特許第6743952号(P6743952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6743952固定パルスパターンによる電力変換器の制御システムおよび制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6743952
(24)【登録日】2020年8月3日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】固定パルスパターンによる電力変換器の制御システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20200806BHJP
   H02M 7/497 20070101ALI20200806BHJP
【FI】
   H02M7/48 E
   H02M7/497
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-134958(P2019-134958)
(22)【出願日】2019年7月23日
【審査請求日】2020年4月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】小川 隆一
(72)【発明者】
【氏名】滝口 昌司
【審査官】 山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−215041(JP,A)
【文献】 特開2014−143831(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/104370(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 7/42−7/98
H02P 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標変調率および位相に応じた出力電圧レベルを定めたパルスパターンがテーブル化されたパルスパターンテーブルを有し、入力された目標変調率および位相指令に対応する前記パルスパターンテーブルの出力電圧レベルに基いてゲート信号を生成し、該生成されたゲート信号によって電力変換器の半導体素子を制御するシステムであって、
前記目標変調率を出力するための必要最小レベル数を定め、
前記電力変換器の電圧基本波と高調波のうち、制御したい電圧次数の総数を定め、
前記定めた必要最小レベルと制御したい電圧次数の総数を比較し、いずれか大きい方を目標変調率における四半周期のスイッチング回数Nに決定し、
前記決定された目標変調率および四半周期のスイッチング回数Nをもとに、式(4)による電圧基本波を前記目標変調率にあわせて、式(5)又は式(6)による高調波について、所望の次数の高調波が低減できるようにしたN回分のスイッチング位相を求め、
【数4】
【数5】
【数6】
(ただし、d_refは目標変調率、Vnは電圧n次高調波振幅、Inは電流n次高調波振幅、L_highは電力変換器の最大出力レベル数、Nは四半周期のスイッチング回数、θA…θNは各スイッチング位相であり、cos関数の前の符号はスイッチングによるレベル変化の方向が正なら+、負なら−になる。)
前記目標変調率と前記求められたN回分のスイッチング位相に基いて、目標変調率および位相に応じた出力電圧レベルを定めた1周期分の前記パルスパターンを導出するパルスパターン導出部を備えたことを特徴とする固定パルスパターンによる電力変換器の制御システム。
【請求項2】
前記目標変調率を出力するための必要最小レベル数は、次の式(2)を満たすように定めたことを特徴とする請求項1に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システム。
【数2】
(ただし、d_refは目標変調率、L_dutyは必要最小レベル数、L_highは電力変換器の最大出力レベル数)
【請求項3】
前記電力変換器の出力電圧の基本波に三次高調波を重畳した場合の目標変調率を出力するための必要最小レベル数を、次の式(8)又は式(9)を満たすように定めたことを特徴とする請求項1に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システム。
【数8】
【数9】
(ただし、d_refは目標変調率、L_dutyは必要最小レベル数、L_highは電力変換器の最大出力レベル数、Kは高調波の基本波に対する振幅の倍数であり0≦K)
【請求項4】
前記制御したい電圧次数の総数は、抑制したい高調波の数+1に定めたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システム。
【請求項5】
前記制御したい電圧次数の総数は、前記目標変調率に応じて定めたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システム。
【請求項6】
前記制御したい電圧次数の総数が目標変調率における四半周期のスイッチング回数に決定された場合は、前記必要最小レベル数と前記決定された四半周期のスイッチング回数で定まる電力変換器の出力電圧の形のいずれかを選択することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システム。
【請求項7】
前記制御したい電圧次数の総数が目標変調率における四半周期のスイッチング回数に決定された場合は、前記必要最小レベル数と前記決定された四半周期のスイッチング回数で定まる全ての出力電圧の形について前記パルスパターン導出部によるパルスパターンの導出を行い、より高調波抑制することができた電力変換器の出力電圧の形を採用することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システム。
【請求項8】
前記電力変換器は、4レベル以上の電力変換器であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システム。
【請求項9】
前記電力変換器は、5レベル以上の直列多重インバータであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システム。
【請求項10】
目標変調率および位相に応じた出力電圧レベルを定めたパルスパターンによって電力変換器の半導体素子を制御する制御方法であって、
前記目標変調率を出力するための必要最小レベル数を定めるステップと、
前記電力変換器の電圧基本波と高調波のうち、制御したい電圧次数の総数を定めるステップと、
前記定めた必要最小レベルと制御したい電圧次数の総数を比較し、いずれか大きい方を目標変調率における四半周期のスイッチング回数Nに決定するステップと、
前記決定された目標変調率および四半周期のスイッチング回数Nをもとに、式(4)による電圧基本波を前記目標変調率にあわせて、式(5)又は式(6)による高調波について、所望の次数の高調波が低減できるようにしたN回分のスイッチング位相を求めるステップと、
【数4】
【数5】
【数6】
(ただし、d_refは目標変調率、Vnは電圧n次高調波振幅、Inは電流n次高調波振幅、L_highは電力変換器の最大出力レベル数、Nは四半周期のスイッチング回数、θA…θNは各スイッチング位相であり、cos関数の前の符号はスイッチングによるレベル変化の方向が正なら+、負なら−になる。)
前記目標変調率と前記求められたN回分のスイッチング位相に基いて、目標変調率および位相に応じた出力電圧レベルを定めた1周期分の前記パルスパターンを導出するステップと、
前記導出されたパルスパターンをテーブル化するステップと、
入力された目標変調率および位相指令に対応する、前記パルスパターンをテーブル化するステップによりテーブル化されたパルスパターンテーブルの出力電圧レベルに基いてゲート信号を生成するステップと、
前記生成されたゲート信号によって前記電力変換器の半導体素子を制御するステップと、
を備えたことを特徴とする固定パルスパターンによる電力変換器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータを用いて電圧を出力するシステムにおける、パルス変調法に関する。
【背景技術】
【0002】
入力された三相交流電圧をレクティファイア(ダイオード整流器、PWMコンバータ、120°通流コンバータなど)で直流電圧に変換し、直流電圧をインバータによって所望の周波数、振幅の交流電圧として出力するシステムを考える。
【0003】
このようなシステムでは、電力変換器の出力について目標電圧をキャリア1周期で平均的に表現する三角波比較PWMが用いられることが多い。しかし、電圧出力の最適化を目標として三角波比較PWM以外の変調法を用いる場合があり、固定パルスパターン方式がその一例である。この方式では、評価指標に対して最適なパルスパターンを事前導出してテーブル化し、そのテーブル通りにスイッチングを行う。
【0004】
評価指標には、スイッチング回数、電圧基本波、電圧高調波などがある。このような評価指標のうち、スイッチング回数、あるいはパルス数について注目する。例えば、非特許文献1では、電圧基本波と電流高調波を考慮したパルスパターンの導出法が述べられている。ここでは、電源周期の9倍のキャリア周波数での三角波比較PWMが最低のパルス数であるとし、出力電圧半周期のパルス数を5に設定している。
【0005】
また、特許文献1では、3レベルコンバータあるいは3レベルインバータについて、低変調率の表現時にパルス幅が狭くなることへの対策として、パルス数を5から3に減らしたパルスパターンを低変調率で使うことにし、その切替法を議論している。
【0006】
固定パルスパターンでは、スイッチング回数、パルス形、目標変調率の情報を前提に、電圧基本波、電圧(or電流)高調波の2つを考慮してスイッチング位相を決める。
【0007】
前提とするスイッチング回数やパルス形が電圧基本波の精度や電圧高調波の大きさに影響を与えるため、特にマルチレベルでは、変調率に応じて設定を適切に変更する必要がある。高変調率の表現の際には最大レベルを必ず出力しなければならない点も重要である。
【0008】
固定パルスパターンの導出がよく検討されている2レベル、3レベルのインバータでは、+1もしくは−1レベルを出力するだけで最大レベルとなるため、パルス数を固定して導出するのが基本である。
【0009】
しかし、マルチレベルインバータでは、高調波抑制のために設けたいスイッチング回数よりも、最大レベルを出力するために必要なスイッチング回数の方が多いこともある。その場合、高変調率ではレベル数の制約によってスイッチング回数が決まることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第6270696号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】塚越昌彦、松瀬貢規、「大容量PWM整流器用の高調波規制に適合する最適な固定パルスパターンの導出」、電学論D,131巻3号,2011年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
非特許文献1と特許文献1では、3レベルの電力変換器を主たる適用対象としているため、スイッチング回数(パルス数)決定におけるマルチレベルインバータの特有の問題を解決できない。
【0013】
マルチレベルインバータにおいては、最大変調率を出力するためには、出力1周期内で最大電圧レベルを必ず出力しなければならない。つまり、設定したスイッチング回数が少なすぎる場合、最大電圧レベルを出力できず、高変調率を表現できなくなってしまう。逆に、スイッチング回数をむやみに増加するとスイッチング損失が増加し、装置の大型化を招く。
【0014】
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的は、変調率によって最適なスイッチング回数での固定パルスパターン方式の制御を行うことができる固定パルスパターンによる電力変換器の制御システムおよび制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための請求項1に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システムは、目標変調率および位相に応じた出力電圧レベルを定めたパルスパターンがテーブル化されたパルスパターンテーブルを有し、入力された目標変調率および位相指令に対応する前記パルスパターンテーブルの出力電圧レベルに基いてゲート信号を生成し、該生成されたゲート信号によって電力変換器の半導体素子を制御するシステムであって、
前記目標変調率を出力するための必要最小レベル数を定め、
前記電力変換器の電圧基本波と高調波のうち、制御したい電圧次数の総数を定め、
前記定めた必要最小レベルと制御したい電圧次数の総数を比較し、いずれか大きい方を目標変調率における四半周期のスイッチング回数Nに決定し、
前記決定された目標変調率および四半周期のスイッチング回数Nをもとに、式(4)による電圧基本波を前記目標変調率にあわせて、式(5)又は式(6)による高調波について、所望の次数の高調波が低減できるようにしたN回分のスイッチング位相を求め、
【0016】
【数4】
【0017】
【数5】
【0018】
【数6】
【0019】
(ただし、d_refは目標変調率、Vnは電圧n次高調波振幅、Inは電流n次高調波振幅、L_highは電力変換器の最大出力レベル数、Nは四半周期のスイッチング回数、θA…θNは各スイッチング位相であり、cos関数の前の符号はスイッチングによるレベル変化の方向が正なら+、負なら−になる。)
前記目標変調率と前記求められたN回分のスイッチング位相に基いて、目標変調率および位相に応じた出力電圧レベルを定めた1周期分の前記パルスパターンを導出するパルスパターン導出部を備えたことを特徴としている。
【0020】
請求項2に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システムは、請求項1において、
前記目標変調率を出力するための必要最小レベル数は、次の式(2)を満たすように定めた
【0021】
【数2】
【0022】
(ただし、d_refは目標変調率、L_dutyは必要最小レベル数、L_highは電力変換器の最大出力レベル数)
ことを特徴とする。
【0023】
請求項3に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システムは、請求項1において、
前記電力変換器の出力電圧の基本波に三次高調波を重畳した場合の目標変調率を出力するための必要最小レベル数を、次の式(8)又は式(9)を満たすように定めた
【0024】
【数8】
【0025】
【数9】
【0026】
(ただし、d_refは目標変調率、L_dutyは必要最小レベル数、L_highは電力変換器の最大出力レベル数、Kは高調波の基本波に対する振幅の倍数であり0≦K)
ことを特徴とする。
【0027】
請求項4に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システムは、請求項1から3のいずれか1項において、
前記制御したい電圧次数の総数は、抑制したい高調波の数+1に定めたことを特徴とする。
【0032】
請求項5に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システムは、請求項1から3のいずれか1項において、
前記制御したい電圧次数の総数は、前記目標変調率に応じて定めたことを特徴とする。
【0033】
請求項6に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システムは、請求項1から5のいずれか1項において、
前記制御したい電圧次数の総数が目標変調率における四半周期のスイッチング回数に決定された場合は、前記必要最小レベル数と前記決定された四半周期のスイッチング回数で定まる電力変換器の出力電圧の形のいずれかを選択することを特徴としている。
【0034】
請求項7に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システムは、請求項1から5のいずれか1項において、
前記制御したい電圧次数の総数が目標変調率における四半周期のスイッチング回数に決定された場合は、前記必要最小レベル数と前記決定された四半周期のスイッチング回数で定まる全ての出力電圧の形について前記パルスパターン導出部によるパルスパターンの導出を行い、より高調波抑制することができた電力変換器の出力電圧の形を採用することを特徴とする。
【0035】
請求項8に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システムは、請求項1から7のいずれか1項において、
前記電力変換器は、4レベル以上の電力変換器であることを特徴とする。
【0036】
請求項9に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御システムは、請求項1から7のいずれか1項において、
前記電力変換器は、5レベル以上の直列多重インバータであることを特徴とする。
【0037】
請求項10に記載の固定パルスパターンによる電力変換器の制御方法は、
目標変調率および位相に応じた出力電圧レベルを定めたパルスパターンによって電力変換器の半導体素子を制御する制御方法であって、
前記目標変調率を出力するための必要最小レベル数を定めるステップと、
前記電力変換器の電圧基本波と高調波のうち、制御したい電圧次数の総数を定めるステップと、
前記定めた必要最小レベルと制御したい電圧次数の総数を比較し、いずれか大きい方を目標変調率における四半周期のスイッチング回数Nに決定するステップと、
前記決定された目標変調率および四半周期のスイッチング回数Nをもとに、式(4)による電圧基本波を前記目標変調率にあわせて、式(5)又は式(6)による高調波について、所望の次数の高調波が低減できるようにしたN回分のスイッチング位相を求めるステップと、
【0038】
【数4】
【0039】
【数5】
【0040】
【数6】
【0041】
(ただし、d_refは目標変調率、Vnは電圧n次高調波振幅、Inは電流n次高調波振幅、L_highは電力変換器の最大出力レベル数、Nは四半周期のスイッチング回数、θA…θNは各スイッチング位相であり、cos関数の前の符号はスイッチングによるレベル変化の方向が正なら+、負なら−になる。)
前記目標変調率と前記求められたN回分のスイッチング位相に基いて、目標変調率および位相に応じた出力電圧レベルを定めた1周期分の前記パルスパターンを導出するステップと、
前記導出されたパルスパターンをテーブル化するステップと、
入力された目標変調率および位相指令に対応する、前記パルスパターンをテーブル化するステップによりテーブル化されたパルスパターンテーブルの出力電圧レベルに基いてゲート信号を生成するステップと、
前記生成されたゲート信号によって前記電力変換器の半導体素子を制御するステップと、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0042】
(1)請求項1〜10に記載の発明によれば、変調率によって最適なスイッチング回数としたパルスパターンを導出することができ、その最適なスイッチング回数での固定パルスパターン方式の制御が可能となる。
【0043】
このため、高変調率では確実な基本波表現を達成した制御を行い、中〜低変調率では高調波抑制を達成した制御を行うことができる。
【0044】
また、先行技術文献(特許文献1、非特許文献1)の方式では解決できなかった、最大変調率を出力するためには出力1周期内で最大電圧レベルを必ず出力しなければならないという、マルチレベルインバータ特有の問題を解決することができる。
(2)請求項3に記載の発明によれば、電圧利用率の改善や高調波低減が可能となる。すなわち、電力変換器の出力電圧の基本波に三次高調波を重畳した場合は、高変調率を、より小さい必要最小レベル数で表すことができる。また、電力変換器の出力電圧の基本波に三次高調波の逆位相を重畳した場合は、低変調率でも高レベルを使える領域が広くなり、より優れた高調波抑制効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の実施形態におけるスイッチング回数に関する定義を示す説明図。
図2】本発明の実施例1のシステム構成図。
図3】本発明の実施形態におけるパルスパターン導出のフローチャート。
図4】7レベルインバータの出力電圧と変調率の関係(1)を表す説明図。
図5】7レベルインバータの出力電圧と変調率の関係(2)を表す説明図。
図6】本発明の実施例1における出力電圧の形の例を示す波形図。
図7】本発明の実施例2における三次高調波の重畳による電圧利用領域の拡大を説明する波形図。
図8】本発明の実施例2における三次高調波の逆位相での重畳のようすを説明する波形図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。本発明では、固定パルスパターンにおける高変調率と最大レベルの制約が今まであまり検討されてこなかった事情を考えて、変調率によってスイッチング回数を変える制御を行う。すなわち、例えば高変調率では最大レベルを出力する最低スイッチング回数に設定し、中・低変調率では高調波を十分に抑制できる最低のスイッチング回数に設定するように構成した。
【0047】
パルスパターン導出時に変調率によってスイッチング回数の違うパターンでパルスパターンテーブルを導出しておく。スイッチング回数は高調波抑制次数、使用電圧レベルをもとに定める。
【0048】
以下では、マルチレベルにて電圧パルスの解釈が複雑になることを踏まえ、パルス数で考えることはせず、出力電圧を1回ずつのレベル変化に分けて考える。このとき、電圧レベルが1段変化することを1回のスイッチングとして扱う。特に断らず「(パルスパターンの)スイッチング回数」というときは、出力電圧位相の1周期のスイッチング回数を示し、「四半周期のスイッチング回数」ならば位相θが0[rad]<θ<π/2[rad]におけるスイッチング回数を示す。
【0049】
図1にこれらの概念図を示す。図1の波形の場合では四半周期のスイッチング回数は5回であり、1周期のスイッチング回数、つまりパルスパターンのスイッチング回数は20回である。
【実施例1】
【0050】
図2に実施例1におけるシステム構成図を示す。図2において、10は上位制御部、20はパルス生成部、30はインバータ、40は負荷を示している。上位制御10とはパルス生成より上流に存在する制御を示しており、例えばシステムに操作盤操作量に基づく速度指令、及びインバータ30の検出三相電流が入力され、速度制御、電流制御を経て変調率と位相の指令を生成するような制御を指す。
【0051】
上位制御部10から変調率、位相が出力された後は、それらの情報をもとにパルス生成部20が、内部のパルスパターンテーブルを参照してパルス生成を行う。パルスパターンテーブルには、図示省略のパルスパターン導出部により事前に作成したパルスパターンの情報が格納されており、変調率、位相の情報に応じた出力電圧レベルが定められている。
【0052】
パルス生成部20からは前記出力電圧レベルに基いたゲート信号が出力され、それによりインバータ30が駆動される。インバータ30はモータ等の負荷40につながっており、負荷40にはゲート信号に応じた電圧が印加される。
【0053】
図2は固定パルスパターン方式による電力変換の代表的なシステム構成例であり、本発明の適用対象はこれに限らない。例えば、電源に回生を行うコンバータ制御において、事前に導出したパルスパターンテーブルに基づいてスイッチングを行うような構成でもよい。重要なのは、事前に作成したパルスパターンに関するテーブルを用いて、電力変換器を駆動することである。
【0054】
図3に、パルスパターン導出部が行うパルスパターン導出処理のフローチャートを示す。図3のステップS1では、目標変調率d_ref(変調率指令)を入力する(図2のシステム駆動時は、上位制御部10からの指令変調率に一番近いテーブルを採用)。
【0055】
ステップS2では、目標変調率d_refを出力するために必要な最小レベル数L_dutyを求める。
【0056】
このステップS2は、目標変調率d_refを出力するために最低限必要なスイッチング回数を定める処理である。最低限必要なスイッチング回数とは、必要な最小レベル数L_dutyによって定まる。目標変調率d_refを出力するのに必要な最小レベルまで達しないパルスパターンを導出しようとしても、出力電圧基本波に関する後述の条件式(2)を満たすことができない。
【0057】
目標変調率d_refについては所望の定義で定めてよいが、本実施例1においては、1レベル分の直流電圧vdc、電力変換器の最大出力レベルL_high、目標出力電圧の基本波振幅V_refに対して式(1)で定義する。
【0058】
【数1】
【0059】
ここでの「レベル」とは中性点電位からのレベルである。また、本実施例1において必要な最小レベル数L_dutyは電圧振幅で算出し、電圧の正負の頂点(ピークトゥピーク)では算出しない。例えば図4のように、7レベルインバータにおいては、中央のレベルが中性点電位であり、−3、−2、−1、0、1、2、3レベルの出力ができるものと考える。また、このインバータの最大変調率付近の基本波を出力するのに必要な最小レベルL_dutyは3レベルであるととらえるものとする。
【0060】
次に、ステップS2における、目標変調率を出力するための必要最小レベル数L_dutyの求め方について検討する。
【0061】
図4のように最大変調率付近においては、明らかに全レベルを使わなければ目標変調率の電圧基本波を出力できない。しかし、それよりも低い変調率のときには少ないレベル数を使って波形を表現可能であると考えられる。
【0062】
そこで、一般的な目標変調率d_refの表現に必要なレベル数L_dutyを考える。前記式(1)に則る場合、d_ref=1.0の電圧基本波の頂点が電力変換器の最大出力レベルと一致する。逆に考えると、1レベルの出力と基本波頂点が一致するのは、電力変換器の最大出力レベルL_highを用いてd_ref=1/L_highのときだとわかる。このことから1レベルにつき変調率1/L_highだけの表現力があると考えられる。つまりステップS2におけるL_dutyは式(2)を満たすように定めればよい。
【0063】
【数2】
【0064】
これは図5のように電圧基本波の頂点がL_dutyレベル(=2)とL_duty−1レベル(=1)の間を通るように定めることと同義である。図5より、d_ref=0.5に対してL_high=3、L_duty=2として式(2)を解くと式(3)の形になり、条件式を満たしている。
【0065】
【数3】
【0066】
次に、最小レベル数L_dutyレベルを用いる電圧波形とスイッチング回数の関係について考える。L_dutyレベルに到達するためには四半周期に最低L_duty回のスイッチングが必要であり、それ以下のスイッチング回数ではL_dutyレベルまで到達できない。そして、四半周期のスイッチング回数がL_duty回のとき、四半周期のレベル変化の方向は必ず正になる。一回でも負方向のレベル変化があればL_duty回のスイッチングでL_dutyレベルまで到達できない。パルスパターンの正弦波状の対称性を前提にすると、このときの電圧波形は、図4図5のように目標の正弦波の傾きとレベル変化の方向が常に一致した波形になる。
【0067】
次にステップS3では、目標変調率において基本波、高調波のうち、管理したい(制御したい)電圧次数の総数(総計)を求める。このステップS3は、所望の品質の電圧を出力するために必要なスイッチング回数を定める処理である。非特許文献1では、電圧基本波と電流高調波を考慮したパルスパターンの導出法が述べられている。この非特許文献1に記載の内容を3レベルからマルチレベルへ拡張し、本発明の変数設定を用いて表現すると式(4)、式(5)の条件式になる。式(4)、式(5)は電圧波形の正弦波状の対称性を前提として、フーリエ級数展開を行った結果であり、式(4)が電圧基本波、式(5)がn次電圧高調波についての条件式である。
【0068】
【数4】
【0069】
【数5】
【0070】
ここで、d_refは目標変調率、Vnは電圧n次高調波振幅、L_highは電力変換器の最大出力レベル数、Nは四半周期のスイッチング回数、θA、θBはパルスパターンの各スイッチング位相を示す。なお、cos関数の前の符号はスイッチングによるレベル変化の方向が正なら+、負なら−になる。
【0071】
目標変調率の高調波を低減したいならば、式(4)の関係を保ちつつVnを所望の次数について低減するように四半周期のスイッチング位相(θA,θB,…,θN)を決めればよい。四半周期のスイッチング位相が確定すれば、残りのスイッチング位相は正弦波状の対称性から一意に定めることが可能である。
【0072】
また、非特許文献1で述べられているように高調波については誘導性負荷を考慮し、式(5)を式(6)の電流高調波の条件式で考えてもよい。
【0073】
【数6】
【0074】
さらに、高調波次数については、電圧波形の対称性と三相の平衡を考慮すると、偶数次高調波と3の倍数の高調波は電流に表れないため、6の倍数±1の次数(n=5,7,11,13,17,19,…)について考慮すればよい。
【0075】
以上のようにパルスパターンの基本波と高調波を管理することが可能だが、これは必ずしも所望の基本波で高調波を自由な値に制御できることを意味しない。例えば、四半周期に3回のスイッチングで、式(4)を保ちつつ、式(5)にて5、7、11、13、17、19次高調波の振幅を0にすることは、一般にはできない。なぜなら、7つの方程式(基本波と6つの高調波)に対して3つの変数で解を求めようとしているのと同義だからである。所望の高調波の振幅を確実に0にするためには、抑制したい高調波の数+1(基本波の分)個の変数が必要である。
【0076】
抑制したい全ての高調波次数と1次(基本波)のことを総じて、図3では制御したい電圧次数と称している。制御したい電圧次数の総計N_volt個の四半周期のスイッチング回数を設定すれば、基本波振幅をd_refに、抑制したい高調波の振幅を0にしたパルスパターンを導出できる。
【0077】
本発明では、電圧品質の確保のために、四半周期に最低N_volt回のスイッチングを行うものとした。
【0078】
ただし、N_voltは変調率によって可変でもよい。例えば、特許文献1では低変調率においてパルス幅が狭くなることを考慮して、パルス数(スイッチング回数)を減らしている。他にも、モータの用途によっては、高変調率の電圧は高周波数でのみ用いることがあり、フィルタやモータのL成分によっては、ある周波数以上の電圧高調波は考慮しなくてよい場合がある。
【0079】
この場合、低周波数で用いる低変調率については高次の高調波まで考慮する必要がある一方、高周波数で用いる高変調率については高次を特別抑制する必要が無くなり、低次高調波のみ考慮すればよくなる。つまり、高変調率では低変調率のときよりもN_voltを小さく設定することができる。N_voltを減少した場合、スイッチング回数が減少し、スイッチング損失の減少から効率改善が期待できる。
【0080】
次にステップS4〜S6において、スイッチング回数の決定処理を行う。前記ステップS2、S3では変調率の表現、高調波の抑制という2つの観点から最低限必要なスイッチング回数L_dutyと制御したい電圧次数の総計N_voltを求めた。ステップS4〜S6ではこの2つを比べて、より大きい方を目標変調率d_refにおける四半周期のスイッチング回数Nに設定する。
【0081】
すなわち、ステップS4では、前記L_dutyとN_voltを比較判定し、L_dutyの方が大きい場合はステップS5にて四半周期のスイッチング回数NをL_dutyに決定し、N_voltの方が大きい場合はステップS6にて四半周期のスイッチング回数NをN_voltに決定する。
【0082】
ここで、ステップS4の判定結果が、ステップS6にてN_voltを採用する方へ分岐した場合には、ステップS7において電圧の形を決定する処理が必要となる。必要なレベル数L_dutyと四半周期のスイッチング回数Nが定まっていても、電圧の形には複数種類存在する場合がある。図6はその例である。図6のように、L_duty=2、N=4の場合、A、Bの2種類が考えられる。
【0083】
ここでは、一旦負の出力になるなど明らかに望ましくないものは除外した。ステップS6にてN=N_voltと決定された場合は、これらの電圧パルスから所望の形を選びパルスパターン導出に用いることになる。所望の形は、例えば三角波比較PWMを行った場合の波形を参考に決めれば、三角波比較PWM方式と固定パルスパターン方式の切替性能の向上が期待できる。また、あえて特定の形を選ぶことはせず、全ての出力電圧の形について後述のステップS8にてパルスパターン導出を行い、より高調波を抑制できた方を採用するようにしてもよい。
【0084】
尚、ステップS5にてNをL_dutyに決定した場合は、前記ステップS2で説明したように四半周期のレベル変化の方向は必ず正になるため出力電圧の形は一意に決まるので、電圧の形を定める処理は必要ない。
【0085】
次に、ステップS8においてパルスパターンの導出処理を行う。このステップS8では、目標変調率d_ref、四半周期のスイッチング回数N、および出力電圧の形をもとに式(4)で電圧基本波と、式(5)あるいは式(6)で高調波についての連立方程式を解き、N回分のスイッチング位相を求める。このとき、前記ステップS3の説明では高調波振幅を0にすることを目標と置いていたが、必ずしもそうである必要はない。高調波振幅を0にする議論はN_volt決定のための目安であり、多数の高調波を平均的に抑制できるよう多数のnについての式(5)や式(6)の総和を低減する導出でも構わない。
【0086】
ステップS8で導出したスイッチング位相と電圧の形から、1周期分のパルスパターンが確定し、ステップS9において出力され、図2のパルス生成部20が、目標変調率および位相に応じた出力電圧レベルを定めたパルスパターンをテーブル化する。
【0087】
このようにしてテーブル化されたパルスパターンを用いれば、固定パルスパターンの最適なスイッチング回数による制御が可能となる。
【0088】
尚、図3のパルスパターン導出フローチャートの重要な点は、目標変調率を出力するために必要な最小レベルL_dutyを考慮して四半周期のスイッチング回数Nを定めており、NはL_duty未満にならないという点である。この点が守られていれば、分岐点(ステップS4)におけるL_dutyとの比較対象が、制御したい電圧次数の総計N_voltである必要はなく、パルスパターン導出に別の条件式からなる1つ以上の別の分岐(比較判定処理)が設けられていてもよい。
【0089】
別の分岐の例としては、所定内のスイッチング損失に収まるようなNの上限N_lossについて、N_lossとL_dutyを比較する分岐などがある。
【0090】
以上のように本実施例1によれば、変調率によって最適なスイッチング回数としたパルスパターンを導出することができ、その最適なスイッチング回数での固定パルスパターン方式の制御が可能となる。
【0091】
このため、高変調率では確実な基本波表現を達成した制御を行い、中〜低変調率では高調波抑制を達成した制御を行うことができる。
【0092】
また、先行技術文献(特許文献1、非特許文献1)の方式では解決できなかった、最大変調率を出力するためには出力1周期内で最大電圧レベルを必ず出力しなければならないという、マルチレベルインバータ特有の問題を解決することができる。
【実施例2】
【0093】
本実施例2では、実施例1の図3のフローチャートの、目標変調率d_refを出力するための最小レベル数L_dutyを決定するステップS2の処理について以下の変更を加える。
【0094】
三角波比較PWMでは、目標電圧について三次高調波を重畳したものが用いられることがある。適度な三次高調波の重畳により直流電圧の利用領域を拡大できることが知られている。式(7)のように基本波の1/6の振幅の三次高調波を重畳した場合の目標変調率d_refの最大値は2/√3であり、これが全出力位相で電圧飽和をしない最大の変調率となる。
【0095】
【数7】
【0096】
言い換えれば、三次高調波の重畳を考慮することで、基本波振幅を目標出力電圧最大値の2/√3倍とすることができる。この概念図を図7に示す。図7において、重畳した目標出力電圧の最大値が基本波の最大値より低くなっている。
【0097】
これをふまえると、式(8)に示すように、高変調率を式(2)で定められる値よりも小さいL_dutyで表すことができ、d_refが1.0以上の場合でもL_dutyを決定できる。
【0098】
【数8】
【0099】
また、三次高調波を逆位相に重畳すれば、図8の概念図に示すように、逆に目標出力電圧最大値を基本波振幅より高くすることができる。例えば10レベル以上のマルチレベルインバータにおいて、正弦波に近い出力電圧波形から高調波の低減が期待されるが、低変調率では低レベルまでの利用となり3レベルインバータや5レベルインバータと変わらない出力レベル数になってしまう。
【0100】
このとき三次高調波の逆位相重畳を考慮すると、低変調率でも高レベルを使える領域が広くなり、高調波低減効果が期待できる。基本波のK倍の振幅の三次高調波を逆位相で重畳すると仮定すると、出力電圧の最大値は基本波に対して1+K倍になるため、式(2)は式(9)の形になる。式(4)にてn=3とした場合の最大値を考えると、Kの範囲は式(10)で定められる。Kが0以上なのは、0未満だと逆位相の重畳とならないためである。
【0101】
【数9】
【0102】
【数10】
【0103】
以上より、式(2)を式(8)や式(9)、あるいは式(8)と式(9)の組み合わせに適宜修正して用いてもよい(基本波に三次高調波を重畳した場合の目標変調率を出力するための必要最小レベル数L_dutyを、式(8)、式(9)を満たすように定めてもよい)。これを行うことで電圧利用率の改善や高調波低減が可能となる。
【0104】
以上のように本実施例2によれば、電圧利用率の改善や高調波低減が可能となる。すなわち、電力変換器の出力電圧の基本波に三次高調波を重畳した場合は、高変調率を、実施例1の場合よりも小さい必要最小レベル数で表すことができる。また、電力変換器の出力電圧の基本波に三次高調波の逆位相を重畳した場合は、低変調率でも高レベルを使える領域が広くなり、実施例1の場合よりも優れた高調波抑制効果が期待できる。
【0105】
尚、本発明は、4レベル以上の電力変換器に適用されてもよい。また本発明は、5レベル以上の直列多重インバータに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0106】
10…上位制御部
20…パルス生成部
30…インバータ
40…負荷
【要約】
【課題】変調率によって最適なスイッチング回数での固定パルスパターン方式の制御を行うことができるようにする。
【解決手段】目標変調率d_refを出力するための必要最小レベル数L_dutyを定め(S2)、電力変換器の電圧基本波と高調波のうち、制御したい電圧次数の総数N_voltを定め(S3)、前記定めた必要最小レベルL_dutyと制御したい電圧次数の総数N_voltを比較し、いずれか大きい方を目標変調率における四半周期のスイッチング回数Nに決定し(S4〜S6)、N_voltに決定した場合は出力電圧の形を定め(S7)、前記決定された目標変調率d_refおよび四半周期のスイッチング回数Nをもとに、N回分のスイッチング位相を求め、それら目標変調率、出力電圧の形、位相に応じた出力電圧レベルを定めた1周期分のパルスパターンを導出する(S8,S9)。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8