(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力を前記電源線路を介して前記高周波回路に供給し、かつ前記第2面側に設けられている電源回路をさらに備える、請求項1〜請求項7いずれか1項に記載のアンテナモジュール。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
[第1実施形態]
(通信装置の基本構成)
図1は、本第1実施形態に係るアンテナモジュール100が適用される通信装置10の一例のブロック図である。通信装置10は、例えば、携帯電話、スマートフォンあるいはタブレットなどの携帯端末や、通信機能を備えたパーソナルコンピュータなどである。
【0012】
図1を参照して、通信装置10は、アンテナモジュール100と、ベースバンド信号処理回路を構成するBBIC200とを備える。アンテナモジュール100は、高周波回路の一例であるRFIC110と、アンテナアレイ120とを備える。通信装置10は、BBIC200からアンテナモジュール100へ伝達された信号を高周波信号にアップコンバートしてアンテナアレイ120から放射するとともに、アンテナアレイ120で受信した高周波信号をダウンコンバートしてBBIC200にて信号を処理する。
【0013】
なお、
図1では、説明を容易にするために、アンテナアレイ120を構成する複数のアンテナパターン121のうち、4つのアンテナパターン121に対応する構成のみ示され、同様の構成を有する他のアンテナパターン121に対応する構成については省略されている。また、本実施形態においては、アンテナパターン121が、矩形の平板形状を有するパッチアンテナである場合を例として説明する。
【0014】
RFIC110は、スイッチ111A〜111D、113A〜113D、117と、パワーアンプ112AT〜112DTと、ローノイズアンプ112AR〜112DRと、減衰器114A〜114Dと、移相器115A〜115Dと、信号合成/分波器116と、ミキサ118と、増幅回路119とを備える。
【0015】
高周波信号を送信する場合には、スイッチ111A〜111D、およびスイッチ113A〜113Dがパワーアンプ112AT〜112DT側へ切換えられるとともに、スイッチ117が増幅回路119の送信側アンプに接続される。高周波信号を受信する場合には、スイッチ111A〜111D、およびスイッチ113A〜113Dがローノイズアンプ112AR〜112DR側へ切換えられるとともに、スイッチ117が増幅回路119の受信側アンプに接続される。
【0016】
BBIC200から伝達された信号は、増幅回路119で増幅され、ミキサ118でアップコンバートされる。アップコンバートされた高周波信号である送信信号は、信号合成/分波器116で4分波され、4つの信号経路を通過して、それぞれ異なるアンテナパターン121に給電される。このとき、各信号経路に配置された移相器115A〜115Dの移相度が個別に調整されることにより、アンテナアレイ120の指向性を調整することができる。
【0017】
各アンテナパターン121で受信された高周波信号である受信信号は、それぞれ、異なる4つの信号経路を経由し、信号合成/分波器116で合波される。合波された受信信号は、ミキサ118でダウンコンバートされ、増幅回路119で増幅されてBBIC200へ伝達される。
【0018】
RFIC110は、例えば、上記回路構成を含む1チップの集積回路部品として形成される。あるいは、RFIC110における各アンテナパターン121に対応する機器(スイッチ、パワーアンプ、ローノイズアンプ、減衰器、移相器)については、対応するアンテナパターン121毎に1チップの集積回路部品として形成されてもよい。
【0019】
図1の例では、アンテナパターン121は、二次元的に配列されているが、一次元的に配列されてもよい(つまり、直線状に配列されてもよい)。また、アンテナパターンは1つであってもよい。
【0020】
(アンテナモジュールの構造)
図2は、第1実施形態に従うアンテナモジュール100を透過した斜視図である。
図2を参照して、アンテナモジュール100は、アンテナパターン121およびRFIC110に加えて、誘電体基板130と、電源線路170とを備える。また、RFIC110は、電源回路160から電源が供給される。なお、図面を簡略化するために、特に断りがない限り、電源回路160を直流の記号で示す。電源回路160は、回路で構成されるものであってもよく、例えば、2以上の回路で構成される電源供給モジュールであってもよい。したがって、電源回路160は、電源部(電源供給部)と称してもよい。
図2などのアンテナモジュール100の記載については、説明を容易にするために、1つのアンテナパターン121のみが示され、他のアンテナパターン121の記載は省略されている。
【0021】
誘電体基板130は、積層構造を有する。典型的には、誘電体基板130は、例えば、エポキシ、ポリイミドなどの樹脂が多層構造に形成された基板である。また、誘電体基板130は、より低い誘電率を有する液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer:LCP)あるいはフッ素系樹脂を用いて形成されてもよい。
【0022】
誘電体基板130は、第1面132と、第1面132と対向する第2面134とを含む。アンテナパターン121は、誘電体基板130の第1面132あるいは誘電体基板130の内部の層に配置される。つまり、アンテナパターン121は、誘電体基板130の第1面132側に配置される。
【0023】
RFIC110は、誘電体基板130の第2面134(実装面)に、はんだバンプなど(図示せず)の接続用電極を介して実装される。
【0024】
図2において、誘電体基板130の積層構造における積層方向の軸をZ軸とする。また、Z軸に直交する軸をX軸およびY軸とする。以下では、X軸方向の長さを「長さ」といい、Y軸方向の長さを「幅」といい、Z軸方向の長さを「厚み」という場合がある。また、Z軸方向の正方向を「Z軸正方向」といい、Z軸方向の負方向を「Z軸負方向」という場合がある。
図2の例においては、アンテナパターン121は、誘電体基板130の第1面132とアンテナパターン121の表面とがZ軸方向において同一のレベルとなるように、誘電体基板130に埋め込まれた構成となっている。
【0025】
図3は、アンテナモジュール100のXZ平面における断面図である。多層構造の誘電体基板130に、アンテナパターン121と、電源線路170とが設けられている。なお、
図3については、第1面132に1つのアンテナパターン121が配置されている例を示すが、実際は、第1面132に、アンテナアレイ120に含まれる全てのアンテナパターン121が配置されていてもよい。
【0026】
電源線路170は、ビア170Aを介して電源回路160に電気的に接続されている。電源線路170は、ビア170Bを介してRFIC110に電気的に接続されている。
【0027】
電源線路170は、誘電体基板130の積層構造における積層方向(Z軸方向)と直交する方向(X軸方向およびY軸方向)に延伸する(
図2参照)。換言すれば、電源線路170は、電源回路160からRFIC110に向かう方向に延伸する。ビア170Aとビア170Bとは、誘電体基板130の積層構造における積層方向(Z軸方向)に延伸する。
【0028】
電源回路160からの電力は、ビア170A、電源線路170、ビア170B、RFIC110の順番で伝送される。つまり、電源線路170は、電源回路160からの電力をRFIC110に供給する。
【0029】
信号線路140は、ビア140Aを介してRFIC110に電気的に接続されている。信号線路140は、ビア140Bを介してアンテナパターン121に電気的に接続されている。
【0030】
信号線路140は、誘電体基板130の積層構造における積層方向(Z軸方向)と直交する方向(例えば、X軸方向)に延伸する。ビア140Aとビア140Bとは、誘電体基板130の積層構造における積層方向(Z軸方向)に延伸する。
【0031】
RFIC110からの高周波信号は、ビア140A、信号線路140、ビア140B、アンテナパターン121の順番で伝送される。つまり、信号線路140は、RFIC110から供給された高周波信号をアンテナパターン121に供給する。また、信号線路140は、アンテナパターン121で受信した高周波信号をRFIC110に供給する。
【0032】
接地導体190は、誘電体基板130内において、電源線路170と第2面134との間に配置される。接地導体190には、ビア140Aと、ビア170Aと、ビア170Bとが貫通する開口部が設けられる。なお、
図2では、接地導体190の記載は省略されている。
【0033】
このような構成を有するアンテナモジュールにおいては、一般的に、RFIC110を駆動するための電力が伝送される電源線路170には、他の線路に比べて大きい電力を伝送させる必要がある。そのため、電源効率の観点からは、電源線路での電力の伝送ロスを低下させることが望ましい。
【0034】
また、電源回路160から供給される電圧値と、RFIC110で必要な電圧値とは予め定められている。そのため、電源回路160からRFIC110に電源を供給する電源線路170においては、電圧降下量を所定範囲に収めることが必要とされる。アンテナモジュール100の設計者は、電源線路170による伝送ロスを低減し、電圧降下量が所定範囲内に収まるように、電源線路170の抵抗値、すなわち、電源線路170の寸法を設計する必要がある。
【0035】
以下では、信号線路140の厚みを「H1」とし、アンテナパターン121の厚みを「H2」とし、電源線路170の厚みを「H3」とする。
【0036】
本実施形態では、アンテナパターン121、信号線路140、および電源線路170は厚みH3>厚みH2>厚みH1となるように、構成される。つまり、誘電体基板130の積層方向(Z軸方向)における電源線路170の厚みH3は、該積層方向におけるアンテナパターン121の厚みH2よりも厚い。積層方向における信号線路140の厚みH1は、積層方向における電源線路170の厚みH3よりも薄い。積層方向における信号線路140の厚みH1は、積層方向におけるアンテナパターン121の厚みH2よりも薄い。なお、変形例として、H2=H1としてもよい。例えば、電源線路170の厚みH3は、12μmであり、アンテナパターン121の厚みH2は、6μmであり、信号線路140の厚みH1は、6μmである。
【0037】
電源線路170の素材は、典型的には、銅などのような金属である。電源線路170の抵抗値Rと、電源線路170の厚みH3との関係は以下の式(A)で表される。
【0038】
R=(ρ・L)/(W・H3) (A)
式(A)のρは電源線路170の特有の抵抗率である。式(A)のWは電源線路170のY軸方向の長さ、つまり、幅である。式(A)のLは、電源線路170のX軸方向の長さである。
【0039】
式(A)に示されるように、電源線路170の抵抗値Rは、電源線路170の厚みH3に反比例する。したがって、電源線路170の厚みH3が厚いほど、電源線路170の抵抗値Rは小さくなる。
【0040】
電源線路170の抵抗値を低下させるためには、式(A)から、電源線路170の幅W(Y軸方向の長さ)を広くすること、あるいは、電源線路170の長さL(X軸方向の長さ)を短くすることが想定される。
【0041】
しかし、電源線路の長さLの最短長さは、RFIC110と電源回路160との相対的な配置によって定められるため、電源線路の長さを所望の長さまで短くすることには限界がある。また電源線路の長さLを短くするため、直線に配置することで、アンテナモジュールに配置される他の部材について、電源線路170との物理的な干渉や電磁的結合の防止の観点から、これらの部材の配置は制限されることとなる。
【0042】
一方で、電源線路170の幅(Y軸方向の長さ)を広くすると、アンテナモジュール100の第1面132のZ軸方向から平面視した場合の電源線路170の面積が、結果的に大きくなってしまう。そうすると、アンテナモジュールに配置される他の部材について、電源線路170との物理的な干渉や電磁的結合の防止の観点から、これらの部材の配置は制限されることとなる。
【0043】
よって、電源線路170の長さLを短くしようとする場合、または電源線路170の幅Wを広くしようとする場合には、アンテナモジュール100の全体の設計自由度が制限されることになる。
【0044】
そこで、本実施形態では、アンテナモジュール100の全体の設計自由度を鑑みて、電源線路170の厚みH3を厚くすることによって、電源線路170の抵抗値を低減する手法を採用する。上述の式(A)により、電源線路170の長さLが同じ場合、例えば、電源線路170の厚みを2倍にすると、電源線路170の幅を1/2にすることができる。これにより、アンテナモジュール100の第1面132のZ軸方向から平面視したときの電源線路170の面積が1/2となる。したがって、アンテナモジュール100に配置される他の部材について、電源線路170との物理的な干渉および電磁的結合を抑制できる。さらに、電源線路170の厚みの調整により、電源線路170の抵抗値を調整できるので、電源線路170での電圧降下量を所定範囲に収めることができる。よって、本実施形態のアンテナモジュール100では、設計自由度を向上させることができる。
【0045】
図4は、電源線路170の断面図の一例を示す図である。電源線路170は、以下の
図4(A)〜
図4(C)のうち少なくとも1つを適用することにより構成される。なお、本実施形態のアンテナモジュールは、複数の接合層(
図12など参照)から構成される。該複数の接合層は、電源線路層214を含む。電源線路層214は、誘電体層214Aと、エッチング加工により形成された電源線路170(金属層)とを含む。
【0046】
図4(A)は、誘電体層214Aに、厚みがH3である電源線路170が設けられていることを示す図である。
【0047】
図4(B)は、厚みがH3である誘電体層214Aの内部に、電源線路170が設けられていることを示す図である。
【0048】
図4(C)は、誘電体層214Aの両面それぞれに金属部170Dおよび金属部170Eを設ける。金属部170Dおよび金属部170Eそれぞれは、誘電体層214A内に設けられたビア170Fにより電気的に接続される。
図4(C)での電源線路170は、金属部170Dと、金属部170Eと、ビア170Fとを含む。これにより、伝送線路の並列経路が増加し、同じ厚みの金属部の1層に対して抵抗値を下げることができる。
【0049】
また、電源線路170の厚みを厚くしたからといって、信号線路140およびアンテナパターン121の寸法精度の観点から、以下に示すように、信号線路140およびアンテナパターン121の厚みを厚くすることは好ましくない。
【0050】
例えば、アンテナパターン121のX軸方向の長さは、アンテナモジュール100から出力される高周波信号の波長λの1/2とされることにより、アンテナモジュール100は、所望のアンテナ特性を得ることができる。仮に、アンテナパターン121の寸法精度が悪いと、アンテナモジュール100は、所望のアンテナ特性(所望の周波数帯域幅)を得ることができない。
【0051】
また、例えば、信号線路140のY軸方向の幅は、信号線路140の特性インピーダンスが所望のインピーダンス(例えば、50Ω)となるように設計される。信号線路140の寸法精度が悪いと、信号線路140の特性インピーダンスを所望のインピーダンスとすることが出来ない可能性がある。
【0052】
図5および
図6は、アンテナパターン121の厚みおよび信号線路140の厚みが薄いと寸法精度が良くなることを説明するための図である。まず、アンテナパターン121の厚みが薄いと寸法精度が良くなることを説明する。
図5では、アンテナパターン121が、エッチング加工により生成される場合を示す。
【0053】
図5(A)に示すように、誘電体層201と、金属層202とが接合された接合層が用いられる。金属層202は、例えば、銅で構成される。アンテナパターンの121の長さ(X軸方向の長さ)は、長さX1で製造されることが想定されている。金属層202を、長さX1のアンテナパターン121にするために、例えば、長さX1のレジスト228が付加され、該レジスト228が付加されていない箇所は、溶剤226により溶かされる。
【0054】
溶剤226により、金属層202を溶かす場合に、溶剤226の表面張力などの影響により、金属層202の両端を溶かしきれない場合がある。したがって、この場合には、レジスト228が除去されると、
図5(B)に示すように、アンテナパターン121の両端には、テーパ面230が形成されてしまう。
【0055】
図6(A)は、アンテナパターン121の厚みが厚い場合を示す図である。
図6(A)のように、アンテナパターン121の厚みが厚い場合には、アンテナパターン121のうちの誘電体層201側の幅が、長さX2となる。
図6(A)の例では、アンテナパターン121の長さとして想定されていた長さX1と、アンテナパターン121のうちの誘電体層201側の長さX2との差分は大きくなる。つまり、
図6(A)の例では、アンテナパターン121のX軸方向における誤差が大きくなってしまう。
【0056】
図6(B)は、アンテナパターン121の厚みが薄い場合を示す図である。
図6(B)のように、アンテナパターン121の厚みが薄い場合には、アンテナパターン121のうちの誘電体層201側の長さが、長さX3となる。
図6(B)の例では、アンテナパターン121の長さとして想定されていた長さX1と、アンテナパターン121のうちの誘電体層201側の長さX3との差分は、
図6(A)と比較して、小さくなる。つまり、
図6(B)の例では、アンテナパターン121のX軸方向における誤差を小さくできる。
【0057】
アンテナモジュール100が、所望のアンテナ特性を得るためには、厚み方向にわたってアンテナパターン121の長さがX1(例えば、λ/2)となることが好ましい。しかしながら、
図6(A)の例では、アンテナパターン121のX軸方向における誤差が大きくなることから、アンテナモジュール100は、所望のアンテナ特性を得難くなる。一方、
図6(B)の例では、アンテナパターン121のX軸方向における誤差を小さくできることから、アンテナモジュール100は、所望のアンテナ特性を得易くできる。
【0058】
以上により、アンテナパターン121の厚みが薄いほど、アンテナパターン121のX軸方向における誤差を小さくできることから、アンテナパターン121の寸法精度を向上させることができる。
【0059】
インピーダンスの不一致による伝送ロスを低減するために、信号線路140は、一般的に、信号線路140の特性インピーダンスが或る所望のインピーダンス(例えば、50Ω)となるように設計される。信号線路140の特性インピーダンスは、信号線路140の寸法によって定まるため、信号線路140についてもアンテナパターン121と同様に高い寸法精度が要求されることになる。そのため、
図5および
図6で説明したように、信号線路140についても寸法精度を確保するために信号線路140の厚みを薄くすることが望ましい。
【0060】
特に、
図2などに示したように、一般的に、信号線路140の幅(Y軸方向の幅)は、アンテナパターン121の幅よりも狭くなっている。また、アンテナモジュール100の製造工程において、小さな寸法ほど、寸法精度は確保し難くなる。したがって、アンテナパターン121よりも幅の狭い信号線路140については、特性インピーダンスを所望のインピーダンスにするために、アンテナパターン121よりもさらに高い寸法精度が求められることになる。
【0061】
そこで、本実施形態のアンテナモジュール100では、信号線路140の厚みH1が、アンテナパターン121の厚みH2よりも薄くなるように、形成されている。これによって、信号線路140の寸法精度を確保し、信号線路140の特性インピーダンスを所望のインピーダンスにすることができ、結果として、信号線路140による高周波信号の伝送ロスを抑制できる。
【0062】
また、
図6では、アンテナパターン121または信号線路140をエッチング加工により形成する場合を説明した。しかしながら、アンテナパターン121および信号線路140の少なくとも一方が他の加工で形成される場合であっても、アンテナパターン121および信号線路140の厚みが薄いほど、アンテナパターン121および信号線路140の寸法精度を向上させることができる。他の加工とは、例えば、メッキにより形成する加工である。
【0063】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のアンテナモジュール100Bを説明する。第2実施形態のアンテナモジュール100Bでは、電源線路170とアンテナパターン121との結合を抑制するために、接地導体190が、電源線路170とアンテナパターン121との間に設けられている。また、第2実施形態のアンテナモジュール100Bでは、電源線路170と信号線路140との結合を抑制するために、接地導体190が、電源線路170と信号線路140との間に設けられている。
【0064】
図7は、アンテナモジュール100Bの断面図である。
図7に示すように、接地導体190は、ビア190Aを介して、RFIC110に接続されている。なお、RFIC110には、外部の実装基板に設けられている接地点と接続されている接地線(特に図示せず)が設けられている。つまり、接地導体190は、RFIC110を介して接地点と接地されている。また、接地導体190には、開口部192が設けられており、ビア140Aが、開口部192を貫通している。
【0065】
図8は、アンテナモジュール100Bの各層のうち、アンテナパターン121を含むアンテナパターン層211と、接地導体190を含む接地導体層213と、電源線路170を含む電源線路層214と、RFIC110とを、アンテナモジュール100の第1面132のZ軸方向から平面視したときの平面図である。
【0066】
図8の例では、接地導体190の長さL1(X軸方向の長さ)は、電源線路170の長さL2(X軸方向の長さ)よりも長い。
図8の例では、接地導体190の幅W1(Y軸方向の長さ)は、電源線路170の幅W2(Y軸方向の長さ)と同一である。すなわち、
図8の例では、アンテナモジュール100Bの第1面132のZ軸方向から平面視したときに、接地導体190は、電源線路170の全てに重なるように配置される。
【0067】
なお、接地導体190は、電源線路170に重なるように配置されていれば、如何なる形状であってもよい。例えば、アンテナモジュール100の第1面132のZ軸方向から平面視したときの接地導体190の形状と、アンテナモジュール100の第1面132のZ軸方向から平面視したときの電源線路170の形状とは同一であってもよい。また、電源線路170と信号線路140との結合、および、電源線路170とアンテナパターン121との結合を抑制できれば、アンテナモジュール100の第1面132のZ軸方向から平面視したときの接地導体190は、アンテナモジュール100の第1面132のZ軸方向から平面視したときの電源線路170よりも小さい形状であってもよい。また、接地導体190は、接地導体層213の全面に形成されていてもよい。
【0068】
本実施形態では、接地導体190は、電源線路170とアンテナパターン121との間であり、かつ電源線路170と信号線路140との間に設けられる。したがって、接地導体190は、電源線路170からアンテナパターン121への電波の放射、および電源線路170から信号線路140への電波の放射を遮蔽(シールド)できる。
【0069】
特に、本実施形態のアンテナモジュール100Bでは、電源線路170の厚みH3を厚くすることにより、電源線路170を流れる電流値は大きくなる。そうすると、電源線路170から発生する電磁界が強くなるため、電源線路170と信号線路140とが結合し易くなるとともに、電源線路170とアンテナパターン121とが結合し易くなる。本実施形態では、接地導体190は、電源線路170とアンテナパターン121との間であり、かつ電源線路170と信号線路140との間に設けられる。したがって、電源線路170から発生する電磁界が強くなったとしても、接地導体190は電源線路170と信号線路140との結合、および電源線路170とアンテナパターン121との結合を抑制できる。
【0070】
また、アンテナモジュール100BのZ軸方向において、第1面132から平面視したときに、接地導体190が、電源線路170と重なる。したがって、接地導体190は、電源線路170と信号線路140との結合、および電源線路170とアンテナパターン121との結合を抑制できる。
【0071】
[第3実施形態]
第3実施形態のアンテナモジュール100Cでは、第2面134に電源回路160が設けられている。つまり、アンテナモジュール100Cは、RFIC110と電源回路160とが同一面(第2面134)上に設けられている。
図9は、第3実施形態のアンテナモジュール100Cの断面図である。
【0072】
図9に示されるように、アンテナモジュール100Cでは、RFIC110と電源回路160とが同一面(第2面134)上に設けられている。第1実施形態および第2実施形態では、アンテナモジュールの外部に電源回路160が設けられていた。本実施形態のアンテナモジュール100Cは、第1実施形態および第2実施形態のアンテナモジュールと比較すると、電源線路170の長さLを短くできる。従って、電源線路170での電力の伝送ロスを低下させつつ、アンテナモジュールの設計自由度を向上させることができる。
【0073】
なお、
図9では、接地導体190が、電源線路170とアンテナパターン121との間、および電源線路170と信号線路140との間に設けられている例を示した。しかし、接地導体190が電源線路170と第2面134との間に設けられている構成が採用されたアンテナモジュールにおいて、第2面134に電源回路160が設けられるようにしてもよい。
【0074】
[第4実施形態]
第1実施形態〜第3実施形態のアンテナモジュールでは、アンテナパターン121は、誘電体基板130から露出していた。しかし、アンテナパターン121は、誘電体基板130の内部の層に形成されてもよい。つまり、アンテナパターン121が、誘電体基板130から露出しないようにしてもよい。アンテナパターン121が、誘電体基板130の内部の層に形成されることにより、以下に示すように、アンテナモジュールの製造工程において製造コストを削減できる。
【0075】
図11は、アンテナモジュールを製造するために用いられる接合層203の一例である。
図11の接合層203は、ビアなどが形成される前の誘電体層201と、エッチング加工などが施される前の金属層202とが接合されることにより構成される。
【0076】
一般的に、誘電体基板130のような多層基板は、一般的には、
図11のような接合層203にエッチング処理を施して、積層することにより形成する。
【0077】
アンテナパターン121が、誘電体基板130から露出するアンテナモジュールを製造するためには、複数の層を積層する工程で、該複数の層のうちアンテナパターン121を含む層の積層方向における向きを、他の層とは逆向きになるように反転させる必要がある。
【0078】
さらに、アンテナパターン121は露出するので、該アンテナパターン121の保護のために、アンテナパターン121に対してレジスト加工等を行うことも必要となる。
【0079】
図10は、第4実施形態のアンテナモジュール100Dの断面図である。第4実施形態のアンテナモジュール100Dにおいては、
図10に示されるように、アンテナパターン121が、誘電体基板130の内部の層に形成されている。
【0080】
アンテナモジュール100Dのような内部の層にアンテナパターン121を有するアンテナモジュールでは、接合層を反転させる処理が不要となる。さらに、アンテナパターン121が露出していないことから、アンテナパターン121に対してレジスト加工も不要となる。したがって、アンテナパターン121が露出するアンテナモジュールと比較して、本実施形態のアンテナモジュール100Dと比較して製造コストを削減できる。
【0081】
以下では、
図11において、「ビアなどが形成される前の誘電体層201」を「加工前の誘電体層201」という。「エッチング加工などが施される前の金属層202」を「加工前の金属層202」という。また、加工前の誘電体層201と、加工前の金属層202とから構成される接合層203を「加工前の接合層203」という。
【0082】
図12は、アンテナモジュール100Dの製造方法の一例を示す図である。
図12(A)は、アンテナモジュール100Dを製造するために用いられる接合層を示した図である。
【0083】
図12(A)の例では、アンテナモジュール100Dを製造するために、複数の接合層としての5つの接合層が用いられる。なお、接合層の数は、「5」に限られず、他の数(たとえば、「6」)であってもよい。
【0084】
図12(A)の5つの接合層は、5つの加工前の接合層203(
図11参照)それぞれに対してエッチング処理およびビア形成処理などが施されたものである。5つの接合層は、アンテナパターン層211と、信号線路層212と、接地導体層213と、電源線路層214と、高周波回路層215である。アンテナパターン層211は「第1層」と対応し、電源線路層214は「第2層」と対応し、接地導体層213は「第3層」と対応する。
【0085】
アンテナパターン層211は、誘電体層211Aと、アンテナパターン121(金属層)とを含む。アンテナパターン121は、加工前の金属層202に対してエッチング加工などが施されることにより形成される。
【0086】
信号線路層212は、誘電体層212Aと、信号線路140(金属層)とを含む。信号線路140は、加工前の金属層202に対してエッチング加工などが施されることにより形成される。誘電体層212Aは、加工前の誘電体層201に対してビア140Bが形成されることにより構成される。
【0087】
接地導体層213は、誘電体層213Aと、接地導体190(金属層)とを含む。接地導体190は、加工前の金属層202に対してエッチング加工などが施されることにより形成される。誘電体層213Aは、加工前の誘電体層201に対してビア140Aが形成されることにより構成される。ビア140Aは、接地導体190に形成された開口部192を貫通する。
【0088】
電源線路層214は、誘電体層214Aと、電源線路170(金属層)とを含む。電源線路170は、加工前の金属層202に対してエッチング加工などが施されることにより形成される。誘電体層214Aは、加工前の誘電体層201に対してビア140Aと、ビア190Aとが形成されることにより構成される。
【0089】
高周波回路層215は、誘電体層215Aを含む。誘電体層215Aは、加工前の誘電体層201に対してビア190A、ビア140A、ビア170A、およびビア170Bが形成されることにより構成される。誘電体層215Aは、実装面215Bを有する。RFIC110は、該RFIC110がビア190Aと、ビア140Aと、ビア170Bとに、はんだバンプ(特に図示せず)を介して、電気的に接続されるように、実装面215Bに実装される。
【0090】
図12(A)に示す積層工程は、複数の接合層(アンテナパターン層211、信号線路層212、接地導体層213、電源線路層214、高周波回路層215)それぞれの金属層が、同一方向に向いた状態で積層される工程である。典型的には、積層工程は、複数の接合層それぞれの金属層が、RFIC110が実装される側の方向(Z軸の負方向)に向いた状態で積層される工程である。換言すると、積層工程は、高周波回路層215以外の接合層(つまり、4つの接合層)が、実装面215B側に向いた状態で、かつ、高周波回路層215の金属層が、これら4つの接合層の金属層と同一の方向に向いた状態で積層される工程である。
【0091】
図12(B)は、積層工程で積層された複数の接合層を圧着する圧着工程を示す図である。
図12(A)の複数の接合層が圧着されたときに、
図12(B)に示す形状となる。圧着とは、例えば、加熱圧着である。この圧着工程により、誘電体基板130が形成される。
【0092】
図12(C)は、複数の接合層が圧着された後、実装面215BにRFIC110が実装された状態を示す図である。
図12(C)では、さらに、ビア170Aに電源回路160が接続されている。
【0093】
次に、この第4実施形態のアンテナモジュール100D、およびアンテナモジュール100Dの製造方法の効果を説明する。第4実施形態のアンテナモジュール100Dの製造方法であれば、積層工程において、アンテナパターン層211の上下方向(Z軸方向)を逆転させる必要がない。したがって、積層工程での工数を削減できる。
【0094】
また、第4実施形態のアンテナモジュール100D、およびアンテナモジュール100Dの製造方法であれば、アンテナパターン121が外部に露出しないようにすることができる。したがって、アンテナパターン層211に対してレジスト処理を施す必要がない。以上により、アンテナモジュール100Dでは、製造コストを削減できる。
【0095】
図13は、アンテナモジュール100Dの製造方法のフローチャートである。ステップS2において、
図12(A)に示すように、複数の接合層が積層される。次に、ステップS4において、
図12(B)に示すように、積層された複数の接合層が圧着される。次に、ステップS6において、
図12(C)に示すように、圧着された接合層の実装面215BにRFIC110が実装される。
【0096】
このように、第4実施形態では、複数の接合層それぞれの金属層が同一方向(実装面215Bへの方向)に向いて積層され、該積層された該複数の接合層が圧着されることにより、アンテナモジュール100Dが製造される。
【0097】
図14は、本実施形態の手法により、複数の接合層が圧着された部材の一例を示す図である。
図14(A)の例では、誘電体層302に対して、電極304(エッチングされた金属層など)が形成される。この電極304はテーパ面304Aを含む。
【0098】
また、誘電体層306に対して、電極308(エッチングされた金属層など)が形成される。この電極304はテーパ面308Aを含む。そして、誘電体層302と誘電体層306とが本実施形態の手法より圧着される。
【0099】
本実施形態の手法により製造された部材は、
図12(A)に示すように、テーパ面304Aと、テーパ面308Aとの方向が同一となる。典型的には、テーパ面304Aにより先細りとなる方向と、テーパ面308Aにより先細りとなる方向とは、同一方向となる。
【0100】
図12(B)の例では、誘電体層312に対して、ビア316が形成される。ビア316は、テーパ面316Aを含む。また、誘電体層314に対して、ビア318が形成される。ビア318は、テーパ面318Aを含む。そして、誘電体層312と誘電体層316とが本実施形態の手法より圧着される。
【0101】
本実施形態の手法により製造された部材は、
図12(B)に示すように、テーパ面316Aと、テーパ面318Aとの方向が同一となる。典型的には、テーパ面316Aにより先細りとなる方向と、テーパ面318Aにより先細りとなる方向とは、同一方向となる。
【0102】
[変形例]
以上、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。本発明は、上記の実施形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。
【0103】
(1)
図3などでは、Z軸方向から平面視して、アンテナパターン121と、電源線路170とが重複する構成を開示した。しかし、Z軸方向から平面視して、アンテナパターン121の一部と、電源線路170とが重複する構成としてもよい。また、Z軸方向から平面視して、アンテナパターン121と、電源線路170とが重複しない構成としてもよい。
【0104】
(2)
図3などでは、RFIC110は、誘電体基板130の第2面134に実装される構成を開示した。しかし、アンテナモジュールは、インターポーザを含み、RFIC110と、第2面134との間にインターポーザを挟んで、RFIC110が誘電体基板130に実装されるようにしてもよい。
【0105】
(3)
図3などでは、電源線路170は、誘電体基板130の内部の層に設けられるとして説明した。しかし、電源線路170は、例えば、Z軸方向のうち、最も下方の層に設けられるようにしてもよい。この場合には、電源線路170が設けられた面には、電源線路170の保護のために、レジスト加工が施される。
【0106】
(4) 本実施形態では、電源線路170と信号線路140との間に設けられている接地導体と、電源線路170とアンテナパターン121との間に設けられている接地導体とは同一である(双方とも、接地導体190)として説明した。しかし、電源線路170と信号線路140との間に設けられている接地導体と、電源線路170とアンテナパターン121との間に設けられている接地導体とは別の接地導体としてもよい。
【0107】
(5) 本実施形態では、RFIC110は、第2面134上に設けられるとして説明したが、RFIC110は、第1面132上に設けられるようにしてもよい。つまり、RFIC110は、アンテナパターン121と同一の面上に設けられるようにしてもよい。
【0108】
(6) 本実施形態のアンテナモジュールの形状は、平坦形状であるとして説明したが、アンテナモジュールの形状は、湾曲形状を有するものであってもよい。
図15は、変形例のアンテナモジュール100EのXZ平面における断面図である。アンテナモジュール100Eは、誘電体基板401,402と、湾曲しているフレキシブル基板400とを有する。フレキシブル基板400は、可撓性を有する。誘電体基板401,402およびフレキシブル基板400は、たとえば、エポキシ、ポリイミドなどの樹脂で形成される。また、フレキシブル基板400は、より低い誘電率を有する液晶ポリマーあるいはフッ素系樹脂を用いて形成されてもよい。なお、フレキシブル基板400に代えて、たとえば熱可塑性を有するリジッド基板が設けられていてもよい。
【0109】
フレキシブル基板400の厚みは、誘電体基板401,402の厚みよりも薄く、湾曲させやすい構造となっている。アンテナモジュール100Eのうちの誘電体基板401が、RFIC110を介して実装基板500の主面501に配置される。誘電体基板402には、実装基板500の側面521の法線方向(すなわち、
図15のX軸方向)へ電波が放射されるようにアンテナパターン121が配置される。誘電体基板401において、信号線路140の一端は、ビア140Aを介してRFIC110に接続されている。信号線路140はフレキシブル基板400の内部を経由して、誘電体基板402まで延在する。誘電体基板402において、信号線路140の他端は、ビア140Bを介してアンテナパターン121に接続されている。
【0110】
誘電体基板401,402において、接地導体190は、実装基板500に対向した面に沿って配置されている。また、接地導体190は、フレキシブル基板400の湾曲部分に沿って配置されている。
【0111】
誘電体基板401において、電源線路170の一端は、ビア170Bを介してRFIC110に電気的に接続されている。誘電体基板401において、電源線路170はビア170Aを介して、電源回路160に接続されている。電源線路170は、フレキシブル基板400の内部を経由して、誘電体基板402まで延在する。
【0112】
フレキシブル基板400は、外側の湾曲面400Aと内側の湾曲面400Bとを有する。フレキシブル基板400の内部の信号線路140およびフレキシブル基板400の内部の電源線路170は共に、内側の湾曲面400Bに寄った領域に配置される。
【0113】
図15に示すように、誘電体基板401、フレキシブル基板400、および誘電体基板402の内部の電源線路170の厚みは、アンテナパターン121の厚みよりも厚い。したがって、アンテナモジュール100Eも、第1実施形態と同様に、設計自由度を向上させることができる。
【0114】
電源回路160からRFIC110に電源が供給されることによりRFIC110が駆動される。RFIC110が駆動されると、RFIC110において熱が発生する。アンテナモジュール100Eでは、電源回路160からの電源線路170が、フレキシブル基板400の内部を経由して、誘電体基板402まで延伸している。電源線路170は、銅、銀、アルミニウムなどの導電体であり、誘電体基板よりも高い伝熱係数を有する。これにより、フレキシブル基板400の内部の電源線路170および誘電体基板402の内部の電源線路170を用いて、RFIC110で発生した熱を誘電体基板402側へ伝達することができる。したがって、アンテナモジュール100Eは、RFIC110で発生した熱を電源線路170により効率的に放出することができ、結果として、RFIC110の冷却効果を高めることができる。
【0115】
また、フレキシブル基板400の内部の信号線路140が、外側の湾曲面400Aに寄った領域に配置される構成の場合、フレキシブル基板400の内部の信号線路140が内側の湾曲面400Bに寄った領域に配置される構成と比較して、信号線路140に加わる引張力は大きくなる。信号線路140に加わる引張力が大きくなると、信号線路140の長さは長くなり、かつ信号線路140の断面積は、小さくなる。したがって、信号線路140のインピーダンスの変化率が増大してしまい、信号線路140の所望のインピーダンスから大きく乖離してしまう。また、信号線路140に加わる引張力は大きくなると、信号線路140が断線する可能性が高くなる。
【0116】
アンテナモジュール100Eでは、
図15に示すように、フレキシブル基板400の内部の信号線路140が、内側の湾曲面400Bに寄った領域に配置される。したがって、信号線路140に対して圧縮力が加わる。また、信号線路140は電源線路170よりも外側に配置されることから、信号線路140が電源線路170よりも内側に配置される構成と比較して、信号線路140に対して加わる圧縮力を低減できる。したがって、フレキシブル基板400の内部の信号線路140が、内側の湾曲面400Bに寄った領域に配置される構成であれば、フレキシブル基板400の内部の信号線路140が、外側の湾曲面400Aに寄った領域に配置される構成と比較して、信号線路140の変形量を小さくすることができる。信号線路140の変形量が小さくなると、信号線路140のインピーダンスの変化率を抑制することができる。したがって、アンテナモジュール100Eでは、信号線路140の所望のインピーダンスからの乖離量を低減できる。また、アンテナモジュール100Eでは、信号線路140に引張力が加わらないので、信号線路140が断線する可能性を低減できる。
【0117】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。