特許第6744401号(P6744401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6744401微粉炭供給装置及び有害微量元素溶出抑制方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6744401
(24)【登録日】2020年8月3日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】微粉炭供給装置及び有害微量元素溶出抑制方法
(51)【国際特許分類】
   F23L 7/00 20060101AFI20200806BHJP
   F23K 1/00 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   F23C99/00 302
   F23K1/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-513561(P2018-513561)
(86)(22)【出願日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】JP2017043122
(87)【国際公開番号】WO2019106796
(87)【国際公開日】20190606
【審査請求日】2018年3月13日
【審判番号】不服2019-6515(P2019-6515/J1)
【審判請求日】2019年5月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】清永 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】引野 健治
(72)【発明者】
【氏名】盛田 啓一郎
【合議体】
【審判長】 平城 俊雅
【審判官】 松下 聡
【審判官】 槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−228598(JP,A)
【文献】 特開2008−170108(JP,A)
【文献】 特開2000−291936(JP,A)
【文献】 特開2013−117316(JP,A)
【文献】 特開2012−26724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K1/00
F23K3/00
F23L7/00
F23C99/00
B01F1/00-5/26
C10L9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭を貯留した石炭バンカー、前記石炭バンカーから供給された石炭を一方の端部から他方の端部に搬送する搬送コンベアを内部に有する給炭機、及び、前記給炭機の他方の端部から投入された石炭を粉砕して微粉炭を生成する石炭微粉砕機を備えた微粉炭供給装置であって、
前記給炭機は、
石炭が排出される石炭投下口を他方の端部の下部に開口した箱状のフレームと、
前記フレームの石炭投下口に向かって、石炭の燃焼残渣から有害微量元素の溶出を抑制する溶出防止剤を投下自在な溶出防止剤添加装置と、を備え、
前記溶出防止剤添加装置は、
前記溶出防止剤を貯留したホッパーと、
前記ホッパーから供給された前記溶出防止剤を前記フレームの石炭投下口に向かって送り出すスクリューフィーダと、を備え、
前記石炭投下口は、前記スクリューフィーダを介して、前記溶出防止剤添加装置から投下される前記溶出防止剤の投下口の直下に配置され、前記フレームと前記石炭微粉砕機を接続する第1給炭管の入口開口からなり、
前記給炭機は、前記搬送コンベアを駆動する第1モータを含み、
前記石炭微粉砕機は、石炭及び溶出防止剤を前記第1給炭管から投下可能に上部を開口し、
前記溶出防止剤添加装置は、前記スクリューフィーダを駆動し、前記第1モータの回転速度に対応して、回転速度を調整している第2モータを含み、
前記石炭バンカーは、
前記給炭機の一方の端部に接続した第2給炭管と、
前記第2給炭管の管路を開閉するコールゲート弁と、
前記コールゲート弁を駆動する第3モータと、を含み、
前記第3モータの出力軸を回転して前記第2給炭管の管路を閉じた後、予め定めた第1の時間が経過すると、前記給炭機を停止し、更に第2の時間が経過すると前記石炭微粉砕機を停止するように、制御している、微粉炭供給装置。
【請求項2】
前記溶出防止剤は、石灰石、消石灰、生石灰からなる群より選択される1種以上を含んでいる、請求項1記載の微粉炭供給装置。
【請求項3】
前記溶出防止剤は、粒状体又は粉末状体からなる、請求項2記載の微粉炭供給装置。
【請求項4】
石炭を貯留した石炭バンカーを有する微粉炭供給装置を備える石炭火力発電設備における有害微量元素溶出抑制方法であって、
前記微粉炭供給装置は、
石炭を搬送する搬送コンベアと、
前記搬送コンベアの下流側の端部の下方に配置され、石炭を粉砕して微粉炭を生成する石炭微粉砕機と、
前記石炭バンカーから供給された石炭を一方の端部から他方の端部に搬送する前記搬送コンベアを内部に有する給炭機と、を備え、
前記給炭機は、
前記搬送コンベアを収容し、石炭が排出される石炭投下口を前記搬送コンベアの他方の端部の下部に開口した箱状のフレームと、
前記フレームの石炭投下口に向かって、石炭の燃焼残渣から有害微量元素の溶出を抑制する溶出防止剤を投下自在な溶出防止剤添加装置と、を備え、
前記溶出防止剤添加装置は、
前記溶出防止剤を貯留したホッパーと、
前記ホッパーから供給された前記溶出防止剤を前記フレームの石炭投下口に向かって送り出すスクリューフィーダと、を備え
前記石炭投下口は、前記スクリューフィーダを介して、前記溶出防止剤添加装置から投下される前記溶出防止剤の投下口の直下に配置され、前記フレームと前記石炭微粉砕機を接続する第1給炭管の入口開口からなり、
前記石炭微粉砕機は、石炭及び溶出防止剤を前記第1給炭管から投下可能に上部を開口し、
前記石炭バンカーの給炭管の管路を閉じた後、予め定めた第1の時間が経過すると、石炭を搬送する給炭機を停止し、更に第2の時間が経過すると前記石炭微粉砕機を停止するように、制御している、有害微量元素溶出抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粉炭供給装置及び有害微量元素溶出抑制方法に関する。特に、微粉炭をボイラの燃料とする石炭火力発電設備に用いられる微粉炭供給装置及び有害微量元素溶出抑制方法であって、石炭の燃焼残滓から有害微量元素の溶出を抑制する溶出防止剤を微粉炭に一定の割合で確実に添加できる、微粉炭供給装置の構造及び有害微量元素溶出抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、石炭火力発電所では、ボイラの燃料として微粉炭を用いている。この石炭火力発電所では、貯炭場に蓄えた石炭を払出し、コンベアなどの石炭搬送機構によって、石炭を微粉炭供給装置に搬送している。この微粉炭供給装置は、塊状の石炭を微細になるまで粉砕して微粉炭を生成する石炭微粉砕機(ミル)を含んでいる。
【0003】
石炭微粉砕機で生成された微粉炭は、ボイラに送られ、ボイラで燃焼される。この燃焼によって水を加熱して蒸気を発生させる。なお、ボイラの内部の点火にあっては、石油がボイラに供給されることもある。
【0004】
ボイラで発生した蒸気は、蒸気タービンに供給され、蒸気タービンによって発電機が駆動され、発電機によって電力を供給できる。なお、蒸気タービンを通過した蒸気は、復水器で復水され、補給水と共にボイラに復水されている。
【0005】
上述した微粉炭供給装置は、石炭を貯留した石炭バンカー、給炭機、及び、石炭微粉砕機を備えている。石炭バンカーには、貯炭場から石炭搬送機構によって搬送された石炭が一時的に保管されている。そして、石炭バンカーから第1給炭管を介して、給炭機に石炭が供給される。
【0006】
給炭機は、搬送コンベアを内部に備え、給炭管から供給された石炭が搬送コンベアにより水平方向に移送される。そして、搬送コンベアから、搬送コンベアの端部に形成した石炭投下口に石炭が排出される。更に、石炭投下口に連接して形成した第2給炭管を介して、石炭が石炭微粉砕機に投入される。上述した微粉炭供給装置は、第1給炭管を開閉するためのコールゲート弁を給炭機の直上に配設している。このコールゲート弁は、手動で開閉できる。
【0007】
ところで、コールゲート弁を閉方向に手動で駆動して第1給炭管を閉じると、コールゲート弁以降の給炭管と搬送コンベアとの間に石炭が溜まったままの状態となる。これにより、第1給炭管に石炭詰まりが生じることがある。そして、石炭微粉砕機を長期間停止した後、運転を再開した際においても、石炭微粉砕機に石炭を安定して供給できる微粉炭供給装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
一方、微粉炭をボイラの燃料とする石炭火力発電では、燃焼後の残渣となる石炭灰には、ホウ素、フッ素、セレン、ヒ素、六価クロムなどの有害微量元素を微量ながら含んでいる。このため、石炭灰に含まれている有害微量元素の溶出濃度を法定の規制値以下に低減するための技術が検討されている。
【0009】
例えば、炭酸カルシウム(CaCO)からなる石炭添加用溶出防止剤を石炭に添加することで、酸化カルシウム(CaO)の作用により、多くの有害微量元素が灰石炭灰へ移行、併せてアルカリの作用により有害微量元素の溶出抑制に寄与する、有害微量元素溶出抑制方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2012−26724号公報
【特許文献2】特開2008−275181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2による有害微量元素溶出抑制方法は、溶出防止剤の添加を燃焼後の石炭灰ではなく、燃焼中又は燃焼前の石炭の段階で添加するので、既存の設備の改良で簡単に適用できる、としている。又、特許文献2による有害微量元素溶出抑制方法は、添加のタイミングが石炭の状態での添加であれば特に限定されず、給炭機、石炭微粉砕機、ボイラのいずれであってもよい、としている。
【0012】
しかし、特許文献2による有害微量元素溶出抑制方法は、有害微量元素の溶出防止剤の添加のタイミングを開示しているが、有害微量元素の溶出防止剤の投入場所は明示していない。
【0013】
例えば、石炭を石炭バンカーに搬送するコンベア上で、粒状の炭酸カルシウム(CaCO3)を混合すると、塊状の石炭よりもはるかに粒径の細かい炭酸カルシウムが石炭バンカーの底部に先に落下し、石炭と炭酸カルシウムの混合比にバラツキが生じる結果になる。そして、石炭と炭酸カルシウムの混合比が一定の数値範囲に収まらないことから、有害微量元素をうまく抑制できない心配があった。石炭バンカーの後工程で、石炭に対して、有害微量元素の溶出防止剤を適正な割合で添加することが困難になる心配がある。
【0014】
微粉炭をボイラの燃料とする石炭火力発電設備に用いられる微粉炭供給装置及び有害微量元素溶出抑制方法であって、石炭と有害微量元素の溶出防止剤の混合比が一定の割合に収まることが可能な微粉炭供給装置及び有害微量元素溶出抑制方法が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0015】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、微粉炭をボイラの燃料とする石炭火力発電設備に用いられる微粉炭供給装置及び有害微量元素溶出抑制方法であって、石炭と有害微量元素の溶出防止剤の混合比が一定の割合に収まることが可能な微粉炭供給装置及び有害微量元素溶出抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、微粉炭供給装置を石炭を搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアの下流側の端部の下方に配置され、石炭を粉砕して微粉炭を生成する石炭微粉砕機で構成し、搬送コンベア、又は石炭微粉砕機の上方から、有害微量元素の溶出を抑制する溶出防止剤を石炭微粉砕機に投下することで、石炭と有害微量元素の溶出防止剤の混合比を一定にできると考え、これに基づいて、以下のような新たな微粉炭供給装置及び有害微量元素溶出抑制方法を発明するに至った。
【0017】
(1)本発明による微粉炭供給装置は、石炭を貯留した石炭バンカー、前記石炭バンカーから供給された石炭を一方の端部から他方の端部に搬送する搬送コンベアを内部に有する給炭機、及び、前記給炭機の他方の端部から投入された石炭を粉砕して微粉炭を生成する石炭微粉砕機を備えた微粉炭供給装置であって、前記給炭機は、石炭が排出される石炭投下口を他方の端部の下部に開口した箱状のフレームと、前記フレームの石炭投下口に向かって、石炭の燃焼残渣から有害微量元素の溶出を抑制する溶出防止剤を投下自在な溶出防止剤添加装置と、を備え、前記溶出防止剤添加装置は、前記溶出防止剤を貯留したホッパーと、前記ホッパーから供給された前記溶出防止剤を前記フレームの石炭投下口に向かって送り出すスクリューフィーダと、を備え、前記石炭投下口は、前記スクリューフィーダを介して、前記溶出防止剤添加装置から投下される前記溶出防止剤の投下口の直下に配置され、前記フレームと前記石炭微粉砕機を接続する第1給炭管の入口開口からなり、前記給炭機は、前記搬送コンベアを駆動する第1モータを含み、前記石炭微粉砕機は、石炭及び溶出防止剤を前記第1給炭管から投下可能に上部を開口し、前記溶出防止剤添加装置は、前記スクリューフィーダを駆動し、前記第1モータの回転速度に対応して、回転速度を調整している第2モータを含み、前記石炭バンカーは、前記給炭機の一方の端部に接続した第2給炭管と、前記第2給炭管の管路を開閉するコールゲート弁と、前記コールゲート弁を駆動する第3モータと、を含み、前記第3モータの出力軸を回転して前記第2給炭管の管路を閉じた後、予め定めた第1の時間が経過すると、前記給炭機を停止し、更に第2の時間が経過すると前記石炭微粉砕機を停止するように、制御している
【0020】
(2)前記溶出防止剤は、石灰石、消石灰、生石灰からなる群より選択される1種以上を含んでいることが好ましい。
【0021】
(3)前記溶出防止剤は、粒状体又は粉末状体からなることが好ましい。
【0022】
(4)本発明による有害微量元素溶出抑制方法は、石炭を貯留した石炭バンカーを有する微粉炭供給装置を備える石炭火力発電設備における有害微量元素溶出抑制方法であって、前記微粉炭供給装置は、石炭を搬送する搬送コンベアと、前記搬送コンベアの下流側の端部の下方に配置され、石炭を粉砕して微粉炭を生成する石炭微粉砕機と、前記石炭バンカーから供給された石炭を一方の端部から他方の端部に搬送する前記搬送コンベアを内部に有する給炭機と、を備え、前記給炭機は、前記搬送コンベアを収容し、石炭が排出される石炭投下口を前記搬送コンベアの他方の端部の下部に開口した箱状のフレームと、前記フレームの石炭投下口に向かって、石炭の燃焼残渣から有害微量元素の溶出を抑制する溶出防止剤を投下自在な溶出防止剤添加装置と、を備え、前記溶出防止剤添加装置は、前記溶出防止剤を貯留したホッパーと、前記ホッパーから供給された前記溶出防止剤を前記フレームの石炭投下口に向かって送り出すスクリューフィーダと、を備え、前記石炭投下口は、前記スクリューフィーダを介して、前記溶出防止剤添加装置から投下される前記溶出防止剤の投下口の直下に配置され、前記フレームと前記石炭微粉砕機を接続する第1給炭管の入口開口からなり、前記石炭微粉砕機は、石炭及び溶出防止剤を前記第1給炭機から投下可能に上部を開口し、前記石炭バンカーの給炭管の管路を閉じた後、予め定めた第1の時間が経過すると、石炭を搬送する給炭機を停止し、更に第2の時間が経過すると前記石炭微粉砕機を停止するように、制御している
【発明の効果】
【0024】
本発明による微粉炭供給装置は、搬送コンベアの端部に形成し、石炭が排出される石炭投下口の上方に、溶出防止剤添加装置を配置し、溶出防止剤添加装置に有害微量元素の溶出防止剤を貯留し、溶出防止剤添加装置から石炭投下口に向けて、有害微量元素の溶出防止剤を供給することで、石炭と有害微量元素の溶出防止剤の混合比を一定にできる。
【0025】
本発明による有害微量元素溶出抑制方法は、微粉炭供給装置を備える石炭火力発電設備における有害微量元素溶出抑制方法であって、微粉炭供給装置は、石炭を搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアの下流側の端部の下方に配置され、石炭を粉砕して微粉炭を生成する石炭微粉砕機と、を備え、搬送コンベア又は石炭微粉砕機の上方から、有害微量元素の溶出を抑制する溶出防止剤を石炭微粉砕機に投下することで、石炭と有害微量元素の溶出防止剤の混合比を一定にできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態による微粉炭供給装置を用いた石炭火力発電設備の一例による構成を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態による微粉炭供給装置の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
(石炭火力発電所の構成)
最初に、本発明の一実施形態による微粉炭供給装置を用いた石炭火力発電設備の一例による構成を説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態による微粉炭供給装置を用いた石炭火力発電設備の一例による構成を示す概略図である。図2は、本発明の一実施形態による微粉炭供給装置の構成を示す正面図である。
【0029】
図1を参照すると、本発明の一例による石炭火力発電設備100は、微粉炭供給装置10とボイラ20を備えている。又、石炭火力発電設備100は、蒸気タービン30と復水器40を備えている。
【0030】
図1又は図2を参照すると、微粉炭供給装置10は、石炭バンカー11と給炭機12を備えている。又、微粉炭供給装置10は、溶出防止剤添加装置13と石炭微粉砕機14を備えている。
【0031】
図1又は図2を参照すると、石炭バンカー11には、図示しない貯炭場から防塵カバー付きのコンベア15によって塊状の石炭Cが搬送される。そして、石炭バンカー11には、塊状の石炭Cが一時的に貯留されている。石炭バンカー11に貯留された石炭Cは、給炭機12に供給される。
【0032】
図2を参照すると、給炭機12は、搬送コンベア12cを内部に備えている。搬送コンベア12cは、石炭バンカー11から供給された石炭Cを一方の端部から他方の端部に搬送できる。石炭微粉砕機14は、給炭機12の他方の端部から投入された石炭Cを粉砕して微粉炭を生成できる。
【0033】
図1を参照すると、ボイラ20は、石炭微粉砕機14で生成した微粉炭を燃料とする燃焼室2rを内部に有している。図1に示した例では、燃焼室2rには、送油管(図示せず)を介して石油が送られている。そして、燃焼室2rでは、石油を燃焼すると共に、微粉炭を燃焼できる。又、燃焼室2rには、通風機によって燃焼用空気が送られている。このように、ボイラ20の燃焼室2rでは、二段燃焼が実施されている。この燃焼によって、給水ポンプ41から給水された水が加熱され過熱蒸気となって、この過熱蒸気がボイラ20から蒸気タービン30に送られる。
【0034】
図1を参照すると、蒸気タービン30は、タービン(羽根車)を内部に備えている。タービンにその軸方向から過熱蒸気を送り込むと、タービンを回転できる。タービンの回転軸は、発電機31のロータに連結している。蒸気タービン30に過熱蒸気を送り込むと、発電機31のロータが回転することで、電力を供給できる。
【0035】
図1を参照すると、蒸気タービン30で運動エネルギーを消費した過熱蒸気は、復水器40で冷却して凝縮することで水に戻される。つまり、復水される。この復水は、補給水と共に、給水ポンプ41によってボイラ20へと循環される。
【0036】
このように、図1又は図2を参照すると、石炭火力発電設備100は、微粉炭を燃料としたボイラ20で水を加熱して過熱蒸気を発生し、過熱蒸気を蒸気タービン30に送り込むことで、発電機31で電力を供給できる。
【0037】
[微粉炭供給装置の構成]
次に、本発明の一実施形態による微粉炭供給装置10の構成を説明する。
【0038】
(石炭バンカー構成)
最初に、実施形態による石炭バンカー11の構成を説明する。図2を参照すると、石炭バンカー11は、上面を開口した逆円錐形の本体11bと本体11bの底部から延びる給炭管11pで構成している。給炭管11pは、給炭機12の一方の端部に接続している。本体11bに貯留された塊状の石炭Cは、給炭管11pを介して、給炭機12の内部に投下できる。
【0039】
図2を参照すると、給炭管11pの途上には、コールゲート弁11cを配置している。コールゲート弁11cは、給炭管11pの管路を開閉できる弁体を内部に備えている。コールゲート弁11cは、第3モータ11mを連結している。
【0040】
図2を参照すると、コールゲート弁11cは、第3モータ11mの回転運動を弁体の進退運動に変換する変換機構(図示せず)を内部に備えている。第3モータ11mの出力軸を一方の方向に回転すると、給炭管11pの管路を開くことができる。第3モータ11mの出力軸を他方の方向に回転すると、給炭管11pの管路を閉じることができる。
【0041】
図2を参照して、微粉炭供給装置10は、給炭管11pの管路を閉じた後、予め定めた第1の時間が経過すると、給炭機12を停止して、その後、更に第2の時間が経過すると石炭微粉砕機14を停止するように制御しているので、コールゲート弁11c以降の給炭通路中の石炭Cが給炭機12に供給されてしまい、コールゲート弁11c以降の給炭通路に石炭Cが滞留することがない。そのため、石炭微粉砕機14を長期間停止したとしても、給炭通路に石炭詰まりが生じることを防止できる。
【0042】
(給炭機の構成)
次に、実施形態による給炭機12の構成を説明する。図2を参照すると、給炭機12は、箱状のフレーム12fと搬送コンベア12cを備えている。フレーム12fは、石炭Cが排出される石炭投下口12sを他方の端部の下部に開口している。
【0043】
図2を参照すると、実体として、石炭投下口12sは、フレーム12fと石炭微粉砕機14を接続する給炭管14pの入口開口である。石炭投下口12sに排出された石炭Cが石炭微粉砕機14に投入され、石炭微粉砕機14で塊状の石炭Cが粉砕されることで、微粉炭を生成できる。
【0044】
図2を参照すると、搬送コンベア12cは、一組のローラ121・122と無端ベルト12vで構成している。一組のローラ121・122は、互いに離間して配置されている。無端ベルト12vは、一組のローラ121・122を巻き掛けしている。図2で示した例では、ローラ121を駆動輪とし、ローラ122を従動輪としている。
【0045】
図2を参照すると、駆動側のローラ121は、第1モータ12mを連結している。第1モータ12mを一方の方向に回転すると、無端ベルト12vの上側を一方の端部から他方の端部に向かって走行でき、石炭バンカー11から供給した石炭Cを石炭投下口12sに向かって搬送できる。又、第1モータ12mは、その回転速度を制御することで、石炭微粉砕機14に投入される石炭Cの単位時間当たりの投入量を調整できる。
【0046】
(溶出防止剤添加装置の構成)
次に、実施形態による溶出防止剤添加装置13の構成を説明する。図2を参照すると、溶出防止剤添加装置13は、上面を開口した逆円錐形のホッパー13hとスクリューフィーダ13fを備えている。ホッパー13hは、溶出防止剤Eaを貯留している。溶出防止剤Eaは、石炭の燃焼残渣から有害微量元素の溶出を抑制できる。
【0047】
図2を参照すると、ホッパー13hとスクリューフィーダ13fの間には、ゲート弁13vを設けている。ゲート弁13vは、ホッパー13hからスクリューフィーダ13fに至る管路を開閉できる。ハンドルを操作することで、ホッパー13hからスクリューフィーダ13fに至る管路を開閉できる。
【0048】
図2を参照すると、スクリューフィーダ13fは、ホッパー13hから供給された溶出防止剤Eaをフレーム12fの石炭投下口12sに向かって送り出すことができる。スクリューフィーダ13fは、第2モータ13mを連結している。
【0049】
図2を参照して、第2モータ13mを回転すると、螺旋状のスクリュー13sを回転させて、溶出防止剤Eaを軸方向に送り出すことができる、又、第2モータ13mは、その回転速度を制御することで、石炭投下口12sを介して、石炭微粉砕機14に投入される溶出防止剤Eaの単位時間当たりの投入量を調整できる。
【0050】
図2を参照して、第1モータ12mの回転速度に対応して、すなわち、石炭微粉砕機14に投入される石炭Cの単位時間当たりの投入量に対応して、第2モータ13mの回転速度を調整することで、溶出防止剤Eaの添加量を適正な割合で調整できる。
【0051】
[微粉炭供給装置の作用]
次に、実施形態による微粉炭供給装置10の作用及び効果を説明する。
【0052】
図1又は図2を参照すると、微粉炭供給装置10は、搬送コンベア12cの端部に形成し、石炭が排出される石炭投下口12sの上方に、スクリューフィーダ13f付きのホッパー13hを配置し、ホッパー13hに有害微量元素の溶出防止剤Eaを貯留し、スクリューフィーダ13fを駆動してホッパー13hから石炭投下口12sに向けて、有害微量元素の溶出防止剤Eaを供給することで、石炭と有害微量元素の溶出防止剤Eaの混合比を一定にできる。
【0053】
図2を参照すると、給炭機12は、搬送コンベア12cを駆動する第1モータ12mを備えている。又、溶出防止剤添加装置13は、スクリューフィーダ13fを駆動する第2モータ13mを備えている。第1モータ12mの回転速度に対応して、すなわち、石炭微粉砕機14に投入される石炭Cの単位時間当たりの投入量に対応して、第2モータ13mの回転速度を調整することで、溶出防止剤Eaの添加量を適正な割合で調整できる。
【0054】
図2を参照して、溶出防止剤Eaは、石灰石、消石灰、生石灰からなる群より選択される1種以上を含んでいる。溶出防止剤Eaは、粒状体又は粉末状体からなることが好ましい。溶出防止剤Eaの平均粒径は、200μmを超えないことが好ましい。微粉炭と溶出防止剤Eaを混合してボイラ20に送出することが可能になる。
【0055】
図1又は図2を参照して、石炭微粉砕機14は、遠心力を利用した分級装置、いわゆる、乾式サイクロンを内部に備えることが好ましい。石炭微粉砕機14で粉砕した微粉炭及び溶出防止剤Eaを所定の粒径に分級した後に、これらの微粉炭及び溶出防止剤Eaをボイラ20に送出することが可能になる。
【0056】
図2を参照して、溶出防止剤Eaを給炭機12に供給する手段は、スクリューフィーダ13fに限定されない。紛体輸送に適した輸送手段であれば、供給手段となるフィーダ又はコンベアの種類は、限定されない。
【0057】
図2を参照して、溶出防止剤Eaは、搬送コンベア12c上に投下してもよく、石炭微粉砕機14の上方から、有害微量元素の溶出を抑制する溶出防止剤Eaを石炭微粉砕機14に投下することで、石炭に対して溶出防止剤Eaの添加量を適正な割合で調整できる。
【0058】
本発明による微粉炭供給装置は、給炭機への石炭と溶出防止剤の注入手段を別々に設けることで、搬送コンベアを駆動する第1モータの回転速度に対応して、溶出防止剤の添加量を調整できる。
【0059】
本発明による有害微量元素溶出抑制方法は、石炭を石炭バンカーに搬送するコンベア上で石炭と溶出防止剤を混合することなく、石炭微粉砕機の上流側で石炭と溶出防止剤を別々に供給できるので、石炭に対する溶出防止剤の添加量を調整できる。
【0060】
本発明による微粉炭供給装置は、次のような効果が期待できる。
(1)微粉炭と混合して適正配合の溶出防止剤をボイラに送り込んで、高温で燃焼するので、石炭灰へ有害微量元素の取り込みを促進できる。
(2)微粉炭と混合して適正配合の溶出防止剤をボイラに送り込んで、高温で燃焼するので、排ガスから脱硫装置に流入する有害微量元素を抑制できる。
【符号の説明】
【0061】
10 微粉炭供給装置
11 石炭バンカー
12 給炭機
12c 搬送コンベア
12f フレーム
12s 石炭投下口
13 溶出防止剤添加装置
14 石炭微粉砕機
C 石炭
Ea 溶出防止剤
図1
図2