(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
可動部と、前記可動部を移動させる駆動部と、前記駆動部の駆動力を検出する駆動力検出部とを有する射出成形機の部品の情報を管理する、射出成形用情報管理装置であって、
前記可動部の停止中の前記駆動力検出部の検出値に基づいて、前記射出成形機の部品の劣化を検出する、射出成形用情報管理装置。
可動部と、前記可動部を移動させる駆動部と、前記駆動部の駆動力によって歪む駆動力作用部と、前記駆動力作用部の歪を検出する歪検出部とを有する射出成形機の部品の情報を管理する、射出成形用情報管理装置であって、
前記可動部の停止中の前記歪検出部の検出値に基づいて、前記射出成形機の部品の劣化を検出する、射出成形用情報管理装置。
前記射出成形用情報管理装置は、所定ショット毎に、前記射出成形機の部品の劣化を検出するための前記可動部の停止時間を成形サイクル中または/および成形サイクル間に設定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の射出成形用情報管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
【0011】
図1は、一実施形態による射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。
図2は、一実施形態による射出成形機の型締時の状態を示す図である。
図1および
図2に示すように、射出成形機は、フレームFrと、型締装置10と、射出装置40と、エジェクタ装置50と、制御装置90とを有する。
【0012】
以下の説明では、型閉時の可動プラテン13の移動方向(
図1および
図2中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン13の移動方向(
図1および
図2中左方向)を後方として説明する。
【0013】
型締装置10は、金型装置30の型閉、型締、型開を行う。型締装置10は、例えば型開閉方向が水平方向の横型である。型締装置10は、固定プラテン12、可動プラテン13、トグルサポート15、タイバー16、トグル機構20、型締モータ25および運動変換機構26を有する。
【0014】
固定プラテン12は、フレームFrに対し固定される。固定プラテン12における可動プラテン13との対向面に固定金型32が取り付けられる。
【0015】
可動プラテン13は、フレームFr上に敷設されるガイド(例えばガイドレール)17に沿って移動自在とされ、固定プラテン12に対し進退自在とされる。可動プラテン13における固定プラテン12との対向面に可動金型33が取り付けられる。
【0016】
固定プラテン12に対し可動プラテン13を進退させることにより、型閉、型締、型開が行われる。固定金型32と可動金型33とで金型装置30が構成される。
【0017】
トグルサポート15は、固定プラテン12と間隔をおいて連結され、フレームFr上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート15は、フレームFr上に敷設されるガイドに沿って移動自在とされてもよい。トグルサポート15のガイドは、可動プラテン13のガイド17と共通のものでもよい。
【0018】
尚、本実施形態では、固定プラテン12がフレームFrに対し固定され、トグルサポート15がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされるが、トグルサポート15がフレームFrに対し固定され、固定プラテン12がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされてもよい。
【0019】
タイバー16は、固定プラテン12とトグルサポート15とを間隔をおいて連結する。タイバー16は、複数本(例えば4本)用いられてよい。各タイバー16は、型開閉方向に平行とされ、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー16には型締力検出器18が設けられる。型締力検出器18は、タイバー16の歪みを検出することによって型締力を検出し、検出結果を示す信号を制御装置90に送る。
【0020】
尚、型締力検出器18は、歪みゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取り付け位置もタイバー16に限定されない。
【0021】
トグル機構20は、固定プラテン12に対し可動プラテン13を移動させる。トグル機構20は、可動プラテン13とトグルサポート15との間に配設される。トグル機構20は、クロスヘッド21、一対のリンク群などで構成される。各リンク群は、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク22および第2リンク23を有する。第1リンク22は可動プラテン13に対しピンなどで揺動自在に取付けられ、第2リンク23はトグルサポート15に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク23は、第3リンク24を介してクロスヘッド21に結合される。クロスヘッド21を進退させると、第1リンク22および第2リンク23が屈伸し、トグルサポート15に対し可動プラテン13が進退する。
【0022】
尚、トグル機構20の構成は、
図1および
図2に示す構成に限定されない。例えば
図1および
図2では、節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク24の一端部が、第1リンク22と第2リンク23との節点に結合されてもよい。
【0023】
型締モータ25は、トグルサポート15に取付けられており、トグル機構20を作動させる。型締モータ25は、クロスヘッド21を進退させることにより、第1リンク22および第2リンク23を屈伸させ、可動プラテン13を進退させる。
【0024】
運動変換機構26は、型締モータ25の回転運動をクロスヘッド21の直線運動に変換する。運動変換機構26は、ねじ軸26aと、ねじ軸26aに螺合するねじナット26bとを含む。ねじ軸26aと、ねじナット26bとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0025】
制御装置90は、
図1や
図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)91と、メモリなどの記憶媒体92と、入力インターフェイス93と、出力インターフェイス94とを有する。制御装置90は、記憶媒体92に記憶されたプログラムをCPU91に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置90は、入力インターフェイス93で外部からの信号を受信し、出力インターフェイス94で外部に信号を送信する。制御装置90は、型閉工程、型締工程、型開工程などを制御する。
【0026】
型閉工程では、型締モータ25を駆動してクロスヘッド21を設定速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン13を前進させ、可動金型33を固定金型32にタッチさせる。クロスヘッド21の位置や速度は、例えば型締モータ25のエンコーダ25aなどを用いて検出する。エンコーダ25aは、型締モータ25の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置90に送る。
【0027】
型締工程では、型締モータ25をさらに駆動してクロスヘッド21を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。型締時に可動金型33と固定金型32との間にキャビティ空間34が形成され、射出装置40がキャビティ空間34に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。キャビティ空間34の数は複数でもよく、その場合、複数の成形品が同時に得られる。
【0028】
型開工程では、型締モータ25を駆動してクロスヘッド21を設定速度で型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン13を後退させ、可動金型33を固定金型32から離間させる。その後、エジェクタ装置50が可動金型33から成形品を突出す。
【0029】
ところで、トグル機構20は、型締モータ25の駆動力を増幅して可動プラテン13に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク22と第2リンク23とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド21の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
【0030】
金型装置30の交換や金型装置30の温度変化などにより金型装置30の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型33が固定金型32にタッチする型タッチの時点でトグル機構20のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン12とトグルサポート15との間隔Lを調整する。
【0031】
型締装置10は、固定プラテン12とトグルサポート15との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う型厚調整機構60を有する。型厚調整機構60は、タイバー16の後端部に形成されるねじ軸61と、トグルサポート15に回転自在に保持されるねじナット62と、ねじ軸61に螺合するねじナット62を回転させる型厚調整モータ63とを有する。
【0032】
ねじ軸61およびねじナット62は、タイバー16ごとに設けられる。型厚調整モータ63の回転は、ベルトやプーリなどで構成される回転伝達部64を介して複数のねじナット62に伝達されてよい。複数のねじナット62を同期して回転できる。尚、回転伝達部64の伝達経路を変更することで、複数のねじナット62を個別に回転することも可能である。
【0033】
尚、回転伝達部64は、ベルトやプーリなどの代わりに、歯車などで構成されてもよい。この場合、各ねじナット62の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ63の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート15の中央部に回転自在に保持される。
【0034】
型厚調整機構60の動作は、制御装置90によって制御される。制御装置90は、型厚調整モータ63を駆動して、ねじナット62を回転させることで、ねじナット62を回転自在に保持するトグルサポート15の固定プラテン12に対する位置を調整し、固定プラテン12とトグルサポート15との間隔Lを調整する。
【0035】
尚、本実施形態では、ねじナット62がトグルサポート15に対し回転自在に保持され、ねじ軸61が形成されるタイバー16が固定プラテン12に対し固定されるが、本発明はこれに限定されない。
【0036】
例えば、ねじナット62が固定プラテン12に対し回転自在に保持され、タイバー16がトグルサポート15に対し固定されてもよい。この場合、ねじナット62を回転させることで、間隔Lを調整できる。
【0037】
また、ねじナット62がトグルサポート15に対し固定され、タイバー16が固定プラテン12に対し回転自在に保持されてもよい。この場合、タイバー16を回転させることで、間隔Lを調整できる。
【0038】
さらにまた、ねじナット62が固定プラテン12に対し固定され、タイバー16がトグルサポート15に対し回転自在に保持されてもよい。この場合、タイバー16を回転させることで間隔Lを調整できる。
【0039】
型厚調整機構60は、互いに螺合するねじ軸61とねじナット62の一方を回転させることで、間隔Lを調整する。複数の型厚調整機構60が用いられてもよく、複数の型厚調整モータ63が用いられてもよい。
【0040】
ところで、型締装置10の部品は、成形動作の繰り返しにより劣化する。型締装置10の部品のうち、力を受ける部品、特に摺動部品が比較的劣化しやすい。そのような摺動部品としては、例えばトグル機構20のピン、運動変換機構26、軸受などが挙げられる。軸受は、ブッシュなどのすべり軸受、転がり軸受のいずれでもよい。
【0041】
型締装置10の部品の劣化により、例えば、トグル機構20の一対のリンク群のバランスが崩れたり、運動変換機構26のねじ軸26aが撓んだり、複数本のタイバー16のバランスが崩れる。また、型締装置10の部品の劣化により、ガタが生じたり、摩擦抵抗が大きくなり、動作が不安定になる。
【0042】
制御装置90は、型締装置10の部品の劣化を検出するため、所定位置でクロスヘッド21を停止させるときの型締モータ25の駆動力を監視する。クロスヘッド21の停止は、クロスヘッド21の移動に伴うものであってよく、移動の間に一時的に行われるものであってよい。クロスヘッド21の停止は、成形品を製造する成形サイクル毎に繰り返し行われるものであってよく、成形サイクル間や成形サイクル中に行われるものであってよい。成形品を得るための一連の動作、例えば型閉工程の開始から次の型閉工程の開始までの動作を「ショット」および「成形サイクル」とも呼ぶ。クロスヘッド21の停止は、クロスヘッド21の制御中に行われてよく、例えばクロスヘッド21の位置制御中に行われてよい。クロスヘッド21が特許請求の範囲に記載の可動部に、型締モータ25が特許請求の範囲に記載の駆動部に対応する。
【0043】
型締モータ25の駆動力は、例えば型締モータ25のトルクで表され、トルク検出器27によって検出する。トルク検出器27は、型締モータ25の電流を検出することで、型締モータ25のトルクを検出し、その検出結果を示す信号を制御装置90に送る。トルク検出器27が特許請求の範囲に記載の駆動力検出部に対応する。尚、型締モータ25のトルクは、型締モータ25の電流指令値から求めることも可能である。
【0044】
制御装置90が監視するトルク検出器27の検出値は、クロスヘッド21の停止中の、ピーク値、平均値、パターンなどのいずれでもよい。制御装置90は、ピーク値や平均値を基準値と比較すること、パターンを基準パターンと比較することなどにより、型締装置10の部品の劣化を検出する。基準値や基準パターンなどは、予め試験などにより求められ、記憶媒体92に記憶されたものを読み出して用いる。
【0045】
例えば、制御装置90は、型開完了位置でクロスヘッド21を停止させるときの型締モータ25のトルクに基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出する。型締装置10の部品が劣化すると、摩擦抵抗などによってクロスヘッド21が型開完了位置の手前で停止し、クロスヘッド21を型開完了位置に移動させるため型締モータ25のトルクが大きくなる。また、型締装置10の部品が劣化すると、クロスヘッド21を型開完了位置で維持するための型締モータ25のトルクが大きくなる。型締装置10の部品が劣化していない場合、クロスヘッド21を型開完了位置で維持するための型締モータ25のトルクは、略ゼロである。型締モータ25のトルクが閾値以上の場合に、制御装置90は型締装置10の部品が劣化していると判定してよい。
【0046】
また、制御装置90は、型締位置でクロスヘッド21を停止させるときの型締モータ25の駆動力に基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出する。型締装置10の部品が劣化すると、クロスヘッド21を型締位置で維持するための型締モータの駆動力が変動する。型締装置10の部品が劣化していない場合、クロスヘッド21を型締位置で維持するための型締モータ25のトルクは、略一定である。型締モータ25のトルクの変動幅が閾値以上の場合に、制御装置90は型締装置10の部品が劣化していると判定してよい。
【0047】
制御装置90は、型締装置10の部品の劣化を検出するため、所定位置でクロスヘッド21を停止させるときのタイバー16の歪を監視する。タイバー16が特許請求の範囲に記載の駆動力作用部に対応する。
【0048】
タイバー16の歪は、例えば型締力検出器18によって検出できる。型締力検出器18は、タイバー16の歪を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置90に送る。型締力検出器18が特許請求の範囲に記載の歪検出部に対応する。
【0049】
制御装置90が監視する型締力検出器18の検出値は、クロスヘッド21の停止中の、ピーク値、平均値、パターンなどのいずれでもよい。制御装置90は、ピーク値や平均値を基準値と比較すること、パターンを基準パターンと比較することなどにより、型締装置10の部品の劣化を検出する。基準値や基準パターンなどは、予め試験などにより求められ、記憶媒体92に記憶されたものを読み出して用いる。
【0050】
例えば、制御装置90は、型開完了位置でクロスヘッド21を停止させるときのタイバー16の歪に基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出する。型締装置10の部品が劣化し、例えばタイバー16のバランスが崩れると、型開完了時にタイバー16に歪が残留する。型締装置10の部品が劣化していない場合、型開完了時のタイバー16の歪は略ゼロである。タイバー16の歪が閾値以上の場合に、制御装置90は型締装置10の部品が劣化していると判定してよい。
【0051】
また、制御装置90は、型締装置10の部品の劣化を検出するため、型締位置でクロスヘッド21を停止させるときのタイバー16の歪を監視してもよい。型締装置10の部品が劣化し、例えばタイバー16のバランスが崩れると、型締時のタイバー16の歪が変動する。型締装置10の部品が劣化していない場合、型締時のタイバー16の歪は、略一定である。タイバー16の歪の変動幅が許容範囲外の場合に、制御装置90は型締装置10の部品が劣化していると判定してよい。
【0052】
尚、駆動力作用部は、型締モータ25の駆動力によって歪むものであればよく、タイバー16には限定されない。駆動力作用部としては、例えば、トグル機構20や運動変換機構26、可動プラテン13、固定プラテン12などが挙げられる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の制御装置90は、所定位置にクロスヘッド21を停止させるときの型締モータ25の駆動力やタイバー16の歪に基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出する。クロスヘッド21の所定位置での停止は金型装置30や成形材料などの成形条件に関係なく行われるため、多種多様な成形条件への対応が可能である。
【0054】
制御装置90は、所定位置にクロスヘッド21を停止させるときの型締モータ25の駆動力やタイバー16の歪に基づいて、型締装置10の部品の劣化度を推定してよい。型締モータ25の駆動力やタイバー16の歪と、型締装置10の部品の劣化度との関係は、耐久性試験などにより求められ、予め記憶媒体92に記憶されたものを読み出して用いる。
【0055】
制御装置90は、推定した劣化度に関する通知を出力装置96に出力させる。出力装置96には画像表示装置やスピーカ、警告灯などが用いられ、通知には画像や音、光などが用いられる。通知を受けた射出成形機の使用者は、型締装置10の部品の劣化度などを知ることができる。
【0056】
例えば、制御装置90は、推定した劣化度とその許容範囲と関係を示す通知を出力装置96に出力させてもよい。通知を受けた射出成形機の使用者は、型締装置10の部品の残り寿命などを知ることができる。型締装置10の部品の破損前に、型締装置10の部品の交換が可能である。
【0057】
また、制御装置90は、推定した劣化度が許容範囲を超える場合、警報を出力装置96に出力させてよい。許容範囲の閾値は複数用意されてもよく、警報も複数種類用意されてもよい。この場合、制御装置90は、推定した劣化度に応じた警報を出力装置96に出力させる。
【0058】
重度の異常の発生前に、軽度の異常が通知されることで、型締装置10の部品が壊れる前に予め交換部品の用意や交換などの対策が可能である。型締装置10の部品が壊れる前に交換が行われることで、周辺の部品の破損や、成形品の生産の中断などが回避できる。また、軽量の異常が通知された後、重度の異常が発生する前に、交換部品の用意が行われればよいため、交換部品の保管期間が短縮でき、保管場所のスペースが縮小できる。
【0059】
制御装置90は、推定した劣化度が許容範囲を超える場合、射出成形機の動作を停止させてもよい。例えば、制御装置90は、重度の異常を検出した場合、射出成形機の動作を停止させてもよい。停止させる動作は、例えば成形品を繰り返し製造するサイクル運転などであってよい。重度の異常が発生しておらず、重度の異常の兆候が発生しているにすぎない場合、制御装置90はサイクル運転を続行してもよい。その後、重度の異常が発生した場合、サイクル運転が中断され、故障した部品の修理または交換が行われる。
【0060】
制御装置90は、インターネット回線などのネットワーク97を介して、型締装置10の部品の劣化に関する通知を管理サーバ98に送信してもよい。このとき、制御装置90は、型締装置10の部品の劣化に関する通知と、射出成形機の識別番号とを対応付けて管理サーバ98に送信する。管理サーバ98は、制御装置90と同様に、CPUや記憶媒体などを有する。
【0061】
管理サーバ98は、制御装置90から送信された情報を受信する。管理サーバ98は、受信した情報を、ネットワーク97を介して予め登録された受信端末99に送信する。受信端末99は、コンピュータなどの固定端末でも、携帯電話などの移動端末でもよい。射出成形機の使用者が、射出成形機の管理者に対し連絡する手間などが省ける。管理者は、受信端末99で受信した情報に基づいて、交換部品の用意、修理作業要員の手配などを行う。
【0062】
尚、制御装置90は、管理サーバ98を介さずに、予め登録された受信端末99に情報を送信してもよい。
【0063】
図3は、一実施形態によるクロスヘッドの位置の時間変化を示す図である。
図3に示すクロスヘッド21の位置は、制御装置90によって制御される。
【0064】
型閉工程では、型締モータ25を駆動してクロスヘッド21を設定速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン13を前進させ、可動金型33を固定金型32にタッチさせる。クロスヘッド21の位置や速度は、例えば型締モータ25のエンコーダ25aなどを用いて検出する。型締モータ25のエンコーダ25aは、型締モータ25の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置90に送る。
【0065】
型締工程では、型締モータ25をさらに駆動してクロスヘッド21を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。型締時に可動金型33と固定金型32との間にキャビティ空間34が形成され、射出装置40がキャビティ空間34に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。キャビティ空間34の数は複数でもよく、その場合、複数の成形品が同時に得られる。
【0066】
型開工程では、型締モータ25を駆動してクロスヘッド21を設定速度で型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン13を後退させ、可動金型33を固定金型32から離間させる。その後、エジェクタ装置50が可動金型33から成形品を突き出す。
【0067】
型閉工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および型締工程におけるクロスヘッド21の速度や位置(速度の切替位置、型閉完了位置、型締位置を含む)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。尚、クロスヘッド21の速度や位置などの代わりに、可動プラテン13の速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
【0068】
図3に示すように、制御装置90は、クロスヘッド21を、型開完了位置から型締位置まで前進させ、型締位置で所定時間停止させ、型締位置から型開完了位置まで後退させ、型開完了位置で所定時間停止させることを繰り返し行う。クロスヘッド21は、型開完了位置と、型締位置で停止される。
【0069】
そこで、制御装置90は、型開完了位置および型締位置の少なくとも一方の位置にクロスヘッド21を停止させるときの型締モータ25の駆動力に基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出してよく、その劣化による異常の有無を判定してよい。
【0070】
例えば、制御装置90は、型開完了位置でクロスヘッド21を停止させるときの型締モータ25のトルクに基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出する。型締装置10の部品が劣化すると、摩擦抵抗などによってクロスヘッド21が型開完了位置の手前で停止し、クロスヘッド21を型開完了位置に移動させるため型締モータ25のトルクが大きくなる。また、型締装置10の部品が劣化すると、クロスヘッド21を型開完了位置で維持するための型締モータ25のトルクが大きくなる。型締装置10の部品が劣化していない場合、クロスヘッド21を型開完了位置で維持するための型締モータ25のトルクは、略ゼロである。型締モータ25のトルクが閾値以上の場合に、制御装置90は型締装置10の部品が劣化しており、異常が生じていると判定してよい。
【0071】
また、制御装置90は、型締位置でクロスヘッド21を停止させるときの型締モータ25の駆動力に基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出する。型締装置10の部品が劣化すると、クロスヘッド21を型締位置で維持するための型締モータの駆動力が変動する。型締装置10の部品が劣化していない場合、クロスヘッド21を型締位置で維持するための型締モータ25のトルクは、略一定である。型締モータ25のトルクの変動幅が閾値以上の場合に、制御装置90は型締装置10の部品が劣化しており、異常が生じていると判定してよい。
【0072】
制御装置90は、型開完了位置および型締位置の少なくとも一方の位置にクロスヘッド21を停止させるときのタイバー16の歪に基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出してよく、その劣化による異常の有無を判定してよい。
【0073】
例えば、制御装置90は、型開完了位置でクロスヘッド21を停止させるときのタイバー16の歪に基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出する。型締装置10の部品が劣化し、例えばタイバー16のバランスが崩れると、型開完了時にタイバー16に歪が残留する。型締装置10の部品が劣化していない場合、型開完了時のタイバー16の歪は略ゼロである。タイバー16の歪が閾値以上の場合に、制御装置90は型締装置10の部品が劣化しており、異常が生じていると判定してよい。
【0074】
また、制御装置90は、型締装置10の部品の劣化を検出するため、型締位置でクロスヘッド21を停止させるときのタイバー16の歪を監視してもよい。型締装置10の部品が劣化し、例えばタイバー16のバランスが崩れると、型締時のタイバー16の歪が変動する。型締装置10の部品が劣化していない場合、型締時のタイバー16の歪は、略一定である。タイバー16の歪の変動幅が許容範囲外の場合に、制御装置90は型締装置10の部品が劣化しており、異常が生じていると判定してよい。
【0075】
制御装置90は、異なる複数の停止位置で劣化による異常の有無を判定してよい。異なる複数の停止位置で劣化による異常の有無を判定することで、複数種類の異常の有無を判定でき、劣化度を2段階以上で判別できる。例えば、制御装置90は、一の停止位置でのみ異常が生じていると判定する場合と、異なる複数の停止位置で異常が生じていると判定する場合とで、劣化度を異ならせてよい。劣化度を2段階以上で判別できるため、劣化度を精度良く管理できる。また、上述の如く、劣化度に応じて異なる種類の警報を出力できる。
【0076】
制御装置90は、型締装置10の部品のうち、運動変換機構26の劣化による異常の有無を判定してよく、運動変換機構26の劣化部位を推定してよい。運動変換機構26の劣化部位は、運動変換機構26の劣化による異常が有ると判定されるときのクロスヘッド21の停止位置から推定できる。
【0077】
例えば、運動変換機構26の劣化による異常が有ると判定されるときのクロスヘッド21の停止位置が型開完了位置である場合、ねじ軸26aのうち、型開完了時(
図1参照)におけるねじナット26bとの螺合部分が劣化位置であると推定される。
【0078】
また、運動変換機構26の劣化による異常が有ると判定されるときのクロスヘッド21の停止位置が型締位置である場合、ねじ軸26aのうち、型締時(
図2参照)におけるねじナット26bとの螺合部分が劣化位置であると推定される。
【0079】
さらに、運動変換機構26の劣化による異常が有ると判定されるときのクロスヘッド21の停止位置が複数(例えば型開完了位置と型締位置の両方)である場合、制御装置90はねじナット26bが劣化していると判定してもよい。
【0080】
制御装置90は、型締装置10の部品の劣化を検出するための専用の時間(例えば、
図3に示す劣化検出用時間)を成形サイクル中または/および成形サイクル間に設定してよい。
図3では、一のショットにおいてクロスヘッド21を型開完了位置で停止する時間を、他の一のショットにおいてクロスヘッドを型開完了位置で停止する時間よりも長く設定することで、劣化検出用時間を成形サイクル中に設定する。劣化検出用時間は、
図3では停止時間の終期に設定されるが、停止時間の初期に設定されてもよいし、停止時間の途中に設定されてもよい。劣化検出用時間を設定することで、確実に劣化を検出できる。
【0081】
尚、制御装置90は、一のショットにおいてクロスヘッド21を型締位置で停止する時間を、他の一のショットにおいてクロスヘッド21を型締位置で停止する時間よりも長く設定することで、劣化検出用時間を成形サイクル中に設定してもよい。また、劣化検出用時間は、ショット数が予め定められた複数回に達する度に設定されてもよいが、毎ショット設定されてもよく、所定ショット毎に設定されてよい。
【0082】
図4は、一実施形態による型締装置の圧縮成形の動作を示す図である。
図4(a)はクロスヘッドが型開完了位置にあるときの状態を、
図4(b)はクロスヘッドが圧縮待機位置にあるときの状態を、
図4(c)はクロスヘッドが圧縮成形位置にあるときの状態をそれぞれ示す。
図5は、一実施形態による型締装置の圧縮成形における、クロスヘッドの位置の時間変化を示す図である。
【0083】
図4に示す金型装置30Aは、固定プラテン12に取付けられる固定金型32Aと、可動プラテン13に取付けられる可動金型33Aとを含む。可動金型33Aは、金型本体部35A、枠状部36A、およびバネ部37Aを有する。枠状部36Aは、金型本体部35Aの凸部を囲み、バネ部37Aを介して金型本体部35Aと連結される。
【0084】
制御装置90は、
図4(a)に示す型開完了位置から圧縮待機位置までクロスヘッド21を前進させることにより、可動プラテン13を前進させる。これにより、可動金型33Aの枠状部36Aが固定金型32Aに押し付けられ、可動金型33Aのバネ部37Aが縮み、可動金型33Aの金型本体部35Aと固定金型32Aとの間にキャビティ空間34Aが形成される。
【0085】
続いて、制御装置90は、クロスヘッド21を圧縮待機位置で所定時間位置保持する。その間に、制御装置90は、キャビティ空間34Aに成形材料を充填する充填工程を開始する。
【0086】
次いで、制御装置90は、圧縮待機位置から圧縮成形位置までクロスヘッド21をさらに前進させることにより、可動プラテン13をさらに前進させる。これにより、可動金型33Aのバネ部37Aがさらに縮み、キャビティ空間34Aが小さくなり、キャビティ空間34Aに充填された成形材料が圧縮される。
【0087】
続いて、制御装置90は、クロスヘッド21を圧縮成形位置で所定時間位置保持する。クロスヘッド21が圧縮成形位置で所定時間位置保持される間に、キャビティ空間34Aに充填された成形材料が固化され、成形品が得られる。
【0088】
その後、制御装置90は、クロスヘッド21を圧縮成形位置から型開完了位置まで後退させる。尚、本実施形態では、クロスヘッド21を圧縮成形位置で所定時間位置保持した後、クロスヘッド21を型開完了位置まで後退させるが、その間に、クロスヘッド21を前進させたり、後退させたりしてもよく、途中で停止させてもよい。クロスヘッド21の設定位置の数に制限はない。
【0089】
図5に示すように、制御装置90は、クロスヘッド21を、型開完了位置から圧縮待機位置まで前進させ、圧縮待機位置で所定時間停止させ、圧縮待機位置から圧縮成形位置まで前進させ、圧縮成形位置で所定時間停止させ、圧縮成形位置から型開完了位置まで後退させ、型開完了位置で所定時間停止させることを繰り返し行う。クロスヘッド21は、型開完了位置と、圧縮待機位置と、圧縮成形位置で停止される。
【0090】
そこで、制御装置90は、型開完了位置、圧縮待機位置、圧縮成形位置の少なくとも1つの位置にクロスヘッド21を停止させるときの型締モータ25の駆動力に基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出してよく、その劣化による異常の有無を判定してよい。
【0091】
例えば、制御装置90は、型開完了位置でクロスヘッド21を停止させるときの型締モータ25のトルクに基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出する。型締装置10の部品が劣化すると、摩擦抵抗などによってクロスヘッド21が型開完了位置の手前で停止し、クロスヘッド21を型開完了位置に移動させるため型締モータ25のトルクが大きくなる。また、型締装置10の部品が劣化すると、クロスヘッド21を型開完了位置で維持するための型締モータ25のトルクが大きくなる。型締装置10の部品が劣化していない場合、クロスヘッド21を型開完了位置で維持するための型締モータ25のトルクは、略ゼロである。型締モータ25のトルクが閾値以上の場合に、制御装置90は型締装置10の部品が劣化しており、異常が生じていると判定してよい。
【0092】
また、制御装置90は、圧縮待機位置でクロスヘッド21を停止させるときの型締モータ25の駆動力に基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出する。型締装置10の部品が劣化すると、バネ部37Aの弾性復元力に抗してクロスヘッド21を圧縮待機位置で維持するための型締モータの駆動力が変動する。型締装置10の部品が劣化していない場合、クロスヘッド21を圧縮待機位置で維持するための型締モータ25のトルクは、略一定である。型締モータ25のトルクの変動幅が閾値以上の場合に、制御装置90は型締装置10の部品が劣化しており、異常が生じていると判定してよい。
【0093】
また、制御装置90は、圧縮成形位置でクロスヘッド21を停止させるときの型締モータ25の駆動力に基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出する。型締装置10の部品が劣化すると、バネ部37Aの弾性復元力や成形材料の圧力に抗してクロスヘッド21を圧縮成形位置で維持するための型締モータの駆動力が変動する。型締装置10の部品が劣化していない場合、クロスヘッド21を圧縮成形位置で維持するための型締モータ25のトルクは、略一定である。型締モータ25のトルクの変動幅が閾値以上の場合に、制御装置90は型締装置10の部品が劣化しており、異常が生じていると判定してよい。
【0094】
制御装置90は、型開完了位置、圧縮待機位置、圧縮成形位置の少なくとも1つの位置にクロスヘッド21を停止させるときのタイバー16の歪に基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出してよく、その劣化による異常の有無を判定してよい。
【0095】
例えば、制御装置90は、型開完了位置でクロスヘッド21を停止させるときのタイバー16の歪に基づいて、型締装置10の部品の劣化を検出する。型締装置10の部品が劣化し、例えばタイバー16のバランスが崩れると、型開完了時にタイバー16に歪が残留する。型締装置10の部品が劣化していない場合、型開完了時のタイバー16の歪は略ゼロである。タイバー16の歪が閾値以上の場合に、制御装置90は型締装置10の部品が劣化しており、異常が生じていると判定してよい。
【0096】
また、制御装置90は、型締装置10の部品の劣化を検出するため、圧縮待機位置でクロスヘッド21を停止させるときのタイバー16の歪を監視してもよい。型締装置10の部品が劣化し、例えばタイバー16のバランスが崩れると、圧縮待機時のタイバー16の歪が変動する。型締装置10の部品が劣化していない場合、圧縮待機時のタイバー16の歪は、略一定である。タイバー16の歪の変動幅が許容範囲外の場合に、制御装置90は型締装置10の部品が劣化しており、異常が生じていると判定してよい。
【0097】
また、制御装置90は、型締装置10の部品の劣化を検出するため、圧縮成形位置でクロスヘッド21を停止させるときのタイバー16の歪を監視してもよい。型締装置10の部品が劣化し、例えばタイバー16のバランスが崩れると、圧縮時のタイバー16の歪が変動する。型締装置10の部品が劣化していない場合、圧縮時のタイバー16の歪は、略一定である。タイバー16の歪の変動幅が許容範囲外の場合に、制御装置90は型締装置10の部品が劣化しており、異常が生じていると判定してよい。
【0098】
制御装置90は、異なる複数の停止位置で劣化による異常の有無を判定してよい。異なる複数の停止位置で劣化による異常の有無を判定することで、複数種類の異常の有無を判定でき、劣化度を2段階以上で判別できる。例えば、制御装置90は、一の停止位置でのみ異常が生じていると判定する場合と、異なる複数の停止位置で異常が生じていると判定する場合とで、劣化度を異ならせてよい。劣化度を2段階以上で判別できるため、劣化度を精度良く管理できる。また、上述の如く、劣化度に応じて異なる種類の警報を出力できる。
【0099】
制御装置90は、型締装置10の部品のうち、運動変換機構26の劣化による異常の有無を判定してよく、運動変換機構26の劣化部位を推定してよい。運動変換機構26の劣化部位は、運動変換機構26の劣化による異常が有ると判定されるときのクロスヘッド21の停止位置から推定できる。
【0100】
例えば、運動変換機構26の劣化による異常が有ると判定されるときのクロスヘッド21の停止位置が型開完了位置である場合、ねじ軸26aのうち、型開完了時(
図4(a)参照)におけるねじナット26bとの螺合部分が劣化位置であると推定される。
【0101】
また、運動変換機構26の劣化による異常が有ると判定されるときのクロスヘッド21の停止位置が圧縮待機位置である場合、ねじ軸26aのうち、圧縮待機時(
図4(b)参照)におけるねじナット26bとの螺合部分が劣化位置であると推定される。
【0102】
また、運動変換機構26の劣化による異常が有ると判定されるときのクロスヘッド21の停止位置が圧縮成形位置である場合、ねじ軸26aのうち、圧縮成形時(
図4(c)参照)におけるねじナット26bとの螺合部分が劣化位置であると推定される。
【0103】
さらに、運動変換機構26の劣化による異常が有ると判定されるときのクロスヘッド21の停止位置が複数(例えば型開完了位置と圧縮待機位置と圧縮成形位置)である場合、制御装置90はねじナット26bが劣化していると判定してもよい。
【0104】
制御装置90は、型締装置10の部品の劣化を検出するための専用の時間(例えば、
図5に示す劣化検出用時間)を成形サイクル中または/および成形サイクル間に設定してよい。
図5では、一のショットにおいてクロスヘッド21を型開完了位置で停止する時間を、他の一のショットにおいてクロスヘッドを型開完了位置で停止する時間よりも長く設定することで、劣化検出用時間を成形サイクル中に設定する。劣化検出用時間は、
図5では停止時間の終期に設定されるが、停止時間の初期に設定されてもよいし、停止時間の途中に設定されてもよい。劣化検出用時間を設定することで、確実に劣化を検出できる。
【0105】
尚、制御装置90は、一のショットにおいてクロスヘッド21を圧縮待機位置で停止する時間を、他の一のショットにおいてクロスヘッド21を圧縮待機位置で停止する時間よりも長く設定することで、劣化検出用時間を成形サイクル中に設定してもよい。同様に、一のショットにおいてクロスヘッド21を圧縮成形位置で停止する時間を、他の一のショットにおいてクロスヘッド21を圧縮成形位置で停止する時間よりも長く設定することで、劣化検出用時間を成形サイクル中に設定してもよい。また、劣化検出用時間は、ショット数が予め定められた複数回に達する度に設定されてもよいが、毎ショット設定されてもよく、所定ショット毎に設定されてよい。
【0106】
尚、本実施形態では、可動金型33Aが金型本体部35A、枠状部36A、およびバネ部37Aを有するが、固定金型32Aが金型本体部、枠状部、およびバネ部を有してもよい。また、金型本体部35Aと枠状部36Aとの間に配設される部材として、バネ部37Aに代えて、油圧シリンダが用いられてもよい。また、金型装置30Aは、インロー型などでもよい。
【0107】
以上、射出成形機の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0108】
上記実施形態では制御装置90が特許請求の範囲に記載の射出成形用情報管理装置に対応するが、射出成形用情報管理装置は制御装置90とは別に設けられてもよい。また、上記実施形態ではクロスヘッド21が特許請求の範囲に記載の可動部に、型締モータ25が特許請求の範囲に記載の駆動部に対応するが、本発明はこれに限定されない。
【0109】
例えば、上記実施形態の制御装置90は、型締装置10の部品の劣化の検出に用いられるが、射出装置40の部品の劣化の検出や、射出装置40を金型装置30に対し接離させる移動装置の部品の劣化の検出、エジェクタ装置50の部品の劣化の検出などに用いられてもよい。射出装置40や移動装置、エジェクタ装置50などの部品のうち、力を受ける部品、特に摺動部品の劣化の検出に用いられてもよい。摺動部品としては、上述の如く、ボールねじ機構などの運動変換機構が挙げられる。
【0110】
上記実施形態の型締装置10は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
【0111】
竪型の型締装置は、下プラテン、上プラテン、トグルサポート、タイバー、トグル機構、型締モータ、型厚調整機構などを有する。下プラテンと上プラテンのうち、いずれか一方が固定プラテン、残りの一方が可動プラテンとして用いられる。下プラテンには下金型が取り付けられ、上プラテンには上金型が取り付けられる。下金型と上金型とで金型装置が構成される。下金型は、ロータリーテーブルを介して下プラテンに取り付けられてもよい。トグルサポートは、下プラテンの下方に配設される。トグル機構は、トグルサポートと下プラテンとの間に配設される。タイバーは、鉛直方向に平行とされ、下プラテンを貫通し、上プラテンとトグルサポートとを連結する。
【0112】
竪型の型厚調整機構は、金型装置の厚さの変化などに応じて、上プラテンとトグルサポートとの間隔を調整することで、型厚調整を行う。この型厚調整では、下金型と上金型とがタッチする型タッチの時点でトグル機構のリンク角度が所定の角度になるように、上プラテンとトグルサポートとの間隔を調整する。型閉完了時にリンク角度を所定の角度に調整でき、型締時に所定の型締力を得ることができる。型厚調整機構は、タイバーに形成されるねじ軸と、上プラテンおよびトグルサポートの一方に保持されるねじナットと、互いに螺合するねじ軸およびねじナットの一方を回転させる型厚調整モータとを有する。型厚調整機構は、上プラテンおよびトグルサポートの他方に保持されるねじナットをさらに有してもよい。
【0113】
上記実施形態の型締装置10は、トグル機構20およびトグル機構20を作動させる型締モータ25を有するが、型開閉用にリニアモータを、型締用に電磁石を有してもよい。
【0114】
電磁石式の型締装置は、例えば固定プラテン、可動プラテン、リヤプラテン、タイバー、吸着板、ロッド、および型厚調整機構などを有する。リヤプラテンは、可動プラテンを基準として固定プラテンとは反対側(つまり、可動プラテンの後方)に配設される。タイバーは、固定プラテンとリヤプラテンとを型開閉方向に間隔をおいて連結する。吸着板は、リヤプラテンの後方において、可動プラテンと共に進退自在とされる。ロッドは、リヤプラテンの貫通穴に挿通され、可動プラテンと吸着板とを連結する。リヤプラテンおよび吸着板の少なくとも一方には電磁石が形成され、電磁石による吸着力がリヤプラテンと吸着板との間に作用し、型締力が生じる。
【0115】
電磁石式の型厚調整機構は、可動プラテンと吸着板との間隔を調整することで、型厚調整を行う。この型厚調整では、可動金型と固定金型とがタッチする型タッチの時点で吸着板とリヤプラテンとの間に所定のギャップが形成されるように、可動プラテンと吸着板との間隔を調整する。型閉完了時に吸着板とリヤプラテンとの間に所定のギャップを形成でき、型締時に所定の型締力を得ることができる。型厚調整機構は、ロッドに形成されるねじ軸と、可動プラテンおよび吸着板の一方に保持されるねじナットと、互いに螺合するねじ軸およびねじナットの一方を回転させる型厚調整モータとを有する。型厚調整機構は、可動プラテンおよび吸着板の他方に保持されるねじナットをさらに有してもよい。
【0116】
本出願は、2016年3月31日に日本国特許庁に出願した特願2016−071610号に基づく優先権を主張するものであり、特願2016−071610号の全内容を本出願に援用する。