特許第6744206号(P6744206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6744206
(24)【登録日】2020年8月3日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/51 20060101AFI20200806BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20200806BHJP
   A61F 13/494 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   A61F13/51
   A61F13/49 410
   A61F13/49 311Z
   A61F13/494 200
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-250086(P2016-250086)
(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公開番号】特開2018-102429(P2018-102429A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 優子
(72)【発明者】
【氏名】梶原 順
(72)【発明者】
【氏名】奥田 泰之
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−252280(JP,A)
【文献】 特開平09−299398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腹側に配される腹側領域および着用者の背側に配される背側領域と、それらの間に位置する股下領域とを備えると共に、該腹側領域から該背側領域に延びる縦方向と該縦方向に直交する横方向とを備え、前記腹側領域と前記背側領域とに亘って吸収体を有し、該吸収体の縦方向の前後端部それぞれから外方に位置して横方向に延びる腹側ウエストフラップ及び背側ウエストフラップを有する使い捨ておむつであって、
前記背側ウエストフラップには、横方向に伸長状態で配された弾性部材による伸縮領域が形成されており、
前記背側ウエストフラップは、前記伸縮領域において、親水性の繊維からなる親水性領域を備えた不織布を有し、
前記親水性領域を備えた不織布は前記背側領域の縦方向の外端部に位置する折り返し部にて折り返されて、少なくとも一方の折り返し部分が前記弾性部材よりも着用者の肌に近い側に配されており、
前記親水性領域は、縦方向の長さに関し、着用者の肌に近い側が長くなるように前記折り返し部を跨いでおり、
前記親水性領域は、着用者の肌に近い側に配され且つ前記折り返し部から縦方向に長く延在する親水性長寸部と、該親水性長寸部から着用者の肌に遠い側に配され且つ該親水性長寸部よりも縦方向に短い親水性短寸部とに区分され、
前記背側ウエストフラップを構成する不織布は、前記親水性領域を備えた不織布以外に、疎水性の繊維からなる第2疎水性不織布を有し、
前記第2疎水性不織布が、前記親水性長寸部よりも着用者の肌に近い側に配されており、
前記第2疎水性不織布と前記親水性長寸部とが、熱融着部で固定されている、使い捨ておむつ。
【請求項2】
記親水性長寸部と前記親水性短寸部とは、前記折り返し部にて固定されていない、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記親水性長寸部と前記親水性短寸部とは、該親水性短寸部の全域で互いに固定されていない、請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
記親水性短寸部は、前記弾性部材よりも着用者の肌に遠い側に配されており、
前記親水性長寸部と前記親水性短寸部とで、前記弾性部材を挟んでいる、請求項1〜3の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
記親水性短寸部は、前記弾性部材よりも着用者の肌に遠い側に配されており、
前記背側ウエストフラップを構成する不織布は、前記親水性領域を備えた不織布、及び前記第2疎水性不織布以外に、疎水性の繊維からなる疎水性不織布を有し、
前記親水性長寸部と前記親水性短寸部とで、前記疎水性不織布を挟んでいる、請求項1〜4の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
記弾性部材は、横方向中央領域において、前記親水性短寸部と固定されていない、請求項1〜5の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記親水性領域は、前記背側ウエストフラップを構成する前記親水性領域を備えた不織布の全域の一部に親水化剤を塗布して形成されている、請求項1〜の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつには、吸収体を備えた縦長の吸収性本体の外側に外装体が配されている所謂パンツ型の使い捨ておむつがある。本出願人は、先に、このようなパンツ型の使い捨ておむつの外装体における背側エンドフラップに、幅方向に高度に配向した長繊維を有する親水性ウエブを配置し、汗を吸収し、湿疹、あせも、かぶれ等の発生が効果的に防止できる技術を提案した(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、特許文献2には、汗を吸収する吸汗シートが、おむつの前後胴周り域の内面を覆う疎水性シートに接合されている使い捨ておむつが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−141549号公報
【特許文献2】特開2007−259874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、パンツ型使い捨ておむつの外装体の長手方向の端部に、汗を吸収する吸汗シートを配置すると、吸汗シートに吸収された汗が外装体の端部から蒸発し易く、パンツ型使い捨ておむつの着用時の蒸れ感を抑えることができることを見出した。
【0006】
しかし、特許文献1及び2には、パンツ型使い捨ておむつの外装体における長手方向の端部に、吸汗シートを用いて、積極的に吸収した汗を移行させる手段に関して、何ら記載されていない。
【0007】
したがって本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、着用者の腹側に配される腹側領域および着用者の背側に配される背側領域と、それらの間に位置する股下領域とを備えると共に、該腹側領域から該背側領域に延びる縦方向と該縦方向に直交する横方向とを備え、前記腹側領域と前記背側領域とに亘って吸収体を有し、該吸収体の縦方向の前後端部それぞれから外方に位置して横方向に延びる腹側ウエストフラップ及び背側ウエストフラップを有する使い捨ておむつであって、前記背側ウエストフラップには、横方向に伸長状態で配された弾性部材による伸縮領域が形成されており、前記背側ウエストフラップは、前記伸縮領域において、親水性の繊維からなる親水性領域を備えた不織布を有し、前記親水性領域を備えた不織布は前記背側領域の縦方向の外端部に位置する折り返し部にて折り返されて、少なくとも一方の折り返し部分が前記弾性部材よりも着用者の肌に近い側に配されており、前記親水性領域は、縦方向の長さに関し、着用者の肌に近い側が長くなるように前記折り返し部を跨いでいる、使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、湿疹、汗疹、かぶれ等の皮膚トラブルを低減することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の好ましい一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつの斜視図である。
図2図2は、図1に示すおむつを展開して引き伸ばした状態を肌当接面側から視た一部破断展開平面図である。
図3図3は、図1に示すIII―III線断面図である。
図4図4は、本発明の好ましい別の実施形態のパンツ型使い捨ておむつの腹側領域A及び背側領域Bの縦断面図である(図3相当図)。
図5図5は、本発明の好ましいまた別の実施形態のパンツ型使い捨ておむつの腹側領域A及び背側領域Bの縦断面図である(図3相当図)。
図6図6は、本発明の好ましい更に別の実施形態のパンツ型使い捨ておむつの腹側領域A及び背側領域Bの縦断面図である(図3相当図)。
図7図7は、本発明の好ましいまた別の実施形態のパンツ型使い捨ておむつの腹側領域A及び背側領域Bの縦断面図である(図3相当図)。
図8図8は、本発明の好ましい別の実施形態のパンツ型使い捨ておむつの腹側領域A及び背側領域Bの縦断面図である(図3相当図)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の使い捨ておむつは、着用者の腹側に配される腹側領域Aおよび着用者の背側に配される背側領域Bと、それらA,Bの間に位置する股下領域Cとを備えると共に、腹側領域Aから背側領域Bに延びる縦方向Xと縦方向Xに直交する横方向Yとを備えている。また、本発明の使い捨ておむつは、腹側領域Aと背側領域Bとに亘って吸収体23を有し、吸収体23の縦方向Xの前後端部23A,23Bそれぞれから外方に位置して横方向Yに延びる腹側ウエストフラップFA及び背側ウエストフラップFBを有している。ここで、腹側領域Aとは使い捨ておむつの着用時に着用者の腹側に配される領域であり、背側領域Bとは使い捨ておむつの着用時に着用者の背側に配される領域である。そして、腹側ウエストフラップFAとは、吸収体23の縦方向Xの腹側領域A側の前端部23Aの外端縁23A1から縦方向X外方に位置して横方向Yに延びる領域と、吸収体23の縦方向Xの腹側領域A側の前端部23Aから横方向Yに延びる領域とを合わせた領域を意味する。また、背側ウエストフラップFBとは、吸収体23の縦方向Xの背側領域B側の後端部23Bの外端縁23B1から縦方向X外方に位置して横方向Yに延びる領域と、吸収体23の縦方向Xの背側領域B側の後端部23Bから横方向Yに延びる領域とを合わせた領域を意味する。
【0012】
図1及び図2には、本発明の使い捨ておむつの一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」ともいう。)が示されている。おむつ1は、図1及び図2に示すとおり、吸収性本体2と、吸収性本体2の非肌対向面側に配されて該吸収性本体2を固定する外装体3とを備え、外装体3は、吸収性本体2を構成する吸収体23の縦方向Xの前後端部23A,23Bから外方に位置して横方向Yに延びる腹側ウエストフラップFA及び背側ウエストフラップFBを有している。おむつ1は、外装体3の腹側領域Aの左右両側縁部3a1,3a1と外装体3の背側領域Bの左右両側縁部3b1,3b1とが接合されて一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部WH及び一対のレッグ開口部LH,LHが形成されている使い捨ておむつである。好適に、おむつ1の外装体3は、図2に示すように、展開させかつ伸長させた状態を平面視して、着用時に着用者の腹側に配される腹側領域A、着用時に着用者の背側に配される背側領域B、及び腹側領域Aと背側領域Bとの間の股下領域Cに区分されている。
【0013】
上述したおむつ1を展開させかつ伸長させた状態とは、図2に示すように、サイドシール部Sを引き剥がして、おむつ1を展開状態とし、その展開状態のおむつ1を、各部の弾性部材を伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで広げた状態を意味する。
【0014】
本明細書において、「肌対向面」とは、おむつ1又はその構成部材における、着用時に着用者の肌側、即ち、相対的に着用者の肌に近い側に向けられる面であり、「非肌対向面」とは、おむつ1又はその構成部材における、着用時に着用者の肌側とは反対側(着衣側)、即ち、相対的に着用者の肌から遠い側に向けられる面である。おむつ1において、縦方向(X方向)とは、平面に展開させかつ伸長させた状態で、腹側領域Aから背側領域Bにわたる方向のことである。また、横方向(Y方向)とは、縦方向(X方向)と直交する方向であり、平面に展開させかつ伸長させた状態のおむつ1の幅方向のことである。
また、おむつ1は、図2に示す、縦方向(X方向)に延びる縦中心線CL1に対して左右対称形となっている。尚、図2中のCL2は、おむつ1を縦方向(X方向)に二分する横方向(Y方向)に延びる横中心線であり、縦中心線CL1に直交している。
【0015】
おむつ1では、吸収性本体2は、図2に示すとおり、おむつ1を展開させかつ伸長させた状態において、縦方向(X方向)が相対的に長い縦長の形状を有している。吸収性本体2は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート21と、非肌対向面を形成する液難透過性(撥水性も含む)の裏面シート22と、これら両シート21,22間に介在配置された液保持性の吸収体23とを具備する。おむつ1では、吸収体23は、吸収性能を有する吸収性コア231を液透過性の被覆シート232によって被覆されて形成されたものであり、吸収性本体2の縦方向(X方向)の全長は吸収体23のそれと同じであり、吸収体23の前後端部23A,23Bの外端縁23A1,23B1の位置は、図2に示すように、吸収性本体2の前後端部の外端縁の位置と同位置にある。また、吸収性本体2の縦方向(X方向)に沿う両側部には、図2に示すように、縦方向(X方向)に伸長状態で配された弾性部材25を有する防漏カフ24,24が設けられている。具体的には、防漏カフ24は、液不透過性又は撥水性で且つ通気性の素材から構成されており、各防漏カフ24の自由端部近傍には、防漏カフ形成用弾性部材25が縦方向(X方向)に伸長した状態で配されている。おむつの着用時には、防漏カフ形成用弾性部材25の収縮により防漏カフ24の自由端部側が起立して、横方向(Y方向)への体液の流出が阻止される。
【0016】
以上のように構成された吸収性本体2は、図2に示すように、その縦方向(X方向)を、展開かつ伸長状態におけるおむつ1の縦方向(X方向)に一致させて、外装体3の中央部に、本体固定用接着剤によって接合されている。このように、外装体3は、使い捨ておむつ1の厚み方向における、吸収性本体2を構成する裏面シート22の非肌対向面側に配されて接着固定されている。従って、おむつ1では、吸収性本体2を構成する吸収体23が、腹側領域Aと背側領域Bとに亘って配されている。
【0017】
背側ウエストフラップFBには、横方向(Y方向)に伸長状態で配された弾性部材71による伸縮領域STが形成されているところ、おむつ1では、図2及び図3に示すように、吸収体23の縦方向Xの前後端部23A,23Bから外方に位置して横方向Yに延びる腹側ウエストフラップFA及び背側ウエストフラップFBには、それぞれ、横方向(Y方向)に伸長状態で配された弾性部材71による伸縮領域STが形成されている。好適に、外装体3は、おむつ1では、着用時においておむつ1の外面即ち非肌対向面を形成する外層シート6と、外層シート6の肌対向面に対向配置された内層シート5との積層体を含んで構成されている。おむつ1の着用時において、外層シート6は着用者の肌から遠い側に位置して、おむつ1の非肌対向面(外面)を形成し、内層シート5は、外層シート6よりも着用者の肌に近い側に位置して、おむつ1の肌対向面(内面)を形成する。外層シート6と内層シート5とは、所定の部位において接着剤、ヒートシール、高周波シール、超音波シール等の接合手段を介して互いに接合されている。
【0018】
おむつ1では、内層シート5は、図2及び図3に示すように、背側領域Bにおいてのみ、おむつ1の背側領域Bにおける縦方向Xの外端部1B、言い換えれば、ウエスト開口部WHの周縁部に位置する折り返し部RPにて折り返されて、少なくとも一方の折り返し部分5Eが横方向(Y方向)に伸長状態で配された弾性部材71よりも着用者の肌に近い側に配されている。おむつ1では、一方の折り返し部分5Eが、折り返し部RPを介して、残りの内層シート5の肌対向面に当接するように重なっている。内層シート5は、おむつ1では、疎水性の繊維からなる疎水性不織布で形成されている。このように、おむつ1では、背側ウエストフラップFBを構成する疎水性の繊維からなる疎水性不織布に、内層シート5が該当している。
【0019】
また、おむつ1では、外層シート6は、図2及び図3に示すように、腹側領域A及び背側領域Bにおいて、内層シート5の縦方向Xの外端縁5B1(後述する折り返し部RPの頂点)から延出し、ウエスト開口部WHの周縁部に沿って内層シート5の肌対向面側に折り返された外層の折り返し部分6Eを有し、該外層の折り返し部分6Eは、吸収体23の縦方向Xの前後端部23A,23B、即ち、吸収性本体2の縦方向Xの前後端部を被覆している。外層の折り返し部分6Eと内層シート5(一方の折り返し部分5Eを含む)とは、所定の部位において接着剤、ヒートシール、高周波シール、超音波シール等の接合手段を介して互いに接合されている。
【0020】
上述のように、おむつ1では、外装体3は、図2に示すように、おむつ1の外面を形成する非肌対向面側の外層シート6、最も肌対向面側の外層の折り返し部分6E、並びに、外層シート6と外層の折り返し部分6Eとの間に配された内層シート5及び内層の折り返し部分5Eを有している。おむつ1では、内層の折り返し部分5E及び外層の折り返し部分6Eを除く外層シート6及び内層シート5は、縦方向(X方向)中央部において縦中心線CL1に向かって内方に括れており、互いに同形同大に形成されている。内層シート5の一方の折り返し部分5Eで形成された内層の折り返し部分5Eは、背側領域Bにおいて、横方向(Y方向)に長い矩形状に形成されている。外層シート6の折り返し部分6Eで形成された外層の折り返し部分6Eは、腹側領域A及び背側領域Bそれぞれにおいて、横方向(Y方向)に長い矩形状に形成されている。外層の折り返し部分6E、内層シート5及び外層シート6は、それぞれ、別体のシートであってもよいが、おむつ1では、外層の折り返し部分6Eが、外層シート6の折り返し部分によって形成されている。このように、おむつ1では、背側ウエストフラップFBにおいては、着用者の肌に近い側から遠い側に向かって、外層の折り返し部分6E、内層の折り返し部分5E、内層シート5、外層シート6の順に配されている。また、おむつ1では、腹側ウエストフラップFAにおいては、着用者の肌に近い側から遠い側に向かって、外層の折り返し部分6E、内層シート5、外層シート6の順に配されている。
【0021】
また、おむつ1では、外装体3は、図2に示すように、内層シート5と外層シート6との間に、横方向(Y方向)に伸長した状態で、縦方向(X方向)に間欠的に配された複数の糸状又は帯状の弾性部材71を有している。おむつ1では、複数の弾性部材71を備えることにより、ウエスト伸縮部G1及び胴回り下部伸縮部G2を有する伸縮領域STを形成している。また、おむつ1では、内層シート5と外層シート6との間に、図2に示すように、伸長した状態の複数の糸状又は帯状のレッグ弾性部材72を有している。おむつ1では、複数のレッグ弾性部材72を備えることにより、レッグ伸縮部G3を形成している。レッグ伸縮部G3は、図2に示すように、レッグ開口部LHの周縁部に形成されている。
【0022】
おむつ1では、ウエスト伸縮部G1は、図2に示すように、縦方向(X方向)において、吸収性本体2を構成する吸収体23の縦方向(X方向)の前後端部23A,23Bの外端縁23A1,23B1よりも縦方向Xの外方(横中心線CL2側と反対側)に位置するエンドフラップに形成されている。また、おむつ1では、胴回り下部伸縮部G2は、縦方向(X方向)において、ウエスト伸縮部G1の横中心線CL2側の下端とサイドシール部Sの下端との間に位置するサイドフラップに形成されている。上述した背側ウエストフラップFB及び腹側ウエストフラップFAは、前記エンドフラップ(ウエスト伸縮部G1)に、前記サイドフラップ(胴回り下部伸縮部G2)の一部を合わせた領域でもある。
【0023】
おむつ1では、外装体3は、図2に示すように、内層シート5及び外層シート6を接合する複数の接合部8を有している。おむつ1では、背側ウエストフラップFB及び腹側ウエストフラップFAは、内層シート5と外層シート6とが、散点状に配置された複数の熱融着による接合部8にて接合固定されて形成されている。おむつ1では、腹側領域A及び背側領域Bそれぞれのウエスト伸縮部G1から胴回り下部伸縮部G2に亘る領域に、内層シート5と外層シート6との接合部8が、縦方向(X方向)に沿って一列をなすように間欠的に配されており、その複数の接合部8からなる接合部列8Lが、横方向(Y方向)に間隔を開けて複数列配されている。
【0024】
おむつ1は、図2に示すように、接合部8で固定された内層シート5と外層シート6との間に、横方向(Y方向)に伸長した状態で配され且つ縦方向(X方向)に間欠的に配された複数の弾性部材71を有している。好適に、おむつ1では、腹側領域A及び背側領域Bそれぞれのウエスト伸縮部G1から胴回り下部伸縮部G2に亘る領域に、複数本の弾性部材71が、それぞれ、複数の接合部列8Lそれぞれの接合部8どうし間の隙間を通って、横方向(Y方向)に伸長状態で配されている。
【0025】
また、おむつ1では、図2に示すように、外装体3の腹側領域Aの両側縁部3a1,3a1及び外装体3の背側領域Bの両側縁部3b1,3b1に、内層シート5と外層シート6とが弾性部材固定用接着剤を介して接合された一対の外側固定領域3T1,3T1を有しており、また、吸収性本体2の縦方向(X方向)に沿う両側部の近傍に、内層シート5と外層シート6とが弾性部材固定用接着剤を介して接合された一対の本体側固定領域3T2,3T2を有している。
【0026】
おむつ1のウエスト伸縮部G1では、図2に示すように、複数本の弾性部材71が、一対の外側固定領域3T1,3T1間に亘って配されており、それらの弾性部材71は、一対の外側固定領域3T1,3T1それぞれにおいて、内層シート5と外層シート6との間に固定されている一方、一対の外側固定領域3T1,3T1間においては、内層シート5及び外層シート6の何れにも固定されていない。詳述すると、おむつ1のウエスト伸縮部G1では、複数本の弾性部材71が、一対の外側固定領域3T1,3T1間に亘って配されており、それらの弾性部材71は、一対の外側固定領域3T1,3T1それぞれにおいて、内層シート5に形成された後述する親水性短寸部4TSと外層シート6との間に固定されている一方、横方向Yの中央領域を含む一対の外側固定領域3T1,3T1間においては、内層シート5に形成された後述する親水性短寸部4TS及び外層シート6の何れにも固定されていない。
【0027】
また、おむつ1の胴回り下部伸縮部G2では、図2に示すように、複数本の弾性部材71が、外側固定領域3T1と本体側固定領域3T2との間に亘って配されており、それらの弾性部材71は、外側固定領域3T1と本体側固定領域3T2とのそれぞれにおいて、内層シート5と外層シート6との間に固定されている一方、外側固定領域3T1と本体側固定領域3T2との間においては、内層シート5及び外層シート6の何れにも固定されていない。おむつ1の胴回り下部伸縮部G2では、一対の本体側固定領域3T2,3T2の間には、弾性部材71が配されていないか、或いは、弾性部材71が、弾性伸縮性を発現しないように細かく分断される等の処理を施された状態で配されている。
【0028】
尚、おむつ1のレッグ伸縮部G3では、図2に示すように、レッグ開口部LHの周縁部に伸長状態で配された複数のレッグ弾性部材72が、レッグ開口部LHの周縁部に面状に配された弾性部材固定用接着剤を介して内層シート5と外層シート6との間に固定されている。
【0029】
おむつ1の外装体3では、図1及び図2に示すように、ウエスト伸縮部G1及び胴回り下部伸縮部G2において、内層シート5と外層シート6との間に横方向(Y方向)に伸長状態で配され且つ縦方向(X方向)に間欠的に配された複数の弾性部材71の収縮により、横方向(Y方向)に隣接する接合部列8L,8Lどうしの間の外層シート6が外方に膨らむように変形し、外層の折り返し部分6E及び内層シート5が内方に膨らむように変形してギャザー部が形成されている。上述したように、横方向Yの中央領域においては、弾性部材71が内層シート5に形成された後述する親水性短寸部4TSに固定されていないので、内方に膨らむように変形して形成される空間によって、親水性短寸部4TSに吸収された汗が蒸発し易くなる。
【0030】
背側ウエストフラップFBは、伸縮領域STにおいて、親水性の繊維からなる親水性領域4Tを備えた不織布を有しているところ、おむつ1では、背側ウエストフラップFBは、伸縮領域STにおいて、構成する不織布として、疎水性の繊維からなる疎水性不織布からなる内層シート5を有し、内層シート5は、親水化剤を横方向Yの全長に亘って塗布して、親水性の繊維から形成された親水性領域4Tを備えている。このように、おむつ1では、親水性領域4Tは、疎水性不織布(内層シート5)と別個独立した不織布から形成されておらず、疎水性の繊維からなる疎水性不織布(内層シート5)の全域の一部に、親水化剤を塗布して形成された領域である。おむつ1の背側ウエストフラップFBにおいては、親水性の親水性領域4Tは、背側ウエストフラップFBを構成する、着用者の肌に近く且つ疎水性不織布で形成された内層シート5の横方向(Y方向)の全長に亘って、親水化剤を内層シート5の一部に塗布して形成されている。
【0031】
おむつ1では、図2に示すように、背側ウエストフラップFBの伸縮領域STに、汗を吸収可能な親水性領域4Tが配されている。親水性の親水性領域4Tは、おむつ1では、背側ウエストフラップFBの伸縮領域ST、即ち、ウエスト伸縮部G1に胴回り下部伸縮部G2の一部を合わせた領域に配されている。
【0032】
上述の通り、おむつ1では、親水性領域4Tを備えた不織布である内層シート5が、図2及び図3に示すように、おむつ1の背側領域Bにおける縦方向Xの外端部1B、言い換えれば、ウエスト開口部WHの周縁部に位置する折り返し部RPにて折り返されているところ、親水性領域4Tが折り返し部RPにて折り返されており、図3に示すように、疎水性不織布(内層シート5)の親水性領域4Tは、その縦方向(X方向)に関し、着用者の肌に近い側が長くなるように折り返し部RPを跨いでいる。そして、おむつ1では、内層シート5の親水性領域4Tは、着用者の肌に近い側に配され且つ折り返し部RPから縦方向(X方向)に長く延在する親水性長寸部4TLと、親水性長寸部4TLから着用者の肌に遠い側に配され且つ親水性長寸部4TLよりも縦方向(X方向)に短い親水性短寸部4TSとに区分されている。おむつ1では、親水性長寸部4TL及び親水性短寸部4TSが、それぞれ、弾性部材71よりも着用者の肌に近い側に配されている。そして、親水性長寸部4TLが、親水性短寸部4TSよりも着用者の肌に近い側に配されている。また、おむつ1では、親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとが互いに当接するように重なっている。
【0033】
親水性領域4Tを形成する親水化剤としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられる公知の親水化剤を用いることができる。尚、おむつ1では、背側ウエストフラップFBにのみ親水性領域4Tが形成されているが、背側ウエストフラップFB及び腹側ウエストフラップFAに形成されていてもよい。このように、親水性領域4Tが背側ウエストフラップFB及び腹側ウエストフラップFAに形成されている場合には、肌側不織布(例えば内層シート5)に塗布する親水化剤の坪量は、腹側ウエストフラップFA側と背側ウエストフラップFB側とで同じ量であることが好ましく、腹側ウエストフラップFA側の親水性領域4Tの親水性の程度と背側ウエストフラップFB側の親水性領域4Tの親水性の程度は同じであることが好ましい。
【0034】
おむつ1では、着用時に着用者の背側で多量の汗を吸汗する観点から、内層の折り返し部分5Eの縦方向(X方向)の長さ(L1)に対する親水性長寸部4TLの縦方向(X方向)の長さ(L2)の割合((L2/L1)×100)が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることが更に好ましく、上限は100%である。前記長さ(L1),(L2)は、おむつ1を展開させかつ伸長させた状態における長さである。吸収体23に吸収された体液が移行しないようにする観点から、内層の折り返し部分5Eの股下領域C側の内端部にまで親水性長寸部4TLが亘っておらず、該内端部には疎水性の構成繊維からなる疎水性の領域が存在していることが好ましい。
【0035】
尚、親水性長寸部4TLは親水性短寸部4TSよりも縦方向Xの長さが長ければよく、例えば、内層の折り返し部分5Eの全域が親水性長寸部4TLとなっていてもよい。内層の折り返し部分5Eの全域が親水性長寸部4TLである場合、内層の折り返し部分5Eの股下領域C側の内端部は、吸収体23に吸収された体液が移行しないようにする観点から、吸収体23の縦方向Xの後端部23Bに接する位置まで延在していないことが好ましい。即ち、内層の折り返し部分5Eの股下領域C側の内端部と、吸収体23の縦方向Xの後端部23Bとは、間隔を空けて配されていることが好ましい。
【0036】
また、おむつ1では、着用時に着用者の背側で多量の汗を吸汗する観点から、親水性長寸部4TLの縦方向(X方向)の長さ(L2)に対する親水性短寸部4TSの縦方向(X方向)の長さ(L3)の割合((L3/L2)×100)が、3%以上であることが好ましく、5%以上であることが更に好ましく、そして、80%以下であることが好ましく、70%以下であることが更に好ましく、具体的には、3%以上80%以下であることが好ましく、5%以上70%以下であることが更に好ましい。前記長さ(L3)は、おむつ1を展開させかつ伸長させた状態における長さである。
【0037】
好適に、内層の折り返し部分5Eの縦方向(X方向)の長さ(L1)は、20mm以上であることが好ましく、30mm以上であることが更に好ましく、そして、120mm以下であることが好ましく、100mm以下であることが更に好ましく、具体的には、20mm以上120mm以下であることが好ましく、30mm以上100mm以下であることが更に好ましい。
親水性長寸部4TLの縦方向(X方向)の長さ(L2)は、20mm以上であることが好ましく、30mm以上であることが更に好ましく、そして、100mm以下であることが好ましく、90mm以下であることが更に好ましく、具体的には、20mm以上100mm以下であることが好ましく、30mm以上90mm以下であることが更に好ましい。
親水性短寸部4TSの縦方向(X方向)の長さ(L3)は、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることが更に好ましく、そして、80mm以下であることが好ましく、60mm以下であることが更に好ましく、具体的には、1mm以上80mm以下であることが好ましく、2mm以上60mm以下であることが更に好ましい。
【0038】
おむつ1では、弾性部材71は、図3に示すように、親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとが互いに重なっている領域、言い換えれば、親水性短寸部4TSに対応する領域に、糸状(板状を含む)の弾性部材を少なくとも1本以上有していることが好ましい。このような糸状の弾性部材を有していると、重なっている領域に弾性部材の収縮による繊維の高密度化が起こり難いので、おむつ1の着用中にウエスト開口部WHの周縁部に位置する折り返し部RP側に、親水性領域4Tで吸収した汗を移行し易く、ウエスト開口部WHの周縁部からの汗の蒸発を促すことができる。
【0039】
上述したおむつ1の各部の形成材料について説明する。
おむつ1では、外装体3を構成する内層の折り返し部分5Eが内層シート5の折り返し部分5Eで形成されているので、内層の折り返し部分5Eを含む内層シート5の全体が疎水性の繊維で構成された疎水性のシートで形成されている。また、おむつ1では、外装体3を構成する外層の折り返し部分6Eが外層シート6の折り返し部分6Eで形成されているので、外層の折り返し部分6Eを含む外層シート6の全体が疎水性の繊維で構成された疎水性のシートで形成されている。
【0040】
内層シート5(内層の折り返し部分5E)及び外層シート6(外層の折り返し部分6Eを含む)に用いる疎水性のシートを構成する疎水性繊維としては、熱可塑性の合成繊維が挙げられ、具体的には、各種不織布の構成繊維として通常用いられているものを用いることができ、例えば、ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等のポリオレフィン繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を単独で用いてなる繊維;芯鞘型、サイドバイサイド型等の構造の複合繊維が挙げられる。
【0041】
親水性領域4Tを形成する親水化剤は、衛生品用途に使用される一般的な親水化剤であれば特に限定されない。親水性領域4Tを構成する繊維が親水性であるか疎水性であるかの判断は、以下に述べる〔繊維の接触角の測定方法〕で測定される構成繊維の接触角に基づき判断される。具体的には、接触角が90°以上であれば、親水度の低い疎水性と判断し、接触角が90°より小さければ、親水度の高い親水性と判断する。
【0042】
〔繊維の接触角の測定方法〕
接触角の測定には、例えば協和界面科学株式会社製の接触角計MCA−Jを用いる。具体的には、親水性領域4Tを構成する繊維の表面に、イオン交換水を滴下(約20ピコリットル)した後、直ちに前記接触角計を用いて接触角度の測定を行う。測定は、親水性領域4Tを構成する繊維の5箇所以上の箇所で行い、それらの平均値を接触角とする。尚、測定環境温度は20℃とする。
【0043】
吸収性本体2を構成する表面シート21、裏面シート22、吸収体23及び防漏カフ24等としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート21としては、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート22としては、透湿性の樹脂フィルム等を用いることができる。吸収体23の吸収性コア231としては、吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料から構成されたものを用いることができ、吸収体23の被覆シート232としては、ティッシュペーパーや不織布等を用いることができる。また、防漏カフ24としては、撥水性の単層又は多層構造の不織布等を用いることができる。
【0044】
弾性部材(防漏カフ形成用弾性部材25、弾性部材71、レッグ弾性部材72等)としては、例えば、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。弾性部材の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、楕円形、若しくは多角形状等の糸状(糸ゴム等)、又は紐状(平ゴム等)のもの等を好ましく用いることができる。
【0045】
弾性部材(防漏カフ形成用弾性部材25、弾性部材71、レッグ弾性部材72等)を固定する弾性部材固定用接着剤、及び外装体3及び吸収性本体2等を固定する本体固定用接着剤としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のホットメルト接着剤等を特に制限なく用いることができる。
【0046】
上述した本発明の一実施形態のおむつ1を使用した際の作用効果について説明する。
おむつ1では、図2及び図3に示すように、背側ウエストフラップFBの伸縮領域STにおいて、背側ウエストフラップFBを構成する不織布である内層シート5に、汗を吸収可能な親水性領域4Tが配されている。そして、親水性領域4Tを備える内層シート5が、図2及び図3に示すように、折り返し部RPにて折り返されて、折り返し部分5Eが横方向(Y方向)に伸長状態で配された弾性部材71よりも着用者の肌に近い側に配されており、親水性領域4Tが、着用者の肌に近い側が縦方向(X方向)に長くなるように折り返し部RPを跨いで配されている。このように折り返し部RPを跨いで親水性領域4Tが配されていると、親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとが重なる密度の高い折り返し部RPに吸収された汗が移行し易く、折り返し部RPが位置するウエスト開口部WHの周縁部から汗が蒸発し易く、パンツ型使い捨ておむつの着用時の蒸れ感を抑えることができ、湿疹、汗疹、かぶれ等の皮膚トラブルを低減することが期待できる。
【0047】
特に、おむつ1では、親水性領域4Tが、疎水性不織布(内層シート5)と別個独立した不織布から形成されておらず、疎水性の繊維からなる疎水性不織布(内層シート5)の一部に、親水化剤を塗布して形成されている。このように内層シート5及び外層シート6以外の別体の親水性シートを用いていないので、おむつ1の着用中に、背側ウエストフラップFBの伸縮領域STの剛性が高くなり難く、別体の親水性シートの端縁が着用者の皮膚を刺激することも無いので、肌の赤みを発症し難く、湿疹、汗疹、かぶれ等の皮膚トラブルを低減することが期待できる。
【0048】
上記効果を一層確実に奏されるようにする観点から、おむつ1は、以下の一又は二以上の構成を有することが好ましい。
【0049】
おむつ1では、図3に示すように、親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとは、折り返し部RPにて、接着剤又は熱融着によって互いに固定されていないことが好ましい。親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとが少なくとも折り返し部RPにて固定されていなければ、汗が蒸発する親水性領域4Tの表面積を確保でき、折り返し部RPにおける親水性長寸部4TL及び親水性短寸部4TSそれぞれの肌対向面及び非肌対向面からの汗の蒸発を促すことができる。
【0050】
おむつ1では、図3に示すように、親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとは、親水性短寸部4TSの全域で、接着剤又は熱融着によって互いに固定されていないことが好ましい。親水性短寸部4TSの全域で親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとが固定されていなければ、汗が蒸発する親水性領域4Tの表面積を確保でき、折り返し部RPにおける親水性長寸部4TL及び親水性短寸部4TSそれぞれの肌対向面及び非肌対向面からの汗の蒸発を促すことができる。
【0051】
また、背側ウエストフラップFBを構成する不織布として、親水性領域4Tを備えた疎水性不織布からなる内層シート5(内層の折り返し部分5E)以外に、疎水性の繊維からなる第2疎水性不織布として、外層シート6(外層の折り返し部分6Eを含む)を有している。おむつ1では、背側ウエストフラップFBを構成する不織布として、親水性領域4Tを備えた疎水性不織布からなる内層シート5(内層の折り返し部分5E)以外に、別体の疎水性の繊維からなる第2疎水性不織布として、外層シート6(外層の折り返し部分6Eを含む)を有している。そして、外層の折り返し部分6Eが、図3に示すように、親水性長寸部4TLよりも着用者の肌に近い側に配されている。このような場合、外層の折り返し部分6Eは親水性長寸部4TLの全域を覆っていることが好ましい。このように外層の折り返し部分6Eが親水性長寸部4TLの全域を覆っていると、親水性領域4Tに吸収された汗が疎水性の外層の折り返し部分6Eによって着用者の肌へ移行することを防止できる。
【0052】
尚、親水性領域4Tが外層の折り返し部分6Eを介して汗を吸汗し易い観点から、親水性長寸部4TLと疎水性不織布からなる外層の折り返し部分6Eとは、親水性長寸部4TLに配された熱融着部で固定されていることが好ましい。即ち、内層の折り返し部分5Eに形成された親水性の親水性長寸部4TLと、疎水性の外層の折り返し部分6Eとは、親水性領域4Tにて、散点状に配置された複数の熱融着による接合部(熱融着部)で固定されていることが好ましい。このような熱融着部は、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等の各種公知の方法を用いて形成することができる。
【0053】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。以下に示す他の実施形態の使い捨ておむつにおいては、図3に示すおむつ1と同じ部位には同じ番号を付して説明する。
【0054】
例えば、上述したおむつ1は、図3に示すように、背側ウエストフラップFBを構成する不織布として、内層シート5、内層の折り返し部分5E、外層シート6及び外層の折り返し部分6Eを有しているが、図4に示すおむつ1のように、内層シート5及び外層シート6以外に、別体の疎水性の繊維からなる疎水性不織布9を有していてもよい。具体的に、図4に示すおむつ1では、別体の疎水性不織布9が、外層の折り返し部分6Eと内層シート5との間に配されており、親水性領域4Tは、別体の疎水性不織布9の全域に、親水化剤を塗布して形成されている。その為、一方の折り返し部分91及び他方の折り返し部分92が何れも、弾性部材71よりも着用者の肌に近い側に配されている。よって、図4に示すおむつ1では、図3に示すおむつ1と同様に、親水性長寸部4TL及び親水性短寸部4TSが、それぞれ、弾性部材71よりも着用者の肌に近い側に配されている。そして、親水性長寸部4TLが、親水性短寸部4TSよりも着用者の肌に近い側に配されている。また、おむつ1では、親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとが互いに当接するように重なっている。図4に示すおむつ1によれば、図3に示すおむつ1と同様の効果を奏すると共に、特に親水性領域4Tが別体の疎水性不織布9の全域に形成されているので、おむつ1の横方向Yにおける吸汗領域の長さを自由に調節しやすい。尚、一方の折り返し部分91に形成される親水性長寸部4TLの股下領域C側の内端部と、吸収体23の縦方向Xの後端部23Bとは、吸収体23に吸収された体液が移行しないようにする観点から、間隔を空けて配されていることが好ましい。
【0055】
また、上述したおむつ1は、図3に示すように、背側ウエストフラップFBを構成する不織布として、内層シート5、内層の折り返し部分5E、外層シート6及び外層の折り返し部分6Eを有しているが、図5に示すおむつ1のように、内層シート5及び外層シート6以外に、別体の不織布製の別シート90を有していてもよい。具体的に、図5に示すおむつ1では、別シート90が、内層シート5及び外層シート6を挟むように、おむつ1の背側領域Bにおける縦方向Xの外端部1B、言い換えれば、ウエスト開口部WHの周縁部に位置する折り返し部RPにて折り返されて、一方の折り返し部分910が横方向(Y方向)に伸長状態で配された弾性部材71よりも着用者の肌に近い側に配され且つ内層シート5の肌対向面に配されている。そして、他方の折り返し部分920が弾性部材71よりも着用者の肌に遠い側に配され且つ外層シート6の非肌対向面に配されている。また、親水性領域4Tは、別シート90の全域に、親水化剤を塗布して形成されている。よって、図5に示すおむつ1では、親水性長寸部4TLが弾性部材71よりも着用者の肌に近い側に配され、親水性短寸部4TSが弾性部材71よりも着用者の肌に遠い側に配されて、親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとで弾性部材71を挟んでいる。このように、親水性長寸部4TLが、親水性短寸部4TSよりも着用者の肌に近い側に配されている。図5に示すおむつ1によれば、図3に示すおむつ1と同様の効果を奏すると共に、特に親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとで弾性部材71を挟んでいるので、弾性部材71の介在により親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとが互いに隔てられ易く、親水性長寸部4TL及び親水性短寸部4TSそれぞれの肌対向面及び非肌対向面からの汗の蒸発を促すことができる。尚、一方の折り返し部分910に形成される親水性長寸部4TLの股下領域C側の内端部と、吸収体23の縦方向Xの後端部23Bとは、吸収体23に吸収された体液が移行しないようにする観点から、間隔を空けて配されていることが好ましい。
【0056】
また、図5に示すおむつ1では、内層シート5及び外層シート6が、疎水性の繊維からなる疎水性不織布で形成されていれば、背側ウエストフラップFBを構成する不織布は、親水性領域4Tを備えた別シート90以外に、疎水性不織布として、内層シート5及び外層シート6を有するようになる。図5に示すおむつ1によれば、親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとで、疎水性不織布からなる内層シート5及び外層シート6を挟んでいるので、疎水性不織布の介在により親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとが互いに隔てられ、親水性長寸部4TL及び親水性短寸部4TSそれぞれの肌対向面及び非肌対向面からの汗の蒸発を促すことができる。
【0057】
また、図5に示すおむつ1においては、別シート90として、親水性の繊維からなる親水性不織布と、疎水性の繊維からなる疎水性不織布との積層シートを用いてもよい。このような積層シートを別シート90として用いる場合、一方の折り返し部分910において、親水性不織布の肌対向面上に疎水性不織布が配され、他方の折り返し部分920において、親水性不織布の非肌対向面上に疎水性不織布が配されるように積層されていることが好ましい。このように、一方の折り返し部分910において親水性不織布の肌対向面上に疎水性不織布が配されていると、親水性不織布に吸収された汗が疎水性不織布によって着用者の肌へ移行することを防止できる。尚、親水性不織布が、親水性不織布を覆う疎水性不織布を介して汗を吸汗し易い観点から、親水性不織布と疎水性不織布とは、親水性不織布に配された熱融着部で固定されていることが好ましい。親水性不織布と、疎水性不織布とは、親水性不織布にて、散点状に配置された複数の熱融着による接合部(熱融着部)で固定されていることが好ましい。このような熱融着部は、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等の各種公知の方法を用いて形成することができる。
【0058】
また、上述したおむつ1は、図3に示すように、背側ウエストフラップFBを構成する不織布として、内層シート5、内層の折り返し部分5E、外層シート6及び外層の折り返し部分6Eを有しており、内層シート5及び内層の折り返し部分5Eの一部に親水性領域4Tを形成しているが、図6に示すおむつ1のように、外層シート6及び外層の折り返し部分6Eの一部に親水性領域4Tを形成してもよい。図6に示すおむつ1では、内層シート5及び外層シート6が疎水性不織布で形成されており、外層シート6の一部に親水化剤を塗布して親水性領域4Tが形成されている。また、疎水性不織布(外層シート6)の親水性領域4Tは、着用者の肌に近い側が縦方向(X方向)に長くなるように折り返し部RPを跨いでいる。図6に示すおむつ1では、外層シート6の親水性領域4Tは、着用者の肌に近い側に配され且つ折り返し部RPから縦方向(X方向)に長く延在する親水性長寸部4TLと、親水性長寸部4TLよりも縦方向(X方向)に短い親水性短寸部4TSとに区分されている。
【0059】
図6に示すおむつ1では、親水性長寸部4TLが弾性部材71よりも着用者の肌に近い側に配され、親水性短寸部4TSが弾性部材71よりも着用者の肌に遠い側に配されて、親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとで弾性部材71を挟んでいる。このように、親水性長寸部4TLが、親水性短寸部4TSよりも着用者の肌に近い側に配されている。図6に示すおむつ1によれば、図3に示すおむつ1と同様の効果を奏すると共に、特に親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとで弾性部材71を挟んでいるので、弾性部材71の介在により親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとが互いに隔てられ易く、親水性長寸部4TL及び親水性短寸部4TSそれぞれの肌対向面及び非肌対向面からの汗の蒸発を促すことができる。尚、外層の折り返し部分6Eに形成される親水性長寸部4TLの股下領域C側の内端部と、吸収体23の縦方向Xの後端部23Bとは、吸収体23に吸収された体液が移行しないようにする観点から、間隔を空けて配されていることが好ましい。
【0060】
また、図6に示すおむつ1では、内層シート5も疎水性の繊維からなる疎水性不織布で形成されているので、背側ウエストフラップFBを構成する不織布は、親水性領域4Tを備えた疎水性不織布からなる外層シート6以外に、疎水性不織布からなる内層シート5を有するようになる。図6に示すおむつ1によれば、親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとで、疎水性不織布からなる内層シート5を挟んでいるので、疎水性不織布の介在により親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとが互いに隔てられ、親水性長寸部4TL及び親水性短寸部4TSそれぞれの肌対向面及び非肌対向面からの汗の蒸発を促すことができる。尚、図6に示すおむつ1は、親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとの間を更に隔てる観点から、内層シート5が、おむつ1の背側領域Bにおける縦方向Xの外端部1Bに位置する折り返し部RPにて折り返された折り返し部分5Eを有する形態であってもよい。
【0061】
また、上述したおむつ1は、図3に示すように、背側ウエストフラップFBを構成する不織布として、内層シート5、内層の折り返し部分5E、外層シート6及び外層の折り返し部分6Eを有しており、内層シート5及び内層の折り返し部分5Eの一部に親水性領域4Tを形成しているが、図7に示すおむつ1のように、内層シート5を、外層シート6の外層の折り返し部分6Eで形成し、外層シート6及び外層の折り返し部分6Eの一部に親水性領域4Tを形成してもよい。図7に示すおむつ1では、外層シート6が疎水性不織布で形成されており、外層シート6の一部に親水化剤を塗布して親水性領域4Tが形成されている。また、疎水性不織布(外層シート6)の親水性領域4Tは、着用者の肌に近い側が縦方向(X方向)に長くなるように折り返し部RPを跨いでいる。図7に示すおむつ1では、親水性領域4Tは、着用者の肌に近い側に配され且つ折り返し部RPから縦方向(X方向)に長く延在する親水性長寸部4TLと、親水性長寸部4TLよりも縦方向(X方向)に短い親水性短寸部4TSとに区分されている。このような図7に示すおむつ1は、内層シート5が外層シート6の外層の折り返し部分6Eで形成されており、構成部材が少ないので、通気性が高く蒸発しやすいのに加え、材料コストを抑えることができる。
【0062】
図7に示すおむつ1では、親水性長寸部4TLが弾性部材71よりも着用者の肌に近い側に配され、親水性短寸部4TSが弾性部材71よりも着用者の肌に遠い側に配されて、親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとで弾性部材71を挟んでいる。このように、親水性長寸部4TLが、親水性短寸部4TSよりも着用者の肌に近い側に配されている。図7に示すおむつ1によれば、図3に示すおむつ1と同様の効果を奏すると共に、特に親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとで弾性部材71を挟んでいるので、弾性部材71の介在により親水性長寸部4TLと親水性短寸部4TSとが互いに隔てられ易く、親水性長寸部4TL及び親水性短寸部4TSそれぞれの肌対向面及び非肌対向面からの汗の蒸発を促すことができる。尚、外層の折り返し部分6Eに形成される親水性長寸部4TLの股下領域C側の内端部と、吸収体23の縦方向Xの後端部23Bとは、吸収体23に吸収された体液が移行しないようにする観点から、間隔を空けて配されていることが好ましい。
【0063】
また、上述したおむつ1は、図3に示すように、背側ウエストフラップFBを構成する不織布として、内層シート5、内層の折り返し部分5E、外層シート6及び外層の折り返し部分6Eを有しており、内層シート5及び内層の折り返し部分5Eの一部に親水性領域4Tを形成しているが、図8に示すおむつ1のように、外層の折り返し部分6Eを有さない形態であってもよい。図8に示すおむつ1では、内層シート5の内層の折り返し部分5Eが、吸収体23の縦方向Xの後端部23B、即ち、吸収性本体2の縦方向Xの端部を被覆している。疎水性不織布(内層シート5)の親水性領域4Tは、着用者の肌に近い側が縦方向(X方向)に長くなるように折り返し部RPを跨いでいる。図8に示すおむつ1では、親水性領域4Tは、着用者の肌に近い側に配され且つ折り返し部RPから縦方向(X方向)に長く延在する親水性長寸部4TLと、親水性長寸部4TLよりも縦方向(X方向)に短い親水性短寸部4TSとに区分されている。
【0064】
図8に示すおむつ1では、親水性長寸部4TL及び親水性短寸部4TSが弾性部材71よりも着用者の肌に近い側に配され、親水性長寸部4TLが、親水性短寸部4TSよりも着用者の肌に近い側に配されている。また、おむつ1では、背側ウエストフラップFB及び腹側ウエストフラップFAは、内層シート5と外層シート6とが、散点状に配置された複数の熱融着による接合部8にて接合固定されて形成されており、接合部8で固定された内層シート5と外層シート6との間に、横方向(Y方向)に伸長した状態で配され且つ縦方向(X方向)に間欠的に配された複数の弾性部材71を有している。図8に示すおむつ1によれば、図3に示すおむつ1と同様の効果を奏すると共に、(1)内層シート5及び内層の折り返し部分5Eの一部に親水性領域4Tが形成されていること、(2)内層シート5と外層シート6との間がウエスト開口部WHにおいて解放されていること、(3)弾性部材71縮時に背側ウエストフラップFBを構成する不織布間に空間ができることと相俟って、吸汗した汗が蒸発しやすい。尚、内層の折り返し部分5Eに形成される親水性長寸部4TLの股下領域C側の内端部と、吸収体23の縦方向Xの後端部23Bとは、吸収体23に吸収された体液が移行しないようにする観点から、間隔を空けて配されていることが好ましい。
【0065】
本発明の吸収性物品は、上述の図3図8のおむつ1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の図3図8のおむつ1における各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【0066】
また、上述したおむつ1は、図3に示すように、弾性部材71が全て糸状(帯状を含む)の弾性部材であるが、フィルム状、或いは、弾性繊維からなる弾性繊維層状の弾性部材から構成されていてもよい。
【0067】
また、上述した使い捨ておむつ1においては、図2に示すように、背側ウエストフラップFBにのみ、伸縮領域STに親水性の親水化剤を塗布した親水性領域4Tを配しているが、腹側ウエストフラップFAにも親水性領域4Tを配していてもよい。
【0068】
また、上述した使い捨ておむつ1においては、図2に示すように、外装体3が腹側領域A、股下領域C及び背側領域Bにわたる砂時計状等の連続した形状のパンツ型使い捨ておむつであるが、外装体3が、腹側外装体、背側外装体及び股下外装体に別部材として区分された分割型のパンツ型使い捨ておむつであってもよい。
【0069】
また、上述した使い捨ておむつ1においては、図1に示すように、外装体3を有するパンツ型使い捨ておむつであるが、展開型の使い捨ておむつであってもよい。
【0070】
上述した実施形態に関し、さらに以下の使い捨ておむつを開示する。
【0071】
<1>
着用者の腹側に配される腹側領域および着用者の背側に配される背側領域と、それらの間に位置する股下領域とを備えると共に、該腹側領域から該背側領域に延びる縦方向と該縦方向に直交する横方向とを備え、前記腹側領域と前記背側領域とに亘って吸収体を有し、該吸収体の縦方向の前後端部それぞれから外方に位置して横方向に延びる腹側ウエストフラップ及び背側ウエストフラップを有する使い捨ておむつであって、
前記背側ウエストフラップには、横方向に伸長状態で配された弾性部材による伸縮領域が形成されており、
前記背側ウエストフラップは、前記伸縮領域において、親水性の繊維からなる親水性領域を備えた不織布を有し、
前記親水性領域を備えた不織布は前記背側領域の縦方向の外端部に位置する折り返し部にて折り返されて、少なくとも一方の折り返し部分が前記弾性部材よりも着用者の肌に近い側に配されており、
前記親水性領域は、縦方向の長さに関し、着用者の肌に近い側が長くなるように前記折り返し部を跨いでいる、使い捨ておむつ。
【0072】
<2>
前記親水性領域は、着用者の肌に近い側に配され且つ前記折り返し部から縦方向に長く延在する親水性長寸部と、該親水性長寸部から着用者の肌に遠い側に配され且つ該親水性長寸部よりも縦方向に短い親水性短寸部とに区分され、
前記親水性長寸部と前記親水性短寸部とは、前記折り返し部にて固定されていない、前記<1>に記載の使い捨ておむつ。
<3>
前記親水性長寸部と前記親水性短寸部とは、該親水性短寸部の全域で互いに固定されていない、前記<2>に記載の使い捨ておむつ。
<4>
前記親水性領域は、前記弾性部材よりも着用者の肌に近い側に配され且つ前記折り返し部から縦方向に長く延在する親水性長寸部と、該親水性長寸部よりも縦方向に短い親水性短寸部とに区分され、
前記親水性短寸部は、前記弾性部材よりも着用者の肌に遠い側に配されており、
前記親水性長寸部と前記親水性短寸部とで、前記弾性部材を挟んでいる、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<5>
前記親水性領域は、前記弾性部材よりも着用者の肌に近い側に配され且つ前記折り返し部から縦方向に長く延在する親水性長寸部と、該親水性長寸部よりも縦方向に短い親水性短寸部とに区分され、
前記親水性短寸部は、前記弾性部材よりも着用者の肌に遠い側に配されており、
前記背側ウエストフラップを構成する不織布は、前記親水性領域を備えた前記不織布以外に、疎水性の繊維からなる疎水性不織布を有し、
前記親水性長寸部と前記親水性短寸部とで、前記疎水性不織布を挟んでいる、前記<1>〜<4>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<6>
前記親水性領域は、着用者の肌に近い側に配され且つ前記折り返し部から縦方向に長く延在する親水性長寸部と、該親水性長寸部から着用者の肌に遠い側に配され且つ該親水性長寸部よりも縦方向に短い親水性短寸部とに区分され、
前記弾性部材は、横方向中央領域において、前記親水性短寸部と固定されていない、前記<1>〜<5>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<7>
前記親水性領域は、着用者の肌に近い側に配され且つ前記折り返し部から縦方向に長く延在する親水性長寸部と、該親水性長寸部から着用者の肌に遠い側に配され且つ該親水性長寸部よりも縦方向に短い親水性短寸部とに区分され、
前記背側ウエストフラップを構成する不織布は、前記親水性領域を備えた不織布以外に、疎水性の繊維からなる第2疎水性不織布を有し、
前記第2疎水性不織布が、前記親水性長寸部よりも着用者の肌に近い側に配されている、前記<1>〜<6>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<8>
前記第2疎水性不織布と前記親水性長寸部とが、熱融着部で固定されている、前記<7>に記載の使い捨ておむつ。
<9>
前記親水性領域は、前記背側ウエストフラップを構成する前記親水性領域を備えた不織布の全域の一部に親水化剤を塗布して形成されている、前記<1>〜<8>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
【0073】
<10>
前記親水性領域は、疎水性不織布に親水化剤を塗布して形成されている、前記<1>〜<9>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<11>
前記背側ウエストフラップは、前記伸縮領域において、構成する不織布として、疎水性の繊維からなる疎水性不織布からなる内層シートを有し、該内層シートは、親水化剤を横方向の全長に亘って塗布して形成された前記親水性領域を備えている、前記<1>〜<10>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<12>
前記伸縮領域はウエスト伸縮部及び胴回り下部伸縮部を有し、
前記親水性領域は、前記背側ウエストフラップの伸縮領域、即ち、前記ウエスト伸縮部に前記胴回り下部伸縮部の一部を合わせた領域に配されている、前記<1>〜<11>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<13>
前記親水性領域は、着用者の肌に近い側に配され且つ前記折り返し部から縦方向に長く延在する親水性長寸部と、該親水性長寸部から着用者の肌に遠い側に配され且つ該親水性長寸部よりも縦方向に短い親水性短寸部とに区分され、
前記親水性長寸部及び前記親水性短寸部が、それぞれ、前記弾性部材よりも着用者の肌に近い側に配されており、
前記親水性長寸部が、前記親水性短寸部よりも着用者の肌に近い側に配されている、前記<1>〜<12>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<14>
前記親水性領域は、着用者の肌に近い側に配され且つ前記折り返し部から縦方向に長く延在する親水性長寸部と、該親水性長寸部から着用者の肌に遠い側に配され且つ該親水性長寸部よりも縦方向に短い親水性短寸部とに区分され、
前記親水性長寸部と前記親水性短寸部とが互いに当接するように重なっている、前記<1>〜<13>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<15>
前記親水性領域は、着用者の肌に近い側に配され且つ前記折り返し部から縦方向に長く延在する親水性長寸部と、該親水性長寸部から着用者の肌に遠い側に配され且つ該親水性長寸部よりも縦方向に短い親水性短寸部とに区分され、
前記一方の折り返し部分の縦方向の長さ(L1)に対する前記親水性長寸部の縦方向の長さ(L2)の割合((L2/L1)×100)が、80%以上、好ましくは90%以上であり、上限は100%である、前記<1>〜<14>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<16>
前記親水性領域は、着用者の肌に近い側に配され且つ前記折り返し部から縦方向に長く延在する親水性長寸部と、該親水性長寸部から着用者の肌に遠い側に配され且つ該親水性長寸部よりも縦方向に短い親水性短寸部とに区分され、
前記一方の折り返し部分の前記股下領域側の内端部にまで前記親水性長寸部が亘っておらず、該内端部には疎水性の構成繊維からなる疎水性の領域が存在している、前記<1>〜<15>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<17>
前記親水性領域は、着用者の肌に近い側に配され且つ前記折り返し部から縦方向に長く延在する親水性長寸部と、該親水性長寸部から着用者の肌に遠い側に配され且つ該親水性長寸部よりも縦方向に短い親水性短寸部とに区分され、
前記一方の折り返し部分の全域が前記親水性長寸部となっている、前記<1>〜<15>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<18>
前記一方の折り返し部分の前記股下領域側の内端部と、前記吸収体の縦方向の端部とは、間隔を空けて配されている、前記<1>〜<17>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
【0074】
<19>
前記親水性領域は、着用者の肌に近い側に配され且つ前記折り返し部から縦方向に長く延在する親水性長寸部と、該親水性長寸部から着用者の肌に遠い側に配され且つ該親水性長寸部よりも縦方向に短い親水性短寸部とに区分され、
前記親水性長寸部の縦方向の長さ(L2)に対する前記親水性短寸部の縦方向の長さ(L3)の割合((L3/L2)×100)が、3%以上、好ましくは5%以上であり、そして、80%以下、好ましくは70%以下である、前記<1>〜<18>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<20>
前記一方の折り返し部分の縦方向の長さ(L1)は、20mm以上、好ましくは30mm以上であり、そして、120mm以下、好ましくは100mm以下である、前記<1>〜<19>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<21>
前記親水性領域は、着用者の肌に近い側に配され且つ前記折り返し部から縦方向に長く延在する親水性長寸部と、該親水性長寸部から着用者の肌に遠い側に配され且つ該親水性長寸部よりも縦方向に短い親水性短寸部とに区分され、
前記親水性長寸部の縦方向の長さ(L2)は、20mm以上、好ましくは30mm以上であり、そして、100mm以下、好ましくは90mm以下である、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<22>
前記親水性領域は、着用者の肌に近い側に配され且つ前記折り返し部から縦方向に長く延在する親水性長寸部と、該親水性長寸部から着用者の肌に遠い側に配され且つ該親水性長寸部よりも縦方向に短い親水性短寸部とに区分され、
前記親水性短寸部の縦方向の長さ(L3)は、1mm以上、好ましくは2mm以上であり、そして、80mm以下、好ましくは60mm以下である、前記<1>〜<21>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<23>
前記背側ウエストフラップを構成する不織布は、前記親水性領域を備えた不織布以外に別シートを有し、
前記別シートとして、親水性の繊維からなる親水性不織布と、疎水性の繊維からなる疎水性不織布との積層シートを用いる、前記<1>〜<22>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<24>
前記別シートが、前記親水性領域を備えた不織布を挟むように、使い捨ておむつの前記背側領域における縦方向の外端部にて折り返されて、一方の折り返し部分が横方向に伸長状態で配された前記弾性部材よりも着用者の肌に近い側に配され且つ前記親水性領域を備えた不織布の肌対向面に配されており、他方の折り返し部分が前記弾性部材よりも着用者の肌に遠い側に配され且つ前記親水性領域を備えた不織布の非肌対向面に配されており、
前記別シートは、前記一方の折り返し部分において、前記親水性領域を備えた不織布の肌対向面上に前記疎水性不織布が配され、前記他方の折り返し部分において、前記親水性領域を備えた不織布の非肌対向面上に該疎水性不織布が配されるように積層されている、前記<23>に記載の使い捨ておむつ。
<25>
前記親水性領域を備えた不織布は、内層シート、内層の折り返し部分、外層シート及び外層の折り返し部分を有しており
前記外層シート及び前記外層の折り返し部分の一部に前記親水性領域が形成されている、前記<1>〜<24>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<26>
前記内層シート及び前記外層シートは疎水性不織布で形成されており、該外層シートの一部に親水化剤を塗布して前記親水性領域が形成されている、前記<25>に記載の使い捨ておむつ。
<27>
前記親水性領域を備えた不織布は、内層シート、内層の折り返し部分、外層シート及び外層の折り返し部分を有しており、
前記内層シートが、前記外層シートの前記外層の折り返し部分で形成されており、
前記外層シート及び前記外層の折り返し部分の一部に前記親水性領域が形成されている、前記<1>〜<24>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
【0075】
<28>
前記親水性領域が背側ウエストフラップ及び前記腹側ウエストフラップに形成されており、
前記腹側ウエストフラップ側の親水性領域の親水性の程度と前記背側ウエストフラップ側の親水性領域の親水性の程度は同じである、前記<1>〜<27>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<29>
前記使い捨ておむつは外装体を有し、
前記外装体は、使い捨ておむつの外面を形成する非肌対向面側の外層シート、最も肌対向面側の外層の折り返し部分、並びに、該外層シートと該外層の折り返し部分との間に配された内層シート及び内層の折り返し部分を有し、
前記内層シートの一方の折り返し部分で形成された内層の折り返し部分は、前記背側領域において、横方向に長い矩形状に形成されている、前記<1>〜<28>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<30>
前記使い捨ておむつは外装体を有し、
前記外装体は、使い捨ておむつの外面を形成する非肌対向面側の外層シート、最も肌対向面側の外層の折り返し部分、並びに、該外層シートと該外層の折り返し部分との間に配された内層シート及び内層の折り返し部分を有し、
前記外層シートの折り返し部分で形成された前記外層の折り返し部分は、前記腹側領域及び前記背側領域それぞれにおいて、横方向に長い矩形状に形成されている、前記<1>〜<29>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<31>
前記使い捨ておむつは外装体を有し、
前記外装体は、使い捨ておむつの外面を形成する非肌対向面側の外層シート、最も肌対向面側の外層の折り返し部分、並びに、該外層シートと該外層の折り返し部分との間に配された内層シート及び内層の折り返し部分を有し、
前記背側ウエストフラップにおいては、着用者の肌に近い側から遠い側に向かって、前記外層の折り返し部分、前記内層の折り返し部分、前記内層シート、前記外層シートの順に配されている、前記<1>〜<30>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<32>
前記使い捨ておむつは外装体を有し、
前記外装体は、使い捨ておむつの外面を形成する非肌対向面側の外層シート、最も肌対向面側の外層の折り返し部分、並びに、該外層シートと該外層の折り返し部分との間に配された内層シート及び内層の折り返し部分を有し、
前記外装体は前記背側ウエストフラップ及び前記腹側ウエストフラップを有し、
前記背側ウエストフラップ及び前記腹側ウエストフラップは、前記内層シートと前記外層シートとが、散点状に配置された複数の熱融着による接合部にて接合固定されて形成されている、前記<1>〜<31>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<33>
前記伸縮領域はウエスト伸縮部及び胴回り下部伸縮部を有し、
前記腹側領域及び前記背側領域それぞれの前記ウエスト伸縮部から前記胴回り下部伸縮部に亘る領域に、前記内層シートと前記外層シートとの前記接合部が、縦方向に沿って一列をなすように間欠的に配されており、その複数の接合部からなる接合部列が、横方向に間隔を開けて複数列配されており、
前記腹側領域及び前記背側領域それぞれの前記ウエスト伸縮部から前記胴回り下部伸縮部に亘る領域に、複数本の弾性部材が、それぞれ、複数の前記接合部列それぞれの前記接合部どうし間の隙間を通って、横方向に伸長状態で配されている、前記<32>に記載の使い捨ておむつ。
<34>
前記使い捨ておむつは、前記吸収体を具備する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配されて該吸収性本体を固定する外装体とを備え、
前記外装体は、使い捨ておむつの外面を形成する非肌対向面側の外層シートと、内層シートとを有し、
前記使い捨ておむつは、前記吸収性本体の縦方向に沿う両側部の近傍に、前記内層シートと前記外層シートとが弾性部材固定用接着剤を介して接合された一対の本体側固定領域を有している、前記<1>〜<33>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<35>
前記使い捨ておむつは、前記吸収体を具備する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配されて該吸収性本体を固定する外装体とを備え、
前記外装体は、使い捨ておむつの外面を形成する非肌対向面側の外層シートと、内層シートとを有し、
前記使い捨ておむつは、前記外装体の前記腹側領域の両側縁部及び該外装体の前記背側領域の両側縁部に、前記内層シートと前記外層シートとが弾性部材固定用接着剤を介して接合された一対の外側固定領域を有しており、
前記弾性部材は、一対の前記外側固定領域それぞれにおいて、前記内層シートと前記外層シートとの間に固定されている一方、一対の該外側固定領域間においては、該内層シート及び該外層シートの何れにも固定されていない、前記<1>〜<34>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
【符号の説明】
【0076】
1 パンツ型使い捨ておむつ
1B 背側領域における縦方向の外端部
2 吸収性本体
21 表面シート
22 裏面シート
23 吸収体
24 防漏カフ
25 防漏カフ形成用弾性部材
3 外装体
4T 親水性領域
4TL 親水性長寸部
4TS 親水性短寸部
5 内層シート
5E 内層の折り返し部分
6 外層シート
6E 外層の折り返し部分
71 弾性部材
72 レッグ弾性部材
8 接合部
8L 接合部列
9 疎水性不織布
91 一方の折り返し部分
92 他方の折り返し部分
90 別シート
910 一方の折り返し部分
920 他方の折り返し部分
A 腹側領域、B 背側領域、C 股下領域
ST 伸縮領域
FA 腹側ウエストフラップ
FB 背側ウエストフラップ
RP 折り返し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8