(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6744229
(24)【登録日】2020年8月3日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】横バックル付きクランプカラー
(51)【国際特許分類】
B65D 63/08 20060101AFI20200806BHJP
A44B 11/18 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
B65D63/08
A44B11/18
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-574963(P2016-574963)
(86)(22)【出願日】2015年6月22日
(65)【公表番号】特表2017-518832(P2017-518832A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】FR2015051644
(87)【国際公開番号】WO2015197959
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年5月16日
(31)【優先権主張番号】1455794
(32)【優先日】2014年6月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591085905
【氏名又は名称】エタブリスマン・カイロウ
【氏名又は名称原語表記】ETABLISSEMENTS CAILLAU
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】プレヴォー,ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】リゴレー,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ジャクリン,アルノー
【審査官】
内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】
実公第008418(大正12年)(JP,Y1T)
【文献】
国際公開第2014/024296(WO,A1)
【文献】
特開昭57−001059(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0288539(US,A1)
【文献】
米国特許第01517515(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 63/08
A44B 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ状の金属ストラップと横バックルとを備えるクランプカラーであって、前記横バックルは、前記ストラップの第1端にて保持され、前記第1端の外側で、前記ストラップの第2端が挿入される挿通路を形成し、前記横バックルは、前記ストラップの前記第1端の内側の面に対向して配置される内側部分を有し、前記内側部分は、前記ストラップの前記第1端の自由先端が向く方向と反対の方向に向く制止横エッジを有し、前記制止横エッジは、前記ストラップの前記第1端内に形成された制止後退部を規定する前記第1端の制止横止め部と連係し、
前記ストラップの前記第2端が保持横止め部を有し、前記保持横止め部は、前記制止後退部に受け止められ、前記制止後退部の保持エッジに当接して連係することによって、前記ストラップの前記第2端を保持し、それにより、前記ストラップの前記第2端が前記クランプカラーの直径が大きくなる方向に移動することを防止し、
前記保持横止め部は、前記ストラップの前記第2端において形成される保持後退部を規定し、
前記保持後退部は、前記ストラップの前記第2端の横方向中央に形成される横切り込みによって規定され、前記保持横止め部は、前記保持後退部の、前記ストラップの前記第1端の自由先端が位置する側に位置する前記横切り込みの縁部上に形成されることを特徴とするクランプカラー。
【請求項2】
前記制止横エッジは、前記横バックルの前記内側部分の第1の自由端上に位置する自由エッジであることを特徴とする請求項1に記載のクランプカラー。
【請求項3】
前記制止横エッジは、前記横バックルの前記内側部分の前記第1の自由端において、ノッチの、前記ストラップの前記第1端の自由先端が位置する側に形成されることを特徴とする請求項2に記載のクランプカラー。
【請求項4】
前記制止後退部の半径方向に測定される深さ(P)は、前記ストラップの厚さ(e)または前記横バックルの前記内側部分の厚さ(Eb)に実質的に等しいか、それ以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のクランプカラー。
【請求項5】
前記ストラップの前記第1端は、前記横バックルと連係する側部突出部を有し、前記側部突出部は、前記ストラップの前記第1端が前記横バックルに対して、前記ストラップの前記第1端の自由先端が向く方向と反対の方向へ移動することを防止することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のクランプカラー。
【請求項6】
前記制止後退部は前記ストラップの前記第1端の内側の面に突出部を形成する皿部を形成し、前記皿部の側部のうちの1つは、前記制止後退部の外側における前記側部の面上に前記制止横止め部を形成し、前記制止後退部の内側における前記側部の面上に前記保持エッジを形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のクランプカラー。
【請求項7】
前記制止後退部は、前記ストラップの前記第1端の横方向中央に形成される横切り込みによって規定され、前記制止横止め部は、前記制止後退部の、前記ストラップの前記第1端の自由先端が位置する側に位置する前記切り込みの縁部上に形成され、前記保持エッジは、反対の縁部上に形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のクランプカラー。
【請求項8】
前記横バックルの前記内側部分は、増設制止横エッジを有し、前記増設制止横エッジは、前記ストラップの前記第1端の前記自由先端側を向き、前記ストラップの前記第1端の増設制止横止め部と連係し、前記増設制止横止め部は、前記第1端において形成される増設制止後退部を規定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のクランプカラー。
【請求項9】
前記増設制止横エッジは、前記横バックルの前記内側部分の第2の自由端上に位置する自由エッジであることを特徴とする請求項8に記載のクランプカラー。
【請求項10】
前記増設制止横エッジは、前記横バックルの前記内側部分の第2の自由端において、ノッチの、前記ストラップの前記第1端の自由先端が位置する側と反対の側に形成されることを特徴とする請求項9に記載のクランプカラー。
【請求項11】
前記横バックルは、少なくとも1つの半径方向に突出する外側タブを担持し、前記外側タブは、柄部を有するフックの形状を有し、前記柄部は、頭部を有し、前記頭部の下に凹部(D)が形成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のクランプカラー。
【請求項12】
前記挿通路は、前記横バックルの少なくとも1つの外側の壁部分によって規定される拘束区分を含み、前記外側の壁部分は、前記ストラップの前記第1端の外側の面の上方に位置し、前記外側タブは、前記外側の壁部分に対して縦方向にずれていることを特徴とする請求項11に記載のクランプカラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプカラーに関する。このクランプカラーは、ループ状の金属ストラップと、このストラップの第1端に保持される横バックルとを備える。横バックルは、第1端の外側に、ストラップの第2端を挿入する挿通路を形成する。バックルは、ストラップの第1端の内側の面に対向して配置される内側部分を有する。内側部分は、ストラップの第1端の自由先端が向く方向と反対の方向に向く制止横エッジを有する。制止横エッジは、ストラップの第1端の制止横止め部と連係する。制止横止め部は、ストラップの第1端において形成される制止後退部を規定する。
【背景技術】
【0002】
そのような種類のカラーとして、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。その公知のカラーにおいて、バックルは、その内側の面および外側の面に位置が一致する2つの開口部を有する。また、ストラップの第1端は、バックルの開口部と位置が一致する開口部を有する。カラーを物品の回りに締め付けるためには、ストラップを物品の回りで一巡させ、ストラップの第2端をバックルの挿通路に挿入させ、カラーの直径が小さくなるように、牽引力を第2端にかけ、上記開口部に位置が一致するストラップの第2端の領域をくぼませて、くぼみを形成する。くぼみ付けパンチは、バックルの外側の面における開口部を通り、そしてストラップの第2端の材料がストラップの第1端における開口部を通ってバックルの内側の面における開口部に入るようにする。このように、ストラップの第2端におけるくぼみは、上記開口部のエッジによって保持される。くぼみの連係は、精度に欠け、さらに、特許文献1は、そのような欠点を改善するために、異なる形状のくぼみを提案している。それらのくぼみのうちのいくつかは複雑であり、得ることが困難である。さらに、くぼみは、ストラップの第1端における開口部のエッジ、またはバックルの内側の面における開口部のエッジ、またはこれらのエッジの両方と、それらが同一線上に正確に並んだ場合に、連係する。これらの連係の異なるモードは、ランダムである。
【0003】
このように、上記特許文献1に係るカラーの牽引力下の挙動は、カラーごとに異なり、締め付け力は、カラーに応じて、ストラップの両端間にかかるか、またはストラップの第2端と、ストラップの第1端によって保持されるバックルとの間にかかる。その結果、カラーの牽引力下の挙動は、予測できず、締め付けが弱くなったり、さらには破断が発生したりといった制御不能なおそれがある。
【0004】
また、上記の種類のカラーとして、特許文献2に記載のものが知られている。このカラーにおいては、締め付けがより正確である。そうなるために、カラーの第1端は、バックルの内側の面の下を通り、バックル内に位置する第1端の部分は、バックルにおける開口部と位置が一致する開口部を有し、バックルにおける開口部は、ストラップの第1端における開口部に貫入するように外向きに折り返されるエッジを有し、ストラップの外側の面は、上記折り返しエッジに対して、バックルの第2の係合端の部分によってくぼみをつけられ、その部分がストラップの第1端における開口部に入るようにされる。そのようなカラーは製造が非常に複雑であり、そのような製造は非常に高い精度を必要とすることが理解され得る。例えば、バックルの内側の面における開口部の折り返しエッジがバックル中に半径方向に過度に遠くへ突出すると、それにより第2端がバックルに挿入されにくくなる可能性があり、くぼみ付けの良好度および精度に悪影響が生じる可能性がある。さらに、ストラップの第1端がバックルの内側の面の下を通ることで、余分な内側の厚みが大きくなる。これは、好ましくない可能性がある。特に、カラーによってクランプされる物品が全周にわたって均一にクランプされなければならないパイプである場合は、好ましくない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1775220号明細書
【特許文献2】米国特許第7373695号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の欠点の少なくとも一部を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、ストラップの第2端が保持横止め部を有し、保持横止め部は、制止後退部に受け止められ、この制止後退部の保持エッジと当接して連係することによって、ストラップの第2端を保持し、それによりストラップの第2端がカラーの直径が大きくなる方向に移動することを防止するという特徴によって達成される。
【0008】
したがって、カラーを製造することは容易である。なぜなら、カラーの第1端に対してバックルを制止するように機能し、カラーが締め付け状態にある場合、ストラップの第2端が半径を拡大する方向に移動しないように保持されるようにする制止後退部が存在するという利点があるからである。保持止め部は、制止後退部において受け止められ、この後退部に対して正確に位置付けられる。この保持止め部は、後退部のエッジと連係して上記保持を達成する。さらに、保持横止め部は、プレートのエッジではなく、ストラップの第1端に直接形成された保持エッジと連係する。言い換えると、プレートに応力をかけない「重なり合ったストラップ(strap−on−strap)」による保持を達成する。このように、締め付けの良好度が最適化される。
【0009】
一局面によると、制止横エッジは、バックルの内側部分の第1の自由端上に位置する自由エッジである。
【0010】
この場合、バックルの製造が簡単化される。なぜなら、上記従来技術と異なり、ストラップの第1端に対してバックルを制止するために、バックルを通る中心開口を形成する必要がないからである。
【0011】
例えば、制止横エッジは、バックルの内側部分の第1の自由端において、ノッチの後ろに形成される。
【0012】
このように、制止後退部は、上記ノッチに収容され得る。ストラップの内側から見ると、後退部の底は、ノッチの両側のバックルの内側の面と同じ半径に位置し得る。後退部の深さは、ストラップの内側の面上のショルダーが急峻とならないように、バックルから離れるにつれ小さくなるようにされ得る。これにより、流体を送るための物品の回りでカラーを締め付ける場合、例えば、カラーをスリーブに外嵌されたパイプの回りで締め付ける場合、カラーのクランプに対して密封が向上することを保証する。
【0013】
一局面によると、保持横止め部は、ストラップの第2端において形成される保持後退部を規定する。
【0014】
保持後退部の領域において、ストラップの内部は、加工硬化され、これにより良好な強度が後退部および保持止め部に与えられ、それにより締め付けの良好度が向上される。
【0015】
保持後退部は、横切り込みによって規定され、保持止め部は、後退部の後ろに位置するこの切り込みの縁部上に形成されてもよい。
【0016】
言い換えると、保持後退部は、切り込みエッジを形成し、制止後退部の保持エッジと保持的に連係する縁部を有する、切れ目によって形成される。したがって、保持止め部の位置付けの精度は、幾何形状の精度と同様に、極めて高い。なぜなら、折り返しではなく、切り込みによって得られるからである。したがって、位置付けの精度に関して、ストラップの厚さやその折り返しの精度などは、考慮されない。
【0017】
一局面によると、制止後退部は皿部を形成し、皿部の側部のうちの1つは、後退部の外側における面上に制止止め部を形成し、後退部の内側における面上に保持エッジを形成する。
【0018】
この場合、保持エッジは、ストラップの材料が非常に高度に加工硬化され、したがって非常に高い牽引力強度を有する領域に位置する。したがって、カラーは、非常に大きな締め付け張力で締め付けられ得る。
【0019】
別の局面において、制止後退部は、横切り込みによって規定され、制止止め部は、制止後退部の後ろに位置するこの切り込みの縁部上に形成され、保持エッジは、反対の縁部上に形成される。
【0020】
この場合、保持エッジの保持止め部に対する位置付けの精度が高いので、精度のよい締め付けを得ることができる。
【0021】
一局面によると、バックルの内側部分は、増設制止横エッジを有する。増設制止横エッジは、ストラップの第1端の自由先端側を向き、ストラップの第1端の増設制止横止め部と連係する。増設制止横止め部は、第1端において形成される増設制止後退部を規定する。
【0022】
この場合、増設制止横エッジは、バックルの内側部分の第2の自由端上に位置する自由エッジであり得る。
【0023】
また、増設制止横エッジは、バックルの内側部分の第2の自由端において、ノッチの後ろに形成される。
【0024】
制止横エッジおよび増設制止横エッジは、同じ方法で形成され、バックルの内側部分の横中心線を中心にして対称となってもよい。これら2つの制止横エッジは、同じくぼみ付け操作によって、非常に高い精度で、同時に形成されてもよい。
【0025】
一局面によると、バックルは、少なくとも1つの半径方向に突出する外側タブを担持し、タブは、柄部を有するフックの形状を有し、柄部は、頭部を有し、頭部の下に凹部が形成される。
【0026】
発明を実施するための形態において説明されるように、この外側タブは、カラーの締め付け具に対する位置付けを容易にする。
【0027】
ストラップの第2端が挿入されるバックルの挿通路は、バックルの少なくとも1つの外側の壁部分によって規定される拘束区分を含み、外側の壁部分は、ストラップの第1端の外側の面の上方に位置し、外側タブは、外側の壁部分に対して縦方向にずれていることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下の発明を実施するための形態を読めば本発明が十分に理解され、その利点がより明瞭となる。実施形態は、例を用いて説明するが、その例に限定されない。説明において、添付の図面を参照する。
【0029】
【
図1】
図1は、本発明のクランプカラーの締め付け前の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のカラーの締め付け後の部分斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1および
図2のカラーのストラップの内側の面の、横バックルの近傍における斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に類似の図であるが、変形実施形態を示す図である。
【
図6】
図6は、先行する図のカラーがその締め付け具とどのように連係するかを示す模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書において、用語「内側」は、カラーによって規定される円の幾何学的中心Cに対してより近くに位置する要素を説明するために使用される。他方、用語「外側」は、中心Cからより遠くに位置する要素を説明するために使用される。さらに、用語「縦」は、ストラップの長さに沿って伸びる要素、すなわち、図に示すようにストラップが一巡してそれ自体に重なる場合に、そのループ方向に伸びる要素を説明するために使用される。用語「横」は、上記長さに垂直に、すなわち、ストラップの幅にわたって伸びる要素を説明するために使用される。
【0031】
まず、
図1および
図3について説明する。
図1および
図3からわかるように、クランプカラーは、ループ状の金属ストラップ10と、このストラップの第1端10Aにて保持される横バックル12とを備える。
図1および
図2からより明らかにわかるように、第1端10Aの外側に、バックル12は、第2端10Bが挿入される挿通路13を形成する。
【0032】
本明細書において、ストラップの「第1端」は、バックルと連係する第1端の全区分を意味する。同様に、「第2端」は、バックルと連係する第2端の全区分を意味する。
【0033】
図3からより明らかにわかるように、バックル12は、ストラップ10の第1端10Aの内側の面に対向して配置された内側部分14を有する。外側において、バックルは、2つの外側の壁部分、それぞれ15Aおよび15B、を有する。各外側の壁部分は、内側部分14の対応する縦エッジから折り返されている。これらの外側の壁部分は、ストラップ10の第1端10Aの外側の面の上方に位置する舌状部分を形成する。これらの折り返し舌状部分の内側の面とストラップの第1端10Aの外側の面との間に半径方向に規定される空間は、挿通路13の拘束区分を形成する。その区分にストラップの第2端10Bが通される。「拘束区分」の概念は、上記空間の半径方向の高さがストラップの第2端10Bをその空間に挿入するのにちょうど十分な高さであって、第2端が半径方向を外向きに移動しないように保持されることを意味する。
【0034】
特に
図3および4からわかるように、第1端10Aは、第1端に対するバックルの制止に寄与する制止後退部16を有する。
図4からよりよくわかるように、この制止後退部16は、バックル12の内側部分の制止横エッジ14Aと連係する制止横止め部16Aを有する。図示の例において、このエッジおよびこの止め部は、直線状であり、ストラップに対して横方向に伸びている。このように、止め部16Aとエッジ14Aとの連係により、ストラップの第1端10Aがバックル12に対してF方向(
図4参照)に移動することが防止される。
【0035】
ストラップの第1端10Aを反対方向に保持するために、上記手段と類似する手段を使用する。そうするために、図示の例において、バックルの内側部分は、増設制止横エッジ14Bを有する。増設制止横エッジ14Bは、ストラップの第1端10Aの自由先端10’A側を向き、ストラップの第1端における増設制止横止め部16’Aと連係する。この増設制止横止め部は、上記第1端において形成される増設制止後退部16’を規定する。
【0036】
増設制止横止め部
16’Aおよび増設制止後退部16’は、バックルの内側部分の横中心線Lを中心にして、制止横止め部16Aおよび制止後退部16に対して略対称である。止め部16’Aとエッジ14Bとの連係により、ストラップの第1端10Aがバックル12に対して
図4に示す方向Fと反対の方向に移動することが防止される。
【0037】
図4からより明瞭にわかるように、ストラップの第2端10Bは、制止後退部16において受け止められる保持横止め部11を有する。この保持横止め部は、制止後退部16の保持エッジ17Aと当接して連係する。保持止め部11と保持エッジ17Aとの連係によって、ストラップの第2端10Bが第1端10Aに対して
図4において矢印Fによって示される方向に移動することを防止されることが理解され得る。言い換えると、カラーが一旦締め付けられると、この連係によって、カラーの緩みが防止される。
【0038】
保持横止め部11は、ストラップの第2端において形成される保持後退部11’を規定する。このように、この保持後退部11’は、ストラップの第2端10Bの内側の面上に突出部を形成し、
図4からわかるように、保持後退部は、制止後退部16において受け止められる。特に
図2からわかるように、保持後退部11’の縦エッジは、内向きに伸びるショルダーを形成する。ショルダーにおいて、その材料は、非常に高度に加工硬化される。保持止め部11と反対の後退部の横エッジについても同様である。これにより、保持後退部は、その全体領域で高い強度を有する。このように、保持止め部11は、特に大きな力に耐えることができる。
【0039】
保持後退部11’は、横切り込みによって規定される。保持止め部11は、保持後退部の後ろに位置する、この切り込みの縁部(lip)上に形成される。切り込みの縁部は、ストラップの第2端の自由先端10’Bが向く方向と反対の方向に向く。この縁部は、直線状であり、横方向に伸びている。その幾何学的形状は、特に輪郭がはっきりしているので、ストラップの第2端は、制止横エッジに対して精度よく保持される。
【0040】
この例において、制止後退部16は、皿部を形成する。この皿部の側部のうちの1つは、後退部16の外側にあるその面上で制止止め部16Aを形成し、後退部の内側にあるその面上で保持エッジ17Aを形成する。「内側」および「外側」の上記に定義した概念とは別に、後退部の内側および外側の面は、後退部自体に対して定義される。この例において、後退部は、カラーの第1端10Aの内側の面上に突出部を形成するので、後退部の外側の面は、第1端10Aの内側の面上にあり、他方後退部の内側の面は、第1端の外側の面上に位置する。
図4のような断面からわかるように、制止止め部16Aおよび保持エッジ17Aを、2つの互いに反対の面のそれぞれに有する後退部16の側部は、バックルの内側部分14の内側の面に対して実質的に垂直な、半径方向に伸びるショルダーの形態を有する。
【0041】
図3からより明瞭にわかるように、制止横エッジ14Aは、バックル12の内側部分14の第1の自由端12A上に位置する自由エッジである。より詳細には、この例において、制止横エッジ14Aは、上記第1の自由端12Aにおいて、ノッチ19の後ろに形成される。ノッチの両側に、縦に突出する枝部19Aおよび19Bがある。制止後退部16は、ノッチにおいて受け入れられ、その両側に上記枝部19Aおよび19Bが位置する。
図3からわかるように、後退部16の内側の面は、ノッチの後ろの近傍において、バックルの内側部分14の内側の面の半径方向の高さから進み、ノッチ19の後ろから離れるにつれ徐々にストラップの平面に戻ることにより、ストラップの内側の面において急峻なショルダーを形成しないようにする。
【0042】
逆に、図からわかるように、バックル12の内側部分の自由端12Aに位置するストラップの第1端は、内向きに伸びるショルダー23を形成するので、このショルダーのストラップの自由先端10’Aからより遠い側に位置するストラップの内側の面がバックル12の内側の面と実質的に同一線上に位置するようになる。半径方向に測定されるショルダーの高さは、バックルの内側部分14の厚さEbに実施的に一致する。
【0043】
制止横エッジ14Aと同様に、増設制止横エッジ14Bは、バックルの自由エッジであるが、バックルの内側部分14の第1の自由端12Aと反対の第2の自由端12Bに位置する。また、この増設制止エッジ14Bは、バックルの内側部分14の第2の自由端12Bにおいて、ノッチ19’の後ろに形成される。このように、このノッチの両側には、縦に突出する枝部19’Aおよび19’Bがある。
【0044】
また、図からわかるように、バックルの内側部分14の第2の自由端12Bにおいて、ストラップの第1端10Aは、側部突出部21A、21Bを有する。これらの突出部は、ストラップの第1端を部分的にパンチすることによって形成される。パンチによって材料が横方向外向きに押し出される。側部突出部21A、21Bは、側部「出張り」を形成する。バックルの自由端12’Bは、側部「出張り」と連係する。側部突出部21A、21Bは、ストラップの第1端の保持に寄与し、ストラップの第1端がバックル12に対して矢印Fによって示される方向と反対の方向へ移動することを防止する。このように、図示の例において、ストラップの第1端をバックルに対して矢印Fの方向と反対の方向において保持するために、上記側部突出部21Aおよび21Bだけでなく、増設制止横エッジ14Bと連係する増設制止横止め部16’Aが使用される。
【0045】
これにより、カラーの締め付け中にかかる力に対して非常に高い耐性を得ることができる。上記のように、カラーが一旦締め付けられると、ストラップの第2端の保持横止め部11とストラップの第1端において形成された制止後退部の保持エッジ17Aとの間に直接生じる「重なり合ったストラップ(strap−on−strap)」の連係によってカラーの締め付け状態が維持される。しかし、締め付け中に、最小のクランプ直径が得られるように牽引力をストラップの第2端にかける場合には、締め付け具をバックル12に押し付けてもよく、したがって、バックルがストラップに対して確実に保持されることが重要である。
【0046】
もちろん、側部突出部21Aおよび21Bだけによって方向Fと反対の方向に保持することも可能であり、また横止め部16’Aと横エッジ14Bとの連係だけによって保持することも可能である。また、当業者によって利用可能な他の形式の保持方法を選択することも可能である。
【0047】
カラー10のバックル12は、半径方向に突出する2つの外側タブ20および22を有する。各タブは、柄部(それぞれ20Aおよび22A)および頭部(それぞれ20Bおよび22B)を有するフックの形態であり、頭部20Bおよび22Bの下に凹部Dが形成される。この凹部は、挿通路13の一区分を形成し、ストラップの第2端10Bは、フックの頭部20Bおよび22Bの下を通る。しかし、上記のように、ストラップの第2端10Bが半径方向を外向きに移動することを防止するようにストラップの第2端10Bを保持するように機能するのは、折り返し舌状部分15Aおよび15Bの形態を有するこの挿通路の拘束区分である。
【0048】
この例において、頭部は、縦に伸びる自由エッジ20’B、22’Bを有する。柄部は、バックルの両側で、その内側部分14の縦エッジから互いに面するように伸び、ストラップの第2端10Bは、それら柄部の間を通って挿通路13の拘束区分に入る。
【0049】
外側タブ20および22は、上記外側の壁部分15Aおよび15Bに対して縦方向にずれている。例えば、外側の壁部分15Aまたは15Bが形成されるバックル12の各舌状部分は、最初はタブ20または22と一体となっていてもよい。1つの横切り欠きによって壁部分からタブを分離し、この壁部分をバックル12の内側部分14と平行になるまで折り返し、他方タブをフック形状にする。
【0050】
後述のように、これらのタブは、カラーおよびそれを締め付けるように機能する器具が互いに対して正しく位置付けられることを確実にするために機能する。
【0051】
また、
図4からわかるように、後退部の両側におけるストラップの外側の面の第1端の平面から半径方向に測定される、制止後退部16の深さPは、バックルの内側部分14の厚さEbに実質的に等しいか、それ以下である。
図4において、制止後退部は、上記皿部によって形成される。このように、この後退部の深さは、後退部の内側の面がバックル12の内側部分の内側の面に対して内向きに突出しないようにできる限り、重要ではない。
【0052】
この深さは、以下に説明する
図5に示す変形例においてより重要である。
図5において、それより前の図で使用した同じ参照符号に100を足したものを使用する。
図5において、制止後退部116は、横切り込みによって規定される。制止止め部116Aは、後退部116の後ろに位置する上記切り込みの縁部上に形成される。この切り込みの縁部は、ストラップの第1端の自由先端110’Aに向く。後退部116の深さPは、ストラップの厚さeに一致し、この制止後退部において受け止められることによって、保持後退部111’が形成されるストラップの第2端110Bの部分は、バックル112の内側部分114の外側の面に対向して位置する第1端110Aの部分と面一になる。言い換えると、この場合、保持止め部111は、制止後退部116を規定する切り込みの縁部117Aに面するように位置し、ストラップの第1端の自由先端110’Aが向く方向と反対の方向に向く。このように、この縁部117Aは、保持エッジを形成する。
【0053】
続いて、
図6および7を説明する。
図6および7は、カラーがカラーを締め付けるように機能する器具とどのように連係するかを示す。
【0054】
簡略のために、器具の頭部の機能部分のみを示す。より詳細については、例えば、仏国特許第2542388号明細書を参照のこと。
【0055】
図6および7に示す器具30の部分は、その頭部32およびそのパンチ33を備える。パンチ33は、作動システムMによって、チャネル31内を移動し、カラーのストラップの第2端10Bにくぼみをつけ、保持止め部を形成する。
図6において、矢印Aによって示される方向にパンチ33がくぼみを付けるように移動する場合の、カラーのストラップに接触する際のパンチ33が示される。
【0056】
カラーは、その第2端に牽引力が(図示しない手段によって)かけられることによって締め付けられ、同時に器具の頭部は、バックル12を支持する。所望のレベルの締め付けが一旦得られると、くぼみ付けを行うようにパンチ33を移動させる。なお、パンチ33の頭部33Aは、面取りされ、横切断スパイク33’Aを有し、同時に保持止め部11および保持後退部11’を形成する。
【0057】
上記のように、タブ20および22は、器具およびカラーを互いに対して位置付けるように機能する。また、タブ20および22は、パンチのくぼみ付け方向Vに垂直な平面にバックルを位置付けることが可能である。
【0058】
より詳細には、タブ20および22は、少なくとも部分的に側部後退部34に挿入される。より詳細には、これらのタブによって形成されるフックの頭部20Bおよび22Bが後退部34に貫入する。フックの頭部の内側の面は、それに面するように位置する後退部34の面と連係して、器具がカラーに対して
図7において矢印Hによって示される方向に移動することを防止する。
【0059】
さらに、2つのタブ20および22がそれぞれ対応のバックル12の縦エッジ上(すなわち、カラーの両側の縦エッジ上)に位置する状態で存在する限り、後退部34に対して内側(カラーの中心に向いて)に位置する器具の頭部の中心部分36は、タブ20および22によって形成されるフックの柄部20Aおよび22Aの間において制止される。これにより、器具が方向lにおいてカラーに対して横方向に移動することを防止できる。なお、器具の頭部は、この頭部の側部上で後退部34を閉じる側板(cheek plate)38を有して、タブを受け取るための手段がフック形状のスロットの形態を取ってもよい。これらの側板38は、
図7に示されており、そのうちの1つが
図6において一点鎖線によって描かれている。
【0060】
上記のカラーにおいて、バックル12は、適切に切り抜かれ、折り返された金属ブランク部材から形成される。この例において、バックル形状にされた、このブランク部材の「接合平面」は、カラーの外側の、折り返し舌状部分15Aおよび15B間に位置する。この例において、舌状部分の縦端(自由縦エッジ)は、幅Eの間隔をあけて配置される。第一に、これにより、バックルを形成するための材料を節約することができる。第二に、
図7からわかるように、これにより、器具をカラーに対して制止することを容易化できる。このように、器具の頭部32の中心部分36は、舌状部分15Aおよび15Bの自由端の間に形成された空間に収まる、内向きに突出する中心リブ36Aを有するので、カラーのストラップの第2端10Bと直接に連係することができる。反対に、後退部34の内側において、中心リブ36Aの両側で伸びる側部突出部は、折り返し舌状部分15Aおよび15Bと直接に連係する。
【0061】
再びタブ20および22について説明すると、タブ20および22は、柄部と頭部との間の接合部に内側リブ20Cおよび22Cをそれぞれ有することがわかる。内側リブの厚さは、頭部へ向かって大きくなる。例えば、これは、半径方向に対して実質的に45度に傾き、タブの内側に向かって突出するガセットによって実現できる。このように、フックの頭部の近傍におけるリブは、その間の間隔を、ストラップの第2端10Bの幅より小さく規定する。これにより、使用者が単に第2端をタブ20および22間に挿入することによってカラーが閉じられたと考えることを回避できる。使用者がそうしようとすると、上記内側リブの形状は、自然に第2端を内向きに(カラーの中心Cへ向って)、すなわち、折り返し舌状部分15Aおよび15Bの下で、挿通路13の拘束区分内に移動させる。