特許第6743275号(P6743275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6743275-受動型の磁気的な位置センサ 図000002
  • 特許6743275-受動型の磁気的な位置センサ 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6743275
(24)【登録日】2020年7月31日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】受動型の磁気的な位置センサ
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/36 20060101AFI20200806BHJP
   G01F 23/38 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   G01F23/36
   G01F23/38
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-503327(P2019-503327)
(86)(22)【出願日】2017年7月12日
(65)【公表番号】特表2019-521363(P2019-521363A)
(43)【公表日】2019年7月25日
(86)【国際出願番号】EP2017067479
(87)【国際公開番号】WO2018015232
(87)【国際公開日】20180125
【審査請求日】2019年1月21日
(31)【優先権主張番号】102016213514.7
(32)【優先日】2016年7月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ギュンター ベナー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス カードラー
(72)【発明者】
【氏名】トアステン バーツ
【審査官】 大森 努
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−508546(JP,A)
【文献】 特開2006−267087(JP,A)
【文献】 特開2004−125497(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0006647(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第04309442(DE,A1)
【文献】 中国実用新案第203148528(CN,U)
【文献】 特開平10−223413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/36−23/38,
G01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗回路網(3)と、コンタクト素子(5,11)と、磁気素子とを備えた、タンク内の充填レベルを測定するための充填レベルセンサ(1)であって、
前記コンタクト素子(5,11)は、前記抵抗回路網(3)から離間されて配置されており、前記磁気素子は、前記抵抗回路網(3)および前記コンタクト素子(5,11)に対して移動可能であり、
前記コンタクト素子(5,11)は、前記磁気素子によって変位可能であるコンタクト領域(6,14)を有しており、
前記コンタクト領域(6,14)と前記抵抗回路網(3)との間で該コンタクト領域(6,14)の変位により、導電的接続が形成可能である、充填レベルセンサ(1)において、
前記コンタクト領域(6,14)が、前記磁気素子の磁力によって部分的に変位可能である円弧状に形成された平らな帯状要素であり、
前記コンタクト領域(6,14)は、相互に隣り合って配置されかつ相互に離間した少なくとも2つの区間(7,8,12,13)を有している
ことを特徴とする、充填レベルセンサ(1)。
【請求項2】
前記コンタクト領域(6,14)の前記区間(7,8,12,13)は、相互に導電的に接続されている、請求項1記載の充填レベルセンサ(1)。
【請求項3】
前記コンタクト領域(6,14)の前記区間(7,8,12,13)は、同じ電位で導電的に接続されている、請求項1または2記載の充填レベルセンサ(1)。
【請求項4】
前記コンタクト領域(6,14)の前記区間(7,8,12,13)は、凹部および/または貫通孔部を含まない、請求項1から3までのいずれか1項記載の充填レベルセンサ(1)。
【請求項5】
前記コンタクト領域(6,14)の相互に離間した前記区間(7,8,12,13)は、共通の磁石によって変位可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載の充填レベルセンサ(1)。
【請求項6】
前記コンタクト領域(6,14)の前記区間(7,8,12,13)と、前記抵抗回路網(3)の接触面(4)との間で導電的接触接続が形成可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の充填レベルセンサ(1)。
【請求項7】
前記コンタクト領域(6,14)の前記区間(7,8,12,13)の各々に固有の抵抗回路網(3)が割り当てられており、1つの前記区間(7,8,12,13)と、割り当てられた前記抵抗回路網(3)との間で各区間(7,8,12,13)の変位により、導電的接触接続が形成可能である、請求項1から6までのいずれか1項記載の充填レベルセンサ(1)。
【請求項8】
前記コンタクト領域(6,14)の前記区間(7,8,12,13)は、前記磁気素子の移動方向に沿った前記コンタクト領域(6,14)の分割によって形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の充填レベルセンサ(1)。
【請求項9】
前記コンタクト素子(5,11)は、複数の平らな帯状金属ストリップ(12,13)によって形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の充填レベルセンサ(1)。
【請求項10】
前記コンタクト領域(6,14)および/またはコンタクト領域(6,14)の前記区間(7,8,12,13)は、円弧状区間の形状を有し、前記円弧状区間の軸方向の延在部は、前記円弧状区間の径方向の延在部および前記円弧状区間の周方向の延在部よりも実質的に短い、請求項1から9までのいずれか1項記載の充填レベルセンサ(1)。
【請求項11】
前記抵抗回路網(3)は、相互に隣り合って配置された複数の接触面(4)を有し、前記コンタクト領域(6,14)と第1の接触面(4)との間の導電的接触接続の形成は、前記タンク内の最大充填レベルを反映する信号を生成し、前記コンタクト領域(6,14)と第2の接触面(4)との間の導電的接触接続の形成は、前記タンク内の最小充填レベルを反映する信号を生成する、請求項1から10までのいずれか1項記載の充填レベルセンサ(1)。
【請求項12】
前記第1の接触面(4)は、前記抵抗回路網(3)の第1の端部領域に形成されており、前記第2の接触面(4)は、前記抵抗回路網(3)の第2の端部領域に形成されており、前記第1の端部領域および前記第2の端部領域は、前記抵抗回路網(3)の対向端部に配置されている、請求項11記載の充填レベルセンサ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗回路網と、コンタクト素子と、磁気素子とを備えた、タンク内の充填レベルを測定するための充填レベルセンサであって、コンタクト素子は抵抗回路網から離間されて配置されており、磁気素子は抵抗回路網およびコンタクト素子に対して移動可能であり、コンタクト素子は、磁気素子によって変位可能であるコンタクト領域を有しており、コンタクト領域と抵抗回路網との間でコンタクト領域の変位により、導電的接続が形成可能である、充填レベルセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンク内の充填レベルを求めるための充填レベルセンサは、実際の充填レベルに依存して燃料タンク内の充填レベルに対応する信号を生成する抵抗回路網を有する。この目的のために、通常は、燃料タンク内の燃料の表面を浮遊し、リンク機構および摺動コンタクトを用いて抵抗回路網に作用するフロートが設けられる。充填レベルの上昇または下降に起因するフロートの移動は、リンク機構を介して摺動コンタクトに伝達され、この摺動コンタクトは、移動の結果として抵抗回路網を通過する。ここでは、摺動コンタクトの位置に依存して、様々な信号が生成される。信号の正規化と、抵抗回路網の特定の構成とにより、抵抗回路網において生成された信号から燃料タンク内の充填レベルを直接推定することができる。そのような充填レベルセンサは、従来技術において多岐にわたる方法で公知である。
【0003】
その上さらに、摺動コンタクトの代わりに、指状区間と抵抗回路網との間に電気的コンタクトが生成されるように磁力によって変位可能な複数の指状区間を有するコンタクト素子を備えた充填レベルセンサが公知である。電気的コンタクトの生成によって、信号が生成される。抵抗回路網およびコンタクト素子の構成に依存して、生成された信号により、燃料タンク内の充填レベルを直接推定することができる。そのような充填レベルセンサは、例えば独国特許出願公開第19701246号明細書から公知である。
【0004】
従来技術における装置の欠点は、特に、抵抗回路網における摺動コンタクトが、避けられない摩耗の影響下にある機械的接触接続部を意味することである。その他に、摺動コンタクトおよび抵抗回路網は、ここでは完全に燃料タンク内部の燃料内に配置されており、これにより、燃料による損傷作用の結果になる可能性がある。磁石によって変位可能である複数の指状区間を有するコンタクト素子による電気的コンタクトの生成は不利である。なぜなら、コンタクト素子は機械的障害の影響に対して非常に敏感であり、特に、コンタクト素子の取り付けおよび輸送を困難にするからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、本発明の課題は、機械的により耐久性のあるコンタクト素子を有し、同時に燃料タンク内の充填レベルに依存する可及的に正確な信号の摩耗のない生成を可能にする充填レベルセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
充填レベルセンサに関するこの課題は、請求項1の特徴を有する充填レベルセンサによって解決される。
【0007】
本発明の実施例は、抵抗回路網と、コンタクト素子と、磁気素子とを備えた、タンク内の充填レベルを測定するための充填レベルセンサであって、コンタクト素子は、抵抗回路網から離間されて配置されており、磁気素子は、抵抗回路網およびコンタクト素子に対して移動可能であり、コンタクト素子は、磁気素子によって変位可能であるコンタクト領域を有しており、コンタクト領域と抵抗回路網との間でこのコンタクト領域の変位により、導電的接続が形成可能であり、コンタクト領域が、磁気素子の磁力によって部分的に変位可能である平らな帯状要素によって形成されており、コンタクト領域は、相互に隣り合って配置されかつ相互に離間した少なくとも2つの区間を有している、充填レベルセンサに関する。
【0008】
コンタクト素子は、好ましくは第1の電位に接続されている。抵抗回路網は、第1の電位とは異なる第2の電位に接続されている。コンタクト素子と抵抗回路網との間の接触接続によって、電気回路を閉成することができ、これによって信号が生成される。抵抗回路網は、それぞれオーミック比抵抗を有する複数の接触面を有する。コンタクト素子がどの接触面に接触するかに依存して、電気的比抵抗を有する信号が生成される。次いで、比抵抗の信号を、充填レベルに割り当てることができる。このことは、コンタクト素子と抵抗回路網との間の電気的接触接続が、レバーアームとこれに接続されたフロートとに接続された磁石によって生成され、これによって磁石がフロートの位置に依存して移動するために可能である。
【0009】
コンタクト素子は、有利な実施形態では、抵抗回路網から電気的に絶縁されてこの抵抗回路網に隣り合うように配置されている。抵抗回路網は、例えば支持体基板上に配置されてもよい。コンタクト素子は、接続の目的のために好ましくは接続領域を有する。この接続領域は、例えば、支持体基板および/または抵抗回路網への恒久的な接続を可能にする開口部または凹部を有する。コンタクト素子は、さらに、可撓性でかつコンタクト素子の開始位置から接続領域に依存することなく変位可能であるコンタクト領域を有する。コンタクト領域は、抵抗回路網のコンタクト素子とは反対側を磁石が通過することによって、コンタクト素子の変位またはコンタクト素子のコンタクト領域の変位が起き、これによって、物理的な接触接続がコンタクト領域と抵抗回路網との間で生じるように抵抗回路網上に配置されている。
【0010】
コンタクト領域は、例えば相互に平行に延びかつ相互に依存することなく変位可能である少なくとも2つの区間を有する。これらの2つの区間は、共通の磁石によって変位させることができ、これによって実際上、冗長性が生まれる。そのため、例えば1つの区間が損なわれた場合に、それぞれ他の区間がさらに適正な信号を生成することができる。また、1つの区間と抵抗回路網との間の電気的回路の閉成の結果として生成される信号も、これらの信号の正当性の検証のために相互に補償することができる。この目的のために、これらの区間の各々には、それぞれ独立した信号を生成することができかつ比較を実行することができるようにするために、固有の抵抗回路網を割り当ててもよい。
【0011】
好ましくは、コンタクト素子は、非変位状態において実質的に1つの平面内に配向されている平らな帯状要素である。磁石により、この帯状コンタクト素子は開始位置から変位され、抵抗回路網の方向に引き付けられる。ここでは、コンタクト素子の部分的な変形またはコンタクト領域の1つの区間の部分的な変形が発生する。コンタクト領域の区間の可撓性は、一方では区間と抵抗回路網との間の距離が変位によって橋絡でき、他方では抵抗回路網の接触面のうちの1つとの電気的接触接続が行われる限り、各区間の規定の画定領域のみが変位するように構成される。好ましい実施形態では、コンタクト領域の区間は、相並んで相互に直接隣り合う複数の接触面が変位によって同時に接触接続するように形成されてもよい。
【0012】
特に好ましくは、コンタクト領域の区間は、相互に導電的に接続されている。区間相互の導電的接続により、2つの区間を同じ電位に接続させることが保証できる。したがって、1つの区間が故障した場合、少なくともそれぞれ他の区間からの信号を受け取り続ける。
【0013】
代替的実施形態では、好ましくは、コンタクト領域の区間は、同じ電位で導電的に接続されている。このことは、故障安全性を保証するのに有利である。複数の区間が同じ電位に接続されているので、それらは、抵抗回路網との接触接続の際にもそれぞれ同じ信号を生成する。したがって、冗長的信号が生成され、そのため、個々の信号の欠落ケースも複数の区間のうちの1つによって何の影響も受けることなく補償することができる。
【0014】
また、コンタクト領域の区間が、凹部および/または貫通孔部を含まないことも好ましい。凹部および/または貫通孔部を含まないコンタクト領域またはコンタクト領域の個々の画定区間は、製造が特に簡単であるため、特に好ましい。さらに、これにより、コンタクト領域または区間は、製造および輸送中に非常に高い堅牢性を有する。また、取り付けの際に、コンタクト領域または区間の全表面を電気的接触接続の形成のために使用することができるので、コンタクト領域または区間と抵抗回路網との間で高精度の整合を実施する必要はない。
【0015】
さらに好ましくは、コンタクト素子または区間はプラスチックから形成されているか、またはコンタクト素子は金属材料から形成されている。コンタクト素子がプラスチックから形成されている限り、金属被覆は抵抗回路網に面する側に被着されている。好ましくは、プラスチックからなるコンタクト素子には、磁力によって特に容易に引き付け可能である要素を設けてもよい。
【0016】
その上さらに好ましくは、コンタクト領域の相互に離間した区間は、共通の磁石によって変位可能である。このことは、ひいては、磁石の各位置に依存して全ての区間が均等に引き付けられることを保証するので有利である。このことは、冗長的信号の生成の保証を支援する。
【0017】
さらに好ましくは、コンタクト領域の区間と、抵抗回路網の接触面との間で導電的接触接続が形成可能である。このことは、タンク内の充填レベルに関する予測を可能にする電気信号を生成するために必要である。
【0018】
また好ましくは、コンタクト領域の各区間に固有の抵抗回路網が割り当てられており、1つの区間と、割り当てられた抵抗回路網との間で各区間の変位により、導電的接触接続が形成可能である。このことは、充填レベルセンサの故障に対する高い安全性を形成するのに有利である。2つの独立した抵抗回路網は、同じ電位にまたは相互に異なる電位に接続されてもよい。
【0019】
その上さらに好ましくは、コンタクト領域の区間は、磁気素子の移動方向に沿ったコンタクト領域の分割によって形成されている。好ましくは永久磁石である磁気素子は、フロートも取り付けられているレバーアームの移動を介して円弧状の軌道を移動する。なぜなら、レバーアームは固定的な回転軸周りに回転可能に支承されているからである。この円弧状の軌道に沿った分離の延在により、区間も同様に円弧状の軌道に沿って延びることができ、ひいては円弧状の軌道に沿って抵抗回路網全体を越えて延びることができる。したがって、これらの区間を、抵抗回路網の第1の端部領域における接触面にも、好ましくは抵抗回路網の対向端部に配置されている抵抗回路網の第2の端部領域における接触面にも接触接続する状態にすることができる。
【0020】
さらに好ましくは、コンタクト素子は、複数の平らな帯状金属ストリップによって形成されている。このことは、コンタクト素子の特に簡単な構成を促進させる。個々の帯状金属ストリップは、好ましくは平らで円弧状に形成されており、これによって、この帯状金属ストリップは、磁石の移動軌道を追従することができる。
【0021】
さらに好ましくは、コンタクト領域および/またはコンタクト領域の区間は、円弧状区間の形状を有し、円弧状区間の軸方向の延在部は、円弧状区間の径方向の延在部および円弧状区間の周方向の延在部よりも実質的に短い。
【0022】
円弧状区間は特に好ましい。なぜなら、充填レベルを求めるために使用されるレバーアームが回転軸周りで回転可能に支承されているからである。磁石はレバーアームと直接関連しているか、または少なくともこれによって移動される。その結果、それに沿って磁石が回転軸周りのレバーアームの回転の際に移動する軌道も同様に円弧状を表す。それゆえ、磁石が常に抵抗回路網およびコンタクト素子からほぼ変わらない距離で案内されることを保証するために、円弧状区間としての構成は好ましい。
【0023】
径方向は、円弧状区間の関連する円の中心から外周に向かって延びる。周方向は、円弧状区間に属する円の周面に沿って延び、軸方向は、関連する円によって拡張された平面上に生じる面法線に沿って延びる。
【0024】
軸方向の非常に短い延在部および径方向のより長い延在部および周方向のさらに著しく長い延在部を有する構成によって、特に薄いコンタクト素子または特に薄いコンタクト領域が生じる。径方向の延在部は理想的には、コンタクト領域が抵抗回路網の接触面を完全に覆うくらいに大きい。しかしながら、代替的実施形態では、径方向の延在部は、径方向の接触面の延在部より短くてもよい。
【0025】
好ましい実施形態は、径方向および軸方向の特に短い延在部によって特徴付けられている。コンタクト素子またはコンタクト領域は、ここではワイヤ状要素として形成されている。この断面は、例えば円形状または矩形状に構成されてもよい。
【0026】
コンタクト領域の複数の区間において特に好ましくは、個々の各区間は、円弧状区間の形状を有する。好ましくは、抵抗回路網、および特に抵抗回路網の接触面も同様に円弧状区間の形状を有する。
【0027】
また好ましくは、抵抗回路網は相互に隣り合って配置された複数の接触面を有しており、コンタクト領域と第1の接触面との間の導電的接触接続の形成は、タンク内の最大充填レベルを反映する信号を生成し、コンタクト領域と第2の接触面との間の導電的接触接続の形成は、タンク内の最小充填レベルを反映する信号を生成する。
【0028】
そのような抵抗回路網およびコンタクト素子の構造により、完全に空の状態から最大限充填された状態までの全スペクトルにわたる充填レベルの検出を行うことができる。充填レベルに依存して、レバーアームを介して磁石に接続されているフロートの位置が変化する。したがって、このフロートの位置変化により、磁石の位置も変化し、これによってコンタクト素子は、異なる接触面に導電的に接触接続する状態にされる。これにより、生成された信号、特にここでは比抵抗値が、磁石の位置に対して正確に割り当てられている場合には、充填レベルに関する予測を当てることも可能である。
【0029】
さらに好ましくは、第1の接触面は、抵抗回路網の第1の端部領域に形成されており、第2の接触面は、抵抗回路網の第2の端部領域に形成されており、第1の端部領域および第2の端部領域は、抵抗回路網の対向端部に配置されている。
【0030】
このことは、タンク内の最大充填レベルから最小充填レベルまたは空のタンク状態までのすべての充填レベルを、各抵抗回路網を介して順次連続してマッピングできるようにするのに有利である。例えば、最大充填レベルは、特に高い電気的比抵抗に対応し、それに対して空のタンク状態は、特に低い電気的比抵抗に対応する。そのため、接触面の電気的比抵抗の適切な段階付けを介して、充填レベルの段階的な測定を行うことができる。より多く接触面を設けるほど、より正確に充填レベルを測定することができ、またはより詳細な解像度を実行することができる。
【0031】
また好ましくは、コンタクト領域の区間を、それぞれ抵抗回路網の第1の接触面とも第2の接触面とも導電的接触接続させることができる。このことは、コンタクト領域の個々の区間を介して、最大充填レベル、つまり満タン状態から最小充填レベル、つまり空のタンク状態までの全充填レベルをマッピングできるようにするのに必要である。これによりコンタクト領域の各区間は、独立してタンク内の各充填レベルを反映することができる。したがって、相互に平行に配置されている複数の区間にわたって冗長性を生成することができる。
【0032】
本発明の好ましい発展形態は、従属請求項および以下の図面の説明に記載されている。
【0033】
以下では、本発明を、図面を参照して実施例に基づきより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】コンタクト素子が弧状に延びる凹部によって2つの区間に分割されたコンタクト領域を有する充填レベルセンサの平面図である。
図2】コンタクト領域が2つの弧状要素から形成され、弧状の各要素がコンタクト領域の1つの区間を表す充填レベルセンサの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、充填レベルセンサ1の平面図を示す。この充填レベルセンサ1は、その上に配置された抵抗回路網3を有する基板2を有する。図2からは、個々の接触面4が全て個々の構造形態を有していることが認識できる。これにより、それらは抵抗回路網3の内部でそれぞれ1つの一意的な電気的比抵抗を有している。したがって、常に、測定された電気抵抗を、複数の接触面4のうちの1つに割り当てることが可能である。
【0036】
抵抗回路網3の上方には、コンタクト素子5が配置されている。コンタクト素子5は、左右の端部側でスペーサ要素の接続領域15に接続されており、したがって抵抗回路網3から離間されている。コンタクト素子5はコンタクト領域6を有する。コンタクト領域6は、その下方に存在する抵抗回路網3を、下方の抵抗回路網3に向かうコンタクト領域6の変位によって接触面4との導電的接触接続が形成可能であるように、覆っている。基板2の下方の磁石の位置に応じて、コンタクト領域6のそれぞれ1つの限られた領域が変位される。
【0037】
コンタクト領域6は2つの区間7および8を有し、これらの区間はコンタクト素子5の弧状に延びる凹部9によって相互に分離されている。弧状の凹部9は、磁石の移動方向に沿って延びる。区間7および8は、相互に依存することなく抵抗回路網3に向かう方向に変位することができる。区間7または8が変位されるかどうか、あるいは区間7および8が同時に変位されるかどうかは、磁石の大きさと位置付けとに依存する。磁石が相応して広幅に形成されている、かつ/または相応して強い磁力を有している限り、磁石は区間7および8を個別にまたは同時に変位させることができる。
【0038】
好ましい実施形態では、磁石はピン状に形成されており、区間7の下方でも区間8の下方でも案内されるので、これらの2つの区間7および8は、それぞれ抵抗回路網3の同じ接触面4と接触接続する。したがって、これらの2つの区間7および8からは、同じ電気的比抵抗を有するそれぞれ1つの同じ信号が生成される。このようにして、冗長性が生まれ、この冗長性は、例えば、一方の区間7または8の損傷を、それぞれ他の区間7または8によって補償することができるものであろう。
【0039】
図1の実施例では、2つの部分7および8は同じ電位に接続されている。同様に、1つのみの共通の抵抗回路網3も区間7および8の下方に配置されている。本発明による好ましい発展形態では、相互に電気的に分離され依存しない抵抗回路網が区間の下方に配置されてもよい。この場合は、複数の区間のうちのそれぞれ1つを、複数の抵抗回路網のうちの1つと導電的接続させることができる。そのような配置構成は、相互に依存しない測定を可能にするであろう。このことは、生成された信号の適正さの直接的な検査の実施に有利に使用することができる。区間の電位が同じで、抵抗回路網とその接触面の比抵抗値が同じであれば、磁石の特定の位置において両システムからは同じ信号が生成されるべきであろう。そのため、システムの逸脱を検出することができ、場合によっては誤った表示を修正することができる。
【0040】
図1に示すコンタクト素子5の縁部領域10は、コンタクト素子5の安定性を高めるために設けられてもよい。しかしながら、図1の描写は、充填レベルセンサの例示的な好ましい実施形態を表しているだけである。
【0041】
図2は、特に異なる構成のコンタクト素子11を有する充填レベルセンサ1を示す。基板2およびその接触面4を有する抵抗回路網3は、図1の要素と同一であり、それゆえ同一の参照符号が使用される。
【0042】
コンタクト素子11は、弧状の形状を有する2つの個々のストリップ12および13を有する。弧状ストリップ12,13が従う半径は、抵抗回路網3の形状、特に接触面4の配置構成によって定められている。これらのストリップ12,13は、コンタクト素子11のコンタクト領域14を形成する。
【0043】
2つのストリップ12,13は、コンタクト素子11のコンタクト領域の区間を形成する。これらの2つの区間12,13は、端部側で接続領域に収容されており、例えばスペーサ要素によって抵抗回路網3から離間されている。これらの区間12,13は、同じ電位に接続されてもよいし、あるいは相互に異なる電位に接続されてもよい。この場合、これらの区間12,13は、相互に電気的に絶縁されて配置されている。
【0044】
抵抗回路網3は、図1で既に説明したように個々のものであってもよいし、あるいは2つの相互に依存しない抵抗回路網によって形成されてもよい。
【0045】
図1および図2は、本発明による充填レベルセンサの例示的な図を示す。これらの図面は限定的な特性を有するものではなく、特に材料の選択、幾何形状および配置構成に関して、解決手段の空間を狭めるものではない。図面に示されている個々の特徴および特許請求の範囲に記載されている特徴は、本発明の核心的考察から逸脱することなく、これらの図面とは異なる方法で相互に組み合わせることも可能である。
図1
図2