(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ダイヤフラムは、前記第2の位置では前記第2吐出流路の前記入口に接触して前記入口を塞ぐことにより、前記第2吐出流路と前記第1吐出流路との間を封止する、請求項1から4のいずれか1つに記載のバルブ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1態様によれば、加圧流体の流入口と弁座とを有する第1弁筐体と、加圧流体の第1吐出流路および第2吐出流路を有し、前記第1弁筐体に積層して配置される第2弁筐体と、前記第1弁筐体と前記第2弁筐体の間に配置され、連通口を有するダイヤフラムと、前記第1弁筐体の外縁領域と前記第2弁筐体の外縁領域を固定する第1固定部と、平面視して、前記第1固定部よりも内側で、前記ダイヤフラムを前記第1弁筐体あるいは前記第2弁筐体のいずれか一方に固定する第2固定部と、を備え、前記ダイヤフラムは、前記第1弁筐体とともに上流側バルブ室を形成し、前記第2弁筐体とともに下流側バルブ室を形成し、前記第1弁筐体の前記弁座に前記連通口の周囲を接触させて前記上流側バルブ室と前記下流側バルブ室を非連通状態とする第1の位置と、前記第1弁筐体の前記弁座から前記連通口の周囲を離間させて前記上流側バルブ室と前記下流側バルブ室を連通状態とする第2の位置の間で移動可能であり、前記第2の位置では前記第2吐出流路の入口又は前記下流側バルブ室の壁面に接触して前記第2吐出流路と前記第1吐出流路との間を封止し、前記第1の位置では前記第1吐出流路と前記第2吐出流路を連通させる、バルブを提供する。
【0013】
このような構成によれば、ダイヤフラムは第1固定部よりも内側で固定されるため、弁筐体の外側に露出せず、弁筐体の外側に露出する形態と比較してダイヤフラムの表面にかかる差圧は小さくなる。これにより、ダイヤフラムの損傷を抑制し、ダイヤフラムの寿命を延ばすことができる。
【0014】
本発明の第2態様によれば、前記第2固定部は、前記ダイヤフラムを前記第2弁筐体に固定する、第1態様に記載のバルブを提供する。このような構成によれば、ダイヤフラムを第2弁筐体に固定する際に第1弁筐体の弁座が障害になりにくく、製造が容易である。
【0015】
本発明の第3態様によれば、平面視して、前記第1固定部と前記第2固定部の間に、前記第1弁筐体と前記第2弁筐体を固定する第3固定部をさらに備える、第1態様又は第2態様に記載のバルブを提供する。このような構成によれば、第3固定部を設けることで、第1弁筐体と第2弁筐体をより強固に固定できる。また、第1固定部、第2固定部、第3固定部のそれぞれに用いる材料を使い分けることができる。
【0016】
本発明の第4態様によれば、前記第1固定部および前記第2固定部は両面テープであり、前記第3固定部は接着剤である、第3態様に記載のバルブを提供する。このような構成によれば、第1固定部と第2固定部の両面テープは位置決めが容易であり、第3固定部の接着剤は接着力が強い。また第3固定部の接着剤は、第1固定部と第2固定部によって堰き止められるため、所望の位置に配置することができる。
【0017】
本発明の第5態様によれば、前記第3固定部はシリコン接着剤である、第4態様に記載のバルブを提供する。このような構成によれば、汎用的な材料を用いて製造コストを低減できる。
【0018】
本発明の第6態様によれば、前記第1弁筐体は、前記第1固定部における前記第2弁筐体との接触箇所から前記第3固定部における前記第2弁筐体との接触箇所の途中まで面一に延びる第1対向面と、前記第1対向面の内縁部から凹んで前記第3固定部および前記ダイヤフラムと間隔を空けて面一に延びる第2対向面とを有する、第3態様から第5態様のいずれか1つに記載のバルブを提供する。このような構成によれば、第1対向面と第2対向面の間に段差を設けることで、第3固定部の接着剤の量が多い場合でも、当該段差を通じて第3固定部を逃がす空間を確保できる。
【0019】
本発明の第7態様によれば、前記ダイヤフラムは、前記第2の位置では前記第2吐出流路の前記入口に接触して前記入口を塞ぐことにより、前記第2吐出流路と前記第1吐出流路との間を封止する、第1態様から第6態様のいずれか1つに記載のバルブを提供する。このような構成によれば、ダイヤフラムが第2の位置にあるときに、第2吐出流路と第1吐出流路との間をより精度良く封止することができる。
【0020】
本発明の第8態様によれば、第1態様から第7態様のいずれか1つに記載の前記バルブと、前記バルブの前記第1弁筐体の前記流入口に加圧流体を送るポンプと、を備える、流体制御装置を提供する。このような構成によれば、ダイヤフラムは第1固定部よりも内側で固定されるため、弁筐体の外側に露出せず、弁筐体の外側に露出する形態に比べてダイヤフラムの表面にかかる差圧は小さくなる。これにより、ダイヤフラムの損傷を抑制し、ダイヤフラムの寿命を延ばすことができる。
【0021】
(実施の形態)
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
<全体構成>
図1―
図4は、実施の形態における流体制御装置2の概略構成を示す図である。
図1は、流体制御装置2の上方斜視図であり、
図2は、流体制御装置2の下方斜視図である。
図3は、流体制御装置2の分解斜視図であり、
図4は、流体制御装置2の縦断面図である。
図4は、流体制御装置2を運転していない非運転状態を示す。
【0023】
流体制御装置2は、吸込口24(
図2)から流体(実施の形態では空気)を吸い込むとともに、吸い込んだ流体を加圧して加圧流体を生成し、生成した加圧流体を制御しながら吐出流路52(
図1)から吹き出す装置である。
図1―
図3に示すように、流体制御装置2は、ポンプ4と、バルブ6とを備える。
【0024】
図4に示すように、本実施の形態の流体制御装置2は、人の血圧を測定するための血圧測定装置3に用いられる。血圧測定装置3は流体制御装置2に加えてカフ8を備える。カフ8は流体制御装置2から加圧流体が供給されて膨らむことで、血圧測定用の空気袋として機能する。
【0025】
ポンプ4は、
図2に示す吸込口24から流体を吸いこんで加圧流体を生成し、バルブ6に送る構成を有する。バルブ6は、ポンプ4から送られてきた加圧流体を吐出流路52からカフ8に送る形態と、加圧流体をカフ8に供給せずにカフ8に溜められた加圧流体を排気する形態とを切替可能とする構成を有する。
【0026】
以下、ポンプ4とバルブ6の詳細な構成について順に説明する。
【0027】
図3に示すように、ポンプ4は、カバー10と、流路板12と、薄天板14と、バネ板16と、圧電体18と、絶縁板20と、給電板22とを備える。
【0028】
カバー10は、複数の吸込口24を形成する部材である。カバー10は流路板12に貼付される。流路板12は、吸込口24に連通する流路26を形成する部材である。流路板12は薄天板14に貼付される。薄天板14は、流路26に連通する開口28を形成する部材である。バネ板16は、その外周部が薄天板14に取り付けられる部材であり、振動部30と、枠部32と、連結部34とを備える。連結部34は、振動部30と枠部32を連結して弾性支持する部材である。
【0029】
振動部30には圧電体18が貼付される。圧電体18は電圧が付与されることで、屈曲振動する部材である。圧電体18を備えることにより、ポンプ4は圧電ポンプとして機能する。
【0030】
絶縁板20は、バネ板16の枠部32に貼付される部材である。給電板22は、絶縁板20に貼付される部材であり、端子36を備える。端子36は、圧電体18に電気的に接続されており、圧電体18に電圧を付与することができる。
【0031】
このような構成によれば、ポンプ4を運転して端子36を介して圧電体18に電圧を付与することで、圧電体18およびバネ板16の振動部30が屈曲振動する(例えば約23kHz)。これにより、
図4に示すポンプ4の内部空間の圧力が高まる。圧力が高まることで、ポンプ4外部の大気圧の空気が吸込口24からポンプ4内に吸い込まれる。ポンプ4内に吸い込まれた空気は加圧されて加圧流体となる。ポンプ4で生成された加圧流体はバルブ6に送られる。
【0032】
バルブ6は、
図3に示すように、第1弁筐体38と、第2弁筐体40と、ダイヤフラム42と、第1固定部44と、第2固定部46とを備える。
【0033】
第1弁筐体38と第2弁筐体40はともに、バルブ6の外郭を構成する部材である。第1弁筐体38は、流入口48および弁座50(
図4)を有する。第1弁筐体38は、ポンプ4の給電板22に対して接着剤49(
図4)によって接着される。第2弁筐体40は、第1吐出流路52および第2吐出流路54を形成する部材である。第1弁筐体38と第2弁筐体40は互いに積層して配置される。
【0034】
本実施の形態では、第1弁筐体38、第2弁筐体40はともに金属で形成される。
【0035】
第1弁筐体38と第2弁筐体40は、
図3などに示す第1固定部44によって互いに固定される。第1弁筐体38と第2弁筐体40が形成する内部空間にはダイヤフラム42が配置される。
【0036】
ダイヤフラム42は、第1弁筐体38と第2弁筐体40が形成する内部空間を2つの空間(バルブ室)に分ける部材である。ダイヤフラム42は
図4に示すように、第1弁筐体38との間に上流側バルブ室(上流側空間)Aを形成し、第2弁筐体40との間に下流側バルブ室(下流側空間)Bを形成する。
【0037】
ダイヤフラム42は、中央部に連通口56を有する。
図4に示す非運転の状態では、ダイヤフラム42の連通口56の周囲は第1弁筐体38の弁座50に接触して封止されている。このとき、上流側バルブ室Aと下流側バルブ室Bは互いに連通しない非連通状態にある。ダイヤフラム42は
図4に示す非連通位置から、上流側バルブ室Aと下流側バルブ室Bを連通させる連通位置に移動可能である。ダイヤフラム42の具体的な動作については後述する。
【0038】
実施の形態におけるダイヤフラム42はゴムシートである。
【0039】
第1固定部44は、第1弁筐体38と第2弁筐体40を固定する部材である。第1固定部44は、第1弁筐体38の外縁領域と第2弁筐体40の外縁領域を固定する。第1弁筐体38と第2弁筐体40の外縁領域の全周が第1固定部44によって固定され、第1弁筐体38と第2弁筐体40の接続箇所が封止される。
【0040】
第2固定部46は、ダイヤフラム42を固定する部材である。本実施の形態の第2固定部46は、ダイヤフラム42を第2弁筐体40に固定する。
図3、
図4に示すように、第2固定部46は、第1固定部44よりも内側でダイヤフラム42を第2弁筐体40に固定する。第1固定部44よりも内側とは、バルブ6を平面視したとき、すなわち、バルブ6の主面に垂直な方向(バルブ6の積層方向)から見たときの位置関係を表す。なお、ダイヤフラム42はその外縁領域の全周が第2固定部46によって固定される。ダイヤフラム42の固定箇所は外縁領域に限らず、外縁領域の内側であってもよい。上流側バルブ室Aと下流側バルブ室Bを互いに仕切るように環状に固定されていれば、ダイヤフラム42の固定箇所は任意の位置であってもよい。
【0041】
図4に示す非運転状態では、ダイヤフラム42の連通口56の周囲が第1弁筐体38の弁座50に対して与圧がかかった状態で接触するように、ダイヤフラム42が固定されている。
【0042】
本実施の形態では、第1固定部44および第2固定部46として粘着性の両面テープを用いている。両面テープは、シート状の基材の両面に粘着剤を添付したものである。両面テープは、流動性の高い接着剤と異なり流動性がないもの(非流動性固定部材)であり、位置決めを容易に行うことができ、リークパスも生じにくい。
【0043】
本実施の形態では、バルブ6はさらに第3固定部58(
図4)を備える。第3固定部58は、第1固定部44と同様に、第1弁筐体38と第2弁筐体40を固定する部材である。第3固定部58は、第1固定部44と第2固定部46の間に配置されている。
図3では第3固定部58の図示を省略している。
【0044】
本実施の形態では、第3固定部58として接着剤を用いている。接着剤は、第1固定部44、第2固定部46に用いる両面テープと異なり、液状の原料を塗布して硬化させるものである。接着剤は両面テープと比較して、接着強度が高い。このため、第1弁筐体38と第2弁筐体40の固定力を高めることができる。
【0045】
一方で、接着剤は両面テープなどと異なり高い流動性を有するもの(流動性固定部材)であり、所望の位置に配置することが難しい。これに対して、本実施の形態の第3固定部58は第1固定部44と第2固定部46の間に配置されており、第1固定部44と第2固定部46によって堰き止められる。これにより、第3固定部58を所望の位置に配置するようにしている。
【0046】
実施の形態の第3固定部58は特に、接着剤の中でもシリコン接着剤が用いられる。このように汎用的な材料を用いることで、流体制御装置2の製造コストを低減することができる。
【0047】
第3固定部58は流動性の高い接着剤であるため、塗布量の制御が難しく、塗布量がばらつきやすい。本実施の形態では、余剰分の接着剤を逃がすための逃がし穴を設けている。具体的には、
図5A、
図5Bを用いて説明する。
【0048】
図5Aは、バルブ6の一部拡大断面図であり、
図5Bは、
図4のC−C断面図である。
図5Aに示すように、第1弁筐体38は、第2弁筐体40に対向する面として、第1対向面38Aと、第2対向面38Bとを有する。第1対向面38Aは、第1弁筐体38が第1固定部44において第2弁筐体40と接触する箇所から、第3固定部58において第2弁筐体40と接触する箇所の途中まで、面一に延びる面である。第2対向面38Bは、第1対向面38Aの内縁部から凹んで第3固定部58およびダイヤフラム42と間隔を空けて面一に延びる面である。
【0049】
このように、第1対向面38Aから第2対向面38Bにかけて段差を設けることで、ダイヤフラム42との間に逃がし穴47を形成することができる。第3固定部58は、逃がし穴47を介して上流側バルブ室Aに露出している。このような逃がし穴47を設けることで、第3固定部58の接着剤の塗布量が多い場合でも、余剰分の接着剤が逃げる空間を確保することができる。これにより、第3固定部58による固定をより精度良く行うことができる。なお、
図5Bでは第3固定部58の図示を省略している。
【0050】
図5Bに示すように、本実施の形態における逃がし穴47は、第2固定部46およびダイヤフラム42の全周に設けられている。なお、全周に限らず、第2固定部46およびダイヤフラム42の周囲の一部のみに逃がし穴を設ける場合でもよい。
【0051】
このような構成の第1弁筐体38と第2弁筐体40を固定して組み立てる際には、まず、第1固定部44および第2固定部46の両面テープを第2弁筐体40の面に貼り付ける。その後、第2固定部46の裏面にダイヤフラム42の外縁領域を粘着させ、ダイヤフラム42を固定する。その後、第1固定部44と第2固定部46の間に第3固定部58の接着剤を塗布する。その状態で、第1固定部44と第3固定部58の裏面に第1弁筐体38を接着し、第1弁筐体38を固定する。このとき、第3固定部58の接着剤が多い場合には逃がし穴47を通じてダイヤフラム42の上に乗るように接着剤が流出する。これにより、接着剤による固定を精度良く行うことができる。また、第1弁筐体38を第2弁筐体40に固定する前にダイヤフラム42を第2弁筐体40に固定できるため、第1弁筐体38の弁座50が障害になることなくダイヤフラム42の固定を行うことができる。
【0052】
上述したポンプ4、バルブ6およびカフ8を備える血圧測定装置3の動作について、
図6A、
図6Bを用いて説明する。
図6A、
図6Bはともに、血圧測定装置3の動作を説明するための縦断面図である。
【0053】
図4に示す運転停止状態からポンプ4を運転すると、前述したように吸込口24から流体(大気圧の空気)が吸い込まれ、ポンプ4内で加圧流体が生成される。生成された加圧流体は第1弁筐体38の流入口48を通じてバルブ6内に流れ込む。
【0054】
加圧流体が流れ込むことで、上流側バルブ室Aの圧力が上昇し、下流側バルブ室Bの圧力(大気圧)よりも高くなる。これにより、
図6Aに示すように、ダイヤフラム42における第2固定部46によって固定されていない中央部が第1弁筐体38から離れる方向へ第2弁筐体40に向かって移動する。これにより、ダイヤフラム42の連通口56およびその周囲が第1弁筐体38の弁座50から離間する。また、この移動に伴って、第2弁筐体40の第2吐出流路54の入口60がダイヤフラム42によって塞がれる。このとき、第2吐出流路54と第1吐出流路52は互いに非連通状態となり、ダイヤフラム42によって第2吐出流路54と第1吐出流路52との間が封止される。
【0055】
上記動作によって、ダイヤフラム42は、
図4に示した上流側バルブ室Aと下流側バルブ室Bを非連通状態とする第1の位置から、
図6Aに示した上流側バルブ室Aと下流側バルブ室Bを連通させる第2の位置へ移動する。
図6Aに示す第2の位置では、加圧流体が上流側バルブ室Aから下流側バルブ室Bへ流れ、第1吐出流路52を通じてカフ8に加圧流体が送られる。ポンプ4を継続的に運転することで、カフ8に加圧流体が順次送られてカフ8が膨張し、血圧測定用の空気袋として機能する。
【0056】
図6Aに示す運転状態では、ダイヤフラム42の表面にかかる圧力は主に加圧流体による圧力であり、一部、第2吐出流路54の入口60部分のみ大気圧がかかっている。このようにダイヤフラム42において大きな差圧が生じる領域はごく一部であり、ダイヤフラム42の全体で見ると差圧は小さくなっている。
【0057】
血圧測定が終了したら、ポンプ4の運転を停止する。運転停止によってポンプ4による加圧流体の供給が止まり、ポンプ4の内部空間の圧力が低下する。これに伴い、バルブ6の上流側バルブ室Aおよび下流側バルブ室Bの圧力が低下し、カフ8側の圧力が上流側バルブ室Aおよび下流側バルブ室Bの圧力よりも高くなる。このため、カフ8に貯められていた加圧流体が下流側バルブ室Bへ戻るように作用する。加圧流体が下流側バルブ室Bへ戻る流れによって、ダイヤフラム42の中央部は第2弁筐体40から第1弁筐体38に向かって移動する。これにより、
図6Bに示すようにダイヤフラム42は元の第1の位置に戻り、連通口56の周囲が弁座50に接触して封止される。これと同時に、第2吐出流路54の入口60からダイヤフラム42が離れ、第2吐出流路54が開放される。このとき、第1吐出流路52と第2吐出流路54が互いに連通する。
【0058】
図6Bに示す状態では、下流側バルブ室Bから上流側バルブ室Aへの流れは阻止されるため、第1吐出流路52を通じて下流側バルブ室Bに流れてきた加圧流体は第2吐出流路54へ流れる。第2吐出流路54はバルブ6の外部に連通しており、加圧流体が大気に排気される。このような排気によれば、ポンプ4の運転停止後に加圧流体の急速排気を行うことができる。急速排気によって、下流側バルブ室Bの圧力は上流側バルブ室Aと同じ大気圧となる。
【0059】
図6Bに示す非運転状態では、ダイヤフラム42の表面にかかる圧力は大気圧のみであり、差圧はほぼ0である。
【0060】
上述した実施の形態の流体制御装置2によれば、ダイヤフラム42は第1固定部44よりも内側で固定され、第1弁筐体38および第2弁筐体40の外側に露出しない。ダイヤフラム42が第1弁筐体38、第2弁筐体40の外側に露出する形態では、ダイヤフラム42の表面にバルブ6内の加圧状態とバルブ6外の大気圧による大きな差圧が生じる。これに対して、本実施の形態では、ダイヤフラム42が第1弁筐体38、第2弁筐体40の内側にあるため、ダイヤフラム42の表面にかかる差圧は小さくなる。このような差圧の低い構成により、ダイヤフラム42の劣化および損傷を抑制することができ、ダイヤフラム42の寿命を延ばすことができる。
【0061】
さらに、平面視して、ダイヤフラム42を第1固定部44よりも内側で固定することで、ダイヤフラム42の長さを短くすることができる。
【0062】
また実施の形態の流体制御装置2によれば、第2固定部46は、ダイヤフラム42を第2弁筐体40に固定している。このような構成では、第1弁筐体38を第2弁筐体40に固定する前に、ダイヤフラム42を第2弁筐体40に固定することが可能となる。これにより、第1弁筐体38の弁座が障害となることなくダイヤフラム42の固定を行うことができ、流体制御装置2の製造が容易となる。
【0063】
また実施の形態の流体制御装置2によれば、第1固定部44、第2固定部46に加えて、第3固定部58を設けている。これにより、第1弁筐体38と第2弁筐体40をより強固に固定できる。また、第1固定部44、第2固定部46、第3固定部58のそれぞれに用いる材料を使い分けることができる。例えば、接着対象の材質に応じて、金属を固定しやすいもの(例えば、エポキシ系)、ゴムを固定しやすいもの(例えば、アクリルゴム系)を用いることができる。
【0064】
また実施の形態の流体制御装置2によれば、第1固定部44および第2固定部46に両面テープを用い、第3固定部58に接着剤を用いている。このように、最も外側の第1固定部44に流動性を有しない両面テープを用いることで、第1固定部44の位置決めが容易となる。また接着剤のようなリークパスが生じず、バルブ6を確実にシールすることができる。さらに、第3固定部58に接着剤を用いることで、固定強度を高めることができる。また第3固定部58の接着剤は流動性が高いものの、第1固定部44と第2固定部46によって堰き止められるため、所望の位置に配置することができる。
【0065】
また実施の形態の流体制御装置2によれば、第3固定部58としてシリコン接着剤を用いている。このように汎用的な材料を用いることで、流体制御装置2の製造コストを低減できる。
【0066】
また実施の形態の流体制御装置2によれば、第1対向面38Aと第2対向面38Bの間に段差を設け、逃がし穴47を形成している。このような構成では、第3固定部58の接着剤の量が多い場合でも、逃がし穴47を通じて第3固定部58の接着剤の余剰分が逃げる空間を確保することができる。
【0067】
また実施の形態の流体制御装置2によれば、
図6Aに示すように、ダイヤフラム42は、第2の位置では第2吐出流路54の入口60に接触して入口60を塞ぐことにより、第2吐出流路54と第1吐出流路52との間を封止する。このような構成では、ダイヤフラム42が第2の位置にあるときに、第2吐出流路54と第1吐出流路52との間をより精度良く封止することができる。
【0068】
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されない。例えば、実施の形態では、ポンプ4が圧電体18を備えた圧電ポンプである場合について説明したが、このような場合に限らない。加圧流体を生成できるものであれば、圧電ポンプ以外の任意の形態のポンプであってもよい。
【0069】
また実施の形態では、流体制御装置2がカフ8を備える血圧測定装置3に用いられる場合について説明したが、このような場合に限らず、血圧測定以外の用途に用いてもよい。
【0070】
また実施の形態では、ダイヤフラム42が第2弁筐体40に固定される場合について説明したが、このような場合に限らない。ダイヤフラム42は第1弁筐体38に固定してもよい。すなわち、ダイヤフラム42は第1弁筐体38あるいは第2弁筐体40のいずれか一方に固定されればよい。
【0071】
また実施の形態では、第1固定部44および第2固定部46に両面テープを用いる場合について説明したが、このような場合に限らず、両面テープ以外の手段を用いてもよい。例えば、エポキシ系樹脂、構造用アクリル系樹脂、エステル系樹脂(ポリエステル)、メラミン系樹脂などを用いてもよい。このとき、第3固定部58の接着剤よりも流動性の低い接着剤を用いてもよく、これにより、第3固定部58の接着剤を堰き止める機能を効果的に発揮するようにしてもよい。
【0072】
また実施の形態では、第1固定部44および第2固定部46に加えて、第3固定部58を設ける場合について説明したが、このような場合に限らず、第3固定部58を設けない場合であってもよい。第3固定部58を設けない場合に、例えば、第1固定部44と第2固定部46を同一の両面テープで構成してもよい。
【0073】
また実施の形態では、第3固定部58にシリコン接着剤を用いる場合について説明したが、このような場合に限らず、シリコン接着剤以外の接着剤を用いてもよい。例えば、ポリサルファイド系樹脂、アクリルゴム系樹脂などを用いてもよい。
【0074】
また実施の形態では、ダイヤフラム42は、第2の位置では第2吐出流路54の入口60に接触して入口60を塞ぐことにより、第2吐出流路54と第1吐出流路52との間を封止する場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、ダイヤフラム42が第2吐出流路54の入口60ではなく下流側バルブ室Bの壁面に接触することにより、第2吐出流路と第1吐出流路との間を封止するようにしてもよい。すなわち、ダイヤフラム42は、第2の位置では第2吐出流路54の入口60又は下流側バルブ室Bの壁面に接触して第2吐出流路54と第1吐出流路52との間を封止すればよい。
【0075】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施の形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。