(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
(容器)
本発明の容器は、容器本体と、容器本体の表面に設けられたアルカリ可溶性の樹脂層と、樹脂層の表面に設けられた印刷層と、備えてなることを特徴とする。また、一実施形態において、印刷層を覆うように、保護層を備えていてもよい。
【0018】
(容器本体)
本発明において使用する容器本体の形状は特に限定されるものではない。
また、容器本体の材質も特に限定されるものではなく、樹脂製容器、ガラス製容器、紙製容器、金属製容器等を使用することができる。
容器本体が樹脂製の場合、容器は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを主成分とするアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリアセタールなどの樹脂材料を1種または2種以上含むことができる。
上記した樹脂材料以外にも、ナイロン−6、ナイロン−6,6、MXD−6等のポリアミド系樹脂、塩化ビニルまたは塩化ビニリデンの単独重合体、酢酸ビニル、マレイン酸誘導体、高級アルキルビニルエーテル等のポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂およびポリビニルアルコール系樹脂などを含んでいてもよい。
【0019】
また、容器本体は、本発明の特性を損なわない範囲において、各種の添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、分散剤、紫外線吸収剤および着色顔料等が挙げられる。なお、着色顔料として、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等、各種色の顔料を使用することができるが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、容器本体は、着色顔料を含まないことが好ましい。
【0020】
容器本体表面の熱可塑性樹脂層を設ける箇所には、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、帯電防止層付与など表面処理が行われていることが好ましい。
【0021】
(アルカリ可溶性の樹脂層)
本発明の容器は、容器本体の表面に設けられたアルカリ可溶性の樹脂層(以下、場合により単に「樹脂層」という。)を備えてなる。
本発明において、「アルカリ可溶性」とは、アルカリ溶液、例えば、1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液100mLに対して、85℃で0.1g以上溶解可能であることを意味する。
【0022】
一実施形態において、樹脂層は、容器本体の全体に設けられたものであっても、よく、また、印刷層を形成させる予定の箇所にのみ設けられたものであってもよい。
【0023】
樹脂層は、アルカリ可溶性の樹脂を含んでなり、アルカリ可溶性の樹脂としては、例えば、アルカリ可溶性の熱可塑性樹脂およびアルカリ可溶性の活性光線硬化性樹脂が挙げられる。
なお、本発明において、「活性光線」とは、活性光線硬化性樹脂に対して化学的に作用させて重合を促進せしめる放射線を意味し、具体的には、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等を意味する。
【0024】
アルカリ可溶性の熱可塑性樹脂としては、主鎖または側鎖にフェノール性水酸基および/またはカルボキシル基を有するものを使用することができる。
例えば、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマー、(メタ)アクリルアミド等のアミド系モノマー、アミド系モノマーのN−アルコキシ置換体、アミド系モノマーのN−メチロール置換体、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー、ジアリルフタレート、アリルグリシジルエーテル、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系モノマー、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン等の重合性二重結合を有するモノマー等の1種または2種以上と、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水テトラヒドロフタル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸の1種または2種以上とが共重合した共重合体が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル共重合体が特に好ましい。
【0025】
アルカリ可溶性の活性光線硬化性樹脂は、重合成分として、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルフタレート、2−アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタレート、フェノキシエチルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレートエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加モノマー、アクリロイルモルホリン、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、β−カルボキシルエチルアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート、イミドアクリレート、イソアミルアクリレート、エトキシ化コハク酸アクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、N−ビニルホルムアミド等の単官能モノマーや、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、エトキシ化イソシアヌール酸トリアクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヒドロキシピバリン酸トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化リン酸トリアクリレート、エトキシ化トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシレートグリセリルトリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、ペンタエリスリトールオリゴアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート等の多官能モノマーを1種または2種以上含んでいてもよい。
【0026】
アルカリ可溶性の樹脂の酸価は、100mgKOH/g以上、500mgKOH/g以下であることが好ましく、150mgKOH/g以上、400mgKOH/g以下であることがより好ましい。樹脂の酸価を上記数値範囲とすることにより、アルカリ性の溶液による、樹脂層の剥離性を向上させることができる。
なお、本発明において、「酸価」は、JIS K 0070に準拠して測定することができる。
【0027】
樹脂層は、アルカリ可溶性の樹脂を5質量%以上、80質量%以下含んでなることが好ましく、10質量%以上、50質量%以下含んでなることがより好ましい。
【0028】
樹脂層は、その特性を損なわない範囲において、アルカリ可溶性の樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。例えば、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、カーボネート系樹脂、アミド系樹脂、プロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、イミド系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
【0029】
樹脂層としてアルカリ可溶性の活性光線硬化性樹脂を用いる場合は、必要に応じて、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤は、光重合開始剤(光や電子線の照射を利用する際の開始剤)であっても、熱重合開始剤(熱重合反応を利用する際の開始剤)であってもよい。
光重合開始剤としては、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
また、熱重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキシルニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノバレル酸等が挙げられる。
【0030】
樹脂層は、その特性が損なわれない範囲において、各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、顔料や染料等の着色剤、可塑剤、pH調整剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等が挙げられる。
【0031】
樹脂層の厚さは、0.1μm以上、50μm以下であることが好ましく、1μm以上、20μm以下であることがさらに好ましい。
【0032】
(印刷層)
本発明の容器は、アルカリ可溶性の樹脂層の表面に、文字、図形、記号、模様等を印刷した印刷層を備えてなる。このように、アルカリ可溶性の樹脂層上に印刷層が設けられていることにより、樹脂層の除去と共に、容器本体の表面から除去することができる。
【0033】
印刷層は、着色剤を含んでなることができる。この着色剤は染料であっても、顔料であってもよく、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等、各種色の着色剤を使用することができる。
【0034】
印刷層は、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニル系樹脂、これら樹脂をシリコーン変性させた樹脂、紫外線吸収性樹脂、上記したアルカリ可溶性の樹脂およびこれらの混合物等の樹脂組成物を1種または2種以上含んでなることができる。
これらの中でも、アルカリ可溶性の樹脂は、樹脂層の除去の際、容易に除去することができるため好ましい。
【0035】
印刷層としてアルカリ可溶性の活性光線硬化性樹脂を用いる場合は、必要に応じて上記したような重合開始剤を含んでいてもよい。
【0036】
印刷層は、その他にも、pH調整剤、防腐剤、防かび剤、キレート化剤、可塑剤、酸化防止剤等を含んでなることができる。
【0037】
(保護層)
保護層は、所望により、設けられる層であり、印刷層を覆うように設けられ、印刷層の保護を担う層である。
一実施形態において、保護層は、容器本体表面の全域に設けられたものであってもよく、印刷層が設けられた箇所のみに設けられたものであってもよい。
【0038】
保護層は、熱硬化型樹脂または活性光線硬化性樹脂を含んでなることが好ましく、表面硬度が高く、生産性に優れるという点から、活性光線硬化性樹脂がより好ましい。なお、熱硬化型樹脂と活性光線硬化性樹脂とを併用してもよい。
【0039】
活性光線硬化性樹脂は上記したものを使用することができる。
また、熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂などが挙げられる。さらにこれら樹脂と、熱重合開始剤、硬化促進剤、硬化剤などを併用することが好ましい。
【0040】
保護層の厚さは、0.1μm以上、50μm以下であることが好ましく、1μm以上、30μm以下であることがさらに好ましい。
【0041】
(容器の製造方法)
本発明の容器の製造方法は、容器本体を準備する工程と、容器本体表面に、アルカリ可溶性の樹脂層を設ける工程と、アルカリ可溶性の樹脂層の表面に、印刷を施すことにより、印刷層を形成する工程と、含む。また、所望により、印刷層を覆うように保護層を設ける工程を含む。
以下、各工程について説明する。
【0042】
(容器本体を準備する工程)
容器本体は、上記したように、樹脂製容器、ガラス製容器、紙製容器、金属製容器のいずれであってもよく、従来公知の方法によりこれらの容器本体を製造することができる。また、市販される容器本体を使用してもよい。
例えば、容器本体が、樹脂製である場合、Tダイ法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法等の成形法により作製することができる。
【0043】
(アルカリ可溶性の樹脂層を形成する工程)
一実施形態において、アルカリ可溶性の樹脂層は、上記したアルカリ可溶性の樹脂等を含んでなる混合物を、必要に応じて適当な溶媒に加え、アルカリ可溶性樹脂層形成用組成物とし、これを従来公知の方法により、容器本体上に、塗布し、乾燥させることにより形成することができる。塗布方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、およびグラビアリバースロールコーティング法等が挙げられる。
使用することのできる溶媒は、特に限定されるものではないが、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、トルエン、ブチルヒドロキシトルエン、ヘキサン、キシレン等を使用することができる。
また、活性光線硬化樹脂を含んでなる場合、アルカリ可溶性樹脂層形成用組成物を塗布後、活性光線を照射することにより、樹脂層を形成することができる。
【0044】
(印刷層を形成する工程)
印刷層は、上記した着色剤や樹脂組成物等および所望により溶媒を含んでなる印刷層形成用組成物を、オフセット印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷法等の公知の印刷方法により、樹脂層上に塗布し、乾燥することにより、形成することができる。使用することのできる溶媒は、樹脂層の形成に使用することのできる溶媒と同様のものを使用することができる。
活性光線硬化樹脂を含んでなる場合、印刷層形成用組成物を塗布後、活性光線を照射することにより、印刷層を形成することができる。
【0045】
(保護層を形成する工程)
保護層は、上記した樹脂組成物等および所望により溶媒を含んでなる保護層形成用組成物を、オフセット印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷法等の公知の印刷方法により、印刷層および/または樹脂層上に塗布し、乾燥することにより、形成することができる。使用することのできる溶媒は、樹脂層の形成に使用することのできる溶媒と同様のものを使用することができる。
活性光線硬化樹脂を含んでなる場合、保護層形成用組成物を塗布後、活性光線を照射することにより、保護層を形成することができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
【0047】
<実施例1>
(容器本体を準備する工程)
PET製のボトルを準備した。
【0048】
(アルカリ可溶性の樹脂層を形成する工程)
下記の組成からなる樹脂層形成用組成物を、ボトルの一つの面に、グラビア印刷法により、塗布した後、乾燥させ、樹脂層を形成させた。樹脂層の厚さは、2μmであった。
<樹脂層形成用組成物の組成>
・スチレン−無水マレイン酸共重合体 15質量部
(酸価:270mgKOH/g、川原油化社製、商品名:SMA17352P)
・アクリル系樹脂 4質量部
(酸価:4mgKOH/g、東亞合成社製、商品名:UH2011)
・セルロース系樹脂 1質量部
(イーストマンケミカル社製、商品名:CAB−381−0.5)
・酢酸エチル 50質量部
・イソプロピルアルコール 30質量部
【0049】
(印刷層を形成する工程)
下記の組成からなる印刷層形成用組成物を、インクジェット印刷法により、樹脂層上へ吐出し、次いで、紫外線照射装置(ハリソン東芝ライティング社製、ランプ出力:120W/cm、高圧水銀ランプ1灯、照射距離:10cm、コンベア速度:5m/min、1Pass)を用いて、紫外線を照射し、
図1で表される文字からなる印刷層を形成し、容器を得た。印刷層の厚さは、1μmであった。
<印刷層形成用組成物の組成>
・顔料分散体 10質量部
(顔料分散剤(ルーブリソール社製、商品名:ソルスパーズ32000)35質量部、フェノキシエチルアクリレート61質量部含有)
・フェノキシエチルアクリレート 65質量部
・N−ビニルカプロラクタム 17質量部
・ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート 8質量部
・重合開始剤A 5質量部
(チバスペシャルティーケミカルズ製、商品名:イルガキュア907)
・重合開始剤B 5質量部
(チバスペシャルティーケミカルズ製、商品名:イルガキュア819)
・ブチルヒドロキシトルエン 1質量部
【0050】
<実施例2>
樹脂層形成用組成物の組成を以下のように変更し、この塗布液を、ボトルの一つの面に、グラビア印刷法により、塗布した後、紫外線照射装置(ハリソン東芝ライティング社製、ランプ出力:120W/cm、高圧水銀ランプ1灯、照射距離:10cm、コンベア速度:5m/min。1Pass)を用いて、紫外線を照射することにより、樹脂層を形成した以外は実施例1と同様にして、容器を作製した。
<樹脂層形成用組成物の組成>
・2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタレート 70質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 20質量部
・ラウリルアクリレート 5質量部
・トリデシルアクリレート 5質量部
・オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン} 2.8質量部
(ラムバック社製、商品名:エザキュアKIP150)
・パーフルオロアルキル基・親油性基含有オリゴマー 0.3質量部
(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:メガファックF−173)
【0051】
<剥離試験>
上記のようにして得られた容器に対し、以下の剥離試験を行った。
実施例1、2により得られた容器を、85℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、水溶液を簡単な攪拌を行いながら、アルカリ可溶性樹脂層及び印刷層の脱離状態を観察した。具体的には、アルカリ可溶性樹脂層及び印刷層が自発的に(浸漬後に印刷樹脂板を取り出し、水に曝したり、擦る等の作用を与えずに、浸漬中に自然に)脱落する時間(分)を測定し、下記の評価基準により、剥離性を評価した。評価結果を表1に表す。
評価基準
○:ほぼ完全に脱落する時間が20分未満である。
×:ほぼ完全に脱落する時間が20分以上である。
【表1】