(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シート束の中で最も後に前記第1排出部から排出された第2シートが、前記第1トレイによって保持されると、前記トレイ駆動部は、前記第2トレイを所定量だけ上昇させる
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の後処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置による画像形成処理に続いて所定の処理を行う後処理装置に関して、複数のシートは、1つのトレイ上で重ねられ、シート束が形成される。複数のシートが順次送り出されているとき、後続のシートが、トレイ上で既に積み重ねられたシートを排出方向に押し出すことがある。上述の従来技術が、後処理装置に利用されるならば、送風装置からの空気は、トレイ上で既に積み重ねられたシートを排出方向に押し出す作用をもたらす。したがって、上述の従来技術は、後処理装置の排出機構への利用に適していない。
【0005】
加えて、シート間で発生する摩擦力は、シートの材質やシート上に形成された画像の状態に影響される。シート間で発生する摩擦力が、非常に大きいならば、空気流を用いた摩擦低減効果は、不十分なこともある。したがって、空気が、トレイ上で既に積み重ねられたシートに当たらないように、送風装置が、配置されたとしても、トレイ上のシートが後続のシートによって押し出されることもある。
【0006】
本発明は、トレイ上に既に配置されたシートが、後続のシートによって押し出されることを防ぐ機構を有する後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る後処理装置は、画像形成装置による画像形成処理に続いて所定の処理を行う。後処理装置は、第1シートを排出する第1排出部と、前記第1排出部によって排出された前記第1シートを一時的に保持する第1トレイと、前記第1シートの排出方向において前記第1トレイの下流に位置する第2トレイと、前記第2トレイを第1高さ位置から下降させるトレイ駆動部と、前記第2トレイと、前記第1排出部によって排出されている前記第1シートの下面と、の間に空気流を形成する送風部と、前記送風部と前記トレイ駆動部とを制御する制御部と、を備える。前記制御部は、(i)前記第1排出部による
前記第1トレイへの前記第1シートの排出の開始から終了までの排出動作期間に同期した期間に亘って前記送風部から空気を吹き出させる送風制御部と、(ii)前記排出動作期間の後に、前記トレイ駆動部に、前記第2トレイを、前記第1高さ位置から下降させるトレイ制御部と、を含む。
【0008】
上記の構成によれば、制御部の送風制御部は、第1排出部による前記第1シートの排出の開始から終了までの排出動作期間に同期した期間に亘って、送風部から空気を吹き出させるので、空気流は、第1シートの排出方向において第1トレイの下流に位置する第2トレイと、第1排出部によって排出されている第1シートの下面と、の間に形成される。この結果、第1シートが第2トレイ上で摺動する大きさを有していても、第2トレイと第1シートとの摩擦力は、低減される。したがって、第1シートは、第2トレイと第1シートとの間の摩擦力に妨げられることなく、第1トレイ上で円滑に保持されることになる。
【0009】
送風部からの空気の吹出は、排出動作期間に同期しているので、空気流は、排出動作期間の後に消滅する。第2トレイと第1シートとの間の摩擦力は、増加するので、第1シートは、後続のシートによって押し出されにくくなる。
【0010】
制御部のトレイ制御部は、トレイ駆動部を制御し、排出動作期間の後に、第2トレイを第1高さ位置から下降させるので、第1トレイから第2トレイに向けてはみ出した第1シートの領域は、後続のシートの排出経路から離れることができる。第1シートと後続のシートとの間の接触面積は、小さくなるので、第1シートは、後続のシートによって押し出されにくくなる。
【0011】
上記の構成に関して、前記制御部は、前記第1排出部から排出された前記第1シートを検出し、前記排出の前記開始及び前記終了を表す検出信号を生成する検出部を含んでもよい。前記送風制御部は、前記検出信号に応じて、前記送風部を制御してもよい。
【0012】
上記の構成によれば、制御部は、第1排出部から排出された第1シートを検出し、排出の開始及び終了を表す検出信号を生成する検出部を含むので、送風制御部は、送風部からの空気の吹出期間を、排出動作期間に精度よく同期させることができる。
【0013】
上記の構成に関して、前記第1シートが、前記排出方向において所定の長さよりも長いならば、前記トレイ制御部は、前記第2トレイを前記第1高さ位置から下降させてもよい。前記第1シートが、前記排出方向において前記所定の長さ以下であるならば、前記第2トレイは、前記第1高さ位置に維持される。
【0014】
第1シートが、排出方向において長いならば、第1シートと後続のシートとの間の接触面積は、広くなりやすい。上記の構成によれば、第1シートが、排出方向において所定の長さよりも長いならば、トレイ制御部は、第2トレイを第1高さ位置から下降させるので、第1シートと後続のシートとの間の接触面積は、小さくなる。したがって、第1シートは、後続のシートによって押し出されにくくなる。
【0015】
第1シートが、排出方向において短いならば、第1シートは、後続のシートと接触しにくい。上記の構成によれば、第1シートが、排出方向において所定の長さ以下であるならば、第2トレイは、第1高さ位置に維持されるので、第2トレイの不必要な下降は、生じない。すなわち、後処理装置は、電力を不必要に浪費しない。
【0016】
上記の構成に関して、前記トレイ制御部は、前記検出信号を用いて、前記排出方向における前記第1シートの長さを算出し、且つ、前記算出された長さを、所定の閾値と比較してもよい。前記算出された長さが、前記所定の閾値を超えるならば、前記トレイ制御部は、前記第2トレイを前記第1高さ位置から下降させてもよい。前記算出された長さが、前記所定の閾値以下であるならば、前記第2トレイは、前記第1高さ位置に維持されてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、検出信号は、排出動作期間の通知だけでなく、第1シートの長さの算出にも用いられるので、第1シートの長さを表す情報を得るための追加的な装置は、必要とされない。したがって、後処理装置は、簡素な構造を有することができる。
【0018】
第1シートが、排出方向において長いならば、第1シートと後続のシートとの間の接触面積は、広くなりやすい。上記の構成によれば、算出された長さが、所定の閾値を超えるならば、トレイ制御部は、第2トレイを第1高さ位置から下降させるので、第1シートと後続のシートとの間の接触面積は、小さくなる。したがって、第1シートは、後続のシートによって押し出されにくくなる。
【0019】
第1シートが、排出方向において短いならば、第1シートは、後続のシートと接触しにくい。上記の構成によれば、算出された長さが、所定の閾値以下であるならば、第2トレイは、第1高さ位置に維持されるので、第2トレイは、不必要に下降されない。すなわち、後処理装置は、電力を不必要に浪費しない。
【0020】
上記の構成に関して、前記第1排出部は、前記第1シートに続いて、少なくとも1つのシートを順次排出してもよい。前記第1トレイは、前記少なくとも1つのシートの縁が前記第1シートの縁に重なるように、前記少なくとも1つのシートを前記第1シートに整合させ、シート束を形成する整合動作を行う整合部を含んでもよい。前記整合部が、前記第1トレイ上で前記排出方向に対して直交する方向において前記第1シートの位置を調整する調整動作を終える前に、前記トレイ制御部は、前記第2トレイを下降させてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、第1排出部は、第1シートに続いて、少なくとも1つのシートを順次排出するけれども、トレイ制御部が、第2トレイを下降させるので、過度に大きな摩擦力は、第1シートと少なくとも1つのシートとの間で生じない。したがって、第1シートは、後続の少なくとも1つのシートによって押し出されにくくなる。
【0022】
第1トレイの整合部は、少なくとも1つのシートの縁が第1シートの縁に重なるように、少なくとも1つのシートを第1シートに整合させるので、質の高いシート束が第1トレイ上で形成されることになる。整合部が、第1トレイ上で排出方向に対して直交する方向において第1シートの位置を調整する調整動作を終える前に、トレイ制御部は、第2トレイを下降させるので、第2トレイの下降のための処理期間は、別途必要とされない。したがって、後処理装置は、高い処理速度を有することができる。
【0023】
上記の構成に関して、後処理装置は、前記少なくとも1つのシートを、前記排出方向とは反対の引込方向に移動させ、前記第1トレイ上に配置する引込機構を更に備えてもよい。前記制御部は、前記引込機構を制御し、前記少なくとも1つのシートを前記引込方向に移動させる引込制御部と、前記整合部の前記整合動作を制御する整合制御部と、前記整合部の前記整合動作を制御する整合制御部と、を含んでもよい。前記少なくとも1つのシートが、前記引込制御部の制御下で、前記引込方向に移動され、前記第1トレイ上に配置されると、前記整合制御部は、前記整合部に、前記整合動作を実行させてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、引込機構は、引込制御部の制御下で、少なくとも1つのシートを、排出方向とは反対の引込方向に移動させ、第1トレイ上に配置するので、少なくとも1つのシートは、第1シート上に積み重ねられる。少なくとも1つのシートが、引込制御部の制御下で、引込方向に移動され、第1トレイ上に配置されると、整合制御部は、整合部に、整合動作を実行させるので、シート束は、第1トレイ上で形成される。
【0025】
上記の構成に関して、後処理装置は、前記シート束を前記第1トレイから前記第2トレイへ排出する第2排出部を更に備えてもよい。前記第2排出部は、第1ローラーと、前記第1ローラーに近接した近接位置と前記第1ローラーから離れた離隔位置との間で移動する第2ローラーと、を含んでもよい。前記制御部は、前記第1ローラーの回転方向と前記第2ローラーの位置とを制御するローラー制御部を含んでもよい。前記第1シートが、前記第1排出部から排出されるとき、前記ローラー制御部は、前記第2ローラーを前記近接位置に配置し、且つ、前記第1シートが前記排出方向に移動した後、前記引込方向に移動するように前記第1ローラーを双方向に回転させてもよい。前記少なくとも1つのシートが、前記第1排出部から排出されるとき、前記ローラー制御部は、前記第2ローラーを前記離隔位置に配置してもよい。前記シート束が前記第1トレイ上で形成されると、前記ローラー制御部は、前記シート束が前記排出方向に移動するように前記第1ローラーを回転させてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、第1シートが、第1排出部から排出されるとき、ローラー制御部は、第2ローラーを近接位置に配置し、且つ、第1シートが排出方向に移動した後、引込方向に移動するように第1ローラーを双方向に回転させるので、第1シートは、第1トレイ上に適切に配置される。少なくとも1つのシートが、第1排出部から排出されるとき、ローラー制御部は、第2ローラーを離隔位置に配置するので、少なくとも1つのシートは、第1ローラーと第2ローラーとの間で移動することができる。したがって、第2排出部は、少なくとも1つのシートの移動を妨げない。この結果、少なくとも1つのシートは、引込機構によって、第1トレイ上に円滑に配置され、シート束が、第1トレイ上に形成される。シート束が第1トレイ上で形成されると、ローラー制御部は、シート束が排出方向に移動するように第1ローラーを回転させるので、第1トレイ上のシート束は、第2排出部によって、第2トレイ上に排出される。
【0027】
上記の構成に関して、前記シート束の中で最も後に前記第1排出部から排出された第2シートが、前記第1トレイによって保持されると、前記トレイ駆動部は、前記第2トレイを所定量だけ上昇させてもよい。
【0028】
上記の構成によれば、シート束の中で最も後に第1排出部から排出された第2シートが、第1トレイによって保持されると、トレイ駆動部は、第2トレイを所定量だけ上昇させるので、第2排出部から第2トレイまでの落差は、小さくなる。したがって、シート束は、第1トレイから第2トレイへ円滑に排出される。
【0029】
上記の構成に関して、前記トレイ駆動部によって上昇された前記第2トレイは、前記第1高さ位置よりも高い第2高さ位置に到達してもよい。
【0030】
上記の構成によれば、トレイ駆動部によって上昇された第2トレイは、第1高さ位置よりも高い第2高さ位置に到達するので、第2排出部から第2トレイまでの落差は、小さくなる。したがって、シート束は、第1トレイから第2トレイへ円滑に排出される。
【発明の効果】
【0031】
上述の後処理装置は、トレイ上に既に配置されたシートが、後続のシートによって押し出されることを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<第1実施形態>
シート間の摩擦力は、シートの材質やシート上に形成された画像によって影響される。たとえば、シートが、インクジェット印刷用の紙片であるならば、高い摩擦力が、シート間に生じやすい。この場合、トレイに既に保持されたシートは、後続のシートによって、排出方向に押し出されやすい。本発明者等は、排出方向へのシートの押し出しの課題を解決するために、トレイ上に既に配置されたシートが、後続のシートによって押し出されることを防ぐ機構を有する後処理装置を開発した。第1実施形態において、例示的な後処理装置が説明される。
【0034】
図1は、例示的な後処理装置100の一部の概略的な断面図である。
図1を参照して、後処理装置100が説明される。
【0035】
画像形成装置(図示せず)は、画像をシート(図示せず)上に形成する(画像形成処理)。その後、シートは、画像形成装置から後処理装置100へ送られる。後処理装置100は、シートに貫通穴を形成したり、シートにステープルを打設したり、シートを折り畳んだりする。本実施形態の原理は、後処理装置100が実行する特定の処理に限定されない。
【0036】
後処理装置100は、第1排出部210と、第2排出部220と、第1トレイ310と、第2トレイ320と、送風部400と、を備える。
図1は、第1排出部210から第2排出部220へ向かうシートの流れを点線の矢印で概念的に示す。点線の矢印の向きは、以下の説明において、「排出方向」と称される。排出方向とは反対の方向は、「引込方向」と称される。
【0037】
画像形成装置から供給されたシートは、後処理装置100の中に形成された搬送経路(図示せず)を通じて、第1排出部210に到達する。第1排出部210は、2つのローラー211,212を含む。第1排出部210に到達したシートは、ローラー211,212によって挟まれる。ローラー211は、モータ(図示せず)によって駆動される。ローラー211が、モータによって、回転されると、シートは、排出方向に移動する。ローラー212は、排出方向へのシートの移動によって回転される。
【0038】
第1排出部210から排出されたシートは、その後、第2排出部220又は引込機構(図示せず)によって、引込方向に送り出される。この結果、シートは、第1トレイ310上に移動することができる。既知の後処理装置の排紙機構に用いられる様々な技術は、第1トレイ310へのシートの供給に利用されてもよい。したがって、本実施形態の原理は、シートを第1トレイ310に供給するための特定の技術に限定されない。
【0039】
複数のシートは、画像形成装置から後処理装置100へ順次供給される。この結果、複数のシートは、第1トレイ310上に順次積み重ねられ、シート束が形成される。第1トレイ310は、シート束を一時的に保持する。第1トレイ310が、シート束を保持している間、後処理装置100は、第1トレイ310上のシート束に、穿孔処理をしてもよいし、ステープルの打設処理をしてもよい。
【0040】
第2排出部220は、第1トレイ310の下流端(排出方向における下流端)の近くで回転する2つのローラー221,222を含む。第1トレイ310上のシート束は、ローラー221,222によって挟まれる。ローラー221は、モータ(図示せず)によって駆動される。ローラー221が、モータによって、回転されると、シート束は、排出方向に移動する。ローラー222は、排出方向へのシート束の移動によって回転される。
【0041】
第2トレイ320は、排出方向において、第1トレイ310の下流に位置する。したがって、第2排出部220によって排出方向に送り出されたシート束は、第1トレイ310から第2トレイ320に供給される。
【0042】
シート束の中で最も下のシート(すなわち、画像形成装置から後処理装置100へ最初に供給されたシート)は、以下の説明において、「第1シート」と称される。第1シートが、第1排出部210によって排出方向へ送り出されている間、第1シートの下面の一部は、第2トレイ320上に現れる。第1シートが、第1排出部210によって排出方向へ送り出されている間、送風部400は、空気を吹き出し、第2トレイ320と第1シートの下面との間に空気流を形成する。
図1は、送風部400からの空気流を実線の矢印で概念的に表す。空気流は、第2トレイ320と第1シートとの間の摩擦力を効果的に低減するので、第1シートは、排出方向及び引込方向へ円滑に移動することができる。
【0043】
第1シートが、その後、第1トレイ310によって保持されているとき、第1シートの一部は、第2トレイ320を覆う。第1排出部210が、第1シートの排出を終えると、送風部400は、空気の吹出を停止するので、第1シートと第2トレイ320との間の摩擦力は、第1シートが、排出方向及び引込方向に移動しているときよりも、第1シートが第1トレイ310によって保持されているときの方が高くなる。したがって、排出方向に移動する後続のシートが、第1シートの上面に接触しても、第1シートは、排出方向に移動しにくくなる。一般的なファン装置が、送風部400として用いられてもよい。たとえば、軸流ファン、遠心ファン、斜流ファンや横流ファンが、送風部400として用いられてもよい。本実施形態の原理は、送風部400として用いられる特定の送風装置に限定されない。
【0044】
図2は、後処理装置100の概略的なブロック図である。
図1及び
図2を参照して、後処理装置100が、更に説明される。
図2の実線は、信号の伝達経路を概念的に表す。
図2の点線は、力の伝達経路を概念的に表す。
図2の鎖線は、検出動作を概念的に表す。
【0045】
後処理装置100は、トレイ駆動部500と、制御部600と、を更に備える。第1シートが、第1排出部210によって排出される前、第2トレイ320は、第1高さ位置に配置されている。トレイ駆動部500は、制御部600の制御下で、第2トレイ320を第1高さ位置から下降させる。トレイ駆動部500は、モータ(図示せず)と、モータの回転力が第2トレイ320の鉛直移動に変換されるように設計された伝達機構(たとえば、ベルトとプーリとの組み合わせ:図示せず)と、を含んでもよい。代替的に、トレイ駆動部500は、第2トレイ320に連結されたシリンダ装置(図示せず)を含んでもよい。本実施形態の原理は、トレイ駆動部500の特定の機構に限定されない。
【0046】
制御部600は、トレイ駆動部500だけでなく、送風部400をも制御する。したがって、制御部600は、トレイ駆動部500と送風部400とを、適切なタイミングで動作させることができる。
【0047】
制御部600は、シート検出部610と、送風制御部620と、トレイ制御部630と、トレイ検出部640と、を含む。シート検出部610は、第1排出部210から排出された第1シートを検出する。シート検出部610は、第1シートの排出の開始と第1シートの排出の終了とを表すシート検出信号を生成する。シート検出信号は、シート検出部610から、送風制御部620とトレイ制御部630とに出力される。シート検出部610は、第1排出部210の下流に配置された光学センサ(透過型の光センサや反射型の光センサ)であってもよいし、第1排出部210からの第1シートの排出の開始及び終了を検出することができる他のセンサであってもよい。本実施形態の原理は、シート検出部610として用いられる特定の検出素子に限定されない。本実施形態に関して、検出部は、シート検出部610によって例示される。検出信号は、シート検出信号によって例示される。
【0048】
送風制御部620は、シート検出信号を参照して、第1制御信号を生成する。第1制御信号は、送風制御部620から送風部400へ出力される。送風部400は、第1制御信号に応じて、空気を吹き出す。
【0049】
トレイ制御部630は、シート検出信号を参照して、第2制御信号を生成する。第2制御信号は、トレイ制御部630からトレイ駆動部500へ出力される。トレイ駆動部500は、第2制御信号に応じて、第2トレイ320を第1高さ位置から下降させる。
【0050】
トレイ検出部640は、第1高さ位置から所定量だけ下降した第2トレイ320を検出することができる位置に配置された反射型の光センサであってもよい。第2トレイ320が、第1高さ位置から所定量だけ下降すると、トレイ検出部640は、第2トレイ320を検出し、トレイ検出信号を生成する。トレイ検出信号は、トレイ検出部640からトレイ制御部630へ出力される。トレイ制御部630は、トレイ検出信号に応じて、第2制御信号の生成を停止する。
【0051】
図3は、送風制御部620の動作を表す概略的なフローチャートである。
図2及び
図3を参照して、送風制御部620が説明される。
【0052】
(ステップS110)
送風制御部620は、シート検出信号を待つ。送風制御部620が、シート検出部610からシート検出信号を受け取ると、ステップS120が実行される。
【0053】
(ステップS120)
送風制御部620は、第1制御信号を生成する。第1制御信号は、送風制御部620から送風部400へ出力される。送風部400は、第1制御信号に応じて、空気を吹き出す。この結果、第2トレイ320と第1シートとの間に空気流が形成される。第1制御信号の生成の後、ステップS130が実行される。
【0054】
(ステップS130)
送風制御部620が、シート検出信号を受信し続けているならば(すなわち、シート検出部610が、第1シートを検出しているならば)、ステップS120が実行される。送風制御部620が、シート検出信号を受け取っていないならば(すなわち、シート検出部610が、第1シートの検出を終えているならば)、ステップS140が実行される。
【0055】
(ステップS140)
送風制御部620は、第1制御信号の生成を停止する。この結果、送風部400は、停止する。
【0056】
図4は、トレイ制御部630の動作を表す概略的なフローチャートである。
図2及び
図4を参照して、トレイ制御部630が説明される。
【0057】
(ステップS210)
トレイ制御部630は、シート検出信号を待つ。トレイ制御部630が、シート検出部610からシート検出信号を受け取ると、ステップS220が実行される。
【0058】
(ステップS220)
トレイ制御部630が、シート検出信号を受信し続けているならば(すなわち、シート検出部610が、第1シートを検出しているならば)、ステップS220が繰り返される。トレイ制御部630が、シート検出信号を受け取っていないならば(すなわち、シート検出部610が、第1シートの検出を終えているならば)、ステップS230が実行される。第1シートが、第1排出部210から排出され、第1トレイ310に配置されているとき、第1シートの一部は、第1トレイ310からはみ出している。第1トレイ310からはみ出した第1シートの領域は、排出方向において第1トレイ310の下流に位置する第2トレイ320によって支持される。
【0059】
(ステップS230)
トレイ制御部630は、第2制御信号を生成する。第2制御信号は、トレイ制御部630からトレイ駆動部500へ出力される。トレイ駆動部500は、第2制御信号に応じて、第2トレイ320を、第1高さ位置から下降させる。この結果、第2トレイ320によって保持された第1シートの一部は、第2トレイ320とともに下降する。第1シートは、後続のシートの排出経路から下方に離れるので、第1シートと後続のシートとの接触面積は、非常に小さくなる。したがって、第1シートは、後続のシートによって押し出されにくくなる。第2制御信号の生成の後、ステップS240が実行される。
【0060】
(ステップS240)
トレイ制御部630が、トレイ検出部640からトレイ検出信号を受け取っていないならば、ステップS230が実行される。トレイ制御部630が、トレイ検出部640からトレイ検出信号を受け取っているならば、ステップS250が実行される。
【0061】
(ステップS250)
トレイ制御部630は、第2制御信号の生成を停止する。この結果、トレイ駆動部500及び第2トレイ320は、停止する。
【0062】
図5は、シート検出信号、第1制御信号、第2制御信号及びトレイ検出信号のタイミングチャートである。
図2乃至
図5を参照して、これらの信号の関係が説明される。
【0063】
第1シートの下流端(排出方向において下流に位置する第1シートの縁)が、シート検出部610によって定められた検出位置に進入すると、シート検出信号の電圧レベルは、低いレベルから高いレベルへ変化する。シート検出信号の低い電圧レベルから高い電圧レベルへの変化は、第1シートの排出の開始を意味する。高い電圧レベルが維持されている期間は、シート検出部610が第1シートを検出していることを意味する。以下の説明において、高い電圧レベルが維持されている期間は、「排出動作期間」と称される。第1シートの上流端(排出方向において上流に位置する第1シートの縁)が、シート検出部610によって定められた検出位置を通り過ぎると、シート検出信号の電圧レベルは、高いレベルから低いレベルへ変化する。シート検出信号の高い電圧レベルから低い電圧レベルへの変化は、第1シートの終了の開始を意味する。
【0064】
図3を参照して説明されたステップS110において、送風制御部620が、シート検出信号の低い電圧レベルから高い電圧レベルへの変化を検出すると、第1制御信号は、送風制御部620によって生成される(ステップS120)。シート検出信号の高い電圧レベルが維持されている間、第1制御信号の生成は、継続される。
図3を参照して説明されたステップS130において、送風制御部620が、シート検出信号の高い電圧レベルから低い電圧レベルへの変化を検出すると、第1制御信号の生成は、停止される。したがって、送風部400は、排出動作期間の開始と略同時に、送風を開始することができる。送風部400は、排出動作期間の終了と略同時に、送風を停止することができる。
【0065】
図4を参照して説明されたステップS220において、トレイ制御部630が、シート検出信号の高い電圧レベルから低い電圧レベルへの変化を検出すると、第2制御信号は、トレイ制御部630によって生成される(ステップS230)。したがって、第2トレイ320は、排出動作期間の終了に略同期して、下降し始める。第2トレイ320が、トレイ検出部640によって定められた検出位置に進入すると、トレイ検出信号の電圧レベルは、低いレベルから高いレベルへ変化する。トレイ制御部630が、トレイ検出信号の低い電圧レベルから高い電圧レベルへの変化を検出すると、第2制御信号の生成は、停止される。したがって、第2トレイ320は、トレイ検出部640によって定められた検出位置で停止することができる。
【0066】
本実施形態に関して、第2トレイ320の下降の停止は、トレイ検出部640に依存する。しかしながら、トレイ制御部630は、第2制御信号の生成期間を計時してもよい。この場合、トレイ制御部630は、第2制御信号の生成期間を所定の閾値と比較し、第2トレイ320の下降の停止のタイミングを決定してもよい。
【0067】
<他の特徴>
設計者は、上述の後処理装置100に様々な特徴を与えることができる。以下に説明される特徴は、上述の実施形態に関連して説明された後処理装置100の原理を何ら限定しない。
【0068】
(第1シートの大きさに基づく制御)
図1を参照して説明された第1トレイ310に一時的に保持されている第1シートが、第1トレイ310から第2トレイ320へ大きくはみ出しているならば、後続のシートは、第1シートと後続のシートとの接触面積は、大きくなる。この場合、第1シートは、後続のシートによって、排出方向に押し出されやすくなる。一方、第1シートが、第1トレイ310から第2トレイ320へあまりはみ出していないならば、第1シートと後続のシートとの接触面積は、小さい。この場合、第1シートは、後続のシートによって、排出方向に押し出されにくい。すなわち、第2トレイ320の下降がなくとも、第1シートは、第1トレイ310によって適切に保持されることになる。第1シートの大きさに基づく第2トレイ320の下降の制御が、以下に説明される。
【0069】
図6は、トレイ制御部630の動作を表す概略的なフローチャートである。
図2、
図5及び
図6を参照して、トレイ制御部630が説明される。
【0070】
(ステップS310)
トレイ制御部630は、シート検出信号の低い電圧レベルから高い電圧レベルへの変化(
図5を参照)を待つ。シート検出信号の低い電圧レベルから高い電圧レベルへの変化が生ずると、トレイ制御部630は、シート検出信号の低い電圧レベルから高い電圧レベルへの変化が生じた時刻を記憶する。その後、ステップS320が実行される。
【0071】
(ステップS320)
トレイ制御部630は、シート検出信号の高い電圧レベルから低い電圧レベルへの変化(
図5を参照)を待つ。シート検出信号の高い電圧レベルから低い電圧レベルへの変化が生ずると、トレイ制御部630は、シート検出信号の高い電圧レベルから低い電圧レベルへの変化が生じた時刻を記憶する。その後、ステップS330が実行される。
【0072】
(ステップS330)
トレイ制御部630は、ステップS320において記憶された時刻のデータからステップS310において記憶された時刻のデータを差し引く。この結果、トレイ制御部630は、
図5を参照して説明された排出動作期間の時間長を算出することができる。トレイ制御部630は、算出された時間長に、第1シートの排出速度を乗算する。第1シートの排出速度は、予め設定された固定値である。トレイ制御部630は、乗算の結果、排出方向における第1シートの長さのデータを得ることができる。第1シートの長さの算出の後、ステップS340が実行される。
【0073】
(ステップS340)
トレイ制御部630は、第1シートの長さを所定の閾値と比較する。第1シートの長さが、閾値を上回っているならば、ステップS350が実行される。所定の閾値は、第1シートの半分を超える領域が、第1トレイ310からはみ出しているとき、ステップS350が実行されるように設定されてもよい。他の場合には、トレイ制御部630は、処理を終了する。したがって、第2トレイ320は、不必要に下降されず、第1高さ位置に維持されることになる。すなわち、後処理装置100は、電力を不必要に浪費しない。
【0074】
(ステップS350)
トレイ制御部630は、第2制御信号を生成する。第2制御信号は、トレイ制御部630からトレイ駆動部500へ出力される。トレイ駆動部500は、第2制御信号に応じて、第2トレイ320を、第1高さ位置から下降させる。この結果、第2トレイ320によって保持された第1シートの一部は、第2トレイ320とともに下降する。第1シートは、後続のシートの排出経路から下方に離れるので、第1シートと後続のシートとの接触面積は、非常に小さくなる。この結果、第1シートは、後続のシートによって押し出されにくくなる。第2制御信号の生成の後、ステップS360が実行される。
【0075】
(ステップS360)
トレイ制御部630が、トレイ検出部640からトレイ検出信号を受け取っていないならば、ステップS350が実行される。トレイ制御部630が、トレイ検出部640からトレイ検出信号を受け取っているならば、ステップS370が実行される。
【0076】
(ステップS370)
トレイ制御部630は、第2制御信号の生成を停止する。この結果、トレイ駆動部500及び第2トレイ320は、停止する。
【0077】
本実施形態に関して、トレイ制御部630は、シート検出信号から、排出方向における第1シートの長さを算出する。しかしながら、トレイ制御部630は、画像形成装置(図示せず)から、第1シートの大きさを表す情報を受け取ってもよい。たとえば、画像形成装置が、第1シートの大きさを表す情報として、「A4サイズ」且つ「縦向き(すなわち、第1シートの長辺が排出方向に略平行な向き)」との情報を出力するならば、トレイ制御部630は、第2制御信号を生成してもよい。一方、画像形成装置が、第1シートの大きさを表す情報として、「A4サイズ」且つ「横向き(すなわち、第1シートの短辺が排出方向に略平行な向き)」との情報を出力するならば、トレイ制御部630は、第2制御信号を生成しなくてもよい。
【0078】
<第2実施形態>
少なくとも1つのシートは、第1シートの後に、排出され、第1トレイ上の第1シートに積み重ねられる。この結果、シート束が、第1トレイ上に形成される。第1トレイは、後続のシートの縁が、第1シートの縁に重なるように、第1シート及び後続のシートの位置を整合させる整合処理を実行する整合部を有してもよい。整合部が、第1シートの位置を調整を終える前に、第2トレイが下降されるならば、これらの処理が別々の期間に行われるよりも、後処理装置の処理速度は、高くなる。第2実施形態において、高い処理速度を有する例示的な後処理装置が説明される。
【0079】
図7は、後処理装置100の概略的なブロック図である。
図1、
図2及び
図7を参照して、後処理装置100が説明される。
図7の実線は、信号の伝達経路を概念的に表す。
図7の点線は、力の伝達経路を概念的に表す。
図7の鎖線は、検出動作を概念的に表す。
【0080】
第1実施形態と同様に、後処理装置100は、第1排出部210と、第2排出部220と、第1トレイ310と、第2トレイ320と、送風部400と、トレイ駆動部500と、を備える。第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0081】
後処理装置100は、制御部600Aを更に備える。第1実施形態と同様に、制御部600Aは、送風部400とトレイ駆動部500とを制御する。第1実施形態の説明は、送風部400とトレイ駆動部500とに対する制御に援用される。
【0082】
第1トレイ310は、第1シートを、後続のシートに整合させる整合部311を含む。制御部600Aは、送風部400及びトレイ駆動部500に加えて、整合部311を制御する。
【0083】
第1実施形態と同様に、制御部600Aは、送風制御部620と、トレイ制御部630と、トレイ検出部640と、を含む。第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0084】
制御部600Aは、シート検出部610Aと、整合制御部650と、を更に含む。シート検出部610Aは、第1シートセンサ611と、第2シートセンサ612と、を含む。第1シートセンサ611は、
図2を参照して説明されたシート検出部610に相当する。シート検出部610に関する説明は、第1シートセンサ611に援用される。
【0085】
第2シートセンサ612は、第1トレイ310に取り付けられた反射型の光センサであってもよい。第1シートが、第1トレイ310上の所定の位置に到達すると、第2シートセンサ612は、シート検出信号を生成する。シート検出信号は、第2シートセンサ612から整合制御部650へ出力される。整合制御部650は、シート検出信号に応じて、整合制御信号を生成する。整合制御信号は、整合制御部650から整合部311へ出力される。整合部311は、整合制御信号に応じて、第1シート及び後続のシートの位置を調整する。
【0086】
図8は、第1トレイ310の概略的な平面図である。
図1、
図7及び
図8を参照して、第1トレイ310が説明される。
【0087】
第1トレイ310は、支持板312と、2つのカーソル313,314と、ストッパ315と、カーソル313,314を駆動するモータ(図示せず)と、を含む。支持板312は、第1シート及び第1シートに続いて第1排出部210によって順次排出された少なくとも1つのシートを支持する。カーソル313,314及びストッパ315は、支持板312の上面から立設される。カーソル313,314、ストッパ315及びカーソル313,314を駆動するモータは、
図7を参照して説明された整合部311を形成する。
【0088】
ストッパ315は、第1シート及び後続のシートの上流端(排出方向において上流に位置する縁)が衝突するように配置される。上述のモータは、
図7を参照して説明された整合制御信号を受け取る。モータは、整合制御信号に応じて、回転し、カーソル313,314を、排出方向に対して直交する方向に往復移動させる。既知の後処理装置が備える様々なシート整合機構の技術は、モータの回転をカーソル313,314の直線的な往復移動に変換する変換機構に適用されてもよい。したがって、本実施形態の原理は、変換機構の特定の構造に限定されない。
【0089】
第1シートが、第2排出部220によって引込方向に送り出されると、第1シートの上流端は、ストッパ315に衝突する。この結果、排出方向における第1シートの位置は、定まることになる。その後、カーソル313,314は、互いに接近する方向に移動する。この結果、排出方向に対して直交する方向における第1シートの横位置は、定まることになる。本実施形態に関して、調整動作は、第1シートがカーソル313,314の間の領域に進入したときのカーソル313,314の接近動作によって例示される。
【0090】
カーソル313,314は、その後、互いに離間する方向に移動する。この結果、第1シートに後続するシートは、カーソル313,314に邪魔されることなく、カーソル313,314の間の領域に進入することができる。第1シートと同様に、後続のシートは、ストッパ315に衝突する。この結果、後続のシートの上流端は、第1シートの上流端に重なる。その後、カーソル313,314は、互いに接近する方向に移動する。この結果、後続のシートの側縁(すなわち、排出方向に略平行な縁)は、第1シートの側縁に重なり、シート束が、第1トレイ310上に形成されることになる。本実施形態に関して、整合動作は、後続のシートがカーソル313,314の間の領域に進入したときのカーソル313,314の接近動作によって例示される。
【0091】
図8に示されるように、第2シートセンサ612の検出位置は、ストッパ315の近くに形成される。第1シートの上流端が、第2シートセンサ612の検出位置に進入すると、シート検出信号は、第2シートセンサ612から整合制御部650に出力される。整合制御部650は、シート検出信号に応じて、整合制御信号を生成する。整合制御信号は、整合制御部650から、カーソル313,314を駆動するモータに出力される。モータは、整合制御信号に応じて、カーソル313,314を、排出方向に対して直交する方向に往復移動する。この結果、第1シートは、支持板312上の所定の位置に配置されることになる。
【0092】
図9は、整合制御部650の動作を表す概略的なフローチャートである。
図7乃至
図9を参照して、整合制御部650が説明される。
【0093】
(ステップS410)
整合制御部650は、第2シートセンサ612からのシート検出信号を待つ。整合制御部650が、第2シートセンサ612からシート検出信号を受け取ると、ステップS420が実行される。
【0094】
(ステップS420)
整合制御部650は、整合部311のモータ(図示せず)を第1回転方向に回転させる整合制御信号を生成する。整合制御信号は、整合制御部650からモータへ出力される。モータは、整合制御信号に応じて、第1回転方向に回転する。モータが、第1回転方向に回転すると、カーソル313,314は、互いに接近する方向に移動する。整合制御信号の生成の後、ステップS430が実行される。
【0095】
(ステップS430)
整合制御部650は、モータの回転量が、所定の閾値を超えたか否かを判定する。整合制御部650は、モータに取り付けられたエンコーダからの信号を用いて、モータの回転量を見極めてもよい。代替的に、整合制御部650は、整合制御信号のパルス数をカウントし、モータの回転量を見極めてもよい。更に代替的に、整合制御部650は、整合制御信号の出力期間を計測し、出力期間に基づいて、モータの回転量を推定してもよい。本実施形態の原理は、モータの回転量がどのように判定されるかによっては何ら限定されない。モータの回転量が閾値を超えているならば、ステップS440が実行される。他の場合には、ステップS420が実行される。
【0096】
(ステップS440)
整合制御部650は、整合部311のモータを第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転させる整合制御信号を生成する。整合制御信号は、整合制御部650からモータへ出力される。モータは、整合制御信号に応じて、第2回転方向に回転する。モータが、第2回転方向に回転すると、カーソル313,314は、互いに離れる方向に移動する。整合制御信号の生成の後、ステップS450が実行される。
【0097】
(ステップS450)
整合制御部650は、モータの回転量が、所定の閾値を超えたか否かを判定する。モータの回転量が閾値を超えているならば、整合制御部650は、処理を終える。他の場合には、ステップS440が実行される。
【0098】
図10は、第1シートセンサ611及び第2シートセンサ612からのシート検出信号、第2制御信号、トレイ検出信号及び整合制御信号のタイミングチャートである。
図1、
図5、
図7乃至
図10を参照して、これらの信号の関係が説明される。
【0099】
第1シートセンサ611からのシート検出信号、第2制御信号及びトレイ検出信号は、
図5を参照して説明されたシート検出信号、第2制御信号及びトレイ検出信号と同一である。したがって、第1実施形態の説明は、これらの信号に援用される。
【0100】
第2シートセンサ612の検出位置(
図8を参照)への第1シートの進入の前に、第1シートは、第2排出部220(
図1を参照)によって、引込方向に移動される。したがって、第1シートセンサ611のシート検出信号が高い電圧レベルから低い電圧レベルに変化する時刻(すなわち、第1排出部210が、第1シートの排出を終えた時刻)から所定期間だけ遅れて、第2シートセンサ612のシート検出信号は、低い電圧レベルから高い電圧レベルに変化する。第2シートセンサ612のシート検出信号の高い電圧レベルは、第2シートセンサ612が、第1トレイ310上の第1シートを検出していることを意味する。
【0101】
第2シートセンサ612のシート検出信号は、低い電圧レベルから高い電圧レベルに変化すると、
図9を参照して説明されたステップS420が実行される。整合制御部650は、整合部311のモータ(図示せず)を第1回転方向に回転させるための整合制御信号を所定期間出力する(ステップS420)。その後、整合制御部650は、整合部311のモータを第2回転方向に回転させるための整合制御信号を所定期間出力する(ステップS440)。
図10に示されるように、トレイ検出信号は、これらの整合制御信号の出力が終わる前に、低い電圧レベルから高い電圧レベルに変化している。このことは、第2トレイ320が、整合部311が第1シートの位置の調整を終える前に、トレイ検出部640の検出位置に到達するように、第2トレイ320に対するトレイ駆動部500の駆動速度が設定されていることを意味する。第2トレイ320は、整合部311が第1シートの位置の調整に必要とされる期間内に、トレイ検出部640の検出位置に到達するので、第2トレイ320は、後処理装置100の処理速度の低下を引き起こさない。したがって、後処理装置100は、高い処理速度を維持することができる。
【0102】
<第3実施形態>
制御部は、第2排出部を制御してもよい。第3実施形態において、第2排出部を制御する機能を有する例示的な後処理装置が説明される。
【0103】
図11は、後処理装置100の概略的なブロック図である。
図1、
図10及び
図11を参照して、後処理装置100が説明される。
図11の実線は、信号の伝達経路を概念的に表す。
図11の点線は、力の伝達経路を概念的に表す。
図11の鎖線は、検出動作を概念的に表す。
【0104】
第1実施形態と同様に、後処理装置100は、第1排出部210と、第2排出部220と、第1トレイ310と、第2トレイ320と、送風部400と、トレイ駆動部500と、を備える。第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0105】
第2排出部220は、ローラー221,222に加えて、ローラー駆動部223と、ローラー変位部224と、を含む。ローラー駆動部223は、下側のローラー221を駆動するモータであってもよい。上側のローラー222は、ローラー変位部224によって、上下に往復移動される。ローラー変位部224が、ローラー222を下方に移動させると、ローラー222は、ローラー221に近接する。ローラー変位部224が、ローラー222を上方に移動させると、ローラー222は、ローラー221から離れる。シート束は、ローラー221,222の間の空隙に形成される。ローラー変位部224は、モータ(図示せず)と、モータ及びローラー222に連結されたアーム部材(図示せず)と、を含んでもよい。この場合、アーム部材は、モータの回転軸周りに揺振し、アーム部材の先端に取り付けられたローラー222は、上下に変位することができる。代替的に、ローラー変位部224は、ローラー222を上下動させるシリンダ装置であってもよい。本実施形態の原理は、ローラー変位部224の特定の構造に限定されない。本実施形態に関して、第1ローラーは、ローラー221によって例示される。第2ローラーは、ローラー222によって例示される。近接位置は、ローラー221に近接したローラー222の位置によって例示される。離隔位置は、ローラー221から離れたローラー222の位置によって例示される。
【0106】
後処理装置100は、制御部600Bを更に備える。第1実施形態と同様に、制御部600Bは、送風制御部620と、トレイ制御部630と、トレイ検出部640と、を含む。第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0107】
第2実施形態と同様に、制御部600Bは、整合制御部650と、を更に含む。第2実施形態の説明は、整合制御部650に援用される。
【0108】
制御部600Bは、シート検出部610Bと、ローラー制御部660と、を更に備える。第2実施形態と同様に、シート検出部610Bは、第1シートセンサ611と、第2シートセンサ612と、を含む。第2実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0109】
シート検出部610Bは、カウンタ613を更に備える。カウンタ613は、画像形成装置IFAから、シート束情報を受け取る。シート束情報は、画像形成装置IFAから後処理装置100へ出力されたシートの総数を表す。第1シートが排出されたとき、第1シートセンサ611は、
図10に示されるパルスをシート検出信号として、出力する。同様に、第1シートに後続するシートが、第1シートセンサ611の検出位置を通過したときも、第1シートセンサ611は、パルスをシート検出信号として出力する。カウンタ613は、第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号に含まれるパルスをカウントする。カウントされたパルスの数が、シート束情報によって表されるシートの総数に一致すると、カウンタ613は、排出要求を生成する。排出要求は、カウンタ613からローラー制御部660へ出力される。
【0110】
ローラー制御部660は、駆動制御部661と、変位制御部662と、を含む。第1シートセンサ611によって生成されたシート検出信号は、トレイ制御部630及び送風制御部620だけでなく、ローラー制御部660にも出力される。駆動制御部661は、第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号に応じて、ローラー駆動部223を制御し、ローラー221を回転させる。第2シートセンサ612によって生成されたシート検出信号は、整合制御部650だけでなく、ローラー制御部660にも出力される。駆動制御部661は、第2シートセンサ612によって生成されたシート検出信号を参照して、ローラー駆動部223を制御し、ローラー221を停止させる。変位制御部662は、第1シートセンサ611及び第2シートセンサ612から出力されたシート検出信号に応じて、ローラー変位部224を制御する。
【0111】
駆動制御部661は、第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号だけでなく、カウンタ613から出力された排出要求をも受け取る。駆動制御部661は、排出要求に応じて、ローラー駆動部223を制御する。
【0112】
変位制御部662は、第2シートセンサ612から出力されたシート検出信号だけでなく、カウンタ613から出力された排出要求をも受け取る。変位制御部662は、排出要求に応じて、ローラー変位部224を制御する。
【0113】
図12は、カウンタ613の動作を表す概略的なフローチャートである。
図11乃至
図12を参照して、カウンタ613が説明される。
【0114】
(ステップS510)
カウンタ613は、シート束情報を待つ。カウンタ613が、画像形成装置IFAからシート束情報を受け取ると、ステップS520が実行される。
【0115】
(ステップS520)
カウンタ613は、カウンタ値を「0」に設定する。その後、ステップS530が実行される。
【0116】
(ステップS530)
カウンタ613は、第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号のパルスを待つ。カウンタ613が、パルスを受信すると、ステップS540が実行される。
【0117】
(ステップS540)
カウンタ613は、カウンタ値に「1」の値を足す。その後、ステップS550が実行される。
【0118】
(ステップS550)
カウンタ613は、カウンタ値を、シート束情報によって表されるシート総数と比較する。カウンタ値が、シート総数に一致するならば、ステップS560が実行される。他の場合には、ステップS530が実行される。
【0119】
(ステップS560)
カウンタ613は、排出要求を生成する。排出要求は、カウンタ613から駆動制御部661と変位制御部662へ出力される。駆動制御部661は、排出要求に応じて、ローラー駆動部223を制御する。シート束が、排出方向に移動するように、ローラー駆動部223は、ローラー221を回転する。変位制御部662は、排出要求に応じて、ローラー222を下降させる。この結果、シート束は、ローラー221,222によって挟まれる。この結果、ローラー221の回転力は、シート束に効果的に伝達され、シート束は、排出方向に円滑に移動することができる。
【0120】
図13は、駆動制御部661の動作を表す概略的なフローチャートである。
図10、
図11及び
図13を参照して、駆動制御部661が説明される。
【0121】
(ステップS610)
駆動制御部661は、第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号の低い電圧レベルから高い電圧レベルへの変化(
図10を参照)を待つ。第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号が、低い電圧レベルから高い電圧レベルへ変化すると、ステップS620が実行される。
【0122】
(ステップS620)
駆動制御部661は、ローラー駆動部223を制御し、第1シートが排出方向に移動するように、ローラー221を回転させる。その後、ステップS630が実行される。
【0123】
(ステップS630)
駆動制御部661は、第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号の高い電圧レベルから低い電圧レベルへの変化(
図10を参照)を待つ。第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号が、高い電圧レベルから低い電圧レベルへ変化すると、ステップS640が実行される。第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号が、高い電圧レベルを維持しているならば、ステップS620が実行される。
【0124】
(ステップS640)
駆動制御部661は、ローラー駆動部223を制御し、第1シートが引込方向に移動するように、ローラー221を回転させる。その後、ステップS650が実行される。
【0125】
(ステップS650)
駆動制御部661は、第2シートセンサ612から出力されたシート検出信号の低い電圧レベルから高い電圧レベルへの変化(
図10を参照)を待つ。第2シートセンサ612から出力されたシート検出信号が、低い電圧レベルから高い電圧レベルへ変化すると、ステップS660が実行される。第2シートセンサ612から出力されたシート検出信号が、低い電圧レベルを維持しているならば、ステップS640が実行される。
【0126】
(ステップS660)
駆動制御部661は、ローラー駆動部223を制御し、ローラー221を停止させる。その後、ステップS670が実行される。
【0127】
(ステップS670)
駆動制御部661は、排出要求を待つ。駆動制御部661が、カウンタ613から排出要求を受け取ると、ステップS680が実行される。
【0128】
(ステップS680)
駆動制御部661は、ローラー駆動部223を制御し、シート束が排出方向に移動するように、ローラー221を所定期間に亘って回転させる。この結果、シート束は、第1トレイ310から第2トレイ320へ排出される。
【0129】
図14は、変位制御部662の動作を表す概略的なフローチャートである。
図1、
図11、
図13及び
図14を参照して、変位制御部662が説明される。
【0130】
(ステップS710)
変位制御部662は、第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号の低い電圧レベルから高い電圧レベルへの変化(
図10を参照)を待つ。第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号が、低い電圧レベルから高い電圧レベルへ変化すると、ステップS720が実行される。
【0131】
(ステップS720)
変位制御部662は、ローラー変位部224を制御し、ローラー222を下降させる。この結果、第1シートは、ローラー221,222によって挟まれる。ステップS720は、ステップS620及びS640と同期しているので、第1シートは、ローラー221の回転によって、排出方向に送り出され、その後、引込方向に移動される。ローラー222の下降の後、ステップS730が実行される。
【0132】
(ステップS730)
変位制御部662は、第2シートセンサ612から出力されたシート検出信号の低い電圧レベルから高い電圧レベルへの変化(
図10を参照)を待つ。第2シートセンサ612から出力されたシート検出信号が、低い電圧レベルから高い電圧レベルへ変化すると、ステップS740が実行される。
【0133】
(ステップS740)
変位制御部662は、ローラー変位部224を制御し、ローラー222を上昇させる。第1シートの後に第1排出部210から排出された後続のシートは、ローラー221,222の間で積み重ねられる。ローラー222の上昇の後、ステップS750が実行される。
【0134】
(ステップS750)
変位制御部662は、排出要求を待つ。変位制御部662が、カウンタ613から排出要求を受け取ると、ステップS760が実行される。
【0135】
(ステップS760)
変位制御部662は、ローラー変位部224を制御し、ローラー222を下降させる。この結果、シート束は、ローラー221,222によって挟まれる。ステップS760は、ステップS680と同期しているので、シート束は、ローラー221の回転によって、排出方向に送り出され、第1トレイ310から第2トレイ320へ排出される。
【0136】
<第4実施形態>
第2トレイは、シート束が第1トレイから第2トレイへ排出される直前に、上昇してもよい。第2トレイの上昇の結果、第2排出部から第2トレイへの落差は低減される。したがって、シート束は、第1トレイから第2トレイへ円滑に排出されることになる。第4実施形態において、鉛直方向に往復移動する第2トレイを有する例示的な後処理装置が説明される。
【0137】
図15は、後処理装置100の概略的なブロック図である。
図1、
図2及び
図15を参照して、後処理装置100が説明される。
図15の実線は、信号の伝達経路を概念的に表す。
図15の点線は、力の伝達経路を概念的に表す。
図15の鎖線は、検出動作を概念的に表す。
【0138】
第1実施形態と同様に、後処理装置100は、第1排出部210と、第2排出部220と、第1トレイ310と、第2トレイ320と、送風部400と、トレイ駆動部500と、を備える。第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0139】
後処理装置100は、制御部600Cを更に備える。第1実施形態と同様に、制御部600Cは、送風制御部620を含む。第1実施形態の説明は、送風制御部620に援用される。第2実施形態と同様に、制御部600Cは、整合制御部650を更に含む。第2実施形態の説明は、整合制御部650に援用される。第3実施形態と同様に、制御部600Cは、ローラー制御部660を更に含む。第3実施形態の説明は、ローラー制御部660に援用される。
【0140】
制御部600Cは、シート検出部610Cと、トレイ制御部630Cと、トレイ検出部640Cと、を更に含む。第2実施形態と同様に、シート検出部610Cは、第1シートセンサ611と、第2シートセンサ612と、を含む。第2実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0141】
シート検出部610Cは、カウンタ613Cを更に含む。第3実施形態と同様に、カウンタ613Cは、画像形成装置IFAからシート束情報を受け取り、排出要求を生成する。ローラー制御部660は、排出要求に応じて、第2排出部220を制御する。第3実施形態の説明は、排出要求の生成及び排出要求に応じた第2排出部220に対する制御に援用される。
【0142】
カウンタ613Cは、排出要求に加えて、上昇要求を生成する。上昇要求は、カウンタ613Cからトレイ制御部630Cへ出力される。トレイ制御部630Cは、上昇要求に応じて、トレイ駆動部500を制御し、第2トレイ320を所定量だけ上昇させる。上述の実施形態と同様に、トレイ制御部630Cは、第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号に応じて、トレイ駆動部500を制御し、第2トレイ320を下降させる。上述の実施形態の説明は、第2トレイ320を下降させるための制御に援用される。
【0143】
トレイ検出部640Cは、下トレイセンサ641と、上トレイセンサ642と、を含む。下トレイセンサ641は、
図2を参照して説明されたトレイ検出部640に相当する。第2トレイ320が下降し、下トレイセンサ641の検出位置に進入すると、下トレイセンサ641は、トレイ検出信号を生成する。トレイ検出信号は、下トレイセンサ641からトレイ制御部630Cへ出力される。トレイ制御部630Cは、トレイ検出信号に応じて、トレイ駆動部500を制御し、第2トレイ320の下降を停止させる。
【0144】
上トレイセンサ642は、下トレイセンサ641の検出位置の上方に検出位置を設定する。第2トレイ320が上昇し、上トレイセンサ642の検出位置に進入すると、上トレイセンサ642は、トレイ検出信号を生成する。トレイ検出信号は、上トレイセンサ642からトレイ制御部630Cへ出力される。トレイ制御部630Cは、トレイ制御信号に応じて、トレイ駆動部500を制御し、第2トレイ320の上昇を停止させる。第2トレイ320の上昇の結果、第2トレイ320は、第2排出部220のローラー221,222に近づく。したがって、第1トレイ310上のシート束は、第2トレイ320に円滑に排出されることになる。上トレイセンサ642の検出位置(すなわち、第2トレイ320の上昇が停止される高さ位置)は、以下の説明において、「第2高さ位置」と称される。第2高さ位置は、
図1に示される第2トレイ320の高さ位置(すなわち、第1高さ位置)よりも上であってもよい。
【0145】
上トレイセンサ642によって生成されたトレイ検出信号は、トレイ制御部630Cだけでなく、カウンタ613Cへも出力される。カウンタ613Cは、上述の排出要求を、トレイ検出信号に応じて生成する。したがって、第1トレイ310上のシート束は、第2トレイ320が第2高さ位置に到達した後、第2トレイ320に排出されることになる。したがって、シート束は、第1トレイ310から第2トレイ320へ円滑に排出されることになる。
【0146】
図16は、カウンタ613Cの上昇要求の生成動作を表す概略的なフローチャートである。
図1、
図12、
図15乃至
図16を参照して、上昇要求の生成動作が説明される。
【0147】
(ステップS551)
上昇要求の生成動作は、
図12を参照して説明されたステップS550内の動作であってもよい。したがって、ステップS540の後、ステップS551が実行される。カウンタ613Cは、カウンタ値を、シート束情報によって表されるシート総数と比較する。カウンタ値が、シート総数を下回っているならば、ステップS530が実行される。他の場合には、ステップS553が実行される。
【0148】
(ステップS553)
ステップS553が実行されるとき、カウント値は、シート総数に一致している。すなわち、シート束の中で最も後に第1排出部210から排出された第2シートが、第1トレイ310によって保持されている。このとき、カウンタ613Cは、上昇要求を生成する。上昇要求は、カウンタ613Cからトレイ制御部630Cへ出力される。トレイ制御部630Cは、上昇要求に応じて、トレイ駆動部500を制御し、第2トレイ320を上昇させる。上昇要求の生成の後、ステップS555が実行される。
【0149】
(ステップS555)
カウンタ613Cは、トレイ検出信号を待つ。カウンタ613Cが、トレイ検出信号を、上トレイセンサ642から受け取ると、ステップS560が実行される。
【0150】
<第5実施形態>
引込機構は、第1シートが第1トレイに収容された後に第1排出部から排出された後続のシートを、引込方向に移動させるために用いられる。引込機構によって引込方向に移動された後続のシートは、第1トレイに適切に収容されることになる。第5実施形態において、引込機構を備える例示的な後処理装置が説明される。
【0151】
図17は、後処理装置100の概略的な断面図である。
図17を参照して、後処理装置100が説明される。
【0152】
第1実施形態と同様に、後処理装置100は、第1排出部210と、第2排出部220と、第1トレイ310と、第2トレイ320と、を備える。第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0153】
後処理装置100は、ステープラー700と、引込機構800と、を備える。ステープラー700は、第1トレイ310上で形成されたシート束にステープルを打設する。引込機構800は、第1シートが第1トレイ310に収容された後に第1排出部210から排出された後続のシートを、引込方向に移動させる。
【0154】
引込機構800は、回転シャフト810と、パドルアーム820と、パドル駆動部(図示せず)と、を含む。パドル駆動部は、モータであってもよい。パドル駆動部は、モータの回転を回転シャフト810に伝達する伝達機構を更に含んでもよい。回転シャフト810は、モータによって回転される。パドルアーム820は、回転シャフト810の周面の接線方向に延びる。回転シャフト810が回転すると、パドルアーム820は、シート束の上面に接触することができる。パドルアーム820は、シート束の上面に接触すると、弾性的に撓ることができる。パドルアーム820と第1排出部210から排出された後続のシートの上面との間の摩擦力及びパドルアーム820の弾性変形に伴う復元力によって、後続のシートは、引込方向へ移動され、第1トレイ310上に配置される。
【0155】
図18は、後処理装置100の概略的なブロック図である。
図12、
図16乃至
図18を参照して、後処理装置100が更に説明される。
【0156】
第1実施形態と同様に、後処理装置100は、送風部400と、トレイ駆動部500と、更に備える。第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0157】
後処理装置100は、制御部600Dを更に備える。第1実施形態と同様に、制御部600Dは、送風制御部620を含む。第1実施形態の説明は、送風制御部620に援用される。第3実施形態と同様に、制御部600Dは、ローラー制御部660を更に含む。第3実施形態の説明は、ローラー制御部660に援用される。第4実施形態と同様に、制御部600Dは、トレイ制御部630Cと、トレイ検出部640Cと、を更に含む。第4実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0158】
制御部600Dは、シート検出部610Dと、整合制御部650Dと、引込制御部670と、を更に含む。シート検出部610Dは、第1シートセンサ611と、第2シートセンサ612と、を含む。第2実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0159】
第1シートセンサ611によって生成されたシート検出信号は、送風制御部620、トレイ制御部630C及びローラー制御部660だけでなく、引込制御部670にも出力される。引込制御部670は、第1シートセンサ611から受け取ったシート検出信号に応じて、引込機構800のパドル駆動部830を制御する。
【0160】
シート検出部610Dは、カウンタ613Dを更に含む。カウンタ613Dは、主処理部614と、排出要求生成部615と、上昇要求生成部616と、作動要求生成部617と、を含む。主処理部614は、
図12を参照して説明されたステップS510乃至ステップS540を実行する。加えて、主処理部614は、
図16を参照して説明されたステップS551及びステップS555を実行する。排出要求生成部615は、ステップS560において、主処理部614から指令を受け、排出要求を生成する。排出要求は、排出要求生成部615からローラー制御部660へ出力される。上昇要求生成部616は、ステップS553において、主処理部614から指令を受け、上昇要求を生成する。上昇要求は、上昇要求生成部616からトレイ制御部630Cへ出力される。主処理部614は、上昇要求生成部616への指令と同期して、作動要求生成部617にも指令を与える。作動要求生成部617は、主処理部614からの指令に応じて、作動要求を生成する。作動要求は、ステープラー700へ出力される。ステープラー700は、作動要求に応じて、作動し、第1トレイ310上のシート束にステープルを打設する。シート束へのステープルの打設は、第2トレイ320の上昇と同時期に行われるので、後処理装置100は、高い処理速度を維持することができる。
【0161】
図19は、引込制御部670の動作を表す概略的なフローチャートである。
図10、
図17乃至
図19を参照して、駆動制御部661が説明される。
【0162】
(ステップS810)
引込制御部670は、第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号の高い電圧レベルから低い電圧レベルへの変化(
図10を参照)を待つ。シート検出信号の高い電圧レベルから低い電圧レベルへの変化は、第1シートが第1排出部210を通過したことを意味する。第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号が、高い電圧レベルから低い電圧レベルへ変化すると、ステップS620が実行される。
【0163】
(ステップS820)
引込制御部670は、第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号の高い電圧レベルから低い電圧レベルへの変化(
図10を参照)を待つ。シート検出信号の高い電圧レベルから低い電圧レベルへの変化は、後続のシートが第1排出部210を通過したことを意味する。第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号が、高い電圧レベルから低い電圧レベルへ変化すると、ステップS830が実行される。
【0164】
(ステップS830)
引込制御部670は、計時を開始する。その後、ステップS840が実行される。
【0165】
(ステップS840)
引込制御部670は、パドル駆動部830を制御する。この結果、回転シャフト810は、回転し、パドルアーム820は、後続のシートの上面に対して、引込方向に摺動する。この結果、後続のシートは、引込方向に移動することができる。その後、ステップS850が実行される。
【0166】
(ステップS850)
引込制御部670は、ステップS830からの計時時間(すなわち、計時値)を、所定の第1閾値と比較する。計時値が、第1閾値を超えているならば、ステップS860が実行される。他の場合には、ステップS840が実行される。
【0167】
(ステップS860)
引込制御部670は、整合要求を生成する。整合要求は、引込制御部670から整合制御部650Dへ出力される。整合制御部650Dは、整合要求に応じて、整合部311を制御する。整合要求の生成の後、ステップS870が実行される。
【0168】
(ステップS870)
引込制御部670は、第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号の高い電圧レベルから低い電圧レベルへの変化(
図10を参照)を待つ。シート検出信号の高い電圧レベルから低い電圧レベルへの変化は、更に後続のシートが第1排出部210を通過したことを意味する。第1シートセンサ611から出力されたシート検出信号が、高い電圧レベルから低い電圧レベルへ変化するならば、ステップS840が実行される。他の場合には、ステップS880が実行される。
【0169】
(ステップS880)
引込制御部670は、ステップS830からの計時時間(すなわち、計時値)を、所定の第2閾値と比較する。第2閾値は、第1閾値よりも大きな値に設定されている。計時値が、第2閾値を超えているならば、引込制御部670は、第1トレイ310上にシート束が形成されたと判断し、処理を終了する。他の場合には、ステップS870が実行される。
【0170】
図20は、整合制御部650Dの動作を表す概略的なフローチャートである。
図8、
図9、
図18及び
図20を参照して、整合制御部650Dが説明される。
【0171】
(ステップS455)
図9を参照して説明されたステップS450の後、ステップS455が実行される。整合制御部650Dは、引込制御部670からの整合要求を待つ。整合制御部650Dが、引込制御部670から整合要求を受け取ると、ステップS460が実行される。
【0172】
(ステップS460)
整合制御部650Dは、整合部311のモータ(図示せず)を第1回転方向に回転させる整合制御信号を生成する。整合制御信号は、整合制御部650Dからモータへ出力される。モータは、整合制御信号に応じて、第1回転方向に回転する。モータが、第1回転方向に回転すると、カーソル313,314(
図8を参照)は、互いに接近する方向に移動する。この結果、第1シート上に重ねられたシートの縁は、第1シートの縁に重なり合う。整合制御信号の生成の後、ステップS430が実行される。本実施形態に関して、整合動作は、ステップ460におけるカーソル313,314の接近動作によって例示される。
【0173】
(ステップS465)
整合制御部650Dは、モータの回転量が、所定の閾値を超えたか否かを判定する。整合制御部650Dは、モータに取り付けられたエンコーダからの信号を用いて、モータの回転量を見極めてもよい。代替的に、整合制御部650Dは、整合制御信号のパルス数をカウントし、モータの回転量を見極めてもよい。更に代替的に、整合制御部650Dは、整合制御信号の出力期間を計測し、出力期間に基づいて、モータの回転量を推定してもよい。本実施形態の原理は、モータの回転量がどのように判定されるかによっては何ら限定されない。モータの回転量が閾値を超えているならば、ステップS470が実行される。他の場合には、ステップS460が実行される。
【0174】
(ステップS470)
整合制御部650Dは、整合部311のモータを第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転させる整合制御信号を生成する。整合制御信号は、整合制御部650Dからモータへ出力される。モータは、整合制御信号に応じて、第2回転方向に回転する。モータが、第2回転方向に回転すると、カーソル313,314は、互いに離れる方向に移動する。整合制御信号の生成の後、ステップS475が実行される。
【0175】
(ステップS475)
整合制御部650Dは、モータの回転量が、所定の閾値を超えたか否かを判定する。モータの回転量が閾値を超えているならば、整合制御部650Dは、ステップS480が実行される。他の場合には、ステップS470が実行される。
【0176】
(ステップS480)
整合制御部650Dは、計時を開始する。その後、ステップS485が実行される。
【0177】
(ステップS485)
整合制御部650Dは、引込制御部670からの整合要求を待つ。整合制御部650Dが、引込制御部670から整合要求を受け取るならば、ステップS460が実行される。他の場合には、ステップS490が実行される。
【0178】
(ステップS490)
整合制御部650Dは、ステップS480からの計時時間(すなわち、計時値)を、所定の閾値と比較する。計時値が、閾値を超えているならば、整合制御部650Dは、第1トレイ310上にシート束が形成されたと判断し、処理を終了する。他の場合には、ステップS485が実行される。