(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、貴金属の濃度が非常に低いため、乾式還元方法としては、高純度貴金属の回収が困難な金精鉱を、銅含有物質を用いて製錬し、銅含有物質中の貴金属を濃縮して回収するとともに、銅を回収する方法を提供することにある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題(など)に限定されず、言及されていないまた他の課題(など)は、以下の記載から当業者に明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記のような課題を達成するために、本発明の一態様は、銅含有物質を破砕し、金精鉱と混合した混合物を用意する段階(段階1)と、前記用意された混合物を熱処理して酸化焙焼する段階(段階2)と、前記酸化焙焼された混合物を溶融させてスラグと粗金属に分離回収する段階(段階3)と、前記粗金属を電解浸出して貴金属を電解浸出残渣に濃縮する段階(段階4)と、を含む、貴金属の濃縮回収方法を提供する。
【0009】
一実施例において、前記貴金属は、金、銀、白金、パラジウム、及びロジウムからなる群から選択されたいずれか1つまたは2つ以上であり得る。
【0010】
一実施例において、前記段階1の銅含有物質は、プリント回路基板、廃プリント回路基板、プリント回路基板の製造工程の副産物からなる群のうち選択された1種以上であり得る。
【0011】
一実施例において、前記段階1の破砕は、前記銅含有物質が1mm〜10mmの粒子サイズになるように実行され得る。
【0012】
一実施例において、前記段階1の銅含有物質及び金精鉱の混合重量比は、1:0.1〜1:2であり得る。
【0013】
一実施例において、前記段階2の熱処理温度は、600℃〜900℃であり得る。
【0014】
一実施例において、前記段階2の酸化焙焼は、回転炉または流動焙焼炉で行われ、大気雰囲気または酸素を投入して酸素雰囲気で実行され得る。
【0015】
一実施例において、前記段階2の酸化焙焼は、破砕物の酸化焙焼時に発生される有害ガスを除去するために
廃ガス処理段階をさらに含み得る。
【0016】
一実施例において、前記段階3の溶融温度は、1300℃〜1700℃であり得る。
【0017】
一実施例において、前記段階3は、前記酸化焙焼された混合物を溶融させ、発生されるスラグにホウ素化合物を投入する段階をさらに含み得る。
【0018】
一実施例において、前記段階3のホウ素化合物は、ホウ砂(Na
2B
4O
7・10H
2O)、ホウ酸ナトリウム(Na
2B
4O
7)、メタホウ酸ナトリウム(NaBO
2)及びその水和物からなる群のうち選択された1種以上であり得る。
【0019】
一実施例において、前記段階3のホウ素化合物の投入は、前記スラグ対比10wt%〜50wt%の重量比で投入され得る。
【0020】
一実施例において、前記段階3のホウ素化合物の投入は、前記スラグ組成が、シリカ(SiO
2)30.8wt%〜58.8wt%と、アルミナ(Al
2O
3)0.1wt%〜20wt%と、酸化鉄(II)(FeO)7.8wt%〜20.7wt%と、酸化鉄(III)(Fe
2O
3)9.3wt%〜24.9wt%と、酸化カルシウム(CaO)4.2wt%〜10.9wt%と、酸化ナトリウム(Na
2O)1.25wt%〜10.7wt%と、酸化ホウ素(B
2O
3)8.3wt%〜21.6wt%と、を含むように実行され得る。
【0021】
一実施例において、前記段階4は、前記粗金属を5A/cm
2〜40A/cm
2の電流密度で電解浸出することができる。
【0022】
一実施例において、前記段階4の粗金属を電解浸出する段階において電解浸出時に陰極から銅を回収する段階をさらに含み得る。
【0023】
一実施例において、前記段階4は、前記電解浸出残渣を酸浸出して貴金属を回収することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、金の純度が非常に低く、乾式製錬で金の回収が困難な金精鉱を使用して高純度の金を回収することができる。また、銅含有物質のうち使用済み携帯電話など廃電子製品のプリント回路基板を金精鉱とともに酸化焙焼して溶融し、銅のような有価金属と金をはじめとする貴金属を非常に効率的に濃縮して回収することができる。
【0025】
したがって、金精鉱と使用済み携帯電話のプリント回路基板のように、金の含有量が非常に低い場合にも、効率的に、金のような貴金属を濃縮して回収し、同時に銅を回収することができるメリットを有する。
【0026】
本発明の効果は、前記の効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下添付された図面を参照しながら、本発明による好ましい実施例を詳細に説明することにする。
【0029】
本発明の利点及び特徴、そしてそれを達成する方法は、添付された図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると明確になるだろう。
【0030】
しかしながら、本発明は、以下に開示される実施例によって限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態で具現されるはずであり、単に本実施例は、本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明のカテゴリを完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項のカテゴリによって定義されるだけである。
【0031】
また、本発明を説明するにおいて、関連する公知技術などが本発明の要旨を曖昧にすることができると判断される場合、それに関する詳細な説明は省略することにする。
【0032】
本発明の一態様は、
銅含有物質を破砕し、金精鉱と混合した混合物を用意する段階(段階1)(S10)と、
前記用意された混合物を熱処理して酸化焙焼する段階(段階2)(S20)と、
前記酸化焙焼された混合物を溶融させてスラグと粗金属に分離回収する段階(段階3)(S30)と、
前記粗金属を電解浸出して貴金属を電解浸出残渣に濃縮する段階(段階4)(S40)と、を含む、貴金属の濃縮回収方法を提供する。
【0033】
以下、本発明の一態様による貴金属の濃縮回収方法について、各段階別に詳細に説明する。
【0034】
本発明の一態様による貴金属の濃縮回収方法において、前記段階1(S10)は、銅含有物質を破砕し、金精鉱と混合した混合物を用意する。
【0035】
前記段階1の銅含有物質は、銅以外に鉄、ニッケル、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛などを含むことができ、金、銀、白金、パラジウム及びロジウムなどの貴金属を含み得る。
【0036】
前記段階1の破砕は、ジョークラッシャー(jaw crusher)及びロールクラッシャー(roll crusher)などを介して実行され得る。
【0037】
前記段階1の破砕は、前記銅含有物質が1mm〜10mmの粒子サイズになるように実行されることができ、好ましくは1mm〜5mmの粒子サイズになるように実行され得る。前記銅含有物質の粒子サイズが1mm未満なら、銅含有物質を後続の処理プロセスに容易に使用されるようにすることにおいて過度な処理によってエネルギー無駄使いが発生する問題があり、前記銅含有物質の粒子サイズが10mm超過なら、後続の段階において金精鉱と混合した後、熱処理時に非金属成分を十分に除去することができない問題が現れることができる。したがって、前記の銅含有物質粒子サイズの範囲になるように破砕することが好ましい。
【0038】
前記段階1の銅含有物質は、プリント回路基板、廃プリント回路基板、プリント回路基板の製造工程の副産物からなる群のうち選択された1種以上であり得る。このとき、破砕は、先ず、プリント回路基板を切断してスクラップに製造することができる。
【0039】
前記段階1の銅含有物質は、銅を含み、金、銀、白金、パラジウム及びロジウムの貴金属を含有し、非金属成分であるプラスチックを含み得るが、これに必ずしも限定されるものではない。
【0040】
前記段階1は、銅含有物質と共に金精鉱を混合して、後続の処理プロセスを介して両物質に含まれている貴金属及び有価金属を回収することができるようにする。前記貴金属は、金、銀、白金、パラジウム及びロジウムなどであることができ、前記有価金属は、ニッケル、スズなどであり得る。
【0041】
前記段階1の金精鉱は、粉末形態であることができ、粒子サイズが10μm〜200μmであることが好ましい。前記の金精鉱の粒子サイズの範囲で後続の酸化焙焼及び溶融処理が容易になることができる。
【0042】
前記段階1の金精鉱は、シリカ、酸化鉄、酸化カルシウムなどを含み得る。
【0043】
前記段階1の銅含有物質及び金精鉱の混合重量比は、1:0.1〜1:2であることができ、好ましくは1:0.5〜1:2であり得る。前記混合重量比が1:0.1未満になるように混合される場合、後続の溶融段階において金精鉱に含有された金の濃縮効率が低下する恐れがあり、前記混合重量比が1:2超過になるように混合される場合、後続の酸化焙焼において金精鉱内の硫化物を容易に除去することができない恐れがある。したがって、前記の範囲で銅含有物質及び金精鉱の混合が実行されることが好ましい。
【0044】
本発明の一態様による貴金属の濃縮回収方法において、前記段階2(S20)は、前記用意された混合物を熱処理して酸化焙焼する。
【0045】
前記金精鉱は、金の濃度が200g/T以下で非常に低く、高純度の金を回収するためには、金精鉱に含まれている硫化物を変化させるプロセスが必要である。
【0046】
前記段階2の酸化焙焼は、金精鉱内の硫化物を酸化させ、二酸化硫黄(SO
2)ガスで除去することができる。前記混合物内の硫黄成分が二酸化硫黄ガスで除去される場合、貴金属の回収率を大幅に増加させることができる。
【0047】
前記段階2の酸化焙焼時の熱処理温度は、600℃〜900℃であることが好ましい。前記熱処理温度が600℃未満の場合には、前記混合物内の硫黄の除去が不十分に行われる恐れがあり、混合物中の銅含有物質に含まれることができる揮発成分を除去するのに困難な問題がある。前記熱処理温度が900℃超過の場合には、混合物が溶融され得るので、硫黄の除去が十分に行われることができない問題、後続段階において貴金属の濃縮回収が難しくなる問題が発生することができる。したがって、前記の温度範囲で酸化焙焼のための熱処理が実行されることが好ましい。
【0048】
前記段階2の酸化焙焼は、回転炉または流動焙焼炉で実行されることができ、大気雰囲気及び酸素雰囲気で実行され得る。
【0049】
前記段階2の酸化焙焼は、混合物から発生される有害ガスを除去するために、
廃ガス処理段階をさらに含み得る。前記
廃ガスは、二酸化硫黄が主成分であることができ、これを電気集塵機またはバッグフィルターを介して除去することができる。
【0050】
本発明の一態様による貴金属の濃縮回収方法において、前記段階3(S30)は、前記酸化焙焼された混合物を溶融させてスラグと粗金属に分離回収する。
【0051】
前記段階3は、酸化焙焼された混合物を1300℃〜1700℃で加熱して溶融することができる。前記溶融温度が1300℃未満の場合には、発生されるスラグを容易に分離することができない問題、混合物内の貴金属が粗金属に濃縮されることができない問題が発生することができ、前記溶融温度が1700℃超過の場合には、混合物から貴金属を濃縮回収するのにおいて、過度なエネルギー無駄使いが発生する恐れがある。前記温度範囲で溶融する場合に、銅を主成分とする粗金属とFeO−SiO
2系スラグに容易に分離することができ、濃縮された粗金属に含まれた金の濃度は200g/T〜20,000g/Tの範囲を有する。
【0052】
前記段階3は、前記酸化焙焼された混合物を溶融させ、発生されるスラグにホウ素化合物を投入する段階をさらに含み得る。
【0053】
前記段階3のホウ素化合物の投入は、前記スラグに含まれることができる貴金属をより効果的に分離することができるようにする。
【0054】
前記段階3のホウ素化合物の投入は、大気雰囲気で実行されることが好ましい。
【0055】
前記段階3のホウ素化合物は、ホウ砂(Na
2B
4O
7・10H
2O)、ホウ酸ナトリウム(Na
2B
4O
7)、メタホウ酸ナトリウム(NaBO
2)及びその水和物であることが好ましい。
【0056】
前記段階3のホウ素化合物の投入は、前記生成されたスラグ対比10wt%〜50wt%に投入されることが好ましい。前記ホウ素化合物がスラグ対比10wt%未満で投入されたら、スラグ内の含まれることができる貴金属を十分に分離することができない恐れがあり、前記ホウ素化合物がスラグ対比50wt%超過して投入されたら、スラグの構造及び物理化学的特性が変化するので、スラグ内の含まれる貴金属の溶解度が減少する問題が発生することができる。したがって、前記の重量比でホウ素化合物が投入されることが好ましい。
【0057】
前記段階3のホウ素化合物は、前記スラグが、シリカ(SiO
2)30.8wt%〜58.8wt%と、アルミナ(Al
2O
3)0.1wt%〜20wt%と、酸化鉄(II)(FeO)7.8wt%〜20.7wt%と、酸化鉄(III)(Fe
2O
3)9.3wt%〜24.9wt%と、酸化カルシウム(CaO)4.2wt%〜10.9wt%と、酸化ナトリウム(Na
2O)1.25wt%〜10.7wt%と、酸化ホウ素(B
2O
3)8.3wt%〜21.6wt%と、を含むように投入され得る。
【0058】
前記段階3のホウ素化合物の投入は、銅含有物質に含まれることができるシリカ、アルミナと、金精鉱に含まれることができる酸化鉄(FeO)及びシリカの含有量に応じて投入する含有量の比率が決定され得る。
【0059】
前記段階3のホウ素化合物の投入後、1300℃〜1500℃の温度で1〜8時間熱処理を通じた沈澱プロセスをさらに実行することによって、スラグ内に含まれることができる貴金属を容易に分離するようにする。
【0060】
前記段階3のホウ素化合物の投入後、分離されたスラグは、含まれている金の含有量が3ppm未満、銀の含有量が2.5ppm未満であり得る。
【0061】
本発明の一態様による貴金属の濃縮回収方法において、前記段階4(S40)は、前記粗金属を電解浸出しで貴金属を電解浸出残渣に濃縮する。
【0062】
前記段階4は、前記粗金属からなる陽極;陰極;及び電解質;を備えて電解浸出する段階を通して実行され得る。
【0063】
前記段階4の電解浸出時、粗金属内の銅成分が分離されて陰極に電着され得る。
【0064】
前記段階4の粗金属を電解浸出する段階において、電解浸出時に陰極から銅を回収する段階をさらに含み得る。
【0065】
前記段階4の電解浸出時、陽極電流密度は5A/cm
2〜40A/cm
2であることが好ましい。前記電流密度が5A/cm
2未満の場合には、粗金属の溶解速度が低く、長時間電解を実行すべきである問題があり、前記電流密度が40A/cm
2超過の場合には、過度な電流が印加されて溶解効率の低下及び急激な電圧上昇による反応中断の問題が発生され得る。したがって、前記の陽極電流密度範囲で電解浸出が実行されることが好ましい。
【0066】
前記段階4の電解浸出を介して銅含有物質に含まれている多量の銅を陰極から回収することができ、混合物に含まれた金をはじめとする各種貴金属は、電解浸出残渣(陽極スライム(Anode Slime))に濃縮されて形成され得る。前記貴金属は、金、銀、白金、パラジウムまたはロジウムからなる群のうち選択された1種以上であり得る。
【0067】
前記段階4の電解浸出を介して形成された電解浸出残渣(陽極スライム)を過酸化水素のような還元剤雰囲気で2mol/L〜5mol/L濃度の硫酸などで酸溶解して、貴金属のみを固相で残し、銅を含むその他の金属を溶解分離することができる。前記形成された貴金属固相を再び3mol/L〜6mol/L濃度の塩酸溶液で溶解して、貴金属成分のうち、銀を塩化銀(AgCl)形態の固相に沈澱分離することができ、溶解された金などの貴金属を含む溶液に二価鉄イオンを投入して還元析出させ、99%以上の純度で回収することができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例及び実験例によって本発明をより詳細に説明しようとする。但し、下記の実施例及び実験例は、本発明を例示するためのものであるだけであり、本発明の範囲がこれらのみに限定されるものではない。
【0069】
<実施例1>使用済み携帯電話のプリント回路基板を用いた貴金属の回収
段階1:銅含有物質で切断した使用済み携帯電話スクラップを1〜10mmのサイズで破砕物を用意した。次に、商用で販売されている金精鉱(100μm、200ppm)を用意して、前記破砕物100重量部に対して200重量部に混合した。
【0070】
段階2:前記混合物を流動焙焼炉に配置し、酸素を投入しながら900℃に加熱して酸化焙焼を実施した。
【0071】
段階3:酸化焙焼された混合物を再び1400℃に加熱して製錬(smelting)し、スラグが形成されることを確認した後に、粗金属とスラグを分離して回収した。
【0072】
段階4:前記粗金属を四角の陽極形態で加工した後、陰極としてステンレス鋼板、電解液として1mol/Lの硫酸が入ったパイレックス(pyrex)電解槽からDC電源供給機で10mA/cm
2の定電流を印加して電解浸出し、陽極電解浸出残渣に初期含有量対比4倍以上に貴金属を濃縮し、陰極では、90%以上の純度で粉末状の銅を回収した。
【0073】
以後に、貴金属が濃縮された電解浸出残渣は、H
2O
2を含有した4mol/Lの硫酸を用いて80℃で溶解した後、貴金属のみを固相に残し、銅を含むその他の金属はすべて溶解分離した。貴金属が電解浸出残渣の含有量対比3倍程度に濃縮された硫酸浸出残渣を再び酸化剤として塩素を注入した5mol/Lの塩酸溶液で溶解して、銀はAgClで沈澱分離し、溶解された金はFe
2+イオンで還元析出させ、99%以上の純度で回収した。
【0074】
<実験例1>貴金属の濃縮確認及び銅の回収
図2は、本発明の実施例による使用済み携帯電話のプリント回路基板を用いた貴金属の濃縮回収方法による各工程段階の結果物を示した写真である。
【0075】
図2を参照すると、使用済み携帯電話のプリント回路基板の破砕物と金精鉱を混合した後に、酸化焙焼した後に、高温で溶融する場合にスラグと金属に分離されることを確認した。
【0076】
前記分離された金属を粗金属にして電解浸出する場合、陽極電解浸出残渣に貴金属を濃縮し、同時に90%以上純度の銅を陰極から付随的に回収することができた。
【0077】
【表1】
【0078】
ここで、上記表中の1)は、ICP分析から計算された電解液内の金属成分の総量、上記表中の2)は、溶解された陽極を100%として見るとき、該当金属が各物質別に分配された比率、上記表中の3)は、各物質内で貴金属が占める含有量をそれぞれ示す。
【0079】
前記表1は、電解浸出時に、陽極、陽極電解浸出残渣及び陰極に物質別の分配様相を示したものである。
【0080】
表1を参照すると、電解浸出残渣において貴金属が4.34%で含有されていることを確認することができ、陰極電着物に銅が多量に回収されることを確認した。
【0081】
図3及び
図4は、本発明の実施例による使用済み携帯電話のプリント回路基板を用いた貴金属の濃縮回収方法において電解浸出残渣の写真及び陰極に生成された銅電着物の写真である。
【0082】
図面を参照して、陰極から銅が回収され、銅電着物を形成したものと確認した。
【0083】
【表2】
【0084】
前記表2は、電解浸出残渣の硫酸溶解による貴金属の濃縮を示したものである。
【0085】
表2を参照すると、3.0Mの硫酸で金と銀を含む貴金属をそれぞれ18.44mgと2.62mgに濃縮して9.62%の品位を示した。
【0086】
<実施例i>貴金属の回収/ホウ砂19.52wt%
段階3:前記実施例1の段階2で、酸化焙焼処理された混合物を1400℃で熱処理して溶融物及びスラグが形成されることを確認した後、ホウ砂を前記スラグ含有量対比19.52wt%となるように添加した。次に、1300℃の温度で4時間処理した後、スラグ及び粗金属を分離した。
【0087】
<実施例ii>貴金属の回収/ホウ砂31.32wt%
前記実施例iで、段階3のホウ砂投入量をスラグ含有量対比31.32wt%としたことを除いて、前記実施例iと同様に実行してスラグ及び粗金属を分離した。
【0088】
<実施例iii>貴金属の回収/ホウ砂46.00wt%
前記実施例iで、段階3のホウ砂投入量をスラグ含有量対比46.00wt%としたことを除いて、前記実施例iと同様に実行してスラグ及び粗金属を分離した。
【0089】
<比較例i>貴金属の回収/ホウ砂8.45wt%
前記実施例iで、段階3のホウ砂投入量をスラグ含有量対比8.45wt%としたことを除いて、前記実施例iと同様に実行してスラグ及び粗金属を分離した。
【0090】
<実験例i>スラグの組成分析結果
前記実施例i〜iii及び比較例iで分離されたスラグの各成分の含有量(wt%)を24±3℃の温度、29±7%の相対湿度でICP−OESを介して測定し、その結果を表3に示した。
【0091】
【表3】
【0092】
また、実施例i及び比較例iのスラグ及び粗金属内の貴金属の含有量(mg/kg)も前記と同様な方法で測定し、これを表4に示した。
【0093】
【表4】
【0094】
表4を参照すると、ホウ砂が全体スラグ対比8.45wt%投入された比較例iの場合には、貴金属が比較的スラグ内に偏っていることが確認できた。一方、ホウ砂が全体スラグ対比19.52wt%投入された実施例iでは、スラグ内の金の含有量が2.80ppm。銀の含有量が2.14ppmを示し、粗金属では、金及び銀の含有量がそれぞれ13.2ppm及び27.9ppmであることを確認した。したがって、ホウ砂を前記実施例の重量比で投入することにより、貴金属をスラグから容易に分離させることができることを確認した。
【0095】
したがって、本発明による銅含有物質を用いた貴金属の濃縮回収方法は、低純度によって高純度で貴金属の回収が困難な金精鉱を使用して、銅含有物質を回収することができるだけでなく、製錬して回収される貴金属の純度を大幅に増加させることによって、銅だけでなく、金、銀、白金、パラジウム及びロジウムである貴金属の回収効率を大幅に増加させることができる。従来の乾式製錬で有価金属及び貴金属の回収が困難な金精鉱及び銅含有物質を用いた新しい貴金属の回収方法を提供することができる。
【0096】
今まで本発明の一態様による貴金属の濃縮回収方法に関する具体的な実施例について説明したが、本発明の範囲から逸脱しない限度内では、様々な実施変形が可能であることは自明である。
【0097】
それゆえに、本発明の範囲は、説明された実施例に限定されて伝わってはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定めらなければならない。
【0098】
すなわち、前述された実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではないことと理解されるべきであり、本発明の範囲は、詳細な説明よりも後述される特許請求の範囲によって示され、その特許請求の範囲の意味及び範囲そしてその等価概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。