(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の真空包装機の実施形態を添付図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1〜
図3に示したように、第1実施形態の真空包装機10は、ケーシング11の上部に設けられ、食材等の被包装物を収納した包装袋を収容するチャンバ20と、チャンバ20内にて包装袋の開口部周縁を密封する加熱封止装置(封止装置)30と、ケーシング11の下部の機械室にチャンバ20内を脱気して負圧化させる油回転真空ポンプ40とを備えている。
【0015】
図3に示したように、ケーシング11は底壁を構成するベースプレート12と、前側、後側及び左右両側壁を構成する周壁13とを備えている。ケーシング11の下部はベースプレート12の上側を油回転真空ポンプ40等を配設した機械室とし、ケーシング11はベースプレート12の上側がチャンバ20によって塞がれている。
【0016】
チャンバ20は上面が開口した浅い皿形をしたチャンバベース21と、チャンバベース21の上面開口を開閉自在に塞ぐ耐圧性のアクリル板よりなるチャンバカバー22とから構成される耐圧容器である。チャンバカバー22は、前部側が上下に移動可能となるように、後端部がケーシング11の後端部に水平軸線回りに回動可能に支持されている。チャンバカバー22の下面の周部にはシール部材としてゴム製のパッキン23が設けられており、パッキン23はチャンバカバー22をチャンバベース21に対して気密にシールしている。
【0017】
図1〜
図3に示したように、チャンバ20の前部には加熱封止装置30が設けられている。加熱封止装置30はチャンバ20内に収容した熱溶着可能な包装袋の開口部周縁を密封するものである。なお、包装袋は内側に融点の低い材質を採用した二層構造の熱可塑性樹脂製フィルムを用いたものである。加熱封止装置30は包装袋の先端開口部周縁を狭圧して保持する下側及び上側ブロック31,32とを備えている。下側ブロック31はアルミニウム製の角パイプ部材よりなり、チャンバベース21の前部に着脱可能かつ上下に移動可能に設けられている。下側ブロック31の上面にはニクロム素材よりなる帯板状のヒータ33が設けられている。上側ブロック32は弾性変形可能なシリコン製のブロック体よりなり、下側ブロック31の上側に対向する位置にて、チャンバカバー22の下面前部に設けられている。
【0018】
図2及び
図3に示したように、チャンバベース21の前部には下側ブロック31を上下に昇降させる左右一対の昇降機構34が設けられている。昇降機構34はチャンバベース21の前部の底壁を貫通する左右一対の支持軸34aと、支持軸34aを上下動させる昇降シリンダ34bとを備え、昇降シリンダ34bにより左右一対の支持軸34aを上下動させることで、下側ブロック31をチャンバ20内で上下動させている。
【0019】
図2及び
図3に示したように、ケーシング11内の下部には油循環式の油回転真空ポンプ40が設けられており、油回転真空ポンプ40は油によりロータ、ステータ、翼板等の部品の間の気密及び無効空間の減少を図っている容積位相式真空ポンプである。具体的には、油を満たした円筒形のステータ中に電動モータにより回転するロータと、該ロータに放射状に設けられた各ロータ溝内でラジアル方向へ移動可能に組み込まれてステータの内周面に接する複数の翼板とを有し、円筒形のステータ内とロータと翼板とにより形成される各空間が油により気密にされた状態で、ロータの回転によってその容積を変化させ、空気を吸込口から吸入して吐出口から排出するものである。油回転真空ポンプ40のポンプケーシングには磁石が吸着されるステンレス等の強磁性体材が用いられている。
【0020】
図3及び
図4に示したように、油回転真空ポンプ40は油を補給する給油管41と、油を排出する排油口42とを備えている。油回転真空ポンプ40の排油口42はケーシング11の外周部周縁としてケーシング11の下部の右側縁部に配置されている。油回転真空ポンプ40の排油口42には排油口栓43が設けられており、油回転真空ポンプ40の排油口42は排油口栓43を取り外すことにより開放される。
【0021】
図3及び
図5に示したように、油回転真空ポンプ40の下部にはポンプ搭載プレート44が設けられており、ポンプ搭載プレート44を介してケーシング11のベースプレート12に固定されている。油回転真空ポンプ40はポンプ搭載プレート44を挿通したボルト45によって締結固定されており、ボルト45の頭部(先端部)はポンプ搭載プレート44の下面を突き出るようになっている。ベースプレート12にはボルト45と対向する位置にボルト逃がし孔12a(後述する第2実施形態にて説明する
図6に示した)が形成されており、ボルト45の頭部はボルト逃がし孔12aによってベースプレート12の下側に突き出るようになっている。
【0022】
また、
図2及び
図4に示したように、油回転真空ポンプ40は吸引管アセンブリ50によってチャンバ20に接続されており、吸引管アセンブリ50は耐圧性の管部材よりなる吸引管51と、吸引管51をチャンバ接続する耐圧性の吸引ホース(図示省略)と、吸引管51を開閉する真空弁52と、吸引管51を介してチャンバ20に外気を導入して大気開放する第1及び第2外気導入弁53,54と、吸引管51を介してチャンバ20の圧力を検出する真空計55とを備えている。
【0023】
吸引管51にはチャンバ20と真空弁52との間に外気を導入する外気導入管部51aが分岐している。外気導入管部51aは第1管部51a1と、第1管部51a1からさらに分岐する第2管部51a2とからなり、第1及び第2管部51a1,51a2にはこれらを開閉する第1及び第2外気導入弁53,54が設けられている。第1外気導入弁53は第2外気導入弁54より弁口径が大きく形成されており、第1外気導入弁53を開放したときにはチャンバ20内に速く外気が導入され、第2外気導入弁54を開放したときには、チャンバ20内にゆっくりと外気が導入される。
【0024】
吸引管51は外気導入管部51aを介して圧力検出管部51bが分岐しており、圧力検出管部51bにはチャンバ20の圧力を検出する真空計55が設けられている。チャンバ20内を油回転真空ポンプ40により脱気していないときには、真空計55により検出されるチャンバ20内の圧力は大気圧と同じ101kPa(abs)であり、このときの真空度は0%である。チャンバ20内を油回転真空ポンプ40により脱気して負圧化させ、真空計55により検出されるチャンバ内の圧力が0kPa(abs)であるときには、真空度は100%である。
【0025】
図4に示したように、ケーシング11には油回転真空ポンプ40の排油口42から排出される油をケーシング11の外側に導く樋体60が設けられている。樋体60は油回転真空ポンプ40の油を受けて流すように、油回転真空ポンプ40側が開いた長手方向の断面がコ字形をしている。樋体60はブラケット61によってケーシング11のベースプレート12の右側縁部に着脱可能に取り付けられており、洗浄時にブラケット61とともにケーシングから取り外されて洗浄に供される。樋体60はブラケット61によってケーシング11に水平軸線周りに回動可能に支持されており、ケーシング11内に収容された収容位置(
図4(a)に示した)と先端部がケーシング11の外側に突き出る排油位置(
図4(b)に示した)との間で回動可能に支持されている。樋体60の油回転真空ポンプ40側と反対側は油を受けて流さない側となっており、この油回転真空ポンプ40側と反対側には磁石62が固定されている。磁石62は収容位置とした樋体60を油回転真空ポンプ40の強磁性体よりなるポンプケーシングに吸着させるためのものである。
【0026】
上記のように構成した真空包装機10においては、チャンバ20内にて下側ブロック31の上側に包装袋の開口部周縁を載置し、油回転真空ポンプ40によりチャンバ20内を所定の真空度となるまで減圧した後で真空弁52を閉止させ、昇降シリンダ34bにより支持軸34aを上昇させると、下側ブロック31が支持軸34aによって上側ブロック32に押圧する位置まで上昇する。このとき、下側ブロック31の上側に載置した包装袋の開口部周縁は下側及び上側ブロック31,32により狭圧されて閉止された状態で保持され、包装袋の開口部周縁はヒータ33による加熱によって熱溶着されて封止されて密封される。包装袋を密封させた後で、第1外気導入弁53及び/または第2外気導入弁54を開放させることで、チャンバ20内は吸引管51から導入される外気によって大気圧に戻され、チャンバカバー22がチャンバベース21を閉止した状態から開放した状態となる。
【0027】
真空包装機10により包装袋を真空包装すると、包装袋内の食材等に含まれる水分が蒸発し、蒸発した水分が油回転真空ポンプ40の油に混入し、油回転真空ポンプ40の油は使用とともに劣化することになる。油回転真空ポンプ40の油を交換するときには、チャンバ20をケーシング11の上部から取り外し、ベースプレート12から周壁13を取り外す。ベースプレート12の右側縁部に設けた樋体60を
図4(a)に示した収納位置から
図4(b)に示した外側に突出する排油位置に回動させ、油回転真空ポンプ40の排油口42の排油口栓43を取り外せば、排油口42から排出される油は樋体60で受けられてケーシング11の外側に排出される。
【0028】
樋体60を流れ落ちる油はケーシング11の外側にて樋体60の先端に載置した廃油容器に受けられる。油回転真空ポンプ40の油の排出が完了したら、排油口42に排油口栓43を取り付け、油回転真空ポンプ40に新しい油を補給する。また、樋体60においては、表面に残る油を拭き取るか、樋体60をブラケット61とともにケーシング11のベースプレート12から取り外して洗浄し、再び、ベースプレート12にブラケット61とともに樋体60を取り付ける。
【0029】
樋体60を排油位置から収容位置に回動させてベースプレート12の上側に収容させ、ベースプレート12に周壁13を取り付けるとともに、ケーシング11の上部にチャンバ20を取り付けて、油回転真空ポンプ40の油の交換を終了する。
【0030】
上記のように構成した真空包装機10においては、油回転真空ポンプ40は油を排出する排油口42をケーシング11の右側縁部(外周部周縁)に配置し、ケーシング11の右側縁部(外周部周縁)には排油口42から排出される油をケーシング11の外側に導く樋体60を設けた。これにより、油回転真空ポンプ40に真空圧に耐えうる高価な排油管を設けることなく、油回転真空ポンプ40の油を樋体60によってケーシング11の外側に排出できるようになった。このように、ケーシング11内にて油回転真空ポンプ40に真空圧に耐えうる高価な排油管を設ける必要がないので、真空包装機10のコストダウンを図ることができるようになるとともにケーシング11内に排油管を配置するスペースが不要となるために真空包装機10を小型化することが可能となった。
【0031】
上記の真空包装機10においては、樋体60をケーシング11のベースプレート12に着脱可能に設けるようにした。このようにしたことで、油回転真空ポンプ40の油を樋体60によりケーシング11の外側に排出した後で、樋体60をケーシング11から取り外して洗浄することができ、樋体60を清潔に保つことができるようになった。
【0032】
上記の真空包装機10においては、樋体60はケーシング11内に収容される収容位置と、先端部がケーシング11外に突き出る排油位置との間で水平軸線回りに回動可能に設けた。このようにしたことで、樋体60を回動させるだけケーシング11内に収容した収容位置からケーシング11外に突き出る排油位置にすることができるとともに、ケーシング11外に突き出る排油位置からケーシング11内に収容した収容位置にすることができ、油回転真空ポンプ40の油の排出作業を簡単に行うことができるようになるとともに、真空包装機10により包装袋を密封する作業をするときに樋体60が邪魔にならないようにすることができた。また、この真空包装機10では、油回転真空ポンプ40のケーシング11にはステンレス等の強磁性体材を用いるとともに、樋体60には磁石62を設けるようにして、収容位置とした樋体60を磁石62により油回転真空ポンプ40に吸着させた。このようにしたことで、真空包装機10によって包装袋を密封する作業をするときに、樋体60が収容位置から突出位置に回動するのを防ぐことができ、樋体60が邪魔になるのを防ぐことができた。
【0033】
(第2実施形態)
第1実施形態の真空包装機10は、油回転真空ポンプ40の油を樋体60によってケーシング11の外側に排出するようにしたものであるが、第2実施形態の真空包装機10は、油回転真空ポンプ40の排油口42をケーシング11の外側に位置するように移動させて、油回転真空ポンプ40の油をケーシング11外に排出させるようにしたものである。
【0034】
図5に示したように、第2実施形態の真空包装機10は、上述した第1実施形態と同様に、油回転真空ポンプ40の下部にはポンプ搭載プレート44が設けられ、油回転真空ポンプ40はポンプ搭載プレート44の下面を突き出るように挿通したボルト45によってポンプ搭載プレート44に固定され、ボルト45の頭部(先端部)はケーシング11の底部を構成するベースプレート12に形成したボルト逃がし孔12aによりベースプレート12の下側に突き出るように位置させている。第2実施形態の真空包装機10においては、油回転真空ポンプ40は油を排出する排油口42をケーシング11の右側縁部(外周部周縁)に配置するとともに、
図6に示したように、油回転真空ポンプ40の排油口42をケーシング11の外側に移動する移動経路にてボルト45の頭部(先端部)がベースプレート12のボルト逃がし孔12aを移動可能となるように、ボルト逃がし孔12aを移動経路に沿って延びる長孔とした。
【0035】
第2実施形態の真空包装機10は、第1実施形態の真空包装機10と同様に、油回転真空ポンプ40の排油口42をケーシング11の右側縁部(外周部周縁)に配置したものである。第1実施形態の真空包装機10では、油回転真空ポンプ40をポンプ搭載プレート44に固定するボルト45の頭部(先端部)がケーシング11のベースプレート12のボルト逃がし孔12aに引っ掛かって、油回転真空ポンプ40の排油口42をケーシング11の外側に位置するように水平移動させることができない。この第2実施形態の真空包装機10では、油回転真空ポンプ40の排油口42をケーシング11の水平方向にて右側(外側)に移動する移動経路でボルト45の頭部(先端部)がベースプレート12のボルト逃がし孔12aを移動可能となるように、ボルト逃がし孔12aを移動経路に沿って延びる長孔とした。これにより、ポンプ搭載プレート44をベースプレート12に固定するボルトを取り外した後で、油回転真空ポンプ40を持ち上げることなく、ボルト45の頭部(先端部)を長孔よりなるボルト逃がし孔12aを移動させることにより、油回転真空ポンプ40の排油口42をケーシング11の右側(外側)位置となるまで水平移動させることができるようになった。
【0036】
油回転真空ポンプ40を水平移動させた後で、油回転真空ポンプ40の排油口42の排油口栓43を取り外せば、排油口42から排出される油はケーシング11の外側で廃油容器により受けられる。油回転真空ポンプ40の油の排出が完了したら、排油口42に排油口栓43を取り付け、油回転真空ポンプ40に新しい油を補給する。その後で、油回転真空ポンプ40を元の位置まで水平移動させ、ベースプレート12に周壁13を取り付けるとともに、ケーシング11の上部にチャンバ20を取り付けて、油回転真空ポンプ40の油の交換を終了する。
【0037】
この第2実施形態の真空包装機10においても、ケーシング11内にて油回転真空ポンプ40に真空圧に耐えうる高価な排油管を設ける必要がないので、真空包装機10のコストダウンを図ることができるようになるとともにケーシング11内に排油管を配置するスペースが不要となるために真空包装機10を小型化することが可能となった。
【0038】
また、第2実施形態の真空包装機10においても、第1実施形態と同様に、ケーシング11内にはチャンバ20と油回転真空ポンプ40とを開閉自在に接続する吸引管アセンブリ50を油回転真空ポンプ40と着脱可能な状態で一体的となるように配設している。この真空包装機10においては、油回転真空ポンプ40の排油口42がケーシング11の外側位置となるように油回転真空ポンプ40を移動させたときに、吸引管アセンブリ50の一部(この実施形態では、第1外気導入弁53の吸気口に設けたサイレンサであり、本発明はこれに限られることなく他の部品であってもよい)がケーシング11の外側に位置するように、ケーシング11のベースプレート12の右側縁部には吸引管アセンブリ50の一部を外側に逃がす切欠き部12bを設けた(吸引管アセンブリ50と切欠き部12bの位置関係は第1実施形態の
図4にて示している)。このようにしたことで、吸引管アセンブリ50を油回転真空ポンプ40から切り離すことなく、油回転真空ポンプ40の排油口42をケーシング11の外側位置となるまで水平移動させることができるようになり、油回転真空ポンプ40の油の排出作業の作業性を向上させることができるようになった。