(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検知手段によって検知される前記操作部材の操作量が所定量以上であるときに所定の作動開始条件が成立したか否かを判定し、成立と判定された場合に前記保持手段の前記電磁石を励磁状態に切り替える制御手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機用発射ハンドル。
前記制御手段は、前記検知手段によって検知される前記操作部材の操作量が所定量以上であるときに前記操作部材が所定の移動停止状態となっている時間を計測するタイマ手段を備え、前記タイマ手段による計測時間が所定の基準時間を超えた場合に前記保持手段の前記電磁石を励磁状態に切り替えることを特徴とする請求項3に記載の遊技機用発射ハンドル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この問題を解消する技術としては、特許文献1のような技術が提案されている。特許文献1で開示される発射操作装置は、遊技者が付勢に抗して発射操作部を操作させた後、補助操作部を押圧操作することにより、発射操作部において初期位置への付勢力に対する抗力が生じるようになっている。このような効力により、発射操作部を所望の回転位置に保持している。しかし、特許文献1の構成は発射操作部の近傍に多数の機械的構成を配置しなければならず、組み立ても複雑化しやすいという問題がある。
【0006】
他方、特許文献2のような技術も提案されている。特許文献2で開示される弾球遊技機の発射ハンドルは、操作部と一体的に回動する金属体とハンドル固定電磁石とによって電気的ブレーキを構成している。しかし、特許文献2の構成は、操作部に金属板を取り付け、これと対向させてハンドル固定電磁石を配置する構成に制限されてしまい、設計上の自由度が小さいという問題がある。操作部の近傍に大掛かりや金属板や電磁石を設けることが望ましくない事情がある場合には特に不利になる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、操作部材を移動操作させた場合に、より軽微な力で操作部材を保持することができる構成を、より簡易に且つ電気的な制御が可能な構成で実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
遊技球を遊技領域に向けて発射する際に遊技者が操作する遊技機用発射ハンドルであって、
遊技機の枠体の前面側に取り付けられるハンドル本体と、
前記ハンドル本体に対して、基準位置から所定方向に所定の範囲内で相対的に移動可能に配置された操作部材と、
前記操作部材を前記基準位置側に向かう方向に付勢する付勢部材と、
前記操作部材の操作量を検知する検知手段と、
磁気粘性流体を収容する収容部と、前記操作部材の移動と連動して変位すると共に、少なくとも一部が前記収容部内において前記磁気粘性流体に浸漬された状態で配置される変位部と、励磁状態と非励磁状態とに切り替え可能に構成され励磁状態のときに前記磁気粘性流体に及ぶ磁束を発生させる電磁石と、を備え、前記電磁石の励磁状態のときに非励磁状態のときよりも前記磁気粘性流体の粘度が上昇する構成をなす保持手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の遊技機用発射ハンドルは保持手段を備える。この保持手段は、磁気粘性流体を収容する収容部と、操作部材の移動と連動して変位すると共に、少なくとも一部が収容部内において磁気粘性流体に浸漬された状態で配置される変位部と、励磁状態と非励磁状態とに切り替え可能に構成され励磁状態のときに磁気粘性流体に及ぶ磁束を発生させる電磁石とを備える。そして、電磁石の励磁状態のときに非励磁状態のときよりも磁気粘性流体の粘度が上昇する構成をなす。
【0010】
この構成では、電磁石が非励磁状態のときに磁気粘性流体の粘度が相対的に低くなるため、このときには変位部の移動に伴う流体の摩擦抵抗が小さくなる。つまり、変位部が移動しやすくなるため、変位部と連動する操作部材に対して相対的に弱い力で移動操作させ易くなる。このように、非励磁状態のときには操作部材に対する操作を行い易くすることができる。言い換えれば、非励磁状態のときには操作部材は、抵抗を感じることもなくスムーズに操作することができる。
【0011】
一方、電気的な制御によって電磁石を励磁状態に切り替えたときには磁気粘性流体の粘度が相対的に高くなるため、このときには変位部の移動に伴う流体の摩擦抵抗が大きくなる。つまり、変位部が移動しにくくなるため、変位部と連動する操作部材を移動操作させにくくすることができる。このときには、より軽微な力で操作部材を保持することが可能となる。しかも、このような操作部材の保持を、より簡易な構成で実現することができ、電気的な制御が可能なため保持力をフリー状態から完全保持まで無段階で調整することができる。
【0012】
本発明は、
遊技球を遊技領域に向けて発射する際に遊技者が操作する遊技機用発射ハンドルであって、
遊技機の枠体の前面側に取り付けられるハンドル本体と、
前記ハンドル本体に対して、所定方向の回転軸線周りで且つ回転基準位置から所定の回転角度範囲内で相対的に回転可能に配置された操作部材と、
前記操作部材を前記回転基準位置側に向かう回転方向に付勢する付勢部材と、
前記操作部材の回転量を検知する検知手段と、
磁気粘性流体を収容する収容部と、前記操作部材の回転と連動して変位すると共に、少なくとも一部が前記収容部内において前記磁気粘性流体に浸漬された状態で配置される変位部と、励磁状態と非励磁状態とに切り替え可能に構成され励磁状態のときに前記磁気粘性流体に及ぶ磁束を発生させる電磁石と、を備え、前記電磁石の励磁状態のときに非励磁状態のときよりも前記磁気粘性流体の粘度が上昇する構成をなす保持手段と、
を有することを特徴とする構成としてもよい。
【0013】
本発明の遊技機用発射ハンドルは、検知手段によって検知される操作部材の操作量が所定量以上であるときに所定の作動開始条件が成立したか否かを判定し、成立と判定された場合に保持手段の電磁石を励磁状態に切り替える制御手段を有していてもよい。
【0014】
この構成では、遊技者は、操作部材を所望の操作量で所望の位置に移動操作した上で、所定の作動条件が成立するように操作することで、制御手段に対して保持動作を行う駆動指示を与えることができる。よって、遊技者が希望する時期に保持手段の電気的制御を開始し得る構成を実現することができる。
【0015】
本発明の遊技機用発射ハンドルにおいて、制御手段は、検知手段によって検知される操作部材の操作量が所定量以上であるときに操作部材が所定の移動停止状態となっている時間を計測するタイマ手段を備え、タイマ手段による計測時間が所定の基準時間を超えた場合に保持手段の電磁石を励磁状態に切り替える構成であってもよい。
【0016】
この構成では、遊技者は、操作部材を所望の操作量に移動操作した上で、その移動位置である程度の時間(基準時間を超える時間)移動停止状態とすることで、制御手段に対し保持動作を行う駆動指示を与えることができる。つまり、遊技者は、ボタンの押圧操作などを行わなくても、操作部材の移動操作の状態によって保持手段の保持動作を開始させる指示を与えることができるため、遊技者が望む時期に保持を開始し得る構成を、遊技者を煩わせることなく手の疲労感がより抑えられる構成で実現することができる。
【0017】
本発明の遊技機用発射ハンドルは、遊技者が操作部材に直接接触した接触状態を検出する接触検出手段を有していてもよい。制御手段は、接触検出手段によって接触状態が検出されているときにのみ保持手段の電磁石を励磁状態とする構成であってもよい。
【0018】
この構成によれば、遊技者が実際に操作していない状態で電気的制御が行われ、発射ハンドルの操作量が固定されてしまう事態を回避することができる。
【0019】
本発明の遊技機用発射ハンドルは、操作部材と変位部との間で動力を伝達するギア機構を有していてもよい。変位部は、所定の中心軸線周りに回転する回転部として構成されていてもよい。そして、回転部の回転量よりも操作部材の操作量のほうが小さくなるようにギア機構のギア比が設定されていてもよい。
【0020】
この構成によれば、操作部材の操作力を、所定の位置に存在する保持手段の変位部(回転部)に良好に伝達することができる。また、保持手段の回転部の回転量よりも操作部材の操作量のほうが小さい伝達構成であるため、操作部材の力が保持手段の回転部に対してより強いトルクで作用しやすくなる。よって、遊技者は、操作部材をより小さい力で変位させやすくなり、付勢部材はより小さな付勢力で操作部に対して位置復帰動作を行うことができる。
【0021】
本発明の遊技機用発射ハンドルは、操作部材と変位部との間で動力を伝達するギア機構を有していてもよい。変位部は、所定の中心軸線周りに回転する回転部として構成されていてもよい。そして、回転部の回転量よりも操作部材の操作量のほうが大きくなるようにギア機構のギア比が設定されていてもよい。
【0022】
この構成によれば、操作部材の操作力を、所定の位置に存在する保持手段の変位部(回転部)に良好に伝達することができる。また、保持手段の回転部の回転量よりも操作部材の操作量のほうが大きい伝達構成であるため、保持手段の回転部の力が操作部材に対してより強いトルクで作用しやすくなる。よって、保持手段はより小さな磁気粘性流体の摩擦力で、より大きなブレーキ力を発揮することができる。
【0023】
本発明の遊技機用発射ハンドルにおいて、操作部材は、所定方向の回転軸線周りで且つ回転基準位置から所定の回転角度範囲内で相対的に回転可能に配置され、変位部は、所定の中心軸線周りに回転する回転部として構成され且つ操作部材の回転軸線上に設けられていてもよい。
【0024】
このように構成されていれば、操作部材の後方のスペースを有効に利用して保持手段を配置することができ、コンパクト化を図ることができる。
【0025】
本発明の遊技機用発射ハンドルにおいて、操作部材は、所定方向の回転軸線周りで且つ回転基準位置から所定の回転角度範囲内で相対的に回転可能に配置され、検知手段は、回動軸を備えた可変抵抗器であってもよい。そして、可変抵抗器の回動軸が操作部材の回転軸線上に設けられていてもよい。
【0026】
このように構成されていれば、操作部材の後方のスペースを有効に利用して可変抵抗器を配置することができ、コンパクト化を図ることができる。
【0027】
本発明の遊技機用発射ハンドルにおいて、保持手段がハンドル本体の内部に設けられていてもよい。
【0028】
この構成によれば、ハンドル本体の内部スペースを利用して保持手段を配置することができ、遊技機用発射ハンドルをよりコンパクトに構成することができる。
【0029】
本発明の遊技機は、上記遊技機用発射ハンドルを備えたことを特徴とする。
本発明の遊技機によれば、上記遊技機用発射ハンドルと同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る遊技機用発射ハンドル及びそれを備えた遊技機を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、
図1は、第1実施形態に係る遊技機用発射ハンドルを備えた遊技機を例示する正面図であり、まず、
図1を参照して遊技機1の構成を概説する。
【0032】
(遊技機の構成)
図1に示すように、遊技機1には、外枠、内枠、前面枠などからなる枠体1aに遊技盤2が取り付けられている。この遊技盤2の盤面2b(前面)には、円弧状のガイドレール2cによって略円形の遊技領域2aが区画形成されている。そして、遊技領域2aの中央には、液晶表示部5が搭載され、その液晶表示部5の下方(遊技領域2aの中央下部)に始動入賞装置7と大入賞装置6が上下に配置されている。また、遊技機1には、遊技盤2の下方において枠体1aの前面側に遊技球を貯留する遊技球受皿9が形成されている。更に、遊技球受皿9の右下方位置に遊技球を遊技領域2aに向けて発射する際に遊技者が操作する遊技機用発射ハンドル4(以下、単に発射ハンドル4ともいう)が設けられている。
【0033】
なお、本明細書において、「前後方向」とは、遊技盤2の盤面2bと直交する方向を意味し、盤面2bに対し、発射ハンドル4が配置される側(即ち、遊技者が位置するべき側)を前方側、それとは反対側(即ち、遊技機1奥側)を後方側とする。また、「上下方向」とは、遊技領域2aを遊技球が流下する方向(鉛直方向)を意味し、「左右方向」とは、上記「前後方向」及び「上下方向」と直交する方向を意味する。
【0034】
(発射ハンドルの構成)
図2〜
図5を使って発射ハンドルの外観及び構成を説明する。
発射ハンドル4は、回転操作が可能とされた操作部材20と、この操作部材20の回転量を検出する可変抵抗器(検知手段)70(
図3、
図5参照)とを備えており、遊技者によって操作部材20が操作された場合に、可変抵抗器(検知手段)70が検出した回転量に応じた発射強度で図示しない球発射装置を作動させる装置として構成されている。
【0035】
図2及び
図3に示すように、発射ハンドル4は、
図1で示す遊技機1の枠体1aの前面側に取り付けられるベース体10Aを備えたハンドル本体10と、遊技者に操作される部材であって、そのハンドル本体10に対して、所定方向(例えば、前後方向)に延びる回転軸線X1(
図5参照)周りで、かつ、予め定められた回転基準位置から所定の回転角度範囲内で相対的に回転可能に配置されている操作部材20と、ハンドル本体10及び操作部材20に係合され、操作部材20を回転基準位置側に向かう回転方向に付勢する付勢部材40(
図3参照)とを備える。
【0036】
また、発射ハンドル4は、
図3、
図5で示すように、操作部材20とハンドル本体10との間に配置され、遊技者が発射ハンドル4に接触しているか否かを検出する発射タッチセンサ50と、操作部材20が回転操作されている時に遊技者が接触することで、球発射装置の作動(遊技球の発射)を停止する発射停止スイッチ60とを備えている。更に、操作部材20の回転量を検出する可変抵抗器(検知手段)70が操作部材20からの動力を受けるように伝達機構150を介して配置されている。可変抵抗器70は、操作部材20と連動して回転する回動軸71を備えており、回動軸71の回動変位を検出することで、操作部材20の回転量を検出するように構成されている。
【0037】
ハンドル本体10は、遊技機1の枠体1aに対して変位不能の固定される部分であり、枠体1aに固定されるベース体10Aと、ベース体10Aに固定される装飾キャップ10Bとを備える。
図5等で示すようにベース体10Aは、筒状形態(例えば、円筒)をなす胴体部11と、その胴体部11の前端から前方に向かって漸次拡開(例えば、皿形状、すり鉢状、椀形状、又は擬似半球形状)してなる拡開部12とを有し、胴体部11の後端側が遊技機1の枠体1aの前面側に取り付けられる。また、ハンドル本体10には、装飾キャップ10Bを取り付けるボス13が回転軸線X1に沿って拡開部12から前側に向かう突出形態で形成されている。
【0038】
拡開部12は、後述する操作部材20、付勢部材40、装飾キャップ10Bの取付対象となる部分であり、装飾キャップ10Bはこの拡開部12に対してボス13を介して相対変位不能に固定される。操作部材20は、拡開部12と装飾キャップ10Bとによって前後に挟み込まれる形で配置保持され、回転軸線X1周りで相対的に回転し得るようになっている。
【0039】
図3、
図5で示すように、操作部材20は、回転軸線X1(
図4、
図5参照)に交差(直交)するとともに円形の板状をなす回転本体部21と、その回転本体部21の外周部に連結される形態で配置され回転軸線X1を中心として略円筒状に形成された外周壁部22とを有し、全体としてカップ形状に形成されている。外周壁部22の外周面には、遊技者が操作する際に例えば指などを引っ掛ける指掛け部27が外方に向かって突出形成されている。また、操作部材20は、回転本体部21と一体的に、回転軸線X1を中心とした略中空円筒状に形成される軸部23を備え、軸部23の一部は回転本体部21の前方に突出し、軸部23の他の部分は回転本体部21の後方に延びている。回転本体部21の前方に突出した軸部23の前端部には、付勢部材40の一部が固定される係合部23Aが一対の溝(切欠き)によって形成されている。また、回転本体部21には回転軸線X1を中心とする周方向に沿った円弧状の案内孔24が形成されており、ベース体10Aと装飾キャップ10Bを連結するボス13が遊挿され、案内孔24の端部にボス13が当接することで操作部材20の回転角度範囲を定めるように機能している。
【0040】
図3で示す付勢部材40は、ねじりばねとして構成され、回転本体部21の前方に突出した軸部23に遊嵌されるコイル部41と、コイル部41の一端を内部側に突出して操作部材20に係合する延長部42と、コイル部41の他端に設けられハンドル本体10に係合する環状部43とによって構成されている。付勢部材40は、
図5のようにコイル部41内に軸部23が遊嵌された状態で、延長部42が係合部23A(一対の溝)に係合(挿通)され、環状部43がハンドル本体10の拡開部12から前方に突出するボス13に係合される。
【0041】
この係合により、付勢部材40の一端側が操作部材20に対して相対的に回動しないように規制され、ハンドル本体10に対して変位不能となる。この付勢部材40は、操作部材20を拡開部12に対して所定の回転方向に相対的に変位させるように付勢力を発生させている。
【0042】
このような構成で、操作部材20を回転軸線X1周りで相対的に回転し得るようにハンドル本体10によって保持しつつ、操作部材20に対し回転基準位置に向かう回転方向の付勢力を生じさせている。操作部材20は回転基準位置においても付勢部材40の付勢力が発生した状態で保持されている。
【0043】
図5のように、操作部材20の軸部23の後端には、操作部材20と共通の回転軸線X1周りに回転する延長軸部25がビス等により一体的に固定されている。延長軸部25には、保持装置100と連係するギア機構140の第1ギア142と、可変抵抗器70と連係する伝達機構150の主動ギア152が固着されており、操作部材20を回動させると、第1ギア142及び主動ギア152は操作部材20とともに回転する。
【0044】
図3、
図5等で示す発射タッチセンサ50は、遊技者が操作部材20に直接接触した接触状態を検出する接触検出手段の一例に相当する。この発射タッチセンサ50は、メッキ加工などを施して導電性を持たせたメッキ部分が表面部に形成された環状部材54と、環状部材54のメッキ部分に電気的に接続され、静電気容量の変化を検出してメッキ部分に遊技者が接触したか否かを検出するタッチ本体部52とを含み構成されている。環状部材54は、遊技者が操作部材20を操作する時に自然と遊技者が接触するように、ベース体10Aの拡開部12の開口端に設けられている。発射タッチセンサ50は、例えば遊技者が操作部材20を操作して環状部材54に直接接触している場合に接触検知信号を出力し、遊技者が操作部材20に直接操作していない場合(環状部材54に接触していない場合)には接触検知信号は出力されない。なお、タッチ本体部52が遊技者の環状部材54への接触を検知しない場合は、球発射装置が遊技球の発射を行わないようにしており、発射タッチセンサ50から接触検知信号を受信している間だけ球発射装置が遊技球の発射を行うようにしている。これにより、操作部材20への不正な操作に基づき、遊技者の操作なくして遊技球の発射が行われないようにすることができる。
【0045】
なお、発射タッチセンサ50は、環状部材54の代わりに、操作部材20(外周壁部22及び指掛け部27)の表面部にメッキ加工などを施して導電性を持たせ、そのメッキ部分に電気的にタッチ本体部52を接続してもよい。
【0046】
図3、
図5等で示すように、発射停止スイッチ60は、スイッチ本体部62に対して自身の一端部を支点として傾動可能にスイッチレバー64が設けられており、そのスイッチレバー64の一部がハンドル本体10(ベース体10A)の切欠きから突出するように配置されている。この発射停止スイッチ60は、操作部材20が回転基準位置の状態でスイッチレバー64が押圧部(図示略)によって押圧されて打球装置による遊技球の打球動作がされないように配置されており、操作部材20が回転操作された場合には、その押圧部(図示略)の押圧が開放されて発射停止を解除される。そして、操作部材20が回転操作された状態で遊技者によってスイッチレバー64が押されたときに、スイッチ本体部62がこの押圧を検出して打球装置による遊技球の打球動作が停止する。
【0047】
可変抵抗器70は、
図5に示すように、抵抗値を変化させる回動軸71を備え、操作部材20の軸部23と回動軸71が伝達機構150を介して連動するようにハンドル本体10に固定支持されている。この可変抵抗器70は、検出した回動軸71の回転量に従って、遊技球の発射速度を調整する仕組みになっている。
【0048】
伝達機構150は、延長軸部25からフランジ状に張り出すように延長軸部25に固定される主動ギア152と、主動ギア152の回転軸線と平行な回転軸線周りに回転可能に保持された従動ギア154とを有する。従動ギア154は、主動ギア152に噛み合うとともに可変抵抗器70の回動軸71から張り出すように回動軸71に固定されている。伝達機構150は、操作部材20の回転に応じて動作し、操作部材20の回転と連動させて可変抵抗器70の回動軸71を回転させるように回転力を伝達する。
【0049】
保持装置100を制御する制御回路90は、例えば、
図6のようにタイマ回路92を備えたマイクロコンピュータなどとして構成されている。制御回路90には、上述した可変抵抗器70の検出値(操作部材20の操作量)が入力されるようになっており、この検出値をデジタル信号に変化するAD変換器などを備える。また、制御回路90には、発射タッチセンサ50から発せられる接触検知信号が入力されるようになっている。また、制御回路90は、この検出値を
図7の処理を行う演算回路を備え、更に、制御回路90は、演算回路による演算結果に応じ、後述する保持装置100に設けられた電磁石130のコイルの通電と非通電を切り替える駆動回路を備える。なお、制御回路90は、後述する
図7の処理を行い得る構成であれば、マイクロコンピュータでなくてもよく、簡易的なハードウェア回路などによって構成されていてもよい。
【0050】
図5、
図6で示す保持装置100は、保持手段の一例に相当し、収容空間部104Aがキャビティ状に形成されるハウジング104と、ハウジング104内に挿入されるとともに操作部材20の回転と連動して変位する変位部の一例として示す回転部120と、ハウジング104内に収容される電磁石130とを備える。保持装置100は、ベース体10Aに固定されるケース体160に形成された収納スペースに収納固定されている。ベース体10Aに固定されたケース体160は、遊技球受皿9の装飾カバーの後方に位置して遊技者から視認できないようになっている。
【0051】
図6のようにハウジング104の収容空間部104Aは、内壁面が所定の径の円筒面として構成される一対の保持空間部105A,105Bと、これら保持空間部105A,105Bの間に形成され、内壁面が保持空間部105A,105Bの径よりも大きい径の円筒面として構成された収容部110とを有する。この収容部110には、回転部120(変位部)の一部と磁気粘性流体102が収容される。保持空間部105A,105Bには、回転部120の回転軸部122を回転可能に支持する軸受部106A、106Bが取り付けられている。軸受部106A、106Bは公知のベアリングとして構成される。また、保持空間部105A,105Bにおいて、収容部110との境界付近には、収容部110に収容された磁気粘性流体102の漏れを防ぐためのシール部材108A,108Bが設けられている。シール部材108A,108Bは、封入パッキンとして構成され、回転軸部122の外周面と各保持空間部105A,105Bの内周面との間をシールする。
【0052】
回転部120は、
図5で示す操作部材20の回転と連動して変位するように構成された部分である。この回転部120は、少なくとも一部が収容部110内において磁気粘性流体102に浸漬された状態で配置される。具体的には、回転部120は、軸状に構成され所定方向(例えば前後方向)に延びるように配置される回転軸部122と、この回転軸部122の外周部から外側にフランジ状に張り出す回転翼124とを備えて構成され、回転翼124の全部が収容部110内において磁気粘性流体102に浸漬された状態で配置されている。
【0053】
電磁石130は、励磁状態と非励磁状態とに切り替え可能に構成され、励磁状態のときに磁気粘性流体102に及ぶ磁束を発生させる。この電磁石130は、通電可能に構成されたコイルが、収容部110(回転翼124)を環状に囲むように配置されている。そして、例えば、励磁状態のとき(即ち、コイルの通電時)に、回転翼124の前面及び後面と交差する方向の磁束が磁気粘性流体102に及ぶように電磁石130が配置されている。なお、
図6には、磁束の方向を符号Wで概念的に示している。
【0054】
磁気粘性流体102は、公知の磁気粘性流体として構成されている。以下、磁気粘性流体102をMRF(Magnetorheological Fluid)ともいい、保持装置100をMRFデバイスとも称する。磁気粘性流体102は、磁場を変化させることで自由液体から半固体状態まで可逆的に瞬時に変化させることができる機能性流体である。この磁気粘性流体102は、例えば強磁性粒子(例えばカルボニル鉄)を油液(例えばシリコンオイル)中に分散させた構成をなしている。この磁気粘性流体102は、磁場のない状態(電磁石130によって磁場が印加されていない場合)には、ニュートン流体として機能し、相対的に粘度が非常に低い流体となる。磁気粘性流体102は、外部から磁場が加えられると、磁場の大きさによりせん断応力が変化するビンガム流体として機能し、磁場が印加されていない場合よりも粘度が大幅に高くなる。
【0055】
図6の例では、磁気粘性流体102内に回転翼124が浸漬され、回転翼124の前面、後面、外周面が磁気粘性流体102に接触している。このように構成された保持装置100は、電磁石130の励磁状態のときに非励磁状態のときよりも磁気粘性流体102の粘度が上昇する構成をなす。電磁石130が非励磁状態のときには、磁気粘性流体102の粘度が相対的に低く、このときには回転翼124の回転に対する摩擦抵抗が小さいため、回転翼124は回転しやすくなる。逆に、電磁石130が励磁状態のときには、磁気粘性流体102の粘度が相対的に高くなり、このときには回転翼124の回転に対する摩擦抵抗が大きいため、回転翼124は回転し難くなる。なお、操作部材20が回転基準位置から回転した位置にあり操作部材20に対して外部からの力が加えられていない状態で、電磁石130が励磁状態のときの磁気粘性流体102の粘度は、付勢部材40の付勢力に抗して回転翼124の回転位置を固定し続けることが可能な粘度であってもよく、このような状態のときに、付勢部材40の付勢力によって操作部材20が回転した位置から回転基準位置に回転しようとするが、非励磁状態のときよりも大幅に遅い速度で回転し、操作部材20を回転した位置に保持するような粘度であってもよい。
【0056】
図4、
図5のように、操作部材20と回転部120(変位部)との間で動力を伝達するように機能する伝達手段としてギア機構140が設けられる。このギア機構140は、延長軸部25からフランジ状に張り出すとともに延長軸部25に固定される第1ギア142と、第1ギア142の回転軸線(即ち、回転軸線X1)と平行な回転軸線周りに回転可能に保持された第2ギア144と、第1ギア142及び第2ギア144の回転軸線と平行な回転軸線周りに回転可能に保持された第3ギア146と、第1ギア142、第2ギア144、第3ギア146の回転軸線と平行な回転軸線周りに回転可能に保持された第4ギア148とを備える。第2ギア144、第3ギア146は、ベース体10Aに固定されるケース体160に回転可能に保持されている。第4ギア148は、回転部120を構成する回転軸部122の前端部に固定されており、回転軸部122と一体的に回転する。なお、
図3のように、ケース体160は、ケース本体160Aと、蓋体160Bとによって第2ギア144、第3ギア146、第4ギア148の収容空間を構成している。
【0057】
図4のように第2ギア144は、第1ギア142に噛み合うとともに第3ギア146に噛み合い、第3ギア146は、第2ギア144に噛み合うとともに第4ギア148に噛み合う。このように構成されたギア機構140は、操作部材20の回転に応じて動作し、操作部材20の回転と連動させて回転部120を回転軸線X2周りに回転させるように回転力を伝達する。なお、回転部120の回転軸線X2と操作部材20の回転軸線X1は平行である。更に、ギア機構140は、保持装置100の回転部120の回転量(回転速度)よりも操作部材20の回転量(回転速度)のほうが大きくなるようにギア比が設定されている。具体的には、回転部120(第4ギア148)が1回転すると、操作部材20(第1ギア142)が複数回転し得るギア比構成になっており、操作部材20の回転量(操作量)に比して回転部120の回転量(移動量)が少なくなっている。
【0058】
次に、制御回路90によって行われる制御について、
図7等を参照しつつ説明する。
図7で示す制御処理は、例えば遊技機1が電源オン状態のときに制御回路90によって所定の短時間毎に実行される処理である。
【0059】
まず、
図7の制御の実行に伴い、ハンドル位置情報2の値をハンドル位置情報1の値としてコピー(更新)する(S1)。なお、ハンドル位置情報2の値とは、操作部材20の最新の操作量検出値であり、ハンドル位置情報1の値とは、操作部材20の前回の操作量検出値である。つまり、ステップS1の処理では、ステップS1の時点での可変抵抗器70の検出値(操作量)をハンドル位置情報2の値として更新し、更新前にハンドル位置情報2の値とされていた前回値(前回の可変抵抗器70の検出値(操作量))をハンドル位置情報1の値として更新する。ハンドル位置情報1、2の各値は制御回路90に設けられた図示しないメモリに記憶されている。
【0060】
ステップS1の後には、発射ハンドル4に遊技者が接触しているか否かを判断する。具体的には、上述した発射タッチセンサ50(接触検出手段)によって接触検知信号が出力されており、遊技者の接触を示す検出結果が得られている場合には、ステップS2にてYに進む。発射タッチセンサ50(接触検出手段)によって接触検知信号が出力されず、遊技者の接触を示す検出結果が得られていない場合には、ステップS2にてNに進む。
【0061】
ステップS2にてYに進む場合、ハンドル位置情報1とハンドル位置情報2とが等しいか否かを判断する(S3)。ステップS3、S4の判断は、ハンドル位置情報1とハンドル位置情報2とが完全に同一である場合に等しいと判断してもよく、ハンドル位置情報1とハンドル位置情報2との差が予め定められた範囲(例えば微小範囲)に収まっている場合に等しいと判断してもよい。
【0062】
ステップS3において、ハンドル位置情報1、2が等しいと判断されない場合、ステップS3にてNに進む。ステップS3にてNに進む場合、操作部材20が停止しておらず変位している状態である。この場合、ステップS7にて後述するタイマ回路92の時間計測をクリアし(S7)、保持装置100(MRFデバイス)の動作を停止させ、電磁石130を非励磁状態で維持する(S8)。
【0063】
ステップS3において、ハンドル位置情報1とハンドル位置情報2とが等しいと判断される場合、ステップS3にてYに進み、ハンドル位置情報1とハンドル位置情報2とが等しくなってから、等しい状態で所定時間(例えば2秒)経過したか否かを判断する(S4)。具体的には、ステップS3でYと判断される時点からタイマ回路92を作動させて時間計測を行い、タイマ回路92の計測が所定時間(例えば2秒)を経過する前にハンドル位置情報1、2が等しくない状態に変化した場合には、ステップS4にてNに進む。
【0064】
ステップS4にてNに進む場合とは、操作部材20の停止状態が所定時間維持されず、ステップS3で等しいと判断された後、途中で変位してしまった場合である。この場合、ステップS7にて後述するタイマ回路92の時間計測をクリアし(S7)、保持装置100(MRFデバイス)の動作を停止させ、電磁石130を非励磁状態で維持する(S8)。
【0065】
ステップS3において、ハンドル位置情報1、2が等しいと判断された後、等しい状態で所定時間(例えば2秒)経過したと判断された場合、ステップS4にてYに進む。
【0066】
ステップS4にてYに進む場合、ハンドル位置情報2が原点位置であるか否か、即ち、ハンドル位置情報2が示す操作量が回転基準位置を示す値であるか否かを判断する(S5)。ハンドル位置情報2が原点位置を示す場合には、ステップS5にてYに進む。ステップS5でYに進む場合、遊技者によって操作部材20の回動操作が行われていないため、保持装置100(MRFデバイス)の動作を停止させ、電磁石130を非励磁状態で維持する(S8)
【0067】
ステップS5にてNに進む場合、即ち、ステップS5においてハンドル位置情報2が示す操作量が回転基準位置を示す値でないと判断された場合、ステップS6の処理を行う。ステップS5でYに進む場合とは、操作部材20が回転基準位置から回転した位置で所定時間停止状態が維持された場合である。つまり、ステップS5でYに進む場合とは、操作部材20が「所定の移動停止状態」となった場合であり、具体的には操作部材20が「所定の回転停止状態」となった場合である。この場合、保持装置100(MRFデバイス)の動作を開始し、電磁石130を励磁状態で維持する(S6)。このステップS6の処理により、磁気粘性流体102の粘度が高まり、回転部120に保持力が付与される。
【0068】
以上のように、制御回路90(制御手段)は、可変抵抗器70によって検知される操作部材20の回転量が所定量以上であるときに所定の作動開始条件が成立したか否かを判定し、成立と判定された場合に保持装置100(保持手段)の電磁石130を励磁状態に切り替える。具体的には、制御回路90(制御手段)は、可変抵抗器70によって検知される操作部材20の回転量が所定量以上であるときに操作部材20が所定の移動停止状態(可変抵抗器70の抵抗値が一定状態)となっている時間を計測するタイマ回路92(タイマ手段)を備え、タイマ回路92による計測時間が所定の基準時間を超えた場合に保持装置100(保持手段)の電磁石130を励磁状態に切り替える構成となっている。
【0069】
また、
図7のステップS2の判断処理で明らかなように、制御回路90(制御手段)は、発射タッチセンサ50(接触検出手段)によって接触状態が検出されているときにのみ保持装置100(保持手段)の電磁石130を励磁状態とする制御(S6)を行い、発射タッチセンサ50(接触検出手段)によって接触状態が検出されていないときには、ステップS8のように保持装置100に対する電圧の印加を停止し、電磁石130を非励磁状態で維持する構成となっている。
【0070】
図8には、実際の動作の一例をタイミングチャートとして示している。例えば、
図7の処理を所定の短時間毎に繰り返し行う場合、遊技者が発射タッチセンサ50に接触するまでの間は、繰り返し行われる
図7の処理のステップS2にてNの判断が繰り返される。遊技者が発射タッチセンサ50に接触すると、その接触時間T1でステップS2にてYに進む。可変抵抗器70の検出値(操作量であるボリウム値)が原点位置を示す間は、ステップS3でY、ステップS4でNの処理が行われ、このような判断が繰り返されるため、保持装置100(MRFデバイス)に電力が供給されず、停止状態で維持される。
【0071】
一方、可変抵抗器70の検出値(操作量であるボリウム値)が原点位置を示さず、ハンドル位置情報1、2が等しいと判断される状況となると、
図7のステップS3においてYと判断され、タイマ回路92によって所定時間(2秒)計測される。そして、ハンドル位置情報1、2が等しい状態が所定時間以上経過したと判断された時間T3では、
図7のステップS4でY、S5でNと判断されることになり、ステップS6にて保持装置100(MRFデバイス)が駆動される。
【0072】
時間T3の後、操作部材20の停止状態が維持されなくなった時間T4では、
図7のステップS3でNと判断されることになり、ステップS7、S8の処理が実行され、ステップS8にて保持装置100(MRFデバイス)の駆動が停止する。
【0073】
更に、時間T5において、可変抵抗器70の検出値(操作量であるボリウム値)が原点位置を示さず、ハンドル位置情報1、2が等しいと判断される状況となり、その状況が所定時間(2秒)経過した状態となると、再びステップS6にて保持装置100(MRFデバイス)が駆動される。
【0074】
時間T5の後、例えば遊技者の手が操作部材20から離され、発射タッチセンサ50が接触検知信号を出力しなくなった時間T6では、
図7の処理のステップS2にてNの判断がなされることになるため、ステップS8にて保持装置100(MRFデバイス)の駆動が停止する。このようにして、制御がなされてゆくことになる。
【0075】
ここで、遊技機用発射ハンドル4及び遊技機1の効果を例示する。
遊技機用発射ハンドル4は、電磁石130が非励磁状態のときに磁気粘性流体102の粘度が相対的に低いため、このときには回転部120(変位部)の移動に伴う流体の摩擦抵抗が小さくなる。つまり、回転部120(変位部)が移動しやすくなるため、回転部120(変位部)と連動する操作部材20に対して負荷はなく、相対的に弱い力で回転操作させることができる。このように、非励磁状態のときには操作部材20は、抵抗を感じることもなくスムーズに操作することができる。
【0076】
一方、電気的な制御によって電磁石130を励磁状態に切り替えたときには磁気粘性流体102の粘度が相対的に高くなるため、このときには回転部120(変位部)の移動に伴う流体の摩擦抵抗が大きくなる。つまり、回転部120(変位部)が移動しにくくなるため、回転部120(変位部)と連動する操作部材20を回転操作させにくくすることができる。このときには、より軽微な力で操作部材20を保持することが可能となる。しかも、このような操作部材20の保持を、より簡易に且つ電気的な制御が可能な構成で実現することができる。電気的な制御が可能なため、操作部材20の保持力をフリー状態から完全保持まで無段階で調整することができる。
【0077】
遊技機用発射ハンドル4は、可変抵抗器70によって検知される操作部材20の回転量が所定量以上であるときに所定の作動開始条件が成立したか否かを判定し、成立と判定された場合に保持装置100(保持手段)の電磁石130を励磁状態に切り替える制御回路90(制御手段)を有する。この構成では、遊技者は、操作部材20を所望の回転量に回転操作した上で、所定の作動条件が成立するように操作することで、制御回路90(制御手段)に対して保持動作を行う駆動指示を与えることができる。よって、遊技者が希望する時期に保持装置100(保持手段)の電気的制御を開始し得る構成を実現することができる。
【0078】
制御回路90(制御手段)は、可変抵抗器70によって検知される操作部材20の回転量が所定量以上であるときに操作部材20が所定の移動停止状態(可変抵抗器70の抵抗値が一定状態)となっている時間を計測するタイマ回路92(タイマ手段)を備え、タイマ回路92による計測時間が所定の基準時間を超えた場合に保持装置100(保持手段)の電磁石130を励磁状態に切り替える構成となっている。この構成では、遊技者は、操作部材20を所望の回転量に回転操作した上で、その回転位置である程度の時間(基準時間を超える時間)移動停止状態とすることで、制御回路90(制御手段)に対し保持動作を行う駆動指示を与えることができる。つまり、遊技者は、ボタンの押圧操作などを行わなくても、操作部材20の回転操作の状態によって保持装置100(保持手段)の保持動作を開始させる指示を与えることができるため、遊技者が望む時期または遊技者が気付かないうちに保持を開始し得る。このような構成は、遊技者の手を煩わせることなく操作部材20を所望の回転位置で保持する疲労感がより抑えられる構成を実現することができる。
【0079】
遊技機用発射ハンドル4は、遊技者が操作部材20に直接接触した接触状態を検出する発射タッチセンサ50(接触検出手段)を有する。制御回路90(制御手段)は、発射タッチセンサ50(接触検出手段)によって接触状態が検出されているときにのみ保持装置100(保持手段)の電磁石130を励磁状態とする構成である。この構成によれば、遊技者が実際に操作していない状態で電気的制御が行われ、遊技機用発射ハンドル4の操作位置(操作量)が固定されてしまう事態を回避することができる。
【0080】
遊技機用発射ハンドル4は、操作部材20と回転部120(変位部)との間で動力を伝達するギア機構140を有する。回転部120(変位部)は、所定の中心軸線周りに回転するように構成され、回転部120の回転量(回転速度)よりも操作部材20の操作量(回転速度)のほうが大きくなるようにギア機構140のギア比が設定されている。この構成によれば、操作部材20の回転力を、所定の位置に存在する保持装置100(保持手段)の回転部120(変位部)に良好に伝達することができる。また、保持装置100(保持手段)の回転部120の回転量(回転速度)よりも操作部材20の操作量(回転速度)のほうが大きい伝達構成であるため、保持装置100(保持手段)の回転部120の力が操作部材20に対してより強いトルクで作用しやすくなる。よって、保持装置100(保持手段)はより小さな磁気粘性流体102の摩擦力で、より大きなブレーキ力を発揮することができる。
【0081】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る遊技機用発射ハンドル204について、
図9を参照して説明する。
なお、実施形態2の遊技機用発射ハンドル204は、ギア機構140に代えてギア機構240を設けた点のみが実施形態1の遊技機用発射ハンドル4と異なり、この点以外は実施形態1と同様である。保持装置100の制御方法も実施形態1と同一である。よって、以下ではギア機構240について重点的に説明し、実施形態1と同様の部分については詳細な説明は省略する。なお、ギア機構240以外は、適宜
図1〜
図8の構成を参照することとする。
【0082】
図9で示す遊技機用発射ハンドル204のギア機構240は、操作部材20(
図5参照)と回転部120(変位部)との間で動力を伝達するように機能する。このギア機構240は、延長軸部25からフランジ状に張り出すとともに延長軸部25に固定される第1ギア242と、第1ギア242の回転軸線(即ち、回転軸線X1)と平行な回転軸線周りに回転可能に保持された第2ギア244と、第1ギア242及び第2ギア244の回転軸線と平行な回転軸線周りに回転可能に保持された第3ギア246と、第1ギア242、第2ギア244、第3ギア246の回転軸線と平行な回転軸線周りに回転可能に保持された第4ギア248とを備える。第2ギア244、第3ギア246は、ベース体10Aに固定されるケース体160(
図3参照)に回転可能に保持されている。第4ギア248は、回転部120を構成する回転軸部122の前端部に固定されており、回転軸部122と一体的に回転する。
【0083】
図9のように第2ギア244は、第1ギア242に噛み合うとともに第3ギア246に噛み合い、第3ギア246は、第2ギア244に噛み合うとともに第4ギア248に噛み合う。このように構成されたギア機構240は、操作部材20の回転に応じて動作し、操作部材20の回転と連動させて回転部120を回転軸線X2周りに回転させるように回転力を伝達する。なお、回転部120の回転軸線X2と操作部材20の回転軸線X1は平行である。更に、ギア機構240は、保持装置100の回転部120の回転量(回転速度)よりも操作部材20の操作量(回転速度)のほうが小さくなるようにギア比が設定されている。具体的には、延長軸部25に連結された操作部材20(
図5等)が1回転する間に、回転部120が複数回転するようなギア比になっている。
【0084】
本構成によれば、操作部材20の回転力を、所定の位置に存在する保持装置100(保持手段)の回転部120(変位部)に良好に伝達することができる。また、保持装置100(保持手段)の回転部120の回転量(回転速度)よりも操作部材20の回転量(回転速度)のほうが小さい伝達構成であるため、操作部材20の力が保持装置100(保持手段)の回転部120に対してより強いトルクで作用しやすくなる。よって、遊技者は、操作部材20をより小さい力で変位させやすくなり、付勢部材40はより小さな付勢力で操作部材20に対して位置復帰動作を行うことができる。
【0085】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る遊技機用発射ハンドル304について、
図10を参照して説明する。
図10では、第1実施形態の遊技機用発射ハンドル4と同一の構成をなす部分については、これと同一の符号を付しており、以下ではこれら同一構成の部分の詳述は省略する。
【0086】
遊技機用発射ハンドル304は、軸部23と回転部120とを連動させる構造、及びハンドル本体310のベース体310Aの収容構造のみが第1実施形態の遊技機用発射ハンドル4と異なっており、これ以外は、第1実施形態の遊技機用発射ハンドル4と同様である。保持装置100の制御方法も実施形態1と同一である。
【0087】
図10の例では、操作部材20の軸部23が延長軸部25を介して回転部120の回転軸部122と連結され、互いに固定されている。そして、操作部材20、延長軸部25、回転部120が一体的に且つ同一の回転速度で回転するように構成されている。この構成では、保持装置100の回転部120(変位部)が、操作部材20と共通の回転軸線X1周りに回転する構成となっており、操作部材20の回転軸線X1上に回転部120が設けられていている。また、遊技機用発射ハンドル304は、保持装置100(保持手段)がハンドル本体310の内部(具体的にはベース体310Aの内部)に設けられている。
【0088】
本構成の遊技機用発射ハンドル304は、回転部120(変位部)が、所定の中心軸線周りに回転する構成をなし、且つ操作部材20の回転軸線X1上に設けられている。このように構成されていれば、操作部材20の後方のスペースを有効に利用して保持装置100(保持手段)を配置することができ、コンパクト化を図ることができる。
【0089】
また、保持装置100(保持手段)がハンドル本体310の内部に設けられているため、ハンドル本体310の内部スペースを利用して保持装置100(保持手段)を配置することができ、遊技機用発射ハンドル4をよりコンパクトに構成することができる。
【0090】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る遊技機用発射ハンドル404について、
図11を参照して説明する。
図11では、第1実施形態の遊技機用発射ハンドル4と同一の構成をなす部分については、これと同一の符号を付しており、以下ではこれら同一構成の部分の詳述は省略する。
【0091】
遊技機用発射ハンドル404は、軸部23、回転部120、可変抵抗器70を連動させる構造、及びハンドル本体410のベース体410Aの収容構造のみが第1実施形態の遊技機用発射ハンドル4と異なっており、これ以外は、第1実施形態の遊技機用発射ハンドル4と同様である。保持装置100の制御方法も実施形態1と同一である。
【0092】
図11の例では、操作部材20の軸部23が可変抵抗器70の回動軸71の前端部71Aに連結され、互いに固定されている。可変抵抗器70の回動軸71の後端部71Bは、回転部120の回転軸部122と連結部材420を介して連結され、互いに固定されている。そして、操作部材20、可変抵抗器70の回動軸71、保持装置100の回転部120が一体的に且つ同一の回転速度で回転するように構成されている。
【0093】
この構成では、保持装置100の回転部120(変位部)及び可変抵抗器70の回動軸71が、操作部材20と共通の回転軸線X1周りに回転する構成となっており、操作部材20の回転軸線X1上に可変抵抗器70の回動軸71及び保持装置100の回転部120が設けられていている。また、遊技機用発射ハンドル404は、保持装置100(保持手段)がハンドル本体410の内部(具体的にはベース体410Aの内部)に設けられている。
【0094】
本構成の遊技機用発射ハンドル404は、可変抵抗器70の回動軸71が操作部材20の回転軸線X1上に設けられている。このように構成されていれば、操作部材20の後方のスペースを有効に利用して可変抵抗器70(検知手段)を配置することができ、コンパクト化を図ることができる。
【0095】
また、保持装置100(保持手段)がハンドル本体410の内部に設けられているため、ハンドル本体410の内部スペースを利用して保持装置100(保持手段)を配置することができ、遊技機用発射ハンドル4をよりコンパクトに構成することができる。
【0096】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0097】
上述した実施形態では、検知手段として可変抵抗器70を例示したが、操作部材20の回転量(操作量)を検出可能なセンサであればよい。例えば可変抵抗器以外の公知の回転角度センサを用いてもよい。
【0098】
上述した実施形態では、変位部として回転部を例示したが、変位部は、少なくとも一部が磁気粘性流体に浸漬されるスライド部材として構成されていてもよい。この場合、操作部材20の回転動作をスライド部材の直線動作に変換する機構として、ラックアンドピニオン機構などを設けるとよい。
【0099】
上述した実施形態4では、操作部材20の回転軸線X1上に可変抵抗器70が存在する構成として、操作部材20と可変抵抗器70とが直接連結される構成を例示したが、操作部材20の回転軸線X1上に可変抵抗器70を配置した上で、ギア機構などの伝達機構を利用して操作部材20の動力を保持装置100(保持手段)に伝達するようにしてもよい。
【0100】
上述した実施形態4では、操作部材20の回転軸線X1上に保持装置100の回転部120が存在する構成として、操作部材20の軸部23と可変抵抗器70の回動軸71と回転部120とが一体的に連結される構成を例示したが、操作部材の軸部の回転軸線上に保持装置の回転部が位置しつつ、操作部材の軸部と保持装置の回転部とが離間していてもよい。この場合、操作部材の軸部の回転軸線上に保持装置の回転部を軸部から離間させて配置した上で、ギア機構などの伝達機構(離間部伝達機構)を利用して操作部材の動力を回転部に伝達するようにしてもよい。
【0101】
上述した実施形態では、所定の作動開始条件として、「操作部材20の回転量が一定量以上となった状態で操作部材20が所定の回転停止状態となったこと」を例示したが、この例に限られない。例えば、「操作部材20の回転量が一定量以上となった状態で所定の操作スイッチ(例えば発射停止スイッチ60)に対して所定操作(押圧操作、長押し操作、複数回の押圧操作等)がなされたこと」を所定の作動開始条件とし、この場合に制御回路90が電磁石を励磁するようにしてもよい。
【0102】
上述した実施形態では、制御回路90が遊技機用発射ハンドルの内部に設けられた例を示したが、外部に設けられていてもよい。
【0103】
上述した実施形態では、操作部材として、ハンドル本体に対して、所定方向の回転軸線X1周りで且つ回転基準位置から所定の回転角度範囲内で相対的に回転可能に配置された操作部材20を例示した。しかし、
図12の遊技機用発射ハンドル504のように、ハンドル本体510に対して、基準位置から所定の直線方向にスライド動作可能且つ往復動作可能な操作部材520が設けられていてもよい。
図12で示す操作部材520は、例えばスライド動作可能な構成且つ遊技機前方側で操作可能な構成でハンドル本体510に保持されており、所定の範囲内でハンドル本体510に対して相対的に移動可能とされている。ハンドル本体510は、例えば、遊技機前後方向を板厚方向とする板状部511と、板状部511において所定方向に直線状に延びて形成された長孔部511Aとを備える。操作部材520は、遊技者が操作可能なように長孔部511Aに挿し通されるとともに遊技者が操作する際に例えば指などを引っ掛ける突出部522と、この突出部522と一体的に形成されたベース部524とを備える。そして、ベース部524には、ラックギア524Aが形成されている。更に、操作部材520を基準位置(突出部522が長孔部511Aの端部に当接する位置)側に向かう方向に付勢する付勢部材540(例えばばね部材)と、操作部材520の操作量(基準位置からの直線移動量)を検知する検知手段としての可変抵抗器70とを備えている。なお、可変抵抗器70は、上述した実施形態で用いた可変抵抗器70と同様の構成をなし、同様の回動軸71を有している。この構成では、操作部材520のスライド動作に伴ってラックギア524Aが直線的に移動し、操作部材520の操作量(ラックギア524Aの移動量)に応じた回転量で従動ギア554及び回動軸71が回転するようになっている。そして、検知手段に相当する可変抵抗器70は、回動軸71の回転量を操作部材520の操作量として検知する。
更に、この構成でも、上述した実施形態で示した保持装置100と同様の保持装置100が設けられ、この保持装置100の回転部120には、ギア548が連結されている。回転部120に連結されたギア548は、ラックギア524Aの直線動作に連動して回動するようになっている。この構成でも、制御回路90は、可変抵抗器70(検知手段)によって検知される操作部材520の操作量が所定量以上であるときに操作部材520が移動停止状態(可変抵抗器70の抵抗値が一定状態)となった場合、その移動停止状態となっている時間をタイマ回路92(タイマ手段)によって計測する。そして、タイマ回路92による計測時間(移動停止状態の計測時間)が所定の基準時間(例えば2秒)を超えた場合に保持装置100の電磁石130を励磁状態に切り替えるように制御を行う。この場合も、電気的な制御によって電磁石130を励磁状態に切り替えたときに磁気粘性流体102の粘度が相対的に高くなり、回転部120が変位しにくくなるため、回転部120と連動する操作部材520を移動させにくくすることができる。このときには、より軽微な力で操作部材520を保持することが可能となる。なお、
図12では、保持装置100の回転部120に固定されたギア548と、可変抵抗器70の回動軸71に固定された従動ギア554とがラックギア524Aを介して連係する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、保持装置100の回転部120に固定されたギア548が操作部材520のラックギア524Aを介さずに直接的に又はギア機構等を介して間接的に可変抵抗器70の従動ギア554と連係するように構成されていてもよい。