特許第6743890号(P6743890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6743890
(24)【登録日】2020年8月3日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】建設機械のキャブ
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20200806BHJP
   B60J 1/02 20060101ALI20200806BHJP
   E05F 11/22 20060101ALI20200806BHJP
   E05F 11/04 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   E02F9/16 F
   B60J1/02 Z
   E05F11/22
   E05F11/04
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-527388(P2018-527388)
(86)(22)【出願日】2017年3月28日
(86)【国際出願番号】JP2017012681
(87)【国際公開番号】WO2018012047
(87)【国際公開日】20180118
【審査請求日】2019年10月9日
(31)【優先権主張番号】特願2016-139109(P2016-139109)
(32)【優先日】2016年7月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】野田 剛
(72)【発明者】
【氏名】小林 和愛
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−024731(JP,A)
【文献】 特開平08−072536(JP,A)
【文献】 特開平11−303496(JP,A)
【文献】 特許第4062331(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/16
B60J 1/00
E05F 11/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のキャブであって、
前側開口部が形成されたキャブ本体と、
前記前側開口部を閉じる閉じ位置と当該前側開口部を開く開き位置との間で移動可能な前窓であって、当該閉じ位置にある当該前窓の上側端部に位置する上側被保持体を含む複数の窓側被保持体を有する前窓と、
前記キャブ本体内に配設され、前記前窓が前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動するように前記窓側被保持体を案内しながら保持するガイドレールと、
前記前窓を前記開き位置に向かう開き方向に付勢するアシストケーブルと、
前記アシストケーブルに接続され、かつ、前記ガイドレールに保持されながら当該ガイドレールに沿って移動可能な第1リンクと、
前記前窓及び前記第1リンクに対してそれぞれ前記リンク側移動体の移動方向と直交する左右方向の軸回りに回動可能となるように連結される第2リンクと、を備え、
当該第2リンクは、当該第2リンクの前記前窓及び前記第1リンクに対する前記回動により、前記上側被保持体を、前記第1リンクとともに前記ガイドレールに沿って移動可能となるように当該ガイドレールに保持される被保持位置と、前記前窓を前記閉じ位置に位置させるように前記ガイドレールから離脱する離脱位置との間で移動させる、建設機械のキャブ。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械のキャブであって、前記第1リンクは、リンク本体と、前記ガイドレールの案内経路に沿って並ぶ複数の位置で前記リンク本体に連結され、それぞれが前記ガイドレールに保持される複数のリンク側被保持体と、を含む、建設機械のキャブ。
【請求項3】
請求項2記載の建設機械のキャブであって、前記リンク本体は、前記複数のリンク側被保持体同士の間の位置で当該リンク本体と前記被保持位置にある前記上側被保持体との干渉を阻止するように湾曲する湾曲部を含む、建設機械のキャブ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の建設機械のキャブであって、前記第1リンクは、前記前窓が前記閉じ位置にあるときに前記ガイドレールの上面よりも上方に突出する突出部分を含み、前記アシストケーブルは、前記突出部分に接続されるとともに前記ガイドレールの上面に沿って配索される、建設機械のキャブ。
【請求項5】
請求項4記載の建設機械のキャブであって、前記ガイドレールは、前記アシストケーブルの前記左右方向への移動を規制する規制部を含む、建設機械のキャブ。
【請求項6】
請求項5記載の建設機械のキャブであって、前記規制部は、前記ガイドレールの上面のうちの特定部分が他の部分よりも上向きに突出する部分である、建設機械のキャブ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の建設機械のキャブであって、第1リンクに対してアシストケーブルを左右方向の軸回りに回動可能となるように連結する連結機構をさらに備える、建設機械のキャブ。
【請求項8】
請求項7記載の建設機械のキャブであって、前記連結機構は、前記アシストケーブルの先端部に接続され、前記左右方向に延びる被保持軸と、前記第1リンクにつながり、前記被保持軸をその自軸回りに回転可能に保持する保持部と、を含み、当該保持部は、前記被保持軸の回転に伴う前記第1リンクに対する前記アシストケーブルの回動を許容する挿通孔を有する、建設機械のキャブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のキャブであって前窓を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設機械のキャブであって、キャブフレームと、前側開口部を囲む前窓フレームと、前記前側開口部を開閉する前窓と、当該前窓フレームの左右両側に設けられたガイドローラと、前記キャブフレームの左右両側に設けられたガイドレールと、を備え、当該ガイドレールに沿う前記ガイドローラのスライド移動によって前記前窓が開閉方向に移動するものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、前窓と、その上部に回動可能に連結される上端部とその反対側の下端部とを有するリンクと、当該リンクの下端部に接続されるアシストケーブルと、を備える開閉装置を開示する。前記リンクの下端部には、前記アシストケーブルを介して引張力が与えられる。当該引張力は、前記前窓の開き位置への移動をアシストする一方、前記前窓が閉じ位置にあるときはリンクの下端部を支点として当該リンクを前倒れ方向に回動させることにより当該前窓の上端部を前方に押し付ける力として、作用する。
【0004】
しかし、当該特許文献1の装置によれば、作業者は、前記閉じ位置にある前記前窓を開く際に前記アシストケーブルの引っ張り力に抗して前記前窓の取っ手を手前に引く作業を行わなければならない。また、アシストケーブルと前窓との間にはリンクが介在していて当該前窓のローラの位置と当該アシストケーブルの支点の位置とがずれているため、前窓のローラがガイドレールに沿って移動する際にアシストケーブルの引っ張り力が分散して前窓をスムーズに開き位置へ移動させることができないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4062331号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、前窓を備え、かつ当該前窓が閉じ位置と開き位置との間でスムーズに移動することが可能な建設機械のキャブを提供することにある。
【0007】
提供されるのは、建設機械のキャブであって、前側開口部が形成されたキャブ本体と、前記前側開口部を閉じる閉じ位置と当該前側開口部を開く開き位置との間で移動可能な前窓であって、前記閉じ位置にある当該前窓の上側端部に位置する上側被保持体を含む複数の窓側被保持体を有する前窓と、前記キャブ本体内に配設され、前記前窓が前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動するように前記窓側被保持体を案内しながら保持するガイドレールと、前記前窓を前記開き位置に向かう開き方向に付勢するアシストケーブルと、前記アシストケーブルに接続され、かつ、前記ガイドレールに保持されながら当該ガイドレールに沿って移動可能な第1リンクと、前記前窓及び前記第1リンクに対してそれぞれ前記リンク側移動体の移動方向と直交する左右方向の軸回りに回動可能となるように連結される第2リンクと、を備え、当該第2リンクは、当該第2リンクの前記前窓及び前記第1リンクに対する前記回動により、前記上側被保持体を、前記第1リンクとともに前記ガイドレールに沿って移動可能となるように当該ガイドレールに保持される被保持位置と、前記前窓を前記閉じ位置に位置させるように前記ガイドレールから離脱する離脱位置との間で移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る建設機械の側面図である。
図2】前記建設機械のキャブにおける前窓の閉じ位置及び開き位置を示す側面図である。
図3】前記前窓の斜視図である。
図4】前記キャブにおけるリンク機構の斜視図である。
図5】前記キャブの内部の左側のガイドレールを示す斜視図である。
図6】前記前窓の上側ローラが離脱位置にある状態を示す側面図である。
図7】前記上側ローラが被保持位置にある状態を示す側面図である。
図8】前記前窓が前記ガイドレールに沿って移動する様子を示す側面図である。
図9】前記キャブのアシストケーブルを保持する保持部を示す斜視図である。
図10】前記リンク機構を構成する第1リンクプレートに取付けられたリンク側ローラが前記ガイドレールの傾斜面に沿って上昇する様子を示す断面側面図である。
図11】前記リンク側ローラが前記ガイドレールの水平面に沿って移動する様子を示す断面側面図である。
図12】前記キャブ内の右側のガイドレールを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。各図には、上下や前後左右の方向を矢印で示してある。特に言及しない限り、上下等の方向についてはこれら矢印で示す方向に従って説明する。
【0010】
図1は、前記実施形態に係る建設機械10を示す。当該建設機械10は、いわゆる油圧ショベルであり、クローラ式の下部走行体11と、下部走行体11上に旋回自在に搭載されたアッパーフレーム15を有する上部旋回体12と、掘削作業等を行うための作業アタッチメント13と、を備えている。当該作業アタッチメント13は、前記アッパーフレーム15の前側中央部に当該アッパーフレーム15に対して上下方向に回動可能となるように取付けられるブーム13aと、当該ブーム13aの先端部に回動可能に取り付けられたアーム13bと、当該アーム13bの先端部に回動可能に取り付けられたバケット13cと、ブーム13a、アーム13b、及びバケット13cをそれぞれ回動させるように伸縮する複数の油圧シリンダ13dと、を含む。
【0011】
前記上部旋回体11は、前記アッパーフレーム15上において前記アタッチメント13の左側に位置するキャブ20と、前記アッパーフレーム15の後部に搭載される図示しないコントロールバルブやエンジン等を覆う機械室カバー16と、機械室カバー16の後側に位置するカウンタウエイト17と、をさらに有する。
【0012】
前記キャブ20は、図1及び図2に示されるキャブ本体21と、図2及び図3に示される前窓22と、前窓開閉装置30と、を備える。前記キャブ本体21には、上部旋回体11の前側に開口する前側開口部21aが形成されている。前記前窓22は、前記前側開口部21aを閉じる閉じ位置と当該閉じ位置よりも後ろ側の位置であって前側開口部21aを開く開き位置との間で移動可能、つまり開閉方向に移動可能、である。前記前窓開閉装置30は前記前窓22を開閉方向に移動させる。
【0013】
前記前窓22は、図3にも示すように、当該前窓22の本体(外周枠)を構成する窓フレーム23と、透明な窓ガラス24と、左右一対の上側ローラ25Aと、左右一対の下側ローラ25Bと、を有し、前記窓ガラス24の周縁部が前記窓フレーム23の前面に取り付けられている。
【0014】
前記前窓開閉装置30は、前記キャブ本体21内に配設された左右一対のガイドレール31と、アシストケーブル35と、第1リンクと、第2リンクと、を有する。
【0015】
前記上側及び下側ローラ25A,25Bのそれぞれは、前記左右一対のガイドレール31に沿って移動するように当該ガイドレール31に保持される窓側被保持体に相当する。
【0016】
前記アシストケーブル35は、前記前窓22に接続されて当該前窓22を前記開き位置に向かう方向、すなわち、開き方向、に付勢する。前記第1リンクは、前記アシストケーブル35に接続されるリンク本体である第1リンクプレート40と、複数のリンク側ローラ41と、を有する。当該複数のリンク側ローラ41は、前記リンク本体である第1リンクプレート40とともにガイドレール31に沿って移動可能となるように当該ガイドレール31に保持される複数のリンク側被保持体に相当する。
【0017】
前記第2リンクは、第2リンクプレート45を含む。当該第2リンクプレート45は、その長手方向の両端部であって、前記前窓22及び前記第1リンクプレート40にそれぞれ左右方向の軸回りに回動可能に連結される窓側端部及びリンク側端部を有する。
【0018】
前記左右一対のガイドレール31のそれぞれは、キャブ本体21の内方に開口する断面形状、具体的には、左右方向の外側に位置してキャブ本体21の内側を向く底壁31aと、当該底壁の両縁部からキャブ本体21の内方に向かって延びる一対の側壁、つまり外側側壁31b及び内側側壁31c、と、を有する。当該左右一対のガイドレール31は、前記キャブ本体21の左右の両側壁の内側面に固定され、前記上側ローラ25Aを前記前側開口部21aから前記キャブ本体21の天井に沿って上部旋回体11の後方に案内するように延びている。
【0019】
前記一対の上側ローラ25A及び前記一対の下側ローラ25Bは、この実施形態では、前記窓フレーム23の左右両側面において上側及び下側の端部にそれぞれ取付けられる。前記上側及び下側ローラ25A,25Bは、それぞれ、前記窓フレーム23から左右方向外向きに突出する支持軸である複数のローラ軸23aによってそれぞれ回転可能に支持される。このうち前記窓フレーム23の上側端部に設けられる前記一対の上側ローラ25Aは、後述のように本発明に係る上側被保持体に相当するものである。
【0020】
前記前窓22は、前記ガイドレール31に沿う前記上側及び下側ローラ25A,25Bの移動に伴って前記閉じ位置と前記開き位置との間を移動する。前記前窓22は、図2において実線で示される前記閉じ位置では前記前側開口部21aを閉じ、図2において二点鎖線で示される前記開き位置では前記キャブ本体21の天井に沿うように前側開口部21aから後方に退避して当該前側開口部21aを開く。
【0021】
前記前窓開閉装置30は、前記前窓22を前記閉じ位置及び前記開き位置のそれぞれにおいて係止するためのロック機構をさらに有する。当該ロック機構は、前記前窓22に取付けられる左右一対の被係止部50と、前記左右一対のガイドレール31にそれぞれ取付けられる複数のストライカ52と、を含む。前記左右一対の被係止部50は、具体的には、前記窓フレーム23の上縁部における左右両端部にそれぞれ設けられる。前記複数のストライカ52は、図2に示すように、前窓22の閉じ位置及び開き位置にそれぞれ対応して前記左右一対のガイドレール31の前端部及び後端部にそれぞれ設けられている。当該複数のストライカ52は例えばキャブ本体21に取付けられてもよい。前記各被係止部50は、前記複数のストライカ52のうちの任意のものに係合することが可能であり、これにより、前記前窓22が前記閉じ位置又は前記開き位置で前記キャブ本体21にロックされることを可能にする。前記被係止部50のそれぞれは解除レバー51を含み、当該解除レバー51を手前に引く操作によって当該被係止部50と任意のストライカ52との係合が解除され、こうして前窓22のロックが簡単に解除される。
【0022】
前記ガイドレール31は、その後端部にストッパ53を有する。当該ストッパ53は、前記前窓22の窓フレーム23と当接することにより当該前窓22を前記開き位置に位置決めする。
【0023】
前記前窓22は、図3に示すリンク規制板28をさらに有する。当該リンク規制板28は、前記窓フレーム23の上縁部における左端部から後方に張り出す。当該リンク規制板28は、後にも述べる前記第1及び第2リンクプレート40,45が車幅方向すなわち左右方向に移動するのを規制する。
【0024】
前記前窓22は、図3に示す左右一対の上側ハンドル26と、図示されない下側ハンドルと、シール部材27と、をさらに有する。当該上側ハンドル26は、前記窓フレーム23の上縁部において前記左右方向に互いに離れた位置に配設されて当該上縁部よりも後方に張り出す。上側ハンドル26は、前窓22を開閉方向に移動させるために作業者に把持されるための取っ手である。前記下側ハンドルは、前記窓フレーム23の下縁部の前記左右方向の中央位置に設けられている。前記シール部材27は、前記窓フレーム23の下縁部に取付けられて、前記閉じ位置にある前窓22のさらに下側に配設される図示しない下側前窓と密着する。
【0025】
前記アシストケーブル35は、前窓22の開閉方向の移動をスムーズにするために当該前窓22を開き方向、つまり前記閉じ位置から前記開き位置に向かう方向、に付勢するものであり、図示しないバランサスプリングに接続される後端部と、前記第1リンクプレート40の上端部に接続される前端部と、を有する。当該アシストケーブル35は、前記バランサスプリングのバネ力を前記第1及び第2リンクプレート40,45を介して前窓22に伝え、これにより当該前窓22を前記開き方向に付勢する。
【0026】
前記前窓開閉装置30は、図2図11に示されるケーブルホルダ54をさらに含む。当該ケーブルホルダ54は、筒状の部材により構成され、前記ガイドレール31の後端部寄りの位置に設けられ、前記アシストケーブル35の挿通を許容しながら当該アシストケーブル35の振れを抑止する。
【0027】
前記アシストケーブル35と前記第1リンクプレート40との間には、当該第1リンクプレート40に対して当該アシストケーブル35を左右方向の軸回りに回動可能となるように連結する連結機構が介在する。当該連結機構は、図4に示すような被保持軸36及び保持部37を含む。前記被保持軸36は前記アシストケーブル35の前端部に接続され、当該アシストケーブル35の長手方向と直交する方向、この実施の形態では前記左右方向、に延びる。前記保持部37は、後にも詳述するように、前記第1リンクプレート40の上端部に設けられて前記被保持軸36をその自軸回りに揺動可能に保持する。
【0028】
前記複数のリンク側ローラ41は、この実施の形態では前記ガイドレール31の案内経路に沿って互いに間隔をおいて並ぶ2つのリンク側ローラ41であり、図6及び図7に示される姿勢において前記保持部37よりも下側の位置で前記第1リンクプレート40に回転可能に取付けられている。各リンク側ローラ41は、前記ガイドレール31に嵌め込まれることにより、図2に示されるように当該ガイドレール31内を移動可能となるように当該ガイドレール31に保持される。
【0029】
上側及び下側のリンク側ローラ41はそれぞれローラ軸41a,41cによって回転可能に支持される。上側のリンク側ローラ41を支持するローラ軸41aは、前記第1リンクプレート40と一体に形成され、当該第1リンクプレート40から左右方向の外向きに突出している。前記下側のリンク側ローラ41を支持するローラ軸41cは、前記第2リンクプレート45の下端部から左右方向外向きに突出し、前記第1リンクプレート40の下端部に形成された軸孔41bを貫通している。すなわち、当該ローラ軸41cの先端部は前記第1リンクプレート40よりもさらに左右方向外向きに突出し、この突出する先端部に前記下側のリンク側ローラ41が回転可能に取り付けられている。つまり、当該下側のリンク側ローラ41は、第2リンクプレート45に形成された前記ローラ軸41cを介して前記第1リンクプレート40に回転可能に取付けられている。
【0030】
前記第1リンクプレート40は湾曲部43を有する。当該湾曲部43は、前記2つのリンク側ローラ41同士の間に位置し、第2リンクプレート45が第1リンクプレート40に対して前記ローラ軸41cを中心に回動して前記上側ローラ25Aが図6に示される被保持位置に移動したときに当該上側ローラ25A及びそのローラ軸23aと当該第1リンクプレート40とが側面視で重なり合うのを阻止するように、具体的には、当該上側ローラ25Aが前記2つのリンク側ローラ41同士の間の位置で当該両リンク側ローラ41とともに前記ガイドレール31の両側壁31b,31c同士の間に保持されることを可能にするように、湾曲する。
【0031】
前記下側のリンク側ローラ41を支持するローラ軸41cの周囲には、ワッシャ46が配設され、当該ワッシャ46は第1及び第2リンクプレート40の間に挟み込まれている。前記ローラ軸41aは、前記第1リンクプレート40の軸孔41bを貫通して前記第2リンクプレート45と前記第1リンクプレート40との相対回動を許容しながら両者を連結するリンク軸を構成している。
【0032】
前記複数のローラ軸23aのうち、前記窓フレーム23の左側面の上端部から突出するローラ軸23aは、前記第2リンクプレート45の上端部に形成された軸孔45aを貫通し、これにより当該ローラ軸23aの先端部が当該第2リンクプレート45よりも左右方向外向きに突出して当該先端部に前記上側ローラ25Aが取り付けられている。このローラ軸23aは、前記上側ローラ25Aを支持する支持軸として機能するとともに、前記前窓22と前記第2リンクプレート45との相対回動を許容しながら両者を連結するリンク軸として機能する。このことは、リンク機構を構成する部品の点数の削減を可能にする。しかし、前記上側ローラ25Aの支持軸と前記リンク軸とは別のものであってもよい。
【0033】
前記第1リンクプレート40は、図5及び図6に示される姿勢、つまり前記前窓22が閉じ位置にある時の姿勢、において前記ガイドレール31の上面よりも上方に突出する突出部分40aを有し、当該突出部分40aに前記アシストケーブル35の前端部が前記連結機構を介して接続される。このことは、当該アシストケーブル35がガイドレール31の上面に沿って配索されることを可能にする。
【0034】
前記ガイドレール31は、前記キャブ本体21の天井に沿って略直線状に延びる部分を含む。この部分は、アシストケーブル35がガイドレール31との接触によって伸縮するのを最小限に抑え、アシストケーブル35の損傷を抑止する。
【0035】
前記ガイドレール31は、複数の規制部32を含む。当該複数の規制部32は、この実施の形態ではガイドレール31のうち前記天井に沿って延びる部分の外側側壁(つまり上側の側壁)31bに形成され、前後方向に間隔をおいて並ぶ2つの位置において他の部分よりも上向きに突出する。当該複数の規制部32は、アシストケーブル35の車幅方向への移動を規制する部位である。当該規制部32は、アシストケーブル35の車幅方向の揺動に起因する当該アシストケーブル35のガイドレール31からの脱落を規制する。
【0036】
前記第2リンクプレート45は、前記下側のローラ軸41cを中心に第1リンクプレート40に対して鋏のように相対的に回動することで、比較的軽い操作力で、前記一対の上側ローラ25Aをそれぞれ図7に示す被保持位置と図6に示す離脱位置との間で移動させることを可能にする。前記被保持位置は、前記上側ローラ25Aが前記リンク側ローラ41とともにガイドレール31に沿って移動可能となるように当該ガイドレール31に保持される位置であり、前記離脱位置は、前記前窓22を図6に示される閉じ位置に位置させるように前記ガイドレール31の案内経路から離脱する位置である。なお、図7に示される前窓22の位置は、前記閉じ位置と前記開き位置との間の後退位置であって、当該前窓22が前記前側開口部21aからそのまま後方に退避した位置である。
【0037】
前記上側ローラ25Aの前記被保持位置から前記離脱位置への移動を許容するために、前記ガイドレール31には図6及び図7に示すような分岐レール33が一体につながっている。当該分岐レール33は、前記ガイドレール31の中間部分において前記上側ローラ25Aの案内経路から分岐して前側に延び、前記上側ローラ25Aを前記案内経路中の前記被保持位置から前記離脱位置まで案内する。詳しくは、前記ガイドレール31の外側側壁31bが前側開口部21cの上端部近傍において部分的に欠如しており、その欠如した部位において前記ガイドレール31に前記分岐レール33がつながっている。
【0038】
この実施の形態に係るキャブ20はシール部材29をさらに有する。当該シール部材29は、前記キャブ本体21のうち前記前側開口部21aを囲む部位つまり開口周縁部に取り付けられており、密着部29aを有する。当該密着部29aは、図7に示されるように前記前側開口部21aから後方に離間する位置から図6に示される閉じ位置まで前進した前窓22の窓ガラス24と密着する。
【0039】
前記キャブ20は、回動規制部材、この実施の形態では図6図8に示される固定ピン34、をさらに備える。当該固定ピン34は、前記分岐レール33の上側に位置し、閉じ位置に向かって前窓22が移動する際に当該前窓22が前側開口部21aに対向する位置に到達する前に第2リンクプレート45が第1リンクプレート40に対して相対回動することを規制する。
【0040】
一方、前記一対の下側ローラ25Bは、常に前記案内経路に沿って移動するように前記ガイドレール31に保持される。当該ガイドレール31は図2に示すような下端部31eを有する。当該下端部31eは、前記前窓22が前記開き位置から前記後退位置まで降下するのに伴って前記下側ローラ25Bを図2に示すような終端位置であって前記前窓22の下端部を前記閉じ位置に位置させるような位置へ案内する(つまり僅かに前側に移動させる)。
【0041】
次に、前記前窓22の開閉方向の動作について説明する。
【0042】
図7に示される閉じ位置から前窓22を開き位置へ移動させるために、まず、第1開き操作が行われる。この第1開き操作は、当該前窓22の上側ローラ25Aが図6に示される離脱位置から図7に示される被保持位置まで分岐レール33内を移動するように前記前窓22を図6に示される前記閉じ位置から図7に示される位置まで後退させる操作である。
【0043】
この実施の形態では、搭乗者は、当該開き操作として、キャブ本体21内において前窓22を手前に少しだけ引っ張る操作を行うだけでよい。その後は、前窓22が自重によって図7に示される後退位置(上側ローラ25Aの被保持位置に対応する位置)まで後退する。このようにして作業者の負担が軽減される。また、この実施の形態では、図2に示されるように、前窓22の左右一対の下側ローラ25Bがガイドレール31の下端部31eにおいて前記前窓22の閉じ位置に対応する位置に保持されており、よって、前記上側ローラ25Aの前記離脱位置から前記被保持位置への移動を伴う前記前窓22の前記閉じ位置(図6)から後退位置(図7)への後退は、前記左右一対の下側ローラ25Bを支点とする当該前窓22の回動という安定した動作によって実現される。
【0044】
前記前窓22の移動の際、第1リンクプレート40の湾曲部43は、これに近い前記上側ローラ25Aおよびそのローラ軸23aを避ける形状を有することにより、当該第1リンクプレート40と当該上側ローラ25A及びそのローラ軸23aとの干渉を防ぐ。これにより、上側ローラ25Aとリンク側ローラ41がともにガイドレール31内で一列に並ぶように当該ガイドレール31に保持されることを可能にする。
【0045】
前記第1開き操作の後、第2開き操作が行われる。この第2開き操作は、図8に示すように、前窓22をガイドレール31に沿って車両後方に持ち上げる操作である。この第2開き操作により前窓22は開き位置まで移動する。具体的に、第1リンクプレート40に接続されたアシストケーブル35の引っ張り力は、前記上側ローラ25Aが前記被保持位置に位置してリンク側ローラ41とともにガイドレール31に沿って移動可能な状態において、当該第1リンクプレート40に直接作用する。従って、当該アシストケーブル35の引っ張り力は、分散することなく、前窓22がスムーズに開き方向に移動することをアシストする。
【0046】
この実施の形態に係る前記ガイドレール31は、キャブ本体21の形状に対応して途中で屈曲しており、このように屈曲したガイドレール31の形状に対応して第1リンクプレート40の姿勢が変化する。この姿勢の変化は、仮にアシストケーブル35が第1リンクプレート40に完全に固定されている場合に当該アシストケーブル35の先端部に曲げ応力を生じさせる可能性がある。しかし、前記連結機構、この実施の形態では前記被保持軸36及び保持部37の組合せ、は当該被保持軸36を支点とした前記第1リンクプレート40に対する前記アシストケーブル35の左右方向の軸回りの相対回動を許容し、これにより、当該アシストケーブル35の先端部に加わる曲げ応力を低減することを可能にする。以下、当該被保持軸36及び保持部37の詳細について説明する。
【0047】
図9図11に示すように、前記被保持軸36は、車幅方向、すなわち前記リンク側ローラ41の移動方向と直交する前記左右方向、に延びる姿勢で前記アシストケーブル35の先端部に接続されている。当該被保持軸36の外周面は、前記保持部37に対する摩擦係数が少ないこと、例えば当該外周面が樹脂製のカラー36aによって構成されること、が好ましい。
【0048】
前記保持部37は、前記第1リンクプレート40と一体に動くように当該第1リンクプレート40とつながり、前記被保持軸36の中心軸回りの回動を許容するように、具体的には当該被保持軸36が当該保持部37に対して回転周方向に摺動することを許容するように、保持する。この実施の形態に係る前記保持部37は、図9に示すように、前記第1リンクプレート40の端部(図6及び図7に示される姿勢における第1リンクプレート40の上端部)から左右方向外向きに延びる支軸37aと、当該支軸37の端部に形成された保持部本体37bと、を一体に有する。図10及び図11に示すように、前記保持部本体37bの外周面のうちキャブ20の前側を向く部分には前記被保持軸36の外周面の一部が嵌まり込むことが可能な部分円筒状の凹部37cを有し、当該凹部37cに前記被保持軸36の外周面の一部が嵌まり込んだ状態で、当該被保持軸36の外周面と前記凹部37cの表面すなわち内周面との摺動を許容しながら、つまり当該保持部37に対する当該被保持軸36の自軸回りの回動を許容しながら、当該被保持軸36を保持している。
【0049】
前記保持部本体37bには、挿通孔37d及び挿入溝37eが形成されている。前記挿通孔37dは、前記凹部37cに嵌まり込んだ前記被保持軸36からキャブ20の後部へ至る前記アシストケーブル35の挿通を許容するとともに、前記被保持軸36の摺動に伴う当該被保持軸36を中心とした前記アシストケーブル35の上下方向の揺動を許容するように上下方向に延びる形状を有する。前記挿入溝37eは、当該挿入溝37eを通じて前記挿通孔37d内に左右方向の外側から前記アシストケーブル35を挿入してセットすることを可能にする形状を有する。
【0050】
図10に示すように、第1リンクプレート40のリンク側ローラ41が、前記ガイドレール31のうち前記キャブ本体21の天井の前端部の近傍に位置する傾斜部分を上っていく際には、アシストケーブル35は、保持部37の挿通孔37d内の下縁部寄りの位置で引っ張られる。これに対し、図11に示すように、第1リンクプレート40のリンク側ローラ41が前記ガイドレール31のうち前記天井に沿って延びる水平部分を移動する場合には、アシストケーブル35は、保持部37の挿通孔37dの上縁部寄りの位置で引っ張られる。このように、当該アシストケーブル35の第1リンクプレート40に対する上下方向の回動は、ガイドレール31の曲がった形状に対応した第1リンクプレート40の姿勢の変化に起因してアシストケーブル35の先端部に曲げ応力が加わることを、有効に低減する。
【0051】
一方、前記前窓22を前記開き位置から前記閉じ位置へ移動させるには、前記第2開き操作と反対の第1閉じ操作が行われた後、前記第1開き操作と反対の第2閉じ操作が行われる。
【0052】
前記第1閉じ操作は、前記アシストケーブル35の引張力に抗して前記前窓22を図6に示す後退位置まで引き下げる操作である。この操作に伴い、下側ローラ25Bはガイドレール31の下端部31eによって図6に示されるように前記前窓22の下端部を前記閉じ位置に位置させるような位置まで案内される。
【0053】
前記第2閉じ操作は、前記後退位置から前記前窓22の上部をそのまま前記閉じ位置、つまり当該前窓22の例えば窓ガラス24がシール部材29に密着する位置、まで前方に押し込む(この実施の形態では下側ローラ25Bを支点に回動させる)操作である。この操作に伴い、当該前窓22に取付けられた各被係止部50がこれに対応するストライカ52に係合されて当該前窓22が前記閉じ位置にロックされる。
【0054】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されない。本発明は、例えば次のような態様も包含する。
【0055】
本発明に係るガイドレールの断面形状は、前記実施形態に係るガイドレール31の断面形状、つまり、底壁31aと一対の側壁31b,31cとを有する形状、に限定されない。例えば、前記実施形態のように前窓22の右側にアシストケーブル35が設けられていない場合、右側のガイドレール31は、アシストケーブル35の動きの規制を要しないから、当該右側ガイドレール31の水平部分(図12に示す区間L1の部分)は、前記一対の側壁31b,31cのうちの外側側壁31b(水平部分における上側側壁)を有しなくてもよい。ただし、ガイドレール31のうち前窓22の閉じ位置付近に位置する部分(図12の区間L2の部分)と、前窓22の開き位置付近に位置する部分(図12の区間L3の部分)は、上側及び下側ローラ25A,25B及びリンク側ローラ41を確実に保持して所定の案内経路に沿って移動させるように前記両側壁31b,31cを有することが、好ましい。このような部分的なガイドレール31の省略は第1リンク及び前窓22の確実な案内を行いながらガイドレール31の製造コストの低減及び軽量化を可能にする。
【0056】
本発明に係る窓側被保持体及びリンク側被保持体は、前記実施形態に係る上側及び下側ローラ25A,25B及びリンク側ローラ41のようにガイドレール31内で回転しながら移動するものに限定されない。当該被保持体は、ガイドレール内で回転することなく当該ガイドレールに対して摺動する部材であってもよい。
【0057】
また、前記一対の下側ローラ25Bは省略されてもよいし、あるいは、前窓22が到達したときにガイドレール31から離脱するものであってもよい。この場合、前窓22は、前記実施形態のように下側ローラ25Bを中心とする回動によって図6に示す閉じ位置へ至るのではなく、並進動作によって閉じ位置へ移動してもよい。
【0058】
以上のように、前窓を備え、かつ当該前窓が閉じ位置と開き位置との間でスムーズに移動することが可能な建設機械のキャブが、提供される。当該キャブは、前側開口部が形成されたキャブ本体と、前記前側開口部を閉じる閉じ位置と当該前側開口部を開く開き位置との間で移動可能な前窓であって、当該閉じ位置にある前記前窓の上側端部に位置する上側被保持体を含む複数の窓側被保持体を有する前窓と、前記キャブ本体内に配設され、前記前窓が前記閉じ位置と前記開き位置との間で移動するように前記窓側被保持体を案内しながら保持するガイドレールと、前記前窓を前記開き位置に向かう開き方向に付勢するアシストケーブルと、前記アシストケーブルに接続され、かつ、前記ガイドレールに保持されながら当該ガイドレールに沿って移動可能な第1リンクと、前記前窓及び前記第1リンクに対してそれぞれ前記リンク側移動体の移動方向と直交する左右方向の軸回りに回動可能となるように連結される第2リンクと、を備え、当該第2リンクは、当該第2リンクの前記前窓及び前記第1リンクに対する前記回動により、前記上側被保持体を、前記第1リンクとともに前記ガイドレールに沿って移動可能となるように当該ガイドレールに保持される被保持位置と、前記前窓を前記閉じ位置に位置させるように前記ガイドレールから離脱する離脱位置との間で移動させる。
【0059】
このキャブでは、前記前窓を前記閉じ位置と前記開き位置との間でスムーズに移動させることができる。具体的に、前記前窓の複数の窓側被保持体に含まれる上側被保持体が当該前窓を前記閉じ位置に位置させるように前記ガイドレールから離脱した離脱位置にあるときでも、第1リンクはガイドレールに保持されているので、従来のようにリンクに作用するアシストケーブルの引っ張り力に直接対抗して前窓を閉じ位置から離脱させる必要が無い。例えば、前記前窓を前記閉じ位置から手前に少し引くだけで当該前窓を(場合によってはその自重によって)前記閉じ位置から後退させる(つまり当該前窓の上側被保持体を前記離脱位置から前記被保持位置に移動させる)ことも可能である。このようにして作業者の負担が軽減される。その一方、上側被保持体が被保持位置にあって第1リンクとともにガイドレールに沿って移動する際には、第1リンクに接続されるアシストケーブルの引張り力が当該第1リンクに直接作用するため、当該引張り力が前窓の開き方向へのスムーズな移動を効率よくアシストする。
【0060】
前記第1リンクは、リンク本体と、前記ガイドレールの案内経路に沿って並ぶ複数の位置で前記リンク本体に連結され、それぞれが前記ガイドレールに保持される複数のリンク側被保持体と、を含むことが、好ましい。当該複数のリンク側被保持体のそれぞれが前記ガイドレールに保持されることは、前記ガイドレールに対する前記第1リンクの姿勢を安定させることにより、当該ガイドレールに沿う当該第1リンクのスムーズな移動を可能にする。このことは、前記前窓の前記閉じ位置と前記開き位置との間でのスムーズな移動を可能にする。
【0061】
前記リンク本体は、前記複数のリンク側被保持体同士の間の位置で当該リンク本体と前記被保持位置にある前記上側被保持体との干渉を阻止するように湾曲する湾曲部を含むことが、好ましい。この湾曲部は、前記被保持位置に移動する前記上側被保持体を前記複数のリンク側被保持体同士の間に受け入れることにより、前記リンク本体と前記上側被保持体との干渉を回避しながら当該上側被保持体が当該リンク側被保持体同士の間の位置で安定してガイドレールに保持されることを可能にする。
【0062】
前記第1リンクは、前記前窓が前記閉じ位置にあるときに前記ガイドレールの上面よりも上方に突出する突出部分を含み、前記アシストケーブルは、前記突出部分に接続されるとともに前記ガイドレールの上面に沿って配索されることが、好ましい。このことは、前記ガイドレールを前記アシストケーブルの支持部材として利用することを可能にし、これにより部品点数を削減してコスト低減を図ることができる。
【0063】
この場合、前記ガイドレールは、前記アシストケーブルの前記左右方向への移動を規制する規制部を含むことが、好ましい。当該規制部は、前記アシストケーブルがその左右方向の揺動に起因して前記ガイドレールから脱落するのを抑止する。
【0064】
当該規制部は、例えば、前記ガイドレールの上面のうちの特定部分が他の部分よりも上向きに突出する部分であるものが、好適である。当該規制部は、簡単な構造で前記ガイドレールの左右方向の動きを有効に抑止することができる。
【0065】
前記キャブは、第1リンクに対してアシストケーブルを左右方向の軸回りに回動可能となるように連結する連結機構をさらに備えることが好ましい。当該第1リンクに対する当該アシストケーブルの回動は、前窓が開閉方向に移動する際に前記第1リンクの姿勢の変化に起因して前記アシストケーブルの先端部に発生する曲げ応力を抑え、これによりアシストケーブルの損傷を有効に抑止する。
【0066】
具体的に、前記連結機構は、前記アシストケーブルの先端部に接続され、前記左右方向に延びる被保持軸と、前記第1リンクにつながり、前記被保持軸をその自軸回りに回転可能に保持する保持部と、を含み、当該保持部は、前記被保持軸の回転に伴う前記第1リンクに対する前記アシストケーブルの回動を許容する挿通孔を有するものが、好適である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12