,S130において、制御部102は、
図17のS140で特定された圧力センサが正常に動作していないことを示す情報を出力する。
【0092】
本実施例でも、第1実施例と同様の効果を奏することができる。
【0093】
(第4実施例)
第3実施例と異なる点を説明する。第4実施例では、ポンプ348は、ECU100に制御され、キャニスタ19側から制御弁26側に気体を圧送することに加え、制御弁26側からキャニスタ19側に気体を圧送することもできる。
【0094】
制御部102は、第1〜第3圧力センサ42,44,46及びポンプ48が正常に動作していないことを検出する処理を実行する。本処理は、
図19に示す圧力検出処理と
図5〜
図8に示す正常判断処理とを含む。
【0095】
S152では、制御部102は、ポンプ348を、制御弁26側からキャニスタ19側に気体を圧送するように駆動する。次いで、S134〜S138の処理と同様に、制御部102は、S154〜S158の処理を実行する。S156では、
図20に示す第1状態が達成される。第1〜第3圧力センサ42,44,46が正常に動作する場合、第1状態では、第1圧力センサ42では、大気圧が検出され、第2圧力センサ44及び第3圧力センサ46では、大気圧より大きい正圧が検出される。なお、第2圧力センサ44及び第3圧力センサ46で正圧が「大」と示しているが、後述する第2状態における正圧と比較して大きいことを意味する。
【0096】
S158では、制御部102は、圧力P1が大気圧に等しいか否かを判断する。また、制御部102は、圧力P2,P3が大気圧よりも高い(即ち正圧)であるか否かを判断する。圧力P1が大気圧に等しくない場合(S158でNO)、S160において、制御部102は、第1圧力センサ42を特定する。また、圧力P2が大気圧よりも高くない場合(S138でNO)、S160において、制御部102は、第2圧力センサ44を特定する。また、圧力P3が大気圧よりも高くない場合(S158でNO)、S160において、制御部102は、第3圧力センサ46を特定する。
【0097】
圧力P1が大気圧に等しく、圧力P2,P3のいずれかが大気圧よりも高い場合(S158でYES)、S160がスキップされ、S162に進む。
【0098】
次いで、制御部102は、S142〜S146の処理と同様に、S162〜S166の処理を実行して、圧力検出処理を終了する。S164において、
図20に示す第2状態が達成される。第2状態では、連通空間15で圧力が均一化され、ポンプ348よりもキャニスタ19側の正圧が小さくなる。
【0099】
圧力検出処理に続いて、
図5〜
図8に示す正常判断処理が実行される。正常判断処理では、S32,S34,S36,S42,S44,S48,S50,S54,S58,S60において、制御部102は、
図19のS160で特定された圧力センサが正常に動作していないことを示す情報を出力する。
【0100】
本実施例においても、第3実施例と同様の効果を奏することができる。
【0101】
(第5実施例)
第2実施例と異なる点を説明する。
図21に示すように、第5実施例の蒸発燃料処理装置20は、ポンプ248に加えて、ポンプ549を備える。ポンプ549は、第1圧力センサ42とキャニスタ19との間に配置されている。ポンプ549は、ECU100に制御され、キャニスタ19側から制御弁26側に気体を圧送する。ポンプ549は、パージ処理において、パージガスを制御弁26に向かって圧送するために利用される一方、圧力検出処理及び正常判断処理では利用されない。
【0102】
(第6実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。
図22に示すように、第6実施例の蒸発燃料処理装置20は、第2圧力センサ44を備える一方、第1圧力センサ42及び第3圧力センサ46を備えていない。
【0103】
制御部102は、
図23に示す正常判断処理を実行する。なお、
図3に示されるような圧力検出処理は実行されない。正常判断処理は、車両が停止している間に実行する。車両が停止している間は、制御弁26は閉塞状態であり、ポンプ48は停止している。制御部102は、まず、S172において、ポンプ48を駆動する。これにより、連通空間15は正圧になる。次いで、S174において、制御部102は、第2圧力センサ44の検出結果である圧力P2を取得する。連通空間15は、制御弁26で閉鎖されているため、ポンプ48の駆動により正圧に維持されている。
【0104】
S176では、制御部102は、S174で取得された圧力P2が大気圧よりも高い、即ち正圧であるか否かを判断する。圧力P2が大気圧よりも高くない場合(S176でNO)、S178において、制御部102は、蒸発燃料処理装置20が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。蒸発燃料処理装置20が正常に動作していない状況では、例えば、第2圧力センサ44が正常に圧力を検出できていない状況、ポンプ48が正常に気体を圧送できていない状況、制御弁26が正常に閉塞状態を維持できていない状況、及び、制御弁26以外で、連通空間15に漏れが発生している状況の少なくとも1つの状況が発生している可能性が高い。
【0105】
表示装置は、蒸発燃料処理装置20が正常に動作していないことを示す信号を受信すると、蒸発燃料処理装置20が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0106】
一方、圧力P2が大気圧よりも高い場合(S176でYES)、S180において、制御部102は、パージ濃度を取得する。ECU100は、エンジン2の空燃比を利用して、パージ濃度を推定している。具体的には、パージ処理が開始されるタイミングで、パージ濃度が0%であると推定して、空燃比が基準空燃比(例えば理想空燃比)になるように、インジェクタ4から噴射される燃料量を調整する。調整後の燃料量をインジェクタ4から噴射している間の空燃比がリッチである場合、パージ濃度が0+X%であると推定して、新たにインジェクタ4から噴射される燃料量を調整する。以後、空燃比が基準空燃比に近似するまで、パージ濃度をX%ずつ加算して、噴射燃料量を調整して、推定パージ濃度を特定する。
【0107】
空気と蒸発燃料の密度が異なるため、パージ濃度によってパージガスの密度が変化する。パージガスの密度が高いほど、ポンプ48による昇圧は高くなる。制御部102は、パージ濃度と連通空間15の圧力との相関関係を示すデータマップを予め格納している。このデータマップは、予め実験によって特定され、制御部102に格納されている。
【0108】
S182では、制御部102は、S174で取得された圧力P2が想定範囲内か否かを判断する。具体的には、まず、制御部102は、S180で取得されたパージ濃度に対応する連通空間15の圧力をデータマップから特定する。次いで、制御部102は、S174で取得された圧力P2がデータマップから特定された圧力を基準にした想定範囲(例えばデータマップから特定された圧力±2kPa)に含まれているか否かを判断する。圧力P2が想定範囲内である場合(S182でYES)、正常判断処理を終了する。この場合、蒸発燃料処理装置20は、正常に動作している判断することができる。
【0109】
一方、圧力P2が想定範囲内でない場合(S182でNO)、S184において、制御部102は、第2圧力センサ44が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。表示装置は、第2圧力センサ44が正常に動作していないことを示す信号を受信すると、第2圧力センサ44が正常に動作していないことを示す情報を表示する。
【0110】
本実施例においても、蒸発燃料処理装置20では、ポンプ48によって連通空間15の圧力を昇圧することができる。これにより、エンジン2の駆動による負圧を利用しなくても、蒸発燃料処理装置20が正常に動作することができないことを判断することができる。
【0111】
(第7実施例)
第6実施例と異なる点を説明する。第7実施例は、第6実施例と比較して、正常判断処理が異なる。制御部102は、車両の起動(即ちイグニションスイッチのON)後、パージ条件が成立する前に、正常判断処理を実行する。パージ条件が成立する前であるため、ポンプ48は停止しており、制御弁26は閉塞状態である。
【0112】
図24に示すように、正常判断処理では、S192において、制御部102は、ポンプ48を駆動する。次いで、S194において、制御部102は、ポンプ48の駆動直後に、第2圧力センサ44の検出結果である圧力PAを取得する。次いで、S196では、制御部102は、ポンプ48を駆動してから所定期間(例えば5分)経過後に、第2圧力センサ44の検出結果である圧力PBを取得する。
【0113】
所定期間に亘ってポンプ48が駆動し続けると、ポンプ48のモータが加熱され、ポンプ48内の気体の温度が上昇する。この結果、ポンプ48内の気体の密度が低下して、圧力が低下する。この結果、
図25に示すように、S194で検出される圧力PAよりもS196で検出される圧力PBの方が低くなるはずである。
【0114】
続くS198では、制御部102は、圧力PAと圧力PBとの圧力差ΔPが、予め制御部102に格納されている所定範囲内であるか否かを判断する。所定範囲は、予め実験によって、蒸発燃料処理装置20が正常に動作している場合の圧力差ΔPの範囲(即ち検出誤差を含む範囲)である。圧力差ΔPが所定範囲にない場合(S198でNO)、S200において、制御部102は、S178と同様に、蒸発燃料処理装置20が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。
【0115】
一方、圧力差ΔPが所定範囲にある場合(S198でYES)、S200を実行せずに、正常判断処理を終了する。
【0116】
本実施例においても、蒸発燃料処理装置20では、ポンプ48によって連通空間15の圧力を昇圧することができる。これにより、エンジン2の駆動による負圧を利用しなくても、蒸発燃料処理装置20が正常に動作することができないことを判断することができる。
【0117】
また、圧力PAと圧力PBとの差によって、蒸発燃料処理装置20が正常に動作しているか否かを判断しているため、第2圧力センサ44の検出結果自体を利用して判断する場合と比較して、パージ濃度の変化(即ち密度の変化)による検出結果の変動が、判断に及ぼす影響を低減することができる。
【0118】
(第8実施例)
第6実施例と異なる点を説明する。第8実施例は、第6実施例と比較して、正常判断処理が異なる。制御部102は、車両の起動(即ちイグニションスイッチのON)後、パージ条件が成立する前に、正常判断処理を実行する。パージ条件が成立する前であるため、ポンプ48は停止しており、制御弁26は閉塞状態である。
【0119】
図26に示すように、正常判断処理では、S202において、制御部102は、ポンプ48を駆動する。次いで、S204において、制御部102は、ポンプ48の回転数が安定した後、ポンプ48の回転数を、予め決められた第1回転数(例えば8000rpm)に制御する。次いで、S206において、制御部102は、第2圧力センサ44の検出結果である圧力PAを取得する。次いで、S208において、制御部102は、ポンプ48の回転数を、予め決められた第2回転数(例えば12000rpm)に制御する。なお、第1回転数と第2回転数とは、異なっていればよく、どちらが高くても構わない。
【0120】
次いで、S210において、制御部102は、第2圧力センサ44の検出結果である圧力PBを取得する。
図27に示すように、第2回転数が第1回転数よりも高い場合、第2回転数の場合の連通空間15の圧力は、第1回転数の場合の連通空間15の圧力よりも高い。
【0121】
続くS212では、制御部102は、圧力PAと圧力PBとの圧力差ΔPが、予め制御部102に格納されている所定範囲内であるか否かを判断する。所定範囲は、予め実験によって、蒸発燃料処理装置20が正常に動作している場合の圧力差ΔPの範囲(即ち検出誤差を含む範囲)である。圧力差ΔPが所定範囲にない場合(S212でNO)、S214おいて、制御部102は、S200と同様に、蒸発燃料処理装置20が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。
【0122】
一方、圧力差ΔPが所定範囲にある場合(S212でYES)、S214を実行せずに、正常判断処理を終了する。
【0123】
本実施例も第7実施例と同様の効果を奏することができる。特に、この構成によると、ポンプ48の回転数を変動することによって、連通空間15の圧力が異なる2種類の状態の検出結果を利用して、蒸発燃料処理装置20が正常に動作していないことを判断することができる。
【0124】
(第9実施例)
第6実施例と異なる点を説明する。第9実施例では、蒸発燃料処理装置20は、ポンプ48に替えて、ポンプ748を備える。ポンプ748は、制御弁26とキャニスタ19との間のパージ経路24に配置されている。また、蒸発燃料処理装置20は、制御弁26とポンプ748の間のパージ経路24に配置される圧力センサ744と温度センサ745とを備える。圧力センサ744は、パージ経路24の圧力を検出する。温度センサ745は、パージ経路24内の気体の温度を検出する。
【0125】
また、制御部102は、
図30に示すパージ経路24内の圧力とポンプ748内の温度との相関関係を示す圧力―温度データマップが格納されている。ポンプ748内の温度が上昇するとポンプ748内の気体の密度が低下し、圧力が低下する。さらに、パージ濃度が低いと、気体の密度が低下し、圧力が低下する。圧力―温度データマップには、パージ濃度0%〜100%のうちの複数種類のパージ濃度について、圧力と温度との相関関係を示す特性データ(以下では「T−P特性」と呼ぶ)が含まれている。なお、
図30では、例として、パージ濃度が10%と100%の場合のT−P特性が示されているが、実際には、圧力―温度データマップには、より多くの種類のパージ濃度に応じたT−P特性が含まれている。
【0126】
第9実施例は、第6実施例の正常判断処理と異なる正常判断処理を実行する。制御部102は、車両の起動(即ちイグニションスイッチのON)後、パージ条件が成立する前に、正常判断処理を実行する。パージ条件が成立する前であるため、ポンプ48は停止しており、制御弁26は閉塞状態である。
【0127】
図29に示すように、正常判断処理では、S222において、制御部102は、ポンプ48を駆動する。次いで、S224では、制御部102は、圧力センサ744の検出結果である圧力PAと温度センサ745の検出結果である温度TAを取得する。次いで、S226では、制御部102は、S224で取得された圧力PAと温度TAとを用いて、圧力―温度データマップから1つのT−P特性を特定する。
図30に示すように、例えば、圧力PAと温度TAとがパージ濃度10%のT−P特性上に一致する場合、パージ濃度10%のT−P特性を特定する。
【0128】
しかしながら、圧力センサ744、温度センサ745、ポンプ748及び制御弁26のいずれか1つでも正常に動作していない場合、S224で取得された圧力PAと温度TAが、いずれのT−P特性にも一致せず、T−P特性を特定することができない場合がある。S227では、制御部102は、S226においてT−P特性を特定することができたか否かを判断する。T−P特性を特定できた場合(S227でYES)、S228に進み、T−P特性を特定できなかった場合(S227でNO)、S232に進む。
【0129】
S228では、制御部102は、S226の処理を実行してから所定期間(例えば5分)経過後に、圧力センサ744の検出結果である圧力PBと、温度センサ745の検出結果である温度TBと、を取得する。所定期間ポンプ48が駆動し続けることによって、ポンプ48内の気体の温度が上昇する。この結果、ポンプ48内の気体の密度が低下して、圧力が低下する。この結果、
図30に示すように、S226で検出されるタイミングよりもS228で検出されるタイミングの方が、連通空間15の圧力は低い。また、所定期間待機することによって、ポンプ748内で昇温された気体が温度センサ745に到達する。これにより、温度センサ745を用いて、昇温後のポンプ748内の温度を検出することができる。
【0130】
S230では、制御部102は、S228で取得された圧力PBと温度TBが、S226で特定されたT−P特性に一致するか否かを判断する。T−P特性上に一致しない場合(S230でNO)にS232に進み、T−P特性に一致する場合(S230でYES)にS232をスキップして、正常判断処理を終了する。S232では、制御部102は、制御部102は、S200と同様に、蒸発燃料処理装置20が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。
【0131】
本実施例でも、第7実施例と同様の効果を奏することができる。また、ポンプ748内の気体の温度に応じて、ポンプ748による圧力変化は変動する。本実施例では、ポンプ748内の気体の温度変化による圧力変化を考慮して、蒸発燃料処理装置20が正常に動作していないことを判断することができる。なお、温度センサ745は、ポンプ748の付近に配置されていてもよいし、ポンプ748と一体に配置されていてもよく、ポンプ748内に配置されていてもよい。
【0132】
(第10実施例)
第9実施例と異なる点を説明する。第10実施例は、第9実施例と比較して、正常判断処理が異なる。制御部102は、パージ処理実行中に、定期的に正常判断処理を実行する。正常判断処理が開始されるタイミングでは、制御弁26はデューティ制御されている。また、ポンプ748は、駆動している場合もあれば、停止している場合もある。
【0133】
図31に示すように、正常判断処理では、S234において、制御部102は、
図23のS180と同様に、ECU100から推定パージ濃度を取得する。次いで、S236において、制御部102は、パージ濃度は安定しているか否かを判断する。具体的には、制御部102は、所定回数(例えば3回)に亘ってS234で取得されたパージ濃度に変化がない場合(例えばパージ濃度の差が1%未満)に、パージ濃度が安定していると判断する。一方、制御部102は、所定回数に亘ってS234で取得されたパージ濃度に変化がある場合に、パージ濃度が安定していないと判断する。パージ濃度が安定していると判断される場合(S236でYES)にS238に進み、パージ濃度が安定していると判断されない場合(S236でYES)にS234に戻る。なお、所定回数に亘ってS234でパージ濃度が取得されていない場合、S236でNOと判断して、S234に戻る。
【0134】
S238では、制御部102は、制御弁26を閉弁する。次いで、S240では、制御部102は、ポンプ748を駆動する。なお、既に、ポンプ748が駆動している場合、S242をスキップする。次いで、S242では、制御部102は、圧力センサ744の検出結果である圧力PAと温度センサ745の検出結果である温度TAを取得する。次いで、S244では、制御部102は、S226と同様に、S242で取得された圧力PAと温度TAとを用いて、圧力―温度データマップから1つのT−P特性を特定する。
【0135】
次いで、S245では、制御部102は、S244においてT−P特性を特定することができたか否かを判断する。T−P特性を特定できた場合(S245でYES)、S246に進み、T−P特性を特定できなかった場合(S245でNO)、S254に進む。
【0136】
S246では、制御部102は、S238で制御弁26を閉弁してから所定期間(例えば5分間)経過後、制御弁26を開弁して、閉塞状態から開通状態に切り替える。次いで、S248では、制御部102は、制御弁26を開弁してから一定期間経過後、制御弁26を閉弁して、開通状態から閉塞状態に切り替える。一定期間は、制御弁26が開弁して、ポンプ748内の気体が、温度センサ745に到達するまでの期間よりも長い。
【0137】
次いで、S250では、制御部102は、圧力センサ744の検出結果である圧力PBと、温度センサ745の検出結果である温度TBと、を取得する。次いで、S252では、制御部102は、S250で取得された圧力PBと温度TBが、S244で特定されたT−P特性に一致するか否かを判断する。T−P特性に一致しない場合(S252でNO)にS254に進み、T−P特性に一致する場合(S252でYES)にS254をスキップして、正常判断処理を終了する。S254では、制御部102は、制御部102は、S200と同様に、蒸発燃料処理装置20が正常に動作していないと判断し、判断結果を示す信号を、表示装置に出力して、正常判断処理を終了する。
【0138】
本実施例でも、第9実施例と同様の効果を奏することができる。また、パージ濃度が安定した後で、蒸発燃料処理装置20が正常に動作しているか否かを判断するため、パージ濃度の変動による圧力の変動の影響を抑制することができる。
【0139】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0140】
(1)パージ濃度は、例えば、パージ経路24上に配置されるパージ濃度検出装置によって検出されていてもよい。
【0141】
(2)制御部102は、ECU100とは別体で配置されていてもよい。
【0142】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。