特許第6743357号(P6743357)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6743357
(24)【登録日】2020年8月3日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】処理装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20200806BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20200806BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20200806BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   B41J29/38 203
   B41J29/00 Z
   G06F3/12 303
   G06F3/12 373
   H04N1/00 C
   H04N1/00 127Z
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-186654(P2015-186654)
(22)【出願日】2015年9月24日
(65)【公開番号】特開2017-61054(P2017-61054A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 昌史
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−197873(JP,A)
【文献】 特開平09−259351(JP,A)
【文献】 特開2014−160955(JP,A)
【文献】 特開2015−012520(JP,A)
【文献】 特開2015−009508(JP,A)
【文献】 特開2013−247405(JP,A)
【文献】 特開2008−148075(JP,A)
【文献】 特開2015−121927(JP,A)
【文献】 特開2005−333490(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0212770(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2006−0033159(KR,A)
【文献】 特開2013−152368(JP,A)
【文献】 特開2013−141803(JP,A)
【文献】 特開2009−301244(JP,A)
【文献】 特開2015−022663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/00
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末からの、課金装置の利用を求める利用指示であって識別情報を含む利用指示に応じて、前記課金装置が利用可能であれば前記課金装置を前記識別情報に対応付けて利用中状態とし、前記課金装置が前記利用中状態である間に前記課金装置に対して投入された金額に関する投入情報を前記識別情報と関連付けて記憶手段に記憶させる関連付け手段と、
前記ユーザ端末からの、前記識別情報と実行すべき処理を示す処理情報と含む処理実行指示に応じて実行された前記処理に関する課金の支払いを、前記記憶手段前記識別情報と関連付けて記憶されている前記投入情報が示す金額から受ける課金処理手段と、
を含む処理装置。
【請求項2】
前記処理情報は、印刷処理の対象となる文書と印刷属性とを示す印刷情報を含み、
更に、
前記印刷情報に基づいて、前記文書を前記印刷属性に従って印刷した場合の課金額を計算する計算手段と、
計算された課金額を前記ユーザ端末に通知する課金額通知手段と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記処理実行指示に係る処理を実行している間に、その処理実行指示に係る前記識別情報に関連付けられた前記投入情報が示す前記金額がその処理のための課金額に対して不足した場合に、その処理の実行を一時中止して、前記ユーザ端末に対して追加の金額の投入を指示し、この指示に応じて前記課金装置に追加の金額が投入された場合に、一時中止していた前記処理を再開する制御を行う制御手段、
を更に含む請求項1〜2のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項4】
コンピュータを、
ユーザ端末からの、課金装置の利用を求める利用指示であって識別情報を含む利用指示に応じて、前記課金装置が利用可能であれば前記課金装置を前記識別情報に対応付けて利用中状態とし、前記課金装置が前記利用中状態である間に前記課金装置に対して投入された金額に関する投入情報を前記識別情報と関連付けて記憶手段に記憶させる関連付け手段、
前記ユーザ端末からの、前記識別情報と実行すべき処理を示す処理情報と含む処理実行指示に応じて実行された前記処理に関する課金の支払いを、前記記憶手段前記識別情報と関連付けて記憶されている前記投入情報が示す金額から受ける課金処理手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等に設置された画像形成装置(例えば複合機)には、一般に、硬貨を投入するコインキットが接続されている。ユーザがコインキットにいくらかの金額を投入すると、ユーザが指示した複写等の処理を画像形成装置が実行する。
【0003】
近年、無線通信等によりユーザの端末(例えばスマートフォン)から印刷等の指示を受付可能な画像形成装置が普及しつつある。この種の画像形成装置では、ユーザは画像形成装置の前にいなくても、処理の指示を行うことができる。しかし、このために、ユーザがコインキット等の課金装置に投入した金額と、ユーザが無線等で行った処理の指示との対応付けができなくなる。
【0004】
特許文献1に開示されたプリンタ装置は、課金装置にユーザが料金を投入すると、IDを生成して表示部に表示する共に、そのIDを記憶する。ユーザは、自分の端末からプリンタ装置で印刷データを送る際に、そのIDをその印刷データと共に送る。プリンタ装置は、端末から送られてきたIDが記憶したIDであれば、印刷を実行し、投入済みの金額を消費する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−259351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、課金装置への課金状況と課金装置へ投入するユーザとを関連づける際に、提示された、ユーザを特定するための情報をユーザが処理実行指示に対応付けて画像形成装置に送る煩わしさを無くす装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、ユーザ端末からの、課金装置の利用を求める利用指示であって識別情報を含む利用指示に応じて、前記課金装置が利用可能であれば前記課金装置を前記識別情報に対応付けて利用中状態とし、前記課金装置が前記利用中状態である間に前記課金装置に対して投入された金額に関する投入情報を前記識別情報と関連付けて記憶手段に記憶させる関連付け手段と、前記ユーザ端末からの、前記識別情報と実行すべき処理を示す処理情報と含む処理実行指示に応じて実行された前記処理に関する課金の支払いを、前記記憶手段前記識別情報と関連付けて記憶されている前記投入情報が示す金額から受ける課金処理手段と、を含む処理装置である。
【0009】
請求項に係る発明は、前記処理情報は、印刷処理の対象となる文書と印刷属性とを示す印刷情報を含み、更に、前記印刷情報に基づいて、前記文書を前記印刷属性に従って印刷した場合の課金額を計算する計算手段と、計算された課金額を前記ユーザ端末に通知する課金額通知手段と、を含むことを特徴とする、請求項に記載の処理装置である。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記処理実行指示に係る処理を実行している間に、その処理実行指示に係る前記識別情報に関連付けられた前記投入情報が示す前記金額がその処理のための課金額に対して不足した場合に、その処理の実行を一時中止して、前記ユーザ端末に対して追加の金額の投入を指示し、この指示に応じて前記課金装置に追加の金額が投入された場合に、一時中止していた前記処理を再開する制御を行う制御手段、を更に含む請求項1〜2のいずれか1項に記載の処理装置である。
【0011】
請求項4に係る発明は、コンピュータを、ユーザ端末からの、課金装置の利用を求める利用指示であって識別情報を含む利用指示に応じて、前記課金装置が利用可能であれば前記課金装置を前記識別情報に対応付けて利用中状態とし、前記課金装置が前記利用中状態である間に前記課金装置に対して投入された金額に関する投入情報を前記識別情報と関連付けて記憶手段に記憶させる関連付け手段、前記ユーザ端末からの、前記識別情報と実行すべき処理を示す処理情報と含む処理実行指示に応じて実行された前記処理に関する課金の支払いを、前記記憶手段前記識別情報と関連付けて記憶されている前記投入情報が示す金額から受ける課金処理手段、として機能させるためのプログラムである。
【0012】
参考例の構成は、コンピュータを、識別情報を含んだ処理実行指示を処理装置に対して送る処理実行指示手段、ユーザからの、前記処理装置による前記処理実行指示に係る処理の実行のための料金のデポジットのために課金装置を利用する旨の要求に応じ、前記処理装置に対して前記識別情報を含んだ利用指示を送る利用指示手段、前記利用指示に対して前記処理装置から前記課金装置が利用可能である旨の応答を受けた場合に、その旨を画面表示するための制御を行う手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、課金装置への課金状況と課金装置へ入金するユーザを関連づける際に、提示された、ユーザを特定するための情報をユーザが処理実行指示に対応付けて処理装置に送る煩わしさを無くすことができる。
【0015】
請求項に係る発明によれば、ユーザが投入した金額が処理実行指示の実行のための課金額より不足した場合に、料金不足のために実行されなかった部分についての処理実行指示をユーザが改めて発しなくても、単に追加金額を投入するだけでその部分を処理装置に実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態のシステム構成の例を示す図である。
図2】ジョブ管理テーブルのデータ内容の例を示す図である。
図3】課金管理テーブルのデータ内容の例を示す図である。
図4】課金装置の利用状況を示す管理情報の例を示す図である。
図5】ジョブ実行指示を受信する際の画像形成装置の処理手順の例を示す図である。
図6】課金装置利用指示を受信する際の画像形成装置の処理手順の例を示す図である。
図7】ジョブ実行開始時の画像形成装置の処理手順の例を示す図である。
図8】ジョブ実行中に預かり金残高が不足した場合の画像形成装置の処理手順の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照して、本実施形態のシステム構成の例を説明する。
【0018】
図1に示すシステムは、画像形成装置100、ユーザ端末200、課金装置300を含む。
【0019】
画像形成装置100は、例えば、プリンタ、スキャナ、コピー機、ファクシミリ装置、またはこれらのうちの1以上を兼ね備える複合機である。ただしこれは一例に過ぎず、印刷のみ、スキャンのみ、ファクシミリのみ、といった単機能の画像形成装置や、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ等のうちの2以上の機能を備える装置等、にも本実施形態の手法は適用可能である。画像形成装置100は、WiFi(登録商標)やWiFi Direct(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の無線通信プロトコルに対応しており、無線通信プロトコルを用いてユーザ端末200と通信可能となっている。画像形成装置100は、例えばコンビニエンスストアや図書館、役所等に設置され、ユーザに対して利用のための料金を要求する。画像形成装置100は、ユーザ端末200から無線接続を介してジョブの実行指示を受け付けるため、複数のユーザ端末200から実質的に同時にジョブの実行指示を受けることもある。本実施形態では、ユーザからジョブ実行指示を受けたときに、そのユーザが画像形成装置100の操作画面を操作しているとは限らず、例えばコンビニエンスストア内の、画像形成装置100から離れた場所にいることもある。これらの点は、ジョブ実行指示を受け付けるのが画像形成装置100付属の操作画面からに限定されていた従来の装置の場合と異なる。従来装置の場合、ジョブの実行を指示したユーザが画像形成装置100の操作画面を操作していると想定されるので、そのジョブの実行指示を受け付けた際に画像形成装置100の近傍に設置された課金装置300に対して投入された金額は、そのジョブのために投入された金額であると想定できた。これに対し、本実施形態のようにユーザが自分のユーザ端末200から画像形成装置100に対して無線通信によりジョブの実行指示を送ることができる場合、そのような想定が成り立たないため、その実行を指示されたジョブと、ユーザが課金装置300に投入する金額とを、何らかの方法で関連付ける必要がある。この関連づけの仕組みついて、以下に説明する。
【0020】
ユーザ端末200は、ユーザが携帯している携帯端末であり、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC(パーソナルコンピュータ)等がその一例である。ユーザは、ユーザ端末200の無線通信機能により画像形成装置100に通信接続を行い、ユーザ端末200から画像形成装置100に対してジョブの実行指示を送ったり、そのジョブのために必要な他の処理(課金装置300の利用権取得等)を行ったりする。
【0021】
課金装置300は、画像形成装置100の利用のための料金をユーザから収受する装置である。課金装置300は、例えば硬貨や紙幣等の貨幣の投入を受ける機構を有し、ユーザから投入された貨幣の金額を計算し、計算した金額を画像形成装置100に通知する。また課金装置300は、NFC(Near Field Communication)等を用いて電子マネー等から料金を受け取る機能を有していてもよい。
【0022】
次に、画像形成装置100に対して更に詳細に説明する。画像形成装置100は、ジョブ制御部110、ジョブ管理テーブル120、課金管理テーブル130及び課金装置制御部140を有する。
【0023】
ジョブ制御部110は、画像形成装置100におけるジョブの実行を制御する。ジョブとは、画像形成装置100が行う処理のことであり、画像形成装置100が持つ画像処理機能の種類に応じて、例えば印刷ジョブ、スキャンジョブ、複写ジョブ、ファクシミリ送信ジョブ等の種類がある。ジョブ制御部110は、ユーザからジョブの実行指示を受け付け、指示されたジョブの種類に応じた機構(例えば印刷機構やスキャン機構)を動作させることで、そのジョブを実行する。またジョブ制御部110は、ユーザ端末200から印刷データを含む印刷指示を受けた場合、その印刷データ(例えばページ記述言語やPDF(Portable Document Format)等のデータ形式で記述されている)に対して解釈等の処理を行うことで、印刷機構が取扱可能なデータ形式(例えばラスター形式)に変換する。
【0024】
ジョブ制御部110は、料金計算部112及び引落指示部114を有する。料金計算部112は、ユーザから実行を指示されたジョブの実行に必要な料金の計算を行う。この料金計算は、例えばジョブの属性情報(例えば文書が白黒かカラーかを示すカラーモード、用紙サイズ、部数、文書のページ数)に基づき計算する。なお、例えば印刷データのデータ形式によっては、印刷データに対して実際に解釈等の処理を行ってみないと、各ページがカラー、白黒のどちらであるかや、文書の総ページ数が分からない場合がある。この場合、ジョブのための正確な料金の額は実際に処理して初めて分かる。したがって、料金計算部112がジョブを実際に処理する前にジョブの属性情報から計算する料金は推定(見積もり)額である。ただし、属性情報から正確に料金を計算できる印刷データ形式も存在する。
【0025】
引落指示部114は、ジョブを実行した場合に、そのジョブの実行のための課金を、ユーザが課金装置300に前もって支払った金額(預かり金)から引き落とす処理を実行する。この引き落としは、例えば1ページを印刷するごとなど、ジョブのうちの所定の大きさの部分を処理するごとに行ってもよい。
【0026】
ジョブ管理テーブル120は、ユーザから実行指示を受けたジョブの情報を管理するテーブルである。ジョブ制御部110は、ジョブの実行指示を受けると、そのジョブのための管理情報のエントリをジョブ管理テーブル120に作成し、そのエントリの各項目にそのジョブの属性を登録する。
【0027】
図2にジョブ管理テーブル120のデータ内容の一例を示す。この例では、ジョブ管理テーブル120には、ジョブごとに、ジョブID、端末ID、端末アドレス、ユーザID、対象文書、カラーモード、用紙サイズ、部数の各項目が保持される。ジョブIDは、ジョブの識別情報である。ジョブIDは、例えばジョブの実行指示を受けたときに、ジョブ制御部110が生成する。端末IDは、当該ジョブの実行指示を発したユーザ端末200の識別情報であり、そのジョブ実行指示に対応付けてユーザ端末200から送られてくる。端末IDとしては、これに限定されるものではないが、例えばユーザ端末200のMAC(Media Access Control)アドレス、又はユーザ端末200にセットされたSIM(Subscriber Identity Module)カードが保持する加入者ID番号等を用いることができる。端末アドレスは、画像形成装置100が無線通信プロトコル等を用いてユーザ端末200と通信する際に用いる、ユーザ端末200のアドレスである。端末アドレスは、例えばIPアドレスである。ユーザIDは、ユーザの識別情報である。対象文書は、そのジョブで印刷される文書(印刷データ)のファイルである。カラーモードは、そのジョブの印刷を白黒、カラーのいずれで行うかを示すモードである。用紙サイズは、そのジョブで印刷に使う用紙のサイズであり、部数は、そのジョブで文書を印刷する部数である。
【0028】
課金管理テーブル130は、画像形成装置100の利用のための課金を管理するためのテーブルである。課金管理テーブル130には、端末IDに対応づけて、その端末IDのユーザ端末200を利用するユーザから投入された課金に関する「投入情報」が記録される。図3の例では、ユーザ端末200の端末IDに対応付けて、そのユーザ端末200を持つユーザが課金装置300に投入した金額(画像形成装置100から見れば預かり金)の残高が保持される。前述の引落指示部114は、ユーザ端末200から指示されたジョブが実行された場合、課金管理テーブル130中のそのユーザ端末200に対応する預かり金残高から、実行した分の課金額を引き落とす。このように、投入情報は、ユーザから投入された金額や残高等の情報である。
【0029】
課金装置制御部140は、課金装置300から、ユーザが投入した金額の情報を受け取り、その金額を課金管理テーブル130内のそのユーザのユーザ端末200に対応する預かり金残高に反映させる処理を行う。
【0030】
また課金装置制御部140は、ユーザ端末200から課金装置300の利用権を要求する課金装置利用指示を受け取った場合、課金装置300がそのとき利用可能か(すなわち他の人が利用中かどうか)を判定し、利用可能であれば、課金装置300をそのユーザ端末200のために確保する。利用不可であれば、課金装置300は現在利用できない(他の人が利用中)である旨をユーザ端末200に通知する。
【0031】
課金装置300が利用可能かどうかを判定するために、課金装置制御部140は、課金装置300を現在使用しているユーザの情報(すなわちそのユーザのユーザ端末200の端末ID)を管理している。この管理情報の例を図4に示す。図4の例は、コインキット(貨幣を収受する装置)と電子マネーリーダーの2種類の課金装置300が画像形成装置100に接続されている場合の例である。この例の管理情報には、コインキットと電子マネーリーダーのそれぞれについて、現在その課金装置を使用中のユーザの端末ID(図中の「使用中の端末ID」)が示されている。図示例では、コインキットは端末ID「1」のユーザにより使用中であるが、電子マネーリーダーは誰も使用していない(すなわち「空き」)状態である。ユーザ端末200から課金装置利用指示が到来した場合、課金装置制御部140はこの管理情報を参照してその指示に応答する。図4の例のように課金装置300が複数存在する場合、この応答は、利用可能な課金装置300がどれであるかを示す情報、あるいは全ての課金装置300が利用不可であること示す情報である。利用可能な課金装置300が複数存在する場合には、ユーザがユーザ端末200にてそのうちのいずれを利用するかを選択し、その選択結果を課金装置制御部140に通知する。課金装置制御部140は、通知された選択結果に従い、図4の管理情報中のユーザが選択した課金装置300の「使用中の端末ID」の値を「なし」から、そのユーザ端末200の端末IDへと書き換える。
【0032】
次にユーザ端末200の構成の例について説明する。ユーザ端末200は、印刷アプリ210と端末ID保持部220とを有する。
【0033】
端末ID保持部220は、そのユーザ端末200の端末IDを保持している。例えば、ユーザ端末200が有する通信モジュールやSIMカードがその一例である。
【0034】
印刷アプリ210は、ユーザ端末200から画像形成装置100を利用するために用いられるアプリケーションプログラムである。印刷アプリ210は、ジョブ実行指示部212、ジョブ料金表示部214、課金装置利用指示部216、課金装置状態表示部218の各機能モジュールを有する。
【0035】
ジョブ実行指示部212は、画像形成装置100に対して印刷等のジョブの実行指示を送信する。例えば、ユーザがユーザ端末200で印刷アプリ210を起動し、ユーザ端末200内に記憶されている文書ファイルや、インターネット上のウェブページ等のコンテンツの印刷を印刷アプリ210のユーザインタフェースに対して指示したとする。すると、ジョブ実行指示部212が、端末ID保持部220中の端末IDと、画像形成装置100との通信に用いているそのユーザ端末200の通信アドレス(「端末アドレス」)と、印刷対象の文書を特定する情報(例えば文書ファイルそのもの、又はインターネット上のコンテンツのURL等)と、を含んだジョブ実行指示データを画像形成装置100に送る。
【0036】
ジョブ料金表示部214は、画像形成装置100から通知(後述する図6のS212等)されるジョブの必要量金額の情報をユーザ端末200のディスプレイに表示する。
【0037】
課金装置利用指示部216は、課金装置300の利用権を要求する利用指示を画像形成装置100に送る。この例では、従来のコイン投入式の課金装置を備えた画像形成装置の運用と同様、まずユーザが印刷等のジョブのためにある程度の金額の貨幣を課金装置300に前払い(デポジット)して初めて、画像形成装置100がジョブの実行を開始することとしている(なお、クレジットカードのような信用決済を用いる場合は、別のジョブ実行制御を行ってもよい)。このため、ジョブ実行指示部212から画像形成装置100にジョブ実行指示を送っただけではジョブの実行は開始されず、ジョブ実行開始のためには課金装置300にある程度に金額を投入する必要がある。本実施形態では、携帯型のユーザ端末200から無線接続等で画像形成装置100に対してジョブ実行指示を行った後、印刷アプリ210が、課金装置利用指示を発するためのUI(ユーザインターフェース)画面をユーザ端末200のディスプレイに表示する。そのUI画面に対してユーザが課金装置利用指示を行う旨の指示(例えば表示されている送信ボタンの押下操作)を行うと、課金装置利用指示部216は、端末ID保持部220内の端末IDを含んだ、課金装置利用指示を画像形成装置100に送信する。
【0038】
課金装置状態表示部218は、課金装置利用指示部216が送信した課金装置利用指示に対して、画像形成装置100の課金装置制御部140から応答された課金装置300の状態等を表示する。例えば、課金装置利用指示を送ったときに、課金装置300が利用不可であれば、課金装置制御部140から課金装置300は現在利用できない旨が通知されるので、その通知された情報をユーザ端末200の画面に表示する。課金装置利用指示を送ったときに、課金装置300が利用可能であれば、課金装置300を当該ユーザのために予約し速やかに貨幣を投入するよう促す通知が課金装置制御部140から到来し、課金装置状態表示部218は、その通知をディスプレイに表示する。
【0039】
また、図4の例のように画像形成装置100に複数の課金装置300が接続されている場合、画像形成装置100の課金装置制御部140は、課金装置利用指示に対して、それら複数の課金装置300のうちいずれが利用可能であるかを示す応答を返す。この場合、課金装置状態表示部218は、その応答に従い、利用可能な課金装置300のリストを表示する。ユーザは、そのリストの中から今回の支払いに利用する課金装置300を選択する。選択結果は、課金装置利用指示部216から課金装置制御部140へと送られる。
【0040】
以下、本実施形態のシステムにおける処理の流れを説明する。以下の例では、説明を簡潔にするために、画像形成装置100に接続されている課金装置300が1つだけである場合の例を説明する。画像形成装置100に接続されている課金装置300が複数ある場合は、以下に例示する手順に対し、複数の画像形成装置100のうち課金装置利用指示が行われた時点で利用可能なものがどれであるかを課金装置制御部140からユーザ端末200に通知するステップ、利用可能なものが複数ある場合にはその中から利用する課金装置300をユーザに選択させるステップ、を追加すればよい。
【0041】
図5を参照して、ユーザ端末200からジョブ実行指示を受けるときの画像形成装置100の処理手順の例を説明する。
【0042】
画像形成装置100は、ユーザ端末200から無線等による通信接続がなされるのを待つ(S102)。ユーザ端末200から通信接続がなされると、印刷アプリ210から送られてくる端末IDを取得する。そして、接続中のユーザ端末200を管理するために画像形成装置100が用いている接続端末リストに、取得した端末IDを登録する(S104)。その後、ジョブ制御部110は、ユーザ端末200(印刷アプリ210のジョブ実行指示部212)からジョブ実行指示を受信したか否かを判定する(S106)。ジョブ実行指示を受信した場合、ジョブ制御部110は、その指示に含まれる端末ID、端末アドレス、及びジョブ情報を、互いに対応付けてジョブ管理テーブル120(図2参照)に登録する(S108)。その後、ジョブ制御部110はS106に戻り、次のジョブについてのジョブ実行指示を受信したかどうかを判定する。S106でジョブ実行指示を受信しなかった場合、ジョブ制御部110は、ユーザ端末200からの接続が切断されたかどうかを判定する(S110)。接続が切断されなかった場合、S106に戻る。接続が切断された場合、画像形成装置100は、接続端末リストから、そのユーザ端末200の端末IDを削除し(S112)、処理を終了する。
【0043】
次に図6を参照して、ユーザ端末200から課金装置利用指示を受けるときの画像形成装置100の処理手順の例を説明する。
【0044】
画像形成装置100は、ユーザ端末200から無線等による通信接続がなされるのを待つ(S202)。ユーザ端末200から通信接続がなされると、印刷アプリ210から送られてくる端末IDを取得し、取得した端末IDを接続端末リストに登録する(S204)。その後、課金装置制御部140は、ユーザ端末200(印刷アプリ210の課金装置利用指示部216)から課金装置利用指示を受信したか否かを判定する(S206)。課金装置利用指示が受信しなかった場合(S206の判定結果がNo)、そのユーザ端末200との通信接続が切断されたかどうかを判定し(S220)、切断されていない場合はS206に戻る。切断された場合は、接続端末リストからその端末IDを削除し(S222)、処理を終了する。
【0045】
一方、課金装置利用指示を受信した場合、課金装置制御部140は、利用フラグを参照することで、課金装置300が現在利用中であるかどうかを判定する(S208)。利用フラグは、課金装置300が現在利用中であるか否かを示すフラグである。なお利用フラグの代わりに、図4に例示した管理情報を用いてももちろんよい。S208で利用中と判定した場合、課金装置利用制御部140は、ユーザ端末200に対して、課金装置300が利用中であることを示す画面の情報を含んだ応答を返す(S210)。この応答を受けたユーザ端末200では、課金装置状態表示部218が、課金装置300が利用中であることを示す画面をユーザ端末200のディスプレイに表示する。この画面を見たユーザは、しばらく待ってから再度印刷アプリ210を操作して、課金装置利用指示を送る。
【0046】
S208で課金装置300が現在利用されていない(すなわち利用フラグが「未利用」を示す値である場合)と判定した場合、課金装置制御部140は、ユーザ端末200に対して、課金装置300への料金投入を指示する指示画面の情報を含んだ応答を返す(S212)。このとき課金装置制御部140は、課金装置300の利用フラグを「利用中」にセットすると共に、これから(利用フラグが「未利用」にリセットされるまでに)課金装置300に投入される貨幣は、S204で取得した端末IDのユーザ端末200のユーザから投入されたものと認識する。課金装置制御部140は、課金管理テーブル130にその端末IDに対応するエントリを作成する(既にその端末IDに対応するエントリがある場合は作成不要)。またこのとき画像形成装置100のディスプレイに対し、課金装置300が利用予約済みであることを示す画面(例えば「課金装置は現在予約中です。投入した金額は予約者にデポジットされます。ご注意ください。」とのメッセージ)を表示してもよい。また、S212の通知を行う時点で、ジョブ制御部110の料金計算部112が、その端末IDに対応付けてジョブ管理テーブル120に登録されている、まだ実行が開始されていないジョブの課金額の見積もりを終えている場合、料金計算部112が見積もった金額を表示した料金投入指示画面をS212でユーザ端末200に提供してもよい。
【0047】
料金投入指示画面の情報を含む応答を画像形成装置100から受けたユーザ端末200では、課金装置利用指示部216が、その指示画面をユーザ端末200のディスプレイに表示する。この画面を見たユーザは、課金装置300まで行き、貨幣を投入する。料金投入指示画面に見積額が表示されている場合は、ユーザはその見積額を参考に決めた金額を課金装置300に投入すればよいし、見積額が表示されていない場合は印刷データのページ数や印刷部数、印刷条件などからユーザ自身が見積もった金額を投入すればよい。なおユーザ自身が見積った金額を投入するのは、コンビニエンスストア等に設置されている従来の画像形成装置100の支払い装置と同様の運用である。課金装置300は、投入された貨幣の金額を課金装置制御部140に通知する。課金装置制御部140は、課金装置300から投入金額の通知が来るのを待ち(S212)、通知が来ると、その通知が示す投入金額を、課金管理テーブル130内の、S204で取得した端末IDに対応するエントリの預かり金残高に追加する(S216)。
【0048】
ユーザは、貨幣の投入を終えると、課金装置300の投入終了ボタンを押下する。これに応じ、課金装置300の利用が終了した旨の通知が課金装置300から課金装置制御部140に送られる。または、課金装置300に対して貨幣が投入されない状態があらかじめ定められた時間以上続いた場合、課金装置300の利用が終了した旨の通知が課金装置300から課金装置制御部140に送られる。課金装置制御部140は、課金装置300の利用が終了した旨の通知を受けるまではユーザが料金を投入するのを待ち(S218)、その終了の通知を受け取ると、S204で認識した端末IDのユーザ端末200との通信接続が切断されているかどうかを判定し(S220)、切断されていなければS206に戻ってそのユーザ端末200から再度課金装置利用指示が到来するのを待つ(S206)。切断された場合は、接続端末リストからその端末IDを削除し(S222)、処理を終了する。
【0049】
以上に説明した図6の処理により、ユーザが投入した金額が、そのユーザの持つユーザ端末200の端末IDに対応付けて、画像形成装置100内の課金管理テーブル130に記録される。
【0050】
次に図7を参照して、画像形成装置100で新たなジョブが実行可能な状態となったときにジョブ制御部110及び課金装置制御部140が実行する処理手順の例を説明する。
【0051】
実行中の印刷や複写等のジョブが完了すると、ジョブ制御部110は、ジョブ管理テーブル120内に実行待ちのジョブがあるかどうかを調べる(S302)。実行待ちのジョブがある場合、その中で実行順が先頭のジョブの端末ID及びジョブ情報をジョブ管理テーブル120から取得する(S304)。ジョブ制御部110の料金計算部112は、取得されたジョブ情報から、そのジョブの実行に必要な料金の見積もり計算を行う(S306)。この見積もりでは、例えば、ジョブ情報に含まれる各種の情報(例えば印刷データのページ数、印刷部数、片面/両面印刷かの指定、カラー/白黒印刷かの指定等)に従い、画像形成装置100が実行する印刷等の処理の料金を求める。なお、印刷データを記述するページ記述言語の種類によっては、印刷データを最後まで実際に処理し終わるまで正確なページ数や白黒ページかカラーページか等が分からず、正確な料金の額が決まらない場合がある。S306では、印刷データのページ記述言語を最後まで処理して正確な料金額を求めてもよいが、それには時間がかかる。そこでS306では、印刷データに付随する印刷属性等の情報(データ量、カラー/白黒の指定等)から、必要な料金の額を推定するようにしてもよい。推定される金額は正確な額ではないが、仮にその推定額が正確な額を超える場合には、課金装置300から返金する等の対応をとれば問題はない。料金計算部112が求めた必要料金の見積額は、S304で取得したジョブ情報中のジョブID及び端末IDと共に、課金装置制御部140に渡される。
【0052】
ジョブ制御部110は、課金管理テーブル130から、S304で取得した端末IDに対応する預かり金残高を取得し、その残高額がS306で見積もったジョブの必要額より少ないかどうかを判定する(S308)。残高が必要額以上である場合(S308の判定結果がNo)、ジョブ制御部110はそのジョブの実行を開始し、その実行が進むにつれて(例えば1ページ印刷するごとに)、引落指示部114が、実行した部分の料金をその端末IDに対応する預かり金残高から引き落とす(S314)。
【0053】
S308で、その端末IDに対応する預かり金残高が必要額より少ないと判定した場合、ジョブ制御部110は、S304から取得したジョブ情報からユーザ端末200の通信アドレスを取得する(S310)。そしてその通信アドレスに対して、見積もった必要額と預かり金残高の差額、すなわち料金の不足分、の追加投入の依頼通知を送信する(S312)。この通知を受け取ったユーザ端末200のジョブ料金表示部214は、その通知に示される不足金額を課金装置300に追加投入するよう要請するメッセージをユーザ端末200のディスプレイに表示する。ユーザは、課金装置300に対して、表示された不足額を投入する。S312の後、画像形成装置100の処理はS308に戻り、ユーザが課金装置300に貨幣を投入すると、その投入金額が課金管理テーブル130の当該ユーザの端末IDのエントリの預かり金残高に加算される。不足額の投入が終わると、S308の判定で、預かり金残高がジョブ実行のための必要額以上となり、S314にてそのジョブの実行が開始され、課金の引き落としが行われる。
【0054】
次に、図8を参照して、ジョブ実行中に預かり金残高に不足が生じた場合の、画像形成装置100の処理手順の例を説明する。図7のS306で見積もられたジョブのための料金額、実際に必要な額よりも少なかった場合に、図8の手順が実行されることになる。
【0055】
図8の手順では、ジョブ実行中に、実行した部分の料金を預かり金残高から引き落としていく過程で、残高に不足が発生した(例えば実行した部分の料金が残高より多くなった)場合、S402の判定結果がYesとなる。この場合、ジョブ制御部110は、そのジョブの実行を一時提示し(S404)、ジョブ管理テーブル120からそのジョブのジョブIDに対応する端末ID及び端末アドレスを取得する(S406)。またジョブ制御部110の料金計算部112は、ジョブの残りの部分の実行に必要な料金の額を計算する(S408)。ジョブの実行を開始してから預かり金残高の不足が検知されるまでの間には、ジョブのページ記述言語の処理がかなりの部分まで進んでいる(印刷済みのページ以降についてもある程度のページまで、場合によっては最後のページまで、ページ記述言語の処理が終了している)ので、S408では、ジョブの残りの部分のために必要な料金をかなり高い精度で見積もることができる。この見積もりの後、S310で取得した端末アドレスに対して、見積もった必要額の追加投入の依頼通知を送信する(S410)。この依頼通知を受け取ったユーザ端末200のジョブ料金表示部214は、その通知に示される料金を課金装置300に追加投入するよう要請するメッセージをユーザ端末200のディスプレイに表示する。この表示に示される料金をユーザが課金装置300に投入すると、課金管理テーブル130におけるそのユーザ端末200の預かり金残高が必要額以上となる(S412の判定結果がNo)。その結果、ジョブ制御部110が、そのジョブの実行を開始し、課金の引き落としを行う(S414)。
【0056】
以上、本発明の実施形態を説明した。本実施形態では、画像形成装置100が、通信相手のユーザ端末200の端末IDを認識することで、ジョブ実行指示や課金装置利用指示がどの端末IDからのものであるかを把握する。これにより、ジョブ実行指示の対象であるジョブと、課金装置利用指示に応じて利用を許可した課金装置300に対して投入された金額とが、端末IDを介して互いに対応付けられる。そのジョブの実行のための料金は、そのジョブに対応する端末IDに対応付けられた投入金額(預かり金残高)から引き落とされる。この一連の流れは、画像形成装置100とユーザ端末200と間で自動的に実行され、ユーザ自身が明示的に支払金額をジョブに対応付ける操作を行う必要はない。
【0057】
以上の例では、投入情報(ユーザか投入された金額の残高等)をユーザ端末200の端末IDと対応付けて記録したが、これは一例に過ぎない。
【0058】
例えば、端末IDの代わりに、当該ユーザ端末200を利用しているユーザのユーザIDを用いてもよい。この場合、印刷アプリ210のジョブ実行指示部212は、ユーザ端末200のオペレーティングシステム等からユーザIDを取得し、そのユーザIDを含んだジョブ実行指示データを画像形成装置100に送る。また課金装置利用指示部216は、(端末IDの代わりに)そのユーザIDを含んだ課金装置利用指示を送り、画像形成装置100は、その課金装置利用指示に対応するタイミングでユーザから課金装置に投入された金額を、図6のS216でそのユーザIDに対応する残高に加算する。そして、画像形成装置100は、蓄積しているジョブ実行指示データに対応するジョブを実行した場合に、そのジョブ実行指示データに含まれるユーザIDに対応づけて記録されている残高からそのジョブの課金を引き落とす。
【0059】
また、端末IDやユーザIDの代わりに、印刷対象のジョブの識別情報(ジョブID)等と行った他の識別情報を用いてもよい。用いる識別情報は、(1)1台の画像形成装置100を同時並行して利用する複数台のユーザ端末200の間で重複しないこと、(2)1台のユーザ端末200は、1回の印刷のためのジョブ実行指示データの送信、課金の投入等、といった一連の処理の中で同じ識別情報を画像形成装置100に送信すること、満たすものであればよい。上記(2)の条件を満たすようユーザ端末200が動作することで、ユーザが投入した課金が、そのユーザが発したジョブと対応づけられる。また端末IDは、上記(1)の条件を満たすもっとも分かりやすい例である。ユーザIDやジョブIDも、上記(1)の条件を満たすように定めることができる。
【0060】
以上に例示した画像形成装置100及びユーザ端末200の情報処理機構は、汎用のコンピュータに当該装置の各機能モジュールの処理を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、HDD(ハードディスクドライブ)を制御するHDDコントローラ、各種I/O(入出力)インタフェース、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース等が、たとえばバスを介して接続された回路構成を有する。また、そのバスに対し、例えばI/Oインタフェース経由で、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのディスクドライブ、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのメモリリーダライタ、などが接続されてもよい。上に例示した各機能モジュールの処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク等の通信手段経由で、ハードディスクドライブ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。
【0061】
<補遺>
本明細書に開示した技術は、以下に示す構成として捉えることもできる。
(構成1)
ユーザ端末から、識別情報と実行すべき処理を示す処理情報とを含む処理実行指示を取得する取得手段と、
ユーザ端末から前記識別情報を含む課金投入指示を受けた場合に、その課金投入指示に応じて課金装置に投入された金額を、前記識別情報と対応づけて記録する投入金額記録手段と、
前記取得手段が取得した前記処理実行指示に含まれる処理情報に応じた処理を実行した場合の課金を、前記処理実行指示に含まれる前記識別情報に対応付けて前記投入金額記録手段が記録した金額に対する課金として処理する課金処理手段と、
を含む画像形成装置。
【符号の説明】
【0062】
100 画像形成装置、110 ジョブ制御部、112 料金計算部、114 引落指示部、120 ジョブ管理テーブル、130 課金管理テーブル、140 課金装置制御部、200 ユーザ端末、210 印刷アプリ、212 ジョブ実行指示部、214 ジョブ料金表示部、216 課金装置利用指示部、218 課金装置状態表示部、220 端末ID保持部、300 課金装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8