特許第6744500号(P6744500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6744500
(24)【登録日】2020年8月3日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】加工硬化溶接及びそのための方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 13/02 20060101AFI20200806BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20200806BHJP
   B23K 9/00 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   F16L13/02
   B23K31/00 F
   B23K9/00 501P
【請求項の数】49
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2019-543752(P2019-543752)
(86)(22)【出願日】2018年2月13日
(65)【公表番号】特表2020-506064(P2020-506064A)
(43)【公表日】2020年2月27日
(86)【国際出願番号】US2018017971
(87)【国際公開番号】WO2018148718
(87)【国際公開日】20180816
【審査請求日】2019年8月29日
(31)【優先権主張番号】62/458,507
(32)【優先日】2017年2月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/485,645
(32)【優先日】2017年4月14日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510276504
【氏名又は名称】ウェブコ インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】オーバーマーク、スティーブン ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】サマーズ、ブレント マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヘインズ、オースティン タイラー
(72)【発明者】
【氏名】オーバーマーク、ウィリアム フランシス
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−107292(JP,A)
【文献】 特開2004−330300(JP,A)
【文献】 特開昭60−221190(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0060873(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0008117(US,A1)
【文献】 特開平11−033771(JP,A)
【文献】 特開平02−011269(JP,A)
【文献】 特開昭62−064478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 13/00 − 15/08
B23K 9/00
B23K 31/00 − 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管アセンブリであって、
それぞれの端部で結合するように構成された少なくとも第1の管および第2の管であって、
所定の機械的特性を有する基材と、
前記それぞれの端部における溶接境界部であって、該溶接境界部は、前記第1および第2の管の内径部および外径部に近接し、それらの間に延在する溶接境界セグメントを含む、前記溶接境界部と、をそれぞれ含む前記少なくとも第1の管および第2の管と、
前記第1及び第2の管の各々の基材を結合する加工硬化された溶接アセンブリであって、
前記第1の管および第2の管の溶接境界部間の溶接溶融領域であって、前記内径部と前記外径部との間に延びる前記溶接溶融領域と、
前記第1及び第2の管の溶接境界セグメントと、を含む前記溶接アセンブリと、を備え、
前記溶接境界セグメントは、対応する前記第1または第2の管の前記溶接溶融領域と基材との間に積層体として積層され、
前記溶接溶融領域は、加工硬化され、前記第1及び第2の管の少なくとも溶接境界セグメントは、前記加工硬化された溶接溶融領域と、前記第1及び第2の管の基材との間で加工硬化され、
前記加工硬化は、前記積層体と交差
前記溶接境界セグメントは、前記内径部の近傍から前記外径部の近傍まで横方向に延在する溶接床に含まれ、
前記溶接床は、
前記溶接溶融領域に沿って延在する溶接床天井部と、
対応する第1または第2の管の基材に沿って延在する溶接床フロア部と、を含む、管アセンブリ。
【請求項2】
前記溶接境界セグメントは、前記第1及び第2の管の外径部の近傍から内径部の近傍まで連続的に加工硬化される、請求項1に記載の管アセンブリ。
【請求項3】
前記第1及び第2の管の各々は、前記溶接溶融領域から離間した前記溶接境界部の熱作用ビードを含む、請求項1に記載の管アセンブリ。
【請求項4】
前記所定の機械的特性は、所定の強度を含み、
加工硬化された前記溶接アセンブリは、少なくとも前記溶接溶融領域および前記溶接境界セグメントを含み、前記基材の所定の強度に近い加工硬化強度を有する、請求項1に記載の管アセンブリ。
【請求項5】
前記溶接溶融領域は、
前記外径部と前記内径部との間の溶接境界部に沿って延在するベース溶接部と、
記第1及び第2の管の一部分の上方において前記溶接境界部に隣接して延在する溶接スカート部と、を含む、請求項1に記載の管アセンブリ。
【請求項6】
前記溶接スカート部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記溶接境界部の少なくとも一部分上に延在する、請求項5に記載の管アセンブリ。
【請求項7】
前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記溶接境界部によって境界を定められたテーパ状溶接凹部を含み、
前記テーパ状溶接凹部は、前記第1及び第2の管の内径部に近接する凹部底から前記第1及び第2の管の外径部に近接する凹部開口までテーパ状になっている、請求項1に記載の管アセンブリ。
【請求項8】
前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記溶接境界部によって境界を定められたテーパ状溶接凹部を含み、
前記テーパ状溶接凹部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する凹部底から前記第1及び第2の管の内径部に近接する凹部開口までテーパ状になっている、請求項1に記載の管アセンブリ。
【請求項9】
前記管アセンブリは、溶接された形態および加工硬化された形態を含み、
溶接された形態では、前記それぞれの端部に近接する前記第1及び第2の管は、前記第1及び第2の管の全体輪郭に対して異なる端部輪郭を有し、前記溶接溶融領域は、前記溶接境界セグメント間にあり、
前記加工硬化された形態では、前記端部輪郭を有する前記第1及び第2の管の各々の端部は、前記第1及び第2の管の全体輪郭に一致するように前記溶接された形態に対して変形され、前記溶接溶融領域、前記溶接境界セグメント、及び前記溶接境界部に近接する前記第1及び第2の管の各々は、前記変形に基づいて加工硬化される、請求項1に記載の管アセンブリ。
【請求項10】
前記溶接された形態における端部輪郭は、前記第1及び第2の管の全体輪郭と比較して大きい、請求項に記載の管アセンブリ。
【請求項11】
前記溶接溶融領域は、自生溶接または溶接充填材および再固化された基材のうちの1つ以上を含む、請求項に記載の管アセンブリ。
【請求項12】
管アセンブリであって、
それぞれの端部で結合するように構成された少なくとも第1の管および第2の管であって、
所定の機械的特性を有する基材と、
前記それぞれの端部における段階的な溶接境界部と、をそれぞれ含む前記少なくとも第1の管および第2の管と、
前記第1及び第2の管の各々の基材を結合する加工硬化された溶接アセンブリであって、
床部底から床部開口まで横方向に延在する溶接床であって、前記床部底から前記床部開口まで延びる前記第1及び第2の管の各々の段階的な溶接境界部を含む前記溶接床と、
前記床部底と前記床部開口との間の前記溶接床に沿って結合された溶接溶融領域であって、前記段階的な溶接境界部上に延在する前記溶接溶融領域と、を含む前記溶接アセンブリと、を備え、
前記溶接溶融領域は、前記床部開口から前記床部底および前記段階的な溶接境界部まで加工硬化され、前記第1及び第2の管の段階的な溶接境界部を含む前記溶接床は、前記溶接溶融領域と、前記基材との間で加工硬化される、管アセンブリ。
【請求項13】
前記段階的な溶接境界部は、前記第1及び第2の管の外径部の近傍から内径部の近傍まで連続的に加工硬化される、請求項12に記載の管アセンブリ。
【請求項14】
前記所定の機械的特性は、所定の強度を含み、
加工硬化された前記溶接アセンブリは、少なくとも前記溶接溶融領域および前記段階的な溶接境界部を含み、前記基材の所定の強度に近い加工硬化された強度を有する、請求項12に記載の管アセンブリ。
【請求項15】
前記溶接溶融領域は、前記段階的な溶接境界部上にあり、前記基材は、前記段階的な溶接境界部の下にある、請求項12に記載の管アセンブリ。
【請求項16】
前記溶接溶融領域は、前記床部底から前記床部開口まで横方向に延び、前記段階的な溶接境界部に近接する前記基材は、前記床部開口から前記床部底まで横方向に延び、前記段階的な溶接境界部は、前記溶接溶融領域と前記基材との間に積層される、請求項12に記載の管アセンブリ。
【請求項17】
前記溶接溶融領域は、
前記床部底と前記床部開口との間の段階的な溶接境界部に沿って延在するベース溶接部と、
記第1及び第2の管の一部分の上方において前記段階的な溶接境界部に隣接して延在する溶接スカート部と、を含む、請求項12に記載の管アセンブリ。
【請求項18】
前記溶接スカート部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記段階的な溶接境界部の少なくとも一部上に延在する、請求項17に記載の管アセンブリ。
【請求項19】
前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記溶接床によって境界を定められたテーパ状溶接凹部を含み、
前記テーパ状溶接凹部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記床部開口から前記第1及び第2の管の内径部に近接する前記床部底までテーパ状になっている、請求項12に記載の管アセンブリ。
【請求項20】
前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記溶接床によって境界を定められたテーパ状溶接凹部を含み、
前記テーパ状溶接凹部は、前記第1及び第2の管の内径部に近接する前記床部開口から前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記床部底までテーパ状になっている、請求項12に記載の管アセンブリ。
【請求項21】
前記溶接溶融領域は、
前記溶接溶融領域に沿って延在する溶接床天井部と、
対応する第1または第2の管の基材に沿って延在する溶接床フロア部と、を含む、請求項12に記載の管アセンブリ。
【請求項22】
前記段階的な溶接境界部を含む前記溶接床は、前記溶接溶融領域と前記基材との間に積層されている、請求項12に記載の管アセンブリ。
【請求項23】
前記溶接溶融領域は、自生溶接または溶接充填材および再固化された基材のうちの1つ以上を含む、請求項12に記載の管アセンブリ。
【請求項24】
請求項12に記載の管アセンブリを含む供給パイプライン。
【請求項25】
管アセンブリであって、
それぞれの端部で結合するように構成された少なくとも第1の管および第2の管であって、
所定の機械的特性を有する基材と、
前記それぞれの端部における溶接境界部であって、前記第1および第2の管の内径部および外径部に近接し、それらの間に延在する溶接境界セグメントを含む、前記溶接境界部と、をそれぞれ含む前記少なくとも第1の管および第2の管と、
前記第1および第2の管の各々の基材を結合する溶接アセンブリであって、該溶接アセンブリは、少なくとも前記溶接境界セグメントを含み、溶接された形態および加工硬化された形態を有する、前記溶接アセンブリと、を備え、
前記溶接された形態では、前記それぞれの端部に近接する前記第1及び第2の管は、前記第1及び第2の管の全体輪郭に対して異なる端部輪郭を有し、
前記加工硬化された形態では、前記端部輪郭を有する前記第1及び第2の管の各々の端部は、前記溶接された形態に対して変形され、少なくとも前記溶接境界セグメント、及び前記溶接境界部に近接する前記第1及び第2の管は、前記変形に基づいて加工硬化され、
前記溶接アセンブリは、前記溶接境界セグメント間に溶接溶融領域を含み、
前記溶接境界セグメント、前記溶接溶融領域、ならびに前記溶接境界部に近接する前記第1及び第2の管の各々が、前記変形に基づいて加工硬化され、
前記溶接された形態における前記それぞれの端部に近接した第1および第2の管の端部輪郭は、前記第1及び第2の管の全体輪郭よりも大きく、
前記端部輪郭を有する前記第1及び第2の管の各々の端部は、前記加工硬化された形態において前記溶接された形態に対して変形されて、前記第1及び第2の管の全体輪郭に一致する、管アセンブリ。
【請求項26】
前記溶接境界セグメントは、前記第1及び第2の管の外径部の近傍から内径部の近傍まで連続的に加工硬化される、請求項25に記載の管アセンブリ。
【請求項27】
前記所定の機械的特性は、所定の強度を含み、
前記加工硬化された形態における前記溶接アセンブリは、少なくとも前記溶接境界セグメントを含み、前記基材の所定の強度に近い加工硬化された強度を有する、請求項25に記載の管アセンブリ。
【請求項28】
前記溶接溶融領域は、自生溶接または溶接充填材および再固化された基材のうちの1つ以上を含む、請求項25に記載の管アセンブリ。
【請求項29】
前記溶接溶融領域は、
前記外径部と前記内径部との間の溶接境界部に沿って延在するベース溶接部と、
記第1及び第2の管の一部分の上方において前記溶接境界部に隣接して延在する溶接スカート部と、を含む、請求項28に記載の管アセンブリ。
【請求項30】
前記溶接スカート部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記溶接境界部の少なくとも一部分上に延在する、請求項29に記載の管アセンブリ。
【請求項31】
少なくとも第1の管および第2の管を結合する方法であって、
基材を有する第1及び第2の管を溶接することであって、
該溶接することは、前記第1及び第2の管の各々の端部の溶接境界部によって境界を定められた溶接凹部を溶接溶融領域で少なくとも満たすこと、を含み、前記溶接境界部は、前記第1および第2の管の内径部および外径部に近接し、それらの間に延在する溶接境界セグメントを含み
前記溶接凹部内の溶接溶融領域は、前記第1及び第2の管の溶接境界部の各々における局所的な熱作用領域に近接している、前記溶接すること、
少なくとも前記溶接溶融領域及び前記溶接境界部の局所的な熱作用領域を含む溶接アセンブリを加工硬化することであって、該溶接アセンブリを加工硬化することは、
少なくとも前記溶接凹部内の前記溶接溶融領域を変形させること、
少なくとも前記溶接凹部内の前記溶接溶融領域の変形に伴って前記局所的な熱作用領域の各々を変形させること、を含み、前記溶接溶融領域及びと局所的な熱作用領域の各々の変形は同時に実行される、前記溶接アセンブリを加工硬化すること、を備え、
前記溶接境界セグメントは、前記内径部の近傍から前記外径部の近傍まで横方向に延在する溶接床に含まれ、
前記溶接床は、
前記溶接溶融領域に沿って延在する溶接床天井部と、
対応する第1または第2の管の基材に沿って延在する溶接床フロア部と、を含む、方法。
【請求項32】
前記局所的な熱作用領域の各々を変形させることは、
前記局所的な熱作用領域上にある前記溶接溶融領域を変形させること、を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記局所的な熱作用領域は、前記溶接溶融領域と前記第1及び第2の管の基材との間にあり、
前記局所的な熱作用領域の各々を変形させることは、
前記溶接溶融領域を前記局所的な熱作用領域に向かって変形させること、を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記溶接溶融領域および前記局所的な熱作用領域を加工硬化することは、
前記第1及び第2の管の内径部に沿って前記第1及び第2の管の基材を支持すること、を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記溶接溶融領域および前記溶接境界部の局所的な熱作用領域を加工硬化することは、
前記溶接溶融領域および前記局所的な熱作用領域を前記外径部の近傍から前記内径部の近傍まで連続的に加工硬化すること、を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記溶接溶融領域および前記溶接境界部の局所的な熱作用領域を加工硬化することは、
前記溶接溶融領域および前記局所的な熱作用領域を前記外径部から前記内径部まで連続的に加工硬化すること、を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
記溶接アセンブリを加工硬化することは、
前記溶接アセンブリを前記基材の所定の強度に近い加工硬化された強度に加工硬化すること、を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記第1及び第2の管の各々の端部の溶接境界部を、前記外径部の近傍から前記内径部の近傍に向かって細くすることを備え、
前記溶接凹部は、前記溶接境界部の先細りに対応するテーパ状溶接凹部を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも溶接凹部を満たすことは、
前記テーパ状溶接凹部を前記溶接溶融領域のベース溶接部で満たすこと、
前記溶接溶融領域のベース溶接部、および前記外径部に近接した前記第1及び第2の管の一部分を前記溶接溶融領域の溶接スカート部で覆うこと、を含む、請求項38に記載された方法。
【請求項40】
少なくとも前記溶接凹部内の前記溶接溶融領域を変形させることは、
前記ベース溶接部および前記溶接スカート部を変形させること、を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記溶接スカート部は、前記第1及び第2の管の外径部上に所定の高さで延在しており、
前記ベース溶接部および前記溶接スカート部を変形させることは、
前記溶接スカートを、前記所定の高さから前記外径部に対して平坦な構成に変形させること、を含み、
前記溶接スカート部を、前記所定の高さから前記平坦な構成に変形させることは、
前記溶接溶融領域および前記局所的な熱作用領域を含む前記溶接アセンブリの強度を、前記第1及び第2の管の基材の所定の強度に近い加工硬化された強度に増加させる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記溶接スカート部を、前記所定の高さを有する平坦な構成に成形すること、を備える請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1及び第2の管の全体輪郭に対して前記第1及び第2の管の各々の端部の端部輪郭を変化させること、を備える請求項31に記載の方法。
【請求項44】
前記溶接アセンブリを加工硬化することは、
各端部の変化した端部輪郭に対して前記第1及び第2の管の端部輪郭を変形させること、を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記端部輪郭を変化させることは、
前記全体輪郭に対して前記端部輪郭を圧縮または拡張すること、を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
供給パイプラインアセンブリであって、
被覆管を貫通する内部通路を含む被覆管と、
前記内部通路内の複数の管アセンブリであって、それぞれの端部で結合するように構成された少なくとも第1の管および第2の管をそれぞれ含む前記複数の管アセンブリと、
前記第1及び第2の管の各々の基材を結合する加工硬化された溶接アセンブリであって、
前記第1の管および第2の管の溶接境界部間の溶接溶融領域であって、前記第1及び第の管の内径部と外径部との間に延びる前記溶接溶融領域と、
前記第1及び第2の管の溶接境界部と、を含む、前記溶接アセンブリと、を備え、
前記溶接境界部は、前記第1および第2の管の内径部および外径部に近接し、それらの間に延在する溶接境界セグメントを含み、
前記溶接境界部は、対応する前記第1または第2の管の前記溶接溶融領域と基材との間に積層体として積層され、
前記溶接溶融領域は、加工硬化され、前記第1及び第2の管の少なくとも溶接境界部は、前記加工硬化された溶接溶融領域と、前記第1及び第2の管の基材との間で加工硬化され、
前記加工硬化は、前記積層体と交差
前記溶接境界セグメントは、前記内径部の近傍から前記外径部の近傍まで横方向に延在する溶接床に含まれ、
前記溶接床は、
前記溶接溶融領域に沿って延在する溶接床天井部と、
対応する第1または第2の管の基材に沿って延在する溶接床フロア部と、を含む、供給パイプラインアセンブリ。
【請求項47】
前記複数の管アセンブリは、複数のフローライン、複数の油圧制御ライン、複数の注入化学ライン、複数の電力またはデータラインなどのうちの1つ以上を含む、請求項46に記載の供給パイプラインアセンブリ。
【請求項48】
少なくとも前記溶接溶融領域及び前記溶接境界部を含む前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記基材の所定の機械的特性に近い加工硬化機械的特性を含む、請求項46に記載の供給パイプラインアセンブリ。
【請求項49】
前記加工硬化された溶接アセンブリおよび前記基材の各々は、少なくとも90000psiの降伏強度を有する、請求項46に記載の供給パイプラインアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文献は、限定することを目的とするものではないが、概して、パイプ及び管などの金属構成要素と、それらの間の接続とに関する。
【背景技術】
【0002】
著作権に関する通知
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【0003】
高強度管又はパイプなど(例えば、金属構成要素)は、降伏強度、極限(引張り)強度及び高疲労寿命などを含むそれらの強度により、様々な用途で使用される。さらに、一部の用途では、管又はパイプなどは、海底若しくは地下環境、鉱業又はガス若しくはオイル産出などを含む腐食しやすい状況で使用される。一部の例では、ステンレス鋼及びニッケル合金などの金属構成要素は、これらの環境で使用するのに適しており、また予備処理された場合に高強度構成要素を形成する。
【0004】
一部の例では、金属構成要素は、構成要素を結合して、他の構成要素を閉じ込めるか又はより大きいアセンブリを形成するために溶接される。例として、溶接は、構成要素を溶融させ、結合するために熱源を使用する。構成要素は、溶融し、次いで例えば溶加金属と結合される。溶接されたアセンブリの一例として、海底油田及びガス産出で使用される供給パイプラインがある。供給パイプラインは、球状溶接によって接続され、他の構成要素と共に螺旋に巻かれるか又は束ねられて、ジャケットに収容される覆い付き連続ユニットを形成する管状セグメントを含み、水中環境にある1つ又は複数の機器まで延びる。供給パイプラインは、機器との間で流体、電力、情報(例えば、命令又はデータストリームなど)の1つ又は複数をやりとりする。
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、とりわけ、解決すべき問題が、溶接部に近い基材(例えば、ステンレス鋼又はニッケル系合金など)の局所加熱(焼鈍)により、溶接された構成要素の強度の低下及び対応する弱点を最小化することを含むことを認識した。一部の例では、様々な用途で使用される金属構成要素は、それらに限定するものではないが、降伏強度、極限(引張り)強度、硬度及び疲労寿命の1つ又は複数を含む特定の機械的特性を得るために予備処理(例えば、熱処理及び冷間加工など)される。さらに、これらの構成要素は、高い強度をもたらす一方、同時に、適切な引張り応力がかかった場合に特定の輪郭及び形状を形成するために延性を維持するように予備処理される。
【0006】
金属構成要素の予備処理技術の一例として、加工硬化(例えば、冷間加工又は冷間圧延)がある。加工硬化では、薄板などの金属構成要素は、塑性変形し、それにより(例えば、降伏強度、極限強度、硬度又は疲労寿命などの1つ又は複数を含む)材料強度が高くなる。
【0007】
さらに、基材(ステンレス鋼又はニッケル系合金など)の溶融を含む構成要素の溶接により、溶接部に近い基材が焼鈍され、アセンブリにおいて、基材の残りの部分と比較して相対的に脆弱な領域が生じる。より脆弱な領域は、アズキャスト溶接構造(as-cast weld structure)と、基材が部分的に焼鈍された形態である局所的な熱作用領域(HAZ : heat affected zone)との両方を含み、これらの両方では、基材の強度(例えば、1つ又は複数の降伏若しくは極限強度、硬度又は疲労寿命など)が不足する。溶接部及びHAZは、(例えば、外面の近くから内面の近くまで又は外径部から内径部まで)構成要素を貫通するため、溶接アセンブリ、例えば(例えば、溶接充填材又は再固化された溶接キャスト、アズキャスト、リキャスト(re-cast)基材などの1つ又は複数を含む)溶接溶融領域の加工硬化は、基材の元の強度に近似した溶接アセンブリ全体の強度を一貫して高めるほど十分にHAZの材料構造を改質しない。したがって、構成要素(例えば、管又はパイプなど)の基材と比較してHAZの強度が低いため、疲労しやすい脆弱領域が形成される。
【0008】
本主題は、溶接アセンブリを構築し、且つ加工硬化させることなどにより、構成要素間のより高い強度の接続を提供する一貫した予測可能な方法でこの問題に対する解決策を提供することを可能とする。本明細書で説明するように、溶接アセンブリは、それらに限定するものではないが、降伏強度、極限(引張り)強度、硬度又は疲労寿命などの1つ又は複数を含む、基材の対応する機械的特性に近似した(例えば、特定の降伏強度に一致するか、又は特定の降伏強度に対して55.16MPa(8000psi)以下以内の)機械的特性を含む。一例では、本明細書で説明する溶接アセンブリは、例えば、ニッケル合金を含む基材を用いて620.53MPa(90,000psi)以上の降伏強度をもたらす。
【0009】
一例では、溶接アセンブリは、管アセンブリの構成要素であり、且つそれぞれの端部で連結するように構成された少なくとも第1の管及び第2の管を含む。第1及び第2の管のそれぞれは、特定の強度を有する基材と、それぞれの端部の溶接境界部とを含む。管が溶融されて溶接アセンブリになると、溶接境界部は、本明細書で説明するように焼鈍される。溶接溶融領域(例えば、溶接充填材又は再固化された溶接キャスト、アズキャスト、リキャスト基材などの1つ又は複数)を含む溶接アセンブリが構築され、溶接溶融領域及びHAZを含む溶接境界部のそれぞれは、例えば、上面と下面との間又は外径と内径との間などで加工硬化されて、溶接アセンブリの全体強度を一貫して且つ予測可能に高める。
【0010】
一例では、溶接境界部は、床部底(例えば、内径部に近い溶接底)から床部開口(例えば、外径部に近い溶接開口)まで横に広がる溶接床に形成される。溶接床によって形成された凹部は、溶接溶融領域(例えば、再固化する溶融溶接充填材の有無にかかわらず溶融基材)で占められる。HAZは、溶接溶融領域によって引き起こされる基材の焼鈍を通じて溶接境界部に形成される。この例では、HAZ及び溶接境界部は、溶接溶融領域より相対的に下の位置にHAZを配置するように成形される。溶接溶融領域は、加工硬化され、且つ焼鈍された溶接境界部(例えば、HAZ)の方向に塑性変形される。塑性変形された溶接溶融領域は、加工硬化により、成形された(例えば、横に成形された)溶接境界部に押しやられ、境界部は、相応して、床部底と床部開口との間で加工硬化される。溶接溶融領域は、(溶接境界部を含む)横に広がる溶接床の上に設けられる一方、基材を含む構成要素の非焼鈍部分は、溶接床の下にある。基材(及び任意選択でマンドレル又は支持プレート)は、加工硬化中に溶接床を支持し、溶接溶融領域の加工硬化は、溶接溶融領域を通して且つ溶接床に延びる1つ又は複数の進路に沿って伝わる。垂直な又は急勾配の溶接境界部とは対照的に、成形された溶接境界部は、溶接溶融領域の下にHAZを配置し、且つしたがって上にある溶接溶融領域の(例えば、加工硬化に使用される進路に沿った)加工硬化を通じてHAZを塑性変形させる。それにより、HAZの上側部分の下のHAZの下側部分を孤立させるHAZの垂直な又は急勾配の方向付けが最小化され、代わりに、同様に成形された横方向のHAZを含む成形された溶接境界部が一貫して且つ確実に加工硬化される。
【0011】
別の例では、第1及び第2の管などの構成要素は、第1及び第2の管の残りの部分の全体輪郭と異なる端部輪郭を有する。この溶接構造では、第1及び第2の管は、端部輪郭を有するそれらのそれぞれの端部で溶接溶融領域(例えば、溶接充填材又は再固化された溶接キャスト、アズキャスト、リキャスト基材などの1つ又は複数)によって結合される。次いで、溶接溶融領域と、溶接によって形成される焼鈍された溶接境界部と、(例えば、端部輪郭を有する)境界部に近い第1及び第2の管とを含む溶接アセンブリは、管の変形を通じて加工硬化される。構成要素の変形は、端部輪郭が管の残りの部分の全体輪郭と合致するまで、この端部輪郭を有するそれぞれの端部を変形させる(例えば、拡張した輪郭から特定の管輪郭に変形させる)ことを含む。各端部、溶接境界部及び溶接溶融領域のそれぞれの変形により、溶接アセンブリが加工硬化される。
【0012】
本明細書に提示される例のそれぞれにおいて、溶接アセンブリは、加工硬化されて、1つ又は複数の高強度構成要素間の高い強度の接続を提供する。したがって、特定の延性を維持しながら、それらに限定するものではないが、降伏強度、極限強度、硬度又は疲労寿命の1つ又は複数を含む、一貫した且つ予測可能な機械的特性の組を有する供給パイプライン又はワークストリング(work strings)などのアセンブリが組み立てられる。例えば、本明細書で説明する加工硬化された溶接アセンブリ及び加工硬化技術は、加工硬化された基材の強度に近似した(例えば、焼鈍した加工硬化基材と非焼鈍の加工硬化基材との間の約206.84MPa(30,000psi)以上の降伏強度のばらつきとは対照的に、6.89MPa(1000psi)以下、13.79Pa(2000psi)以下、27.58MPa(4000psi)以下、55.16MPa(8000psi)以下の降伏強度以内の)強度を有する溶接部を提供する。
【0013】
この概要は、本特許出願の特定事項の概要を提供することを意図している。本開示の排他的または網羅的な説明を提供することを意図するものではない。詳細な説明は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
必ずしも一定の縮尺で描かれていない図面において、同様の符号は異なる図において同様の構成要素を説明することがある。異なる文字の接尾辞を有する類似の符号は、類似の構成要素の異なる事例が表され得る。図面は、概して、例として、しかし限定としてではなく、本明細書で説明されている様々な実施形態を示している。
図1】複数の管アセンブリを有する供給パイプラインを含む海底油田又は天然ガスリグの一例の概略図である。
図2図1の供給パイプラインの断面図である。
図3】複数の溶接された接続部を含む管アセンブリの一例の側面図である。
図4A図3の管アセンブリのための溶接アセンブリの一例の詳細断面図である。
図4B】加工硬化した構造を有する、図3の管アセンブリのための溶接アセンブリの別の例の詳細断面図である。
図5A】J字形状を有する管の端部輪郭の一例の詳細断面図である。
図5B】V字形状を有する管の端部輪郭の別の例の詳細断面図である。
図5C】U字形状を有する管の端部輪郭の別の例の詳細断面図である。
図5D】正方形形状を有する管の端部輪郭の別の例の詳細断面図である。
図6】先細りの溶接凹部を形成する、図5Aに示す端部輪郭を有する管アセンブリの詳細断面図である。
図7A-1】先細り溶接凹部内に溶接溶融領域を有する、図6の管アセンブリの詳細断面図である。
図7A-2】先細り溶接凹部内に溶接溶融領域を有する、図6の管アセンブリの詳細断面図である。
図7B】管の成形した端部の近くの構成要素管の部分の上に溶接スカート部を形成する溶接溶融領域を有する、図7A−2の管アセンブリの詳細断面図である。
図8】加工硬化前の成形した溶接スカート部を含む、図7Bの管アセンブリの詳細断面図である。
図9】加工硬化した構造の別の例の溶接アセンブリを含む、図8の管アセンブリの詳細断面図である。
図10A-F】溶接アセンブリを形成する段階の管アセンブリの別の例の断面図である。
図11】少なくとも第1及び第2の管を接続する方法の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
業界は、高強度の管若しくはパイプ又は管製品(例えば、本明細書に提示する管アセンブリ)などを求めている。一部の例では、溶接された接続部(例えば、溶接アセンブリ)の強度(例えば、製品の降伏強度)を高めるために製造時に製品が冷間加工(又は加工硬化)される。本明細書に提示する技術及び例は、完全に加工硬化した溶接溶融領域、溶接境界部(例えば、溶接時に形成される従来の熱作用領域)を有する強化された溶接アセンブリを実現する。一部の例では、溶接アセンブリは、構成要素管の基材の(降伏強度などの)特定の特性に近似した降伏強度などの機械的特性を有する。別の例では、本明細書に含まれる技術及び例は、特定の延性(伸度)及び(強度の)均一性を維持しながら、制御され且つ予測可能な降伏強度をもたらす。さらに、本明細書に提示される技術及び例はまた、制御され且つ予測可能な硬度と、極限強度(引張り強度)と、疲労寿命(例えば、耐久性限界)などの関連する特性とをもたらす。
【0016】
本明細書で説明する製品及び方法は、一貫して且つ予測可能に加工硬化する(例えば、冷間加工されるか又は冷間圧延されるなど)溶接接続部と、基材の対応する局所領域とを含む。これらの強度を改善された溶接接続部を含む製品(例えば、管又はパイプなど)は、過酷な環境及び条件での製品の使用(例えば、海底の石油及び天然ガスの産出及び採掘、鉱業、坑底掘削を含む掘削、流体移送及び貯蔵、ワークストリング、ベロシティストリング、細管、密閉型ワイヤ管、ケーシング、オイル及びガス産出管、マニュファクチャリング、潜水車両、車両又は宇宙空間及び大気中車両など)を容易にする(一部の例では少なくとも620.53MPa(90,000psi)の)降伏強度を含む、高められた強度を有する。本明細書で説明する溶接方法及び加工硬化した溶接部は、高い強度を有する溶接接続部と、溶接部との局所的な基材境界部とをもたらす。通常であれば溶接接続部の強度が限定される製品において、独自のプロセスを用いて一貫した大幅な強度の回復が達成される。
【0017】
一部の例において、本明細書で説明する方法は、降伏強度、極限(引張り)強度、硬度及び疲労寿命などの特定の機械的特性を得る(例えば、高める)ために、それに限定するものではないが、製造時に冷間加工される(又は加工硬化する)材料を含む様々な基材と併用される。例示的な材料には、それらに限定するものではないが、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、ニッケル系合金、銅及び銅合金、ベリリウム及びベリリウム合金並びにチタン及びチタン合金がある。例示的なステンレス鋼には、混粒鋼(例えば、S32205)及びスーパー混粒鋼(super duplex steels)(例えば、サンドビックインテレクチャルプロパティAB社(SandvikIntellectual Property AB Corporation)の登録商標であるS32750若しくはSAF2507(登録商標)又はウェアエンジニアリングサービシーズ社(Weir Engineering Services Limited Co.)の登録商標であるゼロン(Zeron)(登録商標)100)がある。例示的なニッケル系合金には、N06625、N08825、ヘインズインターナショナル社(Haynes International, Inc.)の登録商標であるハステロイ(Hastelloy)(登録商標)、ハンティングトンアロイ社(Huntington Alloys Corporation)の登録商標であるインコロイ(Incoloy)(登録商標)及びインコネル(Inconel)(登録商標)がある。
【0018】
図1は、海中環境で使用する産出システム(production system)100の一例を示す。示すように、産出システム100は、供給パイプライン106によって設置船102に接続された複数の海中産出装置104を含む。一例では、産出システム100は、例えば、海底一面に分散したパターンの海中産出装置104を含む。図1に示すように、様々な海中産出装置104は、垂直終端供給パイプライン(vertically terminating umbilical)106から離れる方向に展開し、したがって海底に沿って位置する1つ又は複数の水平供給パイプライン106によって垂直終端供給パイプライン106から展開する。
【0019】
一部の例では、海中産出装置104は、それらに限定するものではないが、供給パイプライン終端アセンブリ、海中分散ユニット、海中制御モジュール、プロダクションツリー、電気フライングリード又は油圧フライングリードなどを含む。示すように、装置104は、設置船102から離れて分散している。各装置は、それらに限定するものではないが、水、メタノール、坑井流体、圧縮ガスなどの流体、電気、油圧流体を含む1つ又は複数のユーティリティ、並びに装置を観測及び操作するためのケーブル又はワイヤなどの1つ又は複数を必要とする。他の例では、産出装置104は、天然ガス又はオイルなどの産出流体を取り込み、例えば貯蔵又は他の装置、船若しくはリグなどへの移送のために、これらの流体を供給パイプライン106に通し、流通管に沿って設置船102に配達するように構成される。
【0020】
図1を再度参照すると、設置船102から海底に延び、海底一面にわたって1つ又は複数の海中産出装置104まで延びる複数の供給パイプライン106が示されている。設置船102から海底に、さらに海底一面に数珠つなぎになった供給パイプライン106は、強化された機械的特性、例えば極限(引張り)強度、硬度、疲労寿命又は降伏強度などの1つ又は複数を有する。例えば、一例では、設置船102から海底一面に延びる供給パイプライン106は、船102からの展開及び吊下げ時の供給パイプライン106の重量又は海水圧などによって生じる大きい引張り応力又は圧縮応力などを受ける。一例では、供給パイプライン106は、620.53MPa(90,000psi)以上の降伏強度を有するように仕様を定められる。さらに、他の例では、供給パイプライン106は、腐食及び高圧環境で使用され、これらの環境での供給パイプライン106の長期間の使用を容易にするために、供給パイプライン106の材料への1つ又は複数の添加物又は成分などを必要とする。一例では、供給パイプライン106は、海中環境、高温環境又はそれらの組み合わせを含む1つ又は複数の環境内での高強度及び耐食性を付与するように構成されたニッケル又はニッケル合金などを含む。
【0021】
さらに、ニッケル合金は、供給パイプライン106に含まれる場合、材料の強度を高める一方、同時に、ニッケルなどの1つ又は複数の合金添加物によって付与された耐食性を維持するように1つ又は複数の方法、例えば加工硬化によって加工される。加工硬化は、供給パイプライン106の基材、例えば供給パイプラインを構成する被覆管又は構成要素管などの1つ又は複数を塑性変形させる冷間加工又は冷間圧延などの1つ又は複数を含む。一例では、供給パイプラインの1つ又は複数の構成要素管を含む供給パイプラインの基材の冷間加工、冷間圧延(例えば、加工硬化)により、少なくとも620.53MPa(90,000psi)以上の降伏強度を有するように構成された高強度構成要素又は高強度構成要素の一部分が得られる。構成要素管の基材の加工硬化は、機械的特性を強化するが、供給パイプライン106の重量を不利益に増大させる(したがって重量の増大による応力をもたらす)肉厚などの増大を最小限にしながら、強化された機械的特性を構成要素管に付与する。
【0022】
図2は、供給パイプライン106の一例を断面図で示す。示すように、供給パイプライン106は、管アセンブリ200などの複数の管を含む。管アセンブリ200の各構成要素管は、例えば、海中産出装置104の1つ若しくは複数に1つ若しくは複数のユーティリティを供給するか、又は例えば図2に示す中心管200Aなどの流通管に沿った流体、例えば産出流体の海底からの戻りを容易にするように構成される。別の例では、管アセンブリ200は、水、化学物質又は油圧流体などの1つ又は複数の流体型ユーティリティを、海底に設けられた産出装置104の1つ又は複数に供給するように構成された構成要素管200Bなどの1つ又は複数の投入管を含む。別の例では、構成要素管200Bは、例えば、天然ガス又はオイルなどの1つ又は複数の産出流体の産出を開始するために、1つ又は複数の化学物質又は水等の流体などを海底面の下に供給するように構成される。別の例では、供給パイプライン106の管アセンブリ200は、海底に沿って設けられた産出装置104の1つ又は複数との間で油圧流体の様々な流れを行き来させるように構成された1つ又は複数の油圧制御管200C(同じく構成要素管)を含む。
【0023】
図2に示すように、例示的な供給パイプライン106は、様々なユーティリティの複数の単独流れを1つ又は複数の産出装置に供給するように構成された1つ又は複数の様々な管を複数含む。したがって、一部の例では、供給パイプライン106は、管アセンブリ200に複数の管を含み、これらの構成要素管は、約9.525mm(3/8インチ)〜304.8mm(12インチ)又はそれを超える直径を有することができる。さらに別の例では、例示的な供給パイプライン106は、それに限定するものではないが、電力を含む1つ若しくは複数の他のユーティリティを配達するように構成された管などの1つ若しくは複数の導管、又は(図1に示す)設置船102と海底に沿って設けられた1つ若しくは複数の産出装置104との間の観測及び制御用ワイヤ若しくは(構造的な支持ケーブルを含む)ケーブルなどを含む。任意選択で、1つ又は複数の海底への展開又は設置船102からの吊り下げ時、引張り強度を高めるなど、供給パイプライン106を構造的に支持するためにさらなる構成要素導管(例えば、管)が供給パイプラインに組み込まれる。したがって、一部の例では、例示的な供給パイプライン106は、アセンブリ200に組み込まれた複数の管によって頑強になる。さらに、流通管200Aなどの1つ又は複数の流通管を含む例示的な供給パイプライン106では、供給パイプラインは、それらに限定するものではないが、天然ガス又は原油などを含む産出流体の流れを海上の船102、リグ又は他の貯蔵若しくは処理場に適応させるためにさらに拡大される。
【0024】
図2にさらに示すように、一例では、1つ又は複数の被覆管(sheath)を有する供給パイプライン106が形成される。図2に示す例では、供給パイプライン106は、内側被覆管206及び外側被覆管204を含む。アーマジャケット(armor jacket)208は、任意選択で内側被覆管206と外側被覆管204との間に設けられる。内側被覆管206及び外側被覆管204並びにアーマジャケット208は、本明細書ですでに説明し、図示した構成要素管200A、200B、200Cを含む管アセンブリ200を囲んで保護する。一例では、アーマジャケット208は、鋼、ケブラー(Kevlar)(E.Iデュポンデヌムールアンドカンパニー社(E. I. Du Pont De Nemours and Company Corporation)の登録商標)又は光ファイバケーブル、電気ケーブル、ワイヤなどの繊細な構成要素を含む供給パイプライン106内の構成要素を保護し、1つ又は複数の流体型ユーティリティ用ライン管200B又は流れライン管200Aを損傷、例えば他の供給パイプラインとの衝突又は摩擦などから保護するように構成された他の構造的に頑強な材料を含む。
【0025】
さらに、一部の例では、供給パイプライン106は、それに限定するものではないが、供給パイプラインの様々な構成要素、例えば管アセンブリ200の様々な構成要素管(例えば、流体流通管、ワイヤ及びケーブル管又は構造的支持管など)と、流通管200Aなどの管を囲む様々な構成要素(例えば、管又は層など)との間の1つ又は複数の間隙空間を含む供給パイプライン空洞202を含む。一例では、管アセンブリ200の構成要素管を互いにロックするためにテープ、発泡体又は接着剤などが用いられる。さらに別の例では、それらに限定するものではないが、管200A、200B、200Cを含む管アセンブリ200の構成要素管は、管を互いに抱き合わせるために螺旋状に巻き付けられる。この場合、構成要素管200A、200B、200Cは、供給パイプライン106を形成するために1つ又は複数の被覆管206、204又はアーマジャケット208などの内部に配置される。
【0026】
管アセンブリ200を含む供給パイプラインで使用される材料には、それらに限定するものではないが、ステンレス鋼316L、二相ステンレス鋼、スーパー二相ステンレス鋼、ハイパー二相ステンレス鋼などのステンレス鋼、亜鉛被覆ナイトロニック19D又はニッケル合金などがある。例えば、管アセンブリ200に示す1つ又は複数の管並びにワイヤと、ケーブルと、鋼ケーブル、支持管、カーボンファイバロッド、1つ又は複数の被覆管204、206及びアーマジャケット208(例えば、ケブラー製アーマジャケットなど)などの構造的構成要素との1つ又は複数を供給パイプライン106に含めることで、例えば単位長さ当たりの供給パイプライン106の重量が増大する。供給パイプライン106は、図1に示すように、少なくとも設置時及び一部の例では産出時に(図1に示す垂直に吊された供給パイプライン106と同様に)設置船102から吊される。一部の例では、供給パイプライン106は、海底まで、例えば図1に示す1つ又は複数の海中産出装置104まで数千フィート延び、任意選択でさらなる装置104まで海底一面に延びる。したがって、供給パイプライン106は、設置船102から吊されたときに供給パイプライン106に作用する張力並びに例えば海底に沿った高圧(圧縮力)、高温又は腐食環境などの1つ又は複数に耐えるために、強化された機械的特性を有する。
【0027】
これらの力、圧力及び環境条件に耐えるために、例えば、図1で使用され、図1に示す供給パイプライン106は、例えば、約620.53MPa(90,000psi)以上の降伏強度を含む1つ又は複数の強化された機械的特性を含む。本明細書ですでに説明したように、少なくとも一部の例では、上記の材料(例えば、ステンレス鋼、二相ステンレス鋼、スーパー二相ステンレス鋼、ハイパー二相ステンレス鋼及びニッケル合金など)は、これらの材料の強度を高めるために、したがって数千フィート、例えば1219m(4,000フィート)、1524m(5,000フィート)、1829m(6,000フィート)、2134m(7,000フィート)、2438m(8,000フィート)又はそれを超える設置船102からの重い供給パイプライン106の吊下げを容易にするために加工硬化する。したがって、本明細書で説明した供給パイプライン106は、吊された場合、供給パイプラインの自重を受けて破断、割れ又は変形などを起こすことなく、設置船102から吊された状態を維持するための十分な構造的完全性を含む。
【0028】
図3は、構成要素アセンブリ300、例えば第1の構成要素302、第2の構成要素304及び1つ又は複数の補足要素306(例えば、管)などの複数の構成要素を含む管アセンブリの一例を示す。示すように、各構成要素302、304、306は、例えば、構成要素間に設けられた1つ又は複数の溶接アセンブリ310を用いて端と端とを繋げた方式で連結される。図3にさらに示すように、各構成要素は、各溶接アセンブリ310に近接して設けられたそれぞれの構成要素端部308を含む。
【0029】
図3にさらに示すように、第1の構成要素302、第2の構成要素304及び補足構成要素306間に設けられた溶接アセンブリ310は、各構成要素を相互接続し、したがって構成要素アセンブリ300を形成するように構成要素を結合する。図1及び図2に示す供給パイプライン106などの供給パイプラインは、例えば、管アセンブリ200の構成要素管ごとに端と端とを繋げた方式で連結された管302、304、306などの複数の構成要素を含む。換言すれば、一例では、管アセンブリ200で使用される複数の管及び供給パイプライン106の他の構成要素は、その間に設けられた溶接アセンブリ310を用いてそれぞれが互いに結合された、第1の構成要素302、第2の構成要素304及び補足構成要素306などの端と端とを繋げた構成要素である。図1を参照すると、一部の例では、設置船102から海底に延び、1つ又は複数の海中産出装置104のそれぞれまで海底一面に延びる供給パイプライン106は、互いに並列及び直列配置の相互接続された第1の構成要素302、第2の構成要素304及び補足構成要素306などの数千の個々の構成要素を含む。例えば、並列配置の構成要素は、例えば、図2の供給パイプライン106の断面で示すように1つ又は複数の構成要素管を含む。一方、管アセンブリ200の各構成要素管200A、200B、200Cは、例えば、図3に示す介在溶接アセンブリ310を用いて、例えば端部間で溶接された数百又は数千の構成要素管などの複数の構成要素を含む。
【0030】
図4Aは、任意選択で、図3の溶接アセンブリ310として使用される例示的な溶接アセンブリ310Aの詳細断面図を示す。図4Aに示す例では、溶接アセンブリ310Aは、それぞれの構成要素端部308で第1の構成要素302と第2の構成要素304とを結合する溶接溶融領域406を含む。すでに説明したように、一例では、第1の構成要素302及び第2の構成要素304などの構成要素は、それらに限定するものではないが、極限又は引張り強度、降伏強度、硬度又は疲労寿命などを含む機械的特性を強化された基材を用いて形成される。
【0031】
再度図4Aを参照すると、第1の構成要素302及び第2の構成要素304のそれぞれの構成要素端部308間の溶接凹部408内に配置された溶接溶融領域406を有する溶接アセンブリ310Aが示されている。溶接溶融領域406は、第1の構成要素302及び第2の構成要素304のそれぞれの管外面404と管内面402との間において、第1の構成要素302及び第2の構成要素304に、例えば構成要素の側壁400の厚さに近い厚さで付加される。示すように、溶接溶融領域406は、溶接充填材又は再固化した基材などの1つ又は複数を含む。溶接溶融領域406は、一部の例では、溶接キャスト、アズキャスト又はリキャストなどとも称される。溶接溶融領域406は、第1の構成要素302及び第2の構成要素304と共に結合される。さらに、図4Aに示すように、溶接境界部410は、溶接溶融領域406と各構成要素302、304の基材の残りの部分との間に形成される。溶接溶融領域406(例えば、溶接充填材及び溶融基材の1つ又は複数を含む溶融金属)が溶接境界部410に沿って高温であることで、溶接溶融領域406に近接した構成要素302、304の(溶融しないが隣接する)基材が焼鈍される。例えば、図4Aに示すように、一例では、溶接境界部410は、熱作用領域である。熱作用領域(HAZ)は、各構成要素302、304の基材の残りの部分と比較して劣化した1つ又は複数の機械的特性を有する。例えば、溶接境界部410での降伏強度又は極限引張り強度などは、構成要素の残りの部分の(加工硬化し、焼鈍されていない)基材と比較して206.84MPa(30,000psi)以下の強度を有する。したがって、溶接境界部410は、構成要素アセンブリ300で使用される基材の残りの部分と比較して相対的に脆弱な構成要素アセンブリ300の局所領域を形成する。したがって、例えば、図1に示す設置船102から吊されている間又は海底に沿って配置されている間などに引張り力又は圧縮力などの1つ又は複数が構成要素アセンブリ300に沿ってかかる場合、溶接アセンブリ310Aを含む構成要素アセンブリ300では、1つ又は複数の脆弱領域が破損する。
【0032】
再度図4Aを参照すると、一例では、溶接アセンブリ310Aは、例えば、溶接溶融領域406及び溶接境界部410の一部分を塑性変形させる冷間加工、冷間圧延又はハンマリングなどの1つ又は複数によって加工硬化する。溶接溶融領域406及び溶接境界部410の一部分が塑性変形することで、これらの構成要素の1つ又は複数の強度が高まる。例えば、加えられる力の近くにある溶接溶融領域406を塑性変形させるために、構成要素302、304の、例えば溶接アセンブリ310Aに近接した面の1つ又は複数に沿って圧延機構又はハンマリング機構などがあてがわれる。一例では、溶接溶融領域406の塑性変形は、溶接溶融領域406を加工硬化させ、基本的な溶接溶融領域406と比較して極限強度、降伏強度又は疲労寿命などの機械的特性の1つ又は複数を(加えられた力及び塑性変形に対応して)局所的に強化する。
【0033】
さらに、例えば、外側から加工硬化する場合の管外面404又は内側から加工硬化する場合の管内面402の1つに沿った(溶接溶融領域406とは対照的な)溶接境界部410の加工硬化は、溶接境界部410の一部分の機械的特性を副次的に強化することができる。溶接境界部410は、第1の構成要素302及び第2の構成要素304などの構成要素の基材の残りの部分と実質的に面一であるため、溶接境界部410の変形部は、加工硬化がいずれの箇所で行われたかと、溶接境界部が実際に溶接アセンブリ310Aで塑性変形したかどうかとに応じて、管内面402又は管外面404のいずれかに近接する(及び存在しないこともある)。したがって、溶接境界部410の加工硬化は、外面404又は内面402に局在する一方、例えば、(図4Aに破線で示す)溶接境界セグメント412の少なくとも一部分に沿った溶接境界部410の残りの部分は、熱が作用した又は焼鈍した基材構造のままである。
【0034】
この例では、溶接溶融領域406の両側の(例えば、例において溶接境界セグメント412に対応する)溶接境界部410は、熱作用領域内であり、焼鈍したままであり(しかも強化されず)、その結果、加工硬化手順後も低下したままである1つ又は複数の劣化した機械的特性を有する。例えば、溶接アセンブリ310Aの両側の溶接境界部410は、第1の構成要素302及び第2の構成要素304の基材と比較して206.84MPa(30,000psi)以下の極限強度又は降伏強度などの1つ又は複数を有する。したがって、この例では、溶接溶融領域406は、少なくとも部分的に塑性変形し、第1の構成要素302及び第2の構成要素304の機械的特性に近づき得る機械的特性を含むが、管内面402の近くから管外面404の近くまで広がる各溶接境界部410、例えば溶接境界セグメント412は、これらの他の構成要素の機械的特性よりも劣った機械的特性を有する。したがって、溶接アセンブリ310Aは、破断、破損又は疲労に基づく変形などの1つ又は複数を受けやすい一方、例えば、(加工硬化し、未焼鈍構造の)第1の構成要素302及び第2の構成要素304の基材を含む構成要素アセンブリ300の残りの部分は、溶接アセンブリ310Aと比較して相対的に強い機械的特性を維持する。
【0035】
溶接アセンブリ310Aを含む構成要素アセンブリ300が、図2に示す供給パイプライン106などの別のアセンブリで使用され、そのため、(例えば、設置船102から)展開するか又は吊される場合、大きい引張り応力が供給パイプライン106にかかる。一部の例では、例えば、620.53MPa(90,000psi)以上のこれらの引張り応力は、溶接アセンブリ310Aの1つ又は複数において供給パイプライン106の破損を引き起こすことがある。さらに、(例えば、極端な水深で)海底面に沿って使用される場合、溶接アセンブリ310Aを含む構成要素アセンブリ300は、大きい静水圧(及び対応する応力)を受け、他の例では溶接アセンブリ310Aにおいて破損することがある。一部の例では、側壁400は、機械的特性を強化して、溶接アセンブリ310Aでの脆弱性を相殺するために厚くされる。側壁400の厚化は、構成要素アセンブリ300の質量を大きくし、したがって一例では溶接アセンブリ310Aにおける破損をさらに大きくするさらなる引張り応力を発生させる。
【0036】
図4Bは、例えば、図3の溶接アセンブリ310として使用される別の溶接アセンブリ310Bの断面図を示す。この例では、溶接アセンブリ310Bは、第1の構成要素302及び第2の構成要素304(例えば、第1及び第2の管)などの構成要素の1つ又は複数の部分を含む。第1の構成要素302及び第2の構成要素304は、管端部などの構成要素端部を含み、この構成要素端部は、それらに限定するものではないが、ステンレス鋼316L、二相ステンレス鋼、スーパー二相ステンレス鋼、ハイパー二相ステンレス鋼などのステンレス鋼、亜鉛被覆ナイトロニック19D又はニッケル合金などの1つ又は複数を含む第1の構成要素302及び第2の構成要素304の残りの部分の基材で形成される。すでに説明したように、一例では、第1の構成要素302及び第2の構成要素304は、機械的特性を強化するために、ステンレス鋼と共に使用するように構成された1つ又は複数のプロセスで構築され、次いで処理される。例えば、一例では、第1及び第2の構成要素は、ニッケル合金、ステンレス鋼、二相ステンレス鋼、スーパー二相ステンレス鋼又はハイパー二相ステンレス鋼などの基材で形成される。この場合、基材は、第1の構成要素302及び第2の構成要素304のそれぞれの未加工基材と比較して強化された極限引張り強度、降伏強度、疲労寿命又は硬度などの1つ又は複数を含む強化された機械的特性を与えるため、冷間圧延などの1つ又は複数によって加工硬化する。
【0037】
図4Bにさらに示すように、溶接アセンブリ310Bは、溶接凹部424内に配置された溶接溶融領域420を含む。この例では、溶接凹部424は、例えば、管内面402に近接した凹部底426から広がり、管内面402から第1の構成要素302及び第2の構成要素304のそれぞれの側壁400を横断して外面404の近くまで広がる。図4Bに示すように、管外面において、溶接凹部424は、凹部開口428に向かって広くなっているか、又は凹部開口428に向かって外側に先細りとなっている。図4Aに示す溶接アセンブリ310Aとは対照的に、図4Bに示す溶接アセンブリ310Bは、先細りとなっているか、又は凹部底426から凹部開口428に向かって横に広がる。したがって、第1の構成要素302及び第2の構成要素304のそれぞれの対応する溶接境界部422は、例えば、管内面402に近い凹部底426から、例えば凹部開口428に対応する管外面404の近くまで横に広がる。したがって、付加的な溶接溶融領域420(任意選択で溶接充填材及び溶融基材の複数のパス)が溶接凹部424内に形成されて溶接凹部を占める。
【0038】
さらに、図4Bに破線で示すように、この例では、加工硬化前に、溶接溶融領域420は、第1の構成要素302及び第2の構成要素304のそれぞれの管外面404より上に層状に重なる。例えば、溶接溶融領域420は、凹部底426に対して左右に広がる溶接スカート部423を含む。
【0039】
本明細書で説明したように、加工硬化(例えば、冷間圧延又は冷間加工など)は、溶接溶融領域420を含む溶接アセンブリ310Bに施されて、溶接溶融領域420及び溶接境界部422を加工硬化させ、溶接境界部422は、溶接溶融領域420と、横に広がる溶接境界部422の下にある基材との間に挟まれる。この例では、下にある基材は、側壁400の加工硬化特性を保持し、(例えば、溶接溶融領域420から離間した)基材で形成された部分を含む。
【0040】
再度図4Bを参照すると、示すように、溶接溶融領域420は、例えば、凹部底426から溶接凹部424内に形成され、溶接溶融領域の一部分は、ベース溶接部421を含む。一例では、溶接溶融領域420は、溶接凹部424を占める複数のパスを含み、第1の構成要素302及び第2の構成要素304のそれぞれの溶接境界部422の横部分の上に広がる(例えば、再固化した基材などと混合した溶接充填材の)溶接スカート部423を形成する。したがって、図4Bに示すように、溶接溶融領域420は、溶接凹部424内に配置され、溶接スカート部423としてあてがわれた場合、第1の構成要素302及び第2の構成要素304の一部分の上面にわたって広がり、溶接境界部422に重なる。
【0041】
溶接溶融領域420は、図4Bにおいて、上方にテーパ状で示されており、例えば、テーパの最小部分は、凹部底426に近接し、管内面402に近接する。別の例では、溶接アセンブリ310Bは、配置が逆であり、例えば、凹部底426は、管外面404に近接して配置され、凹部開口428と、溶接スカート部423などの溶接溶融領域420の対応する部分とは、管内面402に近接して配置される。
【0042】
適用時(例えば、加熱した溶接充填材の適用時)の溶接溶融領域420は、溶接充填材又は溶融した基材などの1つ又は複数を含む。溶接溶融領域420は、隣接する第1の構成要素302及び第2の構成要素304を溶接境界部422に沿って加熱する(しかし、溶融しない)。代わりに、加熱された溶接境界部422は、焼鈍され、したがって熱作用領域(HAZ)を含む。焼鈍は、溶接溶融領域420に隣接して最も顕著であり、高温の領域420から離れる方向に溶接境界部422を横断しながら次第に程度が低くなる。したがって、(本明細書で説明したように、加工硬化前にHAZを含む)溶接境界部422は、第1の構成要素302及び第2の構成要素304の残りの部分(例えば、溶接境界部422の外)の基材と比較して、それらに限定するものではないが、降伏強度、極限強度、硬度又は疲労寿命などを含む機械的特性が劣化する。したがって、(図4Bに示す加工硬化した構造前の)この中間構造では、溶接アセンブリ310Bは、局所的な脆弱部を構成要素アセンブリ300にもたらす。
【0043】
図4Bに示す構造を有する溶接アセンブリ310Bの加工硬化の場合、溶接アセンブリ310Bは、強化され、一貫し且つ予測可能な機械的特性を含む。さらに、強化された機械的特性は、溶接溶融領域420に沿って一貫して且つ予測可能にもたらされ、(破線で示す)溶接境界セグメント430は、管外面404の近くから管内面402の近くまで広がる。換言すれば、溶接アセンブリ310Bの機械的特性は、図4Aに示す溶接アセンブリ310Aの機械的特性よりも高い。例えば、一例では、本明細書で説明した方法で形成され、加工硬化した溶接アセンブリ310Bは、第1の構成要素302及び第2の構成要素304のそれぞれの基材のものに近い(引張り強度を含む)極限強度、降伏強度、硬度又は疲労寿命などの1つ又は複数を含む。例えば、第1の構成要素302及び第2の構成要素304の各基材及び溶接アセンブリ310Bは、一例では、620.53MPa(90,000psi)以上の降伏強度を有する。別の例では、溶接アセンブリ310Bの強度は、例えば、第1の構成要素302及び第2の構成要素304の(未焼鈍)基材に対して55.16MPa(8,000psi)、41.37MPa(6,000psi)、27.58MPa(4,000psi)又は13.79MPa(2,000psi)以内の降伏強度又は極限強度などを含む1つ又は複数の強度を有する。
【0044】
溶接アセンブリ310Bを用いて特定の機械的特性を達成するために、図4Bに破線で示す溶接溶融領域420は、構成要素302、304の(逆の形状の)管外面404又は管内面402などの面の1つ又は複数より上に広がる。さらに、溶接溶融領域420、溶接スカート部423の一部分は、例えば、凹部底426に近接した溶接境界部422の床部底から、凹部開口428に近接した床部開口まで溶接境界部422の溶接床に沿って横に広がる。
【0045】
この例では、管外面404から突出する溶接溶融領域420の機械的変形は、溶接溶融領域420を塑性変形させ、第1の構成要素302及び第2の構成要素304に垂直方向に押しやる。図4Bに示すように、(例えば、加工硬化、冷間圧延又は冷間加工などを含む)機械的変形は、溶接溶融領域420を第1の構成要素302及び第2の構成要素304のそれぞれの溶接境界部422と、下にある構成要素端部308とに向かって押しやる。溶接境界部422は、本明細書で説明したように成形されるため、溶接境界部422は、すでに(図4Aに)示した溶接境界部と比較して横に広がり、溶接溶融領域420と、第1の構成要素302及び第2の構成要素304のそれぞれの構成要素端部308とは、溶接境界部をそれらの間に挟み込む。さらに、HAZは、溶接境界部422の輪郭に従い、したがって同様に横に広がり、他に(図4Aと同様に)HAZの柱(column)内に隠されるか又は隔離されることはない。したがって、溶接溶融領域420の加工硬化は、溶接溶融領域420を塑性変形させ、相応して領域420を焼鈍した溶接境界部422に押しやる。溶接溶融領域420を溶接溶融領域420に沿って横に広がる溶接境界部422に押しやることで、溶接境界部422は、塑性変形し、それにより溶接溶融領域420と同様の方法で加工硬化する。溶接境界部422の横の広がり(例えば、形状又は輪郭など)は、溶接境界部422内のHAZが溶接溶融領域420から塑性変形を受けることと、他に(例えば、図4Aの溶接アセンブリ310Aと同様に)変形部から隔離されないこととを保証する。
【0046】
図4Bに示す例では、加工硬化は、管外面404の近くから管内面402の近くまで広がる溶接境界部422の少なくとも溶接境界セグメント430(破線領域)内に存在する。加工硬化は、例えば、管外面404の近くから管内面402の近くまで溶接アセンブリ310Bの全体にわたって連続的に施される。例えば、図4Aに示す溶接境界セグメント412に合致する溶接アセンブリ310Aのすでに説明した焼鈍部分は、最小限になる(例えば、なくなるか又は小さくなるなど)。代わりに、溶接アセンブリ310Bは、溶接境界セグメント430を含む加工硬化した溶接境界部422を含み、溶接境界部422は、相応してセグメント430を加工硬化させ、第1の構成要素302及び第2の構成要素304の基材と比較して各溶接溶融領域420及び溶接境界セグメント430の機械的特性を強化するため、予測可能に且つ一貫して塑性変形する。したがって、第1の構成要素302及び第2の構成要素304のために仕様を定めた、引張り強度などの極限強度、降伏強度、硬度及び疲労寿命などの1つ又は複数を含む機械的特性は、溶接アセンブリ310Bによってもたらされる。
【0047】
したがって、溶接アセンブリ310Bを含む構成要素アセンブリ300は、一貫した機械的特性を有する一方、通常であれば破損する構成要素アセンブリ300の局所的な脆弱性を最小限にするアセンブリ、例えば設置船102から海底まで吊され、引張り応力を受ける、図1に示す供給パイプライン106などの供給パイプラインを実現する。例えば、図4Aに示し、例えば管内面402の近くから管外面404の近くまで広がる比較的大きい熱作用領域(HAZ)を有する溶接アセンブリ310Aとは対照的に、図4Bに示す溶接アセンブリ310Bは、管外面404と管内面402との間において、溶接溶融領域420から、図4Bに示すように横に広がる溶接境界部422に伝わった塑性変形によってもたらされた(アセンブリ310Aと比較して)一貫して強化された機械的特性を有する。一部の例では、冷間加工がこの例では管外面404に近接して開始されたため、外面404と内面402との間で機械的特性にある程度のばらつきがある。例えば、管外面404に近接する溶接アセンブリ310Bの降伏強度は、基材の降伏強度と一致するか又はさらに超えることがある一方、管内面402に近接した(同様に冷間加工で強化された)アセンブリ310Bの降伏強度は、任意選択で、基材の降伏強度より(例えば、68.95MPa(10,000psi)以下だけ)低い。このばらつきは、68.95MPa(10,000psi)、137.90MPa(20,000psi)又は206.84MPa(30,000psi)以上の例示的なばらつきを含む溶接アセンブリ310Aのばらつきと比較して副次的であり、なぜなら、アセンブリ310Aは、広範な熱作用領域(HAZ)を含むからである。
【0048】
さらに、図4Aに示す溶接アセンブリ310Aに残る広範な熱作用領域とは対照的に、一部の例では、溶接アセンブリ310Bは、例えば、熱作用ビード432として図4Bに示す、管外面404に近接した副次的な局所熱作用領域を含む。別の例では、1つ又は複数の熱作用領域は、溶接アセンブリ310Bのベース部にきわめて近接して、例えば凹部底426に近接して残る。これらの例のいずれにおいても、管外面404に近接して形成された熱作用ビード432、凹部底426に近い溶接境界部422の残りの部分又は(他の副次的な領域を含む)同様のものは、加工硬化した溶接アセンブリ310B全体の副次的な構成要素であり、一部の例では、アセンブリ310Bの残りの部分の加工硬化を通じて様々な程度に加工硬化する。さらに別の例では、本明細書で説明したように、管外面404の近くでの加工硬化の程度は、管内面402の近くの加工硬化よりも高く、なぜなら、加工硬化は、管外面404に沿って始まるからである。これらのばらつきを有する場合でも、図4Bに示すように、管内面402の近くから管外面404の近くまで広がる加工硬化した溶接境界セグメント430は、全体的に一貫して強化された機械的特性をもたらし、この強化された機械的特性は、溶接アセンブリ310Bが、相応して、例えば図4Aに示す溶接アセンブリ310Aと比較した場合、基材のものに近い強化された機械的特性を有することを保証する。
【0049】
図5A〜5Dは、本明細書で説明した1つ又は複数の構成要素アセンブリのための様々な端部輪郭を含む構成要素アセンブリ501、503、505、507の例を示す。これらの端部輪郭のそれぞれの説明では、対応する構成要素アセンブリ501、503、505は、溶接結合部及び(結合部の)対応する溶接溶融領域を横に広がるように成形することを促進する。少なくとも一部の例では、横に成形された結合部及び溶接溶融領域は、溶接境界部及び溶接溶融領域の加工硬化を強化して、管などの構成要素302、304の基材のものに近い機械的特性を有する溶接アセンブリをもたらす。これらの端部輪郭は、それらに限定するものではないが、機械加工、鋳造、転造、ダイフォーミング又は鍛造などを含む1つ又は複数の方法で形成される。
【0050】
最初に図5Aを参照すると、構成要素アセンブリ501は、第1の構成要素302及び第2の構成要素304を含む(例えば、第1及び第2の管の一部分が示されている)。第1の構成要素302及び第2の構成要素304は、管外面404及び管内面402を含む。図5Aに示す例では、端部輪郭500は、例えば、管内面402の近くから管外面404に向かって広くなる、横に延びるテーパ状を有するJ字形状で形成される。第1の構成要素302及び第2の構成要素304のそれぞれの構成要素端部308が互いにきわめて接近して配置されると、溶接結合部502、例えば2つのJ字形状溶接結合部は、端部輪郭500によって形成される。
【0051】
ここで、図5Bを参照すると、端部輪郭504を有する第1の構成要素302及び第2の構成要素304を含む構成要素アセンブリ503が示されている。この例では、端部輪郭504は、例えば、V字形状に対応する角度の付いたテーパを有する。端部輪郭504は、管内面402の近くから管外面404の方に上に向かってテーパ状となっている。第1の構成要素302及び第2の構成要素304が互いにきわめて接近して配置された状態、例えばそれぞれの構成要素端部308が、図5Bに示す隣接した方式で設けられた状態で溶接結合部506が形成される。この例では、端部輪郭504を含む溶接結合部506は、V字形状の溶接結合部である。
【0052】
図5Cは、U字形状の溶接結合部510を有する構成要素アセンブリ505の別の例を示す。前の例と同様に、構成要素アセンブリ505は、管などの第1の構成要素302及び第2の構成要素304を含む。各構成要素は、構成要素端部308を含む。図5Cに示す例では、構成要素端部は、例えば、U字形状を有する端部輪郭508を含む。図5Cに示す端部輪郭508は、図5A図5Bに示す輪郭と同様に、(少な目ではあるが)横に広がる。したがって、溶接溶融領域と、結果として生じる熱作用領域(HAZ)を含む溶接境界部とは、図4Bに示す溶接境界部422と同様に相応して横に広がる。
【0053】
図5Dは、第1の構成要素302と第2の構成要素304との間で突き合わせ式の溶接結合部514を形成する構成要素アセンブリ507の別の例を示す。図5Dに示すように、端部輪郭512は、平坦であり、直角形状を有し、したがって構成要素端部308での第1の構成要素302及び第2の構成要素304の突き合わせ結合を容易にする。一例では、溶接結合部514は、端部輪郭512間に溶接充填材ビードを適用することを可能にし、一部の例では、端部輪郭512間に溶接充填材の複数のパスを適用することを容易にする。溶接充填材は、隣接する基材を加熱及び溶融して溶接溶融領域を形成する。任意選択で、溶接結合部514は、基材の溶接キャストを含む自生溶接で使用される(例えば、基材を溶融及び再固化して溶接溶融領域を形成する)。本明細書で説明した前の例とは対照的に、溶接結合部514は、例えば、図5A、5B、4Bにすでに示した横に広がる溶接結合部と比較して急勾配な又は概ね垂直な方式で広がる。本明細書で説明したように、例えば、突き合わせ溶接結合部を含む溶接結合部514及び図5A、5B、5C、4Bに示す他の構成要素アセンブリは、一例では、溶接アセンブリ並びに図5Dに示す第1の構成要素302及び第2の構成要素304のそれぞれの溶接境界部512などの端部輪郭の輪郭加工硬化を含めて、本明細書で説明した加工機構又は方法などを用いて加工硬化する。説明したように、例えば構成要素端部308と、端部輪郭512と、端部輪郭512間の溶接溶融領域とを含む構成要素アセンブリの全体を変形させることで、例えば管内面402の近くから管外面404の近くまで一貫して加工硬化が施される。
【0054】
別の例では、溶接結合部514の端部輪郭512は、例えば、タングステン不活性ガス(TIG : tungsten inert gas)溶接時に溶融して、図4Bに示す溶接溶融領域420と同様の先細りになった横に広がる溶接溶融領域を形成する。例えば、溶接結合部514に隣接し、管外面404に近接する基材は、管内面402に近接する基材よりも優先して(大きい度合いで)溶融する。したがって、突き合わせ溶接結合部514から始まった溶接アセンブリは、少なくとも溶接溶融領域420と合致する方法で横に広がる溶接溶融領域を有する先細りの形状を取る。換言すれば、端部輪郭512間の溶接溶融領域の形成は、溶接境界部を横に広がる輪郭(並びに溶融領域、境界部及び基材の対応する積重ね体又はサンドイッチ)に成形するために使用される。したがって、一部の例では、図5Dに示す突き合わせ溶接結合部514でさえ、例えば基材と溶融領域との間に積み重ねた横に広がる溶接境界部に溶接溶融領域を押しやることを含む、本明細書で説明した加工硬化を起こすように構成される。
【0055】
さらに別の例では、溶接結合部514の端部輪郭512は、任意選択で、本明細書ですでに説明したように溶接スカート部で覆われる。溶接境界部(例えば、端部輪郭512)は、急勾配又は概ね垂直であり、一例では、溶接スカート部にさらなる材料が取り込まれるため、例えば、溶接スカート部は、管外面404に対して(溶接凹部から外の)拡張した横有効領域又は拡張した高さの1つ又は複数を含む。溶接スカート部のこれらの変化のいずれか又は両方は、本明細書で他の図に示す溶接スカート部よりも顕著な溶接スカート部をもたらす。顕著な溶接スカート部は、加工硬化時の塑性変形のための増量した材料を含む。(例えば、溶接結合部514及び隣接する溶接境界部に入り込む)この溶接スカート部の加工硬化により、溶接溶融領域内で且つ溶接境界部に沿って広範な塑性変形が起こり、したがって、(本明細書で説明した他の溶接アセンブリの横に広がる溶接結合部及び境界部に加えて)急勾配の又は概ね垂直な溶接アセンブリは、一貫して且つ予測可能に加工硬化する。
【0056】
図6は、図5Aにすでに示した断面の構成要素アセンブリ501の詳細図を示す。この例では、構成要素アセンブリ501(例えば、一例では管アセンブリ)は、互いにきわめて接近した第1の構成要素302管及び第2の構成要素304管を含む。すでに説明したように、第1の構成要素302及び第2の構成要素304の各構成要素端部308の端部輪郭500は、2つのJ字形状溶接結合部502を形成する。構成要素アセンブリ501の溶接凹部602は、端部輪郭500の輪郭に従い、したがって例えば凹部底604から凹部開口606まで横方向に広がる。図6に示すように、凹部底604は、管内面402に近接する一方、凹部開口606は、管外面404に近接する(且つ管内面402から離れている)。別の例では、本明細書ですでに説明したように、端部輪郭500などの端部輪郭の1つ若しくは複数又は例えば図5B若しくは図5Cなどに示す他の端部輪郭の1つは、管内面402に沿って設けられる。これの逆の例では、凹部底604は、管外面404に近接して配置される一方、凹部開口606は、管内面402に近接して設けられる。
【0057】
図6にさらに示すように、端部輪郭500は、溶接結合部502及び溶接境界部608の先細りの輪郭を形成する。端部輪郭500(及び溶接境界部608)は、任意選択で、管内面402に近接する凹部底604に沿って広がる。この例(溶接及び加工硬化前の構成要素アセンブリ501の中間構造)では、溶接境界部608は、構成要素302、304の基材の機械的特性と同じ機械的特性を有する。例えば、第1の構成要素302及び第2の構成要素304が、加工硬化したステンレス鋼、二相ステンレス鋼、スーパー二相ステンレス鋼、ハイパー二相ステンレス鋼、亜鉛被覆ナイトロニック19D又はニッケル合金などの1つ又は複数を含む場合、(溶接前の)この例では、溶接境界部608もこれらの一致する(例えば、同一の又は概ね同様の)特性を有する。例えば、溶接溶融領域で結合する前の溶接境界部608は、加工硬化した(未焼鈍)構造を含み、したがって第1及び第2の構成要素の残りの部分と同様の又は同一の特性を有する。これらの特性には、それらに限定するものではないが、降伏強度、極限強度、硬度又は疲労寿命などの1つ又は複数がある。
【0058】
図6に示す端部輪郭500を含む構成要素アセンブリ501は、本明細書に示すそれぞれの図7A〜9の構成要素アセンブリで使用する基本輪郭になっている。したがって、構成要素アセンブリ501は、図6の中間構造で示され、それぞれの先の図で示すように加工される。
【0059】
図7A−1は、構成要素アセンブリ501の第1の中間構造を示す。この中間構造では、溶接溶融領域702は、溶接凹部602内、例えば凹部602の凹部底604内に形成される。溶接溶融領域702は、任意選択で、凹部底604の自生領域又は溶融基材と混合された溶接充填材を含む溶融領域を含む。示すように、この例では、溶接溶融領域702は、凹部底604内の第1のパスとして形成され、溶接凹部602を部分的に占める。この中間構造では、凹部開口606などの凹部の残りの部分は、空いたままである。図7A−1にさらに示すように、構成要素アセンブリ501の各側の溶接境界部608は、凹部底604から管外面404に向かって横に広がる。したがって、この例では、溶接境界部608を含む構成要素アセンブリ501は、凹部底604の近く(例えば、管内面402の近くでもある)から管外面404の近くまで広がる。図7A−1に示す例では、溶接境界部608に沿って広がる溶接溶融領域702は、第1の構成要素302及び第2の構成要素304の基材を加熱し、したがって基材を熱作用領域700に転移させる。HAZ700は、溶接溶融領域702に隣接する溶接境界部608に沿って広がる。
【0060】
図7A−2に示すように、溶接溶融領域702は、溶接凹部602を例えば凹部開口606まで占める。示した図では、溶接溶融領域702は、管内面402に近接した凹部底604から管外面404の近く(例えば、凹部開口606)まで広がる。したがって、この例では、溶接凹部602は、(例えば、溶接充填材又は溶接キャスト若しくは溶融基材などの1つ又は複数を含む)溶接溶融領域702の1つ又は複数のパスによって占められる。例えば、補足溶接部分706は、ベース溶接704の上に形成される。補足溶接部分706は、溶接溶融領域702が溶接凹部602内に存在する状態で、それに限定するものではないが、1つ又は複数のさらなるパスを含む。
【0061】
図7A−2にさらに示すように、基材の熱作用領域(HAZ)700は、溶接溶融領域702及び溶接境界部608に沿って広がる。溶接境界部608の基材は、溶接凹部602内に付け加えられた溶接溶融領域702によって焼鈍され(HAZ700を形成し)、したがって、基材の機械的特性は、溶接境界部608に沿って劣化する。例えば、本明細書ですでに説明したように、極限強度、降伏強度、硬度又は疲労寿命などの1つ又は複数は、構成要素アセンブリ501内で低下する。本明細書ですでに説明したように、HAZ700及び溶接境界部608は、横に広がり、第1の構成要素302及び第2の構成要素304のそれぞれの端部輪郭500によって形成された溶接凹部602の輪郭に従う。溶接溶融領域702は、例えば、凹部底604から凹部開口606まで相補的に横に広がる。さらに、図7A−2に示すように、横に広がる溶接境界部608及び対応するHAZ700は、(上の)溶接溶融領域702と第1の構成要素302及び第2の構成要素304の(下の)未焼鈍基材との間に存在する。例えば、溶接境界部608及びHAZ700は、溶接溶融領域702と未焼鈍基材との間に挟まれるか又は積み重なる。
【0062】
任意選択で、突き合わせ溶接結合部514のための端部輪郭512などの急勾配の又は垂直の輪郭(図5Dを参照されたい)でさえ、横に広がる溶接境界部608及び(境界部内の又は境界部の一部である)相応して横に広がるHAZ700を形成するように予備処理される。本明細書ですでに説明したように、溶接結合部514の端部輪郭512は、例えば、タングステン不活性ガス(TIG)溶接時に溶融して、図5A図5Bに示す輪郭と同様の先細りの溶接輪郭を形成する。例えば、溶接結合部514に隣接し、管外面404に近接する基材は、管内面402に近接する基材よりも優先して(大きい度合いで)溶融する。基材を優先的に溶融させることで、突き合わせ溶接結合部514は、図4Bに示す溶接溶融領域420(及び本明細書で提示した他の例示的な横に広がる溶融領域)と合致する方法で横に広がる(溶接キャスト基材を含む)溶接溶融領域を有する先細り形状に変わる。溶接境界部の固体であるが焼鈍した残りの基材は、溶接溶融領域に合わせた対応する横輪郭を有する。換言すれば、端部輪郭512間に溶接溶融領域を形成することで、溶接境界部は、横に広がる輪郭に成形される。したがって、一部の例では、図5Dに示す突き合わせ溶接結合部514でさえ、本明細書で説明した加工硬化を起こすように構成される(例えば、溶接溶融領域を、熱作用領域を有する横に広がる溶接境界部に押しやる)。
【0063】
ここで、図7Bを参照すると、構成要素アセンブリ501は、溶接溶融領域702の追加部分が形成された別の中間構造を取る。図7Bに示すように、溶接溶融領域702の追加部分は、補足溶接部分706及びベース溶接704の上に重ねた溶接スカート部708を含む。別の例では、溶接溶融領域702は、例えば、より大量の溶接充填材及び溶融基材が溶接凹部602の全体に(例えば、単一パスで)適用されて1回のステップで適用され、任意選択で溶接スカート部708を含む。
【0064】
図7Bに示すように、溶接スカート部708を含む溶接溶融領域702は、ベース溶接704及び補足溶接部分706に対して横に広がる。一例では、溶接スカート部708は、例えば、J字輪郭、U字輪郭又はV字輪郭などの1つ又は複数を用いて、本明細書ですでに説明したように形成された溶接境界部608によってもたらされた輪郭に従う。図7Bに示す例では、溶接スカート部708は、構成要素アセンブリ501の1つ又は複数の面から突出する。この例では、溶接スカート部708は、管外面404に対して垂直に突出する。別の例では、溶接溶融領域702は、管内面402から突出し、例えば、この場合、構成要素アセンブリ501は、溶接境界部608の輪郭が、管外面404に近接した凹部底604から、管内面402に近接した凹部開口606に向かって逆の方法及び逆テーパで広がるように逆にされる。
【0065】
図7A−2及び図8は、加工硬化前の完全な又はほぼ完全な構造の溶接アセンブリ710を示す。溶接アセンブリ710は、加工硬化していないため、熱作用領域(HAZ)700は、溶接溶融領域702に沿って溶接アセンブリ710の溶接境界部608内に形成される。図7A−2に示す中間構造の溶接アセンブリ710は、図8に示す溶接スカート部を含まないが、一例では、溶接アセンブリ710は、(例えば、構成要素302、304の基材と同じ1つ又は複数の材料特性を得るために)本明細書で説明した通りに加工硬化するように構成される。例えば、一例では、図7A−2の溶接アセンブリ710は、溶接溶融領域702を溶接境界部608及び溶接境界部608内のHAZ700に押しやることで塑性変形する。溶接溶融領域702は、管外面404よりも低い高さまで機械変形する。例えば、溶接溶融領域702は、管内面402及び溶接境界部608に向かって機械的変形する(例えば、へこむ)。この例では、溶接溶融領域702の塑性変形は、溶接溶融領域702をHAZ700に押しやり、HAZ700を含む溶接境界部608は、塑性変形し、それにより加工硬化する。
【0066】
図7A−2に示す溶接アセンブリとは対照的に、図7Bに示す溶接アセンブリ710は、溶接スカート部708で管外面404から突出する溶接溶融領域702を含む。一例では、この構造の溶接溶融領域702は、機械的変形して、構成要素アセンブリ501に押しやられ、それによりHAZ700を内部に含む下の溶接境界部608も機械的変形させる。すでに説明したように、溶接溶融領域702の変形により、HAZ700が変形し、溶接境界部608が加工硬化し、それにより溶接アセンブリ710の機械的特性が強化される。一例では、溶接アセンブリ710の機械的特性が強化され、一例では、構成要素の加工硬化した基材を含む構成要素302、304の基材の機械的特性に近くなるか又は等しくなる。他の例では、例えば、図7Bに示す溶接スカート部708を含む溶接溶融領域702は、管外面404と面一の形状に変形する。別の例では、溶接溶融領域702は、図7Bに示す中間構造と比較して、例えば溶接溶融領域702に対して図示された高さと管外面404との間の(例えば、元々図7Bに示す溶接溶融領域702と比較して管外面404からより低く突出する)高さに変形する。さらに別の例では、溶接溶融領域702は、(図7A−2に関連して上記に説明したように)管外面404に対してへこんだ形状に変形する。この例では、溶接スカート部708を含む溶接溶融領域702は、例えば、管外面404より下に窪んだ又はへこんだ形状を有する。
【0067】
図8は、溶接アセンブリ710を含む構成要素アセンブリ501の別の例示的な中間構造を示す。この例では、構成要素アセンブリ501は、成形された溶接スカート部800を含む。例えば、図7Bに示す溶接スカート部708の突出部分などの溶接溶融領域702は、溶接溶融領域702を管外面404に対して一定の高さに形成するように(例えば、機械加工などによって)加工される。一部の例では、溶接スカート部708は、特定の高さ、例えば図8に示す高さに成形される。図8に示す高さ又は特定の高さから管外面404に対して面一の形状に、又は(管外面より上又は下を含む)他の高さに成形された溶接スカート部800を含む溶接溶融領域702の加工硬化は、溶接溶融領域702及び溶接境界部608を含む溶接アセンブリ710の機械的特性を、例えば加工硬化した構成要素302、304の基材の機械的特性に近似するか、等しいか、その機械的特性よりも大きいか又はほぼ等しい特性値まで高めるようになされる。
【0068】
一例では、成形された溶接スカート部800の特定の高さは、例えば、参照テーブル又は実験テストなどによって事前に定められた高さ寸法に対応し、この高さ寸法は、(例えば、図9に示す面一の形状まで)塑性変形した場合、溶接アセンブリ710の機械的特性を基材の機械的特性に近い値まで高める。すなわち、一例では、成形された溶接スカート部800で示す高い位置から面一形状への溶接溶融領域702の変形により、基材の機械的特性にほぼ等しいか又は近似する1つ又は複数の機械的特性が溶接アセンブリ710を用いて達成される。特定の高さを有する溶接溶融領域702を塑性変形させることで、溶接アセンブリ710の機械的特性は、溶接アセンブリにおいて一定になり、なぜなら、変形(この例では高さの短縮)は、一定であるためである。
【0069】
図9は、完全に加工硬化した溶接アセンブリ900の一例を示す。この例では、溶接溶融領域702は、図8にすでに示した形状と比較して加工硬化している。例えば、成形された溶接スカート部800を有する溶接溶融領域702は、塑性変形し、構成要素アセンブリ501に押しやられる。この例では、溶接溶融領域702は、管外面404と面一である。図9に示すように、例えば、溶接アセンブリ900において構成要素アセンブリ501に加えられた力が実線矢印で示されている。この例では、機械的変形は、例えば、溶接アセンブリ900に対して局所的な方法で管外面404に沿って始まる。他の例では、変形はまた、反対方向に例えば構成要素アセンブリ501の内側から管内面404に沿ってもたらされる。(破線矢印で示す)この例では、溶接溶融領域702及び溶接境界部608などの塑性変形時、(内面を基本とした加工硬化ツールによって供給される力を含む)支持補助力が管内面404に沿って加えられ、結果的に構成要素アセンブリ501を支持し、構成要素アセンブリ501にベース部を提供する。管内面404に沿って供給される1つ又は複数の支持力又は補助力を有する(反対側の加工硬化を含む)例では、図9に示す加工硬化へこみ904又は内側変形がない。代わりに、管内面404は、図9の左から右に延びる実質的に等直径の形状を有する。
【0070】
図9に示す例では、溶接溶融領域702及び溶接境界部608などは、一例において、管外面404に沿って加えられた力で塑性変形する。すでに説明したように、溶接溶融領域702及び(例えば、積み重ねた又はサンドイッチ状の)溶接境界部608の下の第1の構成要素302及び第2の構成要素304は、極限強度、降伏強度、硬度又は疲労寿命などの1つ又は複数を含む強化された機械的特性を有する基材で形成される。これらの頑強な材料は、例えば、管外面404に沿って加えられる力によって引き起こされる塑性変形時、溶接溶融領域702及び溶接境界部608のためのベース部又は支持体を提供する。この例では、任意選択で、図9に示す加工硬化へこみ904が構成要素アセンブリ501に付随している。
【0071】
図9に示す溶接溶融領域702は、段階的構造で形成され、例えば溶接凹部602内で凹部底604から凹部開口606の1つ又は複数の縁部まで横に広がる。すでに説明したように、溶接凹部602は、構成要素302、304の端部輪郭(例えば、本明細書で説明した輪郭の1つ又は複数など)によって境界付けられ、凹部及び溶接境界部608は、横に広がる。したがって、(図8に示す、加工硬化前の)HAZ700も溶接溶融領域702及び溶接凹部602に対応して横に広がる。この横に広がる形状において、溶接境界部608は、溶接溶融領域702のための溶接床をなす。溶接境界部608(例えば、溶接床)は、例えば、横方向で構成要素302、304の未焼鈍基材の上に広がる1つ又は複数の溶接床フロア部802と、横方向で溶接溶融領域702の下に広がる溶接床天井部804との1つ又は複数を含む。元々図8に示し、再度図9に示すこの構造では、溶接溶融領域702と、溶接境界部608と、下の第1の構成要素302及び第2の構成要素304の基材とは、積み重ね構造を形成し、したがって溶接境界部608及び(図8に示す)HAZ700を溶接溶融領域702と基材との間に挟み込む。(図9に示すように)溶接溶融領域702、溶接境界部608及び構成要素302、304の下の基材の積層に交差する方向の力が加えられると、溶接溶融領域702は、挟まれた溶接境界部608に押しやられる。溶接溶融領域702によって伝えられ、溶接境界部608まで続く塑性変形は、溶接溶融領域702と、HAZ700を内部に含む横に広がる溶接境界部608との両方を加工硬化させる。溶接境界部608は、(例えば、凹部底604の近くから凹部開口606の近くまで)横に広がるため、溶接溶融領域702の変形は、溶接境界部608に確実に伝わって、(例えば、図4Aに示す面402、404に近接した)垂直な又は急な角度の付いた溶接境界部410での局所的な方法とは対照的に、分散した方法で(図8に示す)HAZ700を塑性変形させる。加工硬化した溶接アセンブリ900の溶接境界部608、例えば凹部底604の近くから凹部開口606の近くまで広がる境界セグメントは、一貫して且つ予測可能に加工硬化する。一例では、それらに限定するものではないが、溶接溶融領域702、溶接境界部608及び溶接境界部608の下で隣接する構成要素302、304の周囲の基材を含む、図9に示す加工硬化溶接アセンブリ900は、(例えば、基材に対して6.89MPa(1,000psi)以下、13.79MPa(2,000psi)以下、27.58MPa(4,000psi)以下、41.37MPa(6,000psi)以下又は55.16MPa(8,000psi)以下の1つ又は複数以内の)基材の機械的特性に近い、加工硬化による機械的特性(例えば、降伏強度、極限強度又は疲労寿命など)を含む。別の例では、加工硬化溶接アセンブリ900は、(例えば、図4Aに示す例と同様の)他の溶接アセンブリと基材との間の大きいばらつき、例えば降伏強度などの1つ又は複数の機械的特性における約206.84MPa(30,000psi)のばらつきとは対照的に、基材に近い強化された機械的特性を有する。
【0072】
一例では、加工硬化溶接アセンブリ900は、例えば、溶接アセンブリ900の縁部に形成された1つ又は複数の熱作用ビード902をさらに含む。これらの熱作用ビード902は、一例では、溶接境界部608内で溶接溶融領域702の縁部を越えて形成される。溶接溶融領域702は、第1の構成要素302及び第2の構成要素304の隣接する基材を加熱し、それにより焼鈍するため、熱作用ビード902は、本明細書で説明した加工硬化後、熱が作用した又は焼鈍されたままの状態で溶接アセンブリ900の縁部に残った基材の極小部分(例えば、副次的部分)である。熱作用ビード902は、溶接溶融領域702の縁部に位置する一方、加工硬化溶接アセンブリ900の残りの部分は、管外面404の近くから管内面404の近くまで広がる。例えば、(熱作用ビード902を含まない)溶接境界部608の境界セグメントは、外面404の近くから内面404の近くまで広がって、各溶接境界部608に強化した特性をもたらし、それにより加工硬化溶接アセンブリ900の全体強度を高める。そのため、熱作用ビード902は、基材と比較して機械的特性の副次的低下とみなされる一方、溶接溶融領域702及び溶接境界部608を含み、管外面404の近くから内面404の近くまで広がる加工硬化溶接アセンブリ900の残りの部分は、すべて加工硬化し、したがって基材の機械的特性にほぼ等しい(等しい、近い又は近似するなどを含む)機械的特性を有する。
【0073】
図10A〜Fは、加工硬化した溶接アセンブリ(又は溶接アセンブリが形成されるときのアセンブリの中間構造)を含む構成要素アセンブリ1000の別の例を示す。本明細書に図示するように、構成要素アセンブリ1000は、加工硬化時、第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004の両方、例えば溶接充填材又はHAZを含む溶接アセンブリの1つ又は複数の特徴部に加えて、構成要素端部1012の変形によって塑性変形する。
【0074】
最初に図10Aを参照すると、第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004は、各構成要素端部1012が互いに整列した状態で近接して示されている。示すように、第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004は、本明細書で説明し、すでに説明した第1の構成要素302及び第2の構成要素304と少なくともある程度同様の特徴部を含む。例えば、この例では、第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004は、管であり、管外面1008(例えば、一例では外径部又は内側径部など)及び管内面1010(例えば、内径部又は内側径部など)を含む。構成要素アセンブリ1000は、端部輪郭1016が第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004の残りの部分の全体輪郭と合致してさらに示されている。一例では、全体輪郭1014は、一貫した輪郭であり、例えば、第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004の形状、大きさ又は直径などは、各構成要素の端部間で同じままである。図10Aの端部輪郭1016の少なくとも一部分は、図5Dに示す端部輪郭512のような突き合わせ結合と同様であり、突き合わせ結合を形成する。図10A〜Fに示す例では、端部輪郭1016は、構成要素1002、1004の端部に近い部分、例えば図10B又は図10Cなどにおける構成要素の変形した部分をさらに含む。
【0075】
図10Bは、構成要素アセンブリ1000の中間構造を示す。この例では、構成要素アセンブリ1000は、第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004の全体輪郭1014と比べて異なる端部輪郭1018を有する構成要素端部1012を含む。図10Bに示すように、この例では、異なる端部輪郭1018は、全体輪郭1014(及び図10Aに示す端部輪郭1016)と比較して裾広がりの又は拡大した輪郭を含む。他の例では、異なる端部輪郭1018は、それらに限定するものではないが、縮小端部輪郭又は(基本的に円形の全体輪郭と比較して)非円形の輪郭などの1つ又は複数を含む。さらに別の例では、異なる端部輪郭1018は、全体輪郭1014と比較して異なる形状を端部輪郭1018に付与するようになされた狭小化又は波形化などの1つ又は複数を含む。さらに別の例では、異なる端部輪郭1018は、第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004の構成要素端部1012の初期形状である。この例では、例えば、図10Aに示す構成要素アセンブリ1000の前の形状は存在しない。代わりに、第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004は、本明細書に示す異なる輪郭、例えば全体輪郭1014と比較して異なる端部輪郭1018で形成される。
【0076】
図10Cは、下加工された(prepared)溶接結合部1020を有する別の中間構造を示す。この例では、構成要素端部1012の一部分に対応する溶接結合部1020は、端と端とを合わせて第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004を接続する溶接を行うために下加工される。この例では、溶接結合部1020の溶接境界部1022は、それらに限定するものではないが、U字形状溶接境界部、V字形状溶接境界部、J字形状溶接境界部、突き合わせ溶接のために成形された溶接境界部1022(例えば、図5A〜Dを参照されたい)又は垂直の若しくは急な角度の付いた溶接境界部を含む他の溶接境界部(例えば、図4Aを参照されたい)などを含む、本明細書で説明した輪郭の1つ又は複数を含む。任意選択で、溶接結合部1020を形成する構成要素端部1012は、例えば、特定の溶接境界部1022を形成するために成形加工又は機械加工などの1つ又は複数によって下加工される。
【0077】
図10Dは、溶接アセンブリ1024を含む構成要素アセンブリ1000を示す。溶接充填材1026は、例えば、図10Cですでに説明し、示した溶接境界部1022によって形成された対応する溶接凹部に供給される。示すように、この例では、溶接充填材1026は、第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004から突出し、例えば管外面1008の異なる端部輪郭1018内のこれらの部分を形成する。
【0078】
図10Dにさらに示すように、この例では、溶接アセンブリ1024は、溶接充填材1026に隣接する熱作用領域(HAZ)1028を含む。HAZ1028は、溶接境界部1022に合致し、溶接境界部1022に含まれる。すでに説明したように、加熱された溶接充填材1026が溶接境界部1022に当たることで、(他に溶融せず、溶融領域1026に含まれない)溶接境界部1022に沿って第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004の基材が焼鈍される。溶接アセンブリ1024での基材の焼鈍は、構成要素1002,1004の基材の全体的な機械的特性と比較して局所的な脆弱性を構成要素アセンブリ1000内にもたらす。例えば、すでに説明したように、極限強度、降伏強度、硬度又は疲労寿命などの1つ又は複数は、溶接溶融領域1026による溶接境界部1022の加熱のために低下してHAZ1028が形成される。
【0079】
構成要素アセンブリ1000が図10Eに再度示されている。この例では、図10Dにすでに示した溶接溶融領域1026は、任意選択で、例えば機械加工によって成形溶接溶融領域1030に成形される。示すように、この例では、成形された溶接溶融領域1030は、第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004の構成要素端部1012の残りの部分と概ね面一である。構成要素端部1012は、構成要素1002、1004の全体輪郭1014と比較して異なる端部輪郭1018を維持する。図10Eに示す溶接溶融領域1030の成形は、任意選択である。他の例では、溶接アセンブリ1024から突出する溶接溶融領域1026は、(例えば、溶接溶融領域1026と、横に広がる下の溶接境界部との両方の局所的な変形を用いた)本明細書で説明した溶接アセンブリの1つ又は複数の特徴部の加工硬化の強化を容易にするために維持される。
【0080】
図10Fは、図10D及び図10Eにすでに示した異なる端部輪郭1018に対して変形した端部輪郭1034を有する構成要素端部1012を含む、加工硬化した溶接アセンブリ1032を示す。図10Fに示す例では、変形した端部輪郭1034は、全体輪郭1014と合致する。他の例では、変形した端部輪郭1034は、全体輪郭1014と合致するのではなく、図10Eに示す異なる端部輪郭1018に対して他に変化する。例えば、変形した端部輪郭1034は、全体輪郭1014に対してへこむか、全体輪郭1014に対して拡大し、元の異なる端部輪郭1018よりも小さくなるか、又は異なる端部輪郭1018と比較して異なる形状若しくは大きさを含む。
【0081】
溶接溶融領域1026及び溶接境界部1022を含む構成要素端部1012の塑性変形により、機械的特性が強化され、相応して加工硬化した溶接アセンブリ1032が形成される。加工硬化した溶接アセンブリの他の例に関連してすでに説明したように、図10Fに示す加工硬化した溶接アセンブリ1032は、本明細書で説明した他の溶接アセンブリと比較して強化された機械的特性を含む。例えば、加工硬化した溶接アセンブリ1032は、第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004の基材の機械的特性にほぼ等しいか又は一致する、極限強度、降伏強度、硬度又は疲労寿命などの1つ又は複数の機械的特性を含む。
【0082】
この例では、(例えば、図9に示す)溶接アセンブリの局所的な機械的変形とは対照的に、構成要素端部1012の機械的変形は、加工硬化する溶接アセンブリ1032の周囲の全体領域及び溶接アセンブリ1032自体を塑性変形させる。したがって、一部の例では、加工硬化する溶接アセンブリ1032に隣接する構成要素端部1022の全体が塑性変形するため、溶接溶融領域1026及び溶接境界部1022は、本明細書に提示し、すでに説明した溶接アセンブリと比較して垂直の又は急勾配の輪郭を有することができると同時に、溶接アセンブリ1032を含む端部輪郭の機械的特性が改善される。図10A〜Fに示す、分散した加工硬化を含む加工硬化した溶接アセンブリ1032は、例えば、図9に示す、加工硬化した溶接アセンブリ900の機械的特性と同様の機械的特性をもたらす。
【0083】
例示的な溶接アセンブリ1032では、溶接アセンブリ1032における機械的特性は、溶接結合部1020(例えば、突き合わせ結合)の下加工が最低限の場合でも強化される。例えば、溶接結合部1020は、図示した横に広がる溶接境界部1022(例えば、U字形状、J字形状又はV字形状など)を有する代わりに、突き合わせ溶接境界部又は深いU字形状の溶接境界部などの概ね垂直の又は急勾配の境界部である。例えば、突き合わせ溶接境界部では、構成要素端部1012の異なる端部輪郭1018は、面対面の方法で対向し、一例では、溶接溶融領域1026は、異なる端部輪郭1018間に形成される。例えば、異なる端部輪郭1018を有する構成要素端部1012の隣接する部分を含む溶接アセンブリの全体を加工硬化させることで、溶接溶融領域1026及び溶接境界部1022を含み、平坦な(垂直な)又は急勾配の形状を有する溶接アセンブリが同様に加工硬化して、第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004の基材の機械的特性に近い1つ又は複数の機械的特性をもたらす。
【0084】
さらに別の例では、加工硬化した溶接アセンブリ1032は、自生溶接を含む。自生溶接アセンブリは、別の溶接充填材なしに構成要素を溶融させるように加熱される端部に第1の構成要素1002及び第2の構成要素1004の材料を含む。この例では、端部輪郭は、異なる端部輪郭1018から、例えば変形した端部輪郭1034又は異なる端部輪郭1018と異なる別の輪郭に変形するため、溶接境界部1022と、第1及び第2の構成要素の溶融した材料とを含む溶接アセンブリン全体がすべて加工硬化する。したがって、自生溶接をもたらすために使用される構成要素1002、1004の焼鈍した部分でさえ、溶接充填材の適用及び変形なしに、変形した端部輪郭1034への端部輪郭1018の塑性変形によって一貫して確実に加工硬化する。
【0085】
図11は、管などの少なくとも第1及び第2の構成要素を接続する方法1100の一例を示す。方法1100の説明では、本明細書で説明した1つ又は複数の構成要素、特徴部又は機能などが参照される。この場合、参照数字を用いて構成要素、特徴部又は機能が簡便に参照される。提示される参照数字は、例示的なものであり、非限定的なものである。例えば、方法1100で説明される特徴部、構成要素又は機能などには、それらに限定するものではないが、対応する番号付き要素、本明細書で説明する番号付きの及び番号の付いていない両方の他の対応する特徴部並びにそれらの均等物がある。
【0086】
1102では、管などの第1の構成要素302及び第2の構成要素304が互いに溶接される。一例では、溶接は、1104において、溶接境界部608によって境界付けられる溶接凹部602を例えば第1及び第2の構成要素の各端部に沿って埋めることを含む。(例として)図6、7A−1、7A−2に示すように、溶接境界部608は、構成要素302、304の外径部の近くから内径部に向かって広がる。一例では、溶接境界部は、溶接床を形成し、溶接凹部602の凹部底604の近くの床部底から(内径部又は外径部の1つに近接する)床部開口まで横に広がる。溶接凹部602の溶接溶融領域702は、(例えば、図11の1106で)各溶接境界部608の局所的な熱作用領域700に近接する。本明細書で説明したように、溶接溶融領域702は、溶接境界部608を加熱及び焼鈍してHAZが形成される。
【0087】
1108では、方法1100は、(例えば、図7B又は図8に示す)溶接アセンブリ710を加工硬化させて、例えば図9に示す加工硬化した溶接アセンブリ900にすることを含む。本明細書で説明したように、一例では、溶接アセンブリ710、900は、溶接溶融領域702及び溶接境界部608を含む。本明細書で説明した別の例では、溶接アセンブリは、自生溶接部(例えば、溶接境界部が加熱されて共に溶融する)を含む。1110では、溶接溶融領域702は、少なくとも溶接凹部602内で変形する。本明細書で説明したように、溶接溶融領域702の変形は、他の例における溶接スカート部708又は溶接スカート部800の変形を含む。1112では、各HAZ700は、溶接溶融領域702の変形によって変形する。例えば、溶接溶融領域702は、塑性変形によって溶接境界部608に押しやられ、それにより溶接境界部608を塑性変形させて、HAZ700を最小限にする(例えば、縮小させるか又はなくす)。
【0088】
方法1100のいくつかの選択肢が以下に続く。一例では、それぞれの局所的な熱作用領域700を変形させることは、局所的な熱作用領域に重なった溶接溶融領域を変形させることを含む。別の例では、局所的な熱作用領域700は、溶接溶融領域702と第1の構成要素302及び第2の構成要素304の基材との間に存在する(図7B及び図8を参照されたい)。それぞれの局所的な熱作用領域700を変形させることは、この例では、溶接溶融領域702を局所的な熱作用領域700に向かって変形させることを含む。
【0089】
任意選択で、溶接溶融領域702及び局所的な熱作用領域700を加工硬化させることは、(例えば、マンドレル又は対向する内側加工硬化用ツールなど用いて)第1の管302及び第2の管304の基材を第1及び第2の管の内径部に沿って支持することを含む。別の例では、溶接溶融領域702と溶接境界部608の局所的な熱作用領域700とを加工硬化させることは、溶接溶融領域702及び局所的な熱作用領域700を管外面404(例えば、外径部)の近くから管内面402(例えば、内径部)の近くまで連続的に加工硬化させることを含む。さらなる例では、溶接溶融領域702と溶接境界部608の局所的な熱作用領域700とを加工硬化させることは、溶接溶融領域702及び局所的な熱作用領域700を外径部から内径部まで連続的に加工硬化させることを含む。
【0090】
別の例では、管などの第1の構成要素302及び第2の構成要素304は、特定の強度(例えば、620.53MPa(90,000psi)以上の降伏強度)を有する基材を含む。この例では、溶接アセンブリ710を加工硬化させることは、溶接アセンブリ710を基材の特定の強度に近い加工硬化強度(例えば、620.53MPa(90,000psi)に近い強度又は基材の特定の強度に対して68.95MPa(10,000psi)以下以内の強度)に加工硬化させることを含む。
【0091】
他の例では、方法1100は、第1の管302及び第2の管304のそれぞれの端部で溶接境界部608を外径部の近くから内径部の近くに向かって先細りにすることを含み、溶接凹部602は、先細りの溶接境界部608に対応する先細りの溶接凹部を含む。方法1100は、任意選択で、先細りの溶接凹部を溶接溶融領域702のベース溶接(例えば、704、任意選択で706)で占め、溶接溶融領域702と、第1の管302及び第2の管304の外径部(例えば、管外面404)に近い部分とを溶接スカート部708、800で覆うことを含む。この例では、溶接凹部602内の溶接溶融領域702を変形させることは、ベース溶接(例えば、704、706)及び溶接スカート部708(又は800)を変形させることを含む。
【0092】
任意選択で、溶接スカート部800は、第1の管302及び第2の管304の外径部(例えば、管外面404)より上に特定の高さだけ広がる。ベース溶接及び溶接スカート部を変形させることは、溶接スカート部800を特定の高さから、外径部(例えば、管外面404)に対して面一の形状まで変形させることを含む。溶接スカート部800を特定の高さから面一形状まで変形させることで、溶接溶融領域702と、局所的な熱作用領域700を有する溶接境界部608とを含む溶接アセンブリ900の強度は、第1及び第2の管の基材の特定の強度に近い加工硬化強度まで高まる。一例では、図7Bに示す溶接スカート部708は、特定の高さを有する平坦な形状に成形される(例えば、機械加工などされる)。
【0093】
別の例では、方法1100は、第1の管1002及び第2の管1004のそれぞれの端部の端部輪郭1016を管の全体輪郭1014に対して変えることを含む。例えば、図10Aに示す端部輪郭1016は、全体輪郭1014と比較して異なる形状又は大きさなどを有する異なる端部輪郭に変えられる。図10B及び図10Cに示す例では、異なる端部輪郭1018は、全体輪郭1014と比較して拡大される。他の例では、端部輪郭は、縮小されるか又は異なる形状を付与される。この例では、溶接アセンブリ1024を加工硬化させることは、第1及び第2の管の端部輪郭1016を可変端部輪郭(例えば、図10Cに示す輪郭1018又は他の異なる輪郭)に対して変形させることを含む。例えば、可変端部輪郭1018は、全体輪郭1014と合致する輪郭を有するように変形する。別の例では、可変端部輪郭1018は、各全体輪郭1014及び前の可変端部輪郭と異なる輪郭を有するように変形する。
【0094】
様々なメモ
実施例1は、例えば、管アセンブリを含む主題を含み、該管アセンブリは、それぞれの端部で結合するように構成された少なくとも第1の管および第2の管であって、所定の機械的特性を有する基材(base material)と、前記それぞれの端部における溶接境界部であって、前記第1および第2の管の内径部および外径部に近接し、それらの間に延在する溶接境界セグメントを含む、前記溶接境界部と、をそれぞれ含む前記少なくとも第1の管および第2の管と、前記第1及び第2の管の各々の基材を結合する加工硬化された溶接アセンブリ(work hardened weld assembly)であって、前記第1の管および第2の管の溶接境界部間の溶接溶融領域(weld fusion zone)であって、前記内径部と前記外径部との間に延びる前記溶接溶融領域と、前記第1及び第2の管の溶接境界セグメントと、を含む前記溶接アセンブリと、を備え、前記溶接溶融領域は、加工硬化され、前記第1及び第2の管の少なくとも溶接境界セグメントは、前記加工硬化された溶接溶融領域と、前記第1及び第2の管の基材との間で加工硬化される。
【0095】
実施例2において、実施例1を含むかまたは任意選択で実施例1に組み合わされて、任意選択で、前記溶接境界セグメントは、前記第1及び第2の管の外径部の近傍から内径部の近傍まで連続的に加工硬化される。
【0096】
実施例3において、実施例1または2を含むかまたは任意選択で実施例1または2に組み合わされて、任意選択で、前記第1及び第2の管の各々は、前記溶接溶融領域から離間した前記溶接境界部の熱作用ビード(heat affected bead)を含む。
【0097】
実施例4において、実施例1〜3のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜3のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記所定の機械的特性は、所定の強度を含み、加工硬化された前記溶接アセンブリは、少なくとも前記溶接溶融領域および前記溶接境界セグメントを含み、前記基材の所定の強度に近い加工硬化強度を有する。
【0098】
実施例5において、実施例1〜4のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜4のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接溶融領域は、前記外径部と前記内径部との間の溶接境界部に沿って延在するベース溶接部(base weld portion)と、前記溶接境界部に近接する第1及び第2の管の一部分上に延在する溶接スカート部(weld skirt)と、を含む。
【0099】
実施例6において、実施例1〜5のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜5のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接スカート部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記溶接境界部の少なくとも一部分上に延在する。
【0100】
実施例7において、実施例1〜6のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜6のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記溶接境界部によって境界を定められたテーパ状溶接凹部(tapered weld recess)を含み、前記テーパ状溶接凹部は、前記第1及び第2の管の内径部に近接する凹部底(recess root)から前記第1及び第2の管の外径部に近接する凹部開口までテーパ状になっている。
【0101】
実施例8において、実施例1〜7のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜7のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記溶接境界部によって境界を定められたテーパ状溶接凹部を含み、前記テーパ状溶接凹部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する凹部底から前記第1及び第2の管の内径部に近接する凹部開口までテーパ状になっている。
【0102】
実施例9において、実施例1〜8のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜8のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接境界セグメントは、前記内径部の近傍から前記外径部の近傍まで横方向に延在する溶接床(weld bed)に含まれ、前記溶接床は、前記溶接溶融領域に沿って延在する溶接床天井部と、対応する第1または第2の管の基材に沿って延在する溶接床フロア部(weld bed floor)と、を含む。
【0103】
実施例10において、実施例1〜9のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜9のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記管アセンブリは、溶接された形態および加工硬化された形態を含み、溶接された形態では、前記それぞれの端部に近接する前記第1及び第2の管は、前記第1及び第2の管の全体輪郭(overall profile)に対して異なる端部輪郭を有し、前記溶接溶融領域は、前記溶接境界セグメント間にあり、前記加工硬化された形態では、前記端部輪郭を有する前記第1及び第2の管の各々の端部は、前記第1及び第2の管の全体輪郭に一致するように前記溶接された形態に対して変形され、前記溶接溶融領域、前記溶接境界セグメント、及び前記溶接境界部に近接する前記第1及び第2の管の各々は、前記変形に基づいて加工硬化される。
【0104】
実施例11において、実施例1〜10のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜10のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接された形態における端部輪郭は、前記第1及び第2の管の全体輪郭と比較して大きい。
【0105】
実施例12において、実施例1〜11のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜11のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接溶融領域は、自生溶接または溶接充填材(weld filler)および再固化された基材のうちの1つ以上を含む。
【0106】
実施例13において、実施例1〜12のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜12のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、管アセンブリを含み、該管アセンブリは、それぞれの端部で結合するように構成された少なくとも第1の管および第2の管であって、所定の機械的特性を有する基材と、前記それぞれの端部における段階的な溶接境界部と、をそれぞれ含む前記少なくとも第1の管および第2の管と、前記第1及び第2の管の各々の基材を結合する加工硬化された溶接アセンブリであって、床部底から床部開口まで横方向に延在する溶接床であって、前記床部底から前記床部開口まで延びる前記第1及び第2の管の各々の段階的な溶接境界部を含む前記溶接床と、前記床部底と前記床部開口との間の前記溶接床に沿って結合された溶接溶融領域と、を含む前記溶接アセンブリと、を備え、前記溶接溶融領域は、前記床部底から前記床部開口まで加工硬化され、前記第1及び第2の管の段階的な溶接境界を含む前記溶接床は、前記溶接溶融領域と、前記基材との間で加工硬化される。
【0107】
実施例14において、実施例1〜13のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜13のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記段階的な溶接境界部は、前記第1及び第2の管の外径部の近傍から内径部の近傍まで連続的に加工硬化される。
【0108】
実施例15において、実施例1〜14のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜14のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記所定の機械的特性は、所定の強度を含み、加工硬化された前記溶接アセンブリは、少なくとも前記溶接溶融領域および前記段階的な溶接境界部を含み、前記基材の所定の強度に近い加工硬化された強度を有する。
【0109】
実施例16において、実施例1〜15のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜15のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接溶融領域は、前記段階的な溶接境界部上にあり、前記基材は、前記段階的な溶接境界部の下にある。
【0110】
実施例17において、実施例1〜16のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜16のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接溶融領域は、前記床部底から前記床部開口まで横方向に延び、前記段階的な溶接境界部に近接する前記基材は、前記床部開口から前記床部底まで横方向に延び、前記段階的な溶接境界部は、前記溶接溶融領域と前記基材との間に積層される。
【0111】
実施例18において、実施例1〜17のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜17のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接溶融領域は、前記床部底と前記床部開口との間の段階的な溶接境界部に沿って延在するベース溶接部と、前記段階的な溶接境界部に近接する前記第1及び第2の管の一部分上に延在する溶接スカート部と、を含む。
【0112】
実施例19において、実施例1〜18のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜18のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接スカート部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記段階的な溶接境界部の少なくとも一部上に延在する。
【0113】
実施例20において、実施例1〜19のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜19のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記溶接床によって境界を定められたテーパ状溶接凹部を含み、前記テーパ状溶接凹部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記床部開口から前記第1及び第2の管の内径部に近接する前記床部底までテーパ状になっている。
【0114】
実施例21において、実施例1〜20のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜20のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記溶接床によって境界を定められたテーパ状溶接凹部を含み、前記テーパ状溶接凹部は、前記第1及び第2の管の内径部に近接する前記床部開口から前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記床部底までテーパ状になっている。
【0115】
実施例22において、実施例1〜21のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜21のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接溶融領域は、前記溶接溶融領域に沿って延在する溶接床天井部と、対応する第1または第2の管の基材に沿って延在する溶接床フロア部と、を含む。
【0116】
実施例23において、実施例1〜22のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜22のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記段階的な溶接境界部を含む前記溶接床は、前記溶接溶融領域と前記基材との間に積層されている。
【0117】
実施例24において、実施例1〜23のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜23のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接溶融領域は、自生溶接または溶接充填材および再固化された基材のうちの1つ以上を含む。
【0118】
実施例25において、実施例1〜24のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜24のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、管アセンブリを含む供給パイプライン(umbilical)を含む。
【0119】
実施例26において、実施例1〜25のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜25のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、管アセンブリを含み、該管アセンブリは、それぞれの端部で結合するように構成された少なくとも第1の管および第2の管であって、所定の機械的特性を有する基材と、前記それぞれの端部における溶接境界部であって、前記第1および第2の管の内径部および外径部に近接し、それらの間に延在する溶接境界セグメントを含む、前記溶接境界部と、をそれぞれ含む前記少なくとも第1の管および第2の管と、前記第1および第2の管の各々の基材を結合する溶接アセンブリであって、該溶接アセンブリは、少なくとも前記溶接境界セグメントを含み、溶接された形態および加工硬化された形態を有する、前記溶接アセンブリと、を備え、前記溶接された形態では、前記それぞれの端部に近接する前記第1及び第2の管は、前記第1及び第2の管の全体輪郭に対して異なる端部輪郭を有し、前記加工硬化された形態では、前記端部輪郭を有する前記第1及び第2の管の各々の端部は、前記溶接された形態に対して変形され、少なくとも前記溶接境界セグメント、及び前記溶接境界部に近接する前記第1及び第2の管は、前記変形に基づいて加工硬化される。
【0120】
実施例27において、実施例1〜26のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜26のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接境界セグメントは、前記第1及び第2の管の外径部の近傍から内径部の近傍まで連続的に加工硬化される。
【0121】
実施例28において、実施例1〜27のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜27のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記所定の機械的特性は、所定の強度を含み、前記加工硬化された形態における前記溶接アセンブリは、少なくとも前記溶接境界セグメントを含み、前記基材の所定の強度に近い加工硬化された強度を有する。
【0122】
実施例29において、実施例1〜28のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜28のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接アセンブリは、前記溶接境界セグメント間に溶接溶融領域を含む。
【0123】
実施例30において、実施例1〜29のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜29のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接溶融領域は、自生溶接または溶接充填材および再固化された基材のうちの1つ以上を含む。
【0124】
実施例31において、実施例1〜30のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜30のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接溶融領域は、前記外径部と前記内径部との間の溶接境界部に沿って延在するベース溶接部と、前記溶接境界部に近接する第1及び第2の管の一部分上に延在する溶接スカート部と、を含む。
【0125】
実施例32において、実施例1〜31のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜31のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接スカート部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記溶接境界部の少なくとも一部分上に延在する。
【0126】
実施例33において、実施例1〜32のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜32のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接境界セグメント、前記溶接溶融領域、ならびに前記溶接境界部に近接する前記第1及び第2の管の各々が、前記変形に基づいて加工硬化される。
【0127】
実施例34において、実施例1〜33のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜33のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接された形態における前記それぞれの端部に近接した第1および第2の管の端部輪郭は、前記第1及び第2の管の全体輪郭よりも大きい。
【0128】
実施例35において、実施例1〜34のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜34のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記端部輪郭を有する前記第1及び第2の管の各々の端部は、前記溶接された形態に対して変形されて、前記第1及び第2の管の全体輪郭に一致する。
【0129】
実施例36において、実施例1〜35のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜35のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、少なくとも第1の管および第2の管を結合する方法を含み、該少なくとも第1の管および第2の管を結合する方法は、第1及び第2の管を溶接することであって、該溶接することは、前記第1及び第2の管の各々の端部の溶接境界部によって境界を定められた溶接凹部を溶接溶融領域で少なくとも満たすこと、を含み、前記溶接境界部は、前記第1及び第2の管の外径部の近傍から内径部に向かって延び、前記溶接凹部内の溶接溶融領域は、前記第1及び第2の管の溶接境界部の各々における局所的な熱作用領域に近接している、前記溶接すること、少なくとも前記溶接溶融領域及び前記溶接境界部の局所的な熱作用領域を含む溶接アセンブリを加工硬化することであって、該溶接アセンブリを加工硬化することは、少なくとも前記溶接凹部内の前記溶接溶融領域を変形させること、少なくとも前記溶接凹部内の前記溶接溶融領域の変形に伴って前記局所的な熱作用領域の各々を変形させること、を含み、前記溶接溶融領域及びと局所的な熱作用領域の各々の変形は同時に実行される。
【0130】
実施例37において、実施例1〜36のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜36のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記局所的な熱作用領域の各々を変形させることは、前記局所的な熱作用領域上にある前記溶接溶融領域を変形させること、を含む。
【0131】
実施例38において、実施例1〜37のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜37のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記局所的な熱作用領域は、前記溶接溶融領域と前記第1及び第2の管の基材との間にあり、前記局所的な熱作用領域の各々を変形させることは、前記溶接溶融領域を前記局所的な熱作用領域に向かって変形させること、を含む。
【0132】
実施例39において、実施例1〜38のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜38のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接溶融領域および前記局所的な熱作用領域を加工硬化することは、前記第1及び第2の管の内径部に沿って前記第1及び第2の管の基材を支持すること、を含む。
【0133】
実施例40において、実施例1〜39のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜39のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接溶融領域および前記溶接境界部の局所的な熱作用領域を加工硬化することは、前記溶接溶融領域および前記局所的な熱作用領域を前記外径部の近傍から前記内径部の近傍まで連続的に加工硬化すること、を含む。
【0134】
実施例41において、実施例1〜40のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜40のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接溶融領域および前記溶接境界部の局所的な熱作用領域を加工硬化することは、前記溶接溶融領域および前記局所的な熱作用領域を前記外径部から前記内径部まで連続的に加工硬化すること、を含む。
【0135】
実施例42において、実施例1〜41のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜41のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記第1及び第2の管は、所定の強度を有する基材を含み、前記溶接アセンブリを加工硬化することは、前記溶接アセンブリを前記基材の所定の強度に近い加工硬化された強度に加工硬化すること、を含む。
【0136】
実施例43において、実施例1〜42のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜42のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記第1及び第2の管の各々の端部の溶接境界部を、前記外径部の近傍から前記内径部の近傍に向かって細くすることを備え、前記溶接凹部は、前記溶接境界部の先細りに対応するテーパ状溶接凹部を含む。
【0137】
実施例44において、実施例1〜43のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜43のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記少なくとも溶接凹部を満たすことは、前記テーパ状溶接凹部を前記溶接溶融領域のベース溶接部で満たすこと、前記溶接溶融領域、および前記外径部に近接した前記第1及び第2の管の一部分を前記溶接溶融領域の溶接スカート部で覆うこと、を含む。
【0138】
実施例45において、実施例1〜44のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜44のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、少なくとも前記溶接凹部内の前記溶接溶融領域を変形させることは、前記ベース溶接部および前記溶接スカート部を変形させること、を含む。
【0139】
実施例46において、実施例1〜45のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜45のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接スカート部は、前記第1及び第2の管の外径部上に所定の高さで延在しており、前記ベース溶接部および前記溶接スカート部を変形させることは、前記溶接スカートを、前記所定の高さから前記外径部に対して平坦な構成に変形させること、を含み、前記溶接スカート部を、前記所定の高さから前記平坦な構成に変形させることは、前記溶接溶融領域および前記局所的な熱作用領域を含む前記溶接アセンブリの強度を、前記第1及び第2の管の基材の所定の強度に近い加工硬化された強度に増加させる。
【0140】
実施例47において、実施例1〜46のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜46のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接スカート部を、前記所定の高さを有する平坦な構成に成形すること、を備える。
【0141】
実施例48において、実施例1〜47のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜47のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記第1及び第2の管の全体輪郭に対して前記第1及び第2の管の各々の端部の端部輪郭を変化させること、を備える。
【0142】
実施例49において、実施例1〜48のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜48のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記溶接アセンブリを加工硬化することは、各端部の変化した端部輪郭に対して前記第1及び第2の管の端部輪郭を変形させること、を含む。
【0143】
実施例50において、実施例1〜49のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜49のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記端部輪郭を変化させることは、前記全体輪郭に対して前記端部輪郭を圧縮または拡張すること、を含む。
【0144】
実施例51において、実施例1〜50のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜50のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、供給パイプラインアセンブリを含み、該供給パイプラインアセンブリは、シースを貫通する内部通路を含むシースと、前記内部通路内の複数の管アセンブリであって、それぞれの端部で結合するように構成された少なくとも第1の管および第2の管をそれぞれ含む前記複数の管アセンブリと、前記第1及び第2の管の各々の基材を結合する加工硬化された溶接アセンブリであって、前記第1の管および第2の管の溶接境界部間の溶接溶融領域であって、前記第1及び第の管の内径部と外径部との間に延びる前記溶接溶融領域と、前記第1及び第2の管の溶接境界部と、を含む、前記溶接アセンブリと、を備え、前記溶接溶融領域は、加工硬化され、前記第1及び第2の管の少なくとも溶接境界部は、前記加工硬化された溶接溶融領域と、前記第1及び第2の管の基材との間で加工硬化される。
【0145】
実施例52において、実施例1〜51のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜51のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記複数の管アセンブリは、複数のフローライン、複数の油圧制御ライン、複数の注入化学ライン、複数の電力またはデータラインなどのうちの1つ以上を含む。
【0146】
実施例53において、実施例1〜52のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜52のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、少なくとも前記溶接溶融領域及び前記溶接境界部を含む前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記基材の所定の機械的特性に近い加工硬化機械的特性を含む。
【0147】
実施例54において、実施例1〜53のいずれか1項を含むかまたは任意選択で実施例1〜53のいずれか1項に組み合わされて、任意選択で、前記加工硬化された溶接アセンブリおよび前記基材の各々は、少なくとも90000psiの降伏強度を有する。
【0148】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面への参照を含む。図面は、例示として、本開示を実施することができる複数の特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも呼称される。そのような複数の例は、図示または記載されたものに加えて複数の要素を含み得る。しかしながら、本発明者らはまた、図示または説明されているこれら要素のみが提供されている複数の例を企図している。さらに、本発明者らはまた、特定の例(またはその1つまたは複数の態様)に関して、あるいは本明細書に図示されまたは説明された他の例(またはその1つまたは複数の態様)に関して、図示または説明された複数の要素(またはその1つまたは複数の態様)の任意の組合せまたは置換を使用した複数の例も企図する。
【0149】
この明細書と参照により組み込まれている任意の文書との間に矛盾した用法がある場合には、この明細書での用法が用いられる。
本明細書では、特許文書において一般的であるように、用語「a」または「an」は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」の他のインスタンスまたは使用法とは無関係に、1つまたは複数を含むように使用される。本明細書では、「または」という用語は、排他的な「または」を示すように使用され、「AまたはB」は、特に明記しない限り、「AではなくB」、「BではなくA」および「AおよびB」を含む。本明細書では、「含む(including)」および「その中で(in which)」という用語は、対応する用語「備える(comprising)」および「その中で(wherein)」の平易な英語の等価物として使用されている。また、添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語は、制限はなく、すなわち、請求項においてそのような用語の後に列挙されたものに加えて複数の要素を含むシステム、装置、物品、組成物、配合物、またはプロセスは、依然としてその請求項の範囲内にあると見なされる。さらに、添付の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は単にラベルとして使用されており、それらの対象に数値要件を課すことを意図しない。
【0150】
上記の説明は例示的であり、限定的ではない。例えば、上述の複数の例(またはその1つまたは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。上記の説明を検討すると、例えば、当業者によって、他の実施形態が使用され得る。要約は、37 C.F.R. §1.72(b)に準拠するように提供され、技術的開示の性質を読者によって迅速に確認できる。要約は、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されていないとの理解のもとに提出されている。また、上記の詳細な説明では、開示を簡素化するために様々な特徴を一緒にグループ化されてもよい。これは、請求されていない開示された機能がいかなる請求項にも不可欠であると意図していると解釈されるべきではない。むしろ、発明対象は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴にあるかもしれない。したがって、添付の特許請求の範囲は、実施例または実施形態として詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、それぞれ独立した実施形態として独立し、そのような複数の実施形態は、様々な組み合わせまたは置換で互いに組み合わせることができると考えられる。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲と共に判定されるべきである。
以下に、上記各実施形態から把握できる技術思想を記載する。
(付記1)
管アセンブリであって、
それぞれの端部で結合するように構成された少なくとも第1の管および第2の管であって、
所定の機械的特性を有する基材と、
前記それぞれの端部における溶接境界部であって、該溶接境界部は、前記第1および第2の管の内径部および外径部に近接し、それらの間に延在する溶接境界セグメントを含む、前記溶接境界部と、をそれぞれ含む前記少なくとも第1の管および第2の管と、
前記第1及び第2の管の各々の基材を結合する加工硬化された溶接アセンブリであって、
前記第1の管および第2の管の溶接境界部間の溶接溶融領域であって、前記内径部と前記外径部との間に延びる前記溶接溶融領域と、
前記第1及び第2の管の溶接境界セグメントと、を含む前記溶接アセンブリと、を備え、
前記溶接溶融領域は、加工硬化され、前記第1及び第2の管の少なくとも溶接境界セグメントは、前記加工硬化された溶接溶融領域と、前記第1及び第2の管の基材との間で加工硬化される、管アセンブリ。
(付記2)
前記溶接境界セグメントは、前記第1及び第2の管の外径部の近傍から内径部の近傍まで連続的に加工硬化される、付記1に記載の管アセンブリ。
(付記3)
前記第1及び第2の管の各々は、前記溶接溶融領域から離間した前記溶接境界部の熱作用ビードを含む、付記1に記載の管アセンブリ。
(付記4)
前記所定の機械的特性は、所定の強度を含み、
加工硬化された前記溶接アセンブリは、少なくとも前記溶接溶融領域および前記溶接境界セグメントを含み、前記基材の所定の強度に近い加工硬化強度を有する、付記1に記載の管アセンブリ。
(付記5)
前記溶接溶融領域は、
前記外径部と前記内径部との間の溶接境界部に沿って延在するベース溶接部と、
前記溶接境界部に近接する第1及び第2の管の一部分上に延在する溶接スカート部と、を含む、付記1に記載の管アセンブリ。
(付記6)
前記溶接スカート部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記溶接境界部の少なくとも一部分上に延在する、付記5に記載の管アセンブリ。
(付記7)
前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記溶接境界部によって境界を定められたテーパ状溶接凹部を含み、
前記テーパ状溶接凹部は、前記第1及び第2の管の内径部に近接する凹部底から前記第1及び第2の管の外径部に近接する凹部開口までテーパ状になっている、付記1に記載の管アセンブリ。
(付記8)
前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記溶接境界部によって境界を定められたテーパ状溶接凹部を含み、
前記テーパ状溶接凹部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する凹部底から前記第1及び第2の管の内径部に近接する凹部開口までテーパ状になっている、付記1に記載の管アセンブリ。
(付記9)
前記溶接境界セグメントは、前記内径部の近傍から前記外径部の近傍まで横方向に延在する溶接床に含まれ、
前記溶接床は、
前記溶接溶融領域に沿って延在する溶接床天井部と、
対応する第1または第2の管の基材に沿って延在する溶接床フロア部と、を含む、付記1に記載の管アセンブリ。
(付記10)
前記管アセンブリは、溶接された形態および加工硬化された形態を含み、
溶接された形態では、前記それぞれの端部に近接する前記第1及び第2の管は、前記第1及び第2の管の全体輪郭に対して異なる端部輪郭を有し、前記溶接溶融領域は、前記溶接境界セグメント間にあり、
前記加工硬化された形態では、前記端部輪郭を有する前記第1及び第2の管の各々の端部は、前記第1及び第2の管の全体輪郭に一致するように前記溶接された形態に対して変形され、前記溶接溶融領域、前記溶接境界セグメント、及び前記溶接境界部に近接する前記第1及び第2の管の各々は、前記変形に基づいて加工硬化される、付記1に記載の管アセンブリ。
(付記11)
前記溶接された形態における端部輪郭は、前記第1及び第2の管の全体輪郭と比較して大きい、付記10に記載の管アセンブリ。
(付記12)
前記溶接溶融領域は、自生溶接または溶接充填材および再固化された基材のうちの1つ以上を含む、付記10に記載の管アセンブリ。
(付記13)
管アセンブリであって、
それぞれの端部で結合するように構成された少なくとも第1の管および第2の管であって、
所定の機械的特性を有する基材と、
前記それぞれの端部における段階的な溶接境界部と、をそれぞれ含む前記少なくとも第1の管および第2の管と、
前記第1及び第2の管の各々の基材を結合する加工硬化された溶接アセンブリであって、
床部底から床部開口まで横方向に延在する溶接床であって、前記床部底から前記床部開口まで延びる前記第1及び第2の管の各々の段階的な溶接境界部を含む前記溶接床と、
前記床部底と前記床部開口との間の前記溶接床に沿って結合された溶接溶融領域と、を含む前記溶接アセンブリと、を備え、
前記溶接溶融領域は、前記床部底から前記床部開口まで加工硬化され、前記第1及び第2の管の段階的な溶接境界部を含む前記溶接床は、前記溶接溶融領域と、前記基材との間で加工硬化される、管アセンブリ。
(付記14)
前記段階的な溶接境界部は、前記第1及び第2の管の外径部の近傍から内径部の近傍まで連続的に加工硬化される、付記13に記載の管アセンブリ。
(付記15)
前記所定の機械的特性は、所定の強度を含み、
加工硬化された前記溶接アセンブリは、少なくとも前記溶接溶融領域および前記段階的な溶接境界部を含み、前記基材の所定の強度に近い加工硬化された強度を有する、付記13に記載の管アセンブリ。
(付記16)
前記溶接溶融領域は、前記段階的な溶接境界部上にあり、前記基材は、前記段階的な溶接境界部の下にある、付記13に記載の管アセンブリ。
(付記17)
前記溶接溶融領域は、前記床部底から前記床部開口まで横方向に延び、前記段階的な溶接境界部に近接する前記基材は、前記床部開口から前記床部底まで横方向に延び、前記段階的な溶接境界部は、前記溶接溶融領域と前記基材との間に積層される、付記13に記載の管アセンブリ。
(付記18)
前記溶接溶融領域は、
前記床部底と前記床部開口との間の段階的な溶接境界部に沿って延在するベース溶接部と、
前記段階的な溶接境界部に近接する前記第1及び第2の管の一部分上に延在する溶接スカート部と、を含む、付記13に記載の管アセンブリ。
(付記19)
前記溶接スカート部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記段階的な溶接境界部の少なくとも一部上に延在する、付記13に記載の管アセンブリ。
(付記20)
前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記溶接床によって境界を定められたテーパ状溶接凹部を含み、
前記テーパ状溶接凹部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記床部開口から前記第1及び第2の管の内径部に近接する前記床部底までテーパ状になっている、付記13に記載の管アセンブリ。
(付記21)
前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記溶接床によって境界を定められたテーパ状溶接凹部を含み、
前記テーパ状溶接凹部は、前記第1及び第2の管の内径部に近接する前記床部開口から前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記床部底までテーパ状になっている、付記13に記載の管アセンブリ。
(付記22)
前記溶接溶融領域は、
前記溶接溶融領域に沿って延在する溶接床天井部と、
対応する第1または第2の管の基材に沿って延在する溶接床フロア部と、を含む、付記1に記載の管アセンブリ。
(付記23)
前記段階的な溶接境界部を含む前記溶接床は、前記溶接溶融領域と前記基材との間に積層されている、付記13に記載の管アセンブリ。
(付記24)
前記溶接溶融領域は、自生溶接または溶接充填材および再固化された基材のうちの1つ以上を含む、付記13に記載の管アセンブリ。
(付記25)
付記13に記載の管アセンブリを含む供給パイプライン。
(付記26)
管アセンブリであって、
それぞれの端部で結合するように構成された少なくとも第1の管および第2の管であって、
所定の機械的特性を有する基材と、
前記それぞれの端部における溶接境界部であって、前記第1および第2の管の内径部および外径部に近接し、それらの間に延在する溶接境界セグメントを含む、前記溶接境界部と、をそれぞれ含む前記少なくとも第1の管および第2の管と、
前記第1および第2の管の各々の基材を結合する溶接アセンブリであって、該溶接アセンブリは、少なくとも前記溶接境界セグメントを含み、溶接された形態および加工硬化された形態を有する、前記溶接アセンブリと、を備え、
前記溶接された形態では、前記それぞれの端部に近接する前記第1及び第2の管は、前記第1及び第2の管の全体輪郭に対して異なる端部輪郭を有し、
前記加工硬化された形態では、前記端部輪郭を有する前記第1及び第2の管の各々の端部は、前記溶接された形態に対して変形され、少なくとも前記溶接境界セグメント、及び前記溶接境界部に近接する前記第1及び第2の管は、前記変形に基づいて加工硬化される、管アセンブリ。
(付記27)
前記溶接境界セグメントは、前記第1及び第2の管の外径部の近傍から内径部の近傍まで連続的に加工硬化される、付記26に記載の管アセンブリ。
(付記28)
前記所定の機械的特性は、所定の強度を含み、
前記加工硬化された形態における前記溶接アセンブリは、少なくとも前記溶接境界セグメントを含み、前記基材の所定の強度に近い加工硬化された強度を有する、付記26に記載の管アセンブリ。
(付記29)
前記溶接アセンブリは、前記溶接境界セグメント間に溶接溶融領域を含む、付記26に記載の管アセンブリ。
(付記30)
前記溶接溶融領域は、自生溶接または溶接充填材および再固化された基材のうちの1つ以上を含む、付記29に記載の管アセンブリ。
(付記31)
前記溶接溶融領域は、
前記外径部と前記内径部との間の溶接境界部に沿って延在するベース溶接部と、
前記溶接境界部に近接する第1及び第2の管の一部分上に延在する溶接スカート部と、を含む、付記30に記載の管アセンブリ。
(付記32)
前記溶接スカート部は、前記第1及び第2の管の外径部に近接する前記溶接境界部の少なくとも一部分上に延在する、付記31に記載の管アセンブリ。
(付記33)
前記溶接境界セグメント、前記溶接溶融領域、ならびに前記溶接境界部に近接する前記第1及び第2の管の各々が、前記変形に基づいて加工硬化される、付記29に記載の管アセンブリ。
(付記34)
前記溶接された形態における前記それぞれの端部に近接した第1および第2の管の端部輪郭は、前記第1及び第2の管の全体輪郭よりも大きい、付記26に記載の管アセンブリ。
(付記35)
前記端部輪郭を有する前記第1及び第2の管の各々の端部は、前記溶接された形態に対して変形されて、前記第1及び第2の管の全体輪郭に一致する、付記26に記載の管アセンブリ。
(付記36)
少なくとも第1の管および第2の管を結合する方法であって、
第1及び第2の管を溶接することであって、
該溶接することは、前記第1及び第2の管の各々の端部の溶接境界部によって境界を定められた溶接凹部を溶接溶融領域で少なくとも満たすこと、を含み、前記溶接境界部は、前記第1及び第2の管の外径部の近傍から内径部に向かって延び、
前記溶接凹部内の溶接溶融領域は、前記第1及び第2の管の溶接境界部の各々における局所的な熱作用領域に近接している、前記溶接すること、
少なくとも前記溶接溶融領域及び前記溶接境界部の局所的な熱作用領域を含む溶接アセンブリを加工硬化することであって、該溶接アセンブリを加工硬化することは、
少なくとも前記溶接凹部内の前記溶接溶融領域を変形させること、
少なくとも前記溶接凹部内の前記溶接溶融領域の変形に伴って前記局所的な熱作用領域の各々を変形させること、を含み、前記溶接溶融領域及びと局所的な熱作用領域の各々の変形は同時に実行される、前記溶接アセンブリを加工硬化すること、を備える方法。
(付記37)
前記局所的な熱作用領域の各々を変形させることは、
前記局所的な熱作用領域上にある前記溶接溶融領域を変形させること、を含む、付記36に記載の方法。
(付記38)
前記局所的な熱作用領域は、前記溶接溶融領域と前記第1及び第2の管の基材との間にあり、
前記局所的な熱作用領域の各々を変形させることは、
前記溶接溶融領域を前記局所的な熱作用領域に向かって変形させること、を含む、付記36に記載の方法。
(付記39)
前記溶接溶融領域および前記局所的な熱作用領域を加工硬化することは、
前記第1及び第2の管の内径部に沿って前記第1及び第2の管の基材を支持すること、を含む、付記38に記載の方法。
(付記40)
前記溶接溶融領域および前記溶接境界部の局所的な熱作用領域を加工硬化することは、
前記溶接溶融領域および前記局所的な熱作用領域を前記外径部の近傍から前記内径部の近傍まで連続的に加工硬化すること、を含む、付記36に記載の方法。
(付記41)
前記溶接溶融領域および前記溶接境界部の局所的な熱作用領域を加工硬化することは、
前記溶接溶融領域および前記局所的な熱作用領域を前記外径部から前記内径部まで連続的に加工硬化すること、を含む、付記36に記載の方法。
(付記42)
前記第1及び第2の管は、所定の強度を有する基材を含み、
前記溶接アセンブリを加工硬化することは、
前記溶接アセンブリを前記基材の所定の強度に近い加工硬化された強度に加工硬化すること、を含む、付記36に記載の方法。
(付記43)
前記第1及び第2の管の各々の端部の溶接境界部を、前記外径部の近傍から前記内径部の近傍に向かって細くすることを備え、
前記溶接凹部は、前記溶接境界部の先細りに対応するテーパ状溶接凹部を含む、付記36に記載の方法。
(付記44)
前記少なくとも溶接凹部を満たすことは、
前記テーパ状溶接凹部を前記溶接溶融領域のベース溶接部で満たすこと、
前記溶接溶融領域、および前記外径部に近接した前記第1及び第2の管の一部分を前記溶接溶融領域の溶接スカート部で覆うこと、を含む、付記43に記載された方法。
(付記45)
少なくとも前記溶接凹部内の前記溶接溶融領域を変形させることは、
前記ベース溶接部および前記溶接スカート部を変形させること、を含む、付記44に記載の方法。
(付記46)
前記溶接スカート部は、前記第1及び第2の管の外径部上に所定の高さで延在しており、
前記ベース溶接部および前記溶接スカート部を変形させることは、
前記溶接スカートを、前記所定の高さから前記外径部に対して平坦な構成に変形させること、を含み、
前記溶接スカート部を、前記所定の高さから前記平坦な構成に変形させることは、
前記溶接溶融領域および前記局所的な熱作用領域を含む前記溶接アセンブリの強度を、前記第1及び第2の管の基材の所定の強度に近い加工硬化された強度に増加させる、付記45に記載の方法。
(付記47)
前記溶接スカート部を、前記所定の高さを有する平坦な構成に成形すること、を備える付記44に記載の方法。
(付記48)
前記第1及び第2の管の全体輪郭に対して前記第1及び第2の管の各々の端部の端部輪郭を変化させること、を備える付記36に記載の方法。
(付記49)
前記溶接アセンブリを加工硬化することは、
各端部の変化した端部輪郭に対して前記第1及び第2の管の端部輪郭を変形させること、を含む、付記48に記載の方法。
(付記50)
前記端部輪郭を変化させることは、
前記全体輪郭に対して前記端部輪郭を圧縮または拡張すること、を含む、付記48に記載の方法。
(付記51)
供給パイプラインアセンブリであって、
被覆管を貫通する内部通路を含む被覆管と、
前記内部通路内の複数の管アセンブリであって、それぞれの端部で結合するように構成された少なくとも第1の管および第2の管をそれぞれ含む前記複数の管アセンブリと、
前記第1及び第2の管の各々の基材を結合する加工硬化された溶接アセンブリであって、
前記第1の管および第2の管の溶接境界部間の溶接溶融領域であって、前記第1及び第の管の内径部と外径部との間に延びる前記溶接溶融領域と、
前記第1及び第2の管の溶接境界部と、を含む、前記溶接アセンブリと、を備え、
前記溶接溶融領域は、加工硬化され、前記第1及び第2の管の少なくとも溶接境界部は、前記加工硬化された溶接溶融領域と、前記第1及び第2の管の基材との間で加工硬化される、供給パイプラインアセンブリ。
(付記52)
前記複数の管アセンブリは、複数のフローライン、複数の油圧制御ライン、複数の注入化学ライン、複数の電力またはデータラインなどのうちの1つ以上を含む、付記51に記載の供給パイプラインアセンブリ。
(付記53)
少なくとも前記溶接溶融領域及び前記溶接境界部を含む前記加工硬化された溶接アセンブリは、前記基材の所定の機械的特性に近い加工硬化機械的特性を含む、付記51に記載の供給パイプラインアセンブリ。
(付記54)
前記加工硬化された溶接アセンブリおよび前記基材の各々は、少なくとも90000psiの降伏強度を有する、付記51に記載の供給パイプラインアセンブリ。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A-1】
図7A-2】
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11