(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6742876
(24)【登録日】2020年7月31日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】テープ巻取シャフト
(51)【国際特許分類】
B65H 18/04 20060101AFI20200806BHJP
【FI】
B65H18/04
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-188576(P2016-188576)
(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公開番号】特開2018-52662(P2018-52662A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010733
【氏名又は名称】ニューマチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】木下 勝義
【審査官】
大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第02/055418(WO,A1)
【文献】
実公昭40−003773(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 16/00−18/28
F16C 29/00−31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープを筒状コアに巻き取る際に、前記筒状コア内に挿入されて前記筒状コアを保持するのに用いられる、テープ巻取シャフトにおいて、
筒状のドラム本体と、多数のラグと、複数の滑動補助ユニットと、を備えており、
前記ドラム本体が、表面に、規則的な配置で形成された、複数の貫通孔を有しており、
前記ラグが、前記貫通孔を通って前記ドラム本体の前記表面に突出可能に設けられており、
前記滑動補助ユニットが、前記ドラム本体の前記表面に、規則的な配置で、設けられており、
前記滑動補助ユニットは、
多数のボールとハウジングとリテーナーとを一体的に備えており、全体として平板状の形態を有しており、
多数の前記ボールは、前記ハウジングに形成された縦長の周回溝に、前記周回溝に沿って移動可能に、収容されており、
前記周回溝は、対向する縦長部に高低差があるように形成されており、
前記リテーナーは、高い方の前記縦長部に位置している前記ボールが露出するように、前記ハウジングを塞いでおり、
前記リテーナーの表面は平坦であり、
高い方の前記縦長部の深さは、前記ボールが前記リテーナーの前記表面から突出する深さに、及び、前記ドラム本体の前記表面に取り付けられた際に前記ボールが前記ドラム本体の前記表面から突出する深さに、設定されており、
前記滑動補助ユニットは、
前記ドラム本体の前記表面に形成された凹部内に、埋め込むように、取り付けられており、
前記縦長部が前記ドラム本体の軸方向に沿うように、前記ドラム本体に取り付けられており、
前記リテーナーの前記表面から突出している前記ボールが前記ドラム本体の前記表面からも突出しているように、設けられている、
ことを特徴とするテープ巻取シャフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入物の表面に取り付けて用いられるようになっており、被挿入物への挿入物の挿入を補助する、滑動補助ユニット、及び、該ユニットが表面に取り付けられたテープ巻取シャフト、に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ巻取シャフトは、テープを筒状コアに巻き取る際に、筒状コア内に挿入されて筒状コアを保持するのに、用いられる。このようなテープ巻取シャフトは、例えば、特許文献1〜4に示されている。ところで、筒状コアへのテープ巻取シャフトの挿入を円滑に行うために、例えば、筒状コアの内周面にベアリングを設ける、という構成が、提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2567059号公報
【特許文献2】特許第4625209号公報
【特許文献3】実用新案登録第2522452号公報
【特許文献4】実公平5−37977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、筒状コアの内周面にベアリングを設けるのは、非常に困難である。
【0005】
本発明は、表面に簡単に取り付けて用いることができる滑動補助ユニットが取り付けられたテープ巻取シャフト、を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発
明は、
テープを筒状コアに巻き取る際に、前記筒状コア内に挿入されて前記筒状コアを保持するのに用いられる、テープ巻取シャフトにおいて、
筒状のドラム本体と、多数のラグと、複数の滑動補助ユニットと、を備えており、
前記ドラム本体が、表面に、規則的な配置で形成された、複数の貫通孔を有しており、
前記ラグが、前記貫通孔を通って前記ドラム本体の前記表面に突出可能に設けられており、
前記滑動補助ユニットが、前記ドラム本体の前記表面に、規則的な配置で、設けられており、
前記滑動補助ユニットは、
多数のボールとハウジングとリテーナーとを一体的に備えており、全体として平板状の形態を有しており、
多数の前記ボールは、前記ハウジングに形成された縦長の周回溝に、前記周回溝に沿って移動可能に、収容されており、
前記周回溝は、対向する縦長部に高低差があるように形成されており、
前記リテーナーは、高い方の前記縦長部に位置している前記ボールが露出するように、前記ハウジングを塞いでおり、
前記リテーナーの表面は平坦であり、
高い方の前記縦長部の深さは、前記ボールが前記リテーナーの前記表面から突出する深さに、及び、前記ドラム本体の前記表面に取り付けられた際に前記ボールが前記ドラム本体の前記表面から突出する深さに、設定されており、
前記滑動補助ユニットは、
前記ドラム本体の前記表面に形成された凹部内に、埋め込むように、取り付けられており、
前記縦長部が前記ドラム本体の軸方向に沿うように、前記ドラム本体に取り付けられており、
前記リテーナーの前記表面から突出している前記ボールが前記ドラム本体の前記表面からも突出しているように、設けられている、
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明
のテープ巻取シャフトによれば、滑動補助ユニットの突出しているボールが筒状コア(被挿入物)の内面を連続して摺動するので、筒状コア内に円滑に挿入できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の滑動補助ユニットが取り付けられたテープ巻取シャフトの側面図である。
【
図3】ラグが突出した状態を示す、
図2に相当する図である。
【
図5】滑動補助ユニットを取り付ける様子を示す断面部分図である。
【
図12】ボールを収容したハウジングの平面図である。
【
図16】多数のボールを収容したハウジングがリテーナーで覆われた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の滑動補助ユニットが取り付けられたテープ巻取シャフトの側面図である。
図2は、
図1のII−II断面図である。テープ巻取シャフト(挿入物)は、テープを筒状コア(被挿入物)に巻き取る際に、筒状コア内に挿入されて筒状コアを保持するのに、用いられる。このテープ巻取シャフト1は、筒状のドラム本体2と多数のラグ3とを備えている。ドラム本体2は、表面20に、規則的な配置で形成された、複数の貫通孔21を、有している。ここでは、貫通孔21は、ドラム本体2の一円周において、等間隔に4個、形成されている。ラグ3の内側には、外部から供給される空気によって膨張する膨張体4が、設けられている。ラグ3は、貫通孔21に嵌挿している突部31と、膨張体4の外周面に当接する円弧部32と、からなっている。そして、ラグ3は、
図3に示されるように、膨張体4が膨張すると、突部31が貫通孔21を通ってドラム本体2の表面20に突出するようになっている。これにより、テープ巻取シャフト1は、ラグ3が突出していない状態(
図2の状態)で筒状コア(図示せず)内に挿入した後に、ラグ3を突出させて筒状コアの内面に圧接させることによって、筒状コアを保持するようになっている。
【0012】
そして、ドラム本体2の表面20には、複数の滑動補助ユニット5が取り付けられている。
図4は、
図1のIV−IV断面図である。滑動補助ユニット5は、
図5に示されるように、ドラム本体2の表面20に形成された凹部22内に、埋め込むように、取り付けられている。滑動補助ユニット5は、長手方向の両端に取付部50を有しており、取付部50においてボルト55によって固定することにより、取り付けられている。滑動補助ユニット5は、ドラム本体2の一円周において、等間隔に4個、設けられている。滑動補助ユニット5は、ドラム本体2の軸方向(長手方向)において隣接するラグ3の間に、且つ、ドラム本体2の円周方向において隣接するラグ3の間に、配置されている。
【0013】
図6は、滑動補助ユニット5の平面図である。
図7は、滑動補助ユニット5の底面図である。
図8は、
図6のVIII−VIII断面図である。滑動補助ユニット5は、所謂「リニアブッシュ機構」を有している。滑動補助ユニット5は、多数のボール6とハウジング7とリテーナー8とを一体的に備えており、全体として平板状の形態を有している。滑動補助ユニット5は、ボール6を収容したハウジング7をリテーナー8で覆って、構成されている。
【0014】
図9は、ハウジング7の平面図である。
図10は、
図9のX−X断面図である。
図11は、
図9のXI−XI断面図である。ハウジング7は、縦長の周回溝71を有している。周回溝71は、ボールエンドミルを用いて切削することによって、形成されている。周回溝71は、平行に対向している縦長部711と縦長部712との間に高低差があるように、形成されており、したがって、縦長部711から縦長部712への移行部713、714は、傾斜溝となっている。縦長部711の深さD1と縦長部712の深さD2との関係は、D1<D2である。
【0015】
なお、滑動補助ユニット5は、両縦長部711、712がドラム本体2の軸方向に沿うように、ドラム本体2に取り付けられている。
【0016】
図12は、多数のボール6がハウジング7の周回溝71に収容された状態を示す平面図である。ボール6は、周回溝71に沿って移動できるように、周回溝71に収容されている。
【0017】
図13は、リテーナー8の平面図である。
図14は、
図13のXIV矢視図である。
図15は、
図13のXV−XV断面図である。リテーナー8は、ハウジング7を上方から覆う平面部81と、ハウジング7を側方から把持する側面部821、822と、からなっている。平面部81の表面80は、平坦である。そして、平面部81の幅方向Wの半分には、縦長孔83が形成されている。縦長孔83は、リテーナー8がハウジング7を覆った時に、周回溝71の浅い縦長部711に収容されているボール6が、露出するように、形成されている。但し、縦長孔83の幅W1は、ボール6の直径より少し小さく、設定されている。よって、ボール6は、縦長孔83を通り抜けることはない。
【0018】
図16は、多数のボール6を収容したハウジング7がリテーナー8で覆われた状態を示す平面図である。
図17は、
図16のXVII−XVII断面透視図である。
図18は、
図16のXVIII−XVIII断面透視図である。
図17又は
図8に示されるように、縦長孔83を通して露出しているボール6は、リテーナー8の表面80から突出しており、更には、
図4に示されるように、滑動補助ユニット5がドラム本体2の表面20に取り付けられた際に、表面20からも突出している。すなわち、浅い縦長部711の深さD1は、収容したボール6が表面80及び表面20から突出する深さに、設定されている。なお、深い縦長部712の深さD2は、ボール6が完全に収容される深さに、設定されている。
【0019】
前記構成のテープ巻取シャフト1は、筒状コア内に挿入する際に、滑動補助ユニット5の突出しているボール6が
図6に示されるように筒状コアの内面を連続して摺動するので、筒状コア内に円滑に挿入できる。なお、
図6において、矢印Aは、テープ巻取シャフト1の挿入方向を示し、矢印Bは、ボール6が摺動して移動する方向を示している。
【0020】
しかも、滑動補助ユニット5は、リニアブッシュ機構を有しており、軸長さLの区間に存在するボール6の全てが摺動に関与するので、軸方向に安定して摺動する。したがって、前記構成のテープ巻取シャフト1は、筒状コア内に円滑に且つ安定して挿入できる。
【0021】
また、前記構成の滑動補助ユニット5によれば、次の効果を発揮できる。
(1)テープ巻取シャフト1の表面20に、凹部22を形成するだけで簡単に取り付けることができる。したがって、円滑に挿入できるテープ巻取シャフトを生産性良く得ることができる。
【0022】
(2)リニアブッシュ機構を有しているので、被挿入物の内面との摺動性が良好である。
【0023】
[変形例]
(a)滑動補助ユニット5は、テープ巻取シャフトに限らず、他の挿入物の表面にも、凹部を形成するだけで簡単に取り付けることができ、それによって、当該挿入物の挿入作業の円滑化を実現できる。
【0024】
(b)滑動補助ユニット5は、挿入物の表面の一円周に、2個以上取り付ければよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のテープ巻取シャフトは、筒状コア内に円滑に挿入できるので
、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0026】
1 テープ巻取シャフト 2 ドラム本体 20 表面 21 貫通孔 3 ラグ
5 滑動補助ユニット 6 ボール 7 ハウジング 71 周回溝
711、712 縦長部 8 リテーナー 80 表面