(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る変位センサ10の構成例を示す図であり、z軸の+側から見た図である。なお、
図1では、反射光を省略して示している。
図2は、本実施形態に係る変位センサの構成例を示す図であり、y軸の−側から見た図である。
【0018】
図1、
図2に示すように変位センサ10は、光源1、第1のシリンドリカルレンズ2、第2のシリンドリカルレンズ3、スリット4、ビームスプリッター5、ラインセンサ6、結像レンズ7、および検出回路20を備える。また、ラインセンサ6は、ラインセンサ素子61を備える。符号9は、測定対象物(ワーク)である。
なお、本実施形態では、光源1、第1のシリンドリカルレンズ2、第2のシリンドリカルレンズ3、およびスリット4を線状光源100という。また、
図1において、結像レンズ7の光軸方向をx軸方向、x軸方向に垂直な方向をy軸方向とする。また、xy平面に垂直な方向をz軸方向とする。なお、測定対象物9は、変位センサ10の光軸であり結像レンズ7の光軸であるx軸に対して垂直に置かれる。
【0019】
光源1は、例えば1つの波長の平行な光束を出射するレーザー光源である。光源1は、半導体レーザーをコリメートレンズで平行光にしたものであってもよく、HeNe(ヘリウムネオン)などのガスレーザー等であってもよい。また、光源1の光軸とx軸とのなす角は0度である。以下の説明では、光源1が450nmの波長を有する青色半導体レーザーである例を説明する。
【0020】
第1のシリンドリカルレンズ2は、xy断面に曲率を持ち、zx断面は平面であるレンズである。第1のシリンドリカルレンズ2は、光源1が出射した光をz軸方向の直線上に集光する。また、第1のシリンドリカルレンズ2の光軸とx軸とのなす角は0度である。
【0021】
第2のシリンドリカルレンズ3は、zx断面に曲率を持ち、xy断面は平面であるレンズである。第2のシリンドリカルレンズ3は、第1のシリンドリカルレンズ2を透過した光をy軸方向の直線上に集光する。また、第2のシリンドリカルレンズ3の光軸とx軸とのなす角は、例えば14度である。すなわち、
図1に示すように、第2のシリンドリカルレンズ3は、xy平面上で結像レンズ7の光軸であるx軸の垂線に対して所定角度の傾きを有して設置される。この傾き角度は、ラインセンサ素子61の長さ、検出する変位に基づく値である。
【0022】
スリット4は、例えば、矩形の板に光が透過するスリット領域41がy軸方向に形成されている。スリット領域41の大きさは、例えば、y軸方向が16mm、z軸方向が0.02mmの矩形開口である。スリット4は、例えば、ガラスに金属を蒸着したものや、ステンレスなどの金属の薄板にエッチングでスリット領域41を形成したものである。スリット4には、第2のシリンドリカルレンズ3を透過し集光された光が入射し、スリット領域41を透過した光がビームスプリッター5に入射する。また、第1のシリンドリカルレンズ2と第2のシリンドリカルレンズ3とスリット領域41を透過した光は、
図3を用いて後述するように、線状の光となる。また、スリット4も第2のシリンドリカルレンズ3と平行に設置され、x軸に対して所定角度の傾きを有して設置されている。x軸とのなす角は、例えば14度である。
光源1、第1のシリンドリカルレンズ2、第2のシリンドリカルレンズ3、およびスリット4で構成される線状光源100は、このように、線状の光を出射する。そして、結像レンズ7には、線状光源100が出射した線状の光が入射する。
【0023】
ビームスプリッター5は、光源1側に反射防止膜、結像レンズ7側にハーフミラー膜が形成されている。ビームスプリッター5は、入射した光のうち50%を透過する。すなわち、
図1、
図2に示したビームスプリッター5は、反射光と透過光との比が1:1のハーフミラーである。ビームスプリッター5は、xy平面上で結像レンズ7の光軸であるx軸に対して45度の傾きを有して設置される。
【0024】
ラインセンサ6のラインセンサ素子61は、例えば2048個の8×8μmの矩形の光検出素子が線上に並べられている。また、ラインセンサ6は、ラインセンサ素子61を保護するカバーガラスが設けられている。また、ラインセンサ素子61は、ラインセンサ6に形成される像が、後述するようにスリット4のスリット領域41によって形成される像8と全域にわたって共焦点の関係になるように設置されている。また、ラインセンサ6は、結像レンズ7の光軸がビームスプリッター5で反射された光軸の垂線に対して所定角度の傾き有して配置されている。
【0025】
結像レンズ7は、例えば、開口数NAが大きく倍率が1倍の両側テレセントリックレンズである。
【0026】
符号8は、スリット領域41による像であり、結像レンズ7が結像する位置における像である。スリット4が結像レンズ7の光軸に対して傾いて設置されているため、像8も結像レンズ7の光軸であるx軸に対して傾いて形成される。また、点8a、8b、8cそれぞれは、像8における焦点(結像)位置の例である。
【0027】
検出回路20は、ラインセンサ6によって検出された結果に基づいて、測定対象物9の変位を検出する。
【0028】
図3は、本実施形態に係る第1のシリンドリカルレンズ2、第2のシリンドリカルレンズ3、およびスリット4の構成例の斜視図である。
図3において、符号1aは、光源1が出射した平行光のレーザー光である。レーザー光1aは、第1のシリンドリカルレンズ2によって、符号2aに示すようにz軸方向に線上に集光される。そして、位置2aの光は、第2のシリンドリカルレンズ3によって、y軸方向に線上に集光されてスリット領域41に集光される。
【0029】
図3に示したように、光源1から出射されたレーザー光1aは、第1のシリンドリカルレンズ2に入射する。ここで、光源1の波長が450nmであり、レーザー光1aの直径が2mmであるとする。第1のシリンドリカルレンズ2は、xy平面に曲率を有するためxy平面上で集光する。第1のシリンドリカルレンズ2によって集光される光の焦点の位置は、位置2aである。第1のシリンドリカルレンズ2がzx平面で曲率を有していないため、z軸方向の幅が2mmのまま光束の幅は変化しない。
【0030】
この場合、第1のシリンドリカルレンズ2によって集光される位置2aでの光は、y軸方向の幅が数10μm、z軸方向の幅が2mmである。y軸方向の幅は、光源1からの平行光の平行度、第1のシリンドリカルレンズ2の曲率等によって決まる値である。
焦点の位置2aから広がった光束は、第2のシリンドリカルレンズ3に入射する。ここで、第2のシリンドリカルレンズ3とスリット4それぞれのx軸に対する傾きは14度である。この傾き角度は、長さ6mm、変位4mm(±2mm)のラインセンサ素子61で検出できるようにした角度であり、14.036度(=tan-1(4/16))に相当している。
【0031】
第2のシリンドリカルレンズ3は、zx平面に曲率を有しているため、zx方向で集光され、第1のシリンドリカルレンズ2の焦点の位置2aでの広がりを維持する。
スリット4は、第2のシリンドリカルレンズ3の焦点位置に配置されている。ここで、スリット領域41の大きさは、y軸方向が16mm、z軸方向が0.02mmの矩形開口である。このため、第2のシリンドリカルレンズ3からスリット4に入射した光線は、スリット領域41をほぼ透過することができる。
このようにして、結像レンズ7の光軸であるx軸に対して14度傾いた16mm×0.02mmの矩形のスリット光が形成される。
なお、上述した各サイズは一例であり、これに限られない。
【0032】
図1、
図2を参照して、スリット4を透過した光による光学系の動作を説明する。
スリット4を透過した光は、ビームスプリッター5を半分が透過し、半分が反射する。ビームスプリッター5の光源側に光源1の波長に合わせた反射防止膜が形成されているので、ビームスプリッター5の光源側での面の反射は無視できる。なお、反射光は図示していないが他の部品に反射してラインセンサ6に入射しないように、反射光が進む位置に図示しない反射防止機構、反射防止塗装が設けられていることが好ましい。
【0033】
ビームスプリッター5を透過した光は、結像レンズ7に入射する。ここで、結像レンズ7は、スリット領域41の像8を測定対象物9の近辺に等倍率で結像させる。なお、スリット4の中心が結像レンズ7の物側焦点に、像8の中心が結像レンズ7の像側焦点となるように配置されている。ここで、結像レンズ7の光軸であるx軸に垂直な面(物面)にあるものを、x軸に垂直な面に結像させるのであれば、通常のレンズ(非テレセントリックレンズ)を用いて構成できる。しかしながら、本実施形態の場合は、スリット4がx軸に対して傾いているため、光軸方向の距離が像高によって異なる。この結果、本実施形態の光学系では、結像の横倍率に加えて縦倍率を考慮する必要がある。通常のレンズ(非テレセントリックレンズ)では横倍率が一定であり、縦倍率が横倍率の二乗に比例する。このため、結像レンズ7に通常のレンズを用いた場合は、レンズとの距離によって倍率が変化するため、スリット4による像8が直線状にならない。このため、本実施形態では、結像レンズ7にレンズとの距離によって結像の横倍率が変化しない両側テレセントリックレンズを用いる。また、本実施形態では、結像レンズ7の結像倍率を等倍(1倍)としている。
【0034】
このようにして結像したスリット領域41による像8は、スリット領域41と合同になる。そして、測定対象物9が変位センサ10の測定範囲にある場合は、像8のいずれかの場所(
図1では、例えば点8a、8b、8c)で交差する。なお、本実施例で像8のx軸方向の距離は、±2mmである。
このように、本実施形態では、結像レンズ7が、線状光源と共役となる位置に線状光源の像を結像レンズ7の光軸の垂線に対して所定角度の傾きを有して形成している。ここで、共役とは、像を形成する対象と、レンズにより結像される像と、の結像関係である。
【0035】
続けて、測定対象物9で結像して反射する光りについて、
図4を用いて説明する。
図4は、
図1における反射光を示す図である。
図4に示す例では、測定対象物9と像8との交点が点8aであったとする。
【0036】
点8aでは、スリット領域41と測定対象物9が共焦点の関係にある位置のため強い反射が生じる。一方、他の位置(例えば点8b、8c)では、像8の焦点と測定対象物9が一致していないため、反射光が弱くなる。
図4に示すように、測定対象物9によって反射した反射光は、結像レンズ7を透過し、ビームスプリッター5によって反射されてラインセンサ6に入射する。この場合、像8とラインセンサ素子61とは共焦点の関係にあり、像8における点8aとラインセンサ素子61における点6aとは、共焦点の関係にある。このため、像8のうち点8aの位置で結像した光は、ラインセンサ素子61の点6aの位置に結像する。像8において点8a以外の位置では焦点がずれているため反射光が弱いので、ラインセンサ素子61に入射する光量が点6aと比較して弱い。
このように、本実施形態では、ラインセンサ6が、結像レンズ7と5ビームスプリッターを介して、結像レンズ7によって形成させる像と共役となる位置に、結像レンズ7の光軸がビームスプリッター5で反射された光軸の垂線に対して所定角度の傾き有して配置されている。
【0037】
検出回路20は、ラインセンサ素子61の各素子の受光光量を検出する。本実施形態では、±2mmの変位を2048個の素子で検出するので、1素子が変位約2μmに相当する。共焦点の関係であるため、共焦点周囲と、共焦点と共焦点では無い位置での光量差が大きいが、周囲にわずかに広がる。このため、検出回路20は、光量の重心やピークを求めることで1素子(サブピクセル)の分解能(1/10素子程度)で反射光の位置を求めることができる。なお、検出回路20は、反射光の光量に対してクラスタリング処理を行った後に重心やピークを求めるようにしてもよい。また、検出回路20は、受光強度と位置を用いて、例えば受光強度と位置との積の総和を、受光強度の総和で除算することで重心を求めるようにしてもよい。
【0038】
ここで、結像レンズ7が完全な両側テレセントリックレンズでない場合、スリット領域41の像8は、完全な直線にならないこともある。このような場合は、測定対象物9の位置に校正用の板をx軸と垂直に設置し、結像レンズ7との距離を必要な距離ステップで移動させながら、ラインセンサ素子61と距離との対応付けを検量線として予め求めておき、検出回路20に記憶させるようにしてもよい。検出回路20は、記憶しているラインセンサ素子61と距離との対応付けに基づいて、検出した値を補正することで誤差の少ない測定を行うことができる。
【0039】
これにより、本実施形態によれば、測定対象物9を結像レンズ7の光軸に垂直な平面に置くことで、従来のように高価な色収差レンズや分光器を用いること無く、簡単な光学系で色収差式の変位センサと同等の分解能、精度を得ることができる共焦点変位計を実現することができる。
【0040】
なお、共焦点(コンフォーカル)とは、測定対象物9の表面からの反射光を、検出器であるラインセンサ6で受光する光学系であり、光源から照射された照明光が、測定対象物9の表面に焦点を結ぶとき、その反射光も検出器上で焦点が合うように設計されている光学系である。
【0041】
<第1実施形態の第1変形例>
次に、測定対象物9が結像レンズ7の光軸であるx軸に対して垂直ではない場合について、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態に係る測定対象物9が結像レンズ7の光軸であるx軸に対して垂直ではない場合を説明するための図である。
図5に示す例では、測定対象物9aがy軸に対して角度がθ傾いている例である。
図5において、角度φは、y軸に対する像8の傾きを表し、スリット4の傾きと同様であり、ここでは14度であるとする。
【0042】
測定対象物9がx軸に垂直に置かれている場合は、点8aで像8と測定対象物9とが交差する。この場合、光軸と像8との交点を通る基準位置Spと測定対象物9との変位は、h
0である。
一方、
図5に示したように測定対象物9aがx軸に垂直なy軸に対して、光軸との交点を中心に角度がθ傾いているため、像8と測定対象物9aとの交点は、点8bの位置となる。この場合、測定される基準位置Spと測定対象物9aとの変位は、hである。
【0043】
傾きθ、変位h
0、hとの関係は、次式(1)のように表される。
【0045】
ここで、傾斜センサ21で、測定対象物9と変位センサ10の光軸との傾きの角度θを測定することで、式(1)に基づいて正しい変位h
0を求めることができる。このような場合、検出回路20が式(1)を記憶する。そして、検出回路20は、傾斜センサ21が測定した測定値を用いて、測定した変位hを補正して正しい変位h
0を求める。
【0046】
<第1実施形態の第2変形例>
次に、測定対象物9の表面が紙など繊維状の場合、潜り込みと呼ばれる現象が発生して測定結果に誤差が生じる場合がある。このような場合について、
図6と
図7を用いて説明する。
図6は、潜り込みが発生した場合の反射光の光路例を説明する図である。なお、
図6は、光線を測定対象物に照射して、測定対象物からの反射光の角度をラインセンサで測定して測定対象物と変位センサとの距離を測定する三角測量型変位センサの光学系を模式的に表したものである。また、
図7は、潜り込みが発生した場合の光量の例を示す図である。
図7において、横軸はラインセンサ6内の位置、縦軸は受光強度を表している。
【0047】
図6において、符号11は、光源が放射した光線を不図示のコリメータレンズで平行光にした後の光線である。符号12は、測定対象物であり、例えば紙である。符号13は、潜り込みによって発生する光(以下、潜り込み光という)である。符号14は、集光レンズである。符号15は、ラインセンサである。符号16は、測定対象物12の表面で光源からの光線11が反射した場合の反射光である。符号17は、測定対象物12の内部で反射した潜り込み光による反射光である。
【0048】
光線11が測定対象物12に照射されると、測定対象物12の表面で反射した反射光は、集光レンズ14を介してラインセンサ15の点15aの位置に結像する。測定対象物12が紙であるため、光線11の一部が表面で拡散するとともに、繊維の隙間から紙の内部に入り込んで拡散する光、すなわち潜り込み光となる。この潜り込み光の一部の反射光17が集光レンズ14を介してラインセンサ15の点15aとは異なる点15bの位置に結像する。
【0049】
この結果、
図7に示すように、測定対象物12の表面で反射した反射光16による受光強度p1の第1の極大値と、潜り込み光によって反射した反射光17による受光強度p2の第2の極大値が発生する。この潜り込み光によって反射した反射光17による受光強度p2は、紙を構成している繊維の種類、状態、水分率、灰分率、コーティングの有り無し等によって異なるため、表面の反射光16との分離が難しく測定誤差の要因となる場合がある。
【0050】
このような潜り込み光による影響を防ぐには、光源1のビーム径を紙の繊維に対して十分に大きくする手法があるが、本実施形態の第2変形例では、スリット領域41による像8を大きくすることで、潜り込み光による影響を防ぐ。
【0051】
図8は、第1実施形態の第2変形例に係る変位センサ10Aの構成例を示す図であり、z軸の+側から見た図である。
第2変形例の変位センサ10Aの基本構成は、
図1の変位センサ10と同様であるが、
図8に示すように、ラインセンサ6の直前に第3のシリンドリカルレンズ62をさらに備える。また、スリット4Aのスリット領域41Aの形状は、y方向の幅が16mm、z方向の高さが0.5mm程度の矩形である。そして、スリット4Aの配置を第2のシリンドリカルレンズ3の焦点位置から遠ざけ、光束の大きさがスリット領域41Aの大きさより少し大きくなる位置に配置する。
【0052】
なお、
図8の変型例では、光源1、第1のシリンドリカルレンズ2、第2のシリンドリカルレンズ3、およびスリット4Aを線状光源100Aという。
図8の変型例においても、線状光源100Aは、線状の光を出射する。そして、結像レンズ7には、線状光源100Aが出射した線状の光が入射する。また、
図8の変型例においても、結像レンズ7は、線状光源と共役となる位置に線状光源の像を結像レンズ7の光軸の垂線に対して所定角度の傾きを有して形成している。また、
図8の変型例においても、ラインセンサ6は、結像レンズ7と5ビームスプリッターを介して、結像レンズ7によって形成させる像と共役となる位置に、結像レンズ7の光軸がビームスプリッター5で反射された光軸の垂線に対して所定角度の傾き有して配置されている。
【0053】
このスリット領域41Aによる像8を結像させるように結像レンズ7を配置する。第2変形例では、像8Aの大きさは、スリット領域41Aと同じ大きさの16mm×0.5mmとなる。
測定対象物9による反射経路は、
図4と同様である。ここで、第3のシリンドリカルレンズ62が無い場合、ラインセンサ素子61に戻ってくる反射光の像の大きさは、16mm×0.5mmであり、ラインセンサ素子61の検出範囲より大きい。ここで、ラインセンサ素子61の検出範囲は、16mm×0.008mmであるとする。
【0054】
このため、第2変形例では、ラインセンサ6の直前に、ラインセンサ6と平行に第3のシリンドリカルレンズ62を設ける。そして、第3のシリンドリカルレンズ62の焦点がラインセンサ素子61の検出範囲に一致するように第3のシリンドリカルレンズ62を配置する。これにより、反射光の高さが0.5mmの光束を集光して0.008mmに入射させることで、高さ方向の検出範囲が0.008mmのラインセンサ素子61を用いて測定することができる。
【0055】
すなわち、第2変形例では、潜り込み光による影響を防ぐために、スリット領域41Aを大きくすることでスリット領域41Aによる像8Aの大きさを変位センサ10より大きくする。さらに第2変形例では、ラインセンサ6の直前に第3のシリンドリカルレンズ62を設ける。これにより、第2変形例によれば、測定対象物が紙等であっても、潜り込み光による影響を防いで、精度よく測定を行うことができる。
【0056】
なお、本実施形態では、光源1にレーザー光源を用いる例を説明したが、これに限られない。光源1は、例えば高圧水銀ランプ、白熱電球、発光ダイオード等であってもよい。これらを光源1に用いる場合は、第1のシリンドリカルレンズ2、第2のシリンドリカルレンズ3に限られず、光源1の種類に合わせた光学系を用いればよい。この場合は、スリット領域41Aの輝度を、できるだけ均一な輝度になるような光源と光学系であればよい。
【0057】
また、光源1は、点光源である例を説明したが、これに限られない。光源1は、放射領域が線状である、例えば面発光ダイオードや半導体レーザーであってもよい。この場合、2つのシリンドリカルレンズやスリット4は、光源に合わせた光学系であればよい。
【0058】
また、実施形態では、照明光と反射光との分離にハーフミラーであるビームスプリッター5を用いる例を説明したが、これに限られない。ハーフミラーに替えて偏光ビームスプリッターをビームスプリッター5に用いるようにしてもよい。この場合は、光源1側からP偏光で入射させ、偏光ビームスプリッターから測定対象物9の間に、4分の1波長板を偏光ビームスプリッターから透過光の偏光方向に対して45度の角度で配置することが望ましい。このように構成することで、光源1からの光束が、ほぼ全て測定対象物9に照射されるので、偏光ビームスプリッターで反射する光量を低減することができ、迷光の処理が簡素で済む。この結果、測定対象物9からの反射光が、ほぼラインセンサ6に集光するため光の利用効率を向上することができS/Nを向上させることができる。なお、測定対象物9が偏光に影響を与える部材の場合は、偏光ビームスプリッターではなくハーフミラーをビームスプリッター5に用いることが好ましい。
【0059】
また、実施形態では、結像レンズ7として、両側テレセントリックの等倍レンズを例に説明したが、これに限られない。結像レンズ7としては、非テレセントリックのレンズ、非等倍のレンズ等を用いることも可能である。この場合は、測定対象物9付近のスリット像が直線とならず曲がるため、ラインセンサ6の位置と変位との関係が直線にならない。このため、検出回路20に予めラインセンサと変位との関係を記憶させておき検出回路20が測定した変位を補正するようにしてもよい。
【0060】
また、実施形態では、変位を検出する検出器としてラインセンサ6を用いる例を説明したが、これに限られない。ラインセンサ6に替えて、例えばCCD(Charge Coupled Device; 電荷結合素子)画像センサ、C−MOS(Complementary MOS)画像センサであってもよい。CCD画像センサやC−MOS画像センサを用いる場合は、10μm以下の幅のラインセンサ6に対して、位置調整制度が緩和され、調整行程が簡単になる効果を得ることができる。
【0061】
[第2実施形態]
本実施形態では、ラインセンサ6のコントラストを変位センサ10に対して、さらに向上させる例を説明する。
図9は、本実施形態に係る変位センサ10Bの構成例を示す図であり、z軸の+側から見た図である。
図9に示すように変位センサ10Bは、光源1、第1のシリンドリカルレンズ2、第2のシリンドリカルレンズ3、スリット4、ビームスプリッター5、ラインセンサ6、結像レンズ7、検出回路20、スリットホイール30、モータ31、およびモータ駆動部22を備える。また、ラインセンサ6は、ラインセンサ素子61を備える。なお、第1実施形態の変位センサ10と同じ機能を有する機能部には、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0062】
図9に示すように、変位センサ10Bでは、スリット4とビームスプリッター5との間に、スリット4に平行にスリットホイール30を備える。
スリットホイール30は、複数の螺旋状スリットを備え、モータ31によって回転する。スリットホイール30は、例えば光学ガラスに光を透過しない金属等を蒸着したもので、エッチング等により光を透過する複数の螺旋状のスリットを備える。スリットホイール30は、モータ31の回転軸に取り付けられている。スリットホイール30とx軸とのなす角は、例えば14度である。なお、スリットホイール30の構造例については、
図10を用いて後述する。
【0063】
なお、本実施形態では、光源1、第1のシリンドリカルレンズ2、第2のシリンドリカルレンズ3、およびスリット4を線状光源100という。なお、線状光源100は、スリットホイール30を備えていてもよい。本実施形態においても、線状光源100は、線状の光を出射する。そして、結像レンズ7には、線状光源100が出射した線状の光が入射する。また、本実施形態においても、結像レンズ7は、線状光源と共役となる位置に線状光源の像を結像レンズ7の光軸の垂線に対して所定角度の傾きを有して形成している。また、本実施形態においても、ラインセンサ6は、結像レンズ7と5ビームスプリッターを介して、結像レンズ7によって形成させる像と共役となる位置に、結像レンズ7の光軸がビームスプリッター5で反射された光軸の垂線に対して所定角度の傾き有して配置されている。
【0064】
モータ駆動部22は、変位の測定時、モータ31を所定の回転速度で回転させる。
モータ31は、モータ駆動部22によって回転する。
【0065】
なお、モータ31は、モータ31の回転を検出するエンコーダを備えるようにしてもよい。この場合、検出回路20は、エンコーダが検出した検出結果に基づいて、 1/4回転に相当するパルスを作り出しそのパルスに基づいて、ラインセンサ6の露光を行うようにしてもよい。
【0066】
次に、スリットホイール30の構成例を説明する。
図10は、本実施形態に係るスリットホイール30の構成例を示す図である。
図10に示す例のスリットホイール30は、光を透過する4本の螺旋状スリット30a、30b、30c、30dの部分が形成されていている。
螺旋状スリット30a、30b、30c、30dのスリット幅は、スリット4のスリット領域41の開口の幅とほぼ同等の幅である。螺旋状スリット30a、30b、30c、30dの間隔は、例えば、スリット領域41の開口の長さの1/10になるように設定されている。
【0067】
スリットホイール30が反時計方向に1/4回転(90度)した場合、螺旋がスリット領域41の開口の長さの1/10だけ、スリット領域41の開口の長手方向、右から左に移動するように形成されている。
また、4本の螺旋状スリット30a、30b、30c、30dは、4回対象になっているので、90度回転するごとに30aが30bのあった位置に、30bが30cのあった位置に30cが30dのあった位置に、30dが30aのあった位置に重なるように形成されている。また、4本の螺旋状スリット30a、30b、30c、30dは、2.5回転で最内周から最外周に到達するように形成されている。
【0068】
図10において、鎖線による長方形は変位センサ10Bにおけるスリット領域41を表している。このように、スリット領域41に対応する位置には、スリット領域41の開口の長手方向に添って等間隔に10か所あることになる。
【0069】
ここで、
図9の矢印Aの方向から見た場合は、スリット領域41の開口と螺旋状スリット30a、30b、30c、30dの開口の重なる部分がほぼ正方形の微少開口となる。モータ駆動部22によってモータ31が一定速度で回転すると、スリット領域41の開口の長手方向に添って等間隔に10か所ある微少開口が右から左に間隔を保ったまま連続的に移動するように見える。
この10か所ある微少開口がスリット領域41の開口の1/10の長さを掃引するのにかかる時間は、スリットホイール30が1/4回転する時間に等しい。このため、ラインセンサ6の露光時間は、その時間の整数倍にするのが望ましい。これにより、微少開口がどこにあっても、露光時間が同一になり場所による輝度変化の発生を防止できる。この結果、本実施形態によれば、合焦点以外からのクロストロークを抑えることができるため、第1実施形態の変位センサ10と比べて大きなコントラストで測定することができる。
【0070】
これにより、第1実施形態の変位センサ10と同様に、本実施形態によれば、測定対象物9を結像レンズ7の光軸に垂直な平面に置くことで、従来のように高価な色収差レンズや分光器を用いること無く、簡単な光学系で色収差式の変位センサと同等の分解能、精度を得ることができる共焦点変位計を実現することができる。
【0071】
なお、
図9では、
図1の構成にスリットホイール30、モータ31、およびモータ駆動部22を備える構成例を示したが、これに限られない。第1実施形態の変形例1や、第1実施形態の変形例2(
図8)の構成においても、スリットホイール30、モータ31、およびモータ駆動部22を備えるようにしてもよい。
【0072】
なお、本本実施例では固定されているスリット4とスリットホイール30の回転により複数の微少開口を掃引する方法を示したが、これに限られない。例えば、LEDやO-LED(有機LED)などのチップを多数個、スリット4のスリット領域41の開口部に搭載し、LEDの点灯タイミングを掃引するようにしてもよい。この場合は、例えば検出回路20がLEDの点灯タイミングを制御するようにしてもよい。
【0073】
なお、第2実施形態においても、変位センサ10Bの光源1は、第1実施形態と同様に、レーザー光源、高圧水銀ランプ、白熱電球、発光ダイオード等であってもよい。高圧水銀ランプ、白熱電球、発光ダイオード等を光源1に用いる場合は、第1のシリンドリカルレンズ2、第2のシリンドリカルレンズ3に限られず、光源1の種類に合わせた光学系を用いればよい。この場合は、スリット領域41の輝度を、できるだけ均一な輝度になるような光源と光学系であればよい。また、光源1は、放射領域が線状である、例えば面発光ダイオードや半導体レーザーであってもよい。この場合、2つのシリンドリカルレンズやスリット4は、光源に合わせた光学系であればよい。
【0074】
また、第2実施形態においても、ハーフミラーに替えて偏光ビームスプリッターをビームスプリッター5に用いるようにしてもよい。この場合は、光源1側からP偏光で入射させ、偏光ビームスプリッターから測定対象物9の間に、4分の1波長板を偏光ビームスプリッターから透過光の偏光方向に対して45度の角度で配置することが望ましい。
【0075】
また、第2実施形態においても、結像レンズ7としては、非テレセントリックのレンズ、非等倍のレンズ等を用いることも可能である。
また、第2実施形態においても、変位を検出する検出器としてラインセンサ6に替えて、例えばCCD画像センサ、C−MOS画像センサであってもよい。
【0076】
なお、本発明における検出回路20の機能の全てまたは一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより検出回路20が行う処理の全てまたは一部を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0077】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0078】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。