(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6744186
(24)【登録日】2020年8月3日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】保護眼鏡
(51)【国際特許分類】
A61F 9/02 20060101AFI20200806BHJP
G02C 5/00 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
A61F9/02 300
G02C5/00
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-193172(P2016-193172)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-54994(P2018-54994A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000179926
【氏名又は名称】山本光学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】富永 浩史
(72)【発明者】
【氏名】浅田 真孝
【審査官】
木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第5495623(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0351965(US,A1)
【文献】
特表平7−508424(JP,A)
【文献】
実開昭49−21996(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/02
G02C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質の前フレーム(1)と軟質の後フレーム(2)を一体化させてなるものとしており、後フレーム(2)の周囲を着用者の顔面に密着するようにしており、後フレーム(2)を前フレーム(1)の両端から延設させ弾性変形部(5)とし、弾性変形部(5)は、縦抜孔(Ha)を介して前側変形部(9)と後側変形部(10)に分離させたものとし、さらに後側変形部(10)は、横抜孔(Hb)を介して上杆部(10a)と下杆部(10b)に分離させたものとしたことを特徴とする保護眼鏡。
【請求項2】
前フレーム(1)にはレンズ(3)を備えたものとし、後フレーム(2)にはヘッドバンド(4)を備えたものとし、弾性変形部(5)の前側端にヘッドバンド取付部(6)を突設させると共に、弾性変形部(5)の後側端にテンプル接触部(7)を延設させたものとしたことを特徴とする請求項1記載の保護眼鏡。
【請求項3】
前フレーム(1)のショア硬度を90以上にし、後フレーム(2)のショア硬度を30〜60にしたことを特徴とする請求項1または2記載の保護眼鏡。
【請求項4】
前フレーム(1)の上辺部(1a)および下辺部(1b)にレンズ(3)の内方に通ずる通気孔(V)が設けられ、弾性変形部(5)の縦抜孔(Ha)および横抜孔(Hb)がレンズ(3)の内方に通ずるようにしたことを特徴とする請求項2または3記載の保護眼鏡。
【請求項5】
後フレーム(2)の上辺部(2a)中央に水溜め部(8)が形成され、この水溜め部(8)の底にレンズ(3)の外方に通ずる排水孔(D)が形成されたことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の保護眼鏡。
【請求項6】
前側変形部(9)の縦断面(A)と後側変形部(10)の縦断面(B)の面積比を1:4〜5にし、上杆部(10a)の縦断面(Bu)と下杆部(10b)の縦断面(Bd)の面積比を1:0. 8〜1. 2にしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の保護眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボールなどの飛来物や対人、対物衝突による衝撃を吸収、緩和し、眼を保護するための眼鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から各種の球技が行われているが、特にスカッシュ、ハンドボール、テニスなどの球技においては、使用するボールが眼に当たって眼を負傷することが、他の球技に比べて多く発生している。また、スキーやスケートなどのウィンタースポーツにおいては、スキーヤどうしが衝突したり、立木やフェンスなどの障害物に衝突したりして眼を負傷することがある。
【0003】
そのため、このような球技やウィンタースポーツから眼を保護する眼鏡として、
図10、11に示したような、レンズ11を備えた左右のリム12と、両リム12を連結するブリッジ13及び両リム12の外端から後方に延びるテンプル14が一体的に成形された本体15と、伸縮性のある弾性バンド16と、前記本体15の各テンプル14後端と前記バンド16の両端を連結する接続部材17と、鼻当パッド18及びクッションパッド19とから構成されているものが存在する(特許文献1)。
【0004】
前記スポーツ用眼鏡は、装着者の頭部、顔面へのフィット性が良く、衝撃等の吸収、緩和が確実かつ十分で傷害を防ぐことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6ー160780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されたスポーツ用眼鏡では、鼻当パッド18が額当パッド材18aおよび鼻当パッド材18bからなるとしているが、額当パッド材18aは着用者の額の一部にしか接触していないので、衝撃の吸収、緩和が未だ不充分であるという課題を有していた。
【0007】
また、上記スポーツ用眼鏡では、額当パッド材18aが着用者の額の一部にしか接触していないので、球技やウィンタースポーツのプレイ中などに、額にかいた汗が、額当パッド材18aの接触していない額から流れ落ちて眼に入ってしまい、スポーツの妨げになるなどの課題を有していた。
【0008】
さらに、上記スポーツ用眼鏡では、リム12およびテンプル14が硬質の材料で作製されているため、曲げ幅が小さく、着用者の顔幅のサイズの違いに対応しきれない場合があるという課題を有していた。
【0009】
そこで、この発明は、ボールなどの飛来物や対人、対物衝突による衝撃をより効果的に吸収、緩和し、眼をより完全に保護することができ、衝突時の変形(ねじれ)を抑制し、着用者の顔からのズレを防止することができる保護眼鏡を提供することを目的としてなされたものである。
【0010】
さらに、この発明は、着用者の顔幅のサイズの違いに対応し易く、スポーツなどの最中に額から流れ落ちる汗や、雨天時などの着用によって額から流れ落ちる雨水等が眼に入るのを防ぎ、しかも通気性を良くしてレンズの曇りを少なくすることのできる保護眼鏡を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の保護眼鏡は、硬質の前フレーム1と軟質の後フレーム2を一体化させてなるものとしており、後フレーム2の周囲を着用者の顔面に密着するようにしており、後フレーム2を前フレーム1の両端から延設させ弾性変形部5とし、弾性変形部5は、縦抜孔Haを介して前側変形部9と後側変形部10に分離させたものとし、さらに後側変形部10は、横抜孔Hbを介して上杆部10aと下杆部10bに分離させたものとしている。
【0012】
この発明の保護眼鏡において、前フレーム1にはレンズ3を備えたものとし、後フレーム2にはヘッドバンド4を備えたものとし、弾性変形部5の前側端にヘッドバンド取付部6を突設させると共に、弾性変形部5の後側端にテンプル接触部7を延設させたものとしている。
【0013】
この発明の保護眼鏡において、前フレーム1のショア硬度を90以上にし、後フレーム2のショア硬度を30〜60にしている。
【0014】
この発明の保護眼鏡において、前フレーム1の上辺部1aおよび下辺部1bにレンズ3の内方に通ずる通気孔Vが設けられ、弾性変形部5の縦抜孔Haおよび横抜孔Hbがレンズ3の内方に通ずるようにしている。
【0015】
この発明の保護眼鏡において、後フレーム2の上辺部2a中央には、水溜め部8が形成され、この水溜め部8の底には、レンズ3の外方に通ずる排水孔Dが形成されている。
【0016】
この発明の保護眼鏡において、前側変形部9の縦断面Aと後側変形部10の縦断面Bの面積比を1:4〜5にし、上杆部10aの縦断面Buと下杆部10bの縦断面Bdの面積比を1:0. 8〜1. 2にしている。
【発明の効果】
【0017】
この発明の保護眼鏡は、以上に述べたように構成されているので、ボールなどの飛来物や対人、対物衝突による衝撃をより効果的に吸収、緩和し、眼をより完全に保護することができるものとなる。
【0018】
さらに、この発明の保護眼鏡は、衝突時の変形(ねじれ)を抑制し、着用者の顔からのズレを防止することができるものとなる。
【0019】
また、この発明の保護眼鏡は、着用者の顔幅のサイズの違いに対応し易くなり、スポーツなどの最中に額から流れ落ちる汗や、雨天時などの着用によって額から流れ落ちる雨水等が眼に入るのを防ぐことができるものとなる。
【0020】
しかも、この発明の保護眼鏡は、通気性を良くしてレンズの曇りを少なくすることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この発明の保護眼鏡の実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すこの発明の保護眼鏡の正面図である。
【
図3】
図1に示すこの発明の保護眼鏡の平面図である。
【
図4】
図1に示すこの発明の保護眼鏡の底面図である。
【
図5】
図2中のA−Aによるこの発明の保護眼鏡の断面図である。
【
図6】
図3中のB−Bによるこの発明の保護眼鏡の断面図である。
【
図7】
図3中のC−Cによるこの発明の保護眼鏡の断面図である。
【
図8】
図3中のD−Dによるこの発明の保護眼鏡の断面図である。
【
図9】
図3中のD−Dによるこの発明の保護眼鏡のフレームの断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の保護眼鏡を実施するための形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
この発明の保護眼鏡は、
図1〜5に示したように、硬質の前フレーム1と軟質の後フレーム2を一体化させてなるものとしており、前フレーム1にはレンズ3を備えたものとしており、後フレーム2にはヘッドバンド4を備えたものとし、この後フレーム2の周囲を着用者の顔面に密着するようにしている。図示したものは、両者を別体として作成し、嵌合して一体化させたものとしているが、融着したり接着して一体化させたものとしてもよい。また、硬質合成樹脂と軟質合成樹脂の二重射出により同時成形して一体化させたものとしてもよい。
【0024】
前フレーム1は、硬質の合成樹脂等からなるものとしており、レンズ3の周囲を包囲してこのレンズ3を密着保持するものとしている。この前フレーム1の上辺部1aおよび下辺部1bには、レンズ3の内方に通ずる通気孔Vが設けられている。このような通気孔Vを設けるには、図示したように、通気孔Vを設ける部分の前フレーム1を分厚くすることにより、通気孔Vを設け易くしている。なお、この発明において、硬質とは後フレーム2の軟質と比べて相対的に硬質であればよいが、前フレーム1のショア硬度を90以上にするのが、強度面において好ましい。
【0025】
後フレーム2は、軟質の合成樹脂等からなるものとしており、その接触面を着用者の額や眼の周辺、鼻背等に沿うような形状として、着用者の顔面に密着し易いものとしている。そして、この後フレーム2を前フレーム1の両端から延設させ弾性変形部5とし、この弾性変形部5の前側端にヘッドバンド取付部6を突設させると共に、弾性変形部5の後側端にテンプル接触部7を延設させたものとしている。さらに、後フレーム2の上辺部2a中央には、水溜め部8が形成されており、この水溜め部8の底には、レンズ3の外方に通ずる排水孔Dが形成されている。なお、この発明において、軟質とはショア硬度が60以下のものをいい、この発明では、後フレーム2のショア硬度を30〜60にすることができるが、45〜55にするのが好ましい。このようなショア硬度にすることにより、後フレーム2が着用者の顔面に非常に密着し易いものとなる。
【0026】
レンズ3は、硬質のガラスや合成樹脂からなるものとしており、図示したものは二眼レンズとしているが、一眼レンズとして実施することもできる。なお、この発明において、レンズ3は、備えたものとするのが望ましいが、備えたものとしなくても実施することができる。
【0027】
ヘッドバンド4は、ゴムや合成樹脂等の弾性部材からなるものとしており、後フレーム2両端のヘッドバンド取付部6に長さ調節自在として取り付けられることにより、このヘッドバンド4を締めつけたり緩めたりして、着用者の頭回りにフィットするようにしている。
【0028】
弾性変形部5は、
図8、9に示したように、縦抜孔Haを介して前側変形部9と後側変形部10に分離させたものとし、さらに前側変形部9は厚板状とし、後側変形部10は、横抜孔Hbを介して上杆部10aと下杆部10bに分離させたものとしている。そして、弾性変形部5の縦抜孔Haおよび横抜孔Hbは、レンズ3の内方に通ずるようにしている。さらに、
図8に示したように、前側変形部9の縦断面Aと後側変形部10の縦断面Bの面積比を1:4〜5にしており、上杆部10aの縦断面Buと下杆部10bの縦断面Bdの面積比を1:0. 8〜1. 2にしている。このような面積比にすることにより、弾性変形部5の前後方向と上下方向の変形度のバランスがとれるので、衝突時の保護眼鏡の変形(ねじれ)がより効果的に抑制されるものとなる。
【0029】
ヘッドバンド取付部6は、硬質の合成樹脂等からなるものとしており、
図5に示したように、外側から内側にかけて二個の縦長スリット孔6a、6bを形成したものとしている。そして、このヘッドバンド取付部6にヘッドバンド4を取り付けるには、内側の縦長スリット孔6bの裏側から表側にヘッドバンド4の一端部を通し、外側の縦長スリット孔6aの表側から裏側に、このヘッドバンド4の一端部を通して、ヘッドバンド取付部6の外側に突き出させたものとしている。なお、ヘッドバンド取付部6は、ヘッドバンド4が長さ調節自在として取り付けられるものであればよく、特にその構造が限定されることはない。
【0030】
テンプル接触部7は、後フレーム2と同じ軟質の合成樹脂等からなるものとしており、略べろ状に形成されており、表側には幅方向に多数のリブ7aを形成して外側方向に曲がり易くしており、裏側は平滑面として着用者のテンプルに密着し易くしている。
【0031】
さらに、ヘッドバンド取付部6とテンプル接触部7は、
図5に示したように、保護眼鏡の正面との傾斜角α、βをいずれも90〜100度とすると共に、両傾斜角α、βをほぼ等しいものとすることにより、ヘッドバンド取付部6とテンプル接触部7をほぼ平行に配置したものとしている。このようにすると、ヘッドバンド4の締め付けによってヘッドバンド取付部6の傾斜角αがこの角度より小さくなるので、テンプル接触部7の傾斜角βもこの角度より小さくなろうとする方向に力が作用し、テンプル接触部7が着用者のテンプルにより強く密着するようになる。
【0032】
このように構成されたこの発明の保護眼鏡を着用すると、軟質の後フレーム2全体が着用者の顔面に密着するので、球技やウィンタースポーツのプレイ中などに、ボールなどの飛来物や対人、対物衝突による衝撃をうけたとしても、その衝撃をより効果的に吸収、緩和し、眼をより完全に保護することができる。なお、図示した実施品は、American Society for Testing Materials. (ASTM International : 米国材料試験協会) で制定した規格における ASTM F803-11 のスカッシュボールによる高速衝撃試験に合格している。
【0033】
さらに、この発明の保護眼鏡は、前記衝撃により後フレーム2の弾性変形部5が、後方向と上下方向にバランスよく変形するので、衝撃をうけたときの変形(ねじれ)がより効果的に抑制されるので、着用者の顔からのズレを防止することができる。
【0034】
また、この発明の保護眼鏡を着用すると、後フレーム2の弾性変形部5が着用者の顔幅のサイズに変形して、その着用者の顔幅に適用することができる。
【0035】
さらに、この発明の保護眼鏡は、後フレーム2の上辺部2a中央には、レンズ3の外方に通ずる排水孔Dが形成された水溜め部8が形成されているので、スポーツなどのプレイ中に額から流れ落ちる汗や、雨天時などの着用によって額から流れ落ちる雨水等が、この水溜め部8に溜まって排水孔Dから排出されるので、着用者の眼に入るのを防ぐことができる。
【0036】
しかも、この発明の保護眼鏡は、前フレーム1の上辺部1aおよび下辺部1bにレンズ3の内方に通ずる通気孔Vが設けられ、弾性変形部5の縦抜孔Haおよび横抜孔Hbがレンズ3の内方に通ずるようにしているので、通気性が良くなり、レンズ3の曇りを少なくすることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 前フレーム
1a 上辺部
1b 下辺部
2 後フレーム
2a 上辺部
3 レンズ
4 ヘッドバンド
5 弾性変形部
6 ヘッドバンド取付部
7 テンプル接触部
8 水溜め部
9 前側変形部
10 後側変形部
10a 上杆部
10b 下杆部
A 縦断面
B 縦断面
Bu 縦断面
Bd 縦断面
D 排水孔
Ha 縦抜孔
Hb 横抜孔
V 通気孔