特許第6744977号(P6744977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6744977
(24)【登録日】2020年8月4日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】圧縮機モジュール
(51)【国際特許分類】
   F04B 41/00 20060101AFI20200806BHJP
   F04D 25/02 20060101ALI20200806BHJP
   F04D 29/063 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   F04B41/00 Z
   F04B41/00 B
   F04D25/02 Z
   F04D29/063
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-500131(P2019-500131)
(86)(22)【出願日】2017年2月17日
(86)【国際出願番号】JP2017005918
(87)【国際公開番号】WO2018150541
(87)【国際公開日】20180823
【審査請求日】2019年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】310010564
【氏名又は名称】三菱重工コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】渡部 拓也
【審査官】 上野 力
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−151097(JP,U)
【文献】 実開昭53−082807(JP,U)
【文献】 特開2009−174356(JP,A)
【文献】 特開昭54−148967(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3046880(JP,U)
【文献】 実公昭48−003130(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 41/00
F04D 25/02
F04D 29/063
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転駆動される出力軸を有する回転駆動機と、
前記回転駆動機に対して前記軸線の延びる軸線方向に並んで配置され、前記出力軸の回転が伝達される圧縮機と、
前記回転駆動機及び前記圧縮機を鉛直方向の下方から支持し、前記鉛直方向の上方から見た際に前記回転駆動機及び前記圧縮機よりも大きな台板と、
前記回転駆動機及び前記圧縮機で使用される潤滑油を貯蔵する貯蔵タンクと、を備え、
前記貯蔵タンクは、前記台板に対して前記軸線方向に交差する幅方向の外側に設けられ、前記軸線方向を含む方向に延びる筒状をなすタンク本体を有し、
前記タンク本体は、前記軸線方向と直交する方向から見た際に、前記回転駆動機の少なくとも一部と重なる位置から前記圧縮機の少なくとも一部と重なる位置まで延びており、
前記回転駆動機及び前記圧縮機の少なくとも何れか一方から前記タンク本体まで前記潤滑油を戻すドレン配管が、鉛直方向に対して傾斜しながら、幅方向にまっすぐ延びてタンク本体に接続される
圧縮機モジュール。
【請求項2】
記ドレン配管は、前記タンク本体の側面に接続されている請求項1に記載の圧縮機モジュール。
【請求項3】
前記ドレン配管は、前記タンク本体に向かって前記幅方向に延びるにしたがって前記鉛直方向の下方に向かうよう傾斜している請求項2に記載の圧縮機モジュール。
【請求項4】
前記台板は、
前記軸線方向に間隔を空けて設けられ、前記幅方向に延びる第一梁部と、
前記幅方向に間隔を空けて設けられ、前記軸線方向に延びる第二梁部と、を有し、
前記タンク本体は、前記鉛直方向の上方から見た際に、前記台板よりも外側に配置されて、前記第二梁部の側面に固定されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧縮機モジュール。
【請求項5】
前記タンク本体上に、前記潤滑油を前記回転駆動機及び前記圧縮機に供給する潤滑油供給機器が設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の圧縮機モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
空気やガス等の気体を圧縮する圧縮機と、圧縮機を駆動させるモータやタービン等の回転駆動機とを台板上に設置した圧縮機モジュールが使用されている。このような圧縮機モジュールでは、圧縮機や回転駆動機で使用される潤滑油を回収する貯蔵タンクも一体に設けられている。そのため、このような圧縮機モジュールでは、圧縮機モジュール全体として、コンパクトにすることができるというメリットがある。また、このような圧縮機モジュールでは、貯蔵タンクと圧縮機及び回転駆動機とが一体化されるように組み立てた状態で現地まで送ることで、現地での配管の接続調整等の作業を削減でき、据付作業を単純化することができるというメリットもある。
【0003】
例えば、特許文献1にはモータと複数の圧縮機とが一体化されたターボ圧縮機が記載されている。このターボ圧縮機では、モータと圧縮機とを繋ぐギアケースの下部に貯蔵タンクである潤滑油タンクが設けられている。
【0004】
ところで、この貯蔵タンクには、圧縮機及び回転駆動機で使用された潤滑油を回収するためのドレン配管が繋がれている。このドレン配管は、圧縮機及び回転駆動機から貯蔵タンクに潤滑油を流入させるために、貯蔵タンクに向かうにしたがって下がるように、規格によって定められた勾配を持たせて配置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−60882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のような構造では、圧縮機モジュールの省スペース化は図れるものの、ギアケースを安定して支持する台板としての機能を貯蔵タンクに持たせる必要がある。その結果、貯蔵タンクに高い強度が要求される。貯蔵タンクに強度を持たせた場合、貯蔵タンクの重量が増加してしまう。そのため、貯蔵タンクの重量の増加を抑えつつ、圧縮機モジュールの省スペース化を図りたいという要望がある。
【0007】
本発明は、省スペース化を図ることが可能な圧縮機モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様に係る圧縮機モジュールは、軸線回りに回転駆動される出力軸を有する回転駆動機と、前記回転駆動機に対して前記軸線の延びる軸線方向に並んで配置され、前記出力軸の回転が伝達される圧縮機と、前記回転駆動機及び前記圧縮機を鉛直方向の下方から支持し、前記鉛直方向の上方から見た際に前記回転駆動機及び前記圧縮機よりも大きな台板と、前記回転駆動機及び前記圧縮機で使用される潤滑油を貯蔵する貯蔵タンクと、を備え、前記貯蔵タンクは、前記台板に対して前記軸線方向に交差する幅方向の外側に設けられ、前記軸線方向を含む方向に延びる筒状をなすタンク本体を有する。
【0009】
このような構成によれば、台板とタンク本体とを別の部材としながら、台板内にタンク本体を設置する必要が無くなり、台板を小型化することができる。また、タンク本体を、軸線方向を含む方向に延びる筒状とすることで、台板の幅方向の外側への貯蔵タンクの張り出し寸法を抑えつつ、貯蔵タンクの容量を確保することができる。
【0010】
本発明の第二の態様に係る圧縮機モジュールでは、第一の態様において、前記タンク本体は、前記軸線方向と直交する方向から見た際に、前記回転駆動機の少なくとも一部と重なる位置から前記圧縮機の少なくとも一部と重なる位置まで延びていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、回転駆動機や圧縮機の軸線方向と直交する方向にタンク本体が配置されている。そのため、回転駆動機や圧縮機から排出される潤滑油を貯蔵タンクに送り返すためのドレン配管を軸線方向と直交する方向に延ばすだけで、回転駆動機及び圧縮機とタンク本体とが繋がれる。これにより、潤滑油を流すために必要なドレン配管の長さが短くすることができる。
【0012】
本発明の第三の態様に係る圧縮機モジュールでは、第一または第二の態様において、前記回転駆動機または前記圧縮機から前記タンク本体まで前記潤滑油を戻すドレン配管を備え、前記ドレン配管は、前記タンク本体の側面に接続されていてもよい。
【0013】
本発明の第四の態様に係る圧縮機モジュールでは、第三の態様において、前記ドレン配管は、前記タンク本体に向かって前記幅方向に延びるにしたがって前記鉛直方向の下方に向かうよう傾斜していてもよい。
【0014】
このような構成によれば、ドレン配管を短くすることができるため、ドレン配管を設置する際に必要な勾配を確保するための高さが低くなる。したがって、回転駆動機や圧縮機の設置高さを抑えることができる。これにより、回転駆動機や圧縮機から受けるモーメントが小さくなり、台板への動荷重が低減される。そのため、台板に要求される剛性が低くなり、梁の数や高さを低減させるように台板を安価な構成とすることができる。
【0015】
本発明の第五の態様に係る圧縮機モジュールでは、第一から第四の態様のいずれか一つにおいて、前記台板は、前記軸線方向に間隔を空けて設けられ、前記幅方向に延びる第一梁部と、前記幅方向に間隔を空けて設けられ、前記軸線方向に延びる第二梁部と、を有し、前記タンク本体は、前記鉛直方向の上方から見た際に、前記台板よりも外側に配置されて、前記第二梁部の側面に固定されていてもよい。
【0016】
本発明の第六の態様に係る圧縮機モジュールでは、第一から第五の態様のいずれか一つにおいて、前記タンク本体上に、前記潤滑油を前記回転駆動機及び前記圧縮機に供給する潤滑油供給機器が設けられていてもよい。
【0017】
このような構成によれば、台板上に潤滑油供給機器を設置するスペースを確保する必要がなくなる。これにより、台板をより小型化することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態における圧縮機モジュールの概要を幅方向から説明する側面図である。
図2】本発明の実施形態における圧縮機モジュールの概要を軸鉛直方向から説明する平面図である。
図3】本発明の実施形態における圧縮機モジュールの概要を軸線方向から説明する図1のA−A断面図である。
図4】本発明の実施形態における圧縮機モジュールの貯蔵タンクの固定部を軸線方向から説明する図3の一部拡大断面図である。
図5】本発明の実施形態における圧縮機モジュールの変形例を、軸線方向から説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の圧縮機モジュール1を説明する。
図1図2に示すように、圧縮機モジュール1は、回転駆動機2と、圧縮機3と、変速機4と、台板5と、貯蔵タンク6と、潤滑油供給部(潤滑油供給機器)7と、固定部8とを備えている。
【0021】
回転駆動機2は、変速機4を介して圧縮機3に連結されている。回転駆動機2は、圧縮機3を駆動させる。回転駆動機2は、回転駆動される出力軸21を有する。回転駆動機2は、出力軸21を第一軸線(軸線)C1回りに回転自在に支持する駆動機第一軸受22A及び駆動機第二軸受22Bを有する。駆動機第二軸受22Bは、軸線方向Daの出力軸21側に設けられている。本実施形態の回転駆動機2は、電動モータである。回転駆動機2は、常に一定速で出力軸21を第一軸線C1回りに回転駆動する。出力軸21は、第一軸線C1を中心とする円柱状をなしている。
【0022】
なお、本実施形態では、鉛直方向Dvと直交する方向であって、第一軸線C1の延びる方向を軸線方向Daと称する。つまり、鉛直方向Dvは、軸線方向Daと交差する方向の一つである。また、軸線方向Da及び鉛直方向Dvと直交する方向を幅方向Dwと称する。つまり、幅方向Dwは、軸線方向Daと交差する方向の一つであって、鉛直方向Dvとは異なる方向である。
【0023】
圧縮機3は、回転駆動機2に対して軸線方向Daに間隔を空けて並んで配置されている。圧縮機3は、出力軸21の回転が変速機4を介して伝達される。本実施形態の圧縮機3は、例えば、多段遠心圧縮機である。圧縮機3は、変速機4と連結されたロータ31を有している。ロータ31は、第二軸線(軸線)C2回りに回転される。ロータ31は、第二軸線C2を中心とする円柱状をなしている。圧縮機3は、ロータ31を第二軸線C2回りに回転自在に支持する圧縮機第一軸受32A及び圧縮機第二軸受32Bを有している。圧縮機第一軸受32Aは、軸線方向Daのロータ31側に設けられている。なお、本実施形態における第二軸線C2は、第一軸線C1と平行であって、幅方向Dwにずれた位置で延びている。
【0024】
このような圧縮機3は、変速機4を介して出力軸21の回転がロータ31に伝達されることで駆動される。圧縮機3は、ロータ31が回転することで、取り込んだ作動流体を圧縮して圧縮流体を生成する。なお、ここで、圧縮機3で生成する圧縮流体の用途については何ら限定するものではない。
【0025】
変速機4は、回転駆動機2の回転を圧縮機3に伝達する。本実施形態の変速機4は、複数のギアによって、回転駆動機2の回転を増速する増速機である。変速機4は、回転駆動機2と圧縮機3との軸線方向Daの間に挟まれるように配置されている。本実施形態の変速機4は、出力軸21と連結される変速機入力軸41と、ロータ31と連結される変速機出力軸42とを有している。
【0026】
変速機入力軸41は、第一軸線C1回りに回転される。変速機入力軸41は、第一軸線C1を中心とする円柱状をなしている。
【0027】
変速機出力軸42は、第二軸線C2回りに回転される。変速機出力軸42は、第二軸線C2を中心とする円柱状をなしている。つまり、変速機出力軸42は、変速機入力軸41から幅方向Dwにずれた位置で変速機入力軸41と平行に延びている。変速機出力軸42は、出力軸21と連結された変速機入力軸41から入力されて増速された回転を連結されたロータ31に伝達する。
【0028】
台板5は、回転駆動機2、圧縮機3、及び変速機4を鉛直方向Dvの下方から支持している。つまり、回転駆動機2、圧縮機3、及び変速機4は台板5に据え付けられている。図2に示すように、本実施形態の台板5は、複数の縦梁部(第一梁部)51と、複数の横梁部(第二梁部)52と、サポート部53とによって構成されている。台板5は、複数の縦梁部51と複数の横梁部52とが組み合わされて溶接等によって固定されることで、格子状の枠体をなしている。台板5は、鉛直方向Dvの上方から見た際に、回転駆動機2、圧縮機3、及び変速機4の全領域と重なる大きさで形成されている。
【0029】
縦梁部51は、軸線方向Daに離間して複数設けられている。縦梁部51は、幅方向Dwに延びている。縦梁部51は、複数の横梁部52に溶接されて固定されている。縦梁部51は、回転駆動機2、圧縮機3、及び変速機4等の重量物を載置しても変形せずに支持することが可能な剛性の高い材料で形成されている。本実施形態の縦梁部51は、カーボンスチール(炭素鋼)で形成されている。
【0030】
各縦梁部51は、断面H型の鋼材である。縦梁部51は、平板状をなす縦上部フランジ51aと、平板状をなす縦下部フランジ51bと、平板状をなす縦ウェブ51cとが一体をなすことで形成されている。
【0031】
縦上部フランジ51a及び縦下部フランジ51bは、同じ大きさの矩形平板状をなしている。縦下部フランジ51bは、縦上部フランジ51aに対して鉛直方向Dvの下方に間隔を空けて設けられている。本実施形態の縦下部フランジ51bは、基礎B上に設置されている。縦ウェブ51cは、鉛直方向Dvに延びている。縦ウェブ51cは、縦上部フランジ51aと縦下部フランジ51bとを連結している。縦ウェブ51cは、縦上部フランジ51aの幅方向Dwの中心位置と接続されている。縦ウェブ51cは、縦下部フランジ51bの幅方向Dwの中心位置と接続されている。これら縦上部フランジ51a、縦下部フランジ51b、及び縦ウェブ51cは、溶接されて一体をなしている。
【0032】
横梁部52は、幅方向Dwに離間して複数設けられている。横梁部52は、台板5の両側の端部をそれぞれ形成している。各横梁部52は、台板5の軸線方向Daの全長と同じ長さとなるように、軸線方向Daに延びている。本実施形態の横梁部52は、カーボンスチールで形成されている。複数の横梁部52は、複数の縦梁部51と溶接等によって固定されている。
【0033】
図4に示すように、各横梁部52は、断面H型の鋼材である。各横梁部52は、横上部フランジ52aと、横下部フランジ52bと、横ウェブ(側面)52cと、が一体をなすことで形成されている。
【0034】
横上部フランジ52aは、鉛直方向Dvの上方を向く上面の位置が縦上部フランジ51aの上面と同一高さとなるように設けられている。横下部フランジ52bは、横上部フランジ52aに対して鉛直方向Dvの下方に間隔を空けて設けられている。本実施形態の横下部フランジ52bは、基礎B上に設置されている。横ウェブ52cは、鉛直方向Dvに延びている。横ウェブ52cは、横上部フランジ52aと横下部フランジ52bとを連結している。横ウェブ52cは、横上部フランジ52aの幅方向Dwの中心位置と接続されている。横ウェブ52cは、横下部フランジ52bの幅方向Dwの中心位置と接続されている。これら横上部フランジ52a、横下部フランジ52b、及び横ウェブ52cは、溶接されて一体をなしている。
【0035】
サポート部53は、格子状に組まれた縦梁部51と複数の横梁部52の鉛直方向Dvの上方に固定されている。サポート部53は、回転駆動機2、圧縮機3、及び変速機4を鉛直方向Dvの下方から支持している。サポート部53は、回転駆動機2、圧縮機3、及び変速機4の鉛直方向Dvの高さを任意の高さに調整するために設置されている。
【0036】
貯蔵タンク6は、図1に示すように、回転駆動機2、変速機4、及び圧縮機3で使用される潤滑油を貯蔵する。本実施形態の潤滑油は、駆動機第一軸受22A、駆動機第二軸受22B、変速機4の内部の歯車及び軸受(不図示)、圧縮機の圧縮機第一軸受32A、及び、圧縮機第二軸受32Bで使用される。貯蔵タンク6は、駆動機第一軸受22A、駆動機第二軸受22B、変速機4の内部の歯車及び軸受(不図示)、圧縮機の圧縮機第一軸受32A、及び、圧縮機第二軸受32Bよりも鉛直方向Dvの下方に配置されている。より具体的には、内部に貯められた潤滑油の液面の位置が、駆動機第一軸受22A、駆動機第二軸受22B、変速機4の内部の歯車及び軸受(不図示)、圧縮機の圧縮機第一軸受32A、及び、圧縮機第二軸受32Bよりも鉛直方向Dvの下方となるように、貯蔵タンク6は配置されている。本実施形態の貯蔵タンク6は、タンク本体6Aと、複数の補強部6Bとを有している。
【0037】
本実施形態の圧縮機モジュール1は、回転駆動機2、圧縮機3、及び変速機4からタンク本体6Aまで潤滑油を戻す複数のドレン配管61A〜61Eを備えている。ドレン配管61A〜61Eは、タンク本体6Aの側面に接続されていている。したがって、本実施形態の貯蔵タンク6は、図2に示すように、回転駆動機2、圧縮機3、及び変速機4から自重で流れてくる潤滑油が流通するドレン配管61A〜61Eに繋がれている。貯蔵タンク6は、ドレン配管61Aによって、駆動機第一軸受22Aと繋がれている。貯蔵タンク6は、ドレン配管61Bによって、駆動機第二軸受22Bと繋がれている。貯蔵タンク6は、ドレン配管61Cによって、変速機4の内部の歯車及び軸受と繋がれている。貯蔵タンク6は、ドレン配管61Dによって、圧縮機第一軸受32Aと繋がれている。貯蔵タンク6は、ドレン配管61Eによって、圧縮機第二軸受32Bと繋がれている。本実施形態のドレン配管61A〜61Eは、タンク本体6Aに向かって幅方向Dwに延びるにしたがって鉛直方向Dvの下方に向かうように傾いて延びている。ドレン配管61A〜61Eは、例えば、最低1/25程度の勾配で設置されている。
【0038】
タンク本体6Aは、図1及び図2に示すように、軸線方向Daを含む方向に延びる筒状をなしている。本実施形態のタンク本体6Aは、軸線方向Daに延びる有底角筒状をなしている。タンク本体6Aは、後述する固定部8によって台板5に固定されている。タンク本体6Aは、内部を流通している間に潤滑油中の気泡が十分脱気されるだけの流通時間を確保可能な大きさで形成されている。また、タンク本体6Aは、軸線方向Daと直交する方向から見た際に、回転駆動機2の軸線方向Daの位置と少なくとも一部が重なる位置から、圧縮機3の軸線方向Daの位置と少なくとも一部が重なる位置まで軸線方向Daに延びている。したがって、タンク本体6Aは、幅方向Dwや鉛直方向Dvから見た際に、軸線方向Daの位置が回転駆動機及び圧縮機3の軸線方向Daの位置と重なるように延びている。本実施形態のタンク本体6Aは、幅方向Dwの外側から見た際に、回転駆動機2、変速機4、及び圧縮機3の全てが配置されている領域よりも軸線方向Daの長さが長くなるように延びている。本実施形態のタンク本体6Aは、軸線方向Daの長さが台板5とほぼ同じ長さとされている。タンク本体6Aは、台板5の幅方向Dwの外側に設けられている。タンク本体6Aは、鉛直方向Dvから見た際に、横梁部52と重ならないように、縦梁部51及び横梁部52よりも幅方向Dwの外側に配置されている。本実施形態のタンク本体6Aは、オーステナイト系ステンレス鋼等、潤滑油や空気や水分に対して高い耐食性を有した材料で形成されている。
【0039】
本実施形態の補強部6Bは、図2図4に示すように、タンク本体6Aの内部に配置されている。補強部6Bは、タンク本体6Aの内周面60Aに固定されている。補強部6Bが、タンク本体6Aの内周面60Aに対して全周にわたって設けられている。本実施形態の補強部6Bは、板状をなしている。したがって、補強部6Bは、タンク本体6Aの中心部分を塞がないように、矩形環状をなして設けられている。また、補強部6Bは、鉛直方向Dvの下方におけるタンク本体6Aの内周面60Aとの接続部分に、複数の矩形孔67が形成されている。この矩形孔67によって、タンク本体6A内の潤滑油をメンテナンス等で完全に抜く際に鉛直方向Dvの下方で補強部6Bによってせき止められている潤滑油が、タンク本体6A内で軸線方向Daに移動可能とされている。補強部6Bは、図2に示すように、軸線方向Daに離間して複数設けられている。
【0040】
潤滑油供給部(潤滑油供給機器)7は、タンク本体6Aから潤滑油供給配管62A〜62Eを通して、駆動機第一軸受22A、駆動機第二軸受22B、変速機4の内部の歯車及び軸受、圧縮機第一軸受32A、及び圧縮機第二軸受32Bに潤滑油をそれぞれ供給する。なお、本実施形態の潤滑油供給配管62A〜62Eは、一つの配管が分岐しているように図2に記載されているがこのような構造に限定されるものではなく、それぞれ別々の配管であってもよい。本実施形態の潤滑油供給部7は、図2に示すように、オイルポンプ71と、オイルクーラ72と、オイルフィルタ73とを途中に有している。
【0041】
オイルポンプ71は、タンク本体6A内に貯蔵された潤滑油を回転駆動機2、変速機4、及び圧縮機3に向かって圧送している。オイルクーラ72は、オイルポンプ71から送られた潤滑油を冷却している。オイルフィルタ73は、オイルクーラ72から送られてきた潤滑油に紛れたゴミ等の異物を除去している。
【0042】
図2に示すように、オイルポンプ71、オイルクーラ72、オイルフィルタ73等の潤滑油供給部7を構成する機器は、本実施形態では、全てタンク本体6Aの上部6t上に設けられている。
【0043】
なお、オイルポンプ71、オイルクーラ72、オイルフィルタ73等の潤滑油供給部7を構成する機器は、全てタンク本体6Aの上部6t上に設けられていることに限定されるものではない。例えば、オイルクーラ72がシェルアンドチューブタイプの場合には、オイルクーラ72のみをタンク本体6Aの上部6t以外に設けるように、一部の機器のみが別の箇所に設けられていてもよい。
【0044】
図4に示すように、固定部8は、タンク本体6Aを台板5に取り付けている。固定部8は、第一ブラケット81と、第二ブラケット82と、ボルト83とを有している。固定部8は、タンク本体6Aを横梁部52の横ウェブ52cに取り付けている。固定部8は、軸線方向Daに間隔を空けて複数個所に設けられている。
【0045】
第一ブラケット81は、横梁部52の横ウェブ52cに、溶接等により接合されている。第二ブラケット82は、タンク本体6Aにおいて横梁部52に対向する側の側面6sに溶接等により接合されている。第一ブラケット81及び第二ブラケット82は、複数本のボルト83によって連結されている。
【0046】
第一ブラケット81及び第二ブラケット82を介して横梁部52に取り付けられたタンク本体6Aは、その上部6tが横梁部52の横上部フランジ52aよりも上方に突出するよう設けられている。これにより、本実施形態のタンク本体6Aの側面6sの上部は、横上部フランジ52aよりも上方に露出している。その結果、まっすぐに延びたドレン配管61A〜61Eがタンク本体6Aの側面6sに接続されている。
【0047】
なお、ドレン配管61A〜61Eは、タンク本体6Aの側面6sに接続される構造に限定されるものではない。ドレン配管61A〜61Eは、タンク本体6Aの上部6tに接続されていてもよい。
【0048】
上記のような圧縮機モジュール1では、潤滑油を貯蔵するタンク本体6Aが、台板5よりも幅方向Dwの外側に張り出して設けられている。つまり、台板5内にタンク本体6Aが設置されていない。その結果、台板5の小型化を図ることができる。
【0049】
具体的には、仮に、台板5内にタンク本体6Aを設置する場合には、タンク本体6Aが入り込むスペースを確保するように縦梁部51及び横梁部52を組む必要がある。その結果、台板5が軸線方向Daや幅方向Dwに大きくなってしまう。しかしながら、台板5よりも幅方向Dwの外側にタンク本体6Aが設けられることで、回転駆動機2、圧縮機3、及び変速機4と鉛直方向Dvの位置が重ならないようにタンク本体6Aを配置することができる。したがって、台板5とタンク本体6Aとを別の部材としながら、台板5内にタンク本体6Aを設置する必要が無くなり、台板5のスペースを削減することができる。その結果、このような圧縮機モジュール1では、現地でのドレン配管61A〜61Eの接続調整等の作業を削減して据付作業を単純化することができるというメリットを確保したまま、台板5の小型化を図ることができる。
【0050】
また、タンク本体6Aを、軸線方向Daに延びる有底角筒状とすることで、台板5の幅方向Dwの外側へのタンク本体6Aの張り出し寸法を抑えつつ、タンク本体6Aの容量を確保することができる。
【0051】
これらにより、圧縮機モジュール1の省スペース化を図ることができる。したがって、圧縮機モジュール1全体としての大きさ、重量、及びコストを抑えることができる。
【0052】
また、軸線方向Daの長さが台板5の軸線方向Daの長さとほぼ同じタンク本体6Aが、回転駆動機2、圧縮機3、及び変速機4の幅方向Dwの外側に配置されている。そのため、ドレン配管61A〜61Eを鉛直方向Dvに対して傾けながら幅方向Dwに延ばすだけで、回転駆動機2、圧縮機3、及び変速機4とタンク本体6Aとが繋がれる。つまり、ドレン配管61A〜61Eは、軸線方向Daに延ばされることなく、タンク本体6Aに繋がれる。したがって、ドレン配管61A〜61Eを軸線方向Daに延ばしてタンク本体6Aと繋ぐ場合に比べて、ドレン配管61A〜61Eの長さを短く抑えることができる。
【0053】
また、タンク本体6Aの側面に繋がれたドレン配管61A〜61Eが幅方向Dwの外側に延びるにしたがって鉛直方向Dvの下方に向かうよう傾斜している。そのため、潤滑油を流すために必要なドレン配管61A〜61Eの勾配を確保しつつ、駆動機第一軸受22A、駆動機第二軸受22B、変速機4の内部の歯車及び軸受、圧縮機第一軸受32A、及び、圧縮機第二軸受32Bの台板5上の設置高さを抑えることができる。つまり、回転駆動機2、圧縮機3、及び、変速機4を支持するサポート部53の高さが抑えられる。これにより、回転駆動機2、圧縮機3、及び、変速機4のセンターハイト(据付面から各機器の軸中心までの高さ)が低くなり、要求される台板5の剛性が緩和される。その結果、縦梁部51や横梁部52の高さや数を減らして、コストダウンを図ることができる。
【0054】
さらに、タンク本体6A上に潤滑油供給部7を構成する機器の全てが設けられている。このように、潤滑油供給部7を構成する機器の多くを台板5上ではなく、タンク本体6A上に配置することができる。そのため、台板5上に潤滑油供給部7を設置するスペースを確保する必要がなくなる。これにより、台板5をより小型化することができる。
【0055】
また、補強部6Bが内周面60Aに固定された状態で、タンク本体6A内に設けられている。そのため、軸線方向Daに延びる中空部材であるタンク本体6Aが、補強部6Bによって内部から補強される。したがって、タンク本体6Aが軸線方向Daに長くなった際に、高強度材のようなコストの高い材料によってタンク本体6Aの外装自体の強度を向上させなくとも、軸線方向Daの剛性を確保することができる。
【0056】
(実施形態の変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。上記実施形態では、タンク本体6Aが、第一ブラケット81及び第二ブラケット82を介して横梁部52の横ウェブ52cに固定されていた。しかしながら、圧縮機モジュール1は、このようにタンク本体6Aが基礎B上から上方に離間させるように配置される構造に限られない。
【0057】
例えば、図5に示すように、タンク本体6Aは、台板5の幅方向Dwの外側の基礎B上に、ベース部材65を介して載置されるように設置してもよい。この実施形態の変形例では、上記実施形態と同様、タンク本体6Aを固定部8によって横梁部52に固定するようにしたが、本変形例においては、固定部8を用いた横梁部52への固定を行わない構成としてもよい。
【0058】
このような構成によれば、タンク本体6Aは基礎B上に載置するように設置されている。そのため、台板5の幅方向Dwの外側に張り出して配置されるタンク本体6Aを、台板5及び貯蔵タンク6の剛性に関わらず、確実に保持することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、実施形態及びその変形例における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0060】
なお、回転駆動機2は、本実施形態のように電動モータであることに限定されるものではなく、圧縮機3を駆動させることができればよい。回転駆動機2は、例えば、蒸気タービンやガスタービンであってもよい。
【0061】
また、タンク本体6Aの延びる軸線方向Daを含む方向とは、本実施形態のように軸線方向Daと一致する方向に限定されるものではなく、軸線方向Daの成分を含む方向であれば良い。したがって、軸線方向Daを含む方向は、例えば、軸線方向Daに対して傾斜した方向であってもよい。
【0062】
また、補強部6Bは、タンク本体6Aを補強することができれば、本実施形態の形状に限定されるものではない。したがって、補強部6Bは、例えば、タンク本体6Aを外部から補強する構造であってもよい。
【0063】
また、本実施形態の固定部8は、第一ブラケット81及び第二ブラケット82をボルト83で繋ぐことで、台板5と貯蔵タンク6とを連結していた。しかしながら固定部8は、このような構造に限定されるものでなく、台板5と貯蔵タンク6とを連結することができればよい。したがって、固定部8は、例えば、タンク本体6Aの上部6tを支持する構造であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
上記した圧縮機モジュール1によれば、台板5の小型化し、省スペース化を図ることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 圧縮機モジュール
2 回転駆動機
21 出力軸
22A 駆動機第一軸受
22B 駆動機第二軸受
3 圧縮機
31 ロータ
32A 圧縮機第一軸受
32B 圧縮機第二軸受
4 変速機
41 変速機入力軸
42 変速機出力軸
5 台板
51 縦梁部(第一梁部)
51a 縦上部フランジ
51b 縦下部フランジ
51c 縦ウェブ
52 横梁部(第二梁部)
52a 横上部フランジ
52b 横下部フランジ
52c 横ウェブ(側面)
6 貯蔵タンク
6A タンク本体
6B 補強部
60A 内周面
6s 側面
6t 上部
7 潤滑油供給部(潤滑油供給機器)
71 オイルポンプ
72 オイルクーラ
73 オイルフィルタ
8 固定部
81 第一ブラケット
82 第二ブラケット
83 ボルト
61A〜61E ドレン配管
62A〜62E 潤滑油供給配管
65 ベース部材
67 矩形孔
C1 第一軸線(軸線)
C2 第二軸線(軸線)
Da 軸線方向
Dv 鉛直方向
Dw 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5