(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る射出成形金型1の断面図である。この
図1に示すように、射出成形金型1は、固定側金型2と可動側金型3に大別される。そして、この射出成形金型1は、型締め時に、固定側金型2と可動側金型3の突き合わせ面側にキャビティ4が形成され、このキャビティ4内に図示しないゲートから溶融樹脂が射出され、キャビティ4の形状を転写したような成形品が製造されるようになっている。
【0013】
(固定側金型)
図1に示すように、固定側金型2は、固定側キャビティ駒5と固定側金型本体6とを有している。固定側金型本体6は、固定側キャビティ駒5が断熱材7(例えば、日光化成株式会社製の商品名「ロスナボード」)を介して取り付けられる第1固定側金型本体8と、固定側キャビティ駒5を収容するキャビティ駒収容穴10が形成された第2固定側金型本体11と、を有している。第1及び第2固定側金型本体8,11は、固定側金型本体6の温度を成形品の取り出し温度に維持するために、流体(熱水又は蒸気)を流動させる固定側温度調節流路(12)が形成されている。この固定側温度調節流路(12)は、固定側キャビティ駒5の第1固定側温度調節流路13と区別するために、第2固定側温度調節流路12と呼称する。なお、第1及び第2固定側金型本体8,11は、第2固定側温度調節流路12に代えて、カートリッジヒータ、シーズヒータ等の抵抗加熱ヒータ(14)を設置してもよい。この第1及び第2固定側金型本体8,11に設置する抵抗加熱ヒータ(14)は、固定側キャビティ駒5の第1固定側抵抗加熱ヒータ15と区別するために、第2固定側抵抗加熱ヒータ14と呼称する。また、第1及び第2固定側金型本体8,11は、第2固定側温度調節流路12と第2固定側抵抗加熱ヒータ14とを併用してもよい。
【0014】
また、
図1及び
図2に示すように、固定側キャビティ駒5は、略円柱形状に形作られ、中心軸CLに沿った一端側に固定側キャビティ形成部分16が形成されている。この固定側キャビティ形成部分16は、可動側キャビティ形成部分17と共にキャビティ4を形成するものであり、固定側キャビティ駒5の一端面に形成された凹所である。また、固定側キャビティ駒5は、中心軸CLに沿った他端側に、径方向外方側へ鍔状に張り出すフランジ部18が形成されている。そして、この固定側キャビティ駒5は、その中心軸CLに沿った他端側が円板状の断熱材7を介して第1固定側金型本体8に支持され、フランジ部18が第2固定側金型本体11の固定側キャビティ駒収容穴10のストッパ面20に押し付けられ、固定側金型本体6に固定されるようになっている。このような固定側キャビティ駒5は、断熱材7で第1固定側金型本体8との間の熱伝導が遮断されるようになっている。
【0015】
また、
図1乃至
図3に示すように、固定側キャビティ駒5は、その内部に第1固定側温度調節流路13が形成されている。この第1固定側温度調節流路13は、固定側キャビティ駒5の内部に一筆書き状に連続するように形成された二条の螺旋状流路21を有し、その二条の螺旋状流路21の一端が流体導入路22に接続され、その二条の螺旋状流路21の他端が流体排出路23に接続されている。そして、この第1固定側温度調節流路13の一部は、キャビティ形成部分16の近傍に位置している。なお、流体導入路22及び流体排出路23は、断熱材7及び第1固定側金型本体8を貫通して、流路切換用のバルブユニット24に接続されている。
【0016】
図1乃至
図3に示す第1固定側温度調節流路13は、流路切換用のバルブユニット24を介して第1流体供給装置25、第2流体供給装置26、又はコンプレッサ27に接続されている。そして、第1固定側温度調節流路13は、バルブユニット24によって第1流体供給装置25に接続された場合、第1流体供給装置25から第1の流体が供給され、固定側キャビティ駒5を成形品の取り出し温度(T1℃)以上の温度(T2℃)まで加熱するようになっている(
図5参照)。また、第1固定側温度調節流路13は、バルブユニット24によって第2流体供給装置26に接続された場合、第2流体供給装置26から第2の流体が供給され、固定側キャビティ駒5を成形品の取り出し温度(T1℃)まで冷却するようになっている(
図5参照)。また、第1固定側温度調節流路13は、バルブユニット24によってコンプレッサ27に接続された場合、コンプレッサ27から圧縮空気が供給され、内部に残留する流体(第1の流体又は第2の流体)及び圧縮空気をドレンタンク28側に排出できるようなっている。第1の流体は、第2の流体よりも温度が高い高温水又は蒸気である。第2の流体は、第1の流体よりも温度が低く、第1の流体及び第1固定側抵抗加熱ヒータ15によって成形品の取り出し温度以上の温度(T3℃>T2℃)に加熱された固定側キャビティ駒5を成形品の取り出し温度(T1℃)まで冷却できる低温水である(
図5参照)。なお、T1℃、T2℃、及びT3℃は、射出成形される樹脂材料の種類に
よって異なる。例えば、成形品の取り出し温度(T1℃)は、約60℃〜120℃になる。また、第1固定側温度調節流路13を流動した第1の流体は第1液体供給装置25に還流され、第1固定側温度調節流路13を流動した第2の流体は第2液体供給装置26に還流されるようになっている。
【0017】
図1、
図2、及び
図4に示す第1固定側抵抗加熱ヒータ15は、フレキシブルヒータであり、固定側キャビティ駒5の外周面5aに螺旋状に形成されたヒータ収容溝30内に収容されている。この第1固定側抵抗加熱ヒータ15は、スイッチ31によって通電がオン・オフされるようになっている。そして、この第1固定側抵抗加熱ヒータ15は、一部(先端側)が固定側キャビティ形成部分16の近傍に位置し、第1固定側温度調節流路13に第1の流体が流動するのと同時に通電され、固定側キャビティ駒5を成形品の取り出し温度以上の温度(T3℃)に加熱する(
図5参照)。
【0018】
図1に示すように、熱電対32は、第1固定側金型本体8及び断熱材7を貫通し、固定側キャビティ駒5の固定側キャビティ形成部分16の近傍まで挿入され、固定側キャビティ駒5の固定側キャビティ形成部分16近傍の温度測定データをコントローラ33に入力できるようになっている。コントローラ33は、予めインストールされた制御プログラム及び熱電対32等からの入力データに基づいて、第1流体供給装置25、第2流体供給装置26、コンプレッサ27、バルブユニット24、スイッチ31の作動を制御するようになっている。
【0019】
図1及び
図2に示した固定側キャビティ駒5は、3Dプリンタによる金属粉末積層法を使用して形成されている。その結果、固定側キャビティ駒5は、複雑な三次元的構造の第1固定側温度調節流路13が内部に容易且つ確実に形成されると共に、螺旋状のヒータ収容溝30及び固定側キャビティ形成部分16が容易且つ確実に形成される。
【0020】
図1に示すように、第1固定側抵抗加熱ヒータ15の外周側には、ステンレス鋼等の金属で形成された円筒状の遮熱体34が嵌合されている。そして、この遮熱体34と第2固定側金型本体11(キャビティ駒収容穴10の内面)との間には、隙間(空気層)35が設けられている。そして、固定側キャビティ駒
5と第2固定側金型本体11との接触箇所は、第2固定側金型本体11に形成されたキャビティ駒収容穴10の小径部分36と第2固定側金型本体11のストッパ面20の極限られた部分であり、固定側キャビティ駒5から第2固定側金型本体11への熱伝導が抑えられ、固定側キャビティ駒5の熱が第2固定側金型本体11側に逃げにくくなっている。
【0021】
(可動側金型)
図1に示す可動側金型3は、可動側キャビティ駒37と可動側金型本体38とを有している。可動側金型本体38は、可動側キャビティ駒37が断熱材7を介して取り付けられる第1可動側金型本体40と、可動側キャビティ駒37を収容するキャビティ駒収容穴41が形成された第2可動側金型本体42と、を有している。第1及び第2可動側金型本体40,42は、可動側金型本体38の温度を成形品の取り出し温度に維持するために、流体(熱水又は蒸気)を流動させる可動側温度調節流路(43)が形成されている。この可動側温度調節流路(43)は、可動側キャビティ駒37の第1可動側温度調節流路44と区別するために、第2可動側温度調節流路43と呼称する。なお、第1及び第2可動側金型本体40,42は、第2可動側温度調節流路43に代えて、カートリッジヒータ、シーズヒータ等の可動側抵抗加熱ヒータ(45)を設置してもよい。この第1及び第2可動側金型本体40,42に設置する可動側抵抗加熱ヒータ(45)は、可動側キャビティ駒37の第1可動側抵抗加熱ヒータ46と区別するために、第2可動側抵抗加熱ヒータ45と呼称する。また、第1及び第2可動側金型本体40,42は、第2可動側温度調節流路43と第2可動側抵抗加熱ヒータ46とを併用してもよい。
【0022】
また、
図1及び
図2に示すように、可動側キャビティ駒37は、略円柱形状に形作られ、中心軸CLに沿った一端側に可動側キャビティ形成部分17が形成されている。この可動側キャビティ形成部分17は、固定側キャビティ形成部分16と共にキャビティ4を形成するものであり、可動側キャビティ駒37の一端面に形成された凹所である。そして、可動側キャビティ駒37は、中心軸CLに沿った一端側の外周面37aが第2可動側金型本体42に形成されたキャビティ駒収容穴41の小径部分47で径方向に位置決めされる。また、可動側キャビティ駒37は、中心軸CLに沿った他端側に、径方向外方側へ鍔状に張り出すフランジ部48が形成されている。そして、この可動側キャビティ駒37は、その中心軸CLに沿った他端側が円板状の断熱材7を介して第1可動側金型本体40に支持され、フランジ部48が第2可動側金型本体42のキャビティ駒収容穴41のストッパ面50に押し付けられ、可動側金型本体38に固定されるようになっている。このような可動側キャビティ駒37は、断熱材7で第1可動側金型本体40との間の熱伝導が遮断されるようになっている。
【0023】
また、
図1及び
図3に示すように、可動側キャビティ駒37は、その内部に第1可動側温度調節流路44が形成されている。この第1可動側温度調節流路44は、可動側キャビティ駒37の内部に一筆書き状に連続するように形成された二条の螺旋状流路51を有し、その二条の螺旋状流路51の一端が流体導入路52に接続され、その二条の螺旋状流路51の他端が流体排出路53に接続されている。そして、この第1可動側温度調節流路44の一部は、可動側キャビティ形成部分17の近傍に位置している。なお、流体導入路52及び流体排出路53は、断熱材7及び第1可動側金型本体40を貫通して、流路切換用のバルブユニット24に接続されている。
【0024】
図1乃至
図3に示す第1可動側温度調節流路44は、流路切換用のバルブユニット24を介して第1流体供給装置25、第2流体供給装置26、又はコンプレッサ27に接続されている。そして、第1可動側温度調節流路44は、バルブユニット24によって第1流体供給装置25に接続された場合、第1流体供給装置25から第1の流体が供給され、可動側キャビティ駒37を成形品の取り出し温度(T1℃)以上の温度(T2℃)まで加熱するようになっている(
図5参照)。また、第1可動側温度調節流路44は、バルブユニット24によって第2流体供給装置26に接続された場合、第2流体供給装置26から第2の流体が供給され、可動側キャビティ駒37を成形品の取り出し温度(T1℃)まで冷却するようになっている(
図5参照)。また、第1可動側温度調節流路44は、バルブユニット24によってコンプレッサ27に接続された場合、コンプレッサ27から圧縮空気が供給され、内部に残留する流体(第1の流体又は第2の流体)及び圧縮空気をドレンタンク28側に排出できるようなっている。なお、第1可動側温度調節流路44を流動した第1の流体は第1液体供給装置25に還流され、第1可動側温度調節流路44を流動した第2の流体は第2液体供給装置26に還流されるようになっている。
【0025】
図1、
図2、及び
図4に示す第1可動側抵抗加熱ヒータ46は、フレキシブルヒータであり、可動側キャビティ駒37の外周面37aに螺旋状に形成されたヒータ収容溝54内に収容されている。この第1可動側抵抗加熱ヒータ46は、スイッチ31によって通電がオン・オフされるようになっている。そして、この第1可動側抵抗加熱ヒータ46は、一部(先端側)が可動側キャビティ形成部分17の近傍に位置し、第1可動側温度調節流路44に第1の流体が流動するのと同時に通電され、可動側キャビティ駒37を成形品の取り出し温度以上の温度(T3℃)に加熱する(
図5参照)。
【0026】
図1に示すように、熱電対32は、第1可動側金型本体40及び断熱材7を貫通し、可動側キャビティ駒37の可動側キャビティ形成部分17の近傍まで挿入され、可動側キャビティ駒37の可動側キャビティ形成部分17近傍の温度測定データをコントローラ33に入力できるようになっている。
【0027】
図1及び
図2に示した可動側キャビティ駒37は、3Dプリンタによる金属粉末積層法を使用して形成されている。その結果、可動側キャビティ駒37は、複雑な三次元的構造の第1可動側温度調節流路44が内部に容易且つ確実に形成されると共に、螺旋状のヒータ収容溝54及び可動側キャビティ形成部分17が容易且つ確実に形成される。
【0028】
図1に示すように、第1可動側抵抗加熱ヒータ46の外周側には、ステンレス鋼等の金属で形成された円筒状の遮熱体55が嵌合されている。そして、この遮熱体55と第2可動側金型本体42(キャビティ駒収容穴41の内面)との間には、隙間56(空気層)が設けられている。また、可動側キャビティ駒37のフランジ部48の外周面と第2可動側金型本体42との間には、隙間(空気層)が設けられている。そして、可動側キャビティ駒37と第2可動側金型本体42との接触箇所は、第2可動側金型本体42に形成されたキャビティ駒収容穴41の小径部分47と第2可動側金型本体42のストッパ面50の極限られた部分であり、可動側キャビティ駒37から第2可動側金型本体42への熱伝導が抑えられ、可動側キャビティ駒37の熱が第2可動側金型本体42側に逃げにくくなっている。
【0029】
(射出成形金型の制御方法)
図5乃至
図6は、本実施形態に係る射出成形金型1の制御方法を説明するための図である。なお、
図5は、固定側キャビティ駒5及び可動側キャビティ駒37の温度と射出成形時間との関係を示す図である。
図6は、射出成形金型1の作動状態を示すタイムチャート図である。なお、射出成形金型1は、固定側金型2の固定側キャビティ駒5と可動側金型3の可動側キャビティ駒37が同時に作動制御される。
【0030】
(制御の第1ステップ)
本実施形態に係る射出成形金型1を使用した射出成形は、型締めした後、コントローラ33によってバルブユニット24が作動制御され、固定側キャビティ駒5の第1固定側温度調節流路13と可動側キャビティ駒37の第1可動側温度調節流路44に第1流体供給装置25から第1の流体が供給されると共に、コントローラ33によってスイッチ31がオンさせられ、固定側キャビティ駒5の第1固定側抵抗加熱ヒータ15と可動側キャビティ駒37の第1可動側抵抗加熱ヒータ46が通電されることにより、成形サイクルがスタートする。その結果、固定側キャビティ駒5は、第1固定側温度調節流路13を流動する第1の流体と第1固定側抵抗加熱ヒータ15によって成形品の取り出し温度(T1℃)以上の温度に加熱される。また、可動側キャビティ駒37は、第1可動側温度調節流路44を流動する第1の流体と第1可動側抵抗加熱ヒータ46によって成形品の取り出し温度(T1℃)以上の温度に急速に加熱される。なお、固定側キャビティ駒5及び可動側キャビティ駒37は、予め成形品の取り出し温度以上の温度に加熱された第1の流体が第1固定側温度調節流路13及び第1可動側温度調節流路44に供給されるため、第1固定側抵抗加熱ヒータ15及び第1可動側抵抗加熱ヒータ46の温度上昇の遅れが第1の流体から供給される熱エネルギーによって補われる。
【0031】
(制御の第2ステップ)
射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5と可動側キャビティ駒37の温度が熱電対32,32でそれぞれ測定され、固定側キャビティ駒5及び可動側キャビティ駒37の温度が成形品の取り出し温度(T1℃)以上の第1の設定温度(T2℃)に到達すると(t1秒経過すると)、コントローラ33によってバルブユニット24が作動させられ、第1流体供給装置25から第1固定側温度調節流路13及び第1可動側温度調節流路44への第1の流体の供給が停止され、第1固定側温度調節流路13及び第1可動側温度調節流路44の第1の流体が第1流体供給装置25に還流される。
【0032】
(制御の第3ステップ)
射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5と可動側キャビティ駒37が第1の設定温度(T2℃)から第2の設定温度(T3℃)に到達するまで(t1秒からt2秒まで)、固定側キャビティ駒5が第1固定側抵抗加熱ヒータ15のみによって加熱され、可動側キャビティ駒37が第1可動側抵抗加熱ヒータ46によってのみ加熱される。
【0033】
(制御の第4ステップ)
そして、射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5と可動側キャビティ駒37の温度が第2の設定温度(T3℃)に到達すると(t2秒経過すると)、コントローラ33によってスイッチ31がオフさせられ、第1固定側抵抗加熱ヒータ15及び第1可動側抵抗加熱ヒータ46への通電が遮断される。
【0034】
(制御の第5ステップ)
また、射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5と可動側キャビティ駒37の温度が第2の設定温度(T3℃)に到達すると(t2秒経過すると)、溶融樹脂が図示しないゲートからキャビティ4内に射出されると共に、バルブユニット24がコントローラ33によって作動させられ、コンプレッサ27と第1固定側温度調節流路13及び第1可動側温度調節流路44とがバルブユニット24を介して接続され、圧縮空気が第1固定側温度調節流路13及び第1可動側温度調節流路44に瞬間的に(僅かな時間Δtだけ)供給され、第1固定側温度調節流路13及び第1可動側温度調節流路44に残留している第1の流体がドレンタンク28に圧縮空気と共に排出される。なお、生産サイクルが僅かに長くなることを許容できる場合には、圧縮空気を第1固定側温度調節流路13及び第1可動側温度調節流路44に供給するのを省略してもよい。
【0035】
(制御の第6ステップ)
また、射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5と可動側キャビティ駒37の温度が第2の設定温度(T3℃)で維持され、溶融樹脂がキャビティ4に充填された後に保圧された状態で所定時間経過(t3秒経過)すると、バルブユニット24がコントローラ33によって作動させられ、第1固定側温度調節流路13と第1可動側温度調節流路44に第2流体供給装置26から第2の流体が供給される。この第2の流体は、第1固定側温度調節流路13と第1可動側温度調節流路44を流動して、固定側キャビティ駒5及び可動側キャビティ駒37の温度を第2の設定温度(T3℃)から成形品の取り出し温度(T1℃)まで急速に冷却する。
【0036】
(制御の第7ステップ)
そして、射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5及び可動側キャビティ駒37の温度が成形品の取り出し温度(T1℃)に到達すると(t4秒経過すると)、バルブユニット24がコントローラ33によって作動させられ、第2流体供給装置26からの第2の流体の供給が停止されると共に、第2の流体が第1固定側温度調節流路13と第1可動側温度調節流路44から第2流体供給装置26に還流される。
【0037】
(制御の第8ステップ)
また、射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5及び可動側キャビティ駒37の温度が成形品の取り出し温度(T1℃)に到達すると(t4秒経過すると)、可動側金型3が固定側金型2から分離され(型開きされ)、可動側キャビティ駒37の可動側キャビティ形成部分17に残っている成形品が図示しないエジェクタピンで取り出される。
【0038】
(制御の第9ステップ)
また、射出成形金型1は、成形品の取り出し作業が終了すると(t5秒経過すると)、型締めされ(可動側金型3が固定側金型2に押し当てられ)、次の射出成形サイクルがスタートし、第1固定側温度調節流路13と第1可動側温度調節流路44に第1の流体が供給されると共に、第1固定側抵抗加熱ヒータ15と第1可動側抵抗加熱ヒータ46が通電される。このように、第1固定側温度調節流路13と第1可動側温度調節流路44には、第1の流体と第2の流体が交互に供給され、射出成形サイクルが繰り返される。
【0039】
(第1実施形態の第1の効果)
本実施形態に係る射出成形金型1によれば、固定側キャビティ駒5は、第1固定側抵抗加熱ヒータ15の温度上昇の遅れが第1固定側温度調節流路13を流動する第1の流体の熱で補われる。また、可動側キャビティ駒37は、第1可動側抵抗加熱ヒータ46の温度上昇の遅れが第1可動側温度調節流路44を流動する第1の流体の熱で補われる。したがって、本実施形態の射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5が第1固定側抵抗加熱ヒータ15のみで加熱される場合、及び可動側キャビティ駒37が第1可動側抵抗加熱ヒータ46のみで加熱される場合と比較し、固定側キャビティ駒5及び可動側キャビティ駒37を短時間で射出成形に適した温度(T3℃)に加熱することができる。その結果、本実施形態に係る射出成形金型1は、成形サイクル(成形品の生産サイクル)を短縮できる。
【0040】
(第1実施形態の第2の効果)
また、本実施形態に係る射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5が断熱材7を介して第1固定側金型本体8に取り付けられ、固定側キャビティ駒5から第1固定側金型本体8への熱伝導が防止される。また、本実施形態に係る射出成形金型1は、可動側キャビティ駒37が断熱材7を介して第1可動側金型本体40に取り付けられ、可動側キャビティ駒37から第1可動側金型本体40への熱伝導を防止できる。したがって、本実施形態に係る射出成形金型1は、上記第1の効果と相俟って、より一層成形サイクルを短縮できる。
【0041】
(第1実施形態の第3の効果)
また、本実施形態に係る射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5の第1固定側抵抗加熱ヒータ15の周囲が遮熱体34で覆われると共に、遮熱体34と第2固定側金型本体11との間に隙間35(空気層)が形成されているため、固定側キャビティ駒5から第2固定側金型本体11への熱の移動を抑えることができる。また、本実施形態に係る射出成形金型1は、可動側キャビティ駒37の第1可動側抵抗加熱ヒータ46の周囲が遮熱体55で覆われると共に、遮熱体55と第2可動側金型本体42との間に隙間56(空気層)が形成されているため、可動側キャビティ駒37から第2可動側金型本体42への熱の移動を抑えることができる。したがって、本実施形態に係る射出成形金型1は、上記第1及び第2の効果と相俟って、より一層成形サイクルを短縮できる。
【0042】
(第1実施形態の第4の効果)
また、本実施形態に係る射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5が第1固定側抵抗加熱ヒータ15で射出成形に適した第2の設定温度(T3℃)まで加熱され、可動側キャビティ駒37が第1可動側抵抗加熱ヒータ46で射出成形に適した第2の設定温度(T3℃)まで加熱されるようになっているため、射出温度が高いスーパーエンジニアリングプラスチックの射出成形を短時間で効率的に行うことが可能になる。
【0043】
(第1実施形態の第5の効果)
また、本実施形態に係る射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5及び可動側キャビティ駒37の内部に高温水と低温水を交互に流動させるヒート&クール成形技術を採用しているため、高精度(高転写精度)で低歪みの成形品を生産できる。
【0044】
(第1実施形態の第6の効果)
また、本実施形態に係る射出成形金型1は、第1固定側温度調節流路13及び第1可動側温度調節流路44が二条の螺旋形状であるため、第1固定側温度調節流路13及び第1可動側温度調節流路44が直線状の場合と比較し、流路長さが長くなり、第1固定側温度調節流路13及び第1可動側温度調節流路44を流動する第1の流体及び第2の流体と固定側キャビティ駒5及び可動側キャビティ駒37との接触面積が大きい。その結果、本実施形態に係る射出成形金型1は、第1の流体の熱を固定側キャビティ駒5及び可動側キャビティ駒37の全体に均一に且つ効率的に伝達でき、固定側キャビティ駒5及び可動側キャビティ駒37の加熱速度が大きい。また、本実施形態に係る射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5及び可動側キャビティ駒37の全体の温度を均一且つ効率的に吸収でき、固定側キャビティ駒5及び可動側キャビティ駒37の冷却速度が大きい。
【0045】
(第1実施形態の第7の効果)
また、本実施形態に係る射出成形金型1は、第1固定側温度調節流路13の少なくとも一部が固定側キャビティ駒5の固定側キャビティ形成部分16の近傍に位置し、第1可動側温度調節流路44の少なくとも一部が可動側キャビティ駒37の可動側キャビティ形成部分17の近傍に位置しているため、第1固定側温度調節流路13及び第1可動側温度調節流路44を流動する第1の流体でキャビティ4近傍を効率的に加熱でき、第1固定側温度調節流路13及び第1可動側温度調節流路44を流動する第2の流体でキャビティ4の近傍領域を効率的に冷却できる。その結果、本実施形態に係る射出成形金型1は、ヒート&クール成形技術の効果を高め、高精度で且つ低歪みの成形品を得ることができる。
【0046】
(第1実施形態の第8の効果)
また、本実施形態に係る射出成形金型1は、成形品の取り出し時に、第1可動側金型本体40の温度と可動側キャビティ駒37の温度が成形品の取り出し温度(T1℃)に合わせられるため、第1可動側金型本体40のエジェクタピン収容穴と可動側キャビティ駒37のエジェクタピン収容穴との位置に熱膨張差に起因するずれを生じることがなく、エジェクタピンが成形品の取り出し時に円滑に作動する。
【0047】
(第1実施形態の変形例1)
図7は、固定側キャビティ駒5の変形例を説明する図である。この
図7に示す固定側キャビティ駒5は、金属接合技術を使用して略円柱形状に形成されており、複数の円板状の金属製プレート61〜68を積み重ねて一体化することにより、内部に第1固定側温度調節流路70が形成されている。この固定側キャビティ駒5は、中心軸CLに沿った一端側に固定側キャビティ形成部分16が形成され、中心軸CLに沿った他端側にフランジ部61aが形成されている。なお、この固定側キャビティ駒5は、8枚の円板状の金属製プレート61〜68からなっているが、これに限定されず、成形品の大きさ等に応じた最適の枚数の金属製プレートを重ねて形成される。
【0048】
図7に示す固定側キャビティ駒5は、中心軸CLの他端側から順に第1乃至第8プレート61〜68とすると、第1プレート61が他のプレート62〜68よりも外径寸法が大きく、第1プレート61がフランジ部61aを形作るようになっている。そして、この第1プレート61は、
図8に示すように、流体導入路71の一部と流体排出路72の一部が表裏を貫通するように形成されている。
図9は、第2プレート62、第4プレート64、及び第6プレート66を示す図である。また、
図10は、第3プレート63、第5プレート65、及び第7プレート67を示す図である。また、
図11は、第8プレート68を示す図である。
【0049】
第2乃至第8プレート62〜68は、
図9(a)、
図10(a)及び
図11(a)に示すように、略C形状の円弧状流路73,74が下面側にそれぞれ形成されており、各円弧状流路73,74が上下方向(中心軸CLに沿った方向)に重なるように形成されている(
図7(d)参照)。なお、第2乃至第7プレート62〜67の円弧状流路73は、同一形状に形成されており、第2乃至第7プレート62〜67の下面に凹設された円弧状の溝である。また、第8プレート68の円弧状流路74は、第8プレート68の下面に凹設された円弧状の溝であり、その流路長さが第2乃至第7プレート62〜67の円弧状流路73よりも長く形成されている。また、第2乃至第7プレート62〜67は、第1プレート61の流体排出路72に接続される流体排出路72が円弧状流路73の一端と他端の間を表裏に貫通するように形成されている。
【0050】
第2プレート62は、円弧状流路73の一端が第1プレート61の流体導入路71に接続され、円弧状流路73の他端が中心軸CLに沿って延びる接続路75を介して第3プレート63の円弧状流路73の他端に接続されている。また、第3プレート63は、円弧状流路73の一端が中心軸CLに沿って延びる接続路75を介して第4プレート64の円弧状流路73の一端に接続されている。また、第4プレート64は、円弧状流路73の他端が中心軸CLに沿って延びる接続路75を介して第5プレート65の円弧状流路73の他端に接続されている。また、第5プレート65は、円弧状流路73の一端が中心軸CLに沿って延びる接続路75を介して第6プレート66の円弧状流路73の一端に接続されている。また、第6プレート66は、円弧状流路73の他端が中心軸CLに沿って延びる接続路75を介して第7プレート67の円弧状流路73の他端に接続されている。また、第7プレート67は、円弧状流路73の一端が中心軸CLに沿って延びる接続路75を介して第8プレート68の円弧状流路74の一端に接続されている。そして、第8プレート68は、円弧状流路74の他端が第7プレート67の流体排出路72に接続され、第6乃至第2プレート66〜62の流体排出路72を介して第1プレート61の流体排出路72に接続されている。これによって、第1プレート61の流体導入路71と流体排出路72は、第2乃至第8プレート62〜68の円弧状流路73,74及び接続路75を介して一筆書き状に連続するように接続されている(
図7(d)参照)。そして、第1固定側温度調整流路70は、これら流体導入路71、円弧状流路73,74、及び接続路75によって形作られている。なお、第8プレート68の円弧状流路74は、固定側キャビティ駒5の固定側キャビティ形成部分16の近傍に位置している(
図11参照)。
【0051】
なお、
図7に示す固定側キャビティ駒5は、流体導入路71を流体排出路72に変更し、流体排出路72を流体導入路71に変更してもよい。また、
図7に示す固定側キャビティ駒5は、固定側キャビティ形成部分16の形状を変更することにより、可動側キャビティ駒37としても使用することが可能である。また、本実施形態に係る固定側キャビティ駒5は、第1固定側抵抗加熱ヒータ(フレキシブルヒータ)を収容するヒータ収容溝が外周面5aに切削加工される。
【0052】
以上のような本変形例に係る固定側キャビティ駒5は、
図1に示した固定側キャビティ駒5に代えて使用することができる。また、本変形例に係る固定側キャビティ駒5を使用した射出成形金型1は、第1実施形態に係る射出成形金型1と同様の効果を得ることができる。
【0053】
[第2実施形態]
図12は、本発明の第2実施形態に係る射出成形金型1の断面図である。本実施形態に係る射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5の第1固定側温度調節流路76と可動側キャビティ駒37の第1可動側温度調整流路77が第1実施形態の第1固定側温度調節流路13と第1可動側温度調節流路44と異なる点を除き、他の構成が第1実施形態に係る射出成形金型1と同様である。したがって、本実施形態に係る射出成形金型1は、
図1に示した第1実施形態に係る射出成形金型1と同一の構成部分に同一符号を付し、第1実施形態に係る射出成形金型1の説明と重複する説明を省略する。
【0054】
図12に示す本実施形態に係る射出成形金型1において、第1固定側温度調節流路76は、固定側キャビティ形成部分16の近傍に位置し且つ固定側キャビティ形成部分16の形状に倣うように形成された円板状の流体溜まり78と、この流体溜まり78に第1の流体又は第2の流体を案内する流体導入路22と、流体溜まり78の第1の流体又は第2の流体を固定側金型本体6の外部に排出する流体排出路23と、を有している(
図13参照)。また、
図12に示すように、第1可動側温度調節流路77は、可動側キャビティ形成部分17の近傍に位置し且つ可動側キャビティ形成部分17の形状に倣うように形成された円板状の流体溜まり80と、この流体溜まり80に第1の流体又は第2の流体を案内する流体導入路52と、流体溜まり80の第1の流体又は第2の流体を可動側金型本体38の外部に排出する流体排出路53と、を有している(
図13参照)。
【0055】
本実施形態に係る射出成形金型1は、第1実施形態に係る射出成形金型1と同様の効果を得ることができる。
【0056】
[第3実施形態]
図14は、本発明の第3実施形態に係る射出成形金型1の断面図である。本実施形態に係る射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5の第1固定側抵抗加熱ヒータ81と可動側キャビティ駒37の第1可動側抵抗加熱ヒータ82が第1実施形態の第1固定側抵抗加熱ヒータ15と第1可動側抵抗加熱ヒータ46と異なる点を除き、他の構成が第1実施形態に係る射出成形金型1と同様である。したがって、本実施形態に係る射出成形金型1は、
図1に示した第1実施形態に係る射出成形金型1と同一の構成部分に同一符号を付し、第1実施形態に係る射出成形金型1の説明と重複する説明を省略する。
【0057】
本実施形態に係る射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5の内部で且つ中心軸CLに沿う位置(中心部)に、第1固定側抵抗加熱ヒータ81としての棒状ヒータ(カートリッジヒータ、シーズヒータ等)がフレキシブルヒータに代えて配置されている。また、本実施形態に係る射出成形金型1は、可動側キャビティ駒37の内部で且つ中心軸CLに沿う位置(中心部)に、第1可動側抵抗加熱ヒータ82としての棒状ヒータ(カートリッジヒータ、シーズヒータ等)がフレキシブルヒータに代えて配置されている。
【0058】
本実施形態に係る射出成形金型1は、第1実施形態に係る射出成形金型1と同様の効果を得ることができる。
【0059】
[第4実施形態]
図15は、本発明の第4実施形態に係る射出成形金型1の断面図であり、第2実施形態の射出成形金型1の構成を一部変更した射出成形金型1の断面図である。本実施形態に係る射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5の第1固定側抵抗加熱ヒータ81と可動側キャビティ駒37の第1可動側抵抗加熱ヒータ82が第2実施形態の第1固定側抵抗加熱ヒータ15と第1可動側抵抗加熱ヒータ46と異なる点を除き、他の構成が第2実施形態に係る射出成形金型1と同様である。したがって、本実施形態に係る射出成形金型1は、
図12に示した第2実施形態に係る射出成形金型1と同一の構成部分に同一符号を付し、第1及び第2実施形態に係る射出成形金型1の説明と重複する説明を省略する。
【0060】
本実施形態に係る射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5の内部で且つ中心軸CLに沿う位置(中心部)に、第1固定側抵抗加熱ヒータ81としての棒状ヒータ(カートリッジヒータ、シーズヒータ等)がフレキシブルヒータに代えて配置されている。また、本実施形態に係る射出成形金型1は、可動側キャビティ駒37の内部で且つ中心軸CLに沿う位置(中心部)に、第1可動側抵抗加熱ヒータ82としての棒状ヒータ(カートリッジヒータ、シーズヒータ等)がフレキシブルヒータに代えて配置されている。
【0061】
本実施形態に係る射出成形金型1は、第1実施形態に係る射出成形金型1と同様の効果を得ることができる。
【0062】
[第5実施形態]
図16は、本発明の第5実施形態に係る射出成形金型1の断面図である。本実施形態に係る射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5の第1固定側抵抗加熱ヒータ83と可動側キャビティ駒37の第1可動側抵抗加熱ヒータ84が第1実施形態の第1固定側抵抗加熱ヒータ15と第1可動側抵抗加熱ヒータ46と異なる点を除き、他の構成が第1実施形態に係る射出成形金型1と同様である。したがって、本実施形態に係る射出成形金型1は、
図1に示した第1実施形態に係る射出成形金型1と同一の構成部分に同一符号を付し、第1実施形態に係る射出成形金型1の説明と重複する説明を省略する。
【0063】
本実施形態に係る射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5の外周面5aに、第1固定側抵抗加熱ヒータ83としてのコイルヒータがフレキシブルヒータに代えて嵌合されている。また、本実施形態に係る射出成形金型1は、可動側キャビティ駒37の外周面37aに、第1可動側抵抗加熱ヒータ84としてのコイルヒータがフレキシブルヒータに代えて嵌合されている。
【0064】
本実施形態に係る射出成形金型1は、第1実施形態に係る射出成形金型1と同様の効果を得ることができる。
【0065】
[第6実施形態]
図17は、本発明の第6実施形態に係る射出成形金型1の断面図であり、第2実施形態の射出成形金型1の構成を一部変更した射出成形金型1の断面図である。本実施形態に係る射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5の第1固定側抵抗加熱ヒータ83と可動側キャビティ駒37の第1可動側抵抗加熱ヒータ84が第2実施形態の第1固定側抵抗加熱ヒータ15と第1可動側抵抗加熱ヒータ46と異なる点を除き、他の構成が第2実施形態に係る射出成形金型1と同様である。したがって、本実施形態に係る射出成形金型1は、
図12に示した第2実施形態に係る射出成形金型1と同一の構成部分に同一符号を付し、第1及び第2実施形態に係る射出成形金型1の説明と重複する説明を省略する。
【0066】
本実施形態に係る射出成形金型1は、固定側キャビティ駒5の外周面5aに、第1固定側抵抗加熱ヒータ83としてのコイルヒータがフレキシブルヒータに代えて嵌合されている。また、本実施形態に係る射出成形金型1は、可動側キャビティ駒37の外周面37aに、第1可動側抵抗加熱ヒータ84としてのコイルヒータがフレキシブルヒータに代えて嵌合されている。
【0067】
本実施形態に係る射出成形金型1は、第1実施形態に係る射出成形金型1と同様の効果を得ることができる。
【0068】
[第7実施形態]
図18は、本発明の第7実施形態に係る射出成形金型1の断面図であり、第1実施形態の射出成形金型1の構成を一部変更した射出成形金型1の断面図である。本実施形態に係る射出成形金型1は、第2固定側金型本体11と第2可動側金型本体42が省略されている点を除き、他の構成が第1実施形態に係る射出成形金型1と同様である。したがって、本実施形態に係る射出成形金型1は、
図1に示した第1実施形態に係る射出成形金型1と同一の構成部分に同一符号を付し、第1実施形態に係る射出成形金型1の説明と重複する説明を省略する。
【0069】
本実施形態に係る射出成形金型1は、第1実施形態に係る射出成形金型1と同様の効果を得ることができる。
【0070】
[第8実施形態]
図19は、本発明の第8実施形態に係る射出成形金型1を説明するための図である。なお、
図19(a)は、キャビティ駒85の外観斜視図であり、内部の第1温度調節流路86及び第1抵抗加熱ヒータ87を透視できるように描いたキャビティ駒85の外観斜視図である。また、
図19(b)は、キャビティ駒85を断熱材88を介して金型本体90に固定した状態を示す図であり、キャビティ駒85を正面側から見た図である。
【0071】
本実施形態に係るキャビティ駒85は、平面視した形状が矩形形状のベース板91の上に、第1乃至第3の角棒状ブロック92a〜92cを密着させて並べたような形状になっている。このキャビティ駒85は、組み合わされる他のキャビティ駒93との間にキャビティ94を形成するようになっており、外表面95a〜95gがキャビティ形成部分になっている。そして、このキャビティ駒85の内部には、第1温度調節流路86が形成されている。この第1温度調節流路86は、キャビティ駒85の外表面95a〜95gに沿うように、キャビティ駒85の外表面95a〜95gの近傍に形成され、一端から他端まで一筆書き状に連続して形成されており、一端が第1の流体又は第2の流体を流入させる流体導入路96に接続され、他端が流体排出路97に接続されている。また、キャビティ駒85は、ベース板91側に第1抵抗加熱ヒータ87としてのフレキシブルヒータが収容されている。この第1抵抗加熱ヒータ87は、ベース板91の底面側に形成されたヒータ収容溝内に収容され、一部がキャビティ駒85の外表面95a,95d,95gの近傍に位置している。なお、第1の流体と第2の流体は、第1温度調節流路86に交互に供給される。また、金型本体90は、図示しない第2温度調節流路と第2抵抗加熱ヒータの少なくとも一つが配置され、成形品の取り出し温度に維持されるようになっている。
【0072】
本実施形態に係る射出成形金型1は、第1実施形態の射出成形金型1と同様に、ヒート&クール成形技術の効果を得ることができる。
【0073】
[第9実施形態]
図20は、本発明の第9実施形態に係る射出成形金型1を説明するための図であり、第8実施形態に係る射出成形金型1の変形例を示す図である。なお、
図20(a)は、キャビティ駒85の外観斜視図であり、内部の第1温度調節流路86及び第1抵抗加熱ヒータ98を透視できるように描いたキャビティ駒85の外観斜視図である。また、
図20(b)は、キャビティ駒85を断熱材88を介して金型本体90に固定した状態を示す図であり、キャビティ駒85を正面側から見た図である。
【0074】
本実施形態に係るキャビティ駒85は、第8実施形態に係るフレキシブルヒータに代えて、第1抵抗加熱ヒータ98としての棒状ヒータが複数設置されている。これら第1抵抗加熱ヒータ(棒状ヒータ)98は、キャビティ駒85の外表面(キャビティ形成部分)95a〜95gの近傍に位置するように設置されている。なお、本実施形態に係るキャビティ駒85は、第1抵抗加熱ヒータ98の構成を除き、他の構成が第8実施形態に係るキャビティ駒85と共通するので、第8実施形態に係るキャビティ駒85と共通する構成部分に同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0075】
本実施形態に係る射出成形金型1は、第1実施形態と同様に、ヒート&クール成形技術の効果を得ることができる。