【課題を解決するための手段】
【0006】
充填レベルセンサに関するこの課題は、請求項1の特徴を有する充填レベルセンサによって解決される。
【0007】
本発明の実施例は、抵抗回路網と、コンタクト素子と、磁気素子とを備えた、タンク内の充填レベルを測定するための充填レベルセンサであって、コンタクト素子は、抵抗回路網から離間されて配置されており、磁気素子は、抵抗回路網およびコンタクト素子に対して移動可能であり、コンタクト素子は、磁気素子によって変位可能であるコンタクト領域を有しており、コンタクト領域と抵抗回路網との間でこのコンタクト領域の変位により、導電的接続が形成可能であり、コンタクト領域が、磁気素子の磁力によって部分的に変位可能である平らな帯状要素によって形成されており、コンタクト領域は、相互に隣り合って配置されかつ相互に離間した少なくとも2つの区間を有している、充填レベルセンサに関する。
【0008】
コンタクト素子は、好ましくは第1の電位に接続されている。抵抗回路網は、第1の電位とは異なる第2の電位に接続されている。コンタクト素子と抵抗回路網との間の接触接続によって、電気回路を閉成することができ、これによって信号が生成される。抵抗回路網は、それぞれオーミック比抵抗を有する複数の接触面を有する。コンタクト素子がどの接触面に接触するかに依存して、電気的比抵抗を有する信号が生成される。次いで、比抵抗の信号を、充填レベルに割り当てることができる。このことは、コンタクト素子と抵抗回路網との間の電気的接触接続が、レバーアームとこれに接続されたフロートとに接続された磁石によって生成され、これによって磁石がフロートの位置に依存して移動するために可能である。
【0009】
コンタクト素子は、有利な実施形態では、抵抗回路網から電気的に絶縁されてこの抵抗回路網に隣り合うように配置されている。抵抗回路網は、例えば支持体基板上に配置されてもよい。コンタクト素子は、接続の目的のために好ましくは接続領域を有する。この接続領域は、例えば、支持体基板および/または抵抗回路網への恒久的な接続を可能にする開口部または凹部を有する。コンタクト素子は、さらに、可撓性でかつコンタクト素子の開始位置から接続領域に依存することなく変位可能であるコンタクト領域を有する。コンタクト領域は、抵抗回路網のコンタクト素子とは反対側を磁石が通過することによって、コンタクト素子の変位またはコンタクト素子のコンタクト領域の変位が起き、これによって、物理的な接触接続がコンタクト領域と抵抗回路網との間で生じるように抵抗回路網上に配置されている。
【0010】
コンタクト領域は、例えば相互に平行に延びかつ相互に依存することなく変位可能である少なくとも2つの区間を有する。これらの2つの区間は、共通の磁石によって変位させることができ、これによって実際上、冗長性が生まれる。そのため、例えば1つの区間が損なわれた場合に、それぞれ他の区間がさらに適正な信号を生成することができる。また、1つの区間と抵抗回路網との間の電気的回路の閉成の結果として生成される信号も、これらの信号の正当性の検証のために相互に補償することができる。この目的のために、これらの区間の各々には、それぞれ独立した信号を生成することができかつ比較を実行することができるようにするために、固有の抵抗回路網を割り当ててもよい。
【0011】
好ましくは、コンタクト素子は、非変位状態において実質的に1つの平面内に配向されている平らな帯状要素である。磁石により、この帯状コンタクト素子は開始位置から変位され、抵抗回路網の方向に引き付けられる。ここでは、コンタクト素子の部分的な変形またはコンタクト領域の1つの区間の部分的な変形が発生する。コンタクト領域の区間の可撓性は、一方では区間と抵抗回路網との間の距離が変位によって橋絡でき、他方では抵抗回路網の接触面のうちの1つとの電気的接触接続が行われる限り、各区間の規定の画定領域のみが変位するように構成される。好ましい実施形態では、コンタクト領域の区間は、相並んで相互に直接隣り合う複数の接触面が変位によって同時に接触接続するように形成されてもよい。
【0012】
特に好ましくは、コンタクト領域の区間は、相互に導電的に接続されている。区間相互の導電的接続により、2つの区間を同じ電位に接続させることが保証できる。したがって、1つの区間が故障した場合、少なくともそれぞれ他の区間からの信号を受け取り続ける。
【0013】
代替的実施形態では、好ましくは、コンタクト領域の区間は、同じ電位で導電的に接続されている。このことは、故障安全性を保証するのに有利である。複数の区間が同じ電位に接続されているので、それらは、抵抗回路網との接触接続の際にもそれぞれ同じ信号を生成する。したがって、冗長的信号が生成され、そのため、個々の信号の欠落ケースも複数の区間のうちの1つによって何の影響も受けることなく補償することができる。
【0014】
また、コンタクト領域の区間が、凹部および/または貫通孔部を含まないことも好ましい。凹部および/または貫通孔部を含まないコンタクト領域またはコンタクト領域の個々の画定区間は、製造が特に簡単であるため、特に好ましい。さらに、これにより、コンタクト領域または区間は、製造および輸送中に非常に高い堅牢性を有する。また、取り付けの際に、コンタクト領域または区間の全表面を電気的接触接続の形成のために使用することができるので、コンタクト領域または区間と抵抗回路網との間で高精度の整合を実施する必要はない。
【0015】
さらに好ましくは、コンタクト素子または区間はプラスチックから形成されているか、またはコンタクト素子は金属材料から形成されている。コンタクト素子がプラスチックから形成されている限り、金属被覆は抵抗回路網に面する側に被着されている。好ましくは、プラスチックからなるコンタクト素子には、磁力によって特に容易に引き付け可能である要素を設けてもよい。
【0016】
その上さらに好ましくは、コンタクト領域の相互に離間した区間は、共通の磁石によって変位可能である。このことは、ひいては、磁石の各位置に依存して全ての区間が均等に引き付けられることを保証するので有利である。このことは、冗長的信号の生成の保証を支援する。
【0017】
さらに好ましくは、コンタクト領域の区間と、抵抗回路網の接触面との間で導電的接触接続が形成可能である。このことは、タンク内の充填レベルに関する予測を可能にする電気信号を生成するために必要である。
【0018】
また好ましくは、コンタクト領域の各区間に固有の抵抗回路網が割り当てられており、1つの区間と、割り当てられた抵抗回路網との間で各区間の変位により、導電的接触接続が形成可能である。このことは、充填レベルセンサの故障に対する高い安全性を形成するのに有利である。2つの独立した抵抗回路網は、同じ電位にまたは相互に異なる電位に接続されてもよい。
【0019】
その上さらに好ましくは、コンタクト領域の区間は、磁気素子の移動方向に沿ったコンタクト領域の分割によって形成されている。好ましくは永久磁石である磁気素子は、フロートも取り付けられているレバーアームの移動を介して円弧状の軌道を移動する。なぜなら、レバーアームは固定的な回転軸周りに回転可能に支承されているからである。この円弧状の軌道に沿った分離の延在により、区間も同様に円弧状の軌道に沿って延びることができ、ひいては円弧状の軌道に沿って抵抗回路網全体を越えて延びることができる。したがって、これらの区間を、抵抗回路網の第1の端部領域における接触面にも、好ましくは抵抗回路網の対向端部に配置されている抵抗回路網の第2の端部領域における接触面にも接触接続する状態にすることができる。
【0020】
さらに好ましくは、コンタクト素子は、複数の平らな帯状金属ストリップによって形成されている。このことは、コンタクト素子の特に簡単な構成を促進させる。個々の帯状金属ストリップは、好ましくは平らで円弧状に形成されており、これによって、この帯状金属ストリップは、磁石の移動軌道を追従することができる。
【0021】
さらに好ましくは、コンタクト領域および/またはコンタクト領域の区間は、円弧状区間の形状を有し、円弧状区間の軸方向の延在部は、円弧状区間の径方向の延在部および円弧状区間の周方向の延在部よりも実質的に短い。
【0022】
円弧状区間は特に好ましい。なぜなら、充填レベルを求めるために使用されるレバーアームが回転軸周りで回転可能に支承されているからである。磁石はレバーアームと直接関連しているか、または少なくともこれによって移動される。その結果、それに沿って磁石が回転軸周りのレバーアームの回転の際に移動する軌道も同様に円弧状を表す。それゆえ、磁石が常に抵抗回路網およびコンタクト素子からほぼ変わらない距離で案内されることを保証するために、円弧状区間としての構成は好ましい。
【0023】
径方向は、円弧状区間の関連する円の中心から外周に向かって延びる。周方向は、円弧状区間に属する円の周面に沿って延び、軸方向は、関連する円によって拡張された平面上に生じる面法線に沿って延びる。
【0024】
軸方向の非常に短い延在部および径方向のより長い延在部および周方向のさらに著しく長い延在部を有する構成によって、特に薄いコンタクト素子または特に薄いコンタクト領域が生じる。径方向の延在部は理想的には、コンタクト領域が抵抗回路網の接触面を完全に覆うくらいに大きい。しかしながら、代替的実施形態では、径方向の延在部は、径方向の接触面の延在部より短くてもよい。
【0025】
好ましい実施形態は、径方向および軸方向の特に短い延在部によって特徴付けられている。コンタクト素子またはコンタクト領域は、ここではワイヤ状要素として形成されている。この断面は、例えば円形状または矩形状に構成されてもよい。
【0026】
コンタクト領域の複数の区間において特に好ましくは、個々の各区間は、円弧状区間の形状を有する。好ましくは、抵抗回路網、および特に抵抗回路網の接触面も同様に円弧状区間の形状を有する。
【0027】
また好ましくは、抵抗回路網は相互に隣り合って配置された複数の接触面を有しており、コンタクト領域と第1の接触面との間の導電的接触接続の形成は、タンク内の最大充填レベルを反映する信号を生成し、コンタクト領域と第2の接触面との間の導電的接触接続の形成は、タンク内の最小充填レベルを反映する信号を生成する。
【0028】
そのような抵抗回路網およびコンタクト素子の構造により、完全に空の状態から最大限充填された状態までの全スペクトルにわたる充填レベルの検出を行うことができる。充填レベルに依存して、レバーアームを介して磁石に接続されているフロートの位置が変化する。したがって、このフロートの位置変化により、磁石の位置も変化し、これによってコンタクト素子は、異なる接触面に導電的に接触接続する状態にされる。これにより、生成された信号、特にここでは比抵抗値が、磁石の位置に対して正確に割り当てられている場合には、充填レベルに関する予測を当てることも可能である。
【0029】
さらに好ましくは、第1の接触面は、抵抗回路網の第1の端部領域に形成されており、第2の接触面は、抵抗回路網の第2の端部領域に形成されており、第1の端部領域および第2の端部領域は、抵抗回路網の対向端部に配置されている。
【0030】
このことは、タンク内の最大充填レベルから最小充填レベルまたは空のタンク状態までのすべての充填レベルを、各抵抗回路網を介して順次連続してマッピングできるようにするのに有利である。例えば、最大充填レベルは、特に高い電気的比抵抗に対応し、それに対して空のタンク状態は、特に低い電気的比抵抗に対応する。そのため、接触面の電気的比抵抗の適切な段階付けを介して、充填レベルの段階的な測定を行うことができる。より多く接触面を設けるほど、より正確に充填レベルを測定することができ、またはより詳細な解像度を実行することができる。
【0031】
また好ましくは、コンタクト領域の区間を、それぞれ抵抗回路網の第1の接触面とも第2の接触面とも導電的接触接続させることができる。このことは、コンタクト領域の個々の区間を介して、最大充填レベル、つまり満タン状態から最小充填レベル、つまり空のタンク状態までの全充填レベルをマッピングできるようにするのに必要である。これによりコンタクト領域の各区間は、独立してタンク内の各充填レベルを反映することができる。したがって、相互に平行に配置されている複数の区間にわたって冗長性を生成することができる。
【0032】
本発明の好ましい発展形態は、従属請求項および以下の図面の説明に記載されている。
【0033】
以下では、本発明を、図面を参照して実施例に基づきより詳細に説明する。