(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の入力信号の組み合わせは、前記第2の入力信号を受け付けたロボットセルの順番と、当該順番の直後に位置するロボットセルの順番とを含む請求項1に記載の制御装置。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る制御システムの構成を示す概略図である。
【
図2】実施形態に係るマスタPLC及びセルPLCの機能構成を示す図である。
【
図3】実施形態に係るマスタPLCにおける入出力信号の第1の例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るマスタPLCのラダープログラムを例示する図である。
【
図5】実施形態に係るマスタPLCにおける入出力信号の第2の例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るロボットセルを入れ替えた後のラダープログラムを例示する図である。
【
図7】実施形態に係るマスタPLCにおける入力信号が拡充された例を示す図である。
【
図8】実施形態に係るロボットコントローラ、セルPLC及びマスタPLCの間での信号の入出力の関係を例示する図である。
【
図9】実施形態に係るロボット信号とマスタPLCの入力信号とを対応付けたパラメータ設定を例示する図である。
【
図10A】実施形態に係るマスタPLCの改良後のラダープログラムを例示する第1の図である。
【
図10B】実施形態に係るマスタPLCの改良後のラダープログラムを例示する第2の図である。
【
図10C】実施形態に係るマスタPLCの改良後のラダープログラムを例示する第3の図である。
【
図10D】実施形態に係るマスタPLCの改良後のラダープログラムを例示する第4の図である。
【
図10E】実施形態に係るマスタPLCの改良後のラダープログラムを例示する第5の図である。
【
図10F】実施形態に係るマスタPLCの改良後のラダープログラムを例示する第6の図である。
【
図11A】実施形態に係るマスタPLCに格納されるラダープログラムのセットを例示する第1の図である。
【
図11B】実施形態に係るマスタPLCに格納されるラダープログラムのセットを例示する第2の図である。
【
図11C】実施形態に係るマスタPLCに格納されるラダープログラムのセットを例示する第3の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係る制御システム1の構成を示す概略図である。
制御システム1は、マスタ制御盤Mと、複数のロボットセルRとを備える。マスタ制御盤Mにはシステム全体を管理するマスタPLC11が、各ロボットセルRには自セルを制御するセルPLC21(セル制御装置)がそれぞれ設けられ、複数のセルPLC21とマスタPLC11とは、ハブ22を介して接続されている。
【0014】
また、各ロボットセルRに組み込まれたロボットは、セルPLC21からの指令に応じて、ロボットコントローラ23により動作が制御される。ロボットコントローラ23には、オペレータからの入力を受け付けるためのペンダントと呼ばれる操作盤24が無線接続される。
なお、操作盤24は、有線接続されてもよいし、ロボットコントローラ23の筐体に搭載されてもよい。すなわち、本実施形態において、操作盤24への入力とは、ペンダントへの入力、及びロボットコントローラ23の本体への入力等を含む概念である。
【0015】
図2は、本実施形態に係るマスタPLC11及びセルPLC21の機能構成を示す図である。
マスタPLC11は、マスタ入力部111と、マスタ出力部112と、記憶部113とを備え、ラダープログラムによって複数のロボットセルRを順に動作させる。
セルPLC21は、第1のセル出力部211と、第2のセル出力部212とを備える。
【0016】
マスタ入力部111は、複数のロボットセルRのそれぞれから、動作の順番、すなわちロボットセルRが生産ラインの何番目に配置されているかを示す第1の入力信号、及びロボットセルRでの作業完了を示す第2の入力信号を受け付ける。
なお、第1の入力信号は、ロボットセルRで稼働するロボットの操作盤24への操作入力に応じて入力される。
【0017】
マスタ出力部112は、ラダープログラムに従って、第1の入力信号の組み合わせ、及び第2の入力信号に基づいて特定されるいずれかのロボットセルRに対して、動作を指示するための出力信号を出力する。
第1の入力信号の組み合わせは、第2の入力信号を受け付けたロボットセルの順番と、この順番の直後に位置するロボットセルの順番とを含む。
【0018】
記憶部113は、ラダープログラムを、複数のロボットセルRの少なくとも一部からなる複数の動作順序のパターンに対応して、複数記憶する。
【0019】
第1のセル出力部211は、複数のロボットセルRの動作順序のうち、自装置(セルPLC21)が制御するロボットセルRの動作の順番を示す第1のセル信号を出力する。
第1のセル信号は、ロボットセルRで稼働するロボットの操作盤24への操作入力に応じて、ロボットコントローラ23から出力された所定の信号を中継するものである。この第1のセル信号は、前述の第1の入力信号としてマスタPLC11に入力される。
【0020】
第2のセル出力部212は、自装置が制御するロボットセルRでの作業完了を示す第2のセル信号を出力する。第2のセル信号は、前述の第2の入力信号としてマスタPLC11に入力される。
【0021】
図3は、本実施形態に係るマスタPLC11における入出力信号の第1の例を示す図である。
この例では、3つのロボットセルRがR1、R2、R3の順で配列されている。
なお、マスタPLC11への入力信号をX***で表し、マスタPLC11からの出力信号をY***で表している。
【0022】
各セルPLC21は、マスタPLC11を経由して入出力信号を受け渡す。
具体的には、まず、マスタPLC11においてワークの供給準備が完了したことを示す信号X0が入力されると、ロボットセルR1に対してワークの取り出しが可能になったことを通知するための信号Y100を出力する(1)。
【0023】
次に、信号Y100による通知を受けたロボットセルR1がワークを受け取り、作業が完了すると、ロボットセルR1から信号X100がマスタPLC11に入力される。すると、この入力信号X100に応じて、ロボットセルR2に対してワークの取り出しが可能になったことを通知するための信号Y200を出力する(2)。
【0024】
同様に、信号Y200による通知を受けたロボットセルR2がワークを受け取り、作業が完了すると、ロボットセルR2から信号X200がマスタPLC11に入力される。すると、この入力信号X200に応じて、ロボットセルR3に対してワークの取り出しが可能になったことを通知するための信号Y300を出力する(3)。そして、ロボットセルR3において作業が完了すると、ロボットセルR3から信号X300がマスタPLC11に入力される。
【0025】
図4は、本実施形態に係るマスタPLC11のラダープログラムを例示する図である。
この例は、
図3のようにロボットセルR1、R2、R3が配列され、この順序が固定されている場合に用いられるラダープログラムである。
【0026】
このラダープログラムには、信号X0が入力された場合に信号Y100を出力し、信号X100が入力された場合に信号Y200を出力し、信号X200が入力された場合に信号Y300を出力することが記述されている。これにより、
図3の信号Y100、Y200、Y300がそれぞれ、入力信号X0、X100、X200に応じて順に出力される。
【0027】
図5は、本実施形態に係るマスタPLC11における入出力信号の第2の例を示す図である。
第2の例では、
図3の第1の例に示した3つのロボットセルR1、R2、R3のうち、1番目と2番目が順序を入れ替えて配列されている。
【0028】
したがって、各ロボットセルR1、R2、R3から入力される信号X100、X200、X300と、各ロボットセルR1、R2、R3へ出力する信号Y100、Y200、Y300とは、いずれも第1の例と同一であるが、これらの順序が異なっている。
具体的には、入力信号X0に応じて信号Y200が出力され(1)、次に、入力信号X100に応じて信号Y100が出力され(2)、最後に、入力信号X100に応じて信号Y300が出力される(3)。
【0029】
図6は、本実施形態に係るロボットセルRを入れ替えた後のラダープログラムを例示する図である。
この例は、
図5のようにロボットセルR2、R1、R3が配列され、この順序が固定されている場合に用いられるラダープログラムである。
【0030】
このラダープログラムには、信号X0が入力された場合に信号Y200を出力し、信号X200が入力された場合に信号Y100を出力し、信号X100が入力された場合に信号Y300を出力することが記述されている。これにより、
図5の信号Y200、Y100、Y300がそれぞれ、入力信号X0、X200、X100に応じて順に出力される。
【0031】
このように、ロボットセルR2、R1、R3の順序が変更されると、ラダープログラムは、
図4及び
図6に示すように記述内容の変更が必要となる。
そこで、制御システム1は、次に示すようにマスタPLC11の入力信号を拡充することで、ラダープログラムの変更を不要とする。
【0032】
図7は、本実施形態に係るマスタPLC11における入力信号が拡充された例を示す図である。
この例では、
図3に示した構成において、作業完了を示す第2の入力信号に加えて、新たに第1の入力信号X101、X202、X303が追加されている。
【0033】
ここで、ロボットセルR1から受け付ける第1の入力信号X101は、ロボットセルR1が先頭に配置されていることを示している。この第1の入力信号は、例えば、ロボットセルR1が先頭から2番目の場合はX102となり、先頭から3番目の場合はX103となる。
同様に、ロボットセルR2が先頭の場合、先頭から2番目の場合、先頭から3番目の場合は、ロボットセルR2から受け付ける第1の入力信号がそれぞれX201、X202、X203となる。また、ロボットセルR3が先頭の場合、先頭から2番目の場合、先頭から3番目の場合は、ロボットセルR3から受け付ける第1の入力信号がそれぞれX301、X302、X303となる。
【0034】
図8は、本実施形態に係るロボットコントローラ23、セルPLC21及びマスタPLC11の間での信号の入出力の関係を例示する図である。
複数のロボットセルR1、R2、R3において、それぞれのロボットコントローラ23が信号DO[**]を出力する。例えば、DO[10]、DO[11]、DO[12]は、それぞれ自身の動作順が1番目、2番目、3番目であることを示すロボット信号である。
このようなロボット信号は、ペンダントへの操作入力、又はロボットコントローラ23に設けられたディップスイッチの切り替え操作等、操作盤24への入力に応じて出力される。
【0035】
これらのロボット信号は、セルPLC21のスルー信号(例えば、Y100〜Y10F)を経由して、マスタPLC11の入力信号として、ロボットセルR毎に割り当てられたアドレス(例えば、ロボットセルR1に対して、X101〜X10F)に対応付けられる。
そして、ラダープログラムに従って、入力信号に基づく出力信号が決定されると、この出力信号は、セルPLC21の入出力信号を経由して、ロボットコントローラ23の入力信号DI[**]に対応付けられる。
【0036】
なお、これらの各入出力信号は、所定のアドレスがオンになっていることで表現される。そして、装置間でのアドレスの対応付けが予めパラメータ設定されることにより、ロボットコントローラ23、セルPLC21及びマスタPLC11の間で信号が伝達される。
【0037】
図9は、本実施形態に係るロボット信号とマスタPLC11の入力信号とを対応付けたパラメータ設定を例示する図である。
この例では、ロボットセルR1、R2、R3が出力するロボット信号DO[10]、DO[11]、DO[12]は、それぞれ、動作順が先頭から1番目、2番目、3番目であることを示す。
【0038】
例えば、ロボットセルR1から出力されるロボット信号DO[10]、DO[11]、DO[12]は、それぞれマスタPLC11の入力信号X101、X102、X103に対応付けられている。同様に、ロボットセルR2から出力されるロボット信号DO[10]、DO[11]、DO[12]は、それぞれマスタPLC11の入力信号X201、X202、X203に対応付けられている。
【0039】
マスタPLC11の記憶部113に格納されるラダープログラムは、ロボットセルRの動作順を示すこれらの入力信号が条件に付加される。これにより、ロボットセルRの配列によらず、マスタ出力部112は、出力信号を一意に決定できる。
【0040】
図10A〜Fは、本実施形態に係るマスタPLC11の改良後のラダープログラムを例示する図である。
ここでは、
図7のように、3つのロボットセルR1、R2、R3が配列される場合を示すが、順序は限定されない。
【0041】
図10Aは、ロボットセルRの動作順がR1、R2、R3の順である場合に、
図10Bは、ロボットセルRの動作順がR1、R3、R2の順である場合に、
図10Cは、ロボットセルRの動作順がR2、R1、R3の順である場合に、
図10Dは、ロボットセルRの動作順がR2、R3、R1の順である場合に、
図10Eは、ロボットセルRの動作順がR3、R1、R2の順である場合に、
図10Fは、ロボットセルRの動作順がR3、R2、R1の順である場合に、それぞれ参照されるラダープログラムを示している。
【0042】
入力信号X0に対して、従来は
図4及び
図6に示したようにロボットセルRの動作順に応じてラダープログラムの書き換えが発生していたが、本実施形態では、X101、X201又はX301の条件を追加した複数パターンが記述されることにより、出力信号Y100、Y200又はY300が複数のラダーから選択的に決定される。
例えば、
図10Aの上段では、信号X0が入力されたとき、ロボットセルR1の動作順が1番目である場合、すなわち信号X101が入力されている場合に、信号Y100を出力することが記述されている。
【0043】
また、入力信号X100に対して、作業が完了したロボットセルR1の順番と、次に作業するロボットセルR2又はR3の順番とを条件に追加した複数パターンが記述されることにより、出力信号Y200又はY300が複数のラダーから選択的に決定される。
例えば、
図10Aの中段では、信号X100が入力されたとき、作業が完了したロボットセルR1の動作順が1番目であり、かつ、2番目がロボットセルR2である場合、すなわち信号X101及び信号X202が入力されている場合に、信号Y200を出力することが記述されている。また、
図10Cの下段では、信号X100が入力されたとき、作業が完了したロボットセルR1の動作順が2番目であり、かつ、3番目がロボットセルR3である場合、すなわち信号X102及び信号X303が入力されている場合に、信号Y300を出力することが記述されている。
【0044】
図11A〜Cは、本実施形態に係るマスタPLC11に格納されるラダープログラムのセットを例示する図である。
ロボットセルR1、R2、R3の動作順毎に示した6パターンのラダープログラム(
図10A〜F)から重複を除いてまとめると、3種類の出力信号Y100、Y200、Y300毎に統合された3つのラダープログラムが作成できる。
図11Aは、出力信号がY100となるラダープログラムを、
図11Bは、出力信号がY200となるラダープログラムを、
図11Cは、出力信号がY300となるラダープログラムを、それぞれ示している。
【0045】
例えば、
図11Aでは、信号X0が入力されたときに信号X101が入力されている場合、信号X200が入力されたときに信号X201及びX102、又は信号X202及び信号X103が入力されている場合、信号X300が入力されたときに信号X301及びX102、又は信号X302及び信号X103が入力されている場合の、5種類のいずれかの条件により信号Y100が出力されることが記述されている。
【0046】
また、例えば、信号X100が入力されたとき、
図11B及び11Cを参照すると、作業が完了したロボットセルR1が1番目(X101)なのか2番目(X102)なのか、1番目(X101)だとすると次の2番目はロボットセルR2(X202)なのかロボットセルR3(X302)なのか、2番目(X102)だとすると次の3番目はロボットセルR2(X203)なのかロボットセルR3(X303)なのか、という4通りの条件が網羅されている。したがって、入力信号により出力信号が一意に決定される。
【0047】
これらのラダープログラムのセットが予め格納されることにより、複数のロボットセルRの動作順序が変更された場合であっても、出力信号が一意に決定される。
なお、いずれかのロボットセルRが生産ラインから取り外された場合、取り外されたロボットセルRからの入力信号がなくなるので、一部のラダープログラムが参照されず、このロボットセルRに対する出力信号も発生しない。
例えば、ロボットセルR2が生産ラインから取り外された場合、信号X200、X201、X202、X203、X103、X303がオンになることはない。したがって、信号X100、X300、X101、X102、X301、X302のいずれかで構成されるラダープログラムのみが参照され、信号Y100又はY300のいずれかが出力される。
【0048】
また、追加の可能性のあるロボットセルRを含めてラダープログラムを用意しておくことで、ロボットセルRの入れ替え、取り外し及び追加のいずれの変更が発生した場合にも、マスタPLC11は、出力信号を一意に決定できる。
例えば、ロボットセルR1及びR3のみが配列されている生産ラインにロボットセルR2を追加した場合、予め
図11A〜Cのラダープログラムが格納されていると、前述のように、ロボットセルR1〜R3の動作順によらず出力信号が正しく一意に決定される。
【0049】
本実施形態によれば、制御システム1は、マスタPLC11において、ロボットセルRの動作の順番を示す第1の入力信号、及びロボットセルRでの作業完了を示す第2の入力信号を受け付け、ラダープログラムに従って、第1の入力信号の組み合わせ、及び第2の入力信号に基づいて特定されるロボットセルRに対して、動作を指示するための出力信号を出力する。マスタPLC11は、このラダープログラムを、複数のロボットセルRの少なくとも一部からなる複数の動作順序のパターンに対応して、複数記憶することにより、ロボットセルRの順序変更が生じた場合にも、出力信号を正しく決定できる。したがって、ロボットセルRの順序変更が容易になる。
【0050】
ラダープログラムに記述される第1の入力信号の組み合わせは、第2の入力信号を受け付けたロボットセルRの順番と、この順番の直後に位置するロボットセルRの順番とを含む。これにより、マスタPLC11は、第2の入力信号と、第1の入力信号の組み合わせとに基づいて、容易に出力信号を一意に決定できる。
【0051】
マスタPLC11は、ロボットセルRの操作盤24への操作入力に応じて、ロボットセルRの動作の順番を示す第1の入力信号を受け付ける。これにより、制御システム1は、ロボットセルRの順序変更に際して、変更結果を容易にマスタPLC11へ通知できる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0053】
制御システム1による制御方法は、ソフトウェアにより実現される。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。また、これらのプログラムは、リムーバブルメディアに記録されてユーザに配布されてもよいし、ネットワークを介してユーザのコンピュータにダウンロードされることにより配布されてもよい。