特許第6742905号(P6742905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6742905
(24)【登録日】2020年7月31日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】治療活性のある化合物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20200806BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20200806BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20200806BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200806BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   C07D401/14
   A61K31/53
   A61P19/00
   A61P35/00
   A61P35/02
【請求項の数】20
【全頁数】90
(21)【出願番号】特願2016-531940(P2016-531940)
(86)(22)【出願日】2014年8月1日
(65)【公表番号】特表2016-527279(P2016-527279A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】US2014049469
(87)【国際公開番号】WO2015017821
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2017年7月31日
【審判番号】不服2019-5456(P2019-5456/J1)
【審判請求日】2019年4月24日
(31)【優先権主張番号】61/861,884
(32)【優先日】2013年8月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2013/081170
(32)【優先日】2013年8月9日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】61/939,098
(32)【優先日】2014年2月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/975,448
(32)【優先日】2014年4月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/011,948
(32)【優先日】2014年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516010663
【氏名又は名称】アギオス ファーマシューティカルス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】サムエル ブイ.アグレスタ
(72)【発明者】
【氏名】チョング‐フイ グ
(72)【発明者】
【氏名】デビッド スチェンケイン
(72)【発明者】
【氏名】フア ヤング
(72)【発明者】
【氏名】リトイング グオ
(72)【発明者】
【氏名】ズヘン タング
(72)【発明者】
【氏名】ジアンミング ワング
(72)【発明者】
【氏名】ヤンフェング ズハング
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ズホウ
【合議体】
【審判長】 瀬良 聡機
【審判官】 安孫子 由美
【審判官】 冨永 保
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/102431(WO,A1)
【文献】 国際公開第03/037346(WO,A1)
【文献】 小嶌隆史,医薬品開発における結晶性選択の効率化を目指して,薬剤学,2008年 9月 1日,Vol.68,No.5,p.344−349
【文献】 平山令明,有機化合物結晶作製ハンドブック,2008年,p.17−23,37−40,45−51,57−65
【文献】 GOULD,Philip L.,Salt selection for basic drugs, International Journal of Pharmaceutics,1986年,Vol.33,p.201−217
【文献】 社団法人日本化学会編,第4版実験化学講座1基本操作I,丸善株式会社発行,1996年 4月 5日,第184−189頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-メチル-1-[(4-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-6-{[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]プロパン-2-オールメタンスルホナートの結晶であって、7.5、9.3、14.5、18.8、21.3、及び24.8°±0.2°の2θ角度でピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする形態3である、前記結晶
【請求項2】
図5に示すX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項1記載の結晶
【化1】
【請求項3】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、及びリンパ腫から選択される進行性血液系悪性腫瘍を治療するための薬剤の製造のための請求項1又は2記載の結晶の使用。
【請求項4】
前記薬剤が、1回当たり30mg〜300mg遊離塩基等価強度、1日1回又は1日2回投与される、請求項3記載の使用。
【請求項5】
前記薬剤が、1回当たり75mg、1日1回又は1日2回投与される、請求項4記載の使用。
【請求項6】
前記薬剤が、1回当たり100mg、1日1回又は1日2回投与される、請求項4記載の使用。
【請求項7】
前記薬剤が、1回当たり150mg、1日1回又は1日2回投与される、請求項4記載の使用。
【請求項8】
前記薬剤が、1回当たり200mg、1日1回又は1日2回投与される、請求項4記載の使用。
【請求項9】
前記薬剤が、経口剤形である、請求項4記載の使用。
【請求項10】
前記経口剤形が、錠剤である、請求項9記載の使用。
【請求項11】
前記薬剤が、1日1回投与される、請求項4記載の使用。
【請求項12】
前記薬剤が、1日2回投与される、請求項4記載の使用。
【請求項13】
前記進行性血液系悪性腫瘍が、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、及びリンパ腫から選択される、請求項4〜12のいずれか一項記載の使用。
【請求項14】
前記進行性血液系悪性腫瘍が、急性骨髄性白血病(AML)である、請求項13記載の使用。
【請求項15】
前記進行性血液系悪性腫瘍が、骨髄異形成症候群(MDS)である、請求項13記載の使用。
【請求項16】
前記進行性血液系悪性腫瘍が、慢性骨髄単球性白血病(CMML)である、請求項13記載の使用。
【請求項17】
前記進行性血液系悪性腫瘍が、リンパ腫である、請求項13記載の使用。
【請求項18】
前記進行性血液系悪性腫瘍が、再発性又は原発性難治性急性骨髄性白血病である、請求項13記載の使用。
【請求項19】
前記薬剤が、急性骨髄性白血病の第一、第二、第三、又は第四選択治療として投与される、請求項3〜12のいずれか一項記載の使用。
【請求項20】
請求項1記載の結晶を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2013年8月2日に出願された米国特許出願第61/861,884号、2013年8月9日に出願された国際出願第CN2013/081170号、2014年2月12日に出願された米国特許出願第61/939,098号、2014年4月4日に出願された米国特許出願第61/975,448号、及び2014年6月13日に出願された米国特許出願第62/011,948号の優先権を主張し、そのそれぞれはその全体として引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
イソクエン酸脱水素酵素(IDH)は、イソクエン酸の2-オキソグルタル酸(すなわち、α-ケトグルタル酸)への酸化的脱炭酸を触媒する。これらの酵素は、2つの明確に異なる下位分類に属し、そのうちの一つは電子受容体としてNAD(+)を利用し、他方はNADP(+)を利用する。次の5つのイソクエン酸脱水素酵素が報告されている:ミトコンドリアマトリックスに局在化する3つのNAD(+)依存性イソクエン酸脱水素酵素、及び2つのNADP(+)依存性イソクエン酸脱水素酵素(このうちの一方はミトコンドリア酵素、他方は、主としてサイトゾル酵素である)。各NADP(+)依存性イソ酵素は、ホモ二量体である。
【0003】
IDH2(イソクエン酸脱水素酵素2(NADP+)、ミトコンドリア酵素)は、IDH; IDP; IDHM; IDPM; ICD-M;又はmNADP-IDHとしても知られる。この遺伝子によりコードされたタンパク質は、ミトコンドリアに存在するNADP(+)依存性イソクエン酸脱水素酵素である。それは、中間代謝及びエネルギー生産において役割を果たす。このタンパク質は、ピルビン酸脱水素酵素複合体と密接に関連するか、又はそれと相互作用し得る。ヒトIDH2遺伝子は、452個のアミノ酸のタンパク質をコードする。IDH2のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、それぞれ、GenBank登録番号NM_002168.2及びNP_002159.2として見出され得る。ヒトIDH2のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列はまた、例えば、EMBL/GenBank/DDBJデータベースへのHuhらの文献(投稿済(NOV-1992))、及びThe MGC Project Team, Genome Res. 14:2121-2127(2004)に記載されている。
【0004】
非変異、例えば、野生型IDH2は、イソクエン酸のα-ケトグルタル酸(α-KG)への酸化的脱炭酸を触媒し、それにより、例えば、正反応で、NAD+(NADP+)をNADH(NADPH)に還元する:
イソクエン酸+NAD+(NADP+)→α-KG+CO2+NADH(NADPH)+H+。
特定の癌細胞に存在するIDH2の変異が、α-ケトグルタル酸のR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)へのNADPH依存性還元を触媒する該酵素の新たな能力をもたらすことが発見された。2-HGは、野生型IDH2によっては形成されない。2-HGの産生は、癌の形成及び進行の一因であると考えられている(Dang, Lらの文献(Nature 2009,462:739-44))。
したがって、変異型IDH2及びその新規活性(neoactivity)の阻害は、癌に対する可能性のある治療法である。したがって、アルファヒドロキシル新規活性を有するIDH2変異体の阻害剤の必要性が継続的に存在する。
【0005】
大規模な医薬組成物の製造の主な問題は、一貫した加工パラメーター及び医薬品品質を保証するために有効成分が安定な結晶形態を有さなければならないことである。有効成分は、温度及び湿度などの種々の環境条件の影響にもかかわらず一貫して再現できる吸湿性、溶解度、及び安定性に関して許容し得る性質を有さなければならない。不安定な結晶形が使用されると、製造及び又は貯蔵の間に結晶形態が変わることがあり、品質管理の問題及び製剤のむらが生じる。そのような変化は製造プロセスの再現性に影響を与え、そのため、医薬組成物の製剤に課せられた高品質及び厳しい要件を満たさない医薬製剤をもたらし得る。
【0006】
化合物が溶液又はスラリーから結晶化する場合、異なる空間的格子配置と共に結晶化することがあり、それは「多形」と呼ばれる性質である。結晶形のそれぞれは「多形体」である。ある物質の多形体は同じ化学組成を有するが、それらは、溶解度及び電離、真密度、融点、結晶形状、圧密挙動、流動性、及び/又は固体状態安定性などの1つ以上の物性に関して互いに異なることがある。
【0007】
医薬として活性な物質の多形挙動は、薬学及び薬理学において非常に重要である。多形体により示される物性の違いは、貯蔵安定性、圧縮性及び密度(医薬組成物製造において重要)、並びに溶解速度(有効成分のバイオアベイラビリティの決定において重要な因子)などの実際的なパラメーターに影響する。安定性の違いは、化学反応性の変化(例えば、剤形が、ある多形体である場合に、別な多形体である場合よりも急速に変色するような示差酸化(differential oxidation))、若しくは機械的変化(例えば、動力学的に有利な多形体が熱力学的により安定な多形体に転化するにつれて、錠剤が貯蔵時に崩壊する)又は両方(例えば、ある多形体の錠剤が、別な多形体よりも高湿度で分解しやすい)から生じ得る。さらに、結晶の物性は、加工において重要になり得る:例えば、ある多形体は、固体形態を凝集させ固体取扱いの困難を増す溶媒和物を形成しやすいことがあるか、濾過して不純物を除くのが困難なことがある(すなわち、粒子の形状及び粒径分布は、他の多形体とある多形体の間で異なることがある)。
【0008】
向上した化学的性質及び物性を有する医薬製剤が望まれるが、そのような製剤の既存の分子の新しい結晶形(例えば、多形体)を製造する予測可能な手段はない。医薬製剤の製造及び貯蔵の間に遭遇し得る環境の範囲にわたり一貫した物性を有する、変異型IDH2の阻害剤の結晶形が必要である。そのような結晶形があれば、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療すること、並びに大規模な製造及び製剤に好適な性質を有することに有用であろう。
【0009】
引用により全体として本明細書に組み込まれている国際公開第2013/102431号及び米国特許公開第2013/0190287号は、IDH2変異体(例えば、IDH2R140Q及びIDH2R172K)を阻害する化合物を開示している。これらの出願は、変異型IDH2の阻害剤の製造の方法、これらの化合物を含む医薬組成物、変異型IDH2の過剰発現及び/又は増幅と関連した疾患、障害、若しくは病態(例えば、癌)の療法の方法をさらに開示している。
【発明の概要】
【0010】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法が本明細書に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、化合物3形態1のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図2図2は、化合物3形態2のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図3図3は、化合物3形態2の示差走査熱量測定(DSC)プロファイルである。
図4図4は、化合物3形態2の熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図5図5は、化合物1形態3のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図6図6は、化合物1形態3の示差走査熱量測定(DSC)プロファイルである。
図7図7は、化合物1形態3の熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図8図8は、化合物1形態3の動的水蒸気収着(DVS)プロファイルである。
図9図9は、化合物1形態4のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図10図10は、化合物1形態4の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図11図11は、化合物1形態5のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図12図12は、化合物1形態5の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図13図13は、化合物1形態6のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図14図14は、化合物1形態6の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図15図15は、化合物1形態7のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図16図16は、化合物1形態7の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図17図17は、化合物1形態8のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図18図18は、化合物1形態8の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図19図19は、化合物1形態9のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図20図20は、化合物1形態9の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図21図21は、化合物1形態10のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図22図22は、化合物1形態10の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図23図23は、化合物1形態11のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図24図24は、化合物1形態11の示差走査熱量測定(DSC)プロファイルである。
図25図25は、化合物1形態11の熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図26図26は、化合物1形態12のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図27図27は、化合物1形態12の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図28図28は、化合物1形態13のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図29図29は、化合物1形態13の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図30図30は、化合物1形態14のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図31図31は、化合物1形態14の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図32図32は、化合物1形態15のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図33図33は、化合物1形態15の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図34図34は、化合物3形態16のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図35図35は、化合物3形態16の示差走査熱量測定(DSC)プロファイルである。
図36図36は、化合物3形態16の熱重量分析(TGA)プロファイルである。
図37図37は、化合物3形態17のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図38図38は、化合物3形態18のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
図39図39は、化合物3形態19のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
以下の説明に記載されるか、又は図面に示される構成の詳細及び成分の配置は、限定的でないものとする。本発明を実施するための他の実施態様及び異なる方法は明らかに含まれる。また、本明細書で使用される表現及び用語は説明を目的としており、限定的であると見なされるべきではない。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」又は「有する(having)」、「含有する(containing)」、「関与する(involving)」、及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びそれらの等価物並びに追加の項目を包含することを意図する。
【0013】
(定義)
上記で使用された通り、及び本発明の説明全体を通して、以下の用語は、特記されない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
本明細書で使用される通り、「2-HGの上昇したレベル」という用語は、変異IDH対立遺伝子(例えば、変異体IDH2対立遺伝子)を持たない対象に存在するものより10%、20% 30%、50%、75%、100%、200%、500%又はそれ以上多い2-HGを意味する。「2-HGの上昇したレベル」という用語は、細胞内、腫瘍内、腫瘍を含む臓器内、又は体液内の2-HGの量を指し得る。
【0014】
「体液」という用語は、胎児を包み込む羊水、房水、血液(例えば血漿)、血清、脳脊髄液、耳垢、キームス、カウパー腺液、膣液、間質液、リンパ液、母乳、粘液(例えば、鼻漏又は痰)、胸膜液、膿、唾液、皮脂、精液、血清、汗、涙、尿、膣分泌物、又は嘔吐物のうちの1つ以上を含む。
【0015】
本明細書で使用される通り、「阻害する」又は「予防する」という用語は、完全及び部分的な阻害及び予防の両方を含む。阻害剤は、意図される標的を完全又は部分的に阻害し得る。
用語「変異型IDH2阻害剤」又は「IDH2変異体(複数可)の阻害剤」は、IDH2変異体サブユニットに結合し、例えば、ダイマー、例えば、変異型IDH2サブユニットのホモダイマー又は変異体と野生型(wildype)サブユニットとのヘテロダイマーの形成を阻害することにより新規活性を阻害する分子、例えば、ポリペプチド、ペプチド、若しくは小分子(例えば、1,000ダルトン未満の分子)、又はアプタマーを意味する。いくつかの実施態様において、新規活性阻害は、少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、又は99%である。
【0016】
「治療する」という用語は、疾患/障害(例えば、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍)の発達又は進行を減少させる、抑制する、減衰させる、消失させる、停止させる、若しくは安定化させる、該疾患/障害の重症度を低下させる、又は該疾患/障害に関連する症状を改善することを意味する。
【0017】
本明細書で使用される通り、障害を治療するのに有効なその結晶形を含む化合物の量、又は「治療上有効な量」若しくは「治療上有効な投与量」は、対象への単回投与又は反復投与の投与時に、細胞の処理において、又は障害を有する対象の治癒、軽減、緩和、若しくは改善において、そのような処置なしで予測される状態を超えて有効であるその結晶形を含む化合物又はその医薬として許容し得る塩の量を指す。
【0018】
本明細書で使用される通り、「対象」という用語は、ヒトを意味するものとする。例示的なヒト対象には、障害、例えば、本明細書に記載の障害を有するヒト患者(患者と呼ばれる)、又は正常な対象がある。
「遊離塩基当量(free-base equivalent)」又は「遊離塩基等価強度(free-base equivalent strength)」は、遊離塩基の化合物3の投与量に等価な化合物1又は化合物3の別な医薬として許容し得る塩の量である。例えば、30mg(遊離塩基等価強度)は36mgの化合物1に等しく、50mg(遊離塩基等価強度)は60mgの化合物1に等しく、75mg(遊離塩基等価強度)は90mgに等しく、100mg(遊離塩基等価強度)は120mgに等しく、125mg(遊離塩基等価強度)は150mgに等しいだろう。
【0019】
「形態1」又は「化合物3形態1」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例3Aで合成され、以下に記載され、図1に示されるデータにより表される化合物3の形態1を説明する。
「形態2」又は「化合物3形態2」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例4Aで合成され、以下に記載され、図2、3、及び4に示されるデータにより表される化合物3の形態2を説明する。
「形態3」又は「化合物1形態3」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例6Aで合成され、以下に記載され、図5、6、7、及び8に示されるデータにより表される化合物1の形態3を説明する。
【0020】
「形態4」又は「化合物1形態4」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例7Aで合成され、以下に記載され、図9及び10に示されるデータにより表される化合物1の形態4を説明する。
「形態5」又は「化合物1形態5」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例8Aで合成され、以下に記載され、図11及び12に示されるデータにより表される化合物1の形態5を説明する。
「形態6」又は「化合物1形態6」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例9Aで合成され、以下に記載され、図13及び14に示されるデータにより表される化合物1の形態6を説明する。
【0021】
「形態7」又は「化合物1形態7」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例10Aで合成され、以下に記載され、図15及び16に示されるデータにより表される化合物1の形態7を説明する。
「形態8」又は「化合物1形態8」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例11Aで合成され、以下に記載され、図17及び18に示されるデータにより表される化合物1の形態8を説明する
「形態9」又は「化合物1形態9」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例12Aで合成され、以下に記載され、図19及び20に示されるデータにより表される化合物1の形態9を説明する。
【0022】
「形態10」又は「化合物1形態10」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例13Aで合成され、以下に記載され、図21及び22に示されるデータにより表される化合物1の形態10を説明する。
「形態11」又は「化合物1形態11」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例14Aで合成され、以下に記載され、図23、24、及び25に示されるデータにより表される化合物1の形態11を説明する。
「形態12」又は「化合物1形態12」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例15Aで合成され、以下に記載され、図26及び27に示されるデータにより表される化合物1の形態12を説明する。
【0023】
「形態13」又は「化合物1形態13」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例16Aで合成され、以下に記載され、図28及び29に示されるデータにより表される化合物1の形態13を説明する。
「形態14」又は「化合物1形態14」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例17Aで合成され、以下に記載され、図30及び31に示されるデータにより表される化合物1の形態14を説明する。
「形態15」又は「化合物1形態15」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例18Aで合成され、以下に記載され、図32及び33に示されるデータにより表される化合物1の形態15を説明する。
【0024】
「形態16」又は「化合物3形態16」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例2Aで合成され、以下に記載され、図34、35、及び36に示されるデータにより表される化合物3の形態16を説明する。
「形態17」又は「化合物3形態16」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例20Aで合成され、以下に記載され、図37に示されるデータにより表される化合物3の形態16を説明する。
「形態18」又は「化合物3形態16」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例21Aで合成され、以下に記載され、図38に示されるデータにより表される化合物3の形態16を説明する。
「形態19」又は「化合物3形態16」は互換的に使用され、以下の実施例の項の実施例22Aで合成され、以下に記載され、図39に示されるデータにより表される化合物3の形態16を説明する。
【0025】
本明細書で使用される通り、「結晶性」は、高度に規則的な化学構造を有する固体を指す。特に、結晶性の化合物3又は化合物1は、化合物3又は化合物1の1つ以上の単結晶形として製造され得る。本願の目的には、用語「結晶形」、「単結晶形」、及び「多形体」は同義である;該用語は、異なる性質(例えば、異なるXRPDパターン及び/又は異なるDSCスキャン結果)を有する結晶を区別する。用語「多形体」は擬多形体を含むが、それは、典型的には、物質の異なる溶媒和物であり、そのため、それらの性質は互いに異なる。このように、化合物3又は化合物1の各別個の多形体及び擬多形は、本明細書では別個の単結晶形とみなされる。
【0026】
「実質的に結晶性」は、少なくとも特定の重量パーセント結晶性であり得る形態を指す。特定の重量パーセンテージは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、又は10%と100%の間の任意のパーセンテージである。いくつかの実施態様において、実質的に結晶性は、少なくとも70%結晶性である化合物3又は化合物1を指す。他の実施態様において、実質的に結晶性は、少なくとも90%結晶性である化合物3又は化合物1を指す。
【0027】
本明細書で使用される通り、用語「単離された」は、少なくとも特定の重量パーセントの化合物1又は化合物3の特定の結晶形であり得る形態を指す。特定の重量パーセンテージは、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、又は90%と100%の間の任意のパーセンテージである。
【0028】
用語「溶媒和物又は溶媒和された」は、その結晶形を含む本発明の化合物と、1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は水素結合を含む。特定の場合、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれている場合に、溶媒和物は単離することが可能である。「溶媒和物又は溶媒和された」は、溶液相と分離可能な溶媒和物の両方を包含する。代表的な溶媒和物には、例えば、水和物、エタノラート、又はメタノラートがある。
【0029】
用語「水和物」は、溶媒分子が定義された化学量論量で存在するH2Oである溶媒和物であり、例えば、半水和物、一水和物、二水和物、又は三水和物が含まれ得る。
用語「混合物」は、組み合わせの相状態(例えば、液体又は液体/結晶性)にかかわらず、混合物の組み合わされた要素を指すように使用される。
用語「シーディング」は、再結晶化又は結晶化を開始する結晶性物質の添加を指すように使用される。
用語「貧溶媒」は、その結晶形を含む化合物が難溶性である溶媒を指すように使用される。
【0030】
本明細書で使用される通り、用語「約」は、およそ、〜の領域、概略、又は〜ぐらいを意味する。用語「約」が数値の範囲と共に使用される場合、それは、述べられた数値を超えて、又はそれより下に境界を延ばすことによりその範囲を修飾する。一般に、用語「約」は、述べられた値を、10%の分散だけ超えて、又は10%の分散だけそれより下に数値を変更するように本明細書で使用される。
【0031】
(医薬組成物及び治療方法)
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の変異型IDH2阻害剤を投与することを含む方法が提供される。
【0032】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の変異型IDH2阻害剤を投与することを含む方法も提供される。
【0033】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、及びリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫又はB細胞リンパ腫)から選択される進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の化合物3、又はその医薬として許容し得る塩を投与することを含む方法も提供される。
【0034】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の化合物1を投与することを含む方法も提供される。
【0035】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の2-メチル-1-[(4-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-6-{[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]プロパン-2-オールメタンスルホナート(化合物1)を投与することを含む方法も提供される。
【0036】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の変異型IDH2阻害剤、及び1種以上の医薬として許容し得る担体(複数可)を含む医薬組成物を投与することを含む方法も提供される。
【0037】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、及びリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫又はB細胞リンパ腫)から選択される進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の化合物3、又はその医薬として許容し得る塩、及び1種以上の医薬として許容し得る担体(複数可)を含む医薬組成物を投与することを含む方法も提供される。
【0038】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の化合物1、及び1種以上の医薬として許容し得る担体(複数可)を含む医薬組成物を投与することを含む方法も提供される。
【0039】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の化合物1、及び1種以上の医薬として許容し得る担体(複数可)を含む医薬組成物を投与することを含む方法も提供される。
【0040】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の化合物1、及び1種以上の医薬として許容し得る担体(複数可)を含む医薬組成物を投与することを含む方法も提供される。
【0041】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の化合物1、若しくはその結晶形;又は治療上有効な投与量の化合物3、若しくはその結晶形を投与することを含む方法も提供される。
【0042】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の化合物1、若しくはその結晶形;又は治療上有効な投与量の化合物3、若しくはその結晶形;及び1種以上の医薬として許容し得る担体(複数可)を含む医薬組成物を投与することを含む方法も提供される。
【0043】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の化合物1、若しくはその結晶形;又は治療上有効な投与量の化合物3、若しくはその結晶形;及び1種以上の医薬として許容し得る担体(複数可)を含む医薬組成物を投与することを含む方法も提供される。
【0044】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、及びリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫又はB細胞リンパ腫)から選択される進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な投与量の化合物3の医薬として許容し得る塩を投与することを含み、該治療上有効な投与量が、約30mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)、1日1回又は1日2回(例えば、約30mg〜約200mg、1日1回若しくは1日2回;又は約30mg〜約150mg、1日1回若しくは1日2回)である方法も提供される。一実施態様において、治療上有効な投与量は、30mgの遊離塩基等価強度、1日1回又は1日2回である。別な実施態様において、治療上有効な投与量は、50mgの遊離塩基等価強度、1日1回又は1日2回である。別な実施態様において、治療上有効な投与量は、75mgの遊離塩基等価強度、1日1回又は1日2回である。別な実施態様において、治療上有効な投与量は、100mgの遊離塩基等価強度、1日1回又は1日2回である。別な実施態様において、治療上有効な投与量は、125mgの遊離塩基等価強度、1日1回又は1日2回である。別な実施態様において、治療上有効な投与量は、150mgの遊離塩基等価強度、1日1回又は1日2回である。別な実施態様において、治療上有効な投与量は、175mgの遊離塩基等価強度、1日1回又は1日2回である。別な実施態様において、治療上有効な投与量は、200mgの遊離塩基等価強度、1日1回又は1日2回である。別な実施態様において、治療上有効な投与量は、225mgの遊離塩基等価強度、1日1回又は1日2回である。別な実施態様において、治療上有効な投与量は、250mgの遊離塩基等価強度、1日1回又は1日2回である。別な実施態様において、治療上有効な投与量は、275mgの遊離塩基等価強度、1日1回又は1日2回である。別な実施態様において、治療上有効な投与量は、300mgの遊離塩基等価強度、1日1回又は1日2回である。
【0045】
いくつかの実施態様において、本発明の方法において、化合物3の医薬として許容し得る塩は、5、10、50、又は200mg遊離塩基等価強度錠剤の任意の組み合わせとして、1日2回又は1日1回経口投与される。いくつかの実施態様において、化合物1は、5、10、50、又は200mg遊離塩基等価強度錠剤の任意の組み合わせとして、1日2回又は1日1回経口投与される。いくつかの実施態様において、化合物1の結晶形は、5、10、50、又は200mg遊離塩基等価強度錠剤の任意の組み合わせとして、1日2回又は1日1回経口投与される。
【0046】
いくつかの実施態様において、本発明の方法において、化合物3の医薬として許容し得る塩は、5、10、50、100、150、又は200mg遊離塩基等価強度錠剤の任意の組み合わせとして、1日2回又は1日1回経口投与される。いくつかの実施態様において、化合物1は、5、10、50、100、150、又は200mg遊離塩基等価強度錠剤の任意の組み合わせとして、1日2回又は1日1回経口投与される。いくつかの実施態様において、化合物1の結晶形は、5、10、50、100、150、又は200mg遊離塩基等価強度錠剤の任意の組み合わせとして、1日2回又は1日1回経口投与される。
【0047】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、化合物1を、少なくとも約30mg(遊離塩基等価強度)の投与量(例えば、約30mg〜約300mg;約30mg〜約200mg;又は約30mg〜約150mgの量(遊離塩基等価強度))で、1日2回投与することを含む方法も提供される。
【0048】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、化合物1を、少なくとも約30mg(遊離塩基等価強度)の投与量(例えば、約30mg〜約300mg;約30mg〜約200mg;又は約30mg〜約150mgの量(遊離塩基等価強度))で、1日2回投与することを含む方法も提供される。
【0049】
いくつかの実施態様において、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、少なくとも約30mg(遊離塩基等価強度)の投与量(例えば、約30mg〜約300mg;約30mg〜約200mg;又は約30mg〜約150mgの量(遊離塩基等価強度))で1日2回投与することを含む、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法。
【0050】
いくつかの実施態様において、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法は、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約30mg〜約300mgの投与量(遊離塩基等価強度)(例えば、約30mg〜約300mg;約30mg〜約200mg;又は約30mg〜約150mgの量(遊離塩基等価強度))で1日2回投与することを含む。
【0051】
いくつかの実施態様において、第二の毎日の投与は、第一の投与後約8時間から約16時間の間に提供される。
一実施態様において、30mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日2回。別な実施態様において、50mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日2回。別な実施態様において、75mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日2回。別な実施態様において、100mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日2回。別な実施態様において、125mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日2回。別な実施態様において、150mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日2回。別な実施態様において、175mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日2回。別な実施態様において、200mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日2回。別な実施態様において、225mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日2回。別な実施態様において、250mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日2回。
【0052】
いくつかの実施態様において、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、又は慢性骨髄単球性白血病(CMML)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法は、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
【0053】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするAMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするAMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1又はその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
【0054】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするMDSを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするMDSを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
【0055】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするCMMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするCMMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
【0056】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする骨髄性肉腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする骨髄性肉腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
【0057】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする多発性骨髄腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする多発性骨髄腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
【0058】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするリンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするリンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
【0059】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするT細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするT細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
【0060】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするB細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするB細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約75mg〜約150mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日2回投与することを含む。
【0061】
いくつかの実施態様において、第二の毎日の投与は、第一の毎日の投与後約10時間から約14時間の間に提供される。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される方法は、約30mg、約50mg、約75mg、約100mg、125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、又は約250mg(そのそれぞれは遊離塩基等価強度である)の投与量での、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形の、1日2回の対象への経口投与を含む。一実施態様において、第二の1日量は、最初の1日量の4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20時間後に与えられる。
【0062】
いくつかの実施態様において、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法は、それを必要とする対象に、化合物1を、約75mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日1回(例えば、約75mg〜約200mg(遊離塩基等価強度)、1日1回)投与することを含む。
【0063】
いくつかの実施態様において、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法は、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約75mg〜約3000mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日1回(例えば、約75mg〜約200mg(遊離塩基等価強度)、1日1回)投与することを含む。
【0064】
いくつかの実施態様において、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法は、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約75mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日1回(例えば、約75mg〜約200mg(遊離塩基等価強度)、1日1回)投与することを含む。
【0065】
一実施態様において、100mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日1回。一実施態様において、150mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日1回。一実施態様において、175mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日1回。一実施態様において、200mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日1回。一実施態様において、225mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日1回。一実施態様において、250mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日1回。一実施態様において、275mgの投与量(遊離塩基等価強度)、1日1回。
【0066】
いくつかの実施態様において、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、又は慢性骨髄単球性白血病(CMML)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法は、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約150mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日1回(例えば、約150mg〜約200mg(遊離塩基等価強度)、1日1回)投与することを含む。
【0067】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするAMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約100mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日1回(例えば、約150mg〜約200mg(遊離塩基等価強度)、1日1回)投与することを含む。
【0068】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするAMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1又はその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約150mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日1回投与することを含む。
【0069】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするMDSを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約100mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日1回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするMDSを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約150mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で、1日1回投与することを含む。
【0070】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするCMMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約100mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で1日1回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするCMMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約150mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0071】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする骨髄性肉腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約100mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で1日1回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする骨髄性肉腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約150mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0072】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする多発性骨髄腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約100mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で1日1回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする多発性骨髄腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約150mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0073】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするリンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約100mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で1日1回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするリンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約150mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0074】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするT細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約100mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で1日1回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするT細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約150mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0075】
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするB細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、約100mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で1日1回投与することを含む。
一実施態様において、該方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とするB細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、錠剤の経口剤形で、約150mg〜約300mg(遊離塩基等価強度)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0076】
いくつかの実施態様において、該方法は、約75、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、又は約300mg (そのそれぞれは遊離塩基等価強度である)の投与量での、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形の、1日1回の、対象への経口投与を含む。
【0077】
治療上有効な投与量の化合物1若しくはその結晶形;又は治療上有効な投与量の化合物3若しくはその結晶形が、日中又は夜間のどの時間にも服用できることが理解されるだろう。いくつかの実施態様において、治療上有効な投与量の化合物1は、朝に服用される。他の実施態様において、治療上有効な投与量の化合物1若しくはその結晶形;又は治療上有効な投与量の化合物3若しくはその結晶形は、晩に服用される。治療上有効な投与量の化合物1若しくはその結晶形;又は治療上有効な投与量の化合物3若しくはその結晶形が、食物と一緒でも、食物無しでも服用できることが理解されるだろう。いくつかの実施態様において、治療上有効な投与量の化合物1若しくはその結晶形;又は治療上有効な投与量の化合物3若しくはその結晶形は、食事と共に服用される(例えば、高脂肪食[高脂肪米国食品医薬品局標準食:例えば、バターで調理した特大の卵2つ、調理した塩漬けベーコン2切れ、バターを塗った強化白パン2枚、ハッシュドブラウンポテト4オンス(113g)、及び全乳(3.3%)8オンス(227g)]の開始30分後の単一経口投与量の投与)。いくつかの実施態様において、対象は、治療上有効な投与量の化合物1若しくはその結晶形;又は治療上有効な投与量の化合物3若しくはその結晶形の後少なくとも4時間絶食するように求められる。水は、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形の投薬1時間前から1時間後を除き、(投薬と共に提供される240mLの水を例外として)適宜とることができる。
【0078】
いくつかの実施態様において、治療上有効な投与量の化合物1若しくはその結晶形;又は治療上有効な投与量の化合物3若しくはその結晶形は、絶食の間に服用される(例えば、10時間の一晩の絶食後の単一経口投与量の投与)。
一実施態様において、本発明は、治療上有効な投与量の化合物1若しくはその結晶形;又は治療上有効な投与量の化合物3若しくはその結晶形を含む経口剤形を包含する。別な実施態様において、本発明は、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を含む5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、150mg、又は200mg(そのそれぞれは遊離塩基等価強度である)経口剤形を包含する。一実施態様において、経口剤形は、1種以上の医薬として許容し得る担体(複数可)をさらに含む。
【0079】
一実施態様において、本発明は、それを必要とする対象における、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法に使用するための、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を包含する。一実施態様において、本発明は、それを必要とする対象における、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法に使用するための、治療上有効な投与量の化合物1若しくはその結晶形;又は治療上有効な投与量の化合物3若しくはその結晶形、及び1種以上の医薬として許容し得る担体(複数可)を含む医薬組成物を包含する。
【0080】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を有する対象における、2-HGの治療前若しくはベースラインレベル(例えば、患者における治療前-3日、若しくはIDH-2遺伝子変異疾患がない対象で測定されたレベル)を低下させ、骨髄及び/若しくは末梢血芽細胞の治療前若しくはベースラインレベル(例えば、患者における治療前-3日、若しくはIDH-2遺伝子変異疾患がない対象で測定されたレベル)を低下させ、並びに/又は好中球数の治療前若しくはベースラインレベル(例えば、患者における治療前-3日、若しくはIDH-2遺伝子変異疾患がない対象で測定されたレベル)を増加させる方法であって、該対象に、(a)化合物1若しくはその結晶形;若しくは化合物3若しくはその結晶形を、少なくとも約30mg (遊離塩基等価強度)の投与量で、1日1回若しくは1日2回(例えば、遊離塩基化合物3に等価な約30mg〜約300mgの量で(例えば、約30mg〜約200mg、1日1回若しくは1日2回;若しくは約30mg〜約150mg、1日1回若しくは1日2回)、又は(b)少なくとも約30mg(遊離塩基等価強度)の投与量(例えば、遊離塩基化合物3に等価な約30mg〜約300mgの量で(例えば、約30mg〜約200mg、1日1回若しくは1日2回;若しくは約30mg〜約150mg、1日1回若しくは1日2回)の化合物1若しくはその結晶形;若しくは化合物3若しくはその結晶形、及び1種以上の医薬として許容し得る担体(複数可)を含む医薬組成物を投与することを含む方法も提供される。
【0081】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を有する対象における、骨髄及び/又は末梢血芽細胞の治療前又はベースラインレベル(例えば、患者における治療前-3日、若しくはIDH-2遺伝子変異疾患がない対象で測定されたレベル)を(例えば、少なくとも50%)低下させる方法であって:
該対象における骨髄及び/又は末梢血芽細胞の治療前又はベースラインレベルの知識を得ること(例えば、治療前又はベースラインレベルを測定すること);
該対象に、(a)少なくとも約30mg(遊離塩基等価強度)の投与量(例えば、遊離塩基化合物3に等価な約30mg〜約300mgの量(例えば、約30mg〜約200mg、1日1回若しくは1日2回;若しくは約30mg〜約150mg、1日1回若しくは1日2回)の化合物1若しくはその結晶形;若しくは化合物3若しくはその結晶形、又は(b)少なくとも約30mg(遊離塩基等価強度)の投与量(例えば、遊離塩基化合物3に等価な約30mg〜約300mgの量(例えば、約30mg〜約200mg、1日1回若しくは1日2回;若しくは約30mg〜約150mg、1日1回若しくは1日2回)の化合物1若しくはその結晶形;若しくは化合物3若しくはその結晶形、及び1種以上の医薬として許容し得る担体(複数可)を含む医薬組成物を投与すること;
該対象における骨髄及び/又は末梢血芽細胞の治療後レベルの知識を得ること(例えば、治療後レベルを測定すること);
該対象における骨髄及び/又は末梢血芽細胞の治療後レベルを、治療前又はベースラインレベルと比較すること;並びに
骨髄及び/又は末梢血芽細胞のレベルが(例えば、少なくとも50%)低下することを確定すること
を含む方法も提供される。
【0082】
いくつかの実施態様において、該方法は、骨髄及び/又は末梢血芽細胞のレベルを、治療前又はベースラインレベル(例えば、患者における治療前-3日、又はIDH-2遺伝子変異疾患がない対象で測定されたレベル)に比べて、少なくとも50%(例えば、50%、50.5%、51%、51.5%、52%、52.5%、53%、53.5%、54%、又は54.5%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%)低下させることを含む。いくつかの実施態様において、該方法は、骨髄及び/又は末梢血芽細胞のレベルを、治療前又はベースラインレベルに比べて、全骨髄細胞の5%未満(例えば、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.25%、2.5%、2.75%、3%、3.25%、3.5%、3.75%、4%、4.25%、4.5%、4.75%、又は5%)に低下させることを含む。
【0083】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を有する対象における好中球数の治療前又はベースラインレベル(例えば、患者における治療前-3日、又はIDH-2遺伝子変異疾患がない対象で測定されたレベル)を(例えば、少なくとも1.0×109/L)に増加させる方法であって:
該対象における好中球数の治療前又はベースラインレベルの知識を得ること(例えば、治療前又はベースラインレベルを測定すること);
該対象に、(a)少なくとも約30mg(遊離塩基等価強度)の投与量(例えば、遊離塩基化合物3に等価な約30mg〜約300mgの量(例えば、約30mg〜約200mg、1日1回若しくは1日2回;若しくは約30mg〜約150mg、1日1回若しくは1日2回)の化合物1若しくはその結晶形;若しくは化合物3若しくはその結晶形、又は(b)少なくとも約30mg(遊離塩基等価強度)の投与量(例えば、遊離塩基化合物3に等価な約30mg〜約300mgの量(例えば、約30mg〜約200mg、1日1回若しくは1日2回;若しくは約30mg〜約150mg、1日1回若しくは1日2回)の化合物1若しくはその結晶形;若しくは化合物3若しくはその結晶形、及び1種以上の医薬として許容し得る担体(複数可)を含む医薬組成物を投与すること;
該対象における好中球数の治療後レベルの知識を得ること(例えば、治療後レベルを測定すること);
該対象における好中球数の治療後レベルを、治療前又はベースラインレベルと比較すること;並びに
好中球数のレベルが(例えば、少なくとも1.0×109/Lに)増加することを確定すること
を含む方法も提供される。
【0084】
いくつかの実施態様において、該方法は、対象における好中球数を、少なくとも1.0×109/L(例えば、1.0×109/L、1.5×109/L、2.0×109/L、2.5×109/L、3.0×109/L、3.5×109/L、4.0×109/L、4.5×109/L、5.0×109/L、5.5×109/L、6.0×109/L、6.5×109/L、7.0×109/L、又は7.5×109/L)に増加させることを含む。いくつかの実施態様において、該方法は、対象における好中球数を、少なくとも0.5×109/L(例えば、0.5×109/L、0.6×109/L、0.7×109/L、0.8×109/L、0.9×109/L、又は1.0×109/L)に増加させることを含む。
【0085】
一実施態様において、変異型IDH2阻害剤はポリペプチドである。一実施態様において、該ポリペプチドは、変異型酵素の新規活性に関して優性阻害型として作用する。該ポリペプチドは、完全長IDH2又はその断片に相当し得る。該ポリペプチドは、野生型IDH2の対応する残基と同一である必要はないが、実施態様において、野生型IDH2との少なくとも60、70、80、90、又は95%の相同性を有する。
【0086】
一実施態様において、変異型IDH2阻害剤は、例えば、該変異型酵素への結合に競合することにより、IDH2新規活性変異型タンパク質の、NADH、NADPH、若しくは二価金属イオン、例えば、Mg2+若しくはMn2+に対する親和性を減少させるか、又はNADH、NADPH、若しくは二価金属イオン、例えば、Mg2+若しくはMn2+のレベル若しくは利用可能性を減少させる。一実施態様において、該酵素は、Mg2+又はMn2+をCa2+に替えることにより阻害される。
【0087】
一実施態様において、変異型IDH2阻害剤は、IDH2の新規活性、例えば、2-HG新規活性のレベルを低下させる。
一実施態様において、変異型IDH2阻害剤は、IDH2変異体の新規活性を有する変異体の産物のレベルを低下させ、例えば、それは2-HG、例えば、R-2-HGのレベルを低下させる。
一実施態様において、変異型IDH2阻害剤は、変異型IDH2タンパク質と直接相互作用、例えば、結合するか、変異型IDH2 mRNAと直接相互作用、例えば、結合するかのいずれかである。
【0088】
一実施態様において、変異型IDH2阻害剤は、変異型IDH2タンパク質と直接相互作用し、例えば、それは変異型IDH2タンパク質に結合する。
一実施態様において、変異型IDH2阻害剤は、変異型IDH2 mRNAと直接相互作用し、例えば、それは変異型IDH2 mRNAに結合する。
一実施態様において、変異型IDH2阻害剤は、例えば、変異型IDH2タンパク質と相互作用し、例えば、変異型IDH2タンパク質に結合することにより、新規活性酵素活性の量を減少させる。
一実施態様において、変異型IDH2阻害剤は、小分子、例えば、化合物1であり、変異型RNA、例えば、変異型IDH2 mRNAと相互作用し、例えば、変異型RNA、例えば、変異型IDH2 mRNAに結合する。
【0089】
いくつかの実施態様において、変異型IDH2阻害剤は、1つ以上の同位体置換も含み得る。例えば、Hは、1H、2H(D又は重水素)、及び3H(T又はトリチウム)を含む任意の同位体形態でよく;Cは、11C、12C、13C、及び14Cを含む任意の同位体形態でよく;Nは、13N、14N、及び15Nを含む任意の同位体形態でよく;Oは、15O、16O、及び18Oを含む任意の同位体形態でよく;Fは、18Fを含む任意の同位体形態でよい;などである。例えば、化合物は、H、C、N、O、及び/又はFの特定の同位体の形態で、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%富化されている。例えば、化合物1又は化合物3に対する同位体の置換は、化合物1又は2の1つ以上の水素原子での重水素置換された化合物1又は2を含み得る。化合物1又は化合物3に対する同位体の置換は、2-メチル-1-[(4-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-6-{[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル-4-14C)アミノ]プロパン-2-オール;1-((4-(6-(ジフルオロ(フルオロ-18F)メチル)ピリジン-2-イル)-6-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)-2-メチルプロパン-2-オール、1-((4-((2-(ジフルオロ(フルオロ-18F)メチル)ピリジン-4-イル)アミノ)-6-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)-2-メチルプロパン-2-オール、2-(((4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-6-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)メチル)プロパン-1,1,1,3,3,3-d6-2-オール;2-メチル-1-((4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-6-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパン-1,1-d2-2-オール、又はその医薬として許容し得る塩(例えば、2-メチル-1-[(4-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-6-{[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル-4-14C)アミノ]プロパン-2-オールメタンスルホナート;1-((4-(6-(ジフルオロ(フルオロ-18F)メチル)ピリジン-2-イル)-6-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)-2-メチルプロパン-2-オールメタンスルホナート、1-((4-((2-(ジフルオロ(フルオロ-18F)メチル)ピリジン-4-イル)アミノ)-6-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)-2-メチルプロパン-2-オール)メタンスルホナート、2-(((4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-6-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)メチル)プロパン-1,1,1,3,3,3-d6-2-オールメタンスルホナート;2-メチル-1-((4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-6-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパン-1,1-d2-2-オールメタンスルホナート)を含み得る。
【0090】
これらの治療方法及び医薬組成物は、以下に与えられる詳細な説明及び説明的な例によりさらに説明される。
【0091】
(組成物及び投与経路)
本明細書に記載される方法に利用される変異型IDH2阻害剤、例えば、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、対象への投与の前に、1種以上の医薬として許容し得る担体(複数可)又は補助剤(複数可)と共に、医薬として許容し得る組成物に製剤できる。
用語「医薬として許容し得る担体又は補助剤」は、本明細書に記載される化合物と共に対象に投与でき、その薬理活性を損なわず、治療量の該化合物を送達するのに充分な投与量で投与される場合に非毒性である担体又は補助剤を指す。
【0092】
いくつかの実施態様において、医薬組成物に使用できる医薬として許容し得る担体、補助剤、及びビヒクルには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化型薬物送達系(SEDDS)、例えば、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、医薬剤形において使用される界面活性剤、例えば、Tween又は他の類似のポリマー送達マトリックス、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂があるが、これらに限定されない。α-、β-、及びγ-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン、又は2-及び3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリンなどの化学修飾誘導体、又は他の可溶化誘導体もまた、本明細書に記載される式の化合物の送達を向上させるために有利に使用することができる。
【0093】
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、経口、非経口、吸入スプレーにより、局所、経直腸、経鼻、頬側、経膣、又は埋込型リザーバーにより投与することができ、好ましくは経口投与又は注射による投与で投与される。本発明の一態様の医薬組成物は、任意の従来の非毒性の医薬として許容し得る担体、補助剤、又はビヒクルを含有してもよい。場合によって、製剤化された化合物又はその送達形態の安定性を向上させるために、製剤のpHが、医薬として許容し得る酸、塩基、又は緩衝剤で調節され得る。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内、及び頭蓋内の注射又は注入技法を含む。
【0094】
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、滅菌注射用調製物の形態で、例えば、滅菌注射用水性又は油性懸濁剤としての形態であってもよい。この懸濁剤は、当技術分野で公知の技法に従って、好適な分散剤又は湿潤剤(例えば、Tween80など)及び懸濁化剤を使用して製剤化され得る。滅菌注射用調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオール中溶液などの、非毒性の非経口用として許容し得る希釈剤又は溶媒中の滅菌注射液剤又は懸濁剤であってもよい。使用可能な許容し得るビヒクル及び溶媒には、マンニトール、水、リンゲル液、及び等張食塩水がある。さらに、溶媒又は懸濁化媒体として、滅菌不揮発性油が従来使用されている。この目的のために、合成モノ-又はジ-グリセリドを含む任意の低刺激性の不揮発性油を使用することができる。オレイン酸などの脂肪酸及びそのグリセリド誘導体は、オリーブ油又はヒマシ油などの天然の医薬として許容し得る油、特にそれらのポリオキシエチル化された形態と同様に、注射製剤の製造において有用である。これらの油性液剤又は懸濁剤はまた、長鎖アルコール希釈剤若しくは分散剤、又は乳剤及び/若しくは懸濁剤などの医薬として許容し得る剤形の製剤化において一般に使用されるカルボキシメチルセルロース若しくは類似の分散剤を含有してもよい。Tween若しくはSpanなどの他の一般に使用される界面活性剤、及び/又は医薬として許容し得る固体、液体、若しくは他の剤形の製造に一般に使用される他の類似の乳化剤若しくはバイオアベイラビリティ向上剤もまた、製剤化の目的で使用することができる。
【0095】
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、乳剤、並びに水性の懸濁剤、分散剤、及び液剤を含むがこれらに限定されない、経口的に許容し得る任意の剤形で経口投与され得る。経口で使用する錠剤の場合、一般に使用される担体には、ラクトース及びコーンスターチがある。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も典型的に添加される。カプセル形態での経口投与の場合、有用な希釈剤には、ラクトース及び乾燥コーンスターチがある。水性懸濁剤及び/又は乳剤が経口投与される場合、有効成分は、乳化剤及び/又は懸濁化剤と組み合わせた油相中に懸濁又は溶解され得る。所望の場合、特定の甘味料及び/又は香味料及び/又は着色剤が添加されてもよい。
【0096】
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、直腸投与用の坐剤の形態で投与されてもよい。これらの組成物は、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を、室温では固体であるが直腸内温度では液体であり、したがって直腸内で融解して活性成分を放出する好適な非刺激性賦形剤と混合することにより調製することができる。そのような材料には、ココアバター、蜜蝋、及びポリエチレングリコールがあるが、これらに限定されない。
【0097】
いくつかの実施態様において、医薬組成物の局所投与は、所望の治療が局所適用により容易に到達できる領域又は器官に関連する場合に有用である。皮膚に局所適用するためには、医薬組成物は、担体中に懸濁又は溶解した活性成分を含有する好適な軟膏と共に製剤化されるべきである。化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形の局所投与のための担体には、鉱物油、液化石油(liquid petroleum)、白色油(white petroleum)、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、及び水があるが、これらに限定されない。或いは、医薬組成物は、好適な乳化剤と共に担体中に懸濁又は溶解した活性化合物を含有する好適なローション又はクリームと共に製剤化され得る。好適な担体には、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び水があるが、これらに限定されない。本発明の一態様の医薬組成物は、直腸坐薬製剤又は好適な浣腸用製剤により、下部消化管にも局所適用され得る。局所的経皮パッチも、本発明の一態様に含まれる。
【0098】
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、鼻エアロゾル又は吸入により投与され得る。そのような組成物は、医薬製剤の分野において周知の技法に従って調製され、ベンジルアルコール若しくは他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/又は当技術分野において公知である他の可溶化剤若しくは分散剤を使用して、食塩水中の溶液として調製され得る。
【0099】
本明細書に記載される方法に利用される変異型IDH2阻害剤、例えば、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、例えば、注射により、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、若しくは皮下に;又は経口、頬側、経鼻、経粘膜、局所、眼科用調製物として、若しくは吸入により、約0.5mg/体重kg〜約100mg/体重kgの範囲の用量で、或いは1mg〜1000mg/投薬の間の用量で、4時間〜120時間毎、又は特定の薬物の要件に従い、投与され得る。本明細書の方法は、所望の効果又は述べられた効果を達成するために、有効量の化合物又は化合物組成物を投与することを企図する。典型的には、医薬組成物は、1日あたり約1回〜約6回、或いは持続注入として投与され得る。そのような投与は、長期治療又は急性期治療として使用され得る。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、治療される宿主及び特定の投与形態により様々である。典型的な調製物は、約5%〜約95%の活性化合物(重量比)を含有する。或いは、そのような調製物は、約20%〜約80%の活性化合物を含有する。
【0100】
対象は、実施例5に記載の通り、投与量の変異型IDH2阻害剤、例えば、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を投与され得る。先に列挙したものより低い投与量又は高い投与量が必要となり得る。どの特定の対象に対する具体的用量及び治療計画も、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食生活、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、疾患、病態、又は症状の重症度及び経過、疾患、病態、又は症状に対する対象の素因、並びに治療を行う医者の判断を含む、様々な因子に依存する。
【0101】
対象の病態が改善すると、本発明の一態様の化合物、組成物、結晶形、又は組み合わせの維持量が、必要に応じて投与されてもよい。その後、投与の用量若しくは頻度、又はその両方が、症状の関数として、症状が所望のレベルまで軽減された時に改善された状態が維持されるレベルに低減されてもよい。しかし、対象は、疾患症状の再発時には、長期的に断続的治療を必要とし得る。
【0102】
本発明のいくつかの実施態様は、少なくとも1種の医薬として許容し得る担体;及び変異型IDH2阻害剤を含む錠剤を対象とする。
本発明のいくつかの実施態様は、少なくとも1種の医薬として許容し得る担体;及び化合物1を含む錠剤を対象とする。本発明のいくつかの実施態様は、少なくとも1種の医薬として許容し得る担体;及び化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を含む錠剤を対象とする。
【0103】
本発明のいくつかの実施態様は、少なくとも1種の医薬として許容し得る担体又は希釈剤;及び化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形を含む錠剤を対象とする。他の実施態様において、化合物1又は化合物3の結晶形は、少なくとも90重量%特定の結晶形であり;該特定の結晶形は本明細書に記載される形態である。他の実施態様において、化合物1又は化合物3の結晶形は、少なくとも95重量%特定の結晶形であり;該特定の結晶形は本明細書に記載される形態である。
【0104】
(使用方法)
IDH2変異体(例えば、IDH2 R140Q及びIDH2 R172K)に対する、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形の阻害活性は、引用により本明細書に全体として組み込まれるPCT国際公開第2013/102431号及び米国特許公開第2013/0190287号の実施例12に記載の方法又は類似の方法により試験できる。
【0105】
変異型IDH2活性を阻害する方法であって、それを必要とする対象を変異型IDH2阻害剤と接触させることを含む方法が提供される。一実施態様において、変異型IDH2活性を阻害する方法は、それを必要とする対象を化合物1と接触させることを含む。一実施態様において、治療すべき急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの本明細書に記載される進行性血液系悪性腫瘍は、IDH2の変異対立遺伝子を特徴とするが、該IDH2変異は、患者におけるα-ケトグルタル酸のR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸へのNADPH依存性還元を触媒する該酵素の新たな能力をもたらす。この実施態様の一態様において、変異型IDH2はR140X変異を有する。この実施態様の別な態様において、R140X変異はR140Q変異である。この実施態様の別な態様において、R140X変異はR140W変異である。この実施態様の別な態様において、R140X変異はR140L変異である。この実施態様の別な態様において、変異型IDH2はR172X変異を有する。この実施態様の別な態様において、R172X変異はR172K変異である。この実施態様の別な態様において、R172X変異はR172G変異である。
【0106】
別な実施態様において、変異型IDH2活性を阻害する方法は、それを必要とする対象を、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形と接触させることを含む。一実施態様において、治療すべき急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの本明細書に記載される進行性血液系悪性腫瘍は、IDH2の変異対立遺伝子を特徴とするが、該IDH2変異は、患者におけるα-ケトグルタル酸のR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸へのNADPH依存性還元を触媒する該酵素の新たな能力をもたらす。この実施態様の一態様において、変異型IDH2はR140X変異を有する。この実施態様の別な態様において、R140X変異はR140Q変異である。この実施態様の別な態様において、R140X変異はR140W変異である。この実施態様の別な態様において、R140X変異はR140L変異である。この実施態様の別な態様において、変異型IDH2はR172X変異を有する。この実施態様の別な態様において、R172X変異はR172K変異である。この実施態様の別な態様において、R172X変異はR172G変異である。それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍は、細胞試料の配列を決定して、IDH2のアミノ酸140及び/又は172での変異(例えば、そこに存在する変化したアミノ酸)の存在及び具体的な性質を決定することにより分析できる。
【0107】
一実施態様において、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍の治療の有効性は、対象における2HGのレベルを測定することによりモニタリングされる。典型的には、2HGのレベルは治療の前に測定され、上昇したレベルは、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄形成異常症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍の治療のための、化合物1の使用を示す。
【0108】
一実施態様において、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍の治療の有効性は、対象における2-HGのレベルを測定することによりモニタリングされる。典型的には、2-HGのレベルは治療前に測定され、上昇したレベルは、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍の治療のための、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形の使用を示す。上昇したレベルが確立されたら、治療の経過中及び/又はその停止後に2-HGのレベルが測定されて、有効性が確立される。特定の実施態様において、2-HGのレベルは、治療の経過中及び/又はその停止後にのみ測定される。治療の経過中及び治療の後の2-HGレベルの低下は有効性を示している。同様に、治療の経過中又は治療の後に2-HGレベルが上昇しないという確定も有効性を示している。典型的には、これらの2-HG測定値は、腫瘍の数及びサイズ並びに/又は他の癌関連病変の減少、骨髄生検及び/又は穿刺液の評価、全血球算定、末梢血液塗抹標本の評価、対象の全体的な健康の改善、並びに癌治療の有効性に関連した他のバイオマーカーの変化などの、癌治療の有効性の他の周知の測定法と一緒に利用される。
【0109】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を有する対象における2-HGの治療前又はベースラインレベル(例えば、患者における治療前-3日、又はIDH-2遺伝子変異疾患がない対象で測定されたレベル)と比べて、2-HGを(例えば、少なくとも50%)阻害する方法であって:
該対象における2-HGの治療前又はベースラインレベルの知識を得ること(例えば、治療前又はベースラインレベルを測定すること);
該対象に、(a)少なくとも約30mg(遊離塩基等価強度)の投与量(例えば、遊離塩基化合物3に等価な約30mg〜約300mgの量)の化合物1若しくはその結晶形;若しくは化合物3若しくはその結晶形、又は(b)少なくとも約30mg(遊離塩基等価強度)の投与量(例えば、遊離塩基化合物3に等価な約30mg〜約300mgの量)の化合物1若しくはその結晶形;若しくは化合物3若しくはその結晶形、及び1種以上の医薬として許容し得る担体(複数可)を含む医薬組成物を投与すること;
該対象における2-HGの治療後レベルの知識を得ること(例えば、治療後レベルを測定すること);
該対象における2-HGの治療後レベルを、治療前又はベースラインレベルと比較すること;並びに
2-HGのレベルが(例えば、少なくとも50%)阻害されることを確定すること
を含む方法も提供される。
【0110】
いくつかの実施態様において、該方法は、IDH2 R140Q変異を有するか、又は有すると確定された患者において、治療前又はベースラインレベル(例えば、患者における治療前-3日、又はIDH-2遺伝子変異疾患がない対象で測定されたレベル)に比べて、2-HGを少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%)阻害することを含む。いくつかの実施態様において、該方法は、IDH2 R172K変異を有するか、又は有すると確定された患者において、治療前又はベースラインレベル(例えば、患者における治療前-3日、又はIDH-2遺伝子変異疾患がない対象で測定されたレベル)に比べて、2-HGを、最高60%(例えば、最大50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%の2-HGのレベルの低下)阻害することを含む。いくつかの実施態様において、対象における2-HGレベルの測定は、分光学的な分析、例えば、磁気共鳴に基づく分析、例えば、MRI及び/又はMRS測定、血液、血漿、尿、骨髄、若しくは脊髄液分析などの体液の試料分析、又は外科用材料の分析、例えば、質量分光法(例えば、LC-MS、GC-MS)により達成され得る。
【0111】
2-HGは、引用により本明細書に全体として組み込まれるPCT国際公開第2013/102431号及び米国特許公開第2013/0190287号の方法又は類似の方法により、試料中に検出できる。
一実施態様において、2-HGは直接評価される。
【0112】
別の実施態様において、分析方法を実施するプロセスにおいて形成された2-HGの誘導体が評価される。例として、そのような誘導体は、MS分析において形成された誘導体であり得る。誘導体は、例えば、MS分析において形成されるような、塩付加体、例えば、Na付加体、水和変異体、又は塩付加体、例えば、Na付加体でもある水和変異体を含み得る。
【0113】
別の実施態様において、2-HGの代謝誘導体が評価される。例としては、2-HG、例えばR-2-HGに相関するグルタル酸又はグルタミン酸などの、2-HGが存在する結果として蓄積若しくは増加するか、又は減少する種が挙げられる。
例示的な2-HG誘導体としては、以下に示される化合物又はその塩付加体などの脱水誘導体が挙げられる。
【化1】
【0114】
一実施態様において、それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍は、診断又は治療の時点で、腫瘍細胞の少なくとも30、40、50、60、70、80、又は90%が、IDH2変異、特に、IDH2 R140Q、R140W、若しくはR140L、及び/又はR172K若しくはR172G変異を有する腫瘍である。
【0115】
いくつかの実施態様において、対象は、診断又は治療の時点で、IDH2遺伝子変異疾患(例えば、R140Q変異又はR172K変異)を有するか、又は有することが確定されている。いくつかの実施態様において、該対象は、診断又は治療の時点で、FLT3-ITD(Fms関連チロシンキナーゼ3(FLT3)遺伝子内縦列重複(ITD))、CEPBA(CCAAT/エンハンサー結合タンパク質α)、NPM1(ヌクレオフォスミン(核(neucleolar)リンタンパク質B23))、及びDNMT3A(DNA(シトシン-5-)メチルトランスフェラーゼ3α、ASXL1:追加的性櫛様1(additional sex combs like 1)から選択される変異も有するか、又は有すると確定されている。
【0116】
いくつかの実施態様において、対象は、治療の前に、正常な細胞遺伝学的性質を有する。いくつかの他の実施態様において、対象は、治療前に、異常又は不都合な細胞遺伝学的性質を有し、例えば、モノソミー7(又は染色体7の長腕部の部分的欠失(7q-))、トリソミー8、トリソミー11、転座t(17;18)、又は転座t(1;13)の1つ以上を有する。表8は、細胞遺伝学分類を説明する(IPSS及び新たな5群分類)。
【0117】
一実施態様において、治療すべき進行性血液系悪性腫瘍はAMLである。いくつかの実施態様において、AMLは、再発性及び/又は原発性難治性である。他の実施態様において、AMLは未治療である。いくつかの実施態様において、AMLは、60歳以上の患者において再発性及び/又は原発性難治性である。いくつかの実施態様において、AMLは、60歳以上の患者において未治療である。いくつかの実施態様において、AMLは、60歳未満の患者において再発性及び/又は原発性難治性である。一実施態様において、化合物1は、AMLの第一選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1は、AMLの第二選択治療、第三選択治療、又は第四選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、AMLの第一選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、AMLの第二選択治療、第三選択治療、又は第四選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、最初の再発の後に投与される。一実施態様において、化合物1は、初回寛解導入不能の後に投与される。一実施態様において、化合物1は、再寛解導入不能の後に投与される。一実施態様において、化合物1の投与は、移植の前、その間、又はその後に起こり得る。一実施態様において、化合物1は、移植後の再発の後に投与される。一実施態様において、AML出現は、MPDに引き続いて起こる。一実施態様において、AML出現は、MDS及びCMMLに引き続いて起こる。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、初回寛解導入不能の後に投与される。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、再寛解導入不能の後に投与される。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形の投与は、移植の前、その間、又はその後に起こり得る。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、移植後の再発の後に投与される。一実施態様において、再発及びその後の再寛解導入不能の後に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は投与される。一実施態様において、再発(移植後の)及びその後の再寛解導入不能の後に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は投与される。一実施態様において、AML出現はMPDに引き続いて起こり、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、初回寛解導入不能の後に投与される。一実施態様において、初回寛解導入不能及びその後の再発(移植後の)の後に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は投与される。一実施態様において、AML出現は、MDS及びCMMLに引き続いて起こり、初回寛解導入不能及びその後の再寛解導入不能の後に、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は投与される。
【0118】
別な実施態様において、治療すべき進行性血液系悪性腫瘍は、過剰芽細胞を伴う不応性貧血(サブタイプRAEB-1又はRAEB-2)を伴うMDSである。他の実施態様において、MDSは未治療である。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、MDSの第一選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、MDSの第二選択治療、第三選択治療、又は第四選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1は、MDSの第一選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1は、MDSの第二選択治療、第三選択治療、又は第四選択治療として投与される。一実施態様において、MDS出現はAMLに引き続いて起こる。一実施態様において、MDS出現はAMLに引き続いて起こり、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、MDSの第一選択治療として投与される。
【0119】
別な実施態様において、治療すべき進行性血液系悪性腫瘍は、再発性及び/又は原発性難治性CMMLである。一実施態様において、化合物1は、CMMLの第一選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1は、CMMLの第二選択治療、第三選択治療、又は第四選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、CMMLの第一選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、CMMLの第二選択治療、第三選択治療、又は第四選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、第二の再発後に投与される。
【0120】
別な実施態様において、治療すべき進行性血液系悪性腫瘍は、リンパ腫(例えば、B細胞リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆B-リンパ芽球性リンパ腫、及びマントル細胞リンパ腫)並びにT細胞リンパ腫(例えば、菌状息肉腫、未分化大細胞型リンパ腫、及び前駆Tリンパ芽球性リンパ腫などの非ホジキンリンパ腫(NHL))である。
【0121】
別な実施態様において、治療すべき進行性血液系悪性腫瘍は、再発性及び/又は原発性難治性の骨髄性肉腫である。他の実施態様において、骨髄性肉腫は未治療である。一実施態様において、化合物1は、骨髄性肉腫の第一選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1は、骨髄性肉腫の第二選択治療、第三選択治療、又は第四選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、骨髄性肉腫の第一選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、骨髄性肉腫の第二選択治療、第三選択治療、又は第四選択治療として投与される。一実施態様において、骨髄性肉腫はAMLと同時に現れる。一実施態様において、骨髄性肉腫は、AMLの再発時に現れる。
【0122】
別な実施態様において、治療すべき進行性血液系悪性腫瘍は、再発性及び/又は原発性難治性の多発性骨髄腫である。他の実施態様において、多発性骨髄腫は未治療である。一実施態様において、化合物1は、多発性骨髄腫の第一選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1は、多発性骨髄腫の第二選択治療、第三選択治療、又は第四選択治療として投与される。他の実施態様において、多発性骨髄腫は未治療である。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、多発性骨髄腫の第一選択治療として投与される。一実施態様において、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形は、多発性骨髄腫の第二選択治療、第三選択治療、又は第四選択治療として投与される。
【0123】
本明細書に記載される治療方法は、変異型IDH2阻害剤、例えば、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形による治療の前及び/又は後に、種々の評価工程をさらに含み得る。
一実施態様において、変異型IDH2阻害剤、例えば、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形による治療の前及び/又は後に、該方法は、進行性血液系悪性腫瘍の成長、サイズ、重量、侵襲性、ステージ及び/又は他の表現型を評価する工程をさらに含む。
【0124】
一実施態様において、変異型IDH2阻害剤、例えば、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形による治療の前及び/又は後に、該方法は、癌のIDH2遺伝子型を評価する工程をさらに含む。これは、DNA配列決定、免疫分析、及び/又は2-HGの存在、分布、若しくはレベルの評価などの、当技術分野における通常の方法により達成され得る。
【0125】
一実施態様において、変異型IDH2阻害剤、例えば、化合物1若しくはその結晶形;又は化合物3若しくはその結晶形による治療の前及び/又は後に、該方法は、対象における2-HGレベルを決定する工程をさらに含む。これは、分光学的分析、例えば、磁気共鳴に基づく分析、例えば、MRI及び/若しくはMRS測定、血液、血漿、尿、骨髄、若しくは脊髄液分析などの体液の試料分析、又は外科用材料の分析、例えば、質量分析(例えば、LC-MS、GC-MS)により達成され得る。
【0126】
(結晶形)
化合物1の結晶形が提供される。2-メチル-1-[(4-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-6-{[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]プロパン-2-オール(化合物3)の結晶形も提供される。
一実施態様において、化合物1は、単結晶形、又は本明細書に記載される単結晶形のいずれか1つである。少なくとも1種の医薬として許容し得る担体又は希釈剤;及び、単結晶形、又は本明細書に記載される結晶形のいずれか1つである化合物1を含む医薬組成物も提供される。医薬組成物を製造するための、単結晶形、又は本明細書に記載される単結晶形のいずれか1つである化合物1の使用も提供される。
【0127】
一実施態様において、化合物3は、単結晶形、又は本明細書に記載される単結晶形のいずれか1つである。少なくとも1種の医薬として許容し得る担体又は希釈剤;及び、単結晶形、又は本明細書に記載される結晶形のいずれか1つである化合物3を含む医薬組成物も提供される。医薬組成物を製造するための、単結晶形、又は本明細書に記載される単結晶形のいずれか1つである化合物3の使用も提供される。
【0128】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫若しくはB細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、(a)化合物1若しくは化合物3の単結晶形、又は(b)(a)及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物を投与する工程を含む方法も提供される。一実施態様において、(a)における単結晶形は、純度90%と100%の間の任意のパーセンテージである。
【0129】
それぞれIDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、(a)化合物1若しくは化合物3の単結晶形、又は(b)(a)及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物を投与する工程を含む方法も提供される。一実施態様において、(a)における単結晶形は、純度90%と100%の間の任意のパーセンテージである。
【0130】
化合物1及び化合物3の結晶形を説明する特性化情報の組み合わせも本明細書に提供される。しかし、そのような情報全てが、そのような特定の形態が所与の組成物に存在することを当業者が確認するために必要であるわけでなく、特定の形態の決定は、当業者が特定の形態の存在を証明するために十分であると認識するだろう該特性化情報のいずれの部分を利用しても達成でき、例えば、1つの特徴的なピークですら、そのような特定の形態が存在すると当業者が認識するのに充分になり得ることが理解されるべきである。
【0131】
化合物1の結晶形は、大規模な医薬製剤の製造に好適な物性を有する。本明細書に記載される化合物1の結晶形の多くは、高い結晶性、高い融点、及び限定された吸蔵又は溶媒和される溶媒を示す。化合物1の結晶形は、化合物1の非晶質形に比べて、向上したバイオアベイラビリティを有する。特に、形態3は、非吸湿性であり、40%までの相対湿度で、室温で、少なくとも3か月、安定性の利点(例えば、熱力学的、化学的、又は物理的安定性)を示す。
【0132】
一実施態様において、化合物3の少なくとも特定の重量パーセンテージは結晶性である。特定の重量パーセンテージは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、又は10%と100%の間の任意のパーセンテージであり得る。化合物3の特定の重量パーセンテージが結晶性である場合、化合物3の残りは、化合物3の非晶質形である。結晶性の化合物3の非限定的な例には、化合物3の単結晶形又は異なる単結晶形の混合物がある。いくつかの実施態様において、化合物3は、少なくとも90重量%結晶性である。いくつかの他の実施態様において、化合物3は、少なくとも95重量%結晶性である。
【0133】
別な実施態様において、結晶性化合物3の特定の重量パーセンテージは、特定の単結晶形又は単結晶形の組み合わせである。特定の重量パーセンテージは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、又は10%と100%の間の任意のパーセンテージであり得る。別な実施態様において、化合物3は、少なくとも90重量%単結晶形である。別な実施態様において、化合物3は、少なくとも95重量%単結晶形である。
【0134】
一実施態様において、少なくとも特定の重量パーセンテージの化合物1は結晶性である。特定の重量パーセンテージは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、又は10%と100%の間の任意のパーセンテージであり得る。特定の重量パーセンテージの化合物1が結晶性である場合、化合物1の残りは、化合物1の非晶質形である。結晶性化合物1の非限定的な例には、化合物1の単結晶形又は異なる単結晶形の混合物がある。いくつかの実施態様において、化合物1は、少なくとも90重量%結晶性である。いくつかの他の実施態様において、化合物1は、少なくとも95重量%結晶性である。
【0135】
別な実施態様において、特定の重量パーセンテージの結晶性化合物1は、特定の単結晶形又は単結晶形の組み合わせである。特定の重量パーセンテージは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、又は10%と100%の間の任意のパーセンテージであり得る。別な実施態様において、化合物1は、少なくとも90重量%単結晶形である。別な実施態様において、化合物1は、少なくとも95重量%単結晶形である。
【0136】
化合物3の以下の説明において、本発明の実施態様は、本明細書で議論される1つ以上の性質により特徴づけられた、化合物3の特定の結晶形に関して記載され得る。結晶形を特徴づける説明は、結晶性化合物3に存在し得る異なる結晶形の混合物を記載するためにも使用され得る。しかし、化合物3の特定の結晶形は、特定の結晶形を参考にすることに関連してもしなくても、本明細書に記載される結晶形の特徴の1つ以上により特性することもできる。
【0137】
化合物1の以下の説明において、本発明の実施態様は、本明細書で議論される1つ以上の性質により特徴づけられた、化合物1の特定の結晶形に関して記載され得る。結晶形を特徴づける説明は、結晶性化合物1に存在し得る異なる結晶形の混合物を記載するためにも使用され得る。しかし、化合物1の特定の結晶形は、特定の結晶形を参考にすることに関連してもしなくても、本明細書に記載される結晶形の特徴の1つ以上により特性することもできる。
【0138】
結晶形は、以下に与えられる詳細な説明及び説明的な例によりさらに説明される。表1Aから19Aに記載されるXRPDピークは、データを得るのに使用した装置によって、±0.2°変動し得る。表1Aから19Aに記載されるXRPDピークの強度は10%変動し得る。
【0139】
(形態1)
一実施態様において、化合物3の単結晶形、形態1は、CuKα線を利用して得られた、図1に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表1に示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表1Aに示される通り、図1から得られた1つ以上のピークにより特性化できる。例えば、該多形体は、表1Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表1】
【0140】
別な実施態様において、形態1は、8.9、13.0、18.9、23.8、及び28.1°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。別な実施態様において、形態1は、8.9、18.9、及び24.8°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0141】
(形態2)
一実施態様において、化合物3の単結晶形、形態2は、CuKα線を利用して得られた、図2に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表2Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表2Aに示される通り、図2から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表2Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表2】
【0142】
別な実施態様において、形態2は、12.7、17.1、19.2、23.0、及び24.2°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。別な実施態様において、形態2は、12.7、19.2、及び24.2°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
別な実施態様において、形態2は、図3に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化(temperature rate change)を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、約91.0℃での融解を伴う約88.2℃のオンセット温度を有する強い吸熱転移を特徴とする。
【0143】
別な実施態様において、形態2は、図4に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約26.6℃から150.0℃に変化するのに伴う試料の重量の約9.9%の減少を表す。
【0144】
(形態3)
一実施態様において、化合物1の単結晶形、形態3は、CuKα線を利用して得られた、図5に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表3Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表3Aに示される通り、図5から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表3Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つ又は10個により特性化できる。
【表3】
【0145】
別な実施態様において、形態3は、7.5、9.3、14.5、18.8、21.3、及び24.8°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。さらなる実施態様において、形態3は、7.5、14.5、18.8、及び24.8°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。別な実施態様において、形態3は、7.5、14.5、及び24.8°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0146】
別な実施態様において、形態3は、図6に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、約213.4℃での融解を伴う約210.7℃のオンセット温度を有する強い吸熱転移を特徴とする。
【0147】
別な実施態様において、形態3は、図7に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約21℃から196℃に変化するのに伴う試料の重量の約0.03%の減少及び温度が約196℃から241℃に変化するのに伴う試料の重量の約7.5%の減少を表す。
【0148】
別な実施態様において、形態3は、図5に実質的に類似なX線粉末回折パターンにより特性化される。別な実施態様において、形態3は、図6に実質的に類似な示差走査熱量測定(DSC)プロファイルにより特性化される。別な実施態様において、形態3は、図7に実質的に類似な熱重量分析(TGA)プロファイルにより特性化される。さらなる実施態様において、形態3の単結晶形は、この段落に列記された特徴の1つ以上により特性化される。別な実施態様において、形態3は、図8に実質的に類似なDVSプロファイルにより特性化される。
【0149】
(形態4)
一実施態様において、化合物1の単結晶形、形態4は、CuKα線を利用して得られた、図9に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表4Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表4Aに示される通り、図9から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表4Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表4】
【0150】
別な実施態様において、形態4は、6.5、19.0、19.4、19.9、及び24.7°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。さらなる実施態様において、形態4は、6.5、19.4、及び19.9°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0151】
別な実施態様において、形態4は、図10に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、約85.5℃での融解を伴う約59.2℃のオンセット温度を有する弱い吸熱性転移、及び約209.1℃での融解を伴う約205.2℃のオンセット温度を有する強い吸熱性転移を特徴とする。
【0152】
別な実施態様において、形態4は、図10に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約44.8℃から140.0℃に変化するのに伴う試料の重量の約1.8%の減少を表す。
【0153】
(形態5)
一実施態様において、化合物1の単結晶形、形態5は、CuKα線を利用して得られた、図11に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表5に示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表5Aに示される通り、図11から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表5Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表5】
【0154】
一実施態様において、形態5は、7.1、14.5、17.1、及び21.8°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。さらなる実施態様において、形態5は、7.1及び21.8°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0155】
別な実施態様において、形態5は、図12に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、約77.5℃での融解を伴う約50.1℃のオンセット温度を有する弱い吸熱性転移、及び約208.2℃での融解を伴う約203.1℃のオンセット温度を有する強い吸熱性転移を特徴とする。
【0156】
別な実施態様において、形態5は、図12に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約36.0℃から120.0℃に変化するのに伴う試料の重量の約0.3%の減少を表す。
【0157】
(形態6)
一実施態様において、化合物1の単結晶形、形態6は、CuKα線を利用して得られた、図13に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表6Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表6Aに示される通り、図13から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表6Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表6】
【0158】
別な実施態様において、形態6は、6.3、7.2、8.1、12.7、及び14.9°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。さらなる実施態様において、形態6は、6.3、7.2、及び8.1°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0159】
別な実施態様において、形態6は、図14に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、3つの弱い吸熱性転移:約86.75℃での融解を伴う約61.7℃のオンセット温度を有するもの、約149.0℃での融解を伴う約140.0℃のオンセット温度を有するもの、及び約192.1℃での融解を伴う約175.3℃のオンセット温度を有するものを特徴とする。
【0160】
別な実施態様において、形態6は、図14に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約31.8℃から150.0℃に変化するのに伴う試料の重量の約5.4%の減少を表す。
【0161】
(形態7)
一実施態様において、化合物1の単結晶形、形態7は、CuKα線を利用して得られた、図15に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表7Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表7Aに示される通り、図15から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表7Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表7】
【0162】
別な実施態様において、形態7は、14.1、19.1、21.8、23.5、及び25.7°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。さらなる実施態様において、形態7は、19.1、21.8、及び23.5°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0163】
別な実施態様において、形態7は、図16に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、約214.7℃での融解を伴う約213.6℃のオンセット温度を有する強い吸熱性転移を特徴とする。
【0164】
別な実施態様において、形態7は、図16に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約32.2℃から150.0℃に変化するのに伴う試料の重量の約0.01%の減少を表す。
【0165】
(形態8)
一実施態様において、化合物1の単結晶形、形態8は、CuKα線を利用して得られた、図17に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表8Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表8Aに示される通り、図17から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表8Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表8】
【0166】
別な実施態様において、形態8は、9.0、9.2、21.9、22.1、24.2、及び24.6°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。さらなる実施態様において、形態8は、21.9、22.1、24.2、及び24.6°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0167】
別な実施態様において、形態8は、図18に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、約212.8℃での融解を伴う約211.5℃のオンセット温度を有する強い吸熱性転移を特徴とする。
【0168】
別な実施態様において、形態8は、図18に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約31.2℃から150.0℃に変化するのに伴う試料の重量の約0.2%の減少を表す。
【0169】
(形態9)
一実施態様において、化合物1の単結晶形、形態9は、CuKα線を利用して得られた、図19に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表9Aに示されるデータより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表9Aに示される通り、図19から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表9Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表9】
【0170】
別な実施態様において、形態9は、6.5、19.6、20.1、及び21.6°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。さらなる実施態様において、形態9は、19.6及び20.1°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0171】
別な実施態様において、形態9は、図20に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、約175.95℃での融解を伴う約172.3℃のオンセット温度を有する強い吸熱性転移、及び約202.1℃での融解を伴う約192.3℃のオンセット温度を有する吸熱性転移を特徴とする。
【0172】
別な実施態様において、形態9は、図20に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約24.7℃から150.0℃に変化するのに伴う試料の重量の約0.7%の減少を表す。
【0173】
(形態10)
一実施態様において、化合物1の単結晶形、形態10は、CuKα線を利用して得られた、図21に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表10Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表10Aに示される通り、図21から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表10Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表10】
【0174】
別な実施態様において、形態10は、6.7、9.1、10.8、19.9、及び21.9°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。さらなる実施態様において、形態10は、9.1、10.8、及び19.9°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0175】
別な実施態様において、形態10は、図22に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、約150.9℃での融解を伴う約139.9℃のオンセット温度を有する吸熱性転移、及び約201.3℃での融解を伴う約197.3℃のオンセット温度を有する吸熱性転移を特徴とする。
【0176】
別な実施態様において、形態10は、図22に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約31.0℃から120.0℃に変化するのに伴う試料の重量の約0.5%の減少を表す。
【0177】
(形態11)
一実施態様において、化合物1の単結晶形、形態11は、CuKα線を利用して得られた、図23に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表11Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表11Aに示される通り、図23から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表11Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11個により特性化できる。
【表11】
【0178】
別な実施態様において、形態11は、6.3、20.0、20.2、20.5、21.2、及び26.5°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。さらなる実施態様において、形態11は、20.0、20.2、20.5、及び21.2°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0179】
別な実施態様において、形態11は、図24に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、約154.5℃での融解を伴う約144.3℃のオンセット温度を有する吸熱性転移、及び約201.6℃での融解を伴う約193.4℃のオンセット温度を有する吸熱性転移を特徴とする。
【0180】
別な実施態様において、形態11は、図25に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約25.7℃から98.4℃に変化するのに伴う試料の重量の約3.0%の減少を表す。
【0181】
(形態12)
一実施態様において、化合物1の単結晶形、形態12は、CuKα線を利用して得られた、図26に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表12Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表12Aに示される通り、図26から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表12Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表12】
【0182】
別な実施態様において、形態12は、7.2、7.4、8.0、8.2、16.5、及び18.6°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。さらなる実施態様において、形態12は、7.2、7.4、8.0、及び8.2°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0183】
別な実施態様において、形態12は、図27に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、約106.3℃での融解を伴う約80.9℃のオンセット温度を有する吸熱性転移、約150.3℃での融解を伴う約136.32℃のオンセット温度を有する吸熱性転移、及び約203.1℃での融解を伴う約199.0℃のオンセット温度を有する強い吸熱性転移を特徴とする。
【0184】
別な実施態様において、形態12は、図27に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約25.9℃から80.0℃に変化するのに伴う試料の重量の約6.4%の減少、及び温度が約25.9℃から150.0℃に変化するのに伴う試料の重量の約7.2%の減少を表す。
【0185】
(形態13)
一実施態様において、化合物1の単結晶形、形態13は、CuKα線を利用して得られた、図28に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表13Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表13Aに示される通り、図28から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表13Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表13】
【0186】
別な実施態様において、形態13は、6.3、12.7、20.3、20.8、及び26.5°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。さらなる実施態様において、形態13は、6.3、12.7、及び20.3°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0187】
別な実施態様において、形態13は、図29に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、約152.4℃での融解を伴う約144.1℃のオンセット温度を有する弱い吸熱性転移、及び約204.8℃での融解を伴う約198.1℃のオンセット温度を有する強い吸熱性転移を特徴とする。
【0188】
別な実施態様において、形態13は、図29に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約24.9℃から150.0℃に変化するのに伴う試料の重量の約4.1%の減少を表す。
【0189】
(形態14)
一実施態様において、化合物1の単結晶形、形態14は、CuKα線を利用して得られた、図30に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表14Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表14Aに示される通り、図30から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表14Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表14】
【0190】
別な実施態様において、形態14は、6.6、17.5、20.8、及び23.3°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。さらなる実施態様において、形態14は、6.6及び20.8°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0191】
別な実施態様において、形態14は、図31に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、約134.5℃での融解を伴う約122.3℃のオンセット温度を有する弱い吸熱性転移、及び約211.8℃での融解を伴う約207.6℃のオンセット温度を有する強い吸熱性転移を特徴とする。
【0192】
別な実施態様において、形態14は、図31に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約28.1℃から150.0℃に変化するのに伴う試料の重量の約5.71%の減少を表す。
【0193】
(形態15)
一実施態様において、化合物1の単結晶形、形態15は、CuKα線を利用して得られた、図32に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表15Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表15Aに示される通り図32から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表15Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表15】
【0194】
別な実施態様において、形態15は、6.4、12.9、20.2、及び26.1°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。さらなる実施態様において、形態15は、6.4、12.9、及び26.1°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0195】
別な実施態様において、形態15は、図33に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、約140.1℃での融解を伴う約136.5℃のオンセット温度を有する弱い吸熱性転移、及び約215.2℃での融解を伴う約213.1℃のオンセット温度を有する強い吸熱性転移を特徴とする。
【0196】
別な実施態様において、形態15は、図33に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約28.7℃から150.0℃に変化するのに伴う試料の重量の約7.6%の減少を表す。
【0197】
(形態16)
一実施態様において、化合物3の単結晶形、形態16は、CuKα線を利用して得られた、図34に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表16Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表16Aに示される通り、図34から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表16Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表16】
【0198】
別な実施態様において、形態16は、6.8、10.6、13.6、14.2、及び19.2°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。別な実施態様において、形態16は、10.6、14.2、及び19.2°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0199】
別な実施態様において、形態16は、図35に示される示差走査熱量測定プロファイル(DSC)により特性化できる。DSCグラフは、温度速度変化を約10℃/分として、試料の温度の関数として熱流をプロットしたものである。該プロファイルは、約172.1℃での融解を伴う約169.7℃のオンセット温度を有する強い吸熱性転移を特徴とする。
【0200】
別な実施態様において、形態16は、図36に示される熱重量分析(TGA)により特性化できる。TGAプロファイルは、温度速度変化を約10℃/分として、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものである。重量減少は、温度が約23.9℃から150.0℃に変化するのに伴う試料の重量の約0.1%の減少を表す。
【0201】
(形態17)
一実施態様において、化合物3の単結晶形、形態17は、CuKα線を利用して得られた、図37に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表17Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表17Aに示される通り、図37から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表17Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表17】
【0202】
別な実施態様において、形態17は、7.2、13.6、18.5、19.3、21.9、及び23.5°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。別な実施態様において、形態17は、13.6、18.5、及び23.5°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0203】
(形態18)
一実施態様において、化合物3の単結晶形、形態18は、CuKα線を利用して得られた、図38に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表18Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表18Aに示される通り、図38から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表18Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9つにより特性化できる。
【表18】
【0204】
別な実施態様において、形態18は、6.4、8.4、9.8、17.8、及び19.7°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。別な実施態様において、形態18は、8.4及び9.8°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0205】
(形態19)
一実施態様において、化合物3の単結晶形、形態19は、CuKα線を利用して得られた、図39に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表19Aに示されるデータにより特性化される。特定の実施態様において、該多形体は、表19Aに示される通り、図39から得られたピークの1つ以上により特性化できる。例えば、該多形体は、表19Aに示されるピークの1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8により特性化できる。
【表19】
【0206】
別な実施態様において、形態19は、8.1、14.1、16.4、17.3、20.5、及び24.1°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。別な実施態様において、形態19は、8.1、16.4、17.3、及び24.1°の2θ角度で特定されるピークにより特性化できる。
【0207】
他の実施態様は、本明細書において議論される単結晶形のいずれかの上述の特性の組み合わせを特徴とする、化合物1又は化合物3の単結晶形を対象とする。該特性化は、特定の多形体に関して記載されたXRPD、TGA、DSC、及びDVSの1つ以上の任意の組み合わせによるものであり得る。例えば、化合物1又は化合物3の単結晶形は、XRPDスキャンにおける主要なピークの位置に関するXRPD結果の任意の組み合わせ;及び/又はXRPDスキャンから得られたデータから誘導された1つ以上のパラメーターの任意の組み合わせにより特性化され得る。化合物1又は化合物3の単結晶形は、指定された温度範囲にわたる試料に関連する重量減少;及び/又は特定の重量減少転移が始まる温度のTGA測定によっても特性化され得る。熱流転移(heat flow transition)の間の最大熱流に関連する温度及び/又は試料が熱流転移を受け始める温度のDSC測定も、結晶形を特性化し得る。試料の重量変化及び/又は様々な相対湿度にわたる(例えば、0%から90%)水分収着/脱着測定により決定される化合物1又は化合物3の分子あたりの水の収着/脱着の変化も、化合物1又は化合物3の単結晶形を特性化できる。
【0208】
先に議論された特性化の組み合わせを利用して、本明細書において議論される化合物1若しくは化合物3の多形体のいずれも、これらの多形体の任意の組み合わせも説明することができる。
【実施例】
【0209】
(略語)
ca およそ
CHCl3-クロロホルム
DCM-ジクロロメタン
DMF-ジメチルホルムアミド
Et2O-ジエチルエーテル
EtOH-エチルアルコール
EtOAc-酢酸エチル
MeOH-メチルアルコール
MeCN-アセトニトリル
PE-石油エーテル
THF-テトラヒドロフラン
AcOH-酢酸
HCl-塩酸
H2SO4-硫酸
NH4Cl-塩化アンモニウム
KOH-水酸化カリウム
NaOH-水酸化ナトリウム
Na2CO3-炭酸ナトリウム
TFA-トリフルオロ酢酸
NaHCO3-炭酸水素ナトリウム
DMSO ジメチルスルホキシド
DSC 示差走査熱量測定
DVS 動的水蒸気収着
GC ガスクロマトグラフィー
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
min 分
m/z 質量電荷比
MS 質量スペクトル
NMR 核磁気共鳴
RT 室温
TGA 熱重量分析
XRPD X線粉末回折/X線粉末ディフラクトグラム/X線粉末回折計
【0210】
(全般的方法)
以下の実施例において、試薬は、商業的供給源(Alfa、 Acros、Sigma Aldrich、TCI、及びShanghai Chemical Reagent Companyを含む)から購入でき、さらに精製せずに使用できる。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Brucker AMX-400 NMR (Brucker社製、スイス)で得ることができる。ケミカルシフトは、テトラメチルシランから低磁場に百万分率(ppm、δ)で報告する。質量スペクトルは、Waters LCT TOF質量分析計(Waters社製、米国)からエレクトロスプレーイオン化(ESI)により実施できる。
【0211】
この項で開示される結晶形を含む例示的な化合物に関して、立体異性体(例えば、(R)又は(S)立体異性体)の詳記は、化合物が、指定された立体中心で、少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、又は99%富化されているような、その化合物の調製物を示す。
以下に記載される例示的な化合物のそれぞれの化学名は、ChemDrawソフトウェアにより生成される。
【0212】
X線粉末回折(XRPD)パラメーター:XRPD分析は、12-オートサンプルステージを備えたPANalytical Empyrean X線粉末回折計(XRPD)を利用して実施した。利用したXRPDパラメーターを表20に列記する。
表20
【表20】
【0213】
形態3に関しては、XRPD分析は、LYNXEYE XE Detector (Bruker)を利用して実施した。利用したXRPDパラメーターを表21に列記する。
表21
【表21】
【0214】
示差走査熱量測定(DSC)パラメーター: DSC分析は、TA Instruments社製のTA QlOO又はQ200/Q2000 DSCを利用して実施した。10℃/分の昇温速度で、N2をパージガスとして使用し、パンをクリンプして、温度を室温から所望の温度に上昇させた。
【0215】
熱重量分析(TGA)パラメーター: TGA分析は、TA Instruments社製のTA Q500/Q5000 TGAを利用して実施した。10℃/分又は20℃/分の昇温速度で、N2をパージガスとして使用して、温度を、室温から所望の温度に上昇させた。
【0216】
動的水蒸気収着(DVS)パラメーター: DVSは、SMS (Surface Measurement Systems) DVS Intrinsicにより測定した。25℃での相対湿度を、LiCl、Mg(NO3)2、及びKClの潮解点に対して較正した。利用したDVSパラメーターを表22に列記する。
表22
【表22】
【0217】
(実施例1:化合物3の合成)
(実施例1、工程1:6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸の製造)
ジエチルエーテル(4.32L)及びヘキサン(5.40L)を、N2雰囲気下で反応容器に加え、-75℃〜-65℃に冷却する。N2雰囲気下-65℃未満で、n-ブチルリチウム(1.6Mヘキサン中3.78L)を滴加し、それに続いて、ジメチルアミノエタノール(327.45g、3.67mol)を滴加し、10分後に、2-トリフルオロメチルピリジン(360g、2.45mol)を滴加する。温度を-65℃未満に保ちながら、該反応物を、N2下で、約2.0〜2.5時間撹拌する。該反応混合物を、N2下で砕いたドライアイス上に注ぎ、次いで、撹拌しながら0〜5℃の温度にし(およそ1.0〜1.5時間)、それに続いて水(1.8L)を加える。該反応混合物を5〜10分間撹拌し、放置して5〜10℃まで温める。該混合物がpH1.0〜2.0に達するまで6NのHCl(900mL)を滴加し、次いで、該混合物を、5〜10℃で、10〜20分間撹拌する。該反応混合物を、25〜35℃で酢酸エチルにより希釈し、次いでブライン溶液で洗浄する。該反応物を濃縮し、n-ヘプタンですすぎ、次いで乾燥させると、6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸が生じる。
【0218】
(実施例1、工程2:6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステルの製造)
メタノールを、窒素雰囲気下で反応容器に加える。6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸(150g、0.785mol)を加え、周囲温度で溶解させる。アセチルクロリド(67.78g、0.863mol)を、45℃未満の温度で滴加する。該反応混合物を65〜70℃で約2〜2.5時間維持し、次いで35〜45℃で、真空下で濃縮し、25〜35℃に冷却する。該混合物を酢酸エチルにより希釈し、飽和NaHCO3溶液ですすぎ、次いでブライン溶液ですすぐ。該混合物を、温度35〜45℃で、真空下で濃縮し、25〜35℃に冷却し、次いでn-ヘプタンですすぎ、温度35〜45℃で、真空下で濃縮し、次いで脱気すると茶色の固体が得られるが、それをn-ヘプタンですすぎ、10〜15分間25〜35℃で撹拌する。該懸濁液を、撹拌しながら-40〜-30℃に冷却し、濾過し、乾燥させると、6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステルを与える。
【0219】
(実施例1、工程3:6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1H-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの製造)
1Lの無水エタノールを、N2雰囲気下で反応容器に入れ、金属ナトリウム(11.2g、0.488mol)を、少量ずつ、N2雰囲気下で、50℃未満で加える。該反応物を5〜10分間撹拌し、次いで50〜55℃に加熱する。乾燥させたビウレット(12.5g、0.122mol)を、N2雰囲気下で、50〜55℃の温度で該反応容器に加え、10〜15分間撹拌する。50〜55℃を維持しながら、6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステル(50.0g、0.244mol)を加える。該反応混合物を還流(75〜80℃)に加熱し、1.5〜2時間維持する。次いで、35〜40℃に冷却し、真空下45〜50℃で濃縮する。水を加え、該混合物を真空下で濃縮し、次いで35〜40℃に冷却し、さらに水を加え、該混合物を0〜5℃に冷却する。6NのHClをゆっくりと加えて、pHを7〜8に調整すると、固体が沈殿し、遠心分離し、水ですすぎ、再度遠心分離する。6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1H-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの灰白色から薄茶色の固体を、真空下で、8〜10時間、50℃〜60℃で、600mm/Hgの圧力下で乾燥させると、6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1H-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンを与える。
【0220】
(実施例1、工程4:2,4-ジクロロ-6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジンの製造)
POCl3(175.0mL)を、20〜35℃で反応容器に入れ、6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1H-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオン(35.0g、0.1355mol)を、少量ずつ、50℃未満で加える。該反応混合物を、N2ガスでパージすることにより、5〜20分間脱気する。50℃未満で撹拌しながら五塩化リン(112.86g、0.542mol)を加え、生じたスラリーを還流(105〜110℃)に加熱し、3〜4時間維持する。該反応混合物を50〜55℃に冷却し、55℃未満で濃縮し、次いで20〜30℃に冷却した。該反応混合物を酢酸エチルですすぎ、酢酸エチル層を、冷水(温度〜5℃)に、撹拌し温度を10℃未満に保ちながらゆっくりと加える。該混合物を、10〜20℃の温度で3〜5分間撹拌し、酢酸エチル層を回収する。該反応混合物を炭酸水素ナトリウム溶液ですすぎ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。該物質を、真空下で、45℃未満で、2〜3時間乾燥させると、2,4-ジクロロ-6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジンを与える。
【0221】
(実施例1、工程5:4-クロロ-6-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(トリフルオロ-メチル)-ピリジン-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミンの製造)
THF(135mL)と2,4-ジクロロ-6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(27.0g、0.0915mol)との混合物を、20〜35℃で反応容器に加え、次いで、4-アミノ-2-(トリフルオロメチル)ピリジン(16.31g、0.1006mol)及び炭酸水素ナトリウム(11.52g、0.1372mol)を加える。生じたスラリーを、20〜24時間還流(75〜80℃)に加熱する。該反応物を30〜40℃に冷却し、THFを、45℃未満で、減圧下で蒸発させる。該反応混合物を20〜35℃に冷却し、酢酸エチル及び水ですすぎ、酢酸エチル層を回収して、0.5NのHCl及びブライン溶液ですすぐ。有機層を、真空下で、45℃未満で濃縮し、次いで、ジクロロメタン及びヘキサンですすぎ、濾過し、ヘキサンで洗浄し、45〜50℃で、真空下で、5〜6時間乾燥させると、4-クロロ-6-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(トリフルオロ-メチル)-ピリジン-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミンを与える。
【0222】
(実施例1、工程6:2-メチル-1-(4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-6-(2-(トリフルオロメチル)-ピリジン-4-イルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)プロパン-2-オールの製造)
THF(290mL)、4-クロロ-6-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(トリフルオロ-メチル)-ピリジン-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン(29.0g、0.06893mol)、炭酸水素ナトリウム(8.68g、0.1033mol)、及び1,1-ジメチルアミノエタノール(7.37g、0.08271mol)を、20〜35℃で反応容器に加える。生じたスラリーを、16〜20時間、還流(75〜80℃)に加熱する。該反応物を30〜40℃に冷却し、THFを、45℃未満で、減圧下で蒸発させる。該反応混合物を20〜35℃に冷却し、酢酸エチル及び水ですすぎ、酢酸エチル層を回収する。有機層を、真空下で、45℃未満で濃縮し、次いで、ジクロロメタン及びヘキサンですすぎ、濾過し、ヘキサンで洗浄し、45〜50℃で、真空下で、8〜1O時間乾燥させると、2-メチル-1-(4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-6-(2-(トリフルオロメチル)-ピリジン-4-イルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)プロパン-2-オールを与える。
【0223】
(実施例2:化合物1の合成)
アセトン(435.0mL)及び化合物3(87.0g、0.184mol)を、20〜35℃で反応容器に加える。別な容器で、メタンスルホン酸を、10分かけて、冷(0〜4℃)アセトン(191.4mL)に撹拌しながら加え、メタンスルホン酸溶液を調製する。ミクロンフィルターに通しながら、調製したばかりのメタンスルホン酸溶液を、該反応混合物に滴加する。生じたスラリーを、ヌッチェ濾過器を使用して濾過し、アセトンで洗浄する。濾過された物質を、真空を利用して30〜40分乾燥させると、化合物1を与える。
【0224】
(実施例2A:化合物3形態16の合成)
(実施例2A、工程1:6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸の製造)
ジエチルエーテル(4.32L)及びヘキサン(5.40L)を、N2雰囲気下で反応容器に加え、-75℃〜-65℃に冷却する。n-ブチルリチウム(1.6Mヘキサン中3.78L)を、N2雰囲気下で、-65℃未満で滴加し、それに続いて、ジメチルアミノエタノール(327.45g、3.67mol)を滴加し、10分後に、2-トリフルオロメチルピリジン(360g、2.45mol)を滴加する。該反応物を、温度を-65℃未満に保ちながら、約2.0〜2.5時間N2下で撹拌する。該反応混合物を、N2下で砕いたドライアイス上に注ぎ、次いで、撹拌しながら0〜5℃の温度にし(およそ1.0〜1.5時間)、それに続いて、水(1.8L)を加える。該反応混合物を、5〜10分間撹拌し、放置して5〜10℃まで温める。該混合物がpH1.0〜2.0に達するまで、6NのHCl(900mL)を滴加し、次いで、該混合物を、5〜10℃で10〜20分間撹拌する。該反応混合物を、25〜35℃で、酢酸エチルで希釈し、次いで、ブライン溶液で洗浄する。該反応物を濃縮し、n-ヘプタンですすぎ、次いで乾燥させると、6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸が生じる。
【0225】
(実施例2A、工程2:6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステルの製造)
メタノールを、窒素雰囲気下で反応容器に加える。6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸(150g、0.785mol)を加え、周囲温度で溶解させる。アセチルクロリド(67.78g、0.863mol)を、45℃未満の温度で滴加する。該反応混合物を、65〜70℃で約2〜2.5時間保ち、次いで35〜45℃で、真空下で濃縮し、25〜35℃に冷却する。該混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO3溶液ですすぎ、次いで、ブライン溶液ですすぐ。該混合物を、温度35〜45℃で、真空下で濃縮し、25〜35℃に冷却し、次いでn-ヘプタンですすぎ、温度35〜45℃で、真空下で濃縮し、次いで、脱気すると茶色の固体を得て、それをn-ヘプタンですすぎ、25〜35℃で10〜15分間撹拌する。該懸濁液を、撹拌しながら-40〜-30℃に冷却し、濾過し、乾燥させると、6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステルを与える。
【0226】
(実施例2A、工程3:6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1H-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの製造)
1Lの無水エタノールを、N2雰囲気下で反応容器に入れ、金属ナトリウム(11.2g、0.488mol)を、N2雰囲気下で、50℃未満で、少量ずつ加える。該反応物を5〜10分間撹拌し、50〜55℃に加熱する。乾燥させたビウレット(12.5g、0.122mol)を、N2雰囲気下で、50〜55℃の温度で反応容器に加え、10〜15分間撹拌する。50〜55℃を維持しながら、6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステル(50.0g、0.244mol)を加える。該反応混合物を還流(75〜80℃)に加熱し、1.5〜2時間維持する。次いで、35〜40℃に冷却し、45〜50℃で、真空下で濃縮する。水を加え、該混合物を真空下で濃縮し、次いで、35〜40℃に冷却し、さらに水を加え、該混合物を0〜5℃に冷却する。6NのHClをゆっくりと加えて、pHを7〜8に調整すると、固体が沈殿し、遠心分離して、水ですすぎ、再度遠心分離する。6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1H-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの灰白色から薄茶色の固体を、真空下で、8〜10時間、50℃〜60℃で、600mm/Hg圧力下で乾燥させると、6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1H-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンを与える。
【0227】
(実施例2A、工程4:2,4-ジクロロ-6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジンの製造)
POCl3(175.0mL)を、20〜35℃で反応容器に入れ、6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1H-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオン(35.0g、0.1355mol)を、少量ずつ、50℃未満で加える。該反応混合物を、N2ガスでパージすることにより、5〜20分間脱気する。五塩化リン(112.86g、0.542mol)を、撹拌しながら50℃未満で加え、生じたスラリーを還流(105〜110℃)に加熱し、3〜4時間維持する。該反応混合物を50〜55℃に冷却し、55℃未満で濃縮し、次いで20〜30℃に冷却する。該反応混合物を酢酸エチルですすぎ、酢酸エチル層を、冷水(温度〜5℃)に、撹拌し温度を10℃未満に保ちながらゆっくりと加える。該混合物を、10〜20℃の温度で、3〜5分間撹拌し、酢酸エチル層を回収する。該反応混合物を炭酸水素ナトリウム溶液ですすぎ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。該物質を、真空下で、45℃未満で2〜3時間乾燥させると、2,4-ジクロロ-6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジンを与える。
【0228】
(実施例2A、工程5:4-クロロ-6-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(トリフルオロ-メチル)-ピリジン-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミンの製造)
THF(135mL)と2,4-ジクロロ-6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(27.0g、0.0915mol)との混合物を、20〜35℃で反応容器に加え、次いで、4-アミノ-2-(トリフルオロメチル)ピリジン(16.31g、0.1006mol)及び炭酸水素ナトリウム(11.52g、0.1372mol)を加える。生じたスラリーを、20〜24時間、還流(75〜80℃)に加熱する。該反応物を30〜40℃に冷却し、THFを、45℃未満で、減圧下で蒸発させる。該反応混合物を20〜35℃に冷却し、酢酸エチル及び水ですすぎ、酢酸エチル層を回収し、0.5NのHCl及びブライン溶液ですすぐ。有機層を、真空下で、45℃未満で濃縮し、次いで、ジクロロメタン及びヘキサンですすぎ、濾過し、ヘキサンで洗浄し、45〜50℃で、真空下で5〜6時間乾燥させると、4-クロロ-6-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(トリフルオロ-メチル)-ピリジン-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミンを与える。
【0229】
(実施例2A、工程6:2-メチル-1-(4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-6-(2-(トリフルオロメチル)-ピリジン-4-イルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)プロパン-2-オール化合物3の製造)
THF(290mL)、4-クロロ-6-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(トリフルオロ-メチル)-ピリジン-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン(29.0g、0.06893mol)、炭酸水素ナトリウム(8.68g、0.1033mol)、及び1,1-ジメチルアミノエタノール(7.37g、0.08271mol)を、20〜35℃で反応容器に加える。生じたスラリーを、16〜20時間、還流(75〜80℃)に加熱する。該反応物を30〜40℃に冷却し、THFを、45℃未満で、減圧下で蒸発させる。該反応混合物を20〜35℃に冷却し、酢酸エチル及び水ですすぎ、酢酸エチル層を回収する。有機層を、真空下で、45℃未満で濃縮し、次いで、ジクロロメタン及びヘキサンですすぎ、濾過し、ヘキサンで洗浄し、45〜50℃で、真空下で8〜1O時間乾燥させると、2-メチル-1-(4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-6-(2-(トリフルオロメチル)-ピリジン-4-イルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)プロパン-2-オールを与える。
【0230】
(実施例3A:化合物3形態1の合成)
(方法A:)
約10mgの形態3を0.5〜1.0mLの水に懸濁させることにより、スラリー転化(Slurry conversion)を実施する。該懸濁液を50℃で48時間撹拌した後、残存固体を遠心分離すると形態1を与える。
(方法B:)
9.61mgの形態3を、0.2mLのエタノールに溶解させる。該溶液を周囲条件に置き、エタノールを蒸発させると形態1を得る。
(方法C:)
6.93mgの形態3を、0.2mLの酢酸イソプロピルに溶解させる。該溶液を、周囲温度(temprerature)に置き、酢酸イソプロピルを蒸発させると形態1を得る。
【0231】
(実施例4A:化合物3形態2の合成)
(方法A:)
約10mgの形態3を0.5〜1.0mLの水に懸濁させることにより、スラリー転化を実施する。該懸濁液を室温で48時間撹拌し、残存固体を遠心分離すると、形態2を与える。
(方法B:)
6.07mgの形態3を、1.0mLの水に懸濁させる。該懸濁液を、室温で約24時間撹拌する。固体を単離すると、形態2が得られる。
【0232】
(実施例6A:化合物1形態3の合成)
撹拌しながら、アセトン(961.1ml)を反応容器に加える。該反応物を激しく撹拌し、15℃に冷却し、次いでメタンスルホン酸(28.3g)を加え、該反応物を少なくとも10分間エージングする。形態3への結晶化を、以下の塩形成により達成する:1)アセトン(500ml、4.17vol)を、晶析器に入れ、次いで、該混合物を、10分間激しく撹拌する(550rpm)、2)化合物3(120.0g、253.5mmol)を、45分かけて固体充填器(solid charger)により晶析器に入れる、3)固体充填器をアセトン(100ml、0.83vol)ですすぐ、4)該反応物を撹拌し(550rpm)、35℃に加熱すると(10分後に)透明な溶液が得られる、5)MSA/アセトン溶液の第一部分(2%)(0.3mol/L、18.1ml、3.8ml/分)を、5分かけてピストンポンプにより加え、次いで、ポンプパイプラインをアセトン(5ml、0.04vol)で洗浄する、6)該溶液が透明のままであることを確実にしながら、該混合物を35℃で10〜15分エージングする、7)化合物1のシード(実施例2で生成した2.4g、2wt%)を、該透明な溶液に加える、8)MSA/アセトン溶液の第二部分(49%)(0.3mom/L、444ml、3.7ml/分)を2時間かけて加える、9)該混合物を35℃で30分間エージングする、10)MSA/アセトン溶液の第三部分(49%)(0.3mom/L、444ml、7.4ml/分)を1時間かけて加える、11)該混合物を35℃で2時間エージングする、12)該混合物を1時間20℃に冷却する、13)該混合物を濾過し、ケーキをアセトンで洗浄する(240ml 2回)、17)真空下で、30℃で乾燥させると;形態3結晶を与える。
【0233】
(実施例7A:化合物1形態4の合成)
化合物3(0.1mol/L)とメタンスルホン酸(0.1mol/L)をMeCN中で混合することにより反応晶析を実施すると、形態4を与える。
【0234】
(実施例8A:化合物1形態5の合成)
化合物3(0.1mol/L)とメタンスルホン酸(0.1mol/L)をイソプロピルアルコール中で混合することにより反応晶析を実施すると、形態5を与える。
【0235】
(実施例9A:化合物1形態6の合成)
3-mLガラスバイアル中で約10mgの形態3を0.4〜3.0mLの溶媒に溶解させることにより、緩徐蒸発(slow evaporation)を実施する。該バイアルを、約6〜8の穴をあけたホイルで覆い、目視で透明な溶液を室温で緩徐蒸発に付して、沈殿を誘起する。次いで、固体を単離する。形態6は、溶媒又は溶媒混合物が、MeOH、EtOH、IPA、THF、MeOH/トルエン=3:1、MeOH/CAN=3:1、MeOH/IPAc=3:1、MeOH/H2O=3:1、EtOH/アセトン=5 : 1、EtOH/DCM=5 :1、MeOH/ジオキサン=3 :1、MeOH/MTBE=3:1、EtOH/アセトン= 1:1、及びTHF/H2O=3:1である場合に与えられる。
【0236】
(実施例10A:化合物1形態7の合成)
メタンスルホン酸(0.1mol/L)を、アセトン又はMeCN中の化合物3(0.1mol/L)に手早く加えることにより、反応晶析を実施すると、形態7を与える。
【0237】
(実施例11A:化合物1形態8の合成)
(方法A)
メタンスルホン酸(0.1mol/L)を、アセトン中の化合物3(0.1mol/L)に手早く加えると、形態8を与える。
(方法B)
TGA中で形態12を155℃に加熱し、室温に冷却すると、形態8を与える。
【0238】
(実施例12A:化合物1形態9の合成)
化合物3(0.1mol/L)とメタンスルホン酸(0.1mol/L)をアセトン中で混合すると、形態9が直ちに溶液から沈殿する。
(実施例13A:化合物1形態10の合成)
形態12を、10℃/分で80℃に加熱するか、形態12をN2スウィープ状態で1時間TGAに入れておくかのいずれかにより、形態10を製造する。
(実施例14A:化合物1形態11の合成)
形態6を80℃に加熱するか、又は形態13をXRPD中で100℃に加熱するかにより、形態11を得る。
【0239】
(実施例15A:化合物1形態12の合成)
(方法A)
約1Omgの形態3を、0.3〜1.0mLの溶媒又は溶媒混合物に60℃で溶解させることにより、徐冷を実施する。該懸濁液を60℃で濾過し、濾液を回収する。該飽和溶液を、インキュベーター中で、0.05℃/分の速度で60℃から5℃に冷却する。沈殿が全く観察されない場合、該溶液を室温で蒸発させると、沈殿が誘起される。溶媒又は溶媒混合物が、MeOH/H2O=3:1、n-PrOH/H2O=3:1、又はTHF/MTBE=3:1である場合、固体を単離すると、形態12を与える。
【0240】
(方法B)
3-mLバイアル中で、約10mgの形態3をMeOHに溶解させて、透明な溶液を得ることにより、溶媒中、室温で、溶液蒸気拡散(solution vapor diffusion)を実施する。該バイアルを、約3mLの水を満たした20mLバイアル中に密封し、室温で5〜7日保ち、沈殿するのに充分な時間を見込む。固体を分離すると、形態12を与える。
【0241】
(実施例16A:化合物1形態13の合成)
(方法A:)
形態6を80℃に加熱し、室温に冷却することにより、形態13を得る。
(方法B:)
室温で、水分活性0.31で、形態6と形態12の混合物から出発してスラリー転化を実施する。
【0242】
(実施例17A:化合物1形態14の合成)
3mLバイアル中で、約10mgの形態3をMeOHに溶解させて、透明な溶液を得ることにより、溶媒中で、室温で溶液蒸気拡散を実施する。該バイアルを、約3mLのヘプタンを満たした20mLバイアル中に密封し、室温で5〜7日保ち、沈殿するのに充分な時間を見込む。固体を分離すると、形態14を与える。
【0243】
(実施例18A:化合物1形態15の合成)
3mLバイアル中で、約10mgの形態3をEtOHに溶解させて、透明な溶液を得ることにより、溶媒中で、室温で溶液蒸気拡散を実施する。該バイアルを、約3mLのIPAc又はMTBEを満たした20mLバイアル中に密封し、室温で5〜7日保ち、沈殿するのに充分な時間を見込む。固体を分離すると、形態15を与える。
【0244】
(実施例20A:化合物3形態17の合成)
(方法A:)
10.26mgの形態16を、0.4mLのヘプタンに懸濁させる。該懸濁液を室温で約24時間撹拌する。固体を単離すると、形態17が得られる。
(方法B:)
10.10mgの形態16を0.2mLのメチルtert-ブチルエーテルに懸濁させる。該懸濁剤を室温で約24時間撹拌する。固体を単離すると、形態17が得られる。
【0245】
(実施例21A:化合物3形態18の合成)
8.17mgの形態16を0.2mLのMeOHに溶解させる。該溶液を周囲室温に保ち、MeOHを蒸発させると、形態18を与える。
(実施例22A:化合物3形態19の合成)
905.61mgの形態16を、5.0mLの水に懸濁させる。該懸濁液を室温で約4時間撹拌し、固体を単離すると、形態19を与える。
以下の実施例3、4、及び5において、化合物1は、非晶質、又は結晶形の混合物、又は単結晶形であり得る。
【0246】
(実施例3:インビトロ実験)
この実施例3において、化合物1の投与量強度(dose strengths)は、遊離塩基等価強度を反映するように意図される。
(化合物1又は化合物3は、2-HGの細胞内及び細胞外レベルを、用量依存的に低下させる)
TF-1/IDH2(R140Q)変異型細胞を、インビトロで、ビヒクル(ジメチルスルホキシド;DMSO)又は増加するレベルの化合物1又は化合物3(1.6〜5000nMの濃度)で、7日間処理する。2-HGの細胞内レベルは、変異型細胞株中で低下し(DMSOによる15.5mMから5μMの化合物1又は化合物3による0.08mM)、低下は濃度依存性である。この用量漸増により、2-HG阻害の細胞内IC50を16nMであると計算し、阻害濃度、90%(IC90)は160nMである。
【0247】
(化合物1又は化合物3は、2-HGのレベル上昇に関連するビメンチンレベルを低下させ、未熟な(未分化)細胞株の減少を示す)
化合物1又は化合物3による7日間の処理の後、TF-1細胞中で、IDH2(R140Q)により誘発された、幹細胞マーカー、ビメンチン発現は、1mM未満の2-HGレベルで(すなわち化合物1又は化合物3投与量>200nM)、ベースラインレベルに減少する。
IDH2の阻害及びそれによる細胞内2-HGレベルの低下の機能的意義も、TF-1 IDH2(R140Q)変異細胞モデルで評価する。
【0248】
(化合物1又は化合物3は、TF-1細胞におけるIDH2(R140Q)誘発性GM-CSF非依存性の成長を低下させる)
化合物1又は化合物3(1μM)による7日間のTF-1 IDH2(R140Q)細胞の処理時に、2-HG産生は99%超阻害され、TF-1 IDH2(R140Q)の発現により与えられるGM-CSF非依存性の成長は逆転される。
【0249】
(化合物1又は化合物3は、2-HGのレベル上昇に関連するヒストン過剰メチル化を減少させる)
化合物1又は化合物3による処理の後、TF-1細胞におけるIDH2(R140Q)に誘発されたヒストン過剰メチル化は、ウェスタンブロット分析に基づいて逆転されている。ヒストンメチル化の濃度依存性の減少は、4つのヒストンマーク(H3K4me3、H3K9me3、H3K27me3、及びH3K36me3)の全てで観察される。この作用は、TF-1 IDH2(R140Q)変異細胞系において、細胞内2-HGレベルを1mM未満に低下させると知られている化合物1又は化合物3濃度(すなわち化合物1又は化合物3投与量>200nM)で最も明らかである。7日間の処理の後のH3K4me3でのヒストン脱メチル化のIC50を、236nMであると計算する。この結果は、ヒストン過剰メチル化を変えるために、化合物1又は化合物3のIC90を超えて投薬する要件に一致しており、最初の7日以内でヒストンメチル化に変化を誘発するのに要する化合物3の200nMの投与量と一致する。
【0250】
(化合物1又は化合物3は、TF-1赤白血病細胞株における、IDH2(R140Q)変異により誘発される分化停止を逆転させる)
化合物1又は化合物3による処理は、2-HGレベルが1mM未満に低下すると、TF-1 IDH2(R140Q)変異細胞において、ヘモグロビンγ1/2と赤血球生成を制御する転写因子であるクルッペル様因子1(KLF-1)の両方の EPO誘発性発現を回復する。
【0251】
(化合物1又は化合物3による初代ヒトAML芽細胞の処理は、細胞分化の増加につながる)
IDH2 (R140Q)変異患者試料を、エクスビボアッセイにおいて、化合物1又は化合物3により処理する。生細胞を選別し、化合物1又は化合物3(500、1000、及び5000nM)の存在下又は非存在下で培養する。細胞を3、6、9、及び13日に計数し、DMSO対照で規格化する。化合物処理時に、爆発的増殖(proliferative burst)は、6日に始まって観察され、細胞分化の始まりと一致する。エクスビボでの9日間の処理の後、骨髄芽球を、化合物1又は化合物3の存在下又は非存在下で、形態及び分化状態に関して分析する。細胞学的分析を、処理に関して盲検化する。細胞現象は、芽細胞のパーセンテージが、6日までに90%から55%に減少し、化合物1又は化合物3による処理の9日までにさらに40%に低下することを明らかにする。さらに、後骨髄球の増加により確認される通り、より分化した細胞の集団が明らかに増加する。
【0252】
まとめると、初代ヒトIDH2(R140Q)変異体AML細胞の、化合物1又は化合物3によるエクスビボの処理は、細胞内2-HGの減少及びマクロファージ及び顆粒球の分化系列によるAML芽球の分化をもたらす。これらのデータは、変異型IDH2の阻害が、この白血病のサブセットに存在する分化の停止を軽減できることを表す。
【0253】
(実施例4:インビボ実験)
この実施例4において、化合物1の投与量強度は、遊離塩基等価強度を反映するものとする。
(マウス異種移植片モデルにおける化合物1又は化合物3によるインビボ処置は、腫瘍2-HG濃度の低下につながった)
薬物動態/薬力学(PK/PD)試験を、U87MG IDH2(R140Q)腫瘍を皮下接種された雌のヌードマウスにおいて実施する。動物は、ビヒクル又は10〜150mg/kgの範囲の投与量の化合物1若しくは化合物3の単回若しくは反復経口投与を受ける。
【0254】
腫瘍2-HG濃度は、化合物1又は化合物3の単回経口投与後に急速に低下する。腫瘍2-HG濃度は、化合物1又は化合物3の血漿濃度が1000ng/mL未満に低下すると、上昇する。
このモデルにおいて、腫瘍2-HGレベルは、3回の連続した25mg/kg以上の化合物1又は化合物3の投与(1日2回、12時間投薬間隔)の後、野生型組織に見られるベースラインまで低下する。持続性の90%腫瘍2-HG阻害(EAUC90[0-12時間])及び持続性の97%腫瘍2-HG阻害(EAUC97[0-12時間])をもたらす0〜12時間の化合物1又は化合物3濃度×時間曲線下の推定面積(AUC0-12時間)は、それぞれ、およそ5000及び15200時間・ng/mLである。
【0255】
(担癌マウス及びナイーブマウスにおける、化合物1若しくは化合物3又はシタラビンによる処置の、生存、腫瘍量、及び腫瘍分化に対する影響)
第1日に、40匹のNOD/SCIDマウスに、液体N2から取り出して解凍できる2×106/マウスのAMM7577-P2(HuKemia(登録商標)モデル、Crown Bioscience社製)凍結細胞を移植する。末梢血試料を、細胞接種後第3週から、ヒト白血病細胞のFACS分析のために毎週回収する。血漿及び尿試料を、停止点まで第3週から毎週回収する。腫瘍の成長が、末梢血試料中で約10%のヒトCD45+細胞になると、移植されたマウスを、表1に示される処置スケジュールを使用して、無作為に5群に割り付けることができる。
表1
【表23】
*化合物1を、遊離塩基等価強度投与量として与える。
【0256】
表1に示される通り、変異陽性AMLマウスモデルにおける化合物3による処置は、シタラビンに比べて、用量依存的な生存の利点をもたらした。最高投与量の化合物3(第4群、45mg/kg)を受けたマウスの群において、全9匹のマウスが、試験が完了するまで生存した。白血病の用量依存的な減少及び正常な分化の証拠は、化合物3により処置された全動物に見られる。
【0257】
(実施例5:)
臨床試験は、IDH2変異を有する急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、又はリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液系悪性腫瘍を有する対象における経口投与された化合物1の、第1相、多施設共同、非盲検、用量漸増、安全性、PK/PD、及び臨床活性(clinical activity)評価である。この実施例5において、化合物1の投与量強度は、遊離塩基等価強度を反映するものとする(例えば、化合物1の投与量強度が30mgと記載されている場合、この投与量は、36mgの化合物1に等価な30mgの遊離塩基化合物3を反映する)。
【0258】
主要試験目的には、1)進行性血液系悪性腫瘍を有する対象における、28日サイクルの第1〜28日に単剤として1日2回(およそ12時間ごと)連続的に経口投与された化合物1による治療の安全性及び忍容性の評価、並びに2)進行性血液系悪性腫瘍を有する対象における最大耐用量(MTD)及び/又は推奨される化合物1の第2相投与量の決定がある。副次試験目的には、1)進行性血液系悪性腫瘍を有する対象における化合物1の用量制限毒性(DLT)の記載、2)進行性血液系悪性腫瘍を有する対象における化合物1及びその代謝物6-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-N2-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物2)の薬物動態(PK)の特性化、3)化合物1と2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)のPK/薬力学(PD)関係の特性化、並びに4)進行性血液系悪性腫瘍を有する対象における化合物1と関連する臨床活性の特性化がある。
【0259】
予備的な試験目的には、1)イソクエン酸デヒドロゲナーゼ-2(IDH2)-変異腫瘍細胞の細胞分化のパターンの変化並びにIDH2-変異腫瘍細胞におけるヒストン及びデオキシリボ核酸(DNA)メチル化の変化の評価による、進行性血液系悪性腫瘍を有する対象における化合物1のPD効果の特性化、並びに2)IDH2-変異腫瘍細胞並びに非IDH2変異腫瘍細胞のサブクローン集団における、遺伝子突然変異状態、グローバル遺伝子発現プロファイル、及び他の潜在的な予後マーカー(細胞遺伝学的性質)の評価による、抗腫瘍活性及び/又は抵抗性の予測因子(predictor)の探究、並びに3)IDH2-変異腫瘍細胞における代謝プロファイルの変化の評価がある。
【0260】
試験は、MTDを決定する用量漸増期と、それに続いてMTDの安全性及び忍容性をさらに評価する拡大コホートを含む。用量漸増期は、標準的な「3+3」デザインを利用する。用量漸増期の間に、同意した適格な対象を、化合物1の投与量を増加させる連続コホートに登録する。各投与量コホートは、最低で3名の対象を登録するだろう。試験の用量漸増部分の間に各投薬コホートに登録された最初の3名の対象は、-3日に(すなわち1日2回投薬の開始の3日前)試験薬の単回投与を受け、72時間にわたって安全性及びPK/PD評価を受けて、薬物濃度及び2-HGレベルが評価される。試験薬の次の投与は、サイクル1の第1日(C1D1)であり、その時に1日2回投薬が始まる。コホート内の第3の対象が治療を始める時点でスクリーニングプロセスに複数の対象がいる場合、2名までの追加の対象がメディカルモニターの承認により登録され得る。これらの追加の対象では、-3日から第1日のPK/PD評価は、メディカルモニターとの議論の後で自由選択である。
【0261】
用量制限毒性を、サイクル1の治療の間に評価する。毒性の重症度は、米国国立癌研究所有害事象共通用語基準(NCI CTCAE)バージョン4.03に従ってグレードづけする。DLTを以下の通り定義する。非血液系には、CTCAEグレード3以上の全ての臨床的に重要な非血液系毒性がある(例えば、脱毛症は、臨床的に重要な事象であるとはみなされない)。血液系には、サイクル1療法の開始から少なくとも42日後の、グレード3以上の好中球減少症又は血小板減少症(NCI CTCAEバージョン4.03、白血病特異的基準による、すなわち、試験薬の開始から28日以降の、白血病の証拠がない5%未満の骨髄細胞密度)の持続と定義される長期の骨髄抑制がある。血球減少症には、白血病特異的なグレーディング(ベースラインからの減少パーセンテージに基づく: 50〜75%=グレード3、>75%=グレード4)を使用されなければならない。試験中の集団における高頻度の併存疾患及び同時の投薬により、有害事象(AE)を特定の薬物に帰することは困難である。したがって、化合物1に無関係であると明らかに決定できない全AEを、DLTの決定に関連するとみなす。
【0262】
第3の対象が28日DLT評価期(すなわちサイクル1)を完了し、DLTが全く観察されない場合、試験は、用量漸増と共に、安全性調査の後で次のコホートに進む。3名の対象のうち1名が、第1サイクルの間にDLTを経験する場合、3名の追加の対象をそのコホートに登録する。追加の3名の対象が誰もDLTを経験しない場合、安全性調査の後で、用量漸増が次のコホートに続き得る。コホート中の2名以上の対象が、第1サイクルの間にDLTを経験する場合、用量漸増を停止し、1つ下の投与量レベルをMTDであると宣言する。MTDコホートが3名の対象しか含まない場合、追加の3名の対象をその投与量レベルで登録し、その投与量でDLTを経験するのが6名の対象のうち2名未満であることを確認する。
【0263】
各投与量コホートでの化合物1の投与量の増加を加速漸増デザインにより導くが、化合物1関連NCI CTCAEグレード2以上の毒性が、該コホート内のいずれかの対象に観察されるまで、投与量はあるコホートから次のコホートに2倍される(100%増加)。その後の投与量の増加は、MTDが決定されるまで50%以下である。投与量の絶対的なパーセント増加は、先の投与量コホートに見られたあらゆる毒性の種類及び重症度に基づいて、臨床試験チームにより決定される。出現しつつあるデータに基づいて保証される場合、代替の投薬スケジュール(例えば、1日1回又は1日3回)を調査できる。MTDは、6名の対象のうち2名未満にDLTを起こす、最高の投与量である。
【0264】
DLTが、用量漸増期の間に全く確認されない場合、用量漸増を、PK/PDの進行中の評価及び観察される臨床活性により決定して、予測される最大の生物学的有効投与量より高い2つの投与量レベルで継続して、推奨される第2相投与量を決定できる。
【0265】
潜在的に臨床的に意義がある投与量で治療される対象の数を最適化するために、対象内の用量漸増が許可される。推奨される第2相投与量の決定後に、それぞれおよそ12名の対象の3つの拡大コホート(特定の血液系悪性腫瘍適応症における)を、その投与量で治療する。拡大コホートの目的は、特定の疾病適応症における推奨される第2相投与量の安全性及び忍容性を評価及び確認することである。これらのコホートに登録された対象は、-3日から第1日のPK/PD評価を受けるように求められないという点を除き、用量漸増コホートにおける対象と同じ手順を受ける。
【0266】
化合物1の計画される試験投与量を表2にまとめる。この試験の出発投与量は、およそ12時間ごとに投与される30mg(遊離塩基等価強度)である。先の投与量レベルの安全性、忍容性、及びPK/PDデータの評価に基づき、表2に明示されていない中間の投与量レベルで漸増が起こることも決定することができる。
表2:用量漸増スキーム
【表24】
* 化合物1を、15、30、60、120、240、又は480mg遊離塩基等価強度投与量として与える(例えば、コホートレベル1において、36mgの化合物1は30mgの遊離塩基化合物3に等価である)。
1 28日サイクルの第1〜28日に、単剤として1日2回(およそ12時間ごと)経口投与される。出現しつつあるデータに基づいて保証される場合、代替の投薬スケジュール(例えば、1日1回又は1日3回)を調査できる。
2 投与量レベル1 (30mg)でDLTが観察される場合、第2のコホートの投与量を15mg (投与量レベル-1)に減少させる。
3 化合物1関連NCI CTCAEグレード2以上の毒性が観察されるまで、投与量の連続的な倍加。事象(複数可)の評価後に、MTDが決定されるまで、引き続いた50%以下の投与量の増加。投与量の絶対増加パーセントは、先の投与量コホートに見られた毒性の種類及び重症度に基づいている。用量漸増は決して100%を超えない。
4 6名の対象のうち2名未満にDLTを起こす最高投与量と定義される。DLTが特定されない場合、PK/PDの進行中の評価及び観察される臨床活性により決定して、予測される最大の生物学的有効投与量を超える2つの投与量レベルで投薬を継続して、推奨される第2相投与量を決定できる。
5 それぞれ特定の血液系悪性腫瘍適応症にある12名の対象の3コホートを含むため。
【0267】
出現しつつあるデータに基づいて保証される場合、代替の投薬スケジュール(例えば、1日1回又は1日3回)を、表3に示される通り調査できる。
表3:用量漸増スキーム
【表25】
1 28日サイクルの第1〜28日に、単剤として1日2回(およそ12時間ごと)経口投与される。
2 28日サイクルの第1〜28日に、単剤として1日1回経口投与される。好都合なPKプロファイルである、40時間より長い平均血漿半減期が、1日1回投薬の可能性を導いた。
* 化合物1を、30、50、75、100、又は150mg遊離塩基等価強度投与量として与える(例えば、コホートレベル1において、36mgの化合物1は30mgの遊離塩基化合物3に等価である)。
【0268】
対象は、試験薬治療の開始に先立つ28日以内にスクリーニング手順を受けて、適格性が決定される。スクリーニング手順は、医学的、外科的、及び医薬品の履歴、白血病芽球中のIDH2変異の確認(以前に文書化されていない場合)、身体診察、バイタルサイン、米国東部腫瘍学共同研究グループ(ECOG)パフォーマンスステータス(PS)、12誘導心電図(ECG)、左室駆出率(LVEF)の評価、臨床検査評価(血液学的、化学的、凝固、尿検査、及び血清妊娠試験)、骨髄生検及び/又は穿刺液、並びに2-HG測定のための血液及び尿試料を含む。
【0269】
化合物1の1日2回投薬を開始する3日前(-3日)に、用量漸増期の各コホートに登録された最初の3名の対象は、化合物1の単回投与を診療所で受け、連続的な血液及び尿の試料が、化合物1、その代謝物、及び2-HGの血液及び尿濃度を決定するために得られる。全体で72時間のPK/PDプロファイルを実施する。対象には、-3日に試験施設に10時間留まり、-2日、-1日、及び第1日に、それぞれ24、48、及び72時間試料のために戻るように求める。-3日の診療所内期間の間に、臨床的観察並びに連続的な12誘導心電図及びバイタルサイン評価を実施する。
【0270】
化合物1による1日2回治療は、C1D1に始まる;-3日のPK/PD評価を受けなかった対象に関しては、臨床的観察並びに連続的な12誘導心電図及びバイタルサイン評価を、C1D1の彼らの最初の化合物1の投与の後に8時間かけて実施する。治療期間の間に実施される安全性評価には、身体診察、バイタルサイン、ECOG PS、12誘導心電図、LVEFの評価、及び臨床検査評価(血液学的、化学的、凝固、及び尿検査)がある。
【0271】
全対象は、C1D15とC2D1の両日、10時間の期間にわたるPK/PD評価を受ける。さらに、対象は、2-HGレベルを決定するために、隔週で1回(C1D8に開始)朝の投与の前に尿試料を自宅で回収する。
【0272】
対象は、投与の遅れ及び/若しくは投与の中断にかかわらず、スクリーニング時、第15日、第29日、及び第57日、並びに試験薬治療を受けている間その後56日ごとに、並びに/又は疾病の進行が疑われるときはいつでも、骨髄生検及び/又は穿刺液並びに末梢血を含み、自身の疾病の程度を評価してもらう。治療に対する応答は、改変された国際作業部会(IWG)の急性骨髄性白血病(AML)の応答基準に基づいて、治験責任医師により決定される。
【0273】
対象は、疾病の進行、DLTの発生、又は他の許容し得ない毒性の発生まで、化合物1による治療を継続できる。全対象は、治療終了評価(試験薬の最終投与のおよそ5日以内)を受けるものとする。さらに、経過観察評価が、最終投与の28日後に予定されている。
【0274】
およそ57名の対象が試験に登録されると推定される。これは、MTDの特定には、6名の対象を要するMTDを例外として、投与量レベルあたり3名の対象のみで化合物1の6つの投与量レベルの評価を要し(n=21)、拡大期にコホートあたり12名の対象を登録する(n=36)ことを仮定している。用量漸増の間のコホート拡大のために、評価不可能な対象の交代のために、又は計画された漸増スキーム以外の代替投薬レジメン若しくはMTDの評価のために、追加の対象を必要とすることがあり、推奨される第2相投与量を最適化できる。
【0275】
患者は、臨床試験に登録されるために以下の包含基準の全てを満たさなければならない。1)対象は年齢18歳以上でなくてはならない;2)対象は、a)世界保健機関(WHO)基準により定義される再発性及び/又は原発性難治性AML、b)未治療のAML、60歳以上であり、治療医師によると、年齢、パフォーマンスステータス、及び/又は有害な危険因子のため、標準治療の候補でなく、メディカルモニターの承認がある、c)過剰芽細胞を伴う不応性貧血(サブタイプRAEB-1又はRAEB-2)を伴うか、又は改訂国際予後予測スコアリングシステム(IPSS-R)(Greenbergらの文献(Blood. 2012;120(12):2454-65))により高リスクであると考えられる、再発性又は不応性である骨髄異形成症候群を含む進行性血液系悪性腫瘍を有さなくてはならないか、或いは、患者は、治療医師によると、その病態に臨床的有益性を与えると知られている確立された療法に忍容性が無く(すなわち患者は、臨床的有益性を与えると知られているレジメンの候補になってはいけない)、メディカルモニターの承認がある、並びに、d)包含/除外基準を満たす、他の再発性及び/又は原発性難治性血液系癌、例えばCMMLを有する対象は、個別に考慮され得る;3)対象は、施設評価(local evaluation)に基づいた、文書化されたIDH2遺伝子変異疾患を有しなければならない。IDH2遺伝子変異に関する白血病芽細胞の分析は、治験施設の施設検査室によるスクリーニング時(以前に評価されていない場合)に評価されることになっており、試験に対する対象の適格性が決定される。治験施設が、IDH2遺伝子変異分析のための施設検査室アクセスを有さない場合、中央検査施設評価が許容され得る。治療前腫瘍試料(血液及び/又は骨髄から)が、スクリーニングされた全対象に、中央検査施設バイオマーカー分析のために必要である。腫瘍試料(血液又は骨髄から)の遺伝子変異分析は、治療終了来院(End of Treatment visit)時に繰り返され、中央検査施設にバイオマーカー分析のために提出されることになっている;4)対象は、試験の間、連続的な骨髄生検、末梢血の採取、及び検尿に応じなければならない(AML又はMDSの診断及び評価は、コア生検が得られない、且つ/又は標準治療の一部でない場合、骨髄穿刺によりなされ得る。骨髄生検は、ドライタップ又は吸引の失敗(主に希釈)の場合に必要である);5)対象又はその法定代理人は、インフォームドコンセントを理解し、署名できなければならない;6)対象は0〜2のECOG PSを有さなければならない;7)血小板数≧20,000/μL(このレベルを得るための輸血は許容される)。基礎にある悪性腫瘍のために、ベースライン血小板数が20,000/μL未満である対象は、メディカルモニターの承認により適格となる;8)対象は、下記により証明される充分な肝機能を有さなくてはならない、a)血清総ビリルビン≦1.5×基準値上限(ULN)(ジルベール病又は白血病の臓器病変(organ involvement)によると考えられる場合以外)並びにb)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及びアルカリホスファターゼ(ALP)≦3.0×ULN(白血病の臓器病変によると考えられる場合以外);9)対象は、血清クレアチニン≦2.0×ULN又は、コッククロフト・ゴールトの糸球体濾過率(GFR)推定:(140-年齢)×(kgで表される体重)×(0.85、女性の場合)/72×血清クレアチニンに基づくクレアチニンクリアランス>40mL/分により証明される充分な腎機能を有さなくてはならない;10)対象は、以前の手術、放射線療法、又は癌の治療が意図された他の療法の臨床的に意義がある毒性作用から回復していなくてはならない。(残存するグレード1毒性、例えばグレード1末梢神経障害又は残存する脱毛症を有する対象は、メディカルモニターの承認により受け入れられる);並びに11)生殖能力を有する女性の対象は、療法の開始前7日以内に血清妊娠試験で陰性でなければならない。生殖能力を有する対象は、生物学的に妊娠する能力があるものと定義される。出産可能な女性並びに生殖能力のある男性とそのパートナーは、試験の間及び化合物1の最終投与後90日間(女性及び男性)、性交を控えるか、又は有効な形態の避妊を利用することに同意しなければならない。
【0276】
化合物1を、1日2回又は1日1回経口投与される5、10、50、及び200mg遊離塩基等価強度錠剤として与える。錠剤は、それぞれ、6、12、60、及び240mgの化合物1を含む。
或いは、化合物1は、25、50、100、及び/又は150mg遊離塩基等価強度錠剤としても与えることができる。これらの錠剤は、それぞれ、30、60、120、及び/又は180mgの化合物1を含む。
【0277】
試験の用量漸増部分における各コホートの最初の3名の対象は、-3日に試験薬の単回投与を受けるだろう;彼らの次の投与量の試験薬はC1D1に投与され、その時に対象は28日サイクルの第1〜28日の1日2回(およそ12時間ごと)の投薬を開始する。C1D1に始めて、投薬は連続的である。サイクル内の休薬期間はない。-3日のPK/PD評価を受けるように求められていない対象は、化合物1による1日2回投薬(およそ12時間ごと)をC1D1に開始するだろう。
【0278】
対象は、試験薬投与の2時間前、及び試験薬投与後1時間は、絶食するように求められる(水は許可される)。
対象に投与される化合物1の投与量は、対象が試験に適格になった時に、どの投与量コホートが登録のために開いているかによる。対象の第1コホートに投与される化合物1の出発投与量は、1日2回経口投与される30mg(遊離塩基等価強度)である。
対象は、疾病の進行、DLTの発生、又は他の許容し得ない毒性の発生まで、化合物1による治療を継続できる。
【0279】
(評価基準)
(安全性)
12誘導心電図(ECG)は、スクリーニング時、サイクル1の第8、15、及び22日、サイクル2の第1及び15日、その後の各治療サイクルの第1日に、治療終了来院時、及び経過観察来院時に得ることになっている。さらに、連続的な12誘導心電図は、試験治療の最初の投与(すなわち、72時間PK/PDプロファイルを受ける対象では-3日、又は-3日の評価に出席しない対象ではC1D1)の後に、以下の時点:投与前、及び試験薬の朝の投与後の投与後30±10分並びに2、4、6、及び8時間(±15分)で得ることになっている。連続的なECGは、バイタルサイン評価の後に得るべきである。対象には、これらの日にクリニックで、彼らの投与量の化合物1を服用するように指示するべきである。12誘導心電図は、3分間の横臥の後に得るべきである。
【0280】
対象は、超音波心臓検査図(ECHO)又は多関門集積スキャン(MUGA)により、C1D1の28日以内に、左室駆出率(LVEF)を測定してもらうものとする。反復評価は、C3D1、その後の全ての他の治療サイクルの第1日(例えば、C5D1、D7D1など)、治療終了来院時、及び経過観察来院時に実施するものとする。LVEFを評価するのと同じ手順を、試験全体を通して実施しなければならない。
【0281】
以下の療法は試験の間許可されない:(1)他の抗新生物療法(ヒドロキシウレアは、WBCが30,000/μLを超える対象において末梢の白血病芽球の初期の制御のために、登録前、及び化合物1投薬開始後28日まで許可される)。代替療法が対象の疾病の治療のために要求される場合、該対象は化合物1治療を中止すべきである;(2)コルチコステロイド、ただし局所皮膚、眼科用、鼻腔内、及び吸入ステロイドを例外とする(短期間のステロイド療法は、例えば、分化症候群などの併存疾患を治療するために許可される.);(3)QT間隔を延長することが知られている医薬品:アミオダロン、三酸化ヒ素、アステミゾール、アジスロマイシン、ベプリジル、クロロキン、クロルプロマジン、シサプリド、シタロプラム、クラリスロマイシン、ジソピラミド、ドフェチリド、ドンペリドン、ドロペリドール、エリスロマイシン、エスシタロプラム、フレカイニド、ハロファントリン、ハロペリドール、イブチリド、レボメタジル、メソリダジン、メタドン、モキシフロキサシン、ペンタミジン、ピモジド、プロブコール、プロカインアミド、キニジン、セボフルラン、ソタロール、スパルフロキサシン、テルフェナジン、チオリダジン、又はバンデタニブ;(4)治療域が狭い敏感なCYP基質医薬品:パクリタキセル(CYP2C8)ワルファリン、フェニトイン(CYP2C9)、S-メフェニトイン(CYP2C19)、チオリダジン(CYP2D6)、テオフィリン、及びチザニジン(CYP1A2)。他のCYP2C8、2C9、2C19、2D6、及び1A2基質の共投与は、医学的に必要な場合のみ使用すべきである;並びに(5)P-pg及びBCRPトランスポーターに敏感な基質ジゴキシン及びロスバスタチン。他のP-gp又はBCRP基質の共投与は、医学的に必要な場合のみ使用すべきである。
【0282】
以下の消耗品は、第1日の投薬前7日以内又は試験の間許可されない:(1)処方箋なしの(OTC)医薬品(日常的なビタミンを除く)、(2)フルーツジュース、(3)炭火であぶった肉、及び(4)アブラナ科(mustard green family)の野菜(例えば、ケール、ブロッコリー、クレソン、カラードグリーン、コールラビ、芽キャベツ、カラシ)。
以下の消耗品は、第1日の投薬前14日以内又は試験の間許可されない:(1)柑橘類の果物、例えば、ダイダイ、グレープフルーツ又はグレープフルーツジュース及び/又はザボン、外来の柑橘類の果物、又はグレープフルーツハイブリッド、並びに(2)赤ワイン。
セント・ジョーンズ・ワートの消費は、第1日の投薬前28日以内又は試験の間許可されない。カフェイン含有又はキサンテン含有食品又は飲料の消費は、投薬前48時間から投薬後6日まで許可されない。
【0283】
先に明示されたもの以外の医薬品及び治療は、試験の間許可される。基礎的な悪性腫瘍の介入性の病状及び合併症は、全て、標準治療に従って治療される。対象は、必要に応じて、鎮痛剤、鎮吐剤、抗感染薬、解熱薬、及び血液製剤を服用すべきである。追加の許可される医薬品には下記がある、(1)成長因子(顆粒球コロニー刺激因子[G-CSF]、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子[GM-CSF])は、発熱及び/又は感染を伴う用量制限グレード4好中球減少症又はグレード3好中球減少症を発症した対象を支えるために使用できる。エリスロポエチンの使用は、米国臨床腫瘍学会指針に従って許可される(Rizzoらの文献(Blood. 2010;116(20):4045-59));(2)ヒドロキシウレアは、WBCが30,000/μLを超える対象において末梢の白血病芽球の初期の制御のために、登録前、及び化合物1投薬の開始後28日まで許可される;及び(3)保証されている場合、標準治療として、分化症候群の治療のためのステロイド。
【0284】
化合物1は、直接的及び間接的な日光に対する感受性を起こし得る。患者に、直接的な日光の曝露を避けるように警告すべきである。15分より長い日光への曝露が予測される場合、露出している部分にファクター30以上の日焼け止めを塗布し、保護性の衣類及びサングラスを着用するように、患者に指示すべきである。
【0285】
DLT、重篤な有害事象(SAE)、及び中止に至るAEの決定を含むAE;安全性臨床検査パラメーター;身体診察所見;バイタルサイン;12誘導心電図;LVEF;及びECOG PSを、臨床試験の間モニタリングする。ECOG PSの決定は、スクリーニング時、-3日(72時間PK/PDプロファイルを受ける対象)、サイクル1の第1日及び第15日、その後の各治療サイクルの第1日、治療終了来院時、並びに経過観察来院時に実施する。AEの重症度は、NCI CTCAE、バージョン4.03により評価する。
【0286】
有害事象(AE)のモニタリングを、試験全体にわたって実施する。有害事象及び重症な有害事象(SAE)を、インフォームドコンセントに署名した時から最終試験薬投与の28日後まで電子症例報告書(eCRF)に記録する。さらに、治療後28日より後に起こる、もしかすると、又はまず間違いなく試験治療に関連すると評価されるSAEも報告されることになっている。全AEは、消散するか、又は対象の安定した若しくは慢性の病態若しくは介入性の疾病(複数可)によるものであると明らかに決定されるまで、モニターしなくてはならない。
【0287】
有害事象(AE)は、薬物関連とみなされてもそうでなくても、ヒトにおける薬物の使用に関連するあらゆる不都合な医療上の出来事である。AE(有害経験(adverse experience)とも呼ばれる)は、因果関係について判断せずに、薬物の使用と時間的に関連している、あらゆる不都合で意図されない徴候(例えば、異常な臨床検査所見)、症状、又は疾病であり得る。AEは、薬物の使用から(例えば、適応外使用、別な薬物と組み合わせた使用)、及びあらゆる投与経路、製剤、又は過剰投与を含む投与量から起こり得る。
【0288】
疑われる有害反応は、薬物がAEを起こした合理的な可能性があるAEである。迅速な安全性報告の目的のために、「合理的な可能性」は、薬物とAEとの間の因果関係を示唆する証拠があることを意味する。予測できないAEは、事象の性質又は重症度が、該当する製品情報、例えば、試験薬概要書と一致しないものである。AE又は疑われる有害反応は、治験責任医師か治験依頼者のいずれかの見解で、以下の結果のいずれかをもたらす場合に、重篤(SAE)と考えられる:(a)死亡;(b)生死にかかわる(対象が、反応が起こった時点で反応による死の早急な危険にさらされていた、すなわち、それは、より重症な形態で起こっていたら、仮定上死を起こしていたかもしれない反応を含まない)、(c)入院患者;入院又は既存の入院の延長(試験期間中に起こるように予定されていたが、試験登録前に計画された入院及び/又は外科手術は、対象が試験に登録される前に疾病又は疾患が存在した場合、試験の間に予測できない方法で悪化しない限り(例えば、計画よりも早く実施された手術)、AEとみなされない);(d)正常な生活機能を実施する能力の持続する若しくは重大な障害又は実質的な崩壊;(e)先天性異常/先天的欠損症;又は(f)重要な医療事象(死を起こし得ないが、生死にかかわり、入院を要することがあり、適切な医学的判断に基づいて、患者若しくは対象を危険に曝すことがあり、SAEの定義に列記されている結果の1つを防ぐために医療又は外科的介入を要し得る場合にSAEとみなされ得る事象。そのような医療事象の例には、緊急処置室又は家庭での集中治療を要するアレルギー性気管支痙攣、入院患者入院に至らない血液悪液質若しくは痙攣、又は薬物依存症若しくは薬物濫用の発生がある)。
【0289】
臨床的に重要な治療下で発現した臨床検査値異常を含む全AEの強度は、NCI CTCAEバージョン4.03に従ってグレードづけする。CTCAEにより列記されていない有害事象は、以下の通りグレードづけする:(a)軽度:事象は、対象にはわかるが、通常の活動に干渉しない;(b)中程度:事象は、通常の活動に干渉するが、対症療法及び静養に応答する;(c)重症:事象は、対症療法にもかかわらず、通常の活動を実施する対象の能力を著しく制限する;(d)生死にかかわる:事象の時点で、対象が死の危険性に曝されている事象;又は(e)致死的:対象の死をもたらす事象。
【0290】
試験薬投与との関係は、以下の基準に従って、治験責任医師により決定される:(a)関連なし:試験治療への曝露が起こらなかった、若しくはAEの発生は、時間的に、合理的に関連しておらず、若しくはAEは試験治療に関連していそうでないと考えられる;(b)関連があるかもしれない:試験治療とAEとは、時間的に合理的に関連したが、AEは、試験治療への曝露以外の原因により等しく良好に説明され得る;又は、(c)たぶん関連あり:試験治療とAEは、時間的に合理的に関連しており、AEは、他の原因よりも試験治療への曝露により説明されやすかったか、若しくは試験治療はAEの最も本当らしい原因であった。
【0291】
安全性分析の目的のために、関連があるかもしれない又はたぶん関連ありと分類されたAEは全て、治療関連AEとみなされる。
起こり得る有害事象の例は、白血球増加症(例えば、グレード2超(hyper)白血球増加症、グレード3白血球増加症)、疾病関連の分化症候群、錯乱(例えば、グレード3錯乱)、及び呼吸不全(敗血症)(例えば、グレード5呼吸不全)、食欲不振(例えば、グレード3食欲不振)、悪心(例えば、グレード1悪心)、発熱、下痢(例えば、グレード3下痢)、血小板減少症、貧血、めまい、好中球減少症(例えば、発熱性好中球減少症)、末梢浮腫、敗血症、咳、疲労、点状出血、及び発疹である。
【0292】
(薬物動態及び薬力学)
連続的な血液試料を、化合物1及びその代謝物である化合物2の濃度-時間プロファイルの決定のために評価する。尿試料を、化合物1及びその代謝物である化合物2の尿排泄の決定のために評価する。血液、骨髄、及び尿試料を、2-HGレベルの決定のために評価する。
【0293】
(薬物動態評価:)
連続的な血液試料を、化合物1(及び、技術的に可能であれば、代謝物である化合物2)の循環血漿濃度を決定するために、化合物1による投薬の前後に採取する。血液試料を、2-HG濃度の決定のためにも使用する。
【0294】
用量漸増期の間のコホートに登録された最初の3名の対象では、単回投与の化合物1が-3日(すなわち、その計画されるC1D1投与の3日前)に投与される。血液試料を、化合物1の単回投与量投与の前、及び投与後の以下の時点で採取する:30分、並びに1、2、3、4、6、8、10、24、48、及び72時間。72時間の血液試料回収後、対象は、化合物1の1日2回の経口投薬を始める(すなわちC1D1)。-3日から第1日のPK/PDプロファイルは、用量漸増期に登録された追加の対象(すなわち、コホートに登録された最初の3名の対象以降の対象)では自由選択であり、拡大コホートに登録された対象では要求されない。
【0295】
全対象は、C1D15及びC2D1(すなわち、1日2回投薬の第15日及び第29日)に、10時間PK/PDサンプリングを受ける。このプロファイルのために、1つの血液試料を、その日の最初の化合物1の投与の直前に採取する(すなわち、化合物1による投薬は、臨床施設で起こる);その後の血液試料を、投薬後以下の時点で採取する:30分、並びに1、2、3、4、6、8、及び10時間。さらに、1つの血液試料を、治療終了来院時に採取する。
【0296】
出現しつつあるデータが、化合物1のPKプロファイルのより良好な特性化のためにサンプリングスキームの変更が必要であることを示す場合、血液試料を化合物1濃度決定のために採取するタイミングは変更可能である。
表4のコホート1及び2並びに表7のコホート1〜6の2-HGの循環血漿濃度を、本明細書に記載される通りに測定する。
【0297】
平均阻害は、例えば、(a)C1D15及びC2D1の10時間サンプリングの間の2-HGの平均レベルと(b)ベースライン(治療前-3日)での2-HGのレベルとの差を決定し、次いで、生じた2-HGのレベルを、(a)ベースライン(治療前-3日)での2-HGのレベルと(c)IDH-2遺伝子変異疾病のない対象における2-HGのレベルとの差で割り、それにより、IDH-2遺伝子変異疾病のない対象における2-HGのベースラインレベルに対して調整することにより、計算できる。
【0298】
IDH-2遺伝子変異疾病のない対象における2-HGのベースラインレベルに対して調整する場合、C1D15及びC2D1での10時間サンプリングは、IDH2 R140Q変異を有する患者において、ベースライン(治療前-3日)の約90%を超え、最大100%の2-HGの平均阻害を示す。例えば、表4のコホート1において、2-HGの平均阻害は、C1D15(3名の患者)で86%であり、C2D1(1名の患者)で95%である。表7のコホート1において、2-HGの平均阻害は、C1D15(4名の患者)で88%であり、C2D1(2名の患者)で97%である。表4のコホート2において、2-HGの平均阻害は、C1D15(2名の患者)で98%であり、C2D1(4名の患者)で100%である。表7のコホート2において、2-HGの平均阻害は、C1D15(3名の患者)で99%であり、C2D1(4名の患者)で100%である。表7のコホート3において、2-HGの平均阻害は、C1D15(3名の患者)で103%であり、C2D1(3名の患者)で81%である。表7のコホート4において、2-HGの平均阻害は、C1D15(3名の患者)で102%であり、C2D1(2名の患者)で101%である。IDH-2遺伝子変異疾病のない対象における2-HGのベースラインレベルに対して調整する場合、C1D15及びC2D1での10時間サンプリングは、IDH2 R172K変異を有する2名の患者において、ベースライン(治療前-3日)の60%までの2-HGの平均阻害を示す(表7)。例えば、2-HGの約50%阻害が、表4の患者番号5に示される。
【0299】
或いは、平均阻害は、(a)C1D15及びC2D1での10時間サンプリングの間の2-HGの平均レベルと(b)ベースライン(治療前-3日)での2-HGのレベルとの差を決定し、次いで、生じた2-HGのレベルを、ベースライン(治療前-3日)での2-HGのレベルで割ることにより、IDH-2遺伝子変異疾病のない対象における2-HGのベースラインレベルに対する調整なしに計算できる。平均阻害を、IDH-2遺伝子変異疾病のない対象に対する調整なしに計算する場合、C1D15及びC2D1での10時間サンプリングは、IDH2 R140Q変異を有する18名の患者において、ベースライン(治療前-3日)の97%までの2HGの平均阻害を示す。C1D15及びC2D1での10時間サンプリングは、IDH2 R172K変異を有する2名の患者において、ベースライン(治療前-3日)の50%までの2HGの平均阻害を示す。
【0300】
表4のコホート1及び2並びに表7のコホート1〜6の化合物1の循環血漿濃度は、本明細書に記載される通り測定する。表4のコホート1では、-3日(化合物1の単回投与後)、C1D15、及びC2D1での10時間サンプリングは、-3日(4名の患者)での4.7 AUC0-10時間(時間×μg/mL)から、C1D15(3名の患者)での37.7AUC0-10時間(時間×μg/mL)に、及びC2D1(1名の患者)での22.6AUC0-10時間(時間×μg/mL)にと、増加した化合物1の平均血漿曝露を示す。表7のコホート1では、-3日(化合物1の単回投与後)、C1D15、及びC2D1での10時間サンプリングは、-3日(5名の患者)での4.5AUC0-10時間(時間×μg/mL)から、C1D15(4名の患者)での41.0AUC0-10時間(時間×μg/mL)に、及びC2D1(2名の患者)での47.2AUC0-10時間(時間×μg/mL)にと、増加した化合物1の平均血漿曝露を示す。表4のコホート2では、-3日(化合物1の単回投与後)、C1D15、及びC2D1での10時間サンプリングは、-3日(4名の患者)での5.4AUC0-10時間(時間×μg/mL)から、C1D15(3名の患者)での58.1AUC0-10時間(時間×μg/mL)に、及びC2D1(4名の患者)での93.8AUC0-10時間(時間×μg/mL)にと、増加した化合物1の平均血漿曝露を示す。表7のコホート2では、-3日(化合物1の単回投与後)、C1D15、及びC2D1での10時間サンプリングは、-3日(4名の患者)での5.4AUC0-10時間(時間×μg/mL)から、C1D15(3名の患者)での64.1AUC0-10時間(時間×μg/mL)に、及びC2D1(4名の患者)での97.0AUC0-10時間(時間×μg/mL)にと、増加した化合物1の平均血漿曝露を示す。表7のコホート3では、-3日(化合物1の単回投与後)、C1D15、及びC2D1での10時間サンプリングは、-3日(4名の患者)での9.0AUC0-10時間(時間×μg/mL)から、C1D15(3名の患者)での120AUC0-10時間(時間×μg/mL)に、及びC2D1(3名の患者)での146AUC0-10時間(時間×μg/mL)にと、増加した化合物1の平均血漿曝露を示す。表7のコホート4では、-3日(化合物1の単回投与後)、C1D15、及びC2D1での10時間サンプリングは、-3日(4名の患者)での8.2AUC0-10時間(時間×μg/mL)から、C1D15(3名の患者)での72.6AUC0-10時間(時間×μg/mL)に、及びC2D1(2名の患者)での87.1AUC0-10時間(時間×μg/mL)にと、増加した化合物1の平均血漿曝露を示す。
【0301】
用量漸増期の間のコホートに登録された最初の3名の対象では、尿を、化合物1の単回投与に先立つ-3日及び化合物1の単回投与後の最初の72時間にわたり回収して、化合物1(及び、技術的に可能な場合、代謝物である化合物2)が変化しないまま尿中に排出される程度の予備的な推定を与える。試料は、2-HG濃度及び尿のクレアチニン濃度のためにも分析する。
【0302】
この72時間期間の間に、5つの尿検体を得る。最初の尿検体は、化合物1投薬の前に行う(少なくとも20mL)。第2の尿検体は、化合物1投与後におよそ10時間にわたって得て、その後の8時間の尿検体は、診療機関からの開放と翌日の再診(24時間採血のため)との間に得る。第4及び第5の尿検体は、およそ48時間及び72時間の採血時に得る。さらに、尿検体(少なくとも20mL)は、治療終了来院時に起こる。
【0303】
-3日から第1日の尿回収は、用量漸増期に登録された追加の対象(すなわち、コホートに登録された最初の3名の対象以降の対象)では自由選択であり、拡大コホートに登録された対象には要求されない。
各検体の体積を測定し、記録し、尿中の化合物1濃度の決定のために中央検査施設に送る。
【0304】
(薬物動態的薬物相互作用:)
ヒト酵素表現型検査は、化合物1の代謝経路が、複数のチトクロムP450及びウリジン二リン酸(UDP)-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)を介することを示す。チトクロムP450(CYP)1A2、2C8、2C9、及び3A4並びにUGT 1A1、1A3、2B7、2B15は、全て化合物1の代謝に寄与しているように見えるが、低レベルでは、全ての代謝物ピークが定量化の限界以下である。
【0305】
化合物1及び化合物2は、ヒトCYP3A4の弱い誘導因子である。CYP1A2又はCYP2B6の誘導は、どちらの化合物にも観察されなかった。マーカー基質として使用される場合、どちらの化合物も、リファンピシンなどの強いCYP3A4誘導因子の犠牲にならないようである。これは、酵素表現型実験に見られる低い代謝回転数と一致する。
【0306】
化合物1は、CYP2C8(IC50=3.9〜4.4μM)、CYP2C9(IC50=3.7μM)、CYP2C19(IC50=6.3μM)、及びCYP 2D6(IC50=21μM)の中程度の直接阻害剤である一方で、化合物2は、CYP1A2(IC50=0.43μM)、2C8(IC50=5.3μM)、及びCYP 2C9(IC50=30μM)の中程度の直接阻害剤である。どちらの化合物も、CYP酵素の時間依存性又は代謝依存性の阻害を示さない。
【0307】
化合物1には、UGT1A1の阻害剤という特徴がある。UGT1A1 *l/*28及び*28/*28ジルベール症候群遺伝子型のその阻害を評価する。遺伝子型ごとのUGT1A1のIC50は、*1/*1、*l/*28、及び*28/*28遺伝子型に対して、それぞれ1.9、3.5、及び10μMである。Caco-2細胞アッセイにおいて、化合物1は、優れた透過性を示す(Papp>17.9×lO-6cm/秒)。B→A/A→Bの流出比率は3未満であり、Caco-2細胞を越える化合物1の能動輸送が起こりそうになく、インビトロでヒトP糖タンパク質(P-gp)又は乳癌耐性タンパク質(BCRP)の基質でないようであることを示唆する。しかし、化合物1は、P-gp(5及び100μMで、それぞれ87%及び99%)とBCRP(5及び100μMで100%)の両方の強い阻害剤である。
【0308】
(薬力学的評価:)
2-HGの循環濃度を決定するために、連続的な血液試料を、化合物1による投薬の前後に採取する。PK評価のために回収した試料を、2-HGレベルの評価のためにも使用する。さらに、対象は、スクリーニング評価時に、2-HGレベル決定のために採血される。
【0309】
出現しつつあるデータが、化合物1治療に対する2-HGの応答のより良好な特性化のためにサンプリングスキームの変更が必要であることを示す場合、血液試料が2-HG濃度決定のために採取されるタイミングは変更され得る。骨髄も、2-HGレベルのために評価する。
【0310】
2-HGの濃度の決定のために、化合物1による投薬の前後に、尿を回収する。PK評価のために-3日に回収した試料は、2-HGレベルの評価のためにも使用する。さらに、対象は、スクリーニング評価時及び治療終了来院時に、2-HGレベルの決定のために、尿試料を採取される。
【0311】
さらに、1日2回の化合物1治療を開始した後に、全対象は、2週間ごとに1回、朝の投与の前に自宅で尿試料を回収する(C1D8に開始)。少なくとも20mLの尿を、各試料で回収する。対象は、尿を保管する方法及び回収した全試料を次の来院時に診療機関に持参する方法について説明を受ける。
【0312】
各回収物の体積を測定し、記録し、尿中の2-HG濃度の決定のために中央検査施設に送る。各回収物のアリコートを、尿中のクレアチニン濃度に関して分析する。
【0313】
(臨床活性)
連続的な血液及び骨髄のサンプリングを、臨床試験の間に評価し、AMLの改訂IWG応答基準に基づいて、治療に対する応答を決定する。化合物1の臨床活性は、MDS、MDS/骨髄増殖性腫瘍(MPN)、又はAMLの改訂されたIWG 2006基準(2006 modified IWG criteria)に従って、治療に対する応答を推定することにより評価する(Cheson BDらの文献(J Clin Oncol. 2003;21(24):4642-9)、Cheson BDらの文献(Blood. 2006;108(2):419-25))。
【0314】
治療に対する疾病応答を、全血球算定及び末梢血液塗抹標本の評価と共に、骨髄穿刺液及び生検の評価により推定する。対象は、投与の遅れ及び/若しくは投与の中断にかかわらず、スクリーニング時、第15日、第29日、及び第57日、その後試験薬治療を受けている間56日ごとに、並びに/又は疾病の進行が疑われるときはいつでも、その疾病の程度を評価してもらい、記録してもらう。推定は、疾病進行以外の理由で試験を中止する対象に対して、治療終了来院時にも実施する。
【0315】
骨髄穿刺液及び生検は、投与の遅れ及び/若しくは中断にかかわらず、スクリーニング時、第15日、第29日、第57日、その後56日ごとに、疾病の進行が疑われるときはいつでも、並びに治療終了来院時に得るものとする。骨髄穿刺液及びコアサンプリングは標準治療に従って実施し、国際血液学標準協議会(International Council for Standardization in Hematology)(ICSH)ガイドライン(Lee SHらの文献(Int J Lab Hematol. 2008;30(5):349-64))に従って、試験施設の臨床検査室で分析されるべきである。骨髄コア生検及び穿刺液は、形態、フローサイトメトリー、及び核型に関して評価され、潜在的な臨床活性を推定するものとする。骨髄及び/又は末梢血芽細胞のアリコートはまた、中央検査施設で、2-HGレベル、遺伝子発現プロファイル、ヒストン及びDNAメチル化パターン、並びにメタボロミックプロファイリングに関して評価される。白血病芽細胞の評価のための末梢血は、投与の遅れ及び/若しくは中断にかかわらず、スクリーニング時、第15日、第29日、及び第57日、その後56日ごとに、疾病の進行が疑われるときはいつでも、並びに治療終了来院時に得ることになっている。細胞計数及びフローサイトメトリーを利用して、骨髄及び末梢血から回収した芽細胞の分化の状態を推定する。側方散乱光も分析して、化合物1に応答する芽細胞の複雑さを決定する。
【0316】
性別、生年月日、年齢、人種、及び民族的背景を含む対象のデモグラフィックデータを、スクリーニングの間に得る。表4は、グレード0又はグレード1のECOGパフォーマンスステータスを有する53歳から74歳(年齢中央値62.5)の10名のAML患者の臨床活性を表す。
表4:臨床活性
【表26】
* 化合物1は、30mg又は50mg遊離塩基等価強度投与量として与える(例えば、コホートレベル1において、36mgの化合物1は、30mgの遊離塩基化合物3に等価である)
1 化合物1は、1日2回(およそ12時間ごと)経口投与される単剤として、28日サイクルの第1〜28日に投与する。
2 IDH2におけるR140Q変異、IDH2におけるR172K変異、FLT3-ITD:Fms関連チロシンキナーゼ3(FLT3)遺伝子内縦列重複(ITD)、CEPBA:CCAAT/エンハンサー結合タンパク質α、NPM1:ヌクレオフォスミン(核リンタンパク質B23)、DNMT3A:DNA(シトシン-5-)メチルトランスフェラーゼ3α、ASXL1:追加的性櫛様1
3 表5に定義される通り評価された応答基準。CR:完全寛解、CRp:完全寛解、血小板回復不充分、PR:部分寛解、PD:疾病進行、NE:評価不能
【0317】
AML治療は、典型的には、2つの化学療法期に分けられる(1)見える白血病を全て除去することを目的とする寛解導入、及び(2)残存する白血病細胞を治療し、再発を予防することを目的とする強化療法(寛解後の療法)。患者再発の後には、再寛解導入が推進され得る。
【0318】
導入治療の強度は、患者の年齢及び健康に依存する。60歳未満などの若い患者では、導入は、2種の化学療法薬、シタラビン(ara-C)及びアントラサイクリン薬、例えばダウノルビシン(ダウノマイシン)又はイダルビシンなどによる治療を含むことが多い。第3の薬物、クラドリビン(ロイスタチン、2-CdA)も与えられることがある。心臓機能の低い患者は、アントラサイクリンによる治療ができないため、フルダラビン(フルダラ)又はトポテカンなどの別な化学療法薬により治療されることがある。白血病が脳又は脊髄に広がった稀な場合では、化学療法薬は、脳脊髄液(CSF)にも与えられ得る。導入は、白血病細胞だけでなく正常な骨髄細胞のほとんども破壊する。ほとんどの患者は、血球数が危険なほど低くなり、患者は非常に不調になり得る。ほとんどの患者は、抗生物質及び血液製剤注入を必要とする。白血球数を上げる薬物も使用され得る。血球数は数週間下がったままの傾向がある。通常、患者は、この時間の間入院する。
【0319】
化学療法治療の1〜2週間後、骨髄生検がとられ、骨髄細胞の数の減少及び10%未満の芽球を示すはずであるが、そうでなければさらに化学療法が与えられ得る。時として、幹細胞移植がこの時点で推奨される。骨髄生検が、骨髄細胞の数の減少及び10%未満の芽球を示す場合、2、3週以内に正常な骨髄細胞が復帰して、新たな血液細胞を作り始める。血液細胞数が回復すると、骨髄試料をとり、白血病が寛解にあるかを確認する。寛解導入は、通常白血病細胞の全てを破壊するわけでなく、少数が残存することが多い。強化療法治療がないと、数か月以内に白血病が回帰する可能性がある。
【0320】
寛解が達成されると、導入を成功とみなす。次いで、残存する白血病細胞を破壊し、再発の予防を助けるために、さらなる治療、強化療法を与える。若い患者では、AML強化療法の主要な選択肢は、数サイクルの高用量シタラビン(ara-C)(HiDACとしても知られることがある)、同種異系(ドナー)幹細胞移植、又は自家(患者自身の)幹細胞移植である。幹細胞移植の前に、患者は、全骨髄細胞を破壊する非常に高い用量の化学療法を受け、それに続いて幹細胞移植を受けて血液細胞産生を取り戻す。幹細胞移植は、白血病が再発する危険性を標準化学療法よりも低下させることが見出されたが、幹細胞移植は、治療による死の危険性増大を含む重篤な合併症をより有しやすい。
【0321】
高齢の患者又は健康状態のよくない患者は、そのような集中的な強化療法治療に耐えられないことがある。多くの場合、彼らにより集中的な療法を与えることは、利益を与えずに、重篤な副作用の危険性(治療関連死を含む)を高める。これらの患者は、1又は2サイクルの高めの用量のシタラビン(通常、若い患者ほど高用量でない)、又は中間用量Ara-C(MEC)、デシタビン、5-アザシチジン、クロファラビン、ことによるとイダルビシン若しくはダウノルビシンと共に1又は2サイクルの標準量シタラビン、又は骨髄非破壊的な幹細胞移植(ミニ移植)により治療され得る。
【0322】
表5及び表6に概説される以下の基準を、治療に対する応答を推定するのに利用する。
表5:MDSの自然史を変えるための提案される改変国際作業部会応答基準
【表27】
出典:Chesonらの文献(Blood. 2006;108(2):419-25)
略語:MDS=骨髄異形成症候群;CR=完全寛解;Hgb=ヘモグロビン;HI=血液学的改善;PR=部分寛解;FAB =フランス・アメリカ・イギリス;AML=急性骨髄性白血病;PFS=無増悪生存期間;DFS=無病生存期間。
備考:IWG応答基準に対する削除は示されていない。
備考:ヘモグロビンをg/Lからg/dLに変えるには、g/Lを10で割ること。
*異形成変化は、正常範囲の異形成変化を考慮するべきである(改変)。
†IWG応答基準(Chesonらの文献(J Clin Oncol. 2003;21(24):4642-9))の改変。
‡場合によって、プロトコル療法は、4週間の期間の前に、さらなる治療(例えば、強化療法、維持)の開始を要することがある。そのような対象は、療法が始まる時点で適合する応答カテゴリーに含めることができる。反復化学療法クールの間の一過性の血球減少症は、先のクールの改善されたカウントに戻る限り、効果の持続性を中断するものとみなすべきではない。
表6:血液学的改善の提案される改変国際作業部会応答基準
【表28】
出典:Chesonらの文献(Blood. 2006;108(2):419-25)
略語:Hgbはヘモグロビンを表す;RBC:赤血球;HI:血液学的改善。
備考:IWG応答基準に対する削除は示されていない。
備考:ヘモグロビンをg/Lからg/dLに変えるには、g/Lを10で割ること。
* 1週間以上あけた少なくとも2つの測定値(輸血により影響されない)の治療前のカウントの平均(改変)。
†IWG応答基準(Chesonらの文献(J Clin Oncol. 2003;21(24):4642-9))の改変。
‡急性感染、反復したクールの化学療法(改変)、胃腸の出血、溶血などの別な説明のない場合。2種の赤血球及び血小板応答が、全体として、並びに個別の応答パターンごとに報告されることが推奨される。
表8:IPSS及び新たな5群分類による細胞遺伝学分類
【表29】
Greenberg Pらの文献(「骨髄異形成症候群における予後を評価するための国際スコアリングシステム(International scoring system for evaluating prognosis in myelodysplastic syndromes)」[正誤表は、Blood. 1998;91(3): 1100に発表]。Blood
1997;89(6):2079-2088)。
Schanz Jらの文献(「2351名の骨髄異形成症候群患者の合同多施設分析は、国際予後スコアリングシステムにおける骨髄異形成症候群の高リスク細胞遺伝学的性質の過小評価を示す(Coalesced multicentric analysis of 2351 patients with myelodysplastic syndromes indicates an underestimation of poor-risk cytogenetics of myelodysplastic syndromes in the international prognostic scoring system)」J Clin Oncol 2011 ;29(15): 1963- 1970)。
-は該当せずを示す
*あらゆる染色体7異常
†クローン異常の数
【0323】
表7は、IDH2の変異対立遺伝子の存在を特徴とする進行性血液系悪性腫瘍を有する、48歳〜81歳(年齢中央値68)の、グレード0、1、又は2のECOGパフォーマンスステータスを有する全35名の患者のうち14名の患者の臨床活性を表す(安定の5名、進行の6名、評価できない10名の患者は表7に含められていない)。好中球数は、サイクル1第15日までに増加する。白血球数及び好中球数は、応答がある患者においてはサイクル2第15日までに正常範囲にある。
表7:臨床活性
【表30】
†化合物1は、30、50、75、100、又は150mg遊離塩基等価強度投与量として与える(例えば、コホートレベル1において、36mgの化合物1は、30mgの遊離塩基化合物3に等価である)
*サイクル5第1日で骨髄芽球7%。投与量は、1日2回(およそ12時間ごと)経口投与される単剤としての75mg(遊離塩基当量)に増加した。
**サイクル3第1日で骨髄芽球増加11%。投与量は、1日2回(およそ12時間ごと)経口投与される単剤としての75mg(遊離塩基当量)に増加した。
1 28日サイクルの第1〜28日に1日2回(およそ12時間ごと)経口投与される単剤として投与される化合物1。
2 28日サイクルの第1〜28日に1日1回経口投与される単剤としての化合物1。
3 試験施設の(local)推定に基づく腫瘍の遺伝学的性質。IDH2におけるR140Q変異、IDH2におけるR172K変異、FLT3-ITD:Fms関連チロシンキナーゼ3(FLT3)遺伝子内縦列重複(ITD)、CEPBA:CCAAT/エンハンサー結合タンパク質α、NPM1:ヌクレオフォスミン(核リンタンパク質B23)、DNMT3A:DNA(シトシン-5-)メチルトランスフェラーゼ3α、ASXL1:追加的性櫛様1
4 表5及び6に定義される通り評価された応答基準。CR:完全寛解、CRp:完全寛解、血小板回復不充分、CRi:完全寛解、血液学的回復不十分、PR:部分寛解、PD:疾病進行、NE:評価不能。
5 完全寛解した5名の患者は、1〜4か月の範囲で2.5か月を超える継続期間を有する。
【0324】
(統計分析)
本試験の目標は化合物1のMTDを決定することであるので、統計分析は、本質的に元来記述的である。適切な素因、デモグラフィック、ベースライン、安全性、PK、PD、及び臨床活性パラメーターに対して表を作成し、投与量レベルごと及び全体的に表す。カテゴリー変数を度数分布(対象の数及びパーセンテージ)によりまとめ、連続変数を記述統計学(平均、標準偏差、中央値、最小、及び最大)によりまとめる。
【0325】
有害事象を、医薬規制用語集(MedDRA)器官別大分類及び好ましい用語によりまとめる。全ての治療下で発現したAE(TEAE)、治療関連AE(治験責任医師により、少なくとも恐らくは薬物関連であると考えられたもの)、SAE、AEによる中止、及び少なくともグレード3重症度のAEに関して別な表を作成する。対象ごとの一覧表を、死亡、SAE、DLT、及び治療の中止につながるAEに関して作成する。
【0326】
記述統計学は、実際の値と試験中の各評価及び試験中の最後の評価に対するベースラインからの変化の両方として表される臨床検査値、ECGインターバル、LVEF、及びバイタルサインデータのために与えられる。シフト分析を、臨床検査パラメーター及びECOG PSに実施する。
【0327】
記述統計学(すなわち、対象の数、平均、標準偏差、幾何学的平均、及び変動係数、中央値、最小、及び最大)を利用して、各投与量群に対して、及び適切な場合集団全体に対してPKパラメーターを集計する。そのようなパラメーターには、Cmax、最大濃度到達時間(Tmax)、AUC、脱離半減期、未変化のまま尿中に排泄される薬物の割合がある(しかし、これらに限定されない)。投与量と、CmaxとAUCの両方との間の関係を、投与量-比例関係のために、グラフにより調査する。
【0328】
改変IWGを利用して施設の治験責任医師により推定される治療に対する応答を表にする。奏効率に対する両側90%信頼区間を、各投与量レベル及び全体に対して計算する。データを、悪性腫瘍の種類ごとに、コホート拡大期の対象に対して集計する。
【0329】
(実施例6:)
5mg及び10mg投与量強度錠剤(遊離塩基当量)は、表Aに記載されるドライブレンドプロセスを利用して製造できる。
表A
【表31】
*遊離塩基当量
【0330】
50mg及び200mg投与量強度錠剤(遊離塩基当量)は、表Bに記載される乾式造粒プロセスを利用して製造できる。
表B
【表32】
*遊離塩基当量
【0331】
25mg、50mg、100mg、及び150mg投与量強度錠剤(遊離塩基当量)は、表Cに記載される乾式造粒コモンブレンド(common blend)を利用して製造できる。
表C
【表33】
*遊離塩基当量
【0332】
上述の発明は明確さ及び理解の目的である程度詳細に説明されてきたが、これらの特定の実施態様は、説明的であり限定的でないとみなされるべきである。形態及び詳細の種々の変更が、具体的な実施態様ではなく添付される特許請求の範囲により定義されるべき本発明の真の範囲から逸脱せずになされ得ることが、本開示の解釈から当業者により認識されるだろう。
【0333】
本明細書に言及される特許及び科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立する。他に定義されない限り、本明細書に使用された全科学技術用語は、本発明が属する分野の当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に引用されている公開特許、出願、及び参考文献は、それぞれが引用により組み込まれていると具体的且つ個別に示されるかのように、引用により本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合、定義を含めて本開示が優先する。
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