特許第6743480号(P6743480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

特許6743480ガス供給装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置
<>
  • 特許6743480-ガス供給装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置 図000002
  • 特許6743480-ガス供給装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置 図000003
  • 特許6743480-ガス供給装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置 図000004
  • 特許6743480-ガス供給装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置 図000005
  • 特許6743480-ガス供給装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置 図000006
  • 特許6743480-ガス供給装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置 図000007
  • 特許6743480-ガス供給装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6743480
(24)【登録日】2020年8月3日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】ガス供給装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20200806BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   F25D23/00 302Z
   F25D11/00 101D
【請求項の数】3
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-96974(P2016-96974)
(22)【出願日】2016年5月13日
(65)【公開番号】特開2017-203608(P2017-203608A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2019年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 眞帆
(72)【発明者】
【氏名】亀井 紀考
(72)【発明者】
【氏名】池宮 完
(72)【発明者】
【氏名】山本 晃二
(72)【発明者】
【氏名】藤本 祐介
(72)【発明者】
【氏名】仲野 政賢
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−200489(JP,A)
【文献】 特開昭62−131170(JP,A)
【文献】 特開平04−041315(JP,A)
【文献】 特開平10−215764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
F25D 11/00
F25D 17/04
A01F 25/00
A23B 7/00 〜 7/16
A23L 3/3418
B01D 53/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸を行う植物(15)が収納されるコンテナ(11)に設けられ、
空気中の窒素成分を吸着する吸着剤が内部に収容された2つの吸着筒(34,35)と、
一方の吸着筒(34,35)に外気を加圧した加圧空気を供給することによって該吸着筒(34,35)を加圧し、該吸着筒(34,35)において加圧空気中の窒素成分を上記吸着剤に吸着する吸着動作を行わせる加圧ポンプ機構(31a)と、他方の吸着筒(35,34)内から空気を吸引することによって該吸着筒(35,34)を減圧し、該吸着筒(35,34)において吸着剤に吸着している窒素成分を脱着する脱着動作を行わせる減圧ポンプ機構(31b)とを有するエアポンプ(31)と、
上記加圧ポンプ機構(31a)の吐出口と上記各吸着筒(34,35)とに接続された加圧通路(42)と、
上記吸着筒(34,35)において上記吸着動作と上記脱着動作を交互に行って脱着動作により生成した窒素濃縮空気を上記コンテナ(11)の庫内に供給するように上記減圧ポンプ機構(31b)に接続された供給通路(44)と、
を備えたガス供給装置であって、
上記加圧通路(42)における加圧ポンプ機構(31a)の出口部と上記供給通路(44)における減圧ポンプ機構(31b)の出口部とに接続されたバイパス通路(47)と、該バイパス通路(47)に設けられたバイパス開閉弁(48)とを有し、上記加圧ポンプ機構(31a)を通過した加圧空気を庫内へ供給する外気導入通路(40)を備えていることを特徴とするガス供給装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記吸着筒(34,35)及びエアポンプ(31)を収納するユニットケース(36)を備える一方、
上記外気導入通路(40)の一部には、上記ユニットケース(36)の外部の空間を通る冷却部(40a)が設けられていることを特徴とするガス供給装置。
【請求項3】
呼吸を行う植物が収納されるコンテナ(11)に取り付けられ、
冷凍サイクルを行って上記コンテナの庫内空気を冷却する冷媒回路(20)と、
上記コンテナ(11)の庫内へガスを供給するガス供給装置(30)と、上記コンテナ(11)の庫内空気を庫外へ排出する排気部(46)とを有し、上記コンテナ(11)の庫内空気の組成を調節する庫内空気調節装置(60)とを備えたコンテナ用冷凍装置であって、
上記ガス供給装置(30)は、請求項1または2に記載のガス供給装置によって構成されていることを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナの庫内に窒素濃縮空気をポンプで供給するガス供給装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置に関し、特に、庫内へ窒素濃縮空気だけでなく外気と組成の等しい空気も供給する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、海上輸送等に用いられるコンテナ内の空気を冷却するために、冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えたコンテナ用冷凍装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。コンテナの庫内には、例えば、バナナやアボカド等の植物が積み込まれる。植物は、収穫後であっても、空気中の酸素を取り込んで二酸化炭素を放出する呼吸を行う。この植物の呼吸により、植物に蓄えられた養分と水分とが減少するため、呼吸量が多くなると、植物の鮮度が著しく低下する。そのため、コンテナの庫内の酸素濃度は、呼吸障害が起きない程度に低い方が好ましい。
【0003】
そこで、特許文献1には、エアポンプによって加圧すると空気中の窒素成分が吸着する吸着剤を用いて大気よりも窒素濃度の高い窒素濃縮空気を生成してコンテナの庫内に供給するガス供給装置を設け、窒素濃縮空気を庫内に供給して庫内空気の酸素濃度を低下させることによって、植物の呼吸量を低減して植物の鮮度を維持し易くすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2635535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、庫内空気の酸素濃度は、植物の呼吸によっても低下する。そのため、庫内空気の酸素濃度が、植物が呼吸障害を起こす程低下するおそれのある場合には、外気を導入して庫内空気の酸素濃度を上げる必要がある。そこで、従来のコンテナ用冷凍装置では、庫内ファンの吸込側と庫外とを繋ぐ吸気通路と、該吸気通路を開閉する吸気弁とを設け、庫内ファンの回転中に吸気弁を開くことで、庫内ファンの回転によって庫内ファンの吸込側と庫外との間に生じる圧力差を利用して外気を庫内に導入していた。
【0006】
しかしながら、コンテナの庫内空気の酸素濃度を低下させるために、窒素濃縮空気をコンテナの庫内に供給すると、庫内の圧力が外気の圧力よりも高くなる場合がある。このような場合に、吸気弁を開いても、外気を導入するどころか、吸気通路を介して庫内空気が庫外へ排出されるおそれがあった。つまり、従来の吸気部では、庫内空気の圧力が外気の圧力よりも高い場合には、コンテナの庫内に外気を導入することができなかった。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンテナの庫内へ窒素濃縮空気だけでなく外気と組成の等しい空気も供給可能なガス供給装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、呼吸を行う植物(15)が収納されるコンテナ(11)に設けられ、空気中の窒素成分を吸着する吸着剤が内部に収容された2つの吸着筒(34,35)と、一方の吸着筒(34,35)に外気を加圧した加圧空気を供給することによって該吸着筒(34,35)を加圧して該吸着筒(34,35)において加圧空気中の窒素成分を上記吸着剤に吸着する吸着動作を行わせる加圧ポンプ機構(31a)と他方の吸着筒(35,34)内から空気を吸引することによって該吸着筒(35,34)を減圧して該吸着筒(35,34)において吸着剤に吸着している窒素成分を脱着する脱着動作を行わせる減圧ポンプ機構(31b)とを有するエアポンプ(31)と、上記加圧ポンプ機構(31a)の吐出口と上記各吸着筒(34,35)とに接続された加圧通路(42)と、上記吸着筒(34,35)において上記吸着動作と上記脱着動作を交互に行って脱着動作により生成した窒素濃縮空気を上記コンテナ(11)の庫内に供給するように上記減圧ポンプ機構(31b)に接続された供給通路(44)と、を備えたガス供給装置を前提としている。
【0009】
そして、このガス供給装置は、上記加圧通路(42)における加圧ポンプ機構(31a)の出口部と上記供給通路(44)における減圧ポンプ機構(31b)の出口部とに接続されたバイパス通路(47)と、該バイパス通路(47)に設けられたバイパス開閉弁(48)とを有し、上記加圧ポンプ機構(31a)を通過した加圧空気を庫内へ供給する外気導入通路(40)を備えていることを特徴としている。
【0010】
この第1の発明では、加圧ポンプ機構(31a)と減圧ポンプ機構(31b)により2つの吸着筒(34,35)で交互に吸着動作と脱着動作が行われ、脱着動作により生成された窒素濃縮空気が、供給通路を通ってコンテナ(11)の庫内に供給される。脱着動作は2つの吸着筒(34,35)で交互に行われるので、窒素濃縮空気はコンテナ(11)の庫内へ連続して供給される。
【0011】
また、この第1の発明では、バイパス開閉弁(48)を開くことにより、外気導入通路(40)を構成するバイパス通路(47)を通って、外気と同じ組成の空気がポンプ圧でコンテナ(11)の庫内に押し込まれる。その際、加圧ポンプ機構(31a)を用いて空気を庫内へ押し込むようにしているので、減圧ポンプ機構(31b)を使って空気を庫内へ押し込むような場合に比べて、庫内への外気の導入を迅速に行える。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、
上記吸着筒(34,35)及びエアポンプ(31)を収納するユニットケース(36)を備える一方、上記外気導入通路(40)の一部には、上記ユニットケース(36)の外部の空間を通る冷却部(40a)が設けられていることを特徴としている。
【0013】
この第2の発明では、コンテナ(11)の庫内へ、外気導入通路(40)の冷却部(40a)を通って冷却された空気が供給される。
【0014】
第3の発明は、呼吸を行う植物が収納されるコンテナ(11)に取り付けられ、冷凍サイクルを行って上記コンテナの庫内空気を冷却する冷媒回路(20)と、上記コンテナ(11)の庫内へガスを供給するガス供給装置(30)と、上記コンテナ(11)の庫内空気を庫外へ排出する排気部(46)とを有し、上記コンテナ(11)の庫内空気の組成を調節する庫内空気調節装置(60)とを備えたコンテナ用冷凍装置を前提としている。そして、上記ガス供給装置(30)が、第1または第2の発明のガス供給装置によって構成されていることを特徴としている。
【0015】
この第3の発明では、冷媒回路(20)において冷凍サイクルが行われることにより、コンテナ(11)の庫内空気が冷却される。また、庫内空気調節装置(60)のガス供給装置(30)において生成した窒素濃縮空気または外気と組成の等しい空気をコンテナ(11)へ供給し、庫内空気調節装置(60)の排気部(46)によってコンテナ(11)の庫内空気を庫外へ排出することにより、コンテナ(11)の庫内空気の組成が調節される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、空気の流通状態を切り換えることにより、吸着筒(34,35)で生成された窒素濃縮空気だけでなく、外気と組成の等しい空気を、加圧ポンプ機構(31a)によってコンテナ(11)の庫内に押し込むことができるようにガス供給装置を構成することとした。そのため、コンテナ(11)の庫内の圧力が外気の圧力よりも高い場合であっても、外気と組成の等しい空気を円滑にコンテナ(11)の庫内に供給することができる。よって、庫内空気の組成(酸素濃度、二酸化炭素濃度)を、迅速に且つ精度良く所望の組成に調整することができる。
【0017】
上記第2の発明によれば、コンテナ(11)の庫内へ、外気導入通路(40)の冷却部(40a)を通って冷却された空気が供給されるので、庫内の温度が上昇するのを抑えられる。
【0018】
上記第3の発明によれば、コンテナ(11)の庫内の圧力が外気の圧力よりも高い場合であっても、外気と組成の等しい空気を円滑にコンテナ(11)の庫内に供給することができるガス供給装置(30)をコンテナ用冷凍装置において用いることとした。そのため、庫内空気の組成(酸素濃度、二酸化炭素濃度)を、迅速に且つ精度良く所望の組成に調整可能なコンテナ用冷凍装置を提供することができる。また、外気導入通路(40)の冷却部(40a)をコンテナ(11)の庫外空間の凝縮器(22)の近傍に配置すれば、外気導入通路(40)を流れる空気を、凝縮器(22)を通過する空気によって効果的に冷却でき、庫内温度が上昇するのを確実に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施形態に係るコンテナ用冷凍装置を庫外側から見た斜視図である。
図2図2は、図1のコンテナ用冷凍装置の概略構成を示す側面断面図である。
図3図3は、図1のコンテナ用冷凍装置の冷媒回路の構成を示す配管系統図である。
図4図4は、図1のコンテナ用冷凍装置のCA装置の構成を示す配管系統図であり、第1動作における空気の流れを示すものである。
図5図5は、図1のコンテナ用冷凍装置のCA装置の構成を示す配管系統図であり、第2動作における空気の流れを示すものである。
図6図6は、図1のコンテナ用冷凍装置のCA装置の構成を示す配管系統図であり、均圧動作における空気の流れを示すものである。
図7図7は、図1のコンテナ用冷凍装置のCA装置の構成を示す配管系統図であり、外気導入動作における空気の流れを示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1及び図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送等に用いられるコンテナ(収納庫)(11)に設けられ、該コンテナ(11)の庫内空気を冷却するものである。コンテナ(11)の庫内には、植物(15)が箱詰めされた状態で収納されている。植物(15)は、空気中の酸素(O)を取り込んで二酸化炭素(CO)を放出する呼吸を行うものであり、例えば、バナナやアボカド等の青果物、野菜、穀物、球根、生花等である。
【0022】
コンテナ(11)は、一方の端面が開口する細長い箱状に形成されている。コンテナ用冷凍装置(10)は、ケーシング(12)と、冷媒回路(20)と、CA装置(庫内空気調節装置/Controlled Atmosphere System)(60)とを備え、コンテナ(11)の開口端を塞ぐように取り付けられている。
【0023】
〈ケーシング〉
図2に示すように、ケーシング(12)は、コンテナ(11)の庫外側に位置する庫外壁(12a)と、コンテナ(11)の庫内側に位置する庫内壁(12b)とを備えている。庫外壁(12a)及び庫内壁(12b)は、例えば、アルミニウム合金によって構成されている。
【0024】
庫外壁(12a)は、コンテナ(11)の開口端を塞ぐようにコンテナ(11)の開口の周縁部に取り付けられている。庫外壁(12a)は、下部がコンテナ(11)の庫内側へ膨出するように形成されている。
【0025】
庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)と対向して配置されている。庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)の下部に対応して庫内側へ膨出している。庫内壁(12b)と庫外壁(12a)との間の空間には、断熱材(12c)が設けられている。
【0026】
このように、ケーシング(12)の下部は、コンテナ(11)の庫内側に向かって膨出するように形成されている。これにより、ケーシング(12)の下部におけるコンテナ(11)の庫外側には庫外収納空間(S1)が形成され、ケーシング(12)の上部におけるコンテナ(11)の庫内側には庫内収納空間(S2)が形成されている。
【0027】
図1に示すように、ケーシング(12)には、メンテナンス用の2つのサービス用開口(14)が幅方向に並んで形成されている。2つのサービス用開口(14)は、それぞれ開閉自在な第1及び第2サービス扉(16A,16B)によって閉塞されている。第1及び第2サービス扉(16A,16B)は、いずれもケーシング(12)と同様に、庫外壁と庫内壁と断熱材とによって構成されている。
【0028】
図2に示すように、コンテナ(11)の庫内には、仕切板(18)が配置されている。この仕切板(18)は、略矩形状の板部材で構成され、ケーシング(12)のコンテナ(11)の庫内側の面と対向する姿勢で立設されている。この仕切板(18)によって、コンテナ(11)の庫内と庫内収納空間(S2)とが区画されている。
【0029】
仕切板(18)の上端とコンテナ(11)内の天井面との間には吸込口(18a)が形成されている。コンテナ(11)の庫内空気は、吸込口(18a)を通って庫内収納空間(S2)に取り込まれる。
【0030】
また、庫内収納空間(S2)には、水平方向に延びる区画壁(13)が設けられている。区画壁(13)は、仕切板(18)の上端部に取り付けられ、後述する庫内ファン(26)が設置される開口が形成されている。区画壁(13)は、庫内収納空間(S2)を、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)と、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)とに区画する。なお、本実施形態では、庫内収納空間(S2)は、区画壁(13)によって上下に区画され、吸込側の1次空間(S21)が上側、吹出側の2次空間(S22)が下側に形成されている。
【0031】
コンテナ(11)内には、コンテナ(11)の底面との間に隙間を存して床板(19)が設けられている。床板(19)上には、箱詰めされた植物(15)が載置されている。コンテナ(11)内の底面と床板(19)との間には、床下流路(19a)が形成されている。仕切板(18)の下端とコンテナ(11)内の底面との間には隙間が設けられ、床下流路(19a)に連通している。
【0032】
床板(19)におけるコンテナ(11)の奥側(図2で右側)には、コンテナ用冷凍装置(10)によって冷却された空気をコンテナ(11)の庫内へ吹き出す吹出口(18b)が形成されている。
【0033】
〈冷媒回路等の構成と配置〉
図3に示すように、冷媒回路(20)は、圧縮機(21)と、凝縮器(22)と、膨張弁(23)と、蒸発器(24)とを、冷媒配管(20a)によって順に接続することによって構成された閉回路である。
【0034】
凝縮器(22)の近傍には、庫外ファンモータ(25a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫外空間の空気(外気)を庫外収納空間(S1)内へ誘引して凝縮器(22)へ送る庫外ファン(25)が設けられている。凝縮器(22)では、圧縮機(21)で加圧されて凝縮器(22)の内部を流れる冷媒と庫外ファン(25)によって凝縮器(22)に送られた外気との間で熱交換が行われる。本実施形態では、庫外ファン(25)は、プロペラファンによって構成されている。
【0035】
蒸発器(24)の近傍には、庫内ファンモータ(26a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫内空気を吸込口(18a)から誘引して蒸発器(24)へ吹き出す庫内ファン(26)が2つ設けられている。蒸発器(24)では、膨張弁(23)によって減圧されて蒸発器(24)の内部を流れる冷媒と庫内ファン(26)によって蒸発器(24)に送られた庫内空気との間で熱交換が行われる。
【0036】
図2に示すように、庫内ファン(26)は、プロペラファン(回転翼)(27a)と、複数の静翼(27b)と、ファンハウジング(27c)とを有している。プロペラファン(27a)は、庫内ファンモータ(26a)に連結され、庫内ファンモータ(26a)によって回転軸周りに回転駆動されて軸方向に送風する。複数の静翼(27b)は、プロペラファン(27a)の吹出側に設けられて該プロペラファン(27a)から吹き出されて旋回する空気流れを整流する。ファンハウジング(27c)は、複数の静翼(27b)が内周面に取り付けられた円筒部材によって構成され、プロペラファン(27a)の外周まで延び、プロペラファン(27a)の外周を取り囲んでいる。
【0037】
図1に示すように、圧縮機(21)及び凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)に収納されている。凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)の上下方向の中央部分において、該庫外収納空間(S1)を下側の第1空間(S11)と上側の第2空間(S12)とに区画するように設けられている。第1空間(S11)には、上記圧縮機(21)と、該圧縮機(21)を可変速で駆動するための駆動回路が収納されたインバータボックス(29)と、CA装置(60)のガス供給装置(30)とが設けられている。一方、第2空間(S12)には、庫外ファン(25)と、電装品ボックス(17)とが設けられている。第1空間(S11)は、コンテナ(11)の庫外空間に対して開放される一方、第2空間(S12)は、庫外ファン(25)の吹出口のみが庫外空間に開口するように庫外空間との間が板状部材によって閉塞されている。
【0038】
一方、図2に示すように、蒸発器(24)は、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)に収納されている。庫内収納空間(S2)における蒸発器(24)の上方位置には、ケーシング(12)の幅方向に並んで2つの庫内ファン(26)が設けられている(図1参照)。
【0039】
〈CA装置〉
図4図7に示すように、コンテナ(11)に設けられているCA装置(60)は、ガス供給装置(30)と、排気部(46)と、センサユニット(50)と、制御部(55)とを備え、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とを調節するものである。なお、以下の説明で用いる「濃度」は、全て「体積濃度」を指す。
【0040】
[ガス供給装置]
−ガス供給装置の構成−
ガス供給装置(30)は、コンテナ(11)の庫内に供給するための低酸素濃度の窒素濃縮空気を生成する装置である。本実施形態では、ガス供給装置(30)は、VPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption)によって構成されている。また、ガス供給装置(30)は、図1に示すように、庫外収納空間(S1)の左下のコーナー部に配置されている。
【0041】
図4に示すように、ガス供給装置(30)は、エアポンプ(31)と、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)と、空気中の窒素成分を吸着するための吸着剤が内部に設けられた第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)とが接続された空気回路(3)と、該空気回路(3)の構成部品が収納されたユニットケース(36)とを有している。
【0042】
(エアポンプ)
エアポンプ(31)は、ユニットケース(36)内に設けられ、それぞれ空気を吸引して加圧して吐出する第1ポンプ機構(加圧ポンプ機構)(31a)及び第2ポンプ機構(減圧ポンプ機構)(31b)を有している。第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)は、モータ(31c)の駆動軸に接続され、モータ(31c)によって回転駆動されることにより、それぞれ空気を吸引して加圧して吐出する。
【0043】
第1ポンプ機構(31a)の吸込口は、ユニットケース(36)を内外に貫通するように設けられた外気通路(41)の一端が接続されている。外気通路(41)の他端には、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(76)が設けられている。外気通路(41)は、可撓性を有するチューブによって構成されている。図示を省略するが、メンブレンフィルタ(76)が設けられた外気通路(41)の他端は、庫外収納空間(S1)の凝縮器(22)の上方の第2空間(S12)に設けられている。このような構成により、第1ポンプ機構(31a)は、外気通路(41)の他端に設けられたメンブレンフィルタ(76)を介してユニットケース(36)の外から中へ流入する際に水分が除去された外気を吸い込んで加圧する。
【0044】
一方、第1ポンプ機構(31a)の吐出口には加圧通路(42)の一端が接続されている。該加圧通路(42)の他端は、下流側において2つに分岐して第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)のそれぞれに接続されている。加圧通路(42)は、樹脂製のチューブによって構成されている。
【0045】
第2ポンプ機構(31b)の吸込口には、減圧通路(43)の一端が接続されている。該減圧通路(43)の他端は、上流側において2つに分かれ、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)のそれぞれに接続されている。一方、第2ポンプ機構(31b)の吐出口には、供給通路(44)の一端が接続されている。供給通路(44)の他端は、コンテナ(11)の庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)において開口している。供給通路(44)の他端部には、一端から他端へ向かう向きの空気の流通のみを許容し、空気の逆流を防止する逆止弁(65)が設けられている。
【0046】
エアポンプ(31)の第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)は、潤滑用のオイルを使用しないオイルレスのポンプで構成されている。また、エアポンプ(31)の側方には、エアポンプ(31)に向かって送風することでエアポンプ(31)を冷却するための送風ファン(49)が2つ設けられている。
【0047】
以上のように、エアポンプ(31)は、一方の吸着筒(34,35)に加圧した空気を供給することによって該吸着筒(34,35)を加圧し、該吸着筒(34,35)において加圧空気中の上記窒素成分を上記吸着剤に吸着する吸着動作を行わせる加圧ポンプ機構である第1ポンプ機構(31a)と、他方の吸着筒(35,34)内から空気を吸引することによって該吸着筒(35,34)を減圧し、該吸着筒(35,34)において吸着剤に吸着している上記窒素成分を脱着する脱着動作を行わせる減圧ポンプ機構である第2ポンプ機構(31b)とを有している。
【0048】
また、上記供給通路(44)は、上記吸着筒(34,35)において上記吸着動作と上記脱着動作とを交互に行って脱着動作により生成した所望の組成の窒素濃縮空気を上記コンテナ(11)の庫内に供給する通路になっている。
【0049】
(外気導入通路)
上記加圧通路(42)における加圧ポンプ機構(31a)の出口部(加圧ポンプ機構(31a)と方向制御弁(32,33)との間)と供給通路(44)における減圧ポンプ機構(31b)の出口部とは、バイパス通路(47)によって接続されている。バイパス通路(47)には、制御部(55)によって開閉制御されるバイパス開閉弁(48)が設けられている。そして、本実施形態では、上記外気通路(41)と、上記加圧通路(42)の一部と、上記バイパス開閉弁(48)を有するバイパス通路(47)と、上記供給通路(44)の一部とにより、外気導入通路(40)が構成されている。この外気導入通路(40)は、上記加圧ポンプ機構(31a)を通過した加圧空気(外気と組成の等しい空気)を庫内へ供給する通路である。また、上記外気導入通路(40)には、上記ユニットケース(36)の外部の空間を通る冷却部(40a)が設けられている。この冷却部(40a)は、凝縮器(22)の近傍に配置されている。この実施形態では、加圧通路(42)の一部が冷却部(40a)として構成されているが、例えばバイパス通路(47)を冷却部(40a)として構成してもよい。
【0050】
(方向制御弁)
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、空気回路(3)におけるエアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との間に設けられ、エアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との接続状態を後述する3つの接続状態(第1〜第3の接続状態)に切り換えるものである。この切り換え動作は、制御部(55)によって制御される。
【0051】
具体的に、第1方向制御弁(32)は、第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続された加圧通路(42)と、第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続された減圧通路(43)と、第1吸着筒(34)の一端部(加圧時の流入口)とに接続される。この第1方向制御弁(32)は、第1吸着筒(34)を第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通させて第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断する第1状態(図4に示す状態)と、第1吸着筒(34)を第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通させて第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断する第2状態(図5に示す状態)とに切り換わる。
【0052】
第2方向制御弁(33)は、第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続された加圧通路(42)と、第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続された減圧通路(43)と、第2吸着筒(35)の一端部とに接続される。この第2方向制御弁(33)は、第2吸着筒(35)を第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通させて第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断する第1状態(図4に示す状態)と、第2吸着筒(35)を第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通させて第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断する第2状態(図5に示す状態)とに切り換わる。
【0053】
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を共に第1状態に設定すると、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第1吸着筒(34)とが接続され且つ第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第2吸着筒(35)とが接続される第1の接続状態に切り換わる(図4を参照)。この状態では、第1吸着筒(34)で外気中の窒素成分を吸着剤に吸着させる吸着動作が行われ、第2吸着筒(35)で吸着剤に吸着された窒素成分を脱着させる脱着動作が行われる。
【0054】
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を共に第2状態に設定すると、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第2吸着筒(35)とが接続され且つ第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第1吸着筒(34)とが接続される第2の接続状態に切り換わる(図5を参照)。この状態では、第2吸着筒(35)で吸着動作が行われ、第1吸着筒(34)で脱着動作が行われる。
【0055】
第1方向制御弁(32)を第1状態に設定し、第2方向制御弁(33)を第2状態に設定すると、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第1吸着筒(34)とが接続され且つ第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第2吸着筒(35)とが接続される第3の接続状態に切り換わる(図6を参照)。この状態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続され、第1ポンプ機構(31a)によって第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方に加圧された外気が供給される。つまり、第3の接続状態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方で吸着動作が行われる。
【0056】
また、図7に示すようにこの状態でバイパス開閉弁(48)を開くと、バイパス通路(47)の通路抵抗が、第1方向制御弁(32),第2方向制御弁(33),第1吸着筒(34),及び第2吸着筒(35)を通る流路の通路抵抗よりも小さいため、空気はほとんどが外気導入通路(40)を流れ、第1ポンプ機構(31a)のポンプ圧によって庫内へ押し込まれる。
【0057】
(吸着筒)
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、内部に吸着剤が充填された円筒部材によって構成されている。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、加圧下で窒素成分を吸着して、減圧下で吸着した窒素成分を脱着させる性質を有している。
【0058】
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、例えば、窒素分子の分子径(3.0オングストローム)よりも小さく且つ酸素分子の分子径(2.8オングストローム)よりも大きな孔径の細孔を有する多孔体のゼオライトで構成されている。このような孔径のゼオライトで吸着剤を構成すれば、空気中の窒素成分を吸着することができる。
【0059】
また、ゼオライトの細孔内には、陽イオンが存在しているために電場が存在し極性を生じているので、水分子などの極性分子を吸着する性質を有している。そのため、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填されたゼオライトからなる吸着剤には、空気中の窒素だけでなく、空気中の水分(水蒸気)も吸着される。そして、吸着剤に吸着された水分は、脱着動作によって窒素成分と共に吸着剤から脱着される。そのため、水分を含んだ窒素濃縮空気がコンテナ(11)の庫内に供給されることとなり、庫内の湿度を上げることができる。さらに、吸着剤が再生されるので、吸着剤の長寿命化を図ることができる。
【0060】
このような構成により、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、エアポンプ(31)から加圧された外気が供給されて内部が加圧されると、吸着剤に該外気中の窒素成分が吸着する。その結果、外気よりも窒素成分が少なくなることで外気よりも窒素濃度が低く且つ酸素濃度が高い酸素濃縮空気が生成される。一方、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、エアポンプ(31)によって内部の空気が吸引されて減圧されると、吸着剤に吸着されていた窒素成分が脱着する。その結果、外気よりも窒素成分を多く含むことで外気よりも窒素濃度が高く且つ酸素濃度が低い窒素濃縮空気が生成される。本実施形態では、例えば、窒素濃度92%、酸素濃度8%の成分比率の窒素濃縮空気が生成される。
【0061】
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の他端部(加圧時の流出口)には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が供給されて生成された酸素濃縮空気を、コンテナ(11)の庫外へ導くための酸素排出通路(45)の一端が接続されている。酸素排出通路(45)の一端は、2つに分岐し、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の他端部のそれぞれに接続されている。酸素排出通路(45)の他端は、ガス供給装置(30)の外部、即ち、コンテナ(11)の庫外において開口している。酸素排出通路(45)の第1吸着筒(34)の他端部に接続された部分及び第2吸着筒(35)の他端部に接続された部分には、酸素排出通路(45)から第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)への空気の逆流を防止するための逆止弁(61)がそれぞれ設けられている。
【0062】
酸素排出通路(45)の中途部には、逆止弁(62)とオリフィス(63)とが一端から他端に向かって順に設けられている。逆止弁(62)は、後述する排気用接続通路(71)からの窒素濃縮空気の第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)側への逆流を防止する。オリフィス(63)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から流出した酸素濃縮空気が庫外へ排出される前に減圧する。
【0063】
以上のように、酸素排出通路(45)は、吸着動作で上記吸着筒(34,35)を通過した酸素濃縮空気を庫外へ排出する通路である。この酸素排出通路(45)には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の合流点(P0)と逆止弁(62)との間に圧力センサ(90)が設けられている。
【0064】
上記排気用接続通路(71)は、上記減圧ポンプ機構(31b)の吐出口を上記圧力センサ(90)の下流側で上記酸素排出通路(45)に接続する通路であり、上記逆止弁(62)は、圧力センサ(90)と酸素排出通路(45)とが接続された第1接続点(P1)と、該酸素排出通路(45)と排気用接続通路(71)とが接続された第2接続点(P2)との間に設けられ、第1接続点(P1)から第2接続点(P2)への空気の流れを許容する一方で逆方向への空気の流れを禁止する。
【0065】
(給排切換機構)
空気回路(3)には、生成した窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給する後述するガス供給動作と、生成した窒素濃縮空気を庫外へ排出するガス排出動作とを切り換えるための給排切換機構(70)が設けられている。給排切換機構(70)は、排気用接続通路(71)と、排気用開閉弁(72)と、供給側開閉弁(73)とを有している。
【0066】
排気用接続通路(71)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素排出通路(45)に接続されている。排気用接続通路(71)の他端は、酸素排出通路(45)のオリフィス(63)よりも庫外側に接続されている。
【0067】
排気用開閉弁(72)は、排気用接続通路(71)に設けられている。排気用開閉弁(72)は、排気用接続通路(71)の中途部において、供給通路(44)から流入した窒素濃縮空気の流通を許容する開状態と、窒素濃縮空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。排気用開閉弁(72)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
【0068】
供給側開閉弁(73)は、供給通路(44)における排気用接続通路(71)が接続される接続部よりも他端側(庫内側)に設けられている。供給側開閉弁(73)は、供給通路(44)の排気用接続通路(71)の接続部よりも庫内側において、窒素濃縮空気の庫内側への流通を許容する開状態と、窒素濃縮空気の庫内側への流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。供給側開閉弁(73)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
【0069】
(測定ユニット)
空気回路(3)には、生成した窒素濃縮空気の濃度を、コンテナ(11)の庫内に設けられた後述するセンサユニット(50)の酸素センサ(51)を用いて測定する給気測定動作を行うための測定ユニット(80)が設けられている。測定ユニット(80)は、分岐管(ガス濃度測定用通路)(81)とガス濃度測定用開閉弁(82)とを備え、供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の一部を分岐させて酸素センサ(ガス濃度測定センサ)(51)に導くように構成されている。つまり、ガス濃度測定用通路(81)には、上流側から順にガス濃度測定用開閉弁(82)とガス濃度測定センサ(51)とが設けられている。
【0070】
具体的には、分岐管(81)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素センサ(51)に連結されている。なお、本実施形態では、分岐管(81)は、ユニットケース(36)内において供給通路(44)から分岐して庫内に連通し、ユニットケース(36)の内外に亘るように設けられている。分岐管(81)の他端部(庫内部分)には、一端から他端へ向かう向きの空気の流通のみを許容し、空気の逆流を防止する逆止弁(64)が設けられている。
【0071】
ガス濃度測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)のユニットケース(36)の内部に設けられている。ガス濃度測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)における窒素濃縮空気の流通を許容する開状態と、分岐管(81)における窒素濃縮空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。ガス濃度測定用開閉弁(82)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。詳細については後述するが、ガス濃度測定用開閉弁(82)は、後述する給気測定動作が実行される際にのみ開状態となり、その他のモードでは閉状態となる。
【0072】
−ガス供給装置の運転動作−
(ガス生成動作)
ガス供給装置(30)では、第1吸着筒(34)が加圧されると同時に第2吸着筒(35)が減圧される第1動作(図4を参照)と、第1吸着筒(34)が減圧されると同時に第2吸着筒(35)が加圧される第2動作(図5を参照)とが、所定の時間(例えば、14.5秒)ずつ交互に繰り返し行われることにより、窒素濃縮空気と酸素濃縮空気とが生成される。また、本実施形態では、第1動作と第2動作との各合間に、第1吸着筒(34)と第2吸着筒(35)のいずれもが加圧される均圧動作(図6を参照)が、所定の時間(例えば、1.5秒)行われる。各動作の切り換えは、制御部(55)が第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を操作することによって行われる。
【0073】
《第1動作》
第1動作では、制御部(55)によって、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に、図4に示す第1状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断され、且つ第2吸着筒(35)が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通して第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断された第1接続状態となる。この第1接続状態では、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が第1吸着筒(34)に供給される一方、第2ポンプ機構(31b)が、第2吸着筒(35)から窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気を吸引する。
【0074】
具体的には、第1ポンプ機構(31a)は、外気通路(41)を介して外気を吸い込んで加圧し、加圧した外気(加圧空気)を加圧通路(42)に吐出する。加圧通路(42)に吐出された加圧空気は、加圧通路(42)を流れる。そして、加圧空気が加圧通路(42)を介して第1吸着筒(34)へ供給される。
【0075】
このようにして、第1吸着筒(34)には、加圧空気が流入し、該加圧空気に含まれる窒素成分が吸着剤に吸着される。このように、第1動作中に、第1吸着筒(34)では、上記第1ポンプ機構(31a)から加圧された外気が供給されて該外気中の窒素成分が吸着剤に吸着されることにより、窒素濃度が外気よりも低く酸素濃度が外気よりも高い酸素濃縮空気が生成される。酸素濃縮空気は、第1吸着筒(34)から酸素排出通路(45)に流出する。
【0076】
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第2吸着筒(35)から空気を吸引する。その際、第2吸着筒(35)の吸着剤に吸着された窒素成分が、空気と共に第2ポンプ機構(31b)に吸引されて吸着剤から脱着する。このように、第1動作中に、第2吸着筒(35)では、第2ポンプ機構(31b)によって内部の空気が吸引されて吸着剤に吸着された窒素成分が脱着することにより、吸着剤から脱着した窒素成分を含み、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気が生成される。窒素濃縮空気は、第2ポンプ機構(31b)に吸い込まれ、加圧された後、供給通路(44)に吐出される。
【0077】
《第2動作》
第2動作では、制御部(55)によって、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に、図5に示す第2状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通して第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断され、且つ第2吸着筒(35)が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断された第2接続状態となる。この第2接続状態では、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が第2吸着筒(35)に供給される一方、第2ポンプ機構(31b)が、第1吸着筒(34)から窒素濃縮空気を吸引する。
【0078】
具体的には、第1ポンプ機構(31a)は、外気通路(41)を介して外気を吸い込んで加圧し、加圧した外気(加圧空気)を加圧通路(42)に吐出する。加圧通路(42)に吐出された加圧空気は、加圧通路(42)を流れる。そして、第2動作においても、第1動作と同様に、加圧空気が加圧通路(42)を介して第2吸着筒(35)へ供給される。
【0079】
このようにして、第2吸着筒(35)には、加圧空気が流入し、該加圧空気に含まれる窒素成分が吸着剤に吸着される。このように、第2動作中に、第2吸着筒(35)では、上記第1ポンプ機構(31a)から加圧された外気が供給されて該外気中の窒素成分が吸着剤に吸着されることにより、窒素濃度が外気よりも低く酸素濃度が外気よりも高い酸素濃縮空気が生成される。酸素濃縮空気は、第2吸着筒(35)から酸素排出通路(45)に流出する。
【0080】
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第1吸着筒(34)から空気を吸引する。その際、第1吸着筒(34)の吸着剤に吸着された窒素成分が、空気と共に第2ポンプ機構(31b)に吸引されて吸着剤から脱着する。このように、第2動作中に、第1吸着筒(34)では、第2ポンプ機構(31b)によって内部の空気が吸引されて吸着剤に吸着された窒素成分が脱着することにより、吸着剤から脱着した窒素成分を含み、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気が生成される。窒素濃縮空気は、第2ポンプ機構(31b)に吸い込まれ、加圧された後、供給通路(44)に吐出される。
【0081】
《均圧動作》
図6に示すように、均圧動作では、制御部(55)によって、第1方向制御弁(32)が第1状態に切り換えられる一方、第2方向制御弁(33)が第2状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)が、共に第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断された第3接続状態となる。この第3接続状態では、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方に供給される一方、第2ポンプ機構(31b)が減圧通路(43)に残存する窒素濃縮空気を吸引する。
【0082】
具体的には、第1ポンプ機構(31a)は、外気通路(41)を介して外気を吸い込んで加圧し、加圧した外気(加圧空気)を加圧通路(42)に吐出する。加圧通路(42)に吐出された加圧空気は、加圧通路(42)を流れる。そして、加圧空気が加圧通路(42)を介して第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方に供給される。
【0083】
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、流入した加圧空気に含まれる窒素成分が吸着剤に吸着され、酸素濃縮空気が生成される。酸素濃縮空気は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から酸素排出通路(45)に流出する。
【0084】
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から遮断される。そのため、均圧動作中には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において新たに窒素濃縮空気が生成されることはなく、第2ポンプ機構(31b)は、減圧通路(43)に残存する窒素濃縮空気を吸引して加圧した後、供給通路(44)に吐出する。
【0085】
ところで、上述したように、第1動作中には、第1吸着筒(34)では第1ポンプ機構(31a)によって加圧されて吸着動作が行われ、第2吸着筒(35)では第2ポンプ機構(31b)によって減圧されて脱着動作が行われる。一方、第2動作中には、第2吸着筒(35)では第1ポンプ機構(31a)によって加圧されて吸着動作が行われ、第1吸着筒(34)では第2ポンプ機構(31b)によって減圧されて脱着動作が行われる。そのため、上述の均圧動作を挟むことなく、第1動作から第2動作へ切り換える又は第2動作から第1動作へ切り換えると、切り換え直後は、切り換え前に脱着動作を行っていた吸着筒内の圧力が著しく低いため、該吸着筒内の圧力が上昇するのに時間がかかり、すぐには吸着動作が行われない。
【0086】
そこで、本実施形態では、第1動作から第2動作へ切り換える際、及び第2動作から第1動作へ切り換える際に、空気回路(3)を第3接続状態に切り換え、第1吸着筒(34)と第2吸着筒(35)とを、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を介して連通させることとしている。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の互いの内部圧力が、速やかに等しくなる(互いの内部圧力の中間の圧力(吸着動作の高圧圧力と脱着動作の低圧圧力の中間の圧力)になる)。このような均圧動作により、切り換え前に第2ポンプ機構(31b)によって減圧されて脱着動作を行っていた吸着筒内の圧力が、速やかに上昇するため、第1ポンプ機構(31a)への接続後、速やかに吸着動作が行われる。
【0087】
このようにして、ガス供給装置(30)では、均圧動作を挟みながら第1動作と第2動作とを交互に繰り返すことによって空気回路(3)において窒素濃縮空気と酸素濃縮空気とが生成される。
【0088】
(ガス供給動作/ガス排出動作)
また、ガス供給装置(30)では、給排切換機構(70)によって、空気回路(3)において生成した窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作と、脱着動作の開始時点から所定時間の間、生成した窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内へ供給せずに排気するガス排出動作とが切り換えられる。
【0089】
《ガス供給動作》
図4図5に示すように、ガス供給動作では、制御部(55)によって、排気用開閉弁(72)が閉状態に制御され、供給側開閉弁(73)が開状態に制御される。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において交互に生成された窒素濃縮空気が供給通路(44)を通ってコンテナ(11)の庫内へ供給され、酸素濃縮空気は酸素排出通路(45)を通って庫外へ排出される。
【0090】
《ガス排出動作》
図示を省略するが、ガス排出動作では、制御部(55)によって、排気用開閉弁(72)が開状態に制御され、供給側開閉弁(73)が閉状態に制御される。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において交互に生成されて供給通路(44)に吐出された窒素濃縮空気は、供給通路(44)において供給側開閉弁(73)よりも庫内側への流通が阻止され、排気用接続通路(71)に流入する。排気用接続通路(71)に流入した窒素濃縮空気は、酸素排出通路(45)に流入し、酸素排出通路(45)を流れる酸素濃縮空気と共に庫外へ排出される。
【0091】
(外気導入動作)
本実施形態では、外気をコンテナ(11)の庫内へ導入する外気導入動作を行うことができる。図7に示す外気導入動作では、第1方向制御弁(32)が第1状態に設定され、第2方向制御弁(33)が第2状態に設定され、バイパス開閉弁(48)が開かれる。この状態でエアポンプ(31)を起動すると、外気が、外気通路(41)と加圧通路(42)の一部とバイパス通路(47)と供給通路(44)の一部とにより構成された、太い実線で示した外気導入通路(40)を流れる。外気導入通路(40)の通路抵抗が、方向切換弁(32,33)及び吸着筒(34,35)を通る流路の通路抵抗よりも小さいためである。外気導入通路(40)を流れる外気と組成が同じ空気はコンテナ(11)の庫内へ押し込まれる。その際、外気と組成が同じ空気は冷却部(40a)で冷却されてから庫内へ供給される。この実施形態では、第1ポンプ機構(31a)を用いて外気を庫内へ押し込むようにしているので、第2ポンプ機構(31b)を用いて外気を庫内へ押し込むような場合に比べて、庫内への外気の導入を迅速に行える。
【0092】
[排気部]
−排気部の構成−
図2図4に示すように、排気部(46)は、庫内収納空間(S2)と庫外空間とを繋ぐ排気通路(46a)と、排気通路(46a)に接続された排気弁(46b)と、排気通路(46a)の流入端部(庫内側端部)に設けられたメンブレンフィルタ(46c)とを有している。排気通路(46a)は、ケーシング(12)を内外に貫通するように設けられている。排気弁(46b)は、排気通路(46a)の庫内側に設けられ、排気通路(46a)における空気の流通を許容する開状態と、排気通路(46a)における空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。排気弁(46b)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
【0093】
−排気部の運転動作−
庫内ファン(26)の回転中に、制御部(55)によって排気弁(46b)を開くことによって、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が庫外へ排出される排気動作が行われる。
【0094】
具体的には、庫内ファン(26)が回転すると、吹出側の2次空間(S22)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも高くなる。これにより、排気弁(46b)が開状態であるときには、排気通路(46a)の両端部の間で生じる圧力差(庫外空間と2次空間(S22)との間の圧力差)により、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が排気通路(46a)を通って庫外空間へ排出される。
【0095】
[センサユニット]
図2図4に示すように、センサユニット(50)は、庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられている。センサユニット(50)は、酸素センサ(51)と、二酸化炭素センサ(52)と、メンブレンフィルタ(54)と、連絡管(56)と、排気管(57)とを有している。
【0096】
酸素センサ(51)は、ガルバニ電池式センサによって構成されている。一方、二酸化炭素センサ(52)は、非分散型赤外線方式(NDIR:non dispersive infrared)のセンサによって構成されている。酸素センサ(51)には、測定ユニット(80)の分岐管(81)が連結され、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とは、連絡管(56)によって連結されている。また、二酸化炭素センサ(52)には、排気管(57)の一端が連結され、排気管(57)の他端は、庫内ファン(26)の吸込口の近傍において開口している。なお、酸素センサ(51)は、周辺の空気を取り込むための吸込口を有し、該吸込口には、メンブレンフィルタ(54)が設けられている。
【0097】
このような構成により、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と1次空間(S21)とは、メンブレンフィルタ(54)、酸素センサ(51)、連絡管(56)、二酸化炭素センサ(52)、及び排気管(57)によって形成される空気通路(58)を介して連通している。そのため、庫内ファン(26)の運転中には、1次空間(S21)の圧力が、2次空間(S22)の圧力よりも低くなるため、この圧力差により、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが接続された空気通路(58)において2次空間(S22)側から1次空間(S21)側へ庫内空気が流れる。このようにして、庫内空気が酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とを順に通過し、酸素センサ(51)において庫内空気の酸素濃度が測定され、二酸化炭素センサ(52)において庫内空気の二酸化炭素濃度が測定される。一方、庫内ファン(26)の運転停止中であって後述する給気測定動作中には、ガス供給装置(30)で生成された窒素濃縮空気が、分岐管(81)を介して酸素センサ(51)に導かれ、酸素センサ(51)において窒素濃縮空気の酸素濃度が測定される。
【0098】
[制御部]
制御部(55)は、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を所望の濃度にする濃度調節運転を実行するように構成されている。具体的には、制御部(55)は、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ(11)の庫内空気の組成(酸素濃度及び二酸化炭素濃度)が所望の組成(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)になるように、ガス供給装置(30)及び排気部(46)の動作を制御する。
【0099】
また、制御部(55)は、ユーザからの指令により又は定期的に、ガス濃度測定用開閉弁(82)の動作を制御して、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定する給気測定動作を行うように構成されている。
【0100】
本実施形態では、制御部(55)は、CA装置(60)の各要素を本願で開示するように制御するマイクロコンピュータと、実施可能な制御プログラムが記憶されたメモリやハードディスク等とを含んでいる。なお、上記制御部(55)は、CA装置(60)の制御部の一例であり、制御部(55)の詳細な構造やアルゴリズムは、本発明に係る機能を実行するどのようなハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。
【0101】
上記制御部(55)は、エアポンプ(31)の動作を制御して上記第1動作、第2動作及び均圧動作を行う。また、上記制御部(55)は、上記外気導入動作の制御も行う。
【0102】
−運転動作−
〈冷媒回路の運転動作〉
本実施形態では、図3に示すユニット制御部(100)によって、コンテナ(11)の庫内空気を冷却する冷却運転が実行される。
【0103】
冷却運転では、ユニット制御部(100)によって、圧縮機(21)、膨張弁(23)、庫外ファン(25)及び庫内ファン(26)の動作が、図示しない温度センサの測定結果に基づいて庫内空気の温度が所望の目標温度になるように制御される。このとき、冷媒回路(20)では、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。そして、庫内ファン(26)によって庫内収納空間(S2)へ導かれたコンテナ(11)の庫内空気が、蒸発器(24)を通過する際に該蒸発器(24)の内部を流れる冷媒によって冷却される。蒸発器(24)において冷却された庫内空気は、床下流路(19a)を通って吹出口(18b)から再びコンテナ(11)の庫内へ吹き出される。これにより、コンテナ(11)の庫内空気が冷却される。
【0104】
〈濃度調節運転〉
また、本実施形態では、図4に示す制御部(55)によって、CA装置(60)が、コンテナ(11)の庫内空気の組成(酸素濃度及び二酸化炭素濃度)を所望の組成(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)に調節する濃度調節運転を行う。濃度調節運転では、制御部(55)によって、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ(11)の庫内空気の組成が所望の組成となるように、ガス供給装置(30)及び排気部(46)の動作が制御される。
【0105】
なお、濃度調節運転中は、制御部(55)は、ガス濃度測定用開閉弁(82)を閉状態に制御する。また、濃度調節運転中、制御部(55)は、ユニット制御部(100)と通信し、該ユニット制御部(100)によって庫内ファン(26)を回転させる。これにより、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)には、庫内ファン(26)によって庫内空気が供給され、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とが測定されることとなる。
【0106】
(酸素濃度の調節)
制御部(55)は、酸素センサ(51)で測定された庫内空気の酸素濃度が8%よりも高い場合、ガス生成動作によって窒素濃縮空気を生成し、該窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給する上述のガス供給動作を実行する。
【0107】
具体的には、制御部(55)は、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を切り換えて均圧動作(図6を参照)を挟みながら第1動作(図4を参照)と第2動作(図5を参照)とを交互に繰り返し行い、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気を生成する(上記ガス生成動作)。本実施形態では、第1動作及び第2動作の動作時間が14.5秒、均圧動作の動作時間が1.5秒に設定されている。また、制御部(55)は、排気用開閉弁(72)を閉状態、供給側開閉弁(73)を開状態に制御して、上記ガス生成動作によって生成された窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給する上記ガス供給動作を実行する。本実施形態では、コンテナ(11)の庫内には、平均窒素濃度(第1動作及び第2動作の各動作において、庫内に供給される窒素濃縮空気の窒素濃度の平均値)が92%、平均酸素濃度(第1動作及び第2動作の各動作において、庫内に供給される窒素濃縮空気の酸素濃度の平均値)が8%の窒素濃縮空気が供給される。
【0108】
また、制御部(55)は、排気部(46)の排気弁(46b)を開状態に制御して排気動作を行い、ガス供給動作によって窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給した分だけ庫内空気を庫外へ排出する。
【0109】
濃度調節運転では、上述のようなガス供給動作と排気動作とにより、庫内空気が窒素濃縮空気に置換され、庫内空気の酸素濃度が低下する。
【0110】
コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が8%まで低下すると、制御部(55)は、ガス供給装置(30)の運転を停止してガス供給動作を停止すると共に、排気弁(46b)を閉じて排気動作を停止する。
【0111】
ガス供給動作と排気動作とが停止されると、コンテナ(11)の庫内では、空気が何ら入れ替わらない一方、植物(15)が呼吸を行うため、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が減少し、二酸化炭素濃度が上昇する。これにより、庫内空気の酸素濃度は、やがて目標酸素濃度の5%に至る。
【0112】
なお、呼吸によってコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が5%よりも低下した場合には、ガス供給装置(30)の運転を再開し、平均酸素濃度が8%の窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作と、排気部(46)の排気弁(46b)を開状態に制御してガス供給動作によって窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給した分だけ庫内空気を庫外へ排出する排気動作とを行う。このようなガス供給動作と排気動作とにより、庫内空気が該庫内空気よりも酸素濃度の高い窒素濃縮空気(例えば、平均酸素濃度8%)に置換されるため、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が上昇する。
【0113】
制御部(55)は、庫内空気の酸素濃度が、目標酸素濃度(5%)よりも所定濃度(例えば、0.5%)だけ高い値(5.5%)になると、ガス供給装置(30)の運転を停止してガス供給動作を停止すると共に、排気弁(46b)を閉じて排気動作を停止する。
【0114】
また、庫内空気の酸素濃度の調節は、ガス供給動作の代わりに、バイパス開閉弁(48)を開いて、エアポンプ(31)に吸引した外気を、第1及び第2吸着筒(34,35)を通過させることなくバイパスさせて、そのままコンテナ(11)の庫内に供給する外気導入動作で行うこともできる。外気導入動作と排気動作とによれば、庫内空気が酸素濃度21%の外気に置換されるため、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が上昇する。このとき、外気は冷却部(40a)を通るので、庫内空気の温度上昇が抑えられる。
【0115】
なお、本実施形態では、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を8%から5%まで低下させるのに、ガス供給動作と排気動作とを停止し、植物(15)の呼吸を利用して低下させている。しかしながら、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を8%から5%まで低下させる手法はこれに限られない。例えば、脱着動作の初期(第1動作及び第2動作の各動作の開始直後)には、生成された窒素濃縮空気を庫外へ排出するガス排出動作を行い、それ以外のタイミングでは生成された窒素濃縮空気を庫内へ供給するガス供給動作を行うこととしてもよい。脱着動作の初期には、吸着筒や配管等に外気が残存しているため、比較的酸素濃度の高い窒素濃縮空気が生成され、脱着動作の末期には、吸着筒内の圧力が初期よりも低下するために窒素成分が多く脱着され、比較的酸素濃度の低い窒素濃縮空気が生成される。そのため、このようなガス供給動作の前にガス排出動作を行うことにより、脱着動作の開始直後の比較的酸素濃度の高い窒素濃縮空気がコンテナ(11)の庫内に供給されなくなり、コンテナ(11)の庫内には、比較的酸素濃度の低い窒素濃縮空気(例えば、平均窒素濃度が95%、平均酸素濃度が5%)のみが供給されることとなる。このようなガス排出動作とガス供給動作と排気動作とによって、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を8%から5%まで低下させてもよい。
【0116】
(二酸化炭素濃度の調節)
制御部(55)は、二酸化炭素センサ(52)で測定された庫内空気の二酸化炭素濃度が5%よりも高い場合、ガス供給装置(30)を運転してガス供給動作を行うと共に、排気弁(46b)を開いて排気動作を行う。このようなガス供給動作と排気動作とにより、庫内空気が二酸化炭素濃度0.03%の窒素濃縮空気に置換されるため、コンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度が低下する。
【0117】
制御部(55)は、庫内空気の二酸化炭素濃度が、目標二酸化炭素濃度(5%)よりも所定濃度(例えば、0.5%)だけ低い値(4.5%)になると、ガス供給装置(30)の運転を停止してガス供給動作を停止すると共に、排気弁(46b)を閉じて排気動作を停止する。
【0118】
なお、庫内空気の二酸化炭素濃度の調節は、ガス供給動作の代わりに、バイパス開閉弁(48)を開いて上記外気導入動作を行うこととしてもよい。このように外気導入動作と排気動作とによれば、庫内空気が二酸化炭素濃度0.03%の外気に置換されるため、コンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度が低下する。
【0119】
[給気測定動作]
また、制御部(55)は、ユーザからの指令により又は定期的(例えば、10日毎)に、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定する給気測定動作を行う。なお、給気測定動作は、上述の濃度調節運転や試運転等のガス供給動作中に庫内ファン(26)が停止した際に並行して行われる。
【0120】
制御部(55)は、ガス供給動作中に、ガス濃度測定用開閉弁(82)を開状態に制御すると共に供給側開閉弁(73)を閉状態に制御する。これにより、供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の全てが分岐管(81)に流入する。分岐管(81)に流入した窒素濃縮空気は、酸素センサ(51)内に流入し、酸素濃度が測定される。
【0121】
このように、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定することにより、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の組成(酸素濃度、窒素濃度)が所望の状態であるかを確認することができる。
【0122】
−実施形態の効果−
以上のように、本実施形態によれば、空気回路(3)における空気の流通状態を切り換えることにより、空気回路(3)で生成された窒素濃縮空気だけでなく、空気回路(3)内の外気と組成の等しい空気を、第1ポンプ機構(31a)の加圧力によってコンテナ(11)の庫内に押し込むことができる。そのため、コンテナ(11)の庫内の圧力が外気の圧力よりも高い場合であっても、外気と組成の等しい空気を円滑にコンテナ(11)の庫内に供給することができる。よって、ガス供給装置(30)を有するコンテナ用冷凍装置(10)において、庫内空気の組成(酸素濃度、二酸化炭素濃度)を、迅速に且つ精度良く所望の組成に調整することができる。
【0123】
また、外気導入動作の際には、庫内へ供給する外気が庫外の冷却部(40a)を通過するときに、凝縮器(22)を流れる空気により効果的に冷却されるので、庫内空気の温度が上昇するのを抑えることができ、植物が早期に傷むのを抑制できる。
【0124】
《その他の実施形態》
上記各実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0125】
上記実施形態では、1つのエアポンプ(31)が第1ポンプ機構(31a)と第2ポンプ機構(31b)とを有する構成としていたが、第1ポンプ機構(31a)と第2ポンプ機構(31b)とは、2つの個別のエアポンプによって構成されていてもよい。
【0126】
また、上記各実施形態では、第1吸着部及び第2吸着部として、それぞれ1本の吸着筒を用いて窒素の吸着及び脱着を行うようにしていたが、各吸着部を構成する吸着筒の本数は1本に限定されない。例えば、各吸着部を3本の吸着筒で構成し、合計6本の吸着筒を用いることとしてもよい。
【0127】
また、上記各実施形態では、海上輸送用のコンテナ(11)に設けられるコンテナ用冷凍装置(10)に本発明に係るCA装置(60)を適用した例について説明したが、本発明に係るCA装置(60)の用途はこれに限られない。本発明に係るCA装置(60)は、海上輸送用のコンテナの他、例えば、陸上輸送用のコンテナ、単なる冷凍冷蔵倉庫、常温の倉庫等の庫内空気の組成調節に用いることができる。
【0128】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0129】
以上説明したように、本発明は、コンテナの庫内に窒素濃縮空気をポンプで供給するガス供給装置において、庫内へ窒素濃縮空気だけでなく外気と組成の等しい空気も供給する技術について有用である。
【符号の説明】
【0130】
1 コンテナ用冷凍装置
11 コンテナ
12 ケーシング
20 冷媒回路
30 ガス供給装置
31 エアポンプ
31a 第1ポンプ機構(加圧ポンプ機構)
31b 第2ポンプ機構(減圧ポンプ機構)
34 第1吸着筒
35 第2吸着筒
40 外気導入通路
40a 冷却部
42 加圧通路
44 供給通路
46 排気部
47 バイパス通路
48 バイパス開閉弁
60 CA装置(庫内空気調節装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7