特許第6743908号(P6743908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6743908
(24)【登録日】2020年8月3日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】遠心式流動場分画装置
(51)【国際特許分類】
   B03B 5/28 20060101AFI20200806BHJP
   B04B 1/02 20060101ALI20200806BHJP
   G01N 15/02 20060101ALI20200806BHJP
   B04B 13/00 20060101ALI20200806BHJP
   B04B 15/00 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   B03B5/28 A
   B04B1/02
   G01N15/02 F
   B04B13/00
   B04B15/00
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-557480(P2018-557480)
(86)(22)【出願日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】JP2016088335
(87)【国際公開番号】WO2018116440
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2019年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】青木 健吾
【審査官】 田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0234731(US,A1)
【文献】 特表2014−518761(JP,A)
【文献】 特開2001−343372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03B 1/00−13/06
B04B 1/00−15/12
B01J 10/00−12/02
B01J 14/00−19/32
G01N 1/00− 1/44
G01N 15/00−15/14
G01N 27−00−27/10
G01N 27/14−27/24
G01N 35/00−37/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線を中心に回転する円環状のロータと、
前記ロータの内周面に沿って設けられ、前記ロータ側に形成された円弧状の外周面及び前記回転軸線側に形成された円弧状の内周面を有し、内部に液体試料の流路が形成されるとともに、前記流路への液体試料の流入口及び前記流路からの液体試料の流出口が形成された円弧状の流路部材と、
前記ロータを回転させることにより、前記流路内における液体試料中の粒子を遠心力によって分級させる回転駆動部と、
前記流路よりも下流側に設けられ、前記流路内の圧力を上昇させる昇圧機構とを備えたことを特徴とする遠心式流動場分画装置。
【請求項2】
前記昇圧機構は、前記外周面及び前記内周面を前記回転軸線に平行な方向に沿って真っ直ぐ延びる形状に保つように、前記流路内の圧力を上昇させることを特徴とする請求項1に記載の遠心式流動場分画装置。
【請求項3】
前記昇圧機構は、前記流出口よりも内径が小さい抵抗流路を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の遠心式流動場分画装置。
【請求項4】
前記昇圧機構は、上流側の液体試料からの圧力が一定値以上となったときに液体試料を下流側に流通させる圧力レギュレータを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の遠心式流動場分画装置。
【請求項5】
前記流路部材は、前記外周面及び前記内周面が一体的に形成されることにより、内部に前記流路が形成された中空状の部材からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遠心式流動場分画装置。
【請求項6】
前記流路部材は、前記外周面が形成された外面層、及び、前記内周面が形成された内面層を含む複数層が、互いに接合されることにより構成された積層体からなることを特徴とする請求項5に記載の遠心式流動場分画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円環状のロータの内周面に沿って設けられた流路内に液体試料を流入させ、ロータを回転させることにより、当該流路内における液体試料中の粒子を遠心力によって分級する遠心式流動場分画装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体試料に含まれる粒子を比重に応じて分級する方法として、流動場分画法(Field Flow Fractionation)が知られている。例えば下記特許文献1には、流路内に液体試料を流入させて当該流路を回転させることにより、液体試料中の粒子を遠心力によって分級する遠心式流動場分画装置の一例が開示されている。
【0003】
遠心式流動場分画装置は、例えばロータ、流路部材及び固定部材などを備えている。ロータは、円環状に形成され、回転軸線を中心に回転可能に保持されている。流路部材は、例えば3層構造となっており、各層が前記ロータの内周面に沿って円弧状に湾曲された状態で順次積層されている。固定部材は、流路部材の内周面(最も回転軸線側の層)に沿って円弧状に延びるC字状の部材である。
【0004】
流路部材を構成する各層は、それぞれ長尺形状を有しており、長手方向に延びる開口部が形成された中間層(特許文献1の図5参照)と、当該中間層を挟み込んで開口部の外側及び内側を塞ぐことにより間に流路を形成する外面層及び内面層(特許文献1の図4(a)及び(b)参照)とからなる。内面層には、それぞれ流路に連通する貫通孔からなる流入口及び流出口が形成されており、流入口を介して流路内に液体試料を流入させることができるとともに、流出口を介して流路内から液体試料を流出させることができる。
【0005】
上記のような流路部材の各層は、固定部材の外周面に沿って湾曲された状態で積層され、ボルト又はピンなどを用いて固定部材に取り付けられる。流路部材が取り付けられた固定部材は、ロータの内側の空間に挿入され、ロータとの間に流路部材を挟み込むようにしてロータの内周面に沿って固定される。このとき、C字状の固定部材の両端部間に楔状部材が取り付けられることにより、当該両端部を拡げる方向に力が加えられる(特許文献1の図6参照)。これにより、C字状の固定部材がロータの内周面側に強く押し当てられるようにして固定され、固定部材とロータとの間に流路部材が挟持される。
【0006】
上記のようにして組み立てられた遠心式流動場分画装置においては、ロータを回転させることにより、当該ロータに取り付けられている流路部材を回転させ、流路内の液体試料に遠心力を付与することができる。その結果、流入口から流路内に流入する液体試料に含まれる粒子が、比重に応じて異なるタイミングで流出口から流出することにより、液体試料中の粒子が比重ごとに分級される。
【0007】
ロータは、例えば中空状の回転軸により回転可能に保持されており、上記流入口及び流出口は、配管を介して回転軸内に連通している。液体試料は、例えば回転軸の一端部から回転軸内に供給され、配管を介して流入口から流路部材の流路内に導入されることにより分級された後、流出口から配管を介して回転軸内に導かれるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2014−518761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
第1の課題として、上記のような従来の構成では、流路部材が変形して分級性能に影響を与える場合があった。特に、流路部材の外面層及び内面層は、薄いシート状の部材からなるため変形しやすい上に、流路の内面の大部分を構成しているため、その変形に伴って流路内の液体試料の流れに影響が生じやすく、分級性能が低下しやすいという問題がある。
【0010】
図13Aは、流路部材16が変形する態様の一例を示した概略断面図である。この例では、ロータが回転したときの遠心力によって流路部材16が変形する場合の態様が示されている。具体的には、矢印Aの方向に作用する遠心力によって、流路161を形成している外面層61、内面層62及び中間層63のうち、内面層62が流路161側に向かって凹んだ形状となってしまう。外面層61にも遠心力は作用するが、外面層61の外側(中間層63側とは反対側)にはロータが直接、又は、スペーサなどを介して間接的に接触しているため、外面層61はほとんど変形しない。
【0011】
図13Bは、流路部材16が変形する態様の他の例を示した概略断面図である。本願発明者は、流路161内から液体試料を漏れ出しにくくするとともに、流路部材16の着脱作業を容易にするという観点から、外面層61及び内面層62を中間層63に接合することにより、流路部材16を内部に流路161が形成された中空状の1つの部材として構成することに想到した。この場合、各層61,62,63を円弧状に変形させてから接合しようとすると、各層61,62,63の形状にばらつきが生じて良好に接合することが難しいため、各層61,62,63が真っ直ぐな状態で接合した後に円弧状に変形させることが好ましい。しかしながら、各層61,62,63を接合した後に変形させると、図13Bに示すように、外面層61及び内面層62が流路161側に向かって凹んでしまうという問題があった。
【0012】
第2の課題として、従来の構成では、遠心式流動場分画装置内を液体試料が通過する過程で気泡が混入しやすく、その気泡が分析に悪影響を及ぼすおそれがあった。まず、図13A及び図13Bにも例示されているように、流路部材16内に形成された流路161は扁平形状であり、周方向に沿って長尺形状を有する密閉構造であるため、当該流路161内に気泡が一旦混入すると、流路161内から気泡が抜けにくいという問題がある。
【0013】
また、流路部材16の流路161内に液体試料を供給する途中で、例えば回転軸内や配管内においても気泡が発生しやすいという問題がある。具体的には、回転軸内や配管内にデッドボリュームが存在することにより、液体試料中に気泡が入り込みやすい。また、互いに接触しながら相対的に回転する1対の摺動環によって回転軸内が液密に保持されているような場合には、この接触部分で試料流体が掻き混ぜられて気泡が発生するおそれがある。さらに、1対の摺動環の接触部分は、一般的に冷水などを用いて冷却されるが、冷却が不十分な場合には、上記接触部分の摩擦により温度が上昇し、気泡が発生する可能性もある。このような回転軸内での気泡の発生は、分析に悪影響を及ぼすだけでなく、1対の摺動環の接触部分が摩耗するなど、他の悪影響も及ぼすおそれがある。
【0014】
第3の課題として、流路部材16の流路161内の圧力によっては、遠心式流動場分画装置に液体試料を送液するための送液ポンプにおいて、液体試料の送液が安定しない場合があった。また、第4の課題として、例えば流路161よりも下流側の配管の高さが高い場合などに、液体試料が逆流するおそれがあった。
【0015】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、流路部材の変形を抑制することができる遠心式流動場分画装置を提供することを目的とする。また、本発明は、液体試料中に気泡が混入しにくい遠心式流動場分画装置を提供することを目的とする。また、本発明は、液体試料の送液を安定させることができる遠心式流動場分画装置を提供することを目的とする。また、本発明は、液体試料の逆流を防止することができる遠心式流動場分画装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る遠心式流動場分画装置は、円環状のロータと、円弧状の流路部材と、回転駆動部と、昇圧機構とを備える。前記ロータは、回転軸線を中心に回転する。前記流路部材は、前記ロータの内周面に沿って設けられ、前記ロータ側に形成された円弧状の外周面及び前記回転軸線側に形成された円弧状の内周面を有している。また、前記流路部材は、内部に液体試料の流路が形成されるとともに、前記流路への液体試料の流入口及び前記流路からの液体試料の流出口が形成されている。前記回転駆動部は、前記ロータを回転させることにより、前記流路内における液体試料中の粒子を遠心力によって分級させる。前記昇圧機構は、前記流路よりも下流側に設けられ、前記流路内の圧力を上昇させる。
【0017】
このような構成によれば、流路よりも下流側に設けられた昇圧機構の作用で流路内の圧力が上昇するため、流路内の液体試料によって流路の内面を外側に向かって押圧し、流路部材の外周面及び内周面が流路側に凹むのを抑制することができる。これにより、流路の内面の変形に伴って流路内の液体試料の流れに影響が生じるのを抑制し、分級性能の低下を防止することができる。
【0018】
また、流路内の圧力を上昇させることにより、液体試料中の気泡を取り除くことが可能である。これにより、液体試料中に気泡が混入しにくくなるため、気泡が分析に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0019】
さらに、昇圧機構を用いて背圧を加えることにより、遠心式流動場分画装置に液体試料を送液するための送液ポンプにおいて、液体試料の送液を安定させることができる。また、昇圧機構の構成によっては、液体試料を下流側から上流側に流れにくく、又は、流れないようにすることができるため、液体試料の逆流を防止することができる。
【0020】
前記昇圧機構は、前記外周面及び前記内周面を前記回転軸線に平行な方向に沿って真っ直ぐ延びる形状に保つように、前記流路内の圧力を上昇させてもよい。
【0021】
このような構成によれば、昇圧機構で流路内の圧力を上昇させることにより、流路部材の外周面及び内周面が回転軸線に平行な方向に沿って真っ直ぐ延びる形状に保たれるため、流路の内面の変形が生じない。したがって、流路の内面の変形に伴って流路内の液体試料の流れに影響が生じることがなく、分級性能の低下を効果的に防止することができる。
【0022】
前記昇圧機構は、前記流出口よりも内径が小さい抵抗流路を含んでいてもよい。
【0023】
このような構成によれば、流路よりも下流側に抵抗流路を設けるだけの簡単な構成で、流路内の圧力を上昇させることができる。流路内に供給される液体試料の流量に応じて抵抗流路の内径を適切に設定すれば、流路内の圧力を適切な値とすることができるため、流路の内面の変形を防止することができる。
【0024】
前記昇圧機構は、上流側の液体試料からの圧力が一定値以上となったときに液体試料を下流側に流通させる圧力レギュレータを含んでいてもよい。
【0025】
このような構成によれば、流路よりも下流側に圧力レギュレータを設けるだけの簡単な構成で、流路内の圧力を上昇させることができる。特に、流路内に供給される液体試料の流量に関わらず、圧力レギュレータにより流路内の圧力を一定に保つことができるため、流路の内面の変形を確実に防止することができる。また、圧力レギュレータを用いた場合には、液体試料の逆流を効果的に防止することができる。
【0026】
前記流路部材は、前記外周面及び前記内周面が一体的に形成されることにより、内部に前記流路が形成された中空状の部材からなるものであってもよい。
【0027】
このような構成によれば、流路部材の外周面及び内周面が一体的に形成されることにより、流路部材を内部に流路が形成された中空状の1つの部材として構成することができる。この場合、流路部材を真っ直ぐな状態で形成した後に円弧状に変形させると、流路部材の外周面及び内周面が流路側に向かって凹んでしまうことがあるが、昇圧機構を用いて流路内の圧力を上昇させることにより、流路部材の外周面及び内周面が流路側に凹むのを抑制することができる。
【0028】
前記流路部材は、前記外周面が形成された外面層、及び、前記内周面が形成された内面層を含む複数層が、互いに接合されることにより構成された積層体からなるものであってもよい。
【0029】
このような構成によれば、外面層及び内面層を含む複数層を互いに接合することにより、内部に流路が形成された液密構造の流路部材を構成することができる。この場合、各層が別部材により形成されているため、それらの層を真っ直ぐな状態で接合した後に円弧状に変形させると、外面層及び内面層が流路側に向かって凹みやすいが、昇圧機構を用いて流路内の圧力を上昇させることにより、流路部材の外面層及び内面層が流路側に凹むのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、流路内の液体試料によって流路の内面を外側に向かって押圧し、流路部材の外周面及び内周面が流路側に凹むのを抑制することができる。また、本発明によれば、流路内の圧力を上昇させることにより、液体試料中の気泡を取り除くことができるため、液体試料中に気泡が混入しにくい。また、本発明によれば、昇圧機構を用いて背圧を加えることにより、液体試料の送液を安定させることができる。また、本発明によれば、昇圧機構の構成によっては、液体試料の逆流を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に係る遠心式流動場分画装置を備えた分析システムの構成例を示す概略図である。
図2】遠心式流動場分画装置の構成例を示す概略正面図である。
図3】回転部の構成例を示す分解斜視図である。
図4】楔状部材の構成例を示す斜視図である。
図5】流路部材の構成例を示す分解斜視図であり、流路部材が円弧状に湾曲される前の状態を内周面側から見た図を示している。
図6A】流路部材の流路内の圧力を上昇させる際の態様の一例について説明するための概略断面図である。
図6B】流路部材の流路内の圧力を上昇させる際の態様の他の例について説明するための概略断面図である。
図7A】検出器による検出結果の一例を示す図であり、昇圧機構によって流路内の圧力を上昇させなかった場合の検出強度(縦軸)と時間(横軸)との関係が示されている。
図7B】検出器による検出結果の一例を示す図であり、昇圧機構によって流路内の圧力を上昇させた場合の検出強度(縦軸)と時間(横軸)との関係が示されている。
図8A】昇圧機構の一例を示す概略断面図である。
図8B】昇圧機構の他の例を示す概略断面図である。
図9】流路部材の第1変形例を示す分解斜視図であり、流路部材が円弧状に湾曲される前の状態を外周面側から斜めに見た図を示している。
図10】流路部材の第2変形例について説明するための図であり、中間層の構成例を平面図で示している。
図11】流路部材の第3変形例を示す分解斜視図であり、流路部材が円弧状に湾曲される前の状態を外周面側から斜めに見た図を示している。
図12】流路部材の第4変形例について説明するための図であり、中間層の構成例を平面図で示している。
図13A】流路部材が変形する態様の一例を示した概略断面図である。
図13B】流路部材が変形する態様の他の例を示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明の一実施形態に係る遠心式流動場分画装置1を備えた分析システムの構成例を示す概略図である。遠心式流動場分画装置1は、流動場分画法(Field Flow Fractionation)を用いて液体試料に含まれる粒子を比重に応じて分級する装置である。図1の分析システムには、遠心式流動場分画装置1の他に、キャリア貯留部2、送液ポンプ3、ロータリーバルブ4、試料注入装置5、検出器6及びキャリア回収部7などが備えられている。
【0033】
キャリア貯留部2には、例えば水又は有機系溶媒などからなるキャリア流体が貯留されている。キャリア流体は、送液ポンプ3によりキャリア貯留部2内から送り出され、ロータリーバルブ4を介して遠心式流動場分画装置1に供給される。試料注入装置5は、ロータリーバルブ4と遠心式流動場分画装置1との間に設けられており、試料注入装置5から試料が注入されたキャリア流体が、液体試料として遠心式流動場分画装置1に供給されるようになっている。
【0034】
液体試料には、分析対象となる多数の粒子が含まれている。液体試料に含まれる粒子は、遠心式流動場分画装置1において遠心力が付与されることにより分級され、比重に応じて異なるタイミングで遠心式流動場分画装置1から流出する。遠心式流動場分画装置1から順次流出する粒子は、ロータリーバルブ4を介してキャリア流体とともに検出器6へと送られ、当該検出器6において検出された後、キャリア回収部7に回収される。遠心式流動場分画装置1に対する液体試料の供給の開始又は停止は、ロータリーバルブ4を回転させることにより切り替えることができる。
【0035】
本実施形態では、遠心式流動場分画装置1における液体試料の流路内の圧力を上昇させるための昇圧機構8が、遠心式流動場分画装置1よりも下流側に設けられている。この例では、遠心式流動場分画装置1と検出器6との間に昇圧機構8が設けられているが、このような構成に限らず、検出器6よりも下流側や検出器6内などに昇圧機構8が設けられた構成であってもよい。
【0036】
図2は、遠心式流動場分画装置1の構成例を示す概略正面図である。遠心式流動場分画装置1は、回転軸11を中心に回転する回転部10と、回転軸11を回転可能に保持する保持台20と、回転する回転部10に作業者が接触するのを防止するための保護壁30とが組み立てられることにより構成されている。
【0037】
回転部10は、例えば円筒形状に形成されており、その中心部に取り付けられた回転軸11が水平方向に延びるように保持台20により保持されている。保護壁30は、例えば回転部10の外周面に対応する形状に湾曲したU字状の部材であり、回転部10の外周面を覆うように、当該外周面に対して微小な間隔を隔てて対向した状態で保持台20に取り付けられている。
【0038】
回転軸11は中空状に形成されており、液体試料は、例えば回転軸11の一端部から回転軸11内に供給される。回転部10には、分級前の液体試料が導入される導入部12と、分級後の液体試料が導出される導出部13とが設けられている。導入部12及び導出部13は、それぞれ配管(図示せず)を介して回転軸11内に連通している。これにより、回転軸11内に供給された液体試料は、配管を介して導入部12から回転部10に導入され、当該回転部10において試料液体中の粒子が分級された後、導出部13から配管を介して回転軸11に導かれ、検出器6へと送られるようになっている。
【0039】
回転軸11には、回転駆動部の一例であるモータ40が連結されている。このモータ40の駆動により回転部10を回転させて、回転部10内の液体試料に遠心力を付与することができる。モータ40の駆動は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含む制御部50によって制御される。ただし、回転部10は、モータ40以外の回転駆動部を用いて回転させることも可能である。
【0040】
図3は、回転部10の構成例を示す分解斜視図である。回転部10は、例えばロータ14、スペーサ15、流路部材16、固定部材17及び楔状部材18などが組み立てられることにより、全体として円筒状の部材として構成されている。
【0041】
ロータ14は、円環状の部材であり、一方の端面が端面壁141により塞がれている。端面壁141は円板状に形成され、その中央部に回転軸11を挿通させるための挿通孔142が形成されている。回転軸11を挿通孔142に挿通させて端面壁141に固定することにより、回転軸11の回転に伴って、当該回転軸11と同軸上の回転軸線Lを中心にロータ14を回転させることができる。
【0042】
ロータ14の内側(回転軸線L側)の空間には、スペーサ15、流路部材16、固定部材17及び楔状部材18が収容される。スペーサ15、流路部材16及び固定部材17は、それぞれ長尺形状の部材が円弧状に湾曲された形状を有しており、ロータ14の内周面に沿って、この順序で積層された状態で固定される。スペーサ15、流路部材16及び固定部材17の曲率半径は、例えば50〜200mm程度である。
【0043】
流路部材16は、例えば厚みが1mm以下の薄板状であり、周方向の両端部が間隔を隔てて対向することによりC字状に形成されている。流路部材16の内部には、周方向に延びる流路161が形成されている。すなわち、流路部材16は、ロータ14側に形成された円弧状の外周面162と、回転軸線L側に形成された円弧状の内周面163とを有しており、外周面162と内周面163との間に流路161が形成されている。
【0044】
流路部材16の内周面163における周方向の一端部には、流路161への液体試料の流入口164が形成されている。一方、流路部材16の内周面163における周方向の他端部には、流路161からの液体試料の流出口165が形成されている。これにより、流入口164から流路161内に流入した液体試料は、流路161内を一端部から他端部まで周方向に沿って流通し、流出口165から流出するようになっている。
【0045】
液体試料中の粒子を分級する際には、まず、モータ40の駆動によって回転部10が回転し、回転部10の回転数が徐々に上昇する。そして、回転部10の回転数が一定の値(例えば5000rpm)に到達すれば、その回転数が維持された状態で流入口164から液体試料が注入される。
【0046】
流路161内に液体試料が一定時間だけ注入された後、ロータリーバルブ4の切替によって液体試料の供給が停止され、そのまま回転部10が回転されることにより、流路161内の液体試料中の粒子が遠心沈降する。その後、ロータリーバルブ4の切替によって液体試料の供給が再開され、一定時間後に回転部10の回転数が徐々に下降される。
【0047】
これにより、液体試料中の比重が小さい粒子から順に、流路161内の液体試料の流れに乗って下流側へと送られ、流出口165から順次流出する。このように、流路161内における液体試料中の粒子が遠心力によって分級され、比重に応じて異なるタイミングで流出口165から流出して検出器6へと送られるようになっている。
【0048】
固定部材17は、流路部材16よりも厚みが大きい部材であり、例えば厚みが10mm程度に形成されている。固定部材17は、流路部材16と同様に、周方向の両端部が間隔を隔てて対向することによりC字状に形成されている。固定部材17の周方向の長さは、流路部材16の周方向の長さとほぼ一致している。固定部材17は、流路部材16の内側(回転軸線L側)に、流路部材16の内周面163に沿って設けられる。
【0049】
固定部材17における周方向の両端部には、係止具の一例であるボルト19をねじ込むための複数のねじ孔171が形成されている。流路部材16における周方向の両端部には、固定部材17の各ねじ孔171に対向する位置に複数の挿通孔166が形成されている。これにより、各挿通孔166に外側からボルト19を挿通させ、各ねじ孔171にねじ込むことによって、流路部材16を固定部材17に取り付けることができる。ただし、係止具は、ボルト19に限らず、ピンなどの他の部材により構成されていてもよい。
【0050】
また、固定部材17における周方向の両端部には、流路部材16の内周面163に形成された流入口164及び流出口165に対向する位置に、それぞれ貫通孔172が形成されている。固定部材17の内周面には、各貫通孔172に連通するように導入部12及び導出部13が取り付けられている。これにより、導入部12から導入された液体試料は、一方の貫通孔172を介して流入口164から流路161内に流入し、流路161内を周方向に流通した後、流出口165から他方の貫通孔172及び導出部13を介して導出される。
【0051】
流路部材16内の流路161は、キャリア流体の種類や分析の条件などに応じて異なる高さに設定される。そのため、流路部材16は、流路161の高さに応じて異なる厚みに形成され、複数種類の流路部材16の中から最適な流路部材16が選択されて固定部材17に取り付けられることとなる。
【0052】
上記のようにして流路部材16が取り付けられた固定部材17は、ロータ14の内側の空間に挿入され、ロータ14との間に流路部材16を挟み込むようにしてロータ14の内周面に沿って固定される。このとき、C字状の固定部材17の両端部間に楔状部材18が取り付けられることにより、当該両端部を拡げる方向に力が加えられる。
【0053】
これにより、C字状の固定部材17がロータ14の内周面側に強く押し当てられ、流路部材16がロータ14側に押圧されて固定される。液体試料中の粒子を分級させる際には、ロータ14が高速で回転されることにより、流路161内が高圧(例えば1MPa程度)となり、流路161の内外の圧力差が大きくなるが、固定部材17とロータ14との間に流路部材16を挟持することにより、流路部材16の外周面162及び内周面163が上記圧力差で流路161側とは反対側に変形するのを防止することができる。
【0054】
本実施形態では、流路部材16とロータ14との間にスペーサ15が挟持されるようになっている。スペーサ15の材質は、特に限定されるものではないが、例えばPET(Polyethylene Terephthalate)などの樹脂又は金属により形成されている。スペーサ15は、流路部材16よりも若干長く形成されており、その周方向の両端部には、流路部材16の各挿通孔166に対向する位置に長孔151が形成されている。
【0055】
流路部材16の各挿通孔166に挿通されたボルト19の頭部は、スペーサ15の各長孔151内に収容される。各長孔151は、周方向に延びるように形成されている。これにより、各長孔151内に各ボルト19の頭部を収容させた状態で、楔状部材18により固定部材17の両端部が拡げられて、固定部材17がロータ14の内周面側に強く押し当てられた場合には、各長孔151内で各ボルト19の頭部が周方向にスライドしながら、固定部材17とロータ14との間にスペーサ15及び流路部材16が挟持されることとなる。
【0056】
スペーサ15は、例えば厚みが1mm以下の薄板状であり、流路部材16の厚みに応じて異なる厚みのものが選択される。すなわち、スペーサ15の厚みと流路部材16の厚みとの合計値がほぼ一定となるように、最適な厚みを有するスペーサ15が選択される。また、スペーサ15は、ロータ14の内周面の損傷を防止する機能も有している。ただし、スペーサ15は省略することも可能である。
【0057】
図4は、楔状部材18の構成例を示す斜視図である。楔状部材18は、例えば2つのナット部181と、1つのボルト部182とを備えている。ボルト部182は、軸線方向に沿って互いに逆方向に延びる2つの軸部183を有しており、一方の軸部183には右ねじが形成され、他方の軸部183には左ねじが形成されている。
【0058】
2つのナット部181は、ボルト部182を挟んで互いに対向しており、一方のナット部181にボルト部182の一方の軸部183がねじ込まれるとともに、他方のナット部181にボルト部182の他方の軸部183がねじ込まれている。したがって、ボルト部182を一方向に回転させれば、2つのナット部181を互いに接近させることができ、ボルト部182を逆方向に回転させれば、2つのナット部181を互いに離間させることができる。
【0059】
楔状部材18は、C字状の固定部材17の両端部間に設けられ、各ナット部181におけるボルト部182側とは反対側の面が、固定部材17の両端面にそれぞれ当接する当接面184を構成している。したがって、各当接面184を固定部材17の両端面に当接させた状態でボルト部182を回転させ、固定部材17の両端部の間隔を拡げたり縮めたりすることにより、ロータ14側への固定部材17の押圧力を調整したり、固定部材17を着脱したりすることができる。
【0060】
各ナット部181の当接面184は、外側(ロータ14側)に向かって徐々に先細りするテーパ面により形成されている。これらの当接面184に当接する固定部材17の両端面も、外側(ロータ14側)に向かって端面同士が徐々に接近するようなテーパ面により形成されている。
【0061】
したがって、楔状部材18を固定部材17の両端部間に設けた状態で、ボルト部182を回転させて2つのナット部181を互いに離間させることにより、固定部材17の両端部の間隔を拡げたときには、各ナット部181の当接面184によって、固定部材17の両端面が外側(ロータ14側)に向かって押し上げられる。これにより、固定部材17をより高い押圧力でロータ14側に押し当てることができる。
【0062】
各ナット部181の当接面184には、1つ又は複数の凸部185が形成されており、当該凸部185が固定部材17の両端面に形成された凹部(図示せず)に係止されることにより、楔状部材18が固定部材17の両端部間に位置決めされる。ただし、楔状部材18側に凹部が形成され、固定部材17側に凸部が形成された構成であってもよい。また、楔状部材18は、上記のような構成に限らず、固定部材17をロータ14側に押圧するように固定できるような構成であれば、他の任意の構成を採用することができる。
【0063】
図5は、流路部材16の構成例を示す分解斜視図であり、流路部材16が円弧状に湾曲される前の状態を内周面163側から見た図を示している。流路部材16は、例えば外面層61、内面層62及び中間層63が積層された3層構造の積層体からなる。中間層63は、外面層61と内面層62との間に設けられている。各層61,62,63は、例えばステンレス鋼(SUS)により形成されており、それぞれ0.25mm程度の厚みを有している。
【0064】
外面層61における中間層63側とは反対側の面は、流路部材16が円弧状に湾曲されたときに、当該流路部材16の外周面162を構成する。また、内面層62における中間層63側とは反対側の面は、流路部材16が円弧状に湾曲されたときに、当該流路部材16の内周面163を構成する。
【0065】
中間層63には、当該中間層63を貫通し、長手方向に真っ直ぐ延びる開口部631が形成されている。開口部631は、例えばエッチング又は放電加工などにより形成することができる。開口部631の長手方向の両端部は、それぞれ徐々に先細りした三角形状に形成されており、各先端が長手方向に張り出した細長いポート部632となっている。
【0066】
外面層61及び内面層62で中間層63が挟み込まれ、開口部631(ポート部632を含む。)の外側及び内側が塞がれることにより、外面層61と内面層62との間に流路161が形成される。このようにして一体的に形成された流路部材16は、ベンディングロール(板金用の曲げ加工機)などを用いて、固定部材17の外径とほぼ同じ内径を有する円弧状に湾曲される。
【0067】
内面層62における各ポート部632に対向する位置には、流入口164及び流出口165がそれぞれ形成されている。これにより、各層61,62,63が積層された状態では、流入口164及び流出口165が、それぞれポート部632から流路161に連通するようになっている。各層61,62,63の長手方向の両端部には、互いに対向する位置に貫通孔が形成されており、これらの貫通孔がボルト19を挿通させるための挿通孔166を構成している。
【0068】
本実施形態では、外面層61、内面層62及び中間層63の複数層が、互いに接合されることにより積層体が構成されている。すなわち、外面層61が中間層63に接合されるとともに、内面層62が中間層63に接合されている。これにより、流路部材16の外周面162及び内周面163が一体的に形成され、内部に流路161が形成された中空状の1つの部材として流路部材16が構成されている。
【0069】
これにより、流路部材16の耐圧性能が向上し、流路161内の圧力が高い場合やロータ14の回転数が高い場合などであっても流路161に隙間が生じるのを防止することができるとともに、経年変化によるシール性の低下も生じないため、流路161内から液体試料が漏れ出しにくい。また、流路部材16を1つの部材として取り扱うことができるため、流路161内への汚れの付着などに注意することなく一度に着脱が可能であり、流路部材16の着脱作業が容易である。
【0070】
また、本実施形態では、固定部材17により流路部材16をロータ14側に押圧して強固に固定することができる。流路部材16は内部に流路161が形成された1つの部材として液密構造を有しているため、流路部材16に対する固定部材17からの押圧力を従来ほど高くする必要がない。その結果、流路部材16が変形することによりシール性が低下することもなく、流路161内から液体試料が漏れ出しにくい。
【0071】
特に、本実施形態では、外面層61、内面層62及び中間層63の複数層を互いに接合することにより、内部に流路161が形成された液密構造の流路部材16を構成することができる。このように、複数層を組み合わせて流路161を形成することにより、流路161の形状についての自由度を高めることができる。
【0072】
各層61,62,63は、例えば拡散接合により互いに接合することができる。拡散接合とは、各層61,62,63を密着させた状態で、各層61,62,63を融点以下の温度条件で加熱しながら加圧することにより、接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合する方法である。この拡散接合を用いることにより、原子同士の接合によって各層61,62,63を互いに強固に接合することができる。
【0073】
各層61,62,63を接合する場合、各層61,62,63を円弧状に変形させてから接合しようとすると、各層61,62,63の形状にばらつきが生じて良好に接合することが難しいため、各層61,62,63が真っ直ぐな状態で接合した後に円弧状に変形させることが好ましい。このような場合であっても、拡散接合を用いて各層61,62,63を強固に接合しておけば、円弧状に変形させる際に各層61,62,63が剥がれにくいため、流路161内から液体試料が漏れ出しにくい。
【0074】
また、拡散接合を用いた場合には、接合部に不規則な形状が生じないため、接合部が流路161内の液体試料の流れに影響を与えることがなく、分級性能の低下を防止することができる。ただし、各層61,62,63の接合は、拡散接合に限らず、ろう付け、溶接又は熱融着などの他の方法で行うことも可能である。
【0075】
本実施形態では、流路161の壁面を構成する複数層61,62,63が同種の材料(例えばステンレス鋼)により形成されているため、流路161の壁面の状態が分級性能に与える影響を予測しやすい。また、同種の材料により形成された各層61,62,63は、例えば拡散接合などのように、高温下での接合時に同様の態様で熱変形するため接合が容易であり、接合後に冷却されたときにも各層61,62,63が剥がれにくい。したがって、流路161内から液体試料がさらに漏れ出しにくい。
【0076】
ただし、各層61,62,63は、ステンレス鋼に限らず、他の金属により形成されていてもよいし、金属以外の材料により形成されていてもよい。各層61,62,63が金属により形成されている場合には、例えば拡散接合、ろう付け又は溶接により各層61,62,63を接合することができる。一方、各層61,62,63が樹脂により形成されている場合には、例えば熱融着により各層61,62,63を接合することができる。
【0077】
図6Aは、流路部材16の流路161内の圧力を上昇させる際の態様の一例について説明するための概略断面図である。この例では、図13Aを用いて説明したように、流路部材16を円弧状に変形させる際に、外面層61及び内面層62が流路161側に凹んだ状態とならなかった場合について説明する。
【0078】
この場合、図6Aに破線で示すように、ロータ14が回転したときの遠心力によって、流路161を形成している外面層61、内面層62及び中間層63のうち、内面層62が流路161側に向かって円弧状に凹んだ形状となる。本実施形態では、内面層62に作用する遠心力P11と同程度の力P12が、内面層62に対して遠心力P11とは逆方向に作用するように、昇圧機構8によって流路161内の圧力が上昇される。
【0079】
これにより、図6Aに実線で示すように、流路部材16の外周面162及び内周面163を回転軸線Lに平行な方向Dに沿って真っ直ぐ延びる形状に保つことができる。内面層62の内側(中間層63側とは反対側)には、固定部材17の外周面が接触しているため、流路161内から内面層62に作用する力P12が遠心力P11より大きくても、内面層62が内側に変形することはない。したがって、上記力P12は、遠心力P11よりも大きければよいが、流路161内の圧力が高すぎる場合には流路161内から液体試料が漏れ出しやすくなってしまうため、遠心力P11と同程度であることが好ましい。
【0080】
図6Bは、流路部材16の流路161内の圧力を上昇させる際の態様の他の例について説明するための概略断面図である。この例では、図13Bを用いて説明したように、流路部材16を円弧状に変形させる際に、外面層61及び内面層62が流路161側に凹んだ状態となった場合について説明する。
【0081】
本実施形態では、流路部材16を内部に流路161が形成された中空状の1つの部材として構成しているため、流路部材16を真っ直ぐな状態で形成した後に円弧状に変形させると、図6Bに破線で示すように、流路部材16の外周面及び内周面が流路161側に円弧状に凹んでしまうことがある。特に、本実施形態のように外面層61及び内面層62を含む複数層を互いに接合することにより、内部に流路161が形成された液密構造の流路部材16を構成した場合、各層が別部材により形成されているため、それらの層を真っ直ぐな状態で接合した後に円弧状に変形させると、外面層61及び内面層62が流路161側に向かって凹みやすい。
【0082】
そこで、本実施形態では、昇圧機構8によって流路161内の圧力を上昇させることにより、図6Bに実線で示すように、外面層61及び内面層62を回転軸線Lに平行な方向Dに沿って真っ直ぐ延びる形状に保つように、流路161内から外面層61及び内面層62に力P21を作用させる。上記力P21は、例えば内面層62を内側(中間層63側とは反対側)に変形させる際の反力P22及び内面層62に作用する遠心力P23の和と同程度である。
【0083】
内面層62の内側には、固定部材17の外周面が接触しているため、流路161内から内面層62に作用する力P21が、反力P22及び遠心力P23の和より大きくても、内面層62が内側に変形することはない。したがって、上記力P21は、反力P22及び遠心力P23の和よりも大きければよいが、流路161内の圧力が高すぎる場合には流路161内から液体試料が漏れ出しやすくなってしまうため、反力P22及び遠心力P23の和と同程度であることが好ましい。
【0084】
このように、本実施形態では、流路161よりも下流側に設けられた昇圧機構8の作用で流路161内の圧力が上昇するため、流路161内の液体試料によって流路161の内面を外側に向かって押圧し、流路部材16の外周面162及び内周面163が流路161側に凹むのを抑制することができる。これにより、流路161の内面の変形に伴って流路161内の液体試料の流れに影響が生じるのを抑制し、分級性能の低下を防止することができる。
【0085】
特に、図6A及び図6Bに例示したような適切な力が作用するように、昇圧機構8で流路161内の圧力を上昇させることにより、流路部材16の外周面162及び内周面163が回転軸線Lに平行な方向Dに沿って真っ直ぐ延びる形状に保たれるため、流路161の内面の変形が生じない。したがって、流路161の内面の変形に伴って流路161内の液体試料の流れに影響が生じることがなく、分級性能の低下を効果的に防止することができる。
【0086】
また、流路161内の圧力を上昇させることにより、液体試料中の気泡を取り除くことが可能である。すなわち、流路部材16内に形成された流路161は扁平形状であり、周方向に沿って長尺形状を有する密閉構造であるが、流路161内の圧力を上昇させることにより、流路161内から気泡を抜けやすくすることができる。また、流路161内の圧力を上昇させることにより、回転軸11内や、導入部12及び導出部13を回転軸11内に連通させる配管内などにおいても気泡が発生しにくい。これにより、液体試料中に気泡が混入しにくくなるため、気泡が分析に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0087】
さらに、昇圧機構8を用いて背圧を加えることにより、遠心式流動場分画装置1に液体試料を送液するための送液ポンプ3において、液体試料の送液を安定させることができる。また、例えば流路161よりも下流側の配管の高さが高い場合などであっても、昇圧機構8の構成によっては、液体試料を下流側から上流側に流れにくく、又は、流れないようにすることができるため、液体試料の逆流を防止することができる。
【0088】
図7A及び図7Bは、検出器6による検出結果の一例を示す図である。図7Aには、昇圧機構8によって流路161内の圧力を上昇させなかった場合の検出強度(縦軸)と時間(横軸)との関係が示されている。図7Bには、昇圧機構8によって流路161内の圧力を上昇させた場合の検出強度(縦軸)と時間(横軸)との関係が示されている。
【0089】
図7Aに示すように、昇圧機構8によって流路161内の圧力を上昇させなかった場合には、本来1つであるはずのピークが複数のピークS1,S2に分割され、いわゆるピーク割れが発生している。一方、図7Bに示すように、昇圧機構8によって流路161内の圧力を上昇させた場合には、ピーク割れは発生せず、1つのピークS3が正常な形状で検出される。
【0090】
昇圧機構8の作用によって上昇する圧力は、0.1〜1MPaであることが好ましく、0.2〜0.5MPaであればより好ましい。なお、図7Bの例では、昇圧機構8の作用によって圧力を0.3MPa上昇させた場合を示している。
【0091】
図8Aは、昇圧機構8の一例を示す概略断面図である。この例では、遠心式流動場分画装置1側から下流に向かって延びる配管91と、検出器6側から上流に向かって延びる配管92との間に、昇圧機構8としての抵抗管81が設けられている。
【0092】
抵抗管81には、配管91に接続された入口811と、配管92に接続された出口812と、入口811及び出口812の間に設けられた抵抗流路813とが形成されている。入口811及び出口812は、遠心式流動場分画装置1における流路部材16の流出口165と同一又はそれ以上の内径を有している。一方、抵抗流路813は、流路部材16の流出口165よりも小さい内径を有しているため、遠心式流動場分画装置1側から流れてくる液体試料の抵抗となって、流路部材16の流路161内の圧力が上昇する。
【0093】
この図8Aの例では、流路161よりも下流側に抵抗流路813を設けるだけの簡単な構成で、流路161内の圧力を上昇させることができる。流路161内に供給される液体試料の流量に応じて抵抗流路813の内径を適切に設定すれば、流路161内の圧力を適切な値とすることができるため、流路161の内面の変形を防止することができる。
【0094】
図8Bは、昇圧機構8の他の例を示す概略断面図である。この例では、遠心式流動場分画装置1側から下流に向かって延びる配管91と、検出器6側から上流に向かって延びる配管92との間に、昇圧機構8としての圧力レギュレータ82が設けられている。
【0095】
圧力レギュレータ82は、配管91に接続された入口821と、配管92に接続された出口822と、入口821及び出口822の間に設けられた圧力調整室823とが形成されている。圧力調整室823は、入口821及び出口822よりも大きい内径を有しており、ボール824及び圧縮ばね825などが内部に設けられている。
【0096】
圧縮ばね825は、ボール824を入口821側に付勢する付勢部材である。これにより、圧力調整室823よりも上流側の液体試料からの圧力が一定値(例えば0.3MPa)に満たないときには、ボール824によって入口821と圧力調整室823との境界部が塞がれ、圧力調整室823内を液体試料が流通しない状態となる。上記一定値は、圧縮ばね825の付勢力に応じて任意に設定することができる。
【0097】
一方、圧力調整室823よりも上流側の液体試料からの圧力が一定値以上となったときには、当該液体試料の圧力により、図8Bに破線で示すように圧縮ばね825の付勢力に抗してボール824が出口822側に押し込まれる。その結果、入口821と圧力調整室823との境界部が開放され、圧力調整室823内を通って下流側に液体試料が流通することとなる。このように、ボール824及び圧縮ばね825は、液体試料の流路を開閉するための開閉機構を構成している。
【0098】
この図8Bの例では、流路161よりも下流側に圧力レギュレータ82を設けるだけの簡単な構成で、流路161内の圧力を上昇させることができる。特に、流路161内に供給される液体試料の流量に関わらず、圧力レギュレータ82により流路161内の圧力を一定に保つことができるため、流路161の内面の変形を確実に防止することができる。また、圧力レギュレータ82を用いた場合には、液体試料が下流側から上流側に流れるのをボール824により阻止することができるため、液体試料の逆流を効果的に防止することができる。
【0099】
図9は、流路部材16の第1変形例を示す分解斜視図であり、流路部材16が円弧状に湾曲される前の状態を外周面162側から斜めに見た図を示している。この例における流路部材16は、例えば外面層61及び内面層62が積層された2層構造の積層体からなる。各層61,62は、例えばステンレス鋼(SUS)により形成されており、外面層61は0.25mm程度、内面層62は0.5mm程度の厚みを有している。
【0100】
外面層61における内面層62側とは反対側の面は、流路部材16が円弧状に湾曲されたときに、当該流路部材16の外周面162を構成する。また、内面層62における外面層61側とは反対側の面は、流路部材16が円弧状に湾曲されたときに、当該流路部材16の内周面163を構成する。
【0101】
内面層62には、長手方向に真っ直ぐ延びる凹部621が形成されている。当該凹部621は、例えばハーフエッチングにより内面層62の表面に掘り込まれており、内面層62を貫通していない。凹部621は、内面層62の厚みの半分程度(例えば0.25mm程度)の深さで形成されている。凹部621の長手方向の両端部は、それぞれ徐々に先細りした三角形状に形成されており、各先端が長手方向に張り出した細長いポート部622となっている。
【0102】
外面層61及び内面層62が互いに接合され、凹部621(ポート部622を含む。)が外面層61で塞がれることにより、外面層61と内面層62との間に流路161が形成される。このようにして一体的に形成された流路部材16は、ベンディングロールなどを用いて、固定部材17の外径とほぼ同じ内径を有する円弧状に湾曲される。
【0103】
各ポート部622の先端には、内面層62を貫通するように流入口164及び流出口165が形成されている。これにより、各層61,62が積層された状態では、流入口164及び流出口165が、それぞれポート部622から流路161に連通するようになっている。各層61,62の長手方向の両端部には、互いに対向する位置に貫通孔が形成されており、これらの貫通孔がボルト19を挿通させるための挿通孔166を構成している。
【0104】
ただし、内面層62に凹部621が形成された構成に限らず、外面層61に凹部621が形成された構成であってもよい。この場合、内面層62には、外面層61に形成された凹部621の各ポート部622に対向する位置に、流入口164及び流出口165が形成されただけの構成であってもよい。
【0105】
この図9の例ように、流路部材16は、3層構造に限らず2層構造であってもよい。また、流路部材16を4層以上の積層体により構成することも可能である。すなわち、外面層61と内面層62との間に設けられた中間層63が、1層ではなく、複数層からなるものであってもよい。
【0106】
図10は、流路部材16の第2変形例について説明するための図であり、中間層63の構成例を平面図で示している。この例では、開口部631が長手方向に真っ直ぐ延びるような構成ではなく、開口部631の一部に湾曲部633が形成されることにより、流路161内を流れる液体試料の流通方向が変化するようになっている。
【0107】
具体的には、湾曲部633によって、外周面162及び内周面163に平行な面内(中間層63に平行な面内)で液体試料の流通方向が180°変化するように、流路161が折り返されている。開口部631の両端部に設けられた各ポート部632は、その先端が流入口164又は流出口165に対向する位置まで細長く延びている。
【0108】
これにより、液体試料の流通方向を湾曲部633で変化させて、長い流路161を形成することができるため、分級性能を向上させることができる。また、湾曲部633を有するような複雑な形状の流路161を積層構造により形成しようとした場合には、各層(この例では中間層63)を個別に取り扱うことが非常に難しくなるが、各層が一体的に形成された1つの部材として流路部材16を構成することにより、流路部材16の着脱作業が極めて容易になる。
【0109】
この例では、湾曲部633が2つ設けられているが、湾曲部633は3つ以上設けられていてもよい。また、湾曲部633は、液体試料の流通方向を180°変化させるような形状に限らず、他の角度で液体試料の流通方向を変化させるような形状であってもよい。さらに、湾曲部633ではなく、屈曲部により液体試料の流通方向を変化させても、同様の効果を奏することができる。
【0110】
図10では、3層構造からなる流路部材16の中間層63に、湾曲部633を有する開口部631が形成された構成について説明した。しかし、このような構成に限らず、例えば図9に示すような2層構造からなる流路部材16の外面層61又は内面層62に、湾曲部又は屈曲部を有する凹部621が形成された構成などであってもよい。また、4層以上の積層体からなる流路部材16における複数の中間層63に、湾曲部又は屈曲部を有する開口部631が形成された構成などであってもよい。
【0111】
図11は、流路部材16の第3変形例を示す分解斜視図であり、流路部材16が円弧状に湾曲される前の状態を外周面162側から斜めに見た図を示している。この例における流路部材16は、例えば外面層61及び内面層62の間に、複数層からなる中間層63が積層された積層体からなる。この例では、中間層63が、3つの流路層64と、これらの流路層64の間に設けられた2つの分離層65とを有しており、流路層64及び分離層65が交互に積層されている。各層61,62,64,65は、例えばステンレス鋼(SUS)により形成されており、それぞれ0.25mm程度の厚みを有している。
【0112】
外面層61における中間層63側とは反対側の面は、流路部材16が円弧状に湾曲されたときに、当該流路部材16の外周面162を構成する。また、内面層62における中間層63側とは反対側の面は、流路部材16が円弧状に湾曲されたときに、当該流路部材16の内周面163を構成する。
【0113】
中間層63を構成する各流路層64には、それらの流路層64を貫通し、長手方向に真っ直ぐ延びる開口部631が形成されている。開口部631は、例えばエッチング又は放電加工などにより形成することができる。最も外面層61側の流路層64に形成された開口部631の長手方向の一端部は、徐々に先細りした三角形状に形成されており、先端が長手方向に張り出した細長いポート部632となっている。また、最も内面層62側の流路層64に形成された開口部631についても、最も外面層61側の流路層64のポート部632とは反対側の端部が、徐々に先細りした三角形状に形成されており、先端が長手方向に張り出した細長いポート部632となっている。
【0114】
各層61,62,64,65が積層された状態では、各流路層64の間に設けられた分離層65が、各流路層64に形成された開口部631を分離する。各分離層65には、開口部631の端部に対向する位置に貫通孔651が形成されている。具体的には、外面層61側の分離層65に形成された貫通孔651は、最も外面層61側の流路層64に形成された開口部631におけるポート部632側とは反対側の端部に対向している。また、内面層62側の分離層65に形成された貫通孔651は、最も内面層62側の流路層64に形成された開口部631におけるポート部632側とは反対側の端部に対向している。
【0115】
これにより、各流路層64に形成された開口部631により構成される複数の分割路167が、各分離層65に形成された貫通孔651を介して互いに連通され、一続きの流路161が構成されている。このようにして一体的に形成された流路部材16は、ベンディングロールなどを用いて、固定部材17の外径とほぼ同じ内径を有する円弧状に湾曲される。流路部材16が湾曲された状態では、それぞれ円弧状に延びる複数の分割路167が、径方向(各層61,62,64,65の積層方向)に並べて形成される。
【0116】
内面層62における各ポート部632に対向する位置には、流入口164及び流出口165がそれぞれ形成されている。最も外面層61側の流路層64以外の中間層63には、最も外面層61側の流路層64に形成されたポート部632に対向する位置に、それぞれ小孔168が形成されている。これらの小孔168は、例えば流出口165と同径であり、各層61,62,64,65が積層された状態では、これらの小孔168を介して、最も外面層61側の流路層64に形成されたポート部632が流出口165に連通する。これにより、各層61,62,64,65が積層された状態では、流入口164及び流出口165が、それぞれポート部632から流路161に連通するようになっている。
【0117】
この例では、径方向に並べて形成された複数の分割路167を互いに連通させることにより、長い流路161を形成することができるため、分級性能を向上させることができる。図10のような流路161に湾曲部633を有するような構成と比較すると、流路161内における液体試料の流速にばらつきが生じにくいため、分離性能をより効果的に向上させることができる。
【0118】
ただし、最も内面層62側の流路層64に形成されたポート部632が流入口164に連通し、最も外面層61側の流路層64に形成されたポート部632が流出口165に連通するような構成に限らず、最も内面層62側の流路層64に形成されたポート部632が流出口165に連通し、最も外面層61側の流路層64に形成されたポート部632が流入口164に連通するような構成であってもよい。
【0119】
図12は、流路部材16の第4変形例について説明するための図であり、中間層63の構成例を平面図で示している。この例では、中間層63の長手方向に真っ直ぐ延びる開口部631が、1つではなく、2つ形成されている。各開口部631は、互いに平行に延びるように同一形状で形成されており、各開口部631の両端部にポート部632が設けられている。
【0120】
内面層62には、各開口部631の一端部に形成されたポート部632に対向する位置に流入口164が形成され、各開口部631の他端部に形成されたポート部632に対向する位置に流出口165が形成される。したがって、外面層61、内面層62及び中間層63を積層した状態では、外周面162及び内周面163に平行な面内(中間層63に平行な面内)に複数の流路161が形成され、内面層62には各流路161に対応付けて流入口164及び流出口165が形成される。内面層62には、流入口164及び流出口165がそれぞれ複数形成され、各流入口164にそれぞれ異なる導入部12が連通するとともに、各流出口165にそれぞれ異なる導出部13が連通する。
【0121】
この例では、複数の流路161に対して、それぞれ個別に液体試料を流入させることができる。したがって、必要に応じて使用する流路161を切り替えれば、流路部材16を着脱することなく異なる流路161を用いて液体試料中の粒子を分級することができる。また、複数の流路161を同時に使用すれば、作業効率を向上することができる。
【0122】
流路161の数は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。また、各流路161は、同一形状からなるものに限らず、異なる形状(例えば異なる長さ又は異なる高さ)で形成されていてもよい。さらに、図9に示すような2層構造の積層体からなる流路部材16、又は、図11に示すような4層以上の積層体からなる流路部材16においても、図12の例のように、外周面162及び内周面163に平行な面内に複数の流路161が形成された構成とすることができる。
【0123】
以上の実施形態では、複数層を接合して一体的な流路部材16を形成した後、当該流路部材16を円弧状に湾曲させるような構成について説明した。しかし、このような構成に限らず、複数層をそれぞれ円弧状に湾曲させた後、各層を接合して一体的な流路部材16を形成するような構成であってもよい。
【0124】
また、固定部材17が流路部材16と一体的に構成された構成などであってもよい。すなわち、固定部材17の外周面に、機械加工やエッチング加工により凹部を形成し、その外側を外面層61で塞ぐことにより流路161が形成されてもよい。また、外面層61の内周面に凹部を形成し、当該外面層61の内側を固定部材17で塞ぐことにより流路161が形成されてもよい。
【0125】
流路部材16は、複数層が積層された構成に限らず、例えばブロー成形を用いて、樹脂などにより1つの部材として形成されてもよい。また、流路部材16は、複数層が接合されることなく個別に積層された状態で遠心式流動場分画装置1に設けられていてもよい。
【0126】
流路161内の圧力を上昇させるための昇圧機構8は、抵抗管81や圧力レギュレータ82に限らず、他の任意の機構により構成することができる。例えば、流路161よりも下流側の配管の高さを高くすることにより、重力を利用して流路161内の圧力を上昇させることも可能である。また、流路161内の圧力を任意の値に上昇させることができるような圧力調整部により、昇圧機構8が構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 遠心式流動場分画装置
2 キャリア貯留部
3 送液ポンプ
4 ロータリーバルブ
5 試料注入装置
6 検出器
7 キャリア回収部
8 昇圧機構
10 回転部
11 回転軸
12 導入部
13 導出部
14 ロータ
15 スペーサ
16 流路部材
17 固定部材
18 楔状部材
19 ボルト
20 保持台
30 保護壁
40 モータ
50 制御部
61 外面層
62 内面層
63 中間層
64 流路層
65 分離層
81 抵抗管
82 圧力レギュレータ
91 配管
92 配管
161 流路
162 外周面
163 内周面
164 流入口
165 流出口
811 入口
812 出口
813 抵抗流路
821 入口
822 出口
823 圧力調整室
824 ボール
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B