(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1種以上の吸水調節モノマーは、エチレンオキシドもしくはオリゴ−エチレンオキシド基、ヒドロキシル基およびモルホリノ基からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含む、請求項3記載の方法。
前記少なくとも1個のアルカリ加水分解性の基H−3は、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、トリアゾール基およびベンゾトリアゾール基からなる群から選択され、前記少なくとも1個のアルカリ加水分解性の基H−4は、スクシンイミド基およびフタルイミド基からなる群から選択される、請求項6記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
定義
例えば一官能価の重合性化合物における用語「一官能価」は、重合性化合物が1個の重合性基を含むことを意味する。
【0018】
例えば二官能価の重合性化合物における用語「二官能価」は、重合性化合物が2個の重合性基を含むことを意味する。
【0019】
例えば多官能価の重合性化合物における用語「多官能価」は、重合性化合物が3個以上
の重合性基を含むことを意味する。
【0020】
用語「アルキル」は、アルキル基内の炭素原子の各数に対して可能なすべてのバリアント(variants)、すなわち、メチル、エチル、3個の炭素原子に対してはn−プロピルおよびイソプロピル;4個の炭素原子に対してはn−ブチル、イソブチルおよび第三ブチル、5個の炭素原子に対しては、n−ペンチル、1,1−ジメチル−プロピル、2,2−ジメチルプロピルおよび2−メチル−ブチル、等、を意味する。
【0021】
特記されない限り、置換もしくは未置換アルキル基は好適には、C
1ないしC
6−アルキル基である。
【0022】
特記されない限り、置換もしくは未置換アルケニル基は好適には、C
1ないしC
6−アルケニル基である。
【0023】
特記されない限り、置換もしくは未置換アルキニル基は好適には、C
1ないしC
6−アルキニル基である。
【0024】
特記されない限り、置換もしくは未置換アラルキル基は好適には、1、2、3もしくは4以上のC
1ないしC
6−アルキル基を含むフェニルまたはナフチル基である。
【0025】
特記されない限り、置換もしくは未置換アルカリール基は好適には、フェニル基またはナフチル基を含むC
7ないしC
20−アルキル基である。
【0026】
特記されない限り、置換もしくは未置換アリール基は好適には、フェニル基またはナフチル基である。
【0027】
特記されない限り、置換もしくは未置換ヘテロアリール基は好適には、1、2もしくは3個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子またはそれらの組み合わせ物により置換された5−もしくは6−員環である。
【0028】
例えば置換アルキル基における用語「置換された」は、そのアルキル基が、このような基中に通常含まれる原子、すなわち炭素および水素、以外の原子により置換されてもよいことを意味する。例えば、置換アルキル基はハロゲン原子またはチオール基を含む場合がある。未置換アルキル基は炭素および水素原子のみを含む。
【0029】
特記されない限り、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アラルキル基、置換アルカリール基、置換アリールおよび置換ヘテロアリール基は好適には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよび第三−ブチル、エステル、アミド、エーテル、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、スルホキシド、スルホン、スルホネートエステル、スルホンアミド、−Cl、−Br、−I、−OH、−SH、−CNおよび−NO
2からなる群から選択される1個以上の成分(constituents)により置換されている。
【0030】
本発明において、ガラスのエッチングは、ガラスに対する透明な/散乱する性状(aspect)、特定のきめ(texture)および時々は粗さ(roughness)を与える、ガラスの表面における特定量の材料の除去、を意味すると理解される。用語「化学的エッチング」は、材料の除去が化学的攻撃/反応により実施されるときに、使用される。
【0031】
選択的にエッチングされたガラス製品の製法
本発明の好適な実施態様による、エッチングされたガラス製品(10)を製造する方法は、
a)ガラス製品の表面上において画像(2)をUV硬化性インキジェットインキで噴射する工程と、
b)画像(2)をUV硬化する工程と、
c)UV硬化画像(3)により被覆されてない表面をエッチング処理してエッチング済み画像(4)を得る工程と、
d)UV硬化画像(2)を除去する
工程とを含み、
前記画像に噴射する工程と硬化する工程との間の時間間隔は、少なくとも50ms、好適には少なくとも75ms、もっとも好適には少なくとも100msである。
【0032】
インキジェットプリントヘッドのノズルの目詰まりは、噴射と硬化との間の時間間隔が前記の通りであるときは、防止される場合があることが認められた。
【0033】
好適な実施態様において、画像を噴射する工程と硬化する工程との間の時間間隔は750ms未満、より好適には600ms未満、もっとも好適には500ms未満である。
【0034】
噴射と硬化との間の時間間隔が長くなりすぎるときは、インキジェットインキを噴射する工程と硬化する工程との間の、ガラスの表面上のインキジェットインキの拡散(spreading)のために、画像の解像度が低下する場合があることが認められた。
【0035】
好適な実施態様において、ガラスの表面は、UV硬化性インキジェットインキを印刷する前に清浄化される。これは特に、ガラスの表面が手で取り扱われ、手袋を装着されていないときに望ましい。清浄化は、ガラス表面に対するUV硬化性インキジェットインキの付着を妨げる場合がある塵粒子および脂を除去する。
【0036】
方法の好適な実施態様において、工程b)におけるUV硬化はUVLEDを使用して実施される。
【0037】
方法の他の好適な実施態様において、UV硬化画像は好適には、エッチングの前に、好適にはUV硬化工程b)と、エッチング工程c)との間に、好適には10ないし45分間にわたり130ないし170℃における、より好適には20ないし30分間にわたり150℃における熱処理を与えられる。
【0038】
適切な加熱装置は、熱風を循環する装置、オーブンおよび赤外線源を含む。
【0039】
加熱装置は、噴射直後に放射線を適用するように、少なくとも一部はそれとともに移動するインキジェット印刷機のプリントヘッドと組み合わせて配列される場合がある。このような場合には、インキジェット印刷機には好適には、ある種の赤外線源、例えば、赤外線レーザーダイオードまたは赤外線LEDのような赤外線が装備されている。
【0040】
好適で有効な赤外線源は0.8ないし1.5μmの間の最大発光量を有する。このような赤外線源は時々、NIR線源またはNIRドライヤーと呼ばれる。好適な形態において、NIR線源は、マルチパスインキジェット印刷装置における複数のインキジェットプリントヘッドの往復システム上に容易に取り付けることができるNIRLEDの形態である。
【0041】
NIR放射線エネルギーは、インキジェットインキ層の深層中に早急に透過して、層の厚さ全体を通して水と溶剤を除去し、他方、従来の赤外線エネルギーおよび熱風エネルギ
ーは主として表面で吸収され、次に徐々にインキ層中を誘導され、それは通常、水と溶剤の、より緩徐な除去をもたらす。
【0042】
十分に厚く、またエッチング抵抗性のUV硬化画像を得るために、エッチング工程(c)の前に、噴射工程(a)およびUV硬化工程(b)を、2、3、4もしくは5回以上反復する場合がある。あるいはまた、十分に厚く、またエッチング抵抗性のUV硬化画像を得るためにまた、硬化工程(b)の前に、噴射工程(a)を2、3、4もしくは5回以上反復する。
【0043】
エッチング工程(c)はまた、十分なエッチング深度を得るために2、3もしくは4回以上反復される場合がある。
【0044】
方法の他の実施態様によると、着色剤を含むUV硬化性インキジェットインキは、エッチング済み画像の少なくとも一部に噴射される。エッチング済み画像の少なくとも一部に色彩を添加することは、画像の装飾的価値を更に高める場合がある。好適には、色彩が印刷される予定の部分には、最初に白色の基底層が適用される。
【0045】
UV硬化画像は好適には、アルカリ性ストリッピング溶液中でのストリッピングまたは可溶化(solubilizing)により、ガラス表面から除去される。ストリッピングは典型的には、ストリッピング溶液中において、除去されたUV硬化画像のフレーク形成をもたらす。
【0046】
特に好適な実施態様において、UV硬化画像は、アルカリ性水溶液中でUV硬化画像を可溶化することにより除去される。UV硬化画像を可溶化することにより、前記のフレークサイズの問題は解決される場合がある。
【0047】
UV硬化画像は好適には、15分以内の間、より好適には10分以内の間、もっとも好適には5分以内の間可溶化される。
【0048】
従って、本発明に従う方法により得られるエッチング済みガラス製品(10)は、(i)UV硬化画像(3)により前以て被覆されなかった領域に対応する、すなわちUV硬化画像の「陰画」に対応する、エッチング処理された領域(4)および(ii)UV硬化画像(2)により被覆された領域に対応する滑らかな領域(6)、を含む。
【0049】
ガラス製品上に所望される一つ以上のパターンは、エッチング済み領域(4)により、あるいはまた滑らかな領域(6)により形成されてもよい。
【0050】
パターンはロゴ、文字(characters)、文章(texts)、描画(drawings)、等の場合がある。本発明に従う方法により製造されるガラス製品は、唯一のパターン、またはガラス製品上に分配された幾つかの、同一のもしくは異なるパターンを含む場合がある。
【0051】
エッチング済みガラスは通常、その粗さ(roughness)により、そしてとりわけRz(平均粗さ深度)およびRsm(プロファイル要素の平均の幅)パラメーター(μmで表わされる)およびこれら2パラメーター間の比率Rz/Rsmにより、特徴を表わされる。一つの実施態様によると、本発明の方法によって得られるガラス製品のエッチング済み領域(4)は、9μm超ないし22μm未満のRz値、および0.12超ないし0.30未満のRz/Rsm比により規定される、好適な表面の粗さを示す。
【0052】
得られる粗さに応じて、選択的にエッチングされたガラスシートは、異なる用途を有す
る場合がある。例えば、それは装飾的な用途または、得られる粗さが高い場合は、滑らない(non−slip)フローリング、床または階段としての用途に使用される場合がある。
【0053】
ガラス基質(substrates)
ガラス製品は様々な範疇に属する場合があるガラスでできている。
【0054】
従って、ガラスは,ソーダ−ライム−シリカタイプのガラス、ほう酸塩ガラス、鉛ガラス、例えば、無機着色剤、酸化化合物、粘度調整剤および/または溶融促進剤のような、その本体中に均一に分配された1種以上の添加剤を含むガラスの場合がある。
【0055】
ガラスは好適には、ソーダ−ライム−シリカタイプのものである。
【0056】
ガラスは、その本体が透明な、超透明なまたは着色されている場合がある。
【0057】
ガラス表面は、ガラス製品の、非平面的外面のみならずまた、平面的外面をも意味する。
【0058】
本発明による製法は好適には、平面的表面、特にガラスシートのために使用される。
【0059】
ガラスシートは完全に滑らかなガラスシート、またはすでにエッチング処理されたガラスシートの場合がある。
【0060】
好適な実施態様に従うと、ガラスシートはフロートガラス(float glass)のシートである。
【0061】
極めて好適には、ガラスシートはソーダ−ライム−シリカタイプのフロートガラスシートである。
【0062】
ガラスシートはどんな厚さをもってもよい。厚さは好適には、0.7ないし20mmの範囲内にある。
【0063】
本発明による製法は、広い面積のガラス、例えば表面積が少なくとも5m
2であるガラスシートを選択的にエッチングするのに特に適している。
【0064】
しかし、その方法はまた、より小さい表面積、例えば0.5m
2次元の表面積を選択的にエッチングするために使用される場合もある。
【0065】
ガラスシートは、熱によりまたは化学的に、焼き戻し(tempered)、焼きなまし(annealed)または硬化される場合がある。
【0066】
特定の安全性基準を順守するために、ガラスシートを張り合わせる場合があり、すなわち熱可塑性フィルムにより他のガラスシートと一緒に巻合わせる。
【0067】
本発明による方法において、ガラスシートの一表面もしくは両表面を選択的にエッチングして、ガラスシートの一表面もしくは両表面上にパターンを形成する場合がある。
【0068】
好適には、パターンはガラスシートの一表面上に形成される。エッチング工程がエッチング溶液内にガラスシートを浸漬することにより実施される場合は、ガラスシートの一表面は、その表面をエッチング溶液から保護するための保護層により完全に被覆される。こ
のような保護層は、あらゆる適切な適用法によりガラス表面上に適用されもよいが、しかし、このような保護層はまた、ガラスシートの他面上に画像を形成するために使用されるUV硬化性インキジェットインキを噴射し、硬化する工程により適用されることが好適である。
【0069】
エッチング工程
本発明による方法のエッチング工程に使用されるエッチング溶液は好適には、フッ化水素酸の水溶液である。
【0070】
エッチング溶液は典型的には、0ないし5の間のpHを有する。
【0071】
酸性のエッチング溶液は更に、フッ化水素酸自体に加えて、この酸の塩、HCl、H
2SO
4、HNO
3、酢酸、リン酸のような他の酸および/またはそれらの塩(例えば、Na
2SO
4、K
2SO
4、(NH
4)
2SO
4、BaSO
4、等)および少量の割合の、任意的補助剤(例えば、酸/塩基バッファー化合物または、溶液の拡散を促進する化合物)を含む場合がある。
【0072】
例えばナトリウム、カリウムおよびアンモニウムヒドロフルオリドまたはビフルオリドのようなアルカリ塩およびアンモニウム塩が好ましい。
【0073】
エッチング工程の時間、すなわちガラス板がエッチング溶液中に浸漬される時間は、使用されるエッチング溶液と除去されなければならないガラスの量との関数として変動する場合がある。
【0074】
生産性の理由で、エッチング工程は好適には、1時間未満の時間枠、好適には5ないし45分間の時間枠、より好適には10ないし30分間の時間枠内で実施される。
【0075】
温度の上昇は一般的にエッチング工程を促進する。エッチング工程は好適には20ないし50℃の間の温度で、より好適には室温で実施される。
【0076】
エッチング工程は好適には少なくとも1bar、より好適には1ないし2barの圧力下の噴霧により実施される場合がある。
【0077】
好適な実施態様において、エッチング工程は、エッチング溶液中にUV硬化画像を含むガラスシートを浸漬することにより実施される。例えば、ガラスシートは、エッチング溶液を含む浸漬槽中を特定の速度で運搬される場合がある。
【0078】
エッチング工程は1工程で、または2、3、もしくは4以上のエッチング工程で実施される場合がある。
【0079】
複数のエッチング工程が使用されるときは、すべてのエッチング工程は同一の操作条件(すなわち同一のエッチング溶液、エッチング時間およびエッチング温度)を有するか、またはエッチング工程は異なる操作条件を有する場合がある。
【0080】
UV硬化性インキジェット印刷画像は、エッチング工程の前に、好適には、好ましくは130ないし170℃で10ないし45分間、より好ましくは150℃で20ないし30分間、熱処理を与えられる。
【0081】
エッチング工程の次には、好適にはあらゆる残留エッチング剤を除去するために水で洗浄される。
【0082】
ストリッピング工程
エッチング工程後に、UV硬化画像は好適には、アルカリ性ストリッピング溶液中で除去される。このようなアルカリ性ストリッピング溶液は通常、pH>10を有する水溶液である。
【0083】
ストリッピング溶液またはストリッピング浴は好適には、ソーダ、カリウムカーボネート、ナトリウムまたはカリウムヒドロキシドのようなアルカリ金属ヒドロキシドを含む、または、モノ−もしくはトリ−エタノールアミンおよびテトラメチルアンモニウムヒドロキシドのようなアミン基剤のアルカリ性溶液である。好適なストリッピング溶液は、少なくとも2重量%のナトリウムもしくはカリウムヒドロキシドを含む。使用される(in use)ストリッピング溶液は好適には、30℃ないし85℃、より好適には40℃ないし55℃の間の温度を有する。ストリッピング溶液は好適には、有機溶媒を実質的に含まず、そしてもっとも好適には有機溶媒を全く含まない。
【0084】
好適な実施態様において、ストリッピング溶液を適用するために噴霧が使用される。
【0085】
ストリッピング工程中に噴霧を使用することによる実施圧力は,ストリッピング速度を増加すると考えられ、そしてフレークの分解(degradation)速度を改善する。
【0086】
エッチング工程およびストリッピング工程を実施する装置は、ガラス製品の用途および寸法に左右される。
【0087】
エッチング浴が使用される場合があり、該エッチング浴を通って一つ以上の硬化済みUV硬化画像を担持するガラス製品が制御速度で運搬される。ガラス基質が特定の時間、エッチング液中に浸漬され、そして特定の温度で加熱されるエッチング用の単純な浴が、適切な装置のもっとも単純な考え方である。
【0088】
UV硬化性インキジェットインキ
UV硬化性インキジェットインキは、エッチング溶液からガラス表面を保護するUV硬化画像を形成するために、ガラス表面上に印刷されそしてUV硬化される。
【0089】
UV硬化性インキジェットインキはカチオンにより硬化性の場合があるが、好適にはフリーラジカルのUV硬化性インキジェットインキである。UV硬化性インキジェットインキはe−ビームにより硬化される場合があるが、好適には、UV光線により、より好適にはUVLEDUVLEDからのUV光線により硬化される。
【0090】
信頼性のある工業インキジェット印刷のためのUV硬化性インキジェットインキの粘度は好適には、45で20mPa.s以下、より好適には45℃で1ないし18mPa.sの間、そしてもっとも好適には45℃で4ないし14mPa.sの間である。
【0091】
良好な画質と付着のためには、UV硬化性インキジェットインキの界面張力は好適には25℃で18mN/mないし70mN/mの範囲、より好適には25℃で約20mN/mないし約40mN/mの範囲である。
【0092】
可溶化可能な(solubilizable)UV硬化性インキ
方法の好適な実施態様において、UV硬化画像はアルカリ性水溶液中にUV硬化画像を可溶化することにより除去され、それはストリッピング溶液からどんなフレークも瀘過する必要はないことはないことを意味する。
【0093】
UV硬化性インキジェットインキは好適には、a)1種以上の光開始剤、b)好適には10を超えるpHにおいて脱色する、場合により使用される着色剤、c)多官能価モノマーもしくはオリゴマーの2個の重合性基の間の原子鎖中に少なくとも1個のアルカリ加水分解性の基を配置されている、1種以上の加水分解性の多官能価モノマーもしくはオリゴマー、およびd)ヒドロキシル基、エチレンオキシドもしくはオリゴ−エチレンオキシド基、第三アミン基、3以上のpK
aを有する酸性基および、5ないし7員の芳香族もしくは非芳香族複素環基からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含む、一官能価もしくは二官能価モノマーである、1種以上の吸水調節モノマー、を含む。
【0094】
加水分解性の多官能価モノマーもしくはオリゴマーは、ストリッピング溶液中における硬化インキジェットインキ画像の劣化(degradation)の原因である、ストリッピング溶液中に完全に溶解されている硬化インキジェットインキ画像をもたらす。
【0095】
しかし、許容され得る製造時間を得るために、第2のモノマーを含むことが必要である。吸水調節モノマーは、ストリッピング溶液中の硬化インキ画像の膨潤の原因である。これは、ストリッピング溶液中に含まれるアルカリによる硬化インキ画像の溶解(dissolving)を加速する。
【0096】
好適な実施態様において、多官能価モノマーもしくはオリゴマーの2個の重合性基の間の原子鎖中に配置された少なくとも1個のアルカリ加水分解性の基は、
式H−1ないしH−4:
【0098】
[式中、
Qは5員の芳香環基を形成するために必要な原子を表わし、Zは5もしくは6員環基を形成するために必要な原子を表わし、そして点線は多官能価モノマーもしくはオリゴマー
の残基に対する結合を表わす]
からなる群から選択される。
【0099】
更なる好適な実施態様において、少なくとも1個のアルカリ加水分解性の基H−3は、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、トリアゾール基およびベンゾトリアゾール基からなる群から選択される。
【0100】
更なる好適な実施態様において、少なくとも1個のアルカリ加水分解性の基H−4は、スクシンイミド基およびフタルイミド基からなる群から選択される。
【0101】
特に好適な実施態様において、少なくとも1個のアルカリ加水分解性の基はオキサレートエステル基である。
【0102】
1種以上の加水分解性の多官能価モノマーもしくはオリゴマーは好適には、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、スチレン基、マレエート基、フマレート基、イタコネート基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アリルエーテル基およびアリルエステル基からなる群から独立して選択される重合性基を含む。
【0103】
多官能価モノマーとオリゴマーとの2個の重合性基の間の原子鎖中に、少なくとも1個のアルカリ加水分解性の基を配置されている、加水分解性の多官能価モノマーおよびオリゴマーの典型的な例は、表1に与えられるが、それらに限定されない。
【0106】
多官能価モノマーもしくはオリゴマーの2個の重合性基の間の原子鎖中に少なくとも1個のアルカリ加水分解性の基が配置されている、1種以上の加水分解性の多官能価モノマーもしくはオリゴマーは、好適には、UV硬化性インキジェットインキの総重量に基づき、少なくとも25重量%の量で、より好適には少なくとも30重量%の量でUV硬化性インキジェットインキ中に含まれる。
【0107】
UV硬化性インキジェットインキは、好適には、1種以上の吸水調節モノマーを含む。吸水調節モノマーは、ヒドロキシル基、エチレンオキシドもしくはオリゴ−エチレンオキシド基、第三アミン、3以上のpK
aを有する酸性基、および、5ないし7員の芳香族もしくは非芳香族複素環からなる群から選択される、少なくとも1個の官能基を含む一官能価もしくは二官能価モノマーである。
【0108】
好適な実施態様において、1種以上の吸水調節モノマーは、ヒドロキシル基、エチレンオキシドもしくはオリゴ−エチレンオキシド基、カルボン酸基、フェノール基、5ないし7員のラクタム基およびモルホリノ基からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含む。
【0109】
もっとも好適な実施態様において、1種以上の吸水調節モノマーは、エチレンオキシドもしくはオリゴ−エチレンオキシド基、ヒドロキシル基およびモルホリノ基からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含む。
【0110】
吸水調節モノマーは好適には、一官能価モノマーである。
【0111】
1種以上の吸水調節モノマーは、好適には、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基およびメタクリルアミド基からなる群から選択される重合性基を含む。
【0112】
1種以上の吸水調節モノマーは、好適には、アクリレート基およびアクリルアミド基からなる群から選択される重合性基を含む。
【0113】
適切な吸水調節モノマーは、表2に与えられるがそれらに限られない。
【0116】
1種以上の吸水調節モノマーは好適には、UV硬化性インキジェットインキの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の量でUV硬化性インキジェットインキ中に含まれる。
【0117】
可剥性UV硬化性インキジェットインキ
UV硬化画像は、エッチング後に、アルカリ性水溶液によりガラスの表面からフレーク中にストリッピングされる場合がある。これは、UV硬化画像は酸性エッチング剤(etchant)に抵抗性であるが、アルカリ性ストリッピング浴には抵抗性ではないことを意味する。これを達成するために、特定のUV硬化性インキジェットインキ組成物を使用する場合がある。
【0118】
可剥性UV硬化性インキジェットインキは好適には、重合性組成物を含み、そこで重合性組成物の少なくとも80重量%、好適には少なくとも90重量%、そしてもっとも好適には100重量%が、
a)15.0ないし70.0重量%のアクリルアミド、
b)20.0ないし75.0重量%の多官能価アクリレート、および
c)1.0ないし15.0重量%の、カルボン酸基、リン酸基またはホスホン酸基を含む一官能価(メタ)アクリレート:
からなり、ここですべての重量百分率(重量%)は重合性組成物の総重量に基づく。
【0119】
可剥性UV硬化性インキジェットインキは、重合性組成物中に、少なくとも15.0ないし70.0重量%の、好適には少なくとも20.0ないし65.0重量%の、そしてもっとも好適には少なくとも30.0ないし60.0重量%のアクリルアミド、を含み、ここですべての重量百分率(重量%)は重合性組成物の総重量に基づく。
【0120】
単一のアクリルアミドまたはアクリルアミドの混合物を使用する場合がある。
【0121】
好適なアクリルアミドは表3に開示される。
【0123】
UV硬化性インキジェットインキの好適な実施態様において、アクリルアミドは環式アクリルアミドである。
【0124】
UV硬化性インキジェットインキのもっとも好適な実施態様において、アクリルアミドはアクリロイルモルホリンである。
【0125】
可剥性UV硬化性インキジェットインキは好適には、重合性組成物中に、少なくとも20.0ないし75.0重量%、好適には30.0ないし65.0重量%そしてもっとも好適には40.0ないし55.0重量%の多官能価アクリレートを含み、ここですべての重量百分率(重量%)は重合性組成物の総重量に基づく。
【0126】
単一の多官能価アクリレートまたは多官能価アクリレートの混合物が使用される場合がある。
【0127】
好適な実施態様において、多官能価アクリレートは、ジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール(2×プロポキシル化)ジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,6−ヘキサ
ンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレートおよびポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される。
【0128】
UV硬化性インキジェットインキのもっとも好適な実施態様において、多官能価アクリレートはネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレートを含む。
【0129】
可剥性UV硬化性インキジェットインキは、重合性組成物中に、少なくとも1ないし15重量%、好適には2ないし12重量%、そしてもっとも好適には4ないし8重量%の、カルボン酸基、リン酸基またはホスホン酸基を含む(メタ)アクリレートを含み、ここですべての重量百分率(重量%)は、重合性組成物の総重量に基づく。
【0130】
カルボン酸基含有一官能価(メタ)アクリレートの適切な例は、式(I):
【0132】
[式中、Rは水素原子またはメチル基、好適には水素原子を表わし、そしてZは2価の有機基を表わす]
により表わされる化合物を含む。
【0133】
Zの好適な例は、*−(CH2)n−*[ここでnは2ないし12の整数を表わす]、*−CH2−CH2−O−CO−Z‘−*[ここでZ’は以下から選択される2価の有機基を表わす]、*−C6H4−*、*−C6H4−(CH2)n−*[ここでnは1ないし12の整数を表わす]、*−(CH2)n−C6H4−*[ここでnは1ないし12の整数を表わす]および*−(CH2)n−O−C6H4−*[ここでnは1ないし12の整数を表わす]であり、そして*は結合サイトを表わす。
【0134】
カルボン酸基を含む(メタ)アクリレートの好適な例は表4に開示される。
【0136】
リン酸基またはホスホン酸基を含む(メタ)アクリレートの好適な例は、2−(メタクリロイルオキシ)エチルホスフェート、ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート、ビス−(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェートを含む。
【0137】
リン酸基を含む(メタ)アクリレートの好適な例は、式P−1またはP−2:
【0139】
[式中、RはC
nH
2n+1を表わし、ここでnは6ないし18の間の整数を表わす]による化合物である。
【0140】
リン酸基を含む(メタ)アクリレートの好適な例は表5に開示される。
【0142】
UV硬化性インキジェットインキの特に好適な実施態様において、カルボン酸基、リン酸基またはホスホン酸基を含む(メタ)アクリレートは、2−カルボキシエチルアクリレート、2−アクリロイルエチルスクシネート、および2−ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェートからなる群から選択される。
【0143】
不可剥性(non−strippable)UV硬化性インキジェットインキ
ガラス表面に対して優れた付着性を示す多くのUV硬化性インキジェットインキは当該技術分野で知られているが、それらの大部分はストリッピングまたは可溶化され得ない。
【0144】
不可剥性UV硬化性インキジェットインキは好適には、着色剤、好ましくは着色顔料を含む。着色剤を含むUV硬化性インキジェットインキにより得られるUV硬化画像は可視的になり、組成物の品質チェックを可能にする。
【0145】
他の重合性化合物
不可剥性UV硬化性インキジェットインキに対して、インキジェットインキがエッチング抵抗性である限りは、重合性組成物上にどんな現実的限定もされない。
【0146】
可剥性UV硬化性インキジェットインキは、前記のもの以外の他の重合性化合物を含む場合がある。それらは、0ないし20重量%の量で、より好適には15重量%まで、そしてもっとも好適には10重量%までの量でUV硬化性インキジェットインキ中に含まれる場合があり、ここですべての重量百分率(重量%)は重合性組成物の総重量に基づく。
【0147】
可溶化可能なUV硬化性インキジェットインキはまた、1種以上の加水分解性の多官能価モノマーおよびオリゴマーに加えて、1種以上の他のモノマーおよびオリゴマー並びに1種以上の吸水調節モノマーを含む場合があるが、UV硬化性インキジェットインキは好適には、1種以上の加水分解性の多官能価モノマーおよびオリゴマー並びに1種以上の吸水調節モノマーからなる。
【0148】
可溶化可能な(solubilizable)UV硬化性インキジェットインキは、好適には、UV硬化性インキジェットインキの総重量に基づいて25重量%以下、より好適には15重量%以下、そしてもっとも好適には0ないし10重量%の量でUV硬化性インキジェットインキ中に含まれる1種以上の他のモノマーおよびオリゴマーを含む場合がある。
【0149】
他の重合性化合物は、モノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマーの場合がある。これらのモノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマーは、異なる度合いの官能価を有する場合がある。モノ−、ジ−、トリ−および、より高い官能価のモノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマーの組み合わせ物を含む混合物が使用される場合がある。UV硬化性インキジェットインキの粘度は、モノマーとオリゴマーとの間の比率を変えることにより調整される場合がある。
【0150】
特に好適な他のモノマーおよびオリゴマーは、欧州特許第1911814号明細書中の[0106]ないし[0115]に挙げられるものである。
【0151】
着色剤
UV硬化性インキジェットは実質的に無色のインキジェットインキの場合があるが、UV硬化性インキジェットインキは少なくとも1種の着色剤を含むことが好ましい。着色剤はガラス製品製造業者に暫定的マスクを明白に可視化させ、それにより品質の目視検査を可能にする。
【0152】
着色剤は顔料または染料であってもよいが、好適には、UV硬化性インキジェットインキのインキジェット印刷工程中にUV硬化工程により漂白されない染料である。染料は一般に顔料より高い光線退色(light fading)を示すが、噴射性には問題を惹起しない。しかし、着色剤はもっとも好適には、インキジェット印刷法におけるUV硬化工程の影響を受けない染料である。染料は、顔料および分散剤と異なり、通常、エッチングおよびストリッピング溶液中に汚泥(sludge)を誘発しない。
【0153】
アントラキノン染料は、UV硬化性インキジェット印刷に使用される通常のUV硬化条件下では、ごく僅かの光線退色を示すことが見出された。
【0154】
顔料は黒色、白色、シアン、マゼンタ、黄色、赤色、橙色、紫色、青色、緑色、茶色、それらの混合物、等の場合がある。有色顔料は、HERBST, Willy, et al. Industrial Organic Pigments, Production, Properties, Applications. 3rd edition. Wiley − VCH , 2004. ISBN 3527305769により開示されたものから選択される場合がある。
【0155】
適切な顔料は国際公開第2008/074548号パンフレットのパラグラフ[0128]ないし[0138]に開示されている。
【0156】
インキジェットインキ中の顔料粒子は、特に噴射ノズルにおけるインキジェット印刷装置を通るインキの自由流を可能にするために十分小型でなければならない。更に、最大の着色力のために、小粒子を使用し、そして沈降を遅らせることが望ましい。もっとも好適には、平均顔料粒度は150nm以下である。顔料粒子の平均粒度は好適には、動力学的光線散乱の原理に基づくBrookhaven Instruments Particle Sizer BI90plusを使用して決定される。
【0157】
特に好適な実施態様において、UV硬化性インキジェットインキ中の着色剤は、LANXESSからのMacrolex
TM Blue 3R (CASRN 325781−98−4)のようなアントラキノン染料である。
【0158】
他の好適な染料は,クリスタルバイオレットおよび銅のフタロシアニン染料を含む。
【0159】
好適な実施態様において、インキジェットインキの着色剤は、10を超えるpHにおい
て脱色する染料である。
【0160】
好適な実施態様において、着色剤は放射線硬化性インキジェットインキ中に溶解される、すなわちそれは染料である。染料は、顔料に比較して、ずっと早急な脱色を可能にする。それらはまた、沈降により、インキジェットインキ中の分散安定性の問題を誘発しない。
【0161】
第1に好適な実施態様において、着色剤はラクトン基剤のロイコ染料の開放形態(open form)により表わされる。更なる好適な実施態様において、ロイコ染料は,式(I)ないし(VIII)によるロイコ染料である:
【0163】
[式中、R1およびR2は、独立して、置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択され、nおよびmは、独立して、0ないし3の整数を表わし、R3およびR4は、独立して、置換もしくは未置換アルキル基、アルコキシ基およびハロゲンからなる群から選択され、R5は置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基、ハロゲン、アルコキシ基、エステル、アミド、アミンおよびカルボン酸からなる群から選択され、そしてoは0ないし4の整数を表わす]、
【0165】
[式中、R8およびR9は、独立して、水素、置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択され、R10およびR11は独立して置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基および置換もしくは未置換アルキニル基から選択され、nは0ないし3の整数を表わし、そしてmは0ないし5の整数を表わす]、
【0167】
[式中、R12、R13、R16およびR17は、独立して、置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択され、R14およびR15は、独立して、水素、置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択される]、
【0169】
[式中、R20ないしR23は、独立して、置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択され、R18およびR19は、独立して、水素、置換もしくは未置換アルキル基およびアルコキシ基からなる群から選択される]、
【0171】
[R24およびR25は、独立して、置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基
、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択され、R26ないしR29は、独立して、水素、置換もしくは未置換アルキル基および、置換もしくは未置換芳香環を形成する基R26ないしR29のうちの2個により形成される基、からなる群から選択される]、
【0173】
[式中、R30ないしR33は、独立して、置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択される]、
【0175】
[式中、R34は置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択され、R35は水素、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択される]。
【0176】
ラクトン基剤のロイコ染料の典型的な例は、表6に与えられるが、それらに限定されない。
【0179】
第2の好適な実施態様において、着色剤はトリアリールメタン染料、より好適には式
(IX)によるトリアリールメタン染料:
【0181】
[式中、R36は水素、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン、置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択され、R37は置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択され、そしてXは正の電荷を補う対イオンを表わす]
により表わされる。
【0182】
第3の好適な実施態様において、着色剤はシアニン染料、メロシアニン染料およびオキソノール染料により表わされる。一般式(X)ないし(XIII)によるシアニン染料:
【0184】
[式中、Xは水素、ニトリル、ニトロ、ハロゲンおよびスルホンから選択される基を表わし、EWGは求電子基、好適にはエステル基を表わし、R38、R39およびR41は、独立して、置換もしくは未置換アルキル基を表わし、R40および42は独立して置換もしくは未置換アリール基および置換もしくは未置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、そしてYは正の電荷を補うための対イオンを表わす]
は、特に好適である。
【0185】
他の好適な着色剤は式(XIII)および(XIV):
【0187】
[式中、R43、R44およびR45は、独立して、置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択され、R46は水素、アルコキシ基、ハロゲン、カルボキシ基もしくはそのエステル、スルホン酸もしくはその塩、置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択され、R47は水素、置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基、アミノ基、アミド基およびスルホンアミド基からなる群から選択され、R48は置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アルカリール基、置換もしくは未置換アラルキル基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択される]
により表わされる。
【0188】
特に好適な実施態様において、着色剤は、着色剤またはその脱色形態をストリッピング水溶液と相溶化させることができる少なくとも1種の置換基を含む。前記の着色剤もしくはその脱色形態を相溶化させることができるこの置換基は、好適には、カルボン酸もしくはその塩、スルホン酸もしくはその塩、ホスホン酸もしくはその塩、硫酸もしくはその塩の半エステル、リン酸もしくはその塩のモノ−もしくはジエステル、フェノール基、エチレンオキシド基およびヒドロキシル基からなる群から選択され、ここで、カルボン酸基、ヒドロキシル基およびエチレンオキシド基は特に好適である。
【0189】
式(IX)ないし(XIV)による典型的な着色剤は、表7に与えられるが、それらに限定されない。
【0192】
着色剤は硬化インキのパターンに対する可視的色彩を弱める(impair)のに十分な量で、UV硬化性インキジェットインキ中に含まれる。好適な実施態様において、着色剤は0.1ないし6.0重量%の量で含まれる。染料にとっては、通常、UV硬化性インキジェットインキの総重量に基づいて2重量%未満、より好適には1重量%未満の量で十分である。
【0193】
光開始システム
UV硬化性インキジェットインキは好適には、少なくとも1種の光開始剤を含むが、複数の光開始剤および/または共開始剤を含む光開始システムを含む場合がある。
【0194】
UV硬化性インキジェットインキ中の光開始剤は好適には、フリーラジカルの開始剤、より具体的にはNorrishタイプIの開始剤またはNorrishタイプIIの開始剤である。フリーラジカルの光開始剤は、化学線(actinic radiation)に曝露されると、フリーラジカルの形成により、モノマーおよびオリゴマーの重合を開始する化合物である。NorrishタイプIの開始剤は、励起後に開裂して(cleaved)、即座に開始ラジカルを生成する開始剤である。NorrishタイプIIの開始剤は、化学線により活性化され、そして実際の開始フリーラジカルになる第2の化合物からの水素分離(abstraction)によりフリーラジカルを形成する光開始剤である。この第2の化合物は重合相乗剤または共開始剤と呼ばれる。本発明において、タイプIおよびタイプIIの両方の光開始剤は、単独でまたは組み合わせて使用されてもよい。
【0195】
適切な光開始剤はBRADLEY, G., London, UK: John Wiley and Sons Ltd, 1998. p.287−294により編纂されたCRIVELLO, J.V., et al. Photoinitiators
for Free Radical Cationic and Anionic Photopolymerization. 2nd edition中に開示されている。
【0196】
光開始剤の具体的な例は、以下の化合物:ベンゾフェノンおよび置換ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、ベンジル−ジメチルケタール、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−メチルチオ]フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンまたは5,7−ジヨード−3−ブトキシ−6−フルオロン、またはそれらの組み合わせ物を含むが、それらに限定されない場合がある。
【0197】
適切な市販の光開始剤は、CIBA SPECIALTY CHEMICALSから市販の Irgacure
TM 184、 Irgacure
TM 500、 Irgacure
TM 369、 Irgacure
TM 1700、 Irgacure
TM 651、 Irgacure
TM 819、 Irgacure
TM 1000、 Irgacure
TM 1300、 Irgacure
TM 1870、 Darocur
TM
1173、 Darocur
TM 2959、 Darocur
TM 4265およびDarocur
TM ITX 、BASF AGから市販のLucerin
TM TPO
、LAMBERTIから市販のEsacure
TM KT046、Esacure
TM
KIP150、Esacure
TM KT37およびEsacure
TM EDB 、
SPECTRA GROUP Ltd.から市販のH−Nu
TM 470 および H−Nu
TM 470Xを含む。
【0198】
光開始剤はいわゆる拡散阻害(diffusion hindered)光開始剤の場合がある。拡散阻害光開始剤は、硬化インキ層中で、ベンゾフェノンのような一官能価光開始剤よりずっと低い移動性(mobility)を示す光開始剤である。光開始剤の移動性を低下させるために幾つかの方法を使用する場合がある。一つの方法は、拡散速度が低下されるように光開始剤の分子量を増加すること、例えばポリマーの光開始剤、である。他の方法は、それを重合ネットワークに組み入れるようにその反応性を高めること、例えば多官能価光開始剤(2、3または4個以上の光開始基を有する)および重合性光開始剤である。
【0199】
UV硬化性インキジェットインキのための拡散阻害(hindered)光開始剤は好適には、非ポリマーの多官能価光開始剤、オリゴマーもしくはポリマーの光開始剤および重合性光開始剤からなる群から選択される。もっとも好適には、拡散阻害光開始剤は重合性開始剤またはポリマーの光開始剤である。
【0200】
好適な拡散阻害光開始剤は、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、アシルホスフィンスルフィド、α−ハロケトン、α−ハロスルホンおよびフェニルグリオキサレートからなる群から選択されるNorrishタイプI−光開始剤から誘導される1種以上の光開始官能基を含む。
【0201】
好適な拡散阻害光開始剤は、ベンゾフェノン、チオキサントン、1,2−ジケトンおよびアントラキノンからなる群から選択されるNorrishタイプII−開始剤から誘導される1個以上の光開始官能基を含む。
【0202】
適切な拡散阻害光開始剤はまた、二官能価および多官能価光開始剤については欧州特許第2065362号明細書中のパラグラフ[0074]と[0080]中、そしてポリマ
ーの光開始剤についてはパラグラフ[0077]ないし[0080]中、そして重合性光開始剤についてはパラグラフ[0081]ないし[0083]中に開示されたものである。
【0203】
光開始剤の好適な量は、好適には1種の開始剤を含むUV硬化性インキジェットインキの総重量の、0ないし50重量%、より好適には0.1ないし20重量%、そしてもっとも好適には0.3ないし15重量%である。
【0204】
光感受性を更に高めるために、UV硬化性インキジェットインキは更に共開始剤を含む場合がある。共開始剤の適切な例は、3群:(1)第三脂肪族アミン[例えば、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンおよびN−メチルモルホリン]、(2)芳香族アミン[例えば、アミルパラジメチルアミノベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート)、2−(ジメチルアミノ)−エチルベンゾエート、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよび2−エチルヘキシル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート]並びに(3)(メタ)アクリル化アミン[例えば、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、(例えば、ジエチルアミノエチルアクリレート)、またはN−モルホリノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、N−モルホリノエチル−アクリレート)]、に分類される場合がある。好適な共開始剤はアミノベンゾエートである。
【0205】
1種以上の共開始剤がUV硬化性インキジェットインキ中に含まれるときは、これらの共開始剤は好適には、安全性の理由のために、拡散阻害されている。
【0206】
拡散阻害共開始剤は好適には、非ポリマーの二官能価もしくは多官能価共開始剤、オリゴマーもしくはポリマーの共開始剤および重合性共開始剤からなる群から選択される。より好適には、拡散阻害共開始剤は、ポリマーの共開始剤および重合性共開始剤からなる群から選択される。もっとも好適には拡散阻害共開始剤は、少なくとも1個の(メタ)アクリレート基を有する、より好適には少なくとも1個のアクリレート基を有する重合性共開始剤である。
【0207】
UV硬化性インキジェットインキは好適には、重合性の、またはポリマーの、第三アミン共開始剤を含む。
【0208】
好適な拡散阻害共開始剤は、欧州特許第2053101号明細書のパラグラフ[0088]ないし[0097]中に開示された重合性共開始剤である。
【0209】
UV硬化性インキジェットインキは好適には、UV硬化性インキジェットインキの総重量の、0.1ないし50重量%の量、より好適には0.5ないし25重量%の量、もっとも好適には1ないし15重量%の量の(拡散阻害)共開始剤を含む。
【0210】
重合防止剤
UV硬化性インキジェットインキは、重合防止剤を含む場合がある。適切な重合防止剤は、フェノールタイプの抗酸化剤、ヒンダードアミンの光安定剤、リンタイプの抗酸化剤、(メタ)アクリレートモノマー中に一般に使用されるヒドロキノンモノメチルエーテルを含み、そしてヒドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロールもまた使用される場合がある。
【0211】
適切な市販の防止剤は例えば、Sumitomo Chemical Co. Ltd.により製造されるSumilizer
TM GA−80、 Sumilizer
TM GM および Sumilizer
TM GS、 Rahn AG からのGenora
d
TM 16、 Genorad
TM18およびGenorad
TM 20 、Ciba
Specialty ChemicalsからのIrgastab
TMUV10とIrgastab
TM UV22、 Tinuvin
TM 460およびCGS20、Kromachem LtdからのFloorstab
TM UV系列 (UV−1,UV−2、UV−5およびUV−8)、Cytec Surface SpecialtiesからのAdditol
TM S系列(S100、S110、S120およびS130)である。
【0212】
これらの重合防止剤の過剰な添加は、硬化に対する感受性を低下すると考えられるので、混合の前に、重合を防止することができる量が決定されることが好ましい。重合防止剤の量は好適には、UV硬化性インキジェットインキの総重量の2重量%未満である。
【0213】
ポリマー分散剤
UV硬化性インキジェットインキが有色顔料を含む場合は、UV硬化性インキジェットインキは好適には、顔料を分散するための分散剤、より好適にはポリマー分散剤を含む。
【0214】
適切なポリマー分散剤は、2種のモノマーのコポリマーであるが、それらは3、4、5もしくは6種以上のモノマーを含む場合がある。ポリマー分散剤の特性は、モノマーの性状とポリマー中のそれらの分布との両方に左右される。コポリマー分散剤は好適には以下のポリマー組成物:
・統計的重合モノマー(例えば、ABBAABABに重合されたモノマーAおよびB);・交互の重合モノマー(例えば、ABABABABに重合されたモノマーAおよびB);・勾配(テーパー)重合モノマー(例えば、AAABAABBABBBに重合されたモノマーAおよびB);
・ブロックコポリマー(例えば、AAAAABBBBBに重合されたモノマーAおよびB)ここでポリマー分散剤の分散能に対し、各ブロックの長さ(2、3、4、5または6以上)が重要である;
・グラフトコポリマー(グラフトコポリマーは主鎖に結合されたポリマー側鎖を伴うポリマー主鎖からなる);および
・これらのポリマーの混合形態、例えば、ブロック状の勾配コポリマー、
を有する。
【0215】
適切なポリマー分散剤は、欧州特許第A1911814号明細書中の“Dispersants(分散剤)”の項に、より具体的には[0064]ないし[0070]および[0074]ないし[0077]にリストされている。
【0216】
ポリマー分散剤の市販例は以下:
・BYK CHEMIE GMBHから市販のDISPERBYK
TM分散剤;
・NOVEONから市販のSOLSPERSE
TM分散剤;
・EVONIKからのTEGO
TM DISPERS
TM分散剤;
・MUNZING CHEMIEからのEDAPLAN
TM分散剤;
・LYONDELLからのETHACRYL
TM分散剤;
・ISPからのGANEX
TM分散剤;
・CIBA SPECIALTY CHEMICALS INCからのDISPEX
TMおよびEFKA
TM分散剤;
・DEUCHEMからのDISPONER
TM分散剤;並びに
・JOHNSON POLYMER.からのJONCRYL
TM分散剤、
である。
【0217】
界面活性剤
UV硬化性インキジェットインキは、少なくとも1種の界面活性剤を含む場合があるが、好適にはどんな界面活性剤も含まれない。界面活性剤が含まれない場合は、UV硬化性インキジェットインキはガラス表面上に十分に広がらず、それにより細い線(thin lines)の形成を可能にする。
【0218】
界面活性剤はアニオン、カチオン、非イオンまたは両性イオンの場合があり、そして通常、UV硬化性インキジェットインキの総重量に基づいて1重量%未満の総量で添加される。
【0219】
適切な界面活性剤は、フッ素化界面活性剤、脂肪酸塩、高級アルコールのエステル塩、アルキルベンゼンスルホネート塩、高級アルコールのスルホスクシネートエステル塩およびホスフェートエステル塩(例えば、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネートおよびナトリウムジオクチルスルホスクシネート)、高級アルコールのエチレンオキシド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキシド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物、並びにアセチレングリコールとそのエチレンオキシド付加物(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、およびAIR PRODUCTS &
CHEMICALS INC.から市販のSURFYNOL
TM 104、104H、440、465およびTG)を含む。
【0220】
好適な界面活性剤は、(フッ素化炭化水素のような)フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤から選択される。シリコーン系界面活性剤は好適には、シロキサンであり、そして、アルコキシル化、ポリエーテル改変、ポリエーテル改変ヒドロキシ官能化、アミン改変、エポキシ改変されてもよく、そして他の改変体またはそれらの組み合わせ物であってもよい。好適なシロキサンはポリマー、例えばポリジメチルシロキサンである。
【0221】
好適な市販のシリコーン系界面活性剤はBYK ChemieからのBYK
TM333およびBYK
TM UV3510 fを含む。
【0222】
好適な実施態様において、界面活性剤は重合性化合物である。
【0223】
好適な重合性シリコーン系界面活性剤は、(メタ)アクリレート化シリコーン系界面活性剤である。アクリレートはメタクリレートよりも反応性であるために、(メタ)アクリレート化シリコーン系界面活性剤はもっとも好適には、アクリレート化シリコーン系界面活性剤である。
【0224】
好適な実施態様において、(メタ)アクリレート化シリコーン系界面活性剤は、ポリエーテル改変(メタ)アクリレート化ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル改変(メタ)アクリレート化ポリジメチルシロキサンである。
【0225】
界面活性剤は好適には、UV硬化性インキジェットインキの総重量に基づいて、0ないし3重量%の量でUV硬化性インキジェットインキ中に含まれる。
【0226】
インキジェットインキの調製
着色(pigmented)UV硬化性インキジェットインキの調製は、当業者に周知である。調製の好適な方法は、国際公開第2011/069943号パンフレットのパラグラフ[0076]ないし[0085]に開示されている。
【0227】
インキジェット印刷装置
UV硬化性インキジェットインキは、1個以上のプリントヘッドに対して移動している基質(substrate)上に、制御された方法で、ノズルを通して小滴を噴射する1
個以上のプリントヘッドにより噴射される場合がある。
【0228】
インキジェット印刷システムに好適なプリントヘッドは、圧電ヘッドである。
【0229】
圧電インキジェット印刷は、それに電圧がかかるときの圧電セラミック変換器(transducer)の動き(movement)に基づく。電圧の印加は、プリントヘッドにおける圧電セラミック変換器の形状を変化させて空間(void)を形成し、次にそれがインキで充填される。電圧が再度切断されると、セラミックはその元の形状に膨張し、それによりプリントヘッドから一滴のインキを噴射する。しかし、本発明によるインキジェット印刷法は、圧電インキジェット印刷に限定はされない。他のインキジェットプリントヘッドを使用して、連続タイプのような様々なタイプを含む場合がある。
【0230】
インキジェットプリントヘッドは通常、移動しているインキレシーバーの表面上を、横方向に往復スキャンする。インキジェットプリントヘッドはしばしば、帰路には印刷しない。双方向印刷は広い面積スループットを得るために好ましい。他の好適な印刷法は、ガラスシートの幅全体をカバーする、ページの全幅のインキジェットプリントヘッドまたは複数の千鳥形(staggered)インキジェットプリントヘッドを使用することにより実施される場合がある「1回パス印刷法」によるものである。1回パス印刷法において、インキジェットプリントヘッドは通常、固定されたままであり、ガラスシートはインキジェットプリントヘッドの下方を運搬される。
【0231】
ガラスシートのような本質的に二次元、ではない、すなわち球か、立方体との円筒の組み合わせ物のようなより複雑な物体かのような三次元の形状を有するガラス製品に対して、プリントヘッドは、UV硬化性インキジェットインキを適用するために三次元の物体の形状に従うことができるロボットアーム上に固定される場合がある。このような技術は当該技術分野、例えば米国特許第2015042716号明細書、国際公開第2014/001850号パンフレットおよび米国特許第2015009254号明細書に知られている。
【0232】
本発明による方法に使用されてもよい適切なインキジェット印刷機は例えば、Agfa
Graphicsから市販のAnapurna Mシリーズ印刷機である。
【0233】
硬化装置
UV硬化性インキジェットインキは、電子ビームまたは紫外線のような化学線(actinic radiation)に曝露することにより硬化される場合があり、好適には、UV硬化性インキジェットインキの画像は、紫外線により、より好適にはUVLEDUVLED硬化を使用して硬化される。
【0234】
インキジェット印刷において、硬化手段は、噴射の直後に硬化液が硬化線に曝露されるように、それと一緒に移動しているインキジェット印刷機のプリントヘッドと組み合わせて配列される場合がある。
【0235】
UVLEDUVLEDを例外とする、このような配列において、プリントヘッドに接続され、それと一緒に移動している十分に小型の放射線源を提供することは困難な場合がある。従って、静的に固定された線源、例えば、光ファイバーの束または内部反射性の可撓性の管のような、柔軟な放射線伝導手段により放射線源に接続された硬化UV−光線源、を使用する場合がある。
【0236】
あるいはまた、化学線(actinic radiation)は放射線ヘッドの上方に鏡を含む、鏡の集成装置(arrangement)により、固定源から放射線ヘッド
に供給される場合がある。
【0237】
放射線源はまた、硬化される基質上を横切って延伸する細長い線源の場合がある。それは、プリントヘッドにより形成される画像のその次の列が、段階的にまたは連続的に、その放射線源の下方を通過するように、プリントヘッドの横断経路に隣接される場合がある。
【0238】
放射光の一部が光開始剤または光開始システムにより吸収可能である限り、高圧もしくは低圧水銀ランプ、冷陰極管(cold cathode tube)、紫外線照射装置(black light)、紫外線LED、紫外線レーザーおよび閃光灯(flash
light)のようないずれかの紫外線線源が放射線源として使用されてもよい。これらのうちで、好適な線源は、300ないし400nmの主要波長を有する比較的波長の長いUV貢献(UV−contribution)を示すものである。具体的には、UV−A光源は、より効率的な内部の硬化をもたらす光線の散乱低下のため、好ましい。
【0239】
UV光線は一般に、
・UV−A:400nmないし320nm、
・UV−B:320nmないし290nm、
・UV−C:290nmないし100nm、
の通りに、UV−A、UV−BおよびUV−Cと分類される。
【0240】
好適な実施態様において、UV硬化性インキジェットインキはUVLEDUVLEDにより硬化される。インキジェット印刷装置は好適には、360nmより長い波長を伴う1種以上のUVLEDUVLED、好適には380nmより長い波長を伴う1種以上のUVLEDUVLED、そしてもっとも好適には約395nmの波長をもつUVLEDUVLEDを含む。
【0241】
更に、異なる波長または照度(illuminance)の2つの光源を、連続的にまたは同時に使用してインキ画像を硬化することは可能である。例えば、第1のUV源は、とりわけ260nmないし200nmの範囲のUV−Cが豊富であるように選択される場合がある。次に第2のUV−源は、UV−Aが豊富な、例えば、ガリウムドープランプ、またはUV−AとUV−Bとの両方が豊富な、異なるランプの場合がある。2種のUV−源の使用は、例えば早急な硬化速度および高い硬化度のような利点を有することが見出された。
【0242】
硬化を促進するために、インキジェット印刷装置はしばしば、1基以上の酸素枯渇(depletion)ユニットを含む。酸素枯渇ユニットは、硬化環境内の酸素濃度を低下させるために、調整可能な位置および調整可能な不活性ガス濃度を伴う、窒素または他の比較的不活性なガス(例えば、CO
2)のブランケットを配置する。残留酸素レベルは通常、200ppmまで低く維持されるが、一般には200ppmないし1200ppmの範囲にある。
【実施例】
【0243】
材料
以下の実施例中に使用されたすべての材料は、特記されない限り、ALDRICH CHEMICAL Co.(ベルギー)およびACROS(ベルギー)のような、標準的な製造元から容易に入手可能であった。使用された水は脱イオン水であった。
【0244】
ACMOはRAHNから市販のアクロイルモルホリンである。
【0245】
INHIBは組成:
【0246】
【表8】
【0247】
を有する重合防止剤を形成する混合物である。
【0248】
Cupferron
TM ALはWAKO CHEMICALS LTD.からのアルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンである。
【0249】
Dye−1はLANXESSからMacrolex
TM Blue 3Rとして市販の青色アントラキノン染料である。
【0250】
ITXはB ASFからDarocur
TMとして市販の2−および4−イソプロピルチオキサントンの異性体混合物である。
【0251】
EPDはRAHNからGenocure
TM EPDとして市販のエチル4−ジメチルアミノベンゾエートである。
【0252】
TPOはBASFからDarocur
TM TPOとして市販の光開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシドである。
【0253】
BAPOはBASFから市販のフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシドである。
【0254】
IC907はBASFからIrgacure
TM 907として市販の光開始剤の2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンである。
【0255】
Macrolex
TM Blue 3RはLANXESSからの青色アントラキノン染料である。
【0256】
DPGDAはSARTOMERからSartomer
TM SR508として市販されているジプロピレングリコールジアクリレートである。
【0257】
2−HEAはALDRICHからの2−ヒドロキシエチルアクリレートである。
【0258】
MADAMEはARKEMA FranceからNorsocryl
TM MADAMEとして市販のN,N−ジメチル2−アミノエチルメタクリレートである。
【0259】
EOEOEAはSARTOMERからSartomer
TM SR256として市販のエトキシエトキシエチルアクリレートである。
【0260】
VEEAまたは2−(2−ビニルオキシ−エトキシ)−エチルアクリレートはNippon Shokubai.により供給された。
【0261】
IDAはSARTOMERからSartomer
TM SR395として市販のイソデシルアクリレートである。
【0262】
SR606AはSARTOMERからSartomer
TM SR606Aとして市販のネオペンチルグリコールヒドロキシルピバレートジアクリレートである。
【0263】
HDDAはSARTOMERからSartomer
TM SR238として市販の1,6−ヘキサンジオールジアクリレートである。
【0264】
TMPTAはSARTOMERからSartomer
TM SR350として市販のトリメチロールプロパントリメタクリレートである。
【0265】
NPGDAはSARTOMERからSartomer
TM SR9003 fとして市販のネオペンチルグリコール(2×プロポキシル化)ジアクリレートである。
【0266】
PETAはSartomerからSartomer 295として市販のペンタエリスリトールテトラアクリレートである。
【0267】
CEAはALDRICHからの2−カルボキシエチルアクリレートである。
【0268】
SR9054はSARTOMERからSartomer
TM SR9054として市販の2−ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェートである。
【0269】
CN146はSARTOMERからSartomer
TM CN146として市販の2−アクリルオキシエチル水素フタレートである。
【0270】
IC819はBASFからIrgacure
TM 819として市販の光開始剤のビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドである。
【0271】
PEG200DAはn=4を有する、SARTOMERからSartomer
TM SR259として市販のポリエチレングリコール(MW200)ジアクリレート:
【0272】
【化14】
【0273】
である。
【0274】
HDDAはSARTOMERからSartomer
TM SR238として市販の1,
6−ヘキサンジオールジアクリレート:
【0275】
【化15】
【0276】
である。
【0277】
HYDRO−8はPEG200DAに類似のオキサレートモノマー:
【0278】
【化16】
【0279】
である。
【0280】
蓚酸ビス−[2−(2−アクリロイルオキシ−エトキシ)−エチル]エステル(HYDRO−8)の合成を以下のように実施した:
【0281】
【化17】
【0282】
第1の工程:2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルアクリレートの合成
55.9g(0.3モル)の2−(2−ビニルオキシ−エトキシ)−エチルアクリレートを100mlのアセトンに溶解した。27g(1.5モル)の水および0.6g(6ミリモル)のメタンスルホン酸を添加した。反応を室温で4時間継続させた。反応混合物を500mlのメチレンクロリドで希釈し、250mlの水で抽出した。有機画分をMgSO
4上で乾燥し、減圧下蒸発させた。2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルアクリレートを、TLC−クロマトグラフィー(Whatmanにより供給されたPartisil KC18F、溶離剤:メタノール/0.5NのNaCl80/20、R
f:0.83、痕跡のみの(2−ビニルオキシ−エトキシ)−エチルアクリレート、R
f:0.66
および次の構造式に従う化合物、R
f:0.9)を使用して分析した。
【0283】
【化18】
【0284】
2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルアクリレートを、更に精製せずに使用した。
【0285】
第2工程:蓚酸ビス−[2−(2−アクリロイルオキシ−エトキシ)−エチル]エステルの合成
30.4g(0.19モル)の2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルアクリレート、19.8g(0.196モル)のトリエチルアミンおよび1.3g(5.7ミリモル)のBHTを140mlのメチレンクロリド中に溶解した。溶液を−10℃に冷却した。温度を−10℃に維持しながら、70mlのメチレンクロリド中に12.1g(0.095モル)のオキサリルクロリドの溶液を滴下した。反応を0℃で1時間継続させ、次に16時間にわたり室温で反応させた。反応混合物を200gの氷に添加し、混合物を200mlのメチレンクロリドで抽出した。有機画分を200mlの1Nの塩酸溶液、200mlの飽和NaHCO
3溶液および200mlの生理食塩水で抽出した。有機画分をMgSO
4上で乾燥し、減圧下蒸発させた。粗生成物を、
10μmおよび溶離剤としてのメチレンクロリド/酢酸エチル90/10を充填されたProchrom LC80カラムを使用する分取カラムクロマトグラフィーを使用して精製した。19.1gの蓚酸ビス−[2−(2−アクリロイルオキシ−エトキシ)−エチル]エステルを単離した(y:54%)。化合物を、TLC−クロマトグラフィー(Merckにより供給されたTLCシリカゲル60F
254,、溶離剤:メチレンクロリド/酢酸エチル、83/17、R
f:0.42)およびLC−MSを使用して、下記の方法(滞留時間:6.6分、精度96.2面積%)に従って分析した。
【0286】
HYDRO−11はHDDAに類似のオキサレートモノマー:
【0287】
【化19】
【0288】
である。
【0289】
蓚酸ビス−(4−アクリロイルオキシ−ブチル)エステル(HYDRO−11)の合成を以下の通りに実施した。
【0290】
【化20】
【0291】
51.3g(0.3モル)の4−ヒドロキシ−ブチルアクリレート、31.4g(0.31モル)のトリエチルアミンおよび2g(9ミリモル)のBHTを200mlのメチレンクロリド中に溶解した。反応混合物を−10℃に冷却した。100mlのメチレンクロリド中19.0g(0.15モル)のオキサリルクロリドの溶液を、温度を−10℃に維持しながら滴加した。反応を0℃で1時間継続させ、次に室温で16時間反応させた。反応混合物を500gの氷中に注入し、混合物を1時間撹拌した。混合物を200mlのメチレンクロリドで2回抽出した。貯留した有機画分を300mlの1Nの塩酸溶液、300mlの飽和NaHCO
3溶液および、2回の200mlの生理食塩水で抽出した。有機画分をMgSO
4上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗生成物を、
10μmを充填されたProchrom LC80カラムおよび溶離剤としてのメチレンクロリド/酢酸エチル90/10を使用する、分取カラムクロマトグラフィーを使用して精製した。22gの蓚酸ビス−(4−アクリロイルオキシ−ブチル)−エステルを単離した(y:43%)。化合物を、TLC−クロマトグラフィー(Merckにより供給されたTLCシリカゲル60 F
254、溶離剤:メチレンクロリド/酢酸エチル、96/4、R
f:0.3)、GC(滞留時間:12.2分、精度:99.6面積%)およびGC−MSを使用して、両方とも下記の方法に従って分析した。
【0292】
NVLはBASFから市販のn−ビニルカプロラクタムである。
【0293】
PEAはSARTOMERからSartomer
TM SR339Cとして市販のフェノキシアクリレートである。
【0294】
測定法
1.エッチング抵抗(ER)
エッチング抵抗は、エッチングおよびすすぎ後に、インキ層がまだ存在する場合に照合すること(controlling)により評価された。評価は表9に記載の基準に従って実施した。
【0295】
【表9】
【0296】
2.可剥性(SB)およびフレーク
可剥性(SB)を、撹拌しながら、50℃の、2%のNaOH−溶液を含むビーカー中にエッチング処理され、乾燥されたサンプルを供することにより該サンプルを使用して決定した。
【0297】
ガラス表面からのUV硬化性インキジェット印刷層の剥離時間、すなわち剥離時間を測定した。表10に記載の基準に従って評価を実施した。
【0298】
【表10】
【0299】
UV硬化性インキジェット印刷層の剥離が開始した後に、フレークの形成を認めた。
【0300】
3.粘度
配合物の粘度を、CAMBRIDGE APPLIED SYSTEMSからの“Robotic Viscometer Type(ロボット粘度計タイプ)VISCObot”を使用して45℃で測定した。
【0301】
4.硬化速度
ガラスシート上への印刷および硬化後に、インキ噴射層を指の感触により評価した。評価は表11に記載の基準に従って実施した。
【0302】
【表11】
【実施例1】
【0303】
本実施例は、プリントヘッドの目詰まりに対する、ガラスシート上の画像を噴射する工
程と硬化する工程との間の時間間隔の影響を示す。
【0304】
ガラス板を、イソプロパノール中に浸漬されたコットンパッドで清浄化して、ガラス表面から塵および油脂粒子を除去した。
【0305】
乾燥後に、画像を、8パス(1440×1440dpi)において6pLの液滴容量でKonica Minolta 1024 プリントヘッドを備えたMJK2013インキジェット印刷機を使用してガラス板上に、表12の組成を有するインキジェットインキで印刷し、16μmの厚さの画像を形成した。次にIntegration TechnologyからのSubZero LED090により画像を硬化した(395nm−7W/cm
2)。
【0306】
【表12】
【0307】
噴射と硬化との間の時間間隔(Δ時間)を、表13に示した通りに印刷速度を調整することにより変化させた。
【0308】
3日間の印刷後に目詰まりを評価した。プリントヘッドのプリントノズルの部分的目詰まりは液滴配置の精度の低下をもたらし、他方完全な目詰まりはもちろん、ガラス表面上の「欠けた(missing)」液滴をもたらした。結果は表13に示される。
【0309】
【表13】
【0310】
表13の結果から、少なくとも50msの、噴射と硬化との間の時間間隔は、改善された印刷性能をもたらすことは明白である。
【実施例2】
【0311】
本実施例は、UV硬化性インキジェットインキ印刷を使用するエッチング済みガラス製品の製造を表わす。
【0312】
ガラス板を、イソプロパノール中に浸漬されたコットンパッドで清浄化して、ガラス表面から塵および油脂粒子を除去した。
【0313】
乾燥後に、画像を、8パス(1440×1440dpi)において6pLの液滴容量でKonica Minolta 1024 プリントヘッドを備えたMJK2013インキジェット印刷機を使用してガラス板上に、表12の組成(実施例1参照)を有するインキジェットインキで印刷し、16μmの厚さの画像を形成した。次に画像を、Integration TechnologyからのSubZero LED090により硬化した(395nm−7W/cm
2)。
【0314】
噴射と硬化との間の時間間隔は360msであった。
【0315】
硬化画像に、150℃で30分間の更なる熱処理を与えた。
【0316】
次にガラス板を、室温で1ないし2分間、表14に示す組成を有するエッチング液中に浸漬した。
【0317】
【表14】
【0318】
次にガラス基質を清浄水ですすぎ、乾燥した。
【0319】
得られたエッチング深度は0.06ないし0.1mmであった。
【0320】
次にエッチングされたガラス板をアルカリ性ストリッピング浴(7%のエタノールアミンを含む)に50℃で2分間曝露し、次に水で90秒間すすぎ、乾燥した。
【0321】
艶消し画像(mat image)がガラス中に形成され、装飾パターンを残した。このような画像の一例は
図3に示される。
【実施例3】
【0322】
本実施例は、エッチング後にUV硬化画像がストリッピングされ、可溶化されるUV硬化性インキジェットインキの印刷を表わす。これは、硬化インキの画像のフレークを瀘去する必要を除去する。
【0323】
UV硬化性インキジェットインキの調製
UV硬化性インキジェットインキC−1ないしC−3と、l−1ないしl−3とを表15により調製した。重量百分率(重量%)はUV硬化性インキジェットインキの総重量に基づいた。UV硬化性インキジェットインキC−1は、加水分解性の多官能価モノマーもしくはオリゴマーを含まず、他方UV硬化性インキジェットインキC−2は吸水調節モノマーを含まない。C−3は国際公開第2013/189762号パンフレットに開示されたUV硬化性インキである。
【0324】
【表15】
【0325】
評価および結果
ガラス板を、イソプロパノール中に浸漬されたコットンパッドで清浄化して、塵および油脂粒子を除去した。
【0326】
乾燥後に、画像を、8パス(1440×1440dpi)において14pLの液滴容量でKonica Minolta 512Mプリントヘッドを備えたAnapurna Mwインキジェット印刷機(Agfa Graphics NVから市販)を使用して、ガラス板上に、UV硬化性インキジェットインキC−1ないしC−3およびl−1ないしl−3で印刷した。次にHgランプにより画像を硬化した。噴射と硬化との間の時間間隔は180ないし500msの間であった。
【0327】
硬化画像に、150℃で30分間の更なる熱処理を与えた。
【0328】
次にガラス板を、その組成が表16に示されるエッチング溶液中に室温で5分間、浸漬した。
【0329】
【表16】
【0330】
ガラス板を水ですすぎ、乾燥した。
【0331】
次にエッチング抵抗の評価を表17に示した通りに実施した。
【0332】
エッチングされたガラス板を、アルカリ性ストリッピング浴(2%NaOHを含む)に50℃で5分間曝露し、次に水で90秒間すすぎ、乾燥し、そして可剥性およびストリッピングされたインキ層の形状につき評価された。結果は表17に示される。
【0333】
【表17】
【0334】
表17から、アルカリ性ストリッピング浴中の硬化インキのパターンは5分以内、青色の液体中に完全に溶解したことを例外にして、UV硬化性インキジェットインキl−1ないしl−3は、UV硬化性インキジェットインキC−1ないしC−3の結果に匹敵するエッチング抵抗および可剥性に対する結果を与えたことは明白であるにちがいない。
【0335】
着色剤Dye−1をクリスタルバイオレットにより置き換えることにより、アルカリ性ストリッピング浴中の着色された硬化インキ画像は5分以内に無色の液体中に完全に溶解したことが認められた。10を超えるpHにおいて脱色する染料として、クリスタルバイオレットを使用することにより、二つの好都合な効果を得た。第1に、硬化インキ画像は
エッチングの前に目視検査することができた。第2に、複数のストリッピング工程の後に、ストリッピング溶液が着色され始めるときに、これは、ストリッピング溶液を交換する指標を形成する。
【実施例4】
【0336】
UV硬化性インキジェットインキの調製
UV硬化性インキジェットインキC−4ないしC−14およびUV硬化性インキジェットインキl−4ないしl−19を、表18中のタイプAまたはBの組成により調製した。重量百分率(重量%)はすべて、UV硬化性インキジェットインキの総重量に基づいた。
【0337】
【表18】
【0338】
インキジェットインキの重合性組成物中に使用されたモノマーの量およびタイプは表19に示される。表19中の重量百分率(重量%)はすべて、重合性組成物の総重量に基づいた。粘度が測定され、表21に示される。
【0339】
【表19-1】
【0340】
【表19-2】
【0341】
評価および結果
ガラス板を、イソプロパノール中に浸漬されたコットンパッドで清浄化して塵および油脂粒子を除去した。
【0342】
乾燥後に、画像を、8パス(720×1440dpi)において14pLの液滴容量でKonica Minolta 512Mプリントヘッドを備えた、Anapurna Mwインキジェット印刷機(Agfa Graphics NVから市販)を使用して、UV硬化性インキジェットインキC−04ないしC−14およびl−04ないし−19によりガラス板上に印刷した。次に画像をHgランプにより硬化した。噴射工程と硬化工程との間の時間間隔は180ないし500msの間であった。
【0343】
硬化画像に、150℃で30分間の更なる熱処理を与えた。
【0344】
次にガラス板を、その組成が表20に示されるエッチング溶液に室温で5分間浸漬した。
【0345】
【表20】
【0346】
エッチングされたガラス板をアルカリ性ストリッピング浴(2%のNaOHを含む)に、50℃で5分間曝露し、次に水で90秒間すすぎ、乾燥し、そして可剥性および、ストリッピング済みインキ層の形状につき評価した。結果は表21に示される。
【0347】
【表21】
【0348】
表21から、l−04ないしl−19のUV硬化性インキジェットインキのみが優れた
結果を示したことは明白なはずである。同様に親水性であるが(メタ)アクリレートである他のモノマーでアクリルアミドACMOを置き換えることにより、またはアクリルアミド、多官能価アクリレートおよび酸性モノマーに対する範囲を無視することによって、UV硬化性インキジェットインキは、導体パターン製造の一つ以上の要件をみたさなかった。