【実施例1】
【0015】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、画像形成装置Uは、操作部UI、画像読取装置の一例としてのスキャナ装置U1、給紙装置U2、画像記録装置の一例としての画像形成装置本体U3、および用紙排出部U4を有している。
【0016】
前記操作部UIは、入力部の一例としての電源ボタンやコピースタートキー、コピー枚数設定キー、テンキー等や、表示部等を有している。
前記スキャナ装置U1は、図示しない原稿を読取って画像情報に変換し、画像形成装置本体U3に入力する。
給紙装置U2は、給紙部の一例としての複数の給紙トレイTR1〜TR4を有する。各給紙トレイTR1〜TR4には、媒体の一例としての記録用紙Sが収容される。各給紙トレイTR1〜TR4から画像形成装置本体U3に向けて、媒体の搬送路の一例としての給紙路SH1が延びている。
【0017】
図1において、画像形成装置本体U3は、制御部Cや、前記制御部Cにより制御されて画像形成装置本体U3の各部材に給電する電源回路E等を有する。制御部Cは、スキャナ装置U1で読み取られた原稿の画像情報や、画像形成装置Uに接続された図示しない情報送信装置の一例としてのパーソナルコンピュータから送信された画像情報を受信する。
前記制御部Cは、受信した画像情報を、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の印刷用の情報に処理して、潜像書込装置の駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路Dに出力する。レーザ駆動回路Dは、制御部Cから入力されたレーザ駆動信号を予め設定された時期に、各色の潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。
【0018】
各潜像形成装置ROSy〜ROSkの下方には、Y,M,C,Kの像保持体ユニットUy,Um,Uc,Ukが配置されている。
図1において、K:黒の像保持体ユニットUkは、像保持体の一例としての感光体ドラムPkと、帯電器の一例としてのコロトロンCCkと、像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLkとを有する。そして、他の色Y,M,Cの像保持体ユニットUy,Um,Ucも、感光体ドラムPy,Pm,Pc、帯電コロトロンCCy,CCm,CCc、感光体クリーナCLy,CLm,CLcを有する。
なお、実施例1では、使用頻度の高く表面の磨耗が多いK色の感光体ドラムPkは、他の色の感光体ドラムPy,Pm,Pcに比べて大径に構成され、高速回転対応および長寿命化がされている。
【0019】
感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkは、それぞれ帯電コロトロンCCy,CCm,CCc,CCkにより一様に帯電された後、前記潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkの出力する潜像書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkにより、感光体ドラムPy〜Pkの表面に静電潜像が形成される。前記感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkの表面の静電潜像は、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkに設けられた現像部材の一例としての現像ロールR0により、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の各色の現像剤で可視像の一例としてのトナー像に現像される。
【0020】
感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pk表面上のトナー像は、一次転写器の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより、1次転写領域Q3において、中間転写体の一例であって、像保持体の一例としての中間転写ベルトB上に順次重ねて転写され、中間転写ベルトB上に多色画像、いわゆる、カラー画像が形成される。中間転写ベルトB上に形成されたカラー画像は、2次転写領域Q4に搬送される。
なお、黒画像データのみの場合はK:黒の感光体ドラムPkおよび現像装置Gkのみが使用され、黒のトナー像のみが形成される。
1次転写後、感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkの表面に残留した残留トナーは感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLkによりクリーニングされる。
前記各像保持体ユニットUy,Um,Uc,Ukと現像装置の一例としての現像装置Gy,Gm,Gc,Gkとにより、可視像形成部の一例としてのトナー像形成部材Uy+Gy,Um+Gm,Uc+Gc,Uk+Gkが構成されている。
【0021】
画像形成装置本体U3の上部には、補給装置の一例としてのトナーディスペンサーU3aが配置されており、トナーディスペンサーU3aには、現像剤の収容容器の一例としてのトナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkが着脱可能に装着されている。画像形成に伴って現像装置Gy〜Gkにおいてトナーが消費されると、各トナーカートリッジKy〜Kkから各現像装置Gy〜Gkにトナーが供給される。
【0022】
前記感光体ドラムPy〜Pkの下方に配置された中間転写ベルトBは、中間転写体の駆動部材の一例としての中間駆動ロールRdと、中間転写ベルトBに張力を付与する張力付与部材の一例としての中間テンションロールRtと、中間転写ベルトBの片寄り、蛇行を補正する第1の片寄り補正部材の一例としての中間ステアリングロールRwと、中間転写体の従動部材の一例としての複数の中間アイドラロールRfと、2次転写領域の対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、により張架されている。そして、前記中間転写ベルトBは、中間駆動ロールRdの駆動により矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
前記中間駆動ロールRd、中間テンションロールRt、中間ステアリングロールRw,中間アイドラロールRf、バックアップロールT2aにより、実施例1の中間転写体の支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd+Rt+Rw+Rf+T2aが構成されている。また、前記中間転写ベルトBやベルト支持ロールRd+Rt+Rw+Rf+T2a、1次転写ロールT1y〜T1kにより、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが構成されている。なお、実施例1のベルトモジュールBMは、画像形成装置本体U3に対して、着脱、交換が可能なユニットにより構成されている。
【0023】
なお、実施例1の中間ステアリングロールRwは、回転軸を有する回転体により構成され、中間転写ベルトBの幅方向への片寄りに応じて片寄りを補正する方向に回転軸が傾斜して、中間転写ベルトBの片寄り、蛇行を防止する。なお、このように、光センサやベルトの端に接触する部材等のベルトの片寄りを検出する部材の検出結果に応じて回転軸を傾斜させて片寄りを補正する方式、いわゆるアクティブステアリング方式のステアリングロールRwは、従来公知であり、例えば、特開2009−86463号公報や特開2010−231112号公報等に記載された従来公知の種々の構成を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0024】
前記バックアップロールT2aの下方には、転写搬送装置の一例としての2次転写ユニットUtが配置されている。2次転写ユニットUtは、転写部材の一例としての2次転写ロールT2bを有する。2次転写ロールT2bは、バックアップロールT2aに対向して配置されている。2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと対向する領域により2次転写領域Q4が構成されている。また、前記バックアップロールT2aには、電圧印加用の接触部材の一例としてのコンタクトロールT2cが接触している。前記各ロールT2a〜T2cにより2次転写器T2が構成されている。
前記コンタクトロールT2cには、制御部Cにより制御される電源回路Eから予め設定された時期に、トナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
【0025】
前記ベルトモジュールBMの下方には用紙搬送路SH2が配置されている。前記給紙装置U2の給紙路SH1から給紙された記録用紙Sは、搬送部材の一例としての搬送ロールRaで用紙搬送路SH2に搬送される。用紙搬送路SH2の記録用紙Sは、送出部材の一例としてのレジロールRrにより、トナー像が2次転写領域Q4に搬送される時期に合わせて送り出され、媒体案内部材の一例としての用紙ガイドSG1,SG2に案内されて、2次転写領域Q4に搬送される。
前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写領域Q4を通過する際に、前記2次転写器T2により記録用紙Sに転写される。なお、カラー画像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録用紙Sに2次転写される。
【0026】
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体の清掃器の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃、すなわち、クリーニングされる。なお、前記2次転写ロールT2bは、中間転写ベルトBと離隔および接触可能に支持されている。
前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1k、中間転写ベルトB、2次転写器T2、ベルトクリーナCLB等により、感光体ドラムPy〜Pk表面の画像を記録用紙Sに転写する転写装置T1+B+T2+CLBが構成されている。
【0027】
トナー像が2次転写された前記記録用紙Sは、搬送部材の一例としての媒体搬送ベルトBHに送られる。媒体搬送ベルトBHは、記録用紙Sを定着装置Fに搬送する。前記定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱部材Fhと、加圧定着部材の一例としての加圧部材Fpとを有し、加熱部材Fhと加圧部材Fpとが接触する領域により定着領域Q5が形成されている。
前記記録用紙S上のトナー像は定着領域Q5を通過する際に定着装置Fにより加熱定着される。定着装置Fでトナー像が定着された記録用紙Sは、排出部の一例としての排出トレイTRhに排出される。
前記符号SH1,SH2等により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,SG1,SG2,BH等により用紙搬送装置SUが構成されている。
【0028】
(実施例1の制御部の説明)
図2は実施例1の画像形成装置の制御部が備えている各機能をブロック図で示した図である。
図2において、画像形成装置Uの制御部Cは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、制御部Cは、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、制御部Cは、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置を有する。したがって、実施例1の制御部Cは、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されている。よって、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0029】
(制御部Cに接続された信号出力要素)
制御部Cは、操作部UIやスキャナ装置U1等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
操作部UIは、入力部材の一例として、電源ボタンやコピースタートキー、コピー枚数設定キー、テンキー等の入力ボタンUIaを有する。また、操作部UIは、表示部材の一例としての表示部UIb等を備えている。
【0030】
(制御部Cに接続された被制御要素)
制御部Cは、主駆動源の駆動回路D1や電源回路E、その他の図示しない制御要素に接続されている。制御部Cは、各回路D1,E等へ、それらの制御信号を出力している。
D1:主駆動源の駆動回路
主駆動源の駆動回路D1は、像保持体の駆動源の一例であって、主駆動源の一例としてのメインモータM1を介して、感光体ドラムPy〜Pkや中間転写ベルトB等を回転駆動する。
E:電源回路
前記電源回路Eは、現像用の電源回路Ea、帯電用の電源回路Eb、転写用の電源回路Ec、定着用の電源回路Ed等を有している。
Ea:現像用の電源回路
現像用の電源回路Eaは、現像装置Gy〜Gkの現像ロールに現像電圧を印加する。
Eb:帯電用の電源回路
帯電用の電源回路Ebは、帯電コロトロンCCy〜CCkそれぞれに感光体ドラムPy〜Pk表面を帯電させるための帯電電圧を印加する。
【0031】
Ec:転写用の電源回路
転写用の電源回路Ecは、1次転写ロールT1y〜T1kやバックアップロールT2aに転写電圧を印加する。
Ed:定着用の電源回路
定着用の電源回路Edは、定着装置Fの加熱ロールFhの内蔵ヒータに電力を供給する。
【0032】
(制御部Cの機能)
制御部Cは、前記信号出力要素からの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。すなわち、制御部Cは次の機能を有している。
C1:画像形成の制御手段
画像形成の制御手段C1は、スキャナ装置U1やパーソナルコンピュータから入力された画像情報に応じて、画像形成装置本体U3の各部材の駆動や各電圧の印加時期等を制御して、画像形成動作であるジョブの実行や終了、中断を制御する。
C2:電源回路の制御手段
電源回路の制御手段C2は、各電源回路Ea〜Edを制御して、各部材へ印加される電圧や、各部材へ供給される電力を制御する。
【0033】
図3は実施例1の画像形成装置の制御部における処理の流れの概略を示した説明図である。
C3:情報受信手段
情報受信手段C3は、スキャナ装置U1やパーソナルコンピュータから送信された画像情報を受信する。
C4:画像処理手段
図2において、画像処理プログラムの一例としての画像処理手段C4は、受信された画像情報を、画像形成装置本体U3で印刷するための印刷情報に処理する。なお、実施例1の画像処理手段C4では、一例として、画像形成装置本体U3において階調段差が10bit(1024階調)で印刷が可能であり、受信した画像情報の階調段差が8bit、すなわち、256階調の場合、10bitに階調段差を2bit=4段階差分増やす画像処理を実行する。実施例1の画像処理手段C4は、下記の各手段C401〜C415を有する。
【0034】
図4は実施例1の画像処理の一例の説明図であり、
図4Aはグラデーション画像の一例の説明図、
図4Bは
図4Aの画像データにカラープロファイルデータの一例を使用して色変換処理を行った場合の説明図、
図4Cは
図4Bの色変換処理後のデータにキャリブレーション処理を行った場合の説明図である。
C401:プロファイルデータ記憶手段
プロファイルデータ記憶手段C401は、変換情報の一例としてのカラープロファイルデータを記憶する。
図4において、一例として、
図4Aに示すように濃度が100%、99%、98%、97%、…の順に変化する画像に対して、カラープロファイルデータを適用した場合、100%は100%、99%は98%、98%は97%、97%は96%、…といったように、濃度が変換されるようなカラープロファイルデータを記憶する。実施例1では、カラープロファイルデータの一例として、CMYKプロファイルJC2011を使用するが、カラープロファイルデータは、これに限定されず、日本や海外で従来使用されている任意のカラープロファイルデータや利用者が手動で設定したカラープロファイルデータを利用可能である。
C402:色変換手段
変換手段の一例としての色変換手段C402は、プロファイルデータ記憶手段C401に記憶されたカラープロファイルデータに基づいて、受信した画像情報の色変換処理を行う。
【0035】
C403:キャリブレーションデータ記憶手段
補正情報の記憶手段の一例としてのキャリブレーションデータ記憶手段C403は、濃度の補正情報の一例としてのキャリブレーションLUT(Look Up Table)を記憶する。
図4において、一例として、濃度が100%、99%、98%、97%、…の順に変化する画像に対して、カラープロファイルデータを適用した場合、100%は100%、99%は99%、98%は95%、97%は94%、96%は93%、…といったように、濃度が変換されるようなキャリブレーションLUTを記憶する。
【0036】
なお、キャリブレーションLUTは、画像形成装置Uにおいて、画像形成動作とは別に、キャリブレーションLUTを作成する動作を実行すると作成される。具体的には、予め設定されたキャリブレーション用の画像が印刷され、印刷されたキャリブレーション用の画像をスキャナ装置U1で読み取って、予め設定されたキャリブレーション用の画像の設定濃度と、実際に印刷されたキャリブレーション用の画像の実際の濃度との差から、キャリブレーションLUTが作成される。このようなキャリブレーションLUTを作成する処理は、従来公知であるので、詳細な説明は省略する。
なお、実施例1では、カラープロファイルデータは、画像形成装置Uの機種に設定されており、キャリブレーションLUTは画像形成装置Uの個体ごとに設定される。よって、カラープロファイルデータは機種ごとの仕様や設定に応じた画像処理を行い、キャリブレーションLUTは個体差に応じた画像処理を行う。
【0037】
C404:キャリブレーション補正手段
補正手段の一例としてのキャリブレーション補正手段C404は、キャリブレーションLUTに基づいて、色変換手段C402で変換された印刷情報を補正する。したがって、
図4に示す一例では、
図4Aに示すように濃度が100%、99%、98%、97%、…の順に変化する画像に対して、カラープロファイルデータの適用後に、キャリブレーションLUTを適用すると、100%の画素は100%→100%→100%となり、99%の画素は99%→98%→95%、98%の画素は98%→97%→94%、97%の画素は97%→96%→93%、…といったように変換される事となる。
【0038】
図5は実施例1の画像処理における画像領域の分割に関する説明である。
C405:画像分割手段
分割手段の一例としての画像分割手段C405は、印刷対処の画像の領域を、予め設定された方向に沿って複数の領域に分割する。
図5において、実施例1の画像分割手段C405は、印刷対象の画像101の画像領域A1に対して、予め設定された方向の一例としての副走査方向に沿って、複数の領域A2に分割する。なお、実施例1では、画像領域A1を複数の分割領域A2に分割して並行して処理を行うことで画像処理を高速化させているが、プロセッサの処理能力等の関係で並列処理が困難な場合や並列処理を行うと逆に全体の処理速度が低下する場合等は、分割せずに画像処理を行うことも可能である。また、分割する方向は、副走査方向としたが、これに限定されず、主走査方向に分割したり、或いは、副走査方向と主走査方向で格子状に分割する等、任意の分割方法が可能である。さらに、実施例1では、画像領域A1の分割を、色変換処理やキャリブレーション補正処理の後に行う構成を例示したが、これに限定されない。例えば、色変換処理やキャリブレーション補正処理の前に行い、各分割領域A2に対して色変換処理等を行うことも可能である。
【0039】
C406:濃度取得手段
濃度取得手段C406は、印刷対象の画像101における各画素の濃度C0を取得する。
C407:画素群の抽出手段
画素群の抽出手段C407は、濃度C0が共通する画素が複数隣接している画素群の一例としてのランを抽出する。実施例1では、分割領域A2ごとに、副走査方向に隣接して配置されている画素に対して、濃度が共通する画素が隣接している画素群であるランを抽出する。
C408:ラン長取得手段
画素群の長さ取得手段の一例としてのラン長取得手段C408は、画素群の抽出手段C407で抽出されたランの長さ、すなわち、画素群の画素数(ラン長)N1を取得する。実施例1のラン長取得手段C408は、ランごとにラン長N1を取得する。
【0040】
C409:ラン長の閾値の記憶手段
画素群の閾値の記憶手段の一例としてのラン長の閾値の記憶手段C409は、各ランの濃度C0に基づいて、ラン長の閾値の一例としての補間対象ラン長Naを記憶する。実施例1では、濃度C0が高くなるほど、補間対象ラン長Naが大きくなる設定情報が記憶されている。一例として、濃度C0が0〜10%の場合は、補間対象ラン長Na=40[pixel(画素)]とし、濃度C0が10〜20%の場合は、補間対象ラン長Na=80[pixel]とし、濃度C0が20〜30%の場合は、補間対象ラン長Na=120[pixel(画素)]とし、濃度C0が30%より高い場合は、補間対象ラン長Na=∞[pixel(画素)]とする設定情報が記憶されている。なお、補間対象ラン長Naは、ラン長N1が補間対象ラン長Naに達する場合に、ランにおいて階調段差を増加させて濃度の変化を連続的にする階調処理(階調段差の補間処理)を行い、ラン長N1が補間対象ラン長Naに達しない場合に階調処理を行わないという判定を行うための閾値である。また、実施例1では、濃度C0が30%よりも高い場合は、補間対象ラン長Naが∞に設定されており、ラン長N1がどれだけ長くても階調処理が実行されない。なお、補間対象ラン長Naの具体的な数値は、例示した数値に限定されず、設計や仕様、利用者の手動設定等により任意に変更可能である。
【0041】
C410:補間閾値の設定手段
濃度差の閾値の設定手段の一例としての補間閾値の設定手段C410は、濃度差の閾値の一例としての補間閾値(補間対象基準Gap値)Caを設定する。実施例1の補間閾値の設定手段C410は、階調処理(階調段差の補間処理)を行うか否かを判別するための補間閾値Caを、カラープロファイルデータとキャリブレーションLUTとに基づいて設定する。実施例1では、元画像において補完処理を行うか否かを判別する閾値を1とした場合、以下の式(1)に基づいて、補間閾値Caが設定される。
Ca=Max[CalibLUT(Profile(C0))−CalibLUT(Profile(C0−1))] …式(1)
なお、式(1)において、Profile(x)は、濃度xをカラープロファイルデータで色変換処理を行った後の濃度を演算する関数であり、CalibLUT(y)は、濃度yをキャリブレーションLUTを使用して補正処理を行った後の濃度を演算する関数である。よって、C0=100の場合、Profile(100)=100となり、CalibLUT(Profile(100))=100となり、CalibLUT(Profile(C1−1))=CalibLUT(Profile(99))=CalibLUT(98)=95となる。そして、C0の全ての濃度(1〜100)に対して、それぞれ、CalibLUT(Profile(C0))−CalibLUT(Profile(C0−1))を演算して、その最大値(Max)を、補間閾値Caに設定する。
なお、元画像において補間処理を行うか否かを判別する閾値がmの場合、式(1)のCalibLUT(Profile(C0−1))の項が、CalibLUT(Profile(C0−m))に設定可能である。
【0042】
C411:ラン長の判別手段
ラン長の判別手段C411は、各ランのラン長N1が、補間対象ラン長Naに達するか否かを判別する。実施例1のラン長の判別手段C411は、ラン長N1が、補間対象ラン長Naに達する場合に、階調処理を実行すると判別する。なお、補間対象ラン長Naは、ラン長の閾値の記憶手段C409に記憶されている各ランの濃度C0に応じたものが使用される。
C412:端の判別手段
端の判別手段C412は、各ランに対して、分割領域A2の端の画素を含むか否か、すなわち、分割領域A2の端から延びるランであるか否かを判別する。
【0043】
C413:濃度差の判別手段
濃度差の判別手段C413は、ランに隣接する画素の濃度とランの濃度C0の濃度差が、補間閾値Caに達するか否かを判別する。実施例1の濃度差の判別手段C413は、各ランに対して、ランの副走査方向(媒体の搬送方向)の下流側に隣接する画素の濃度C0aと、上流側に隣接する画素の濃度C0bに対して、各濃度差C0a−C0、C0b−C0が補間閾値Caや予め設定されたエッジ閾値Cbに対して大きいか否かを判別する。なお、エッジ閾値Cbは、階調画像部102の端を判定するための閾値であり、階調画像部102に背景部(白紙部)やベタ画像、あるいは自然画等が隣接している場合に、隣接する画像と階調画像部102の端と濃度差に基づいて、階調画像部102の端を判別するために予め記憶されている。なお、実施例1では、Ca<Cbに設定されている。
【0044】
また、実施例1の濃度差の判別手段C413は、ランが分割領域A2の端から延びている場合は、端とは反対側の画素の濃度C0a,C0bに対して濃度差C0a−C0またはC0b−C0が補間閾値Caに対して大きいか否かを判別する。
なお、以下の説明において、説明の分かりやすさのため、下流側の画素を「右」側とし、上流側の画素を「左」側として説明をする。また、「濃度差」を「段差」と表現する場合もある。
【0045】
図6は実施例1の濃度差と閾値と開著処理の有無を示す一覧表の説明図である。
なお、実施例1では、ラン長の判別で階調処理が実行されると判別されたランにおいて、
図6に示すように階調処理の有無の判別を行う。具体的には、以下の場合に階調処理を実行すると判別する。
(i)C0a−C0>0(右段差が+)且つC0b−C0>0(左段差が+)であって、|C0a−C0|<Ca且つ、|C0b−C0|>Cbの場合は、判別対象のランは、左右両側の画素の濃度に対して、濃度の『底』であり、ランの左端から右端に向かって濃度が上昇する(右上がりの)階調段差の補間処理を行うと判別する。すなわち、判別対象ランの濃度C0から右側の画素の濃度C0aに向かって濃度が上昇するように処理を行うランであると判別する。
(ii)C0a−C0>0(右段差が+)且つC0b−C0>0(左段差が+)であって、|C0a−C0|>Cb且つ、|C0b−C0|<Caの場合は、判別対象のランは、左右両側の画素の濃度に対して、濃度の『底』であり、ランの左端から右端に向かって濃度が減少する(右下がりの)階調段差の補間処理を行うと判別する。すなわち、左側の画素の濃度C0bから判別対象ランの濃度C0に向かって濃度が減少するように処理を行うランであると判別する。
【0046】
(iii)C0a−C0<0(右段差が−)且つC0b−C0<0(左段差が−)であって、|C0a−C0|>Cb且つ、|C0b−C0|<Caの場合は、判別対象のランは、左右両側の画素の濃度に対して、濃度の『頂点』であり、ランの左端から右端に向かって濃度が上昇する(右上がりの)階調段差の補間処理を行うと判別する。したがって、判別対象ランの濃度C0から後述する変化率に応じて右側に向かって濃度が上昇するように処理を行うランであると判別する。したがって、(i)、(ii)とは異なり、右端の濃度は左端の濃度C0から変化率で予測、推定する形となるので、予測補間処理となる。
(iv)C0a−C0<0(右段差が−)且つC0b−C0<0(左段差が−)であって、|C0a−C0|<Ca且つ、|C0b−C0|>Cbの場合は、判別対象のランは、左右両側の画素の濃度に対して、濃度の『頂点』であり、ランの左端から右端に向かって濃度が減少する(右下がりの)階調段差の補間処理を行うと判別する。すなわち、右側の判別対象ランの濃度C0から変化率に応じて左側に向かって濃度が上昇するように予測補間処理を行うランであると判別する。
【0047】
(v)C0a−C0>0(右段差が+)且つC0b−C0<0(左段差が−)であって、|C0a−C0|<Caの場合は、ランを挟んで左隣の画素から右隣の画素に向けて濃度が上昇している部分と判断して、判別対象のランは、ランの左から右に向かって濃度が上昇する(右上がりの)階調段差の補間処理を行うと判別する。すなわち、判別対象ランの濃度C0から右隣りの画素の濃度C0aに向かって濃度が上昇するように処理を行うランであると判別する。
(vi)C0a−C0>0(右段差が+)且つC0b−C0<0(左段差が−)であって、|C0a−C0|>Ca且つ|C0b−C0|<Caの場合は、判別対象のランが右側にベタ画像等の高濃度画像が隣接する階調画像部102の右端と判断する。したがって、判別対象のランは、ランの左から右に向かって濃度が上昇する(右上がりの)階調段差の予測補間処理を行うと判別する。すなわち、判別対象ランの濃度C0から変化率に応じて右側に向かって濃度が上昇するように処理を行うランであると判別する。
【0048】
(vii)C0a−C0<0(右段差が−)且つC0b−C0>0(左段差が+)であって、|C0b−C0|<Caの場合は、ランを挟んで左隣の画素から右隣の画素に向けて濃度が減少している部分と判断する。よって、判別対象のランは、ランの左から右に向かって濃度が減少する(右下がりの)階調段差の補間処理を行うと判別する。すなわち、左隣の画素の濃度C0bから判別対象ランの濃度C0に向かって濃度が減少するように処理を行うランであると判別する。
(viii)C0a−C0<0(右段差が−)且つC0b−C0>0(左段差が+)であって、|C0a−C0|<Ca且つ|C0b−C0|>Caの場合は、判別対象のランが左側にベタ画像等の高濃度画像が隣接する階調画像部102の左端と判断する。したがって、判別対象のランは、ランの左から右に向かって濃度が減少する(右下がりの)階調段差の予測補間処理を行うと判別する。すなわち、判別対象ランの濃度C0から変化率に応じて左側に向かって濃度が上昇するように処理を行うランであると判別する。
【0049】
(ix)左端が分割領域A2の端で且つ|C0a−C0|<Caの場合、分割領域A2の端であり、階調段差の予測補間処理を行うランであると判別する。そして、C0a−C0>0(右段差が+)の場合は、ランの左から右に向けて濃度が上昇する(右上がり)部分と判断し、右隣の画素の濃度C0aと変化率に応じて左側に向かって濃度が減少するように予測補間処理を行うランと判別する。また、C0a−C0<0(右段差が−)の場合は、ランの左から右に向けて濃度が減少する(右下がり)部分と判断し、左隣の画素の濃度C0bと変化率に応じて右側に向かって濃度が減少するように予測補間処理を行うランと判別する。
(x)右端が分割領域A2の端で且つ|C0b−C0|<Caの場合、分割領域A2の端であり、階調段差の予測補間処理を行うランであると判別する。そして、C0b−C0>0(左段差が+)の場合は、ランの左から右に向けて濃度が減少する(右下がり)部分と判断し、左隣の画素の濃度C0bと変化率に応じて右側に向かって濃度が減少するように予測補間処理を行うランと判別する。また、C0b−C0<0(左段差が−)の場合は、ランの左から右に向けて濃度が上昇する(右上がり)部分と判断し、判別対象ランの濃度C0と変化率に応じて右側に向かって濃度が上昇するように予測補間処理を行うランと判別する。
【0050】
図7は実施例1の変化率の説明図である。
C414:変化率選択手段
変化率選択手段C414は、階調処理における濃度変化を、予め設定された複数の変化率の中から選択する。実施例1では、変化率として、強変化、中変化、弱変化の3種類が予め設定されている。実施例1では、変化率は、階調画像部102の端部のランや分割領域A2の端から延びるランに階調処理が行われる場合に使用される。
図7において、実施例1では、強変化では、(変化する階調段差数)×(隣接する階調画像部102の内側の画素との濃度差:Gap値)がランの端の濃度となる変化率が設定される。また、中変化では、(変化する階調段差数)×(Gap値)×1/2がランの端の濃度となる変化率が設定される。さらに、中変化では、(変化する階調段差数)×(Gap値)×1/4がランの端の濃度となる変化率が設定される。なお、実施例1では、変化率は、初期値が弱変化に設定されており、操作部UIからの入力に応じて利用者が選択、設定可能に構成されている。なお、変化率の具体的な計算値は、例示した構成に限定されず、設計や仕様等に応じて任意に変更可能である。また、変化率は選択可能な構成とすることが望ましいが、特定の変化率に固定することも可能である。
【0051】
C415:階調処理手段
階調処理手段C415は、印刷対象の画像101の階調画像部102に対して濃度の変化を連続的にする階調処理(グラデーション処理、階調段差の補間処理)を実行する。実施例1の階調処理手段C415は、ラン長の判別手段C411や濃度差の判別手段C413の判別結果に基づいて、階調の段階数(階調段差)が増える場合に、ランにおける濃度の変化を連続的にする階調段差の補間処理(階調処理)を実行する。したがって、実施例1では、補間閾値Caやエッジ閾値Cbと、各濃度差C0−C0a、C0−C0bに基づいて、階調処理が実行される。実施例1の階調処理手段C415では、濃度差の判別手段C413の判別結果(i)〜(x)に応じた補間処理または予測補間処理を実行する。例えば、(i)の場合は、{N1/(階調段差)}画素分進むにつれて、濃度が(C0a−C0)/(階調段差)ずつ濃くなっていくように設定することが可能である。
【0052】
なお、実施例1では、ラン長N1が補間対象ラン長Naに達する場合に、階調処理が行われるとともに、補間対象ラン長Naが画素の濃度C0に応じて変更される。そして、実施例1では、画素の濃度C0が予め設定された濃度である30%に達する場合は、階調処理が行われない。また、ラン長N1が、補間対象ラン長Naに達し、且つ、画素の濃度C0が30%に達しない場合に、階調処理が実行される。
【0053】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、実施例1の画像形成装置Uにおける制御の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
【0054】
(画像処理のフローチャートの説明)
図8は実施例1の画像処理のフローチャートの説明図である。
図8のフローチャートの各ステップSTの処理は、画像形成装置Uの制御部Cに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して実行される。
図8に示すフローチャートは画像形成装置Uが画像情報の受信、すなわち、パーソナルコンピュータPCからの画像情報の受信やスキャナ装置U1からの読み取り画像情報の受信により開始される。
【0055】
図8のST1において、カラープロファイルを使用した色変換処理を実行する。そして、ST2に進む。
ST2において、キャリブレーションLUTを使用したキャリブレーション補正処理を実行する。そして、ST3に進む。
ST3において、画像領域A1をバンド状の分割領域A2に分割する。そして、ST4に進む。
ST4において、各分割領域A2において、各画素の濃度C0を取得する。そして、ST5に進む。
【0056】
ST5において、副走査方向に隣接する画素において、濃度C0が共通する画素群:ランを抽出する。そして、ST6に進む。
ST6において、各ランの長さN1を取得する。そして、ST7に進む。
ST7において、判別対象のランの濃度C0に応じた補間対象ラン長Naを読み出す。そして、ST8に進む。
ST8において、カラープロファイルデータとキャリブレーションLUTから補間閾値Caを演算する。そして、ST9に進む。
ST9において、ラン長N1が補間対象ラン長Na以上か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST10に進み、ノー(N)の場合はST13に進む。
【0057】
ST10において、判別対象ランの濃度C0や隣接する画素の濃度C0a,C0b、各閾値Ca,Cbに基づいて、(i)〜(x)に該当するかを判別する。そして、ST11に進む。
ST11において、判別対象ランが補間処理を実行する対象のランであるか否か、すなわち、(i)〜(x)のいずれかに該当するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST12に進み、ノー(N)の場合はST13に進む。
ST12において、判別対象のランにおいて、階調段差の補間処理を実行する。そして、ST14に進む。
ST13において、判別対象のランにおいて、階調段差の補間処理を実行しない。そして、ST14に進む。
ST14において、すべてのランの処理が終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST15に進み、ノー(N)の場合はST7に戻る。
ST15において、並列処理されている全ての分割領域A2の処理が終了したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST15を繰り返し、イエス(Y)の場合は画像形成装置本体U3に処理後の印刷情報を出力して、
図8の処理を終了する。
【0058】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の画像形成装置Uでは、外部のパーソナルコンピュータPCから送信された画像情報やスキャナ装置U1で読み取った画像情報を受信した場合、色変換処理とキャリブレーションLUTを使用したキャリブレーション補正処理が行われる。そして、受信した画像情報の階調の段差数が、画像形成装置本体U3で処理可能な階調段差数よりも低い場合、画像情報の階調段差数を拡張する階調段差の補間処理(グラデーション処理)を実行する。したがって、グラデーション処理が実行されることで、階調の変化が精緻になり、グラデーション処理が実行されない場合に比べて、画質が向上する。
【0059】
図9は従来の画像処理の説明図であり、
図9Aは元画像の画素の濃度の一例の説明図、
図9Bは
図9Aの画像に対してカラープロファイルデータおよびキャリブレーションLUT適用後の説明図、
図9Cは
図9Bの画像に対してグラデーション処理を行った場合の説明図である。
ここで、従来技術では、色変換及びキャリブレーション補正後の画像に対してグラデーション処理を実行する際に、補間閾値Caは、固定の値を使用していた。したがって、
図9Aに示すように、濃度が1段階ずつ変化する階調画像部01に対して、色変換およびキャリブレーション補正の適用後、濃度差02が補間閾値Caを超えてしまうと、本来グラデーション処理をすべきラン03に対してグラデーション処理が実行されない場合があった。このように、カラープロファイルやキャリブレーションLUTによっては、グラデーション処理が実行されたり、されなかったりすることがあると、画質が安定せず、階調画像部にムラのような画質欠陥が発生する問題がある。一方で、補間閾値Caを大きな値に設定すると、色の変化が大きな自然画等において、本来グラデーション処理が不要な部分にグラデーション処理が実行される問題もある。
【0060】
これに対して、実施例1では、カラープロファイルデータやキャリブレーションLUTに応じて、補間閾値Caが演算される。したがって、カラープロファイルの変更やキャリブレーションLUTの更新に応じて、補間閾値Caが更新されていく。したがって、本来グラデーション処理をすべきランにグラデーション処理が実行されなかったり、不要なグラデーション処理が実行されるといった状況が低減される。よって、グラデーション処理を行うか否かを判別する補間閾値Caを固定する従来の場合に比べて、画質を向上させることが可能である。
【0061】
図10は画像処理方法の説明図であり、
図10Aは(v)の場合のグラデーション処理前の階調画像、
図10Bは
図10Aのグラデーション処理後の階調画像、
図10Cは(iii)の場合のグラデーション処理前の階調画像の端部、
図10Dは
図10Cのグラデーション処理後の階調画像の端部の説明図である。
図11は画像処理方法の説明図であり、
図11Aは(vii)の場合の階調画像の一例の説明図、
図11Bは(iv) の場合の階調画像の一例の説明図、
図11Cは(v) の場合の階調画像の一例の説明図である。
図12は画像処理方法の説明図であり、
図12Aは(viii) の場合の階調画像の一例の説明図、
図12Bは(i) の場合の階調画像の一例の説明図、
図12Cは(ii) の場合の階調画像の一例の説明図、
図12Dは(vi) の場合の階調画像の一例の説明図である。
【0062】
図10A、
図10Bにおいて、階調画像部102の内部では、濃度差の判別手段C413の判別における(v)の場合に該当し、各ランの濃度が連続的に変化するように階調段差の補間処理が実行される。ここで、従来技術でも、このような階調段差の補間処理が実行されていたが、
図10Cに示すように、階調画像部102の端部102aが、白紙(背景部)等の低濃度画像部や、ベタ画像等の高濃度画像に隣接している場合、すなわち、(iii)の場合、濃度差が大きく、自然画であると判別していたため、グラデーション処理が実行されていなかった。したがって、本来は
図10Dの一点鎖線で示すようにグラデーション処理をすべき端部102aの部分が、
図10Dの実線で示すようなグラデーション処理が実行されていた。よって、従来のグラデーション処理では、階調画像部102の端部でグラデーションが目立ち、画質欠陥のように見える問題があった。
【0063】
これに対して、実施例1では、(iii)、(iv)、(v)、(vii)の場合、すなわち、
図10D、
図11A〜
図11Cに示すように、白紙等の低濃度部に隣接する階調画像部102の端部や、
図12に示すようにベタ画像等の高濃度部に隣接する階調画像部102の端部でも、一点鎖線で示すようにグラデーション処理が実行される。したがって、階調画像部102の端部において階調画像部102の外側の領域との濃度差がある場合にグラデーション処理を行わない場合に比べて、画質の低下を低減することが可能である。
なお、(iii)、(iv)、(vi)、(viii)の場合、(i)、(ii)、(v)、(vii)の場合と異なり、端のランが上昇していく側で濃度が連続的に変化せず、白紙やベタ等の側でいわば不連続的に変化する。したがって、(i)、(ii)、(v)、(vii)と同様のグラデーション処理ではなく、予め設定された変化率を使用して、階調画像部102の連続的に変化している側からの濃度変化を外挿する(予測する)形でグラデーション処理(予測補間処理)が実行される。そして、変化率は、利用者が設定可能に構成されており、利用者の用途や好み等に応じて変更可能である。
【0064】
図13は実施例1の分割領域の境界部分の画像処理の説明図である。
図13において、実施例1のように画像領域A1を分割領域A2に分割して処理する場合、分割領域A2どうしの境界104に階調画像部102が跨っていると、境界104にまたがるランは、各分割領域A2に分割されてそれぞれ処理されることとなる。そして、分断されたランは、一端が分割領域A2の端であるため、分割領域A2の処理中は、分断された先の部分が不定の状態で処理される。したがって、不定の部分がどのくらいのラン長があるのか、隣接画素が階調画像部102の続きなのか、自然画なのか等が不定である。よって、従来は、境界104にまたがるランについては、
図13の破線で示すように本来グラデーション処理をすべき部分もグラデーション処理が行われなかった。よって、分割領域A2の境界部分で、グラデーションがムラのようになって画質が低下する問題があった。
【0065】
これに対して、実施例1では、(ix)、(x)の場合、ラン長N1が閾値(補間対象ラン長)Na以上ある場合は、
図13の一点鎖線で示すように、グラデーション処理を実行する。したがって、画像情報を複数の分割領域A2に分割して処理する際に境界部でグラデーション処理を行わない従来の場合に比べて、境界部での画質の低下を低減することが可能である。
【0066】
さらに、実施例1では、グラデーション処理を実行するか否かを判別する際に、補間対象ラン長Naがランの濃度C0が濃くなるほど大きな値に変更される。グラデーション処理は、ランの濃度C0が濃くなるほど、目立ちにくく、グラデーション処理を行っても行わなくても違いが分かりにくくなる。したがって、実施例1では、濃度C0が高くなるほど、補間対象ラン長Naが大きくなり、グラデーション処理が実行されにくくなる。特に、濃度C0が30%に達する場合には、グラデーション処理が実行されない。よって、実施例1では、グラデーション処理の必要性が低いランについてはグラデーション処理を実行しない。したがって、常時グラデーション処理を実行する場合に比べて、画質の低下を抑えつつ処理速度を向上させることが可能である。
【0067】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H04)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複合機を例示したが、これに限定されず、例えば、複写機、FAX、プリンタにより構成することも可能である。
【0068】
(H02)前記実施例において、画像形成装置Uとして、4色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、単色の画像形成装置や、3色以下または5色以上の多色の画像形成装置にも適用可能である。
(H03)前記実施例において、画像形成装置における画像処理を例示したが、これに限定されず、入力画像と出力画像との間で階調段差が存在する構成、例えば、入力画像データが低階調画像で、出力する表示器が高解像度の場合に階調段差を補間する画像処理部にも適用可能である。
(H04)前記実施例において、bit数、すなわち、濃度の段差数(階調数)が増える場合に、階調段差を保管する画像処理に関して説明したが、これに限定されない。例えば、階調数が増えなくても、段階状に濃度が変化する階調画像に対して、濃度の変化が連続的になるように補正する階調処理にも適用可能である。