【文献】
PUST et al.,Narrow-band red-emitting Sr[LiAl3N4]:Eu2+ as a next-generation LED-phosphor material,nature materials,2014年 9月,Vol.13,pp.891-896
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0003】
上述のように、直接発光LED(AlInGaP)は、赤色光を提供するために使用され得る。しかしながら、そうした直接発光LEDは、カラーポイント安定性(color point stability)と光出力(lumen output)に関して温度挙動(temperature behavior)を有することが分かり、それは所定のアプリケーションにおいて決して望ましいものではない。一方で、青色光は、赤色発光材料と組み合わせて赤色光を生成するように使用され得る。しかしながら、これらの赤色発光材料も、また、温度の関数としての波長シフトを示すことが分かっている。赤色発光材料のそうした波長シフトは、再び、一般的に望ましいものではない。
【0004】
従って、本発明の一つの態様は、代替的な照明デバイスを提供することである。望ましくは、さらに、上記の欠点のうち一つまたはそれ以上を少なくとも部分的に未然に防ぎ、かつ、実質的に温度に依存しない(つまり、ポンプ光源(以下を参照)の温度及び/又は赤色発光材料の温度から実質的に独立している)赤色の発光を提供し得るものである。代替的な照明ユニット(そうした照明デバイスを含むもの)を提供することも、また、本発明の一つの態様である。望ましくは、さらに、上記の欠点のうち一つまたはそれ以上を少なくとも部分的に未然に防ぐものである。なおも、代替的な光コンバータ(照明デバイスにおける使用のためのもの)を提供することも、また、本発明の一つの態様であり、望ましくは、さらに、上記の欠点のうち一つまたはそれ以上を少なくとも部分的に未然に防ぐものである。
【0005】
従って、本発明の第1の態様においては、赤色照明デバイス光を提供するように構成された照明デバイスを提供する。本照明デバイスは、(i)ピーク波長(λls)を有する第1光源光を提供するように構成された第1光源と、(ii)第1光源光の少なくとも一部を吸収し、かつ、第1赤色放射ピーク波長(λm1)を有する第1赤色発光材料光へと変換するように構成された第1赤色発光材料(ここにおいては「第1発光材料」または「第1蛍光体」としても示されるもの)であり、
最大励起
波長(λx1)を有する第1赤色発光材料と、(iii)第1光源光の少なくとも一部を吸収し、かつ、第2赤色放射ピーク波長(λm2)を有する第2赤色発光材料光へと変換するように構成された第2赤色発光材料(ここにおいては「第2発光材料」または「第2蛍光体」としても示されるもの)であり、第2
最大励起
波長(λx2)を有する第2赤色発光材料、を含む。第1赤色発光材料と第2赤色発光材料は、Eu
2+ベースのものであり、ここで、λm1<λm2、λx1<λls、かつ、λx2>λlsである。第1赤色発光材料と第2赤色発光材料の組み合せは、ここにおいて「コンバータ(”converter”)」としても示されている(たとえ、実施例において、これらの発光材料がお互いに離れて構成され得るとしても)。
【0006】
そうした照明デバイスを用いて、温度範囲20−120℃における同一のカラーポイントに実質的に留まっている赤色光(「赤色照明デバイス光(”read lighting device light”)」)が生成され得る。例えば、重心波長(centroid wavelength、CW)
【数1】
、及び/又は、カラーポイントは、20℃における値の10%より小さい値を伴って、この範囲にわたりシフトし得る。本発明を用いて、放射波長(特に重心波長として示されるもの)は、示された(20−120℃の)温度範囲にわたり変化し得る。例えば、約2nmを伴うものであり、一方、AlInGaP LEDについて、これは約5nmの範囲であろう。さらに、相対的な光束(luminous flux)(つまり、(ルーメン(Lm)において、)温度Tにおけるフラックスを温度25℃において放射されるフラックスで割り算したもの)に関する強度(intensity)は、そうしたAlInGaP LEDについて、示された温度範囲にわたり約50%の範囲で減少し得る。一方で、本発明を用いると、相対的フラックスは、実質的に同じに留まり得る。
【0007】
従って、特に本発明は、2つ(またはそれ以上)の赤色光発光材料の組み合せを提供する。一方は、他方より短い最大
放射波長を有しており、そして、両方は、光源放射に近い最大励起
波長(excitation maximum
wavelength)を有している。しかし、第1発光材料は、光源の最大放射よりも短い波長において最大励起を有しており、そして、第2発光材料は、光源の最大放射よりも長い波長において最大励起を有している。ここにおいて説明される最大(maxima)は、ピーク波長に関連するものである。
【0008】
第1光源は、特にはLED光源を含んでいる。一般的に、LED光源だけが、単一の放射ピーク、つまりLED放射の最大、を有している。さらに、二価のユーロピウム(divalent europium)ベースの発光材料は、実質的に広帯域のエミッタであり、本発明においては、スペクトルの赤色部分において少なくとも強度を有している。対応する励起帯域は、((赤色における)これらの放射よりも)短い波長におけるものであり、そして、第1光源の最大放射に近い最大励起を有している。二価のユーロピウム材料の励起および放射の帯域は、ストークスシフト(Stokes shift)を示す。これら(励起と放射)の帯域の最大ピークは、ここにおいて示された最大励起と最大放射である。
【0009】
特に、放射スペクトルは、フォトン計数モード(例えば、光電子倍増管を使用)で測定され、または、フォトン計数モードへ変換される。測定デバイスのレスポンスに係る波長依存性に対する補正の後で、放射ピーク波長が決定され得る。それらの最大値において、発光材料の励起スペクトルが測定され得る。測定デバイスの励起パートに係る波長依存性に対する補正の後で、励起ピーク波長が決定され得る。これは、当業者にとって知られているものである。特徴的なピーク最大値(λm1、λm2、λx1、λx2、およびλls)は、特に、20℃において決定される。これは、例えば、第1光源としてのLED光源が、ピーク最大値の決定について、フルパワーでないことを暗に示しているだろう。
【0010】
用語「第1赤色発光材料」と「第2赤色発光材料」は、それぞれ独立に、複数の異なる「第1赤色発光材料」及び/又は「第2赤色発光材料」を、それぞれに参照してもよい。違いは、ドーパント濃度、つまり、特にはEu
2+濃度、の差異だけのせいであり得るが、追加的または代替的に、格子組成(lattice composition)の差異のせいであってもよい。異なるMカチオン(cation)(以下も参照のこと)、及び/又は、異なるアニオン(anionn)といったものである。従来技術で知られるように、材料のクラスの中で、Eu
2+のようなドーパントの放射及び/又は励起は、カチオンとアニオンのタイプおよび量をコントロールすることによって調整され得る。しかしながら、各第1赤色発光材料および各第2赤色発光材料は、赤色発光材料に対してここにおいて示される条件に適応する必要がある。
【0011】
二価ユーロピウムのドープ系(つまり、二価ユーロピウム(Eu
2+)ベースの発光材料)、特には(酸)窒化物((oxy)nitride)が本発明のために非常に適しているようである。これらの発光材料は、温度の増加に伴い減少するピーク波長を有する傾向があるからである。2つの異なる二価ユーロピウムベースの発光材料を使用するとき、第1光源、特にはLED光源の、(より長い波長への)波長シフトが補償され得る。驚くことに、この補償は、20−120℃の温度範囲内の相対フラックスの観点では、ほとんど100%であり得る。
【0012】
赤色発光材料は、第1光源(の少なくとも一部)を吸収するように構成されている。従って、この光は、励起光(excitation light)として使用される。これは、特には、それぞれの励起曲線が第1光源の放射曲線と少なくとも部分的にオーバーラップすることを、暗に示しているだろう。特には、第1光源と赤色発光材料は、放射波長分布を有する光源、および、励起波長分布を有するそれぞれの励起スペクトルを提供するように選択される。ここで、後者2つのそれぞれは、放射波長分布と実質的にオーバーラップしている。第1光源光は、例えば、紫外線、青色、緑色、および黄色光のうち一つまたはそれ以上を含んでよい。特には、第1光源は、青色、緑色、および黄色光のうち一つまたはそれ以上を含んでよい。特定の実施例において、第1光源は、青色光を含んでいる。一つの実施例において、用語「第1光源」は、複数の光源を参照してよい。
【0013】
そうした照明デバイスは、赤色光を提供するように特に構成されている。任意的に、照明デバイス光は、いくらかの残りの(つまり、変換されていない)光源光を含んでよい。照明デバイス光は、従って、第1赤色放射と第2赤色放射、および任意的に第1光源光から実質的に構成されている。赤色発光材料は、実施例においては、黄色及び/又はオレンジ色も、また、放射し得ることに留意する。赤色照明デバイス光の重心波長、少なくとも470−700nmの範囲内の波長におけるものは、しかしながら、可視スペクトルの赤色部分の中にある。実施例において、赤照明デバイス光に対する光源光の寄与、青色寄与(blue contribution)といったものは、ピーク高さ(第1及び/又は第2赤色発光材料放射に係るピーク高さの20%より小さい第1光源放射ピーク高さといったもの)の観点において(実質的に)より小さいものであり得る。
【0014】
条件λm1<λm2は、例えば、λm2−λm1≧10nmであることを特に示している。λm2−λm1≧15nmといったものであり、λm2−λm1≧20nmのようなものである。特には、しかしながら、λm2−λm1≦60nmである。
【0015】
条件λx1>λlsは、例えば、特に、5nm≦λls−λx1≦25nmを示し得る。同様に、条件λx2>λlsは、例えば、特に、5nm≦λx2−λls≦25nmを示し得る。そうした条件を用いて、光源の波長シフトは、発光材料の波長シフト、および、カラー変化、及び/又は、フラックス変化を補償する。温度の関数が、低い、または、実質的にゼロでさえあり得るからである。
【0016】
特定の実施例において、λlsは430−470nmの範囲から選択され、λm1は590−630nmの範囲から選択され、そして、λm2は615−660nmの範囲から選択される。これらの放射範囲がたとえオーバーラップするとしても、発光材料は、λm1<λm2の条件に適応しなければならない。例えば、最大ピーク放射は、それぞれに610と640nmであってよく、しかし、任意的に、それぞれに620と645nm、等であってもよい。従って、特定の実施例において、光源は、青色第1光源光を提供するように構成されている。より特別には、λlsは435−465nmの範囲から選択され、λm1は590−630nmの範囲から選択され、そして、λm2は、625−660nmといった、615−660nmの範囲から選択される。
【0017】
特定の興味の発光材料は、無機の発光材料であり、硫化物、窒化物、および酸窒化物のクラスから、より特別にさえ(独立して)選択される。
【0018】
関連の発光材料のクラスは、MD:Euクラス(ここにおいては、(Sr、Ba、Ca)(Se、S):Euクラスとしても示されている)を含む、アルカリ土類カルコゲニド(alkaline earth chalcogenide)系のクラスである。Mは、特に、アルカリ土類エレメント(Mg、Ca、Sr、Ba)のグループから選択され、そして、Dは、特に、SとSeのグループから選択される。このクラスの中の材料は、立方岩塩(cubic rock salt)結晶構造を有している。このクラスの中のメンバーの例は、SrS:Eu、CaS:Eu、CaSe:Eu、等である。
【0019】
関連の発光材料のさらなるクラスは、M
2Z
5N
8:Euクラス(ここにおいては、SrSi
5N
8:Euクラスとしても示されている)を含む、ニトリドケイ酸塩(nitridosilicate)系のクラスである。Mは、特に、アルカリ土類エレメント(Mg、Ca、Sr、Ba)のグループから選択され、少なくともSrとZは、特に、Si、Ge、Ti、Hf、Zr、Snのグループ、特には少なくともSi、から特に選択される。このクラスの中の材料は、斜方晶(orthorhombic)結晶構造を有している。このクラスの中のメンバーの例は、SrCaSi
5N
8:Euである。
【0020】
関連の発光材料の別のクラスは、MGB
3N
4:Euクラス(ここにおいては、SrLiAl
3N
4:Euクラスとしても示されている)を含む、ニトリドアルミン酸塩(nitridoaluminate)系のクラスである。Bは、B、Al、Ga、Scのグループ、特には少なくともAl、から特に選択され、そして、Gは、アルカリエレメント(Li、Na、K、等といったもの)のグループ、特には少なくともLi、から特に選択される。このクラスの中の材料は、三斜晶系カリウムリチウム鉛酸塩(triclinic patassium lithium plumbate)型結晶構造、または、正方晶系ナトリウムリチウムケイ酸塩(tetragonal sodium lithium silicate)型結晶構造を有している。このクラスの中のメンバーの例は、SrLiAl
3N
4:Euである。
【0021】
さらにより特定的な実施例においては、特に良好な光学的結果を得ることができ、第1発光材料と第2発光材料は、M
2Z
5N
8:EuクラスとMLiAl
3N
4:Euクラスから構成されるグループから選択される。ここで、Mは、独立してCa、Mg、Sr、およびBaから構成されるグループから選択される。特には、CaおよびSrのうち少なくとも一つまたはそれ以上、さらになお、より特別には、少なくともSrはそうである。
【0022】
用語「クラス(”class”)」は、ここにおいて、特に、同一の結晶構造を有する材料のグループを参照している。例えば、上記のクラスのいくつかにおいて、Al−Oは、Si−Nによって部分的に置き換えられてよい(もしくは、その反対)。従って、なおもさらなる実施例において、第1発光材料と第2発光材料は、(Ba、Sr、Ca)
2Si
5−xAl
xO
xN
8−x:Euと(Ca、Sr)LiAl
3N
4:Euから構成されるグループから選択される。ここで、xは、0−4の範囲であり、特には1に等しいか、それより小さい。(Ba、Sr、Ca)
2Si
5−xAl
xO
xN
8−x:Euおよび同様なシステムは、国際公開第2006072918号/米国特許出願公開第20130240943号においてとりわけ説明されているものであり、ここにおいて参照として包含されている。なおもより特定的な実施例において、第1発光材料は、(Sr、Ca)
2Si
5N
8:Euを含み、そして、第2発光材料は、SrLiAl
3N
4:Euを含む。温度の関数としての発光挙動(luminescense behavior)も、また、添付の図面において示されている(
図2aと2b)。
【0023】
ユーロピウムのドーパント濃度は、一般的に、(Mの)10%以下である。少なくとも5%といったものであり、一般的に4%以下でさえある。さらに、一般的に、ユーロピウムのドーパント濃度は、0.01%より大きく、少なくとも0.15%といったものである。例えば、Ca
0.2Sr
1.785Eu
0.015Si
5N
8(ここで、Euのドーパント濃度は0.75%)を適用し、及び/又は、Sr
0.997Eu
0.003LiAl
3N
4(ここで、ドーパント濃度は0.3%)を適用してよい。さらに、上記の発光材料はユーロピウム(Eu)を用いてドープされるように示されているという事実は、Eu、Ceといった、共ドーパント(co−dopant)の存在を排除するものではない。ここにおいて、ユーロピウムは、セリウム(cerium)等を用いて共にドープされる(co−doped)。共ドーピング(codoping)は、従来技術において知られており、そして、ときどき、量子効率を強化し、及び/又は、放射スペクトルを調整するものとして知られている。また、ここにおいて示されるように、表記「(Sr、Ca)」、および、他のエレメントを用いた同様な表記は、M位置(M−positions)がSr及び/又はCaカチオンで(または、それぞれに、他のエレメント)占められていることを示している。
【0024】
発光材料は、紛体レイヤ(powder layer)、フィルム、高分子プレート、セラミック本体を、独立して、または、一緒に含んでよい。発光材料は、一つの実施例において、独立して、または、一緒に、セラミック発光本体/ボディといった、自立したもの(self−supporting)であってよい。ここにおいて、用語セラミック本体は、(低い空隙率で)本体に対して圧縮されてきた多結晶材料を、特に参照するものである。
【0025】
一つの実施例において、発光材料は、独立して、または、一緒に、マトリクス(matrix)、つまり、マトリクスまたは複数のマトリクスに含まれてよい。ここにおいて、一つまたはそれ以上の第1発光材料と第2発光材料がエンベッドされている。そうしたマトリクスは、無機マトリクス、または、有機マトリクス、もしくは、ハイブリッドマトリクスであってよい。シロキサン(siloxane)マトリクスといったものである。用語「マトリクス(”matrix”)」も、また、複数のマトリクスを参照し得る。例えば、第1蛍光体が第1マトリクスの中にエンベッドされ、かつ、第2蛍光体が第2マトリクスの中にエンベッドされてよく、2つのマトリクスがコンバータを形成している。発光材料がマトリクスの中にエンベッドされるとき、発光材料は、特に、均一に分配され得る。このことは、また、デバイス光の最良な配光(light distribution)をもたらす。別の実施例において、コンバータは、一つまたはそれ以上のコーティング(coating)を含むサポートを有しており、ここにおいて、一つまたはそれ以上のコーティングは、第1発光材料と第2発光材料のうち一つまたはそれ以上を含んでいる。任意的に、サポートは、上記のマトリクスを含んでよいことに留意する。コンバータの構成は、光源、及び/又は、赤色発光材料の温度効果(temparature effect)に最良に対処し、かつ、利用するように選択され得る。
【0026】
一つの実施例において、一つまたはそれ以上の発光材料は、第1半導体光源から非ゼロ(non−zero)の距離において構成されている。このようにして、例えば、混合チャンバが作成され得る。従って、さらなる実施例において、一つまたはそれ以上の発光材料は、混合チャンバのウィンドウとして構成されており、ここにおいて、第1半導体光源は、混合チャンバの中に半導体光源を備えるように構成されており、かつ、ここにおいて、半導体光源および一つまたはそれ以上の発光材料は、発光材料から下流に照明デバイス光を提供するように構成されている。
【0027】
発光材料のうち一方がセラミックとして備えられ、かつ、他方がマトリクスの中にエンベッドされているとき、良好な結果が獲得される。M
2Si
5N
8:Euクラスの発光材料が、特にLEDダイの上に配置された、セラミック本体として備えられ、そして、MLiAl
3N
4:Euクラスの発光材料が、セラミック本体の下流または上流のマトリクスの中にエンベッドされているときに、特に良好な結果が獲得され得る。従って、さらなる実施例において、第1赤色発光材料は、M
2Si
5N
8:Euクラスの発光材料を含むセラミック材料(つまり、セラミック本体)を含み、かつ、第2赤色発光材料は、光透過マトリクスの中に分散されているMLiAl
3N
4:Euクラスの発光材料を含んでいる。一つの実施例において、マトリクスは、セラミック材料の実質的な部分を取り囲んでいる。用語「光透過マトリクス(”light transmissive matrix”)」は、別の材料についてマトリクスとして使用されるマトリクス材料を参照しており、そして、マトリクス材料(自体)は、少なくとも90%といった、少なくとも85%の、可視光について相対的に高い透過性を有している。透過または光透過性(light permeability)は、材料に対する第1強度を伴う特定の波長において光を提供すること、および、材料を通した透過の後で測定された波長における光の強度を、材料に対する特定の波長において提供される光の第1強度に対して関連付けすることによって、決定され得る(CRC Handbook of Chemistry and Physics、69th edition、1088−1989のE−208とE−406も参照のこと)。マトリクス材料は、透過性有機材料から構成されるグループから選択された一つまたはそれ以上の材料を含んでよい。PE(ポリエチエン)、PP(ポリプロピレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリアクリル酸メチル(PMA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(プレキシガラスまたはパースペックス)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、シリコーン(silicone)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、(PETG)(グリコール修正ポリエチレンテレフタレート)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、およびCOC(シクロオレフィンコポリマー)から構成されるグループから選択される、といったものである。しかしながら、別の実施例において、マトリクス材料は、無機材料を含んでよい。好ましい無機材料は、ガラス、(溶融)水晶、透過性セラミック材料から構成されるグループから選択される。無機および有機部分の両方を含む、ハイブリッド材料も、また、提供され得る。シリコーンといったものである。特に好ましいのは、PMMA、透明PC、シリコーン、または、マトリクス材料のための材料としてのガラスである。
【0028】
なおもさらなる実施例において、本発明は、第1光源、特には半導体光源(ダイ)、を伴うサンドイッチ構造、および、発光材料を含んでいるマトリクスレイヤをサンドイッチしているセラミック本体、を提供する(後者は、従って、光源(ダイ)の上に直接的に提供されている)。特には、サンドイッチ構造を提供し、そこでは、エッジにおけるマトリクスレイヤが、反射性リム(rim)といった、エッジエレメントを用いて、さらに包み込まれ得る。反射性リムは、シリコーン、または、エポキシ、もしくは、ガラスコンパウンドにおいてサスペンドされた(suspended)チタニア(titania)、または、ジルコニア、もしくは、窒化ホウ素(boron nitride)のような光散乱無機フィルタを含んでよい。従って、マトリクスレイヤは、光源(ダイ)、セラミック本体、およびエッジエレメントによって実質的に完全に包み込まれている。さらに特には、セラミック本体はM
2Si
5N
8:Euクラスの発光材料を含み、そして、マトリクスレイヤはMLiAl
3N
4:Euクラスの発光材料を含み、マトリクス材料は、例えば、シリコーン(接着剤)である。さらに、第1光源は、特に、半導体光源を含む。特には、(青色光を提供するように構成された)高出力半導体光源である。
【0029】
なおもさらなる態様において、本発明は、また、照明ユニット光を提供するように構成された照明ユニットも提供する。照明ユニットは、ここにおいて定められた照明デバイスを一つまたはそれ以上含んでいる。照明ユニットは、赤色光を提供するように構成されてよく、または、照明ユニットは、(またも)他のタイプの光を提供するように構成されてもよい。後者の実施例において、照明ユニットは、また、ここにおいて定められるような照明デバイスに加えて、一つまたはそれ以上の他の光源も含み、または、任意的に、また、一つまたはそれ以上の他のコンバータも含む(第1発光材料および第2発光材料以外のもの)。
【0030】
特定の実施例において、照明ユニットは、さらに、第2光源光を提供するように構成された第2光源、および、任意的に、第3光源光を提供するように構成された第3光源を含んでいる。ここで、第2光源と任意的な第3光源は、青色光、緑色光、黄色光、および紫外線のうち一つまたはそれ以上を提供するように構成されている。青色と緑色が提供されるであろうときは、RGBベースの照明ユニットが提供され得る。青色と黄色が提供されるであろうときは、RYBベースの照明ユニットが提供され得る。UV光源が提供されるであろうとき(もまた、)これは、一般的に、さらなる発光材料との組み合せにおけるものであろう。つまり、UV光源のUV光によって特に励起され得るものである。代替的または追加的に、第2光源光と任意的な第3光源は、オレンジ色光と深紅色光(>660nmといったものであり、>650nm)のうち一つまたはそれ以上のを提供するように構成されてよい。
【0031】
従って、一つの実施例において、光源は、さらに、第1光源光(つまり、特には、第1および第2発光材料によって変換されていない第1光源光の残り)、第2光源光、および、任意的な第3光源光のうち一つまたはそれ以上の少なくとも一部を第3発光材料光へと変換するように構成されている第3発光材料を含む。
【0032】
一般的には、しかし、特には、第2光源と任意的な第3光源および任意的な第3発光材料に関しても、これらの用語は、また、それぞれ独立して、複数の(異なる)第2光源、複数の(異なる)第3光源、および、複数の(異なる)第3発光材料を、それぞれに参照してもよいことに留意する。
【0033】
なおもさらなる実施例において、照明ユニットは、さらに、第1光源光、第2光源光、および、任意的な第3光源光を独立してコントロールするように構成されたコントロールユニットを含む。このようにして、赤色光が提供され得るだけでなく、例えば、また、照明ユニットが白色光を提供するように構成されていることを仮定して、白色光といった、他の色もまた、提供され得る。フレーズ「白色光を提供するように構成されている」は、照明ユニットが白色光を提供することが可能であることを示し得るが、しかし、また、照明ユニットが、コントロール可能であり、かつ、他の光の色を提供することが可能な、実施例も含み得るものである。従って、一つの実施例において、照明ユニットは、白色照明ユニット光を提供するように構成されている。
【0034】
なおもさらなる態様において、本発明は、また、コンバータエレメントも提供する。コンバータエレメントは、(i)第1光源光の少なくとも一部を吸収し、かつ、第1赤色放射ピーク波長(λm1)を有する第1赤色発光材料光へと変換することができる、第1赤色発光材料、また、(ii)第1光源光の少なくとも一部を吸収し、かつ、第2赤色放射ピーク波長(λm2)を有する第2赤色発光材料光へと変換することができる、第2赤色発光材料、を含む。ここで、第1赤色発光材料と第2赤色発光材料は、Eu
2+ベースのものであり、かつ、ここでは、λm1<λm2である。特には、上述のように、第1赤色発光材料光は
最大励起
波長(excitation maximum
wavelength)(λx1)を有し、そして、第2赤色発光材料光は第2
最大励起
波長(λx2)を有する。特には、λx1<λx2である。さらに、特には、第1赤色発光材料は、M
2Si
5N
8:Euクラスの発光材料またはMLiAl
3N
4:Euクラスの発光材料を含み、そして、第2赤色発光材料は、光透過マトリクスの中に分散されているMLiAl
3N
4:Euクラスの発光材料を含む。なおもより特には、第1赤色発光材料または第2赤色発光材料は、M
2Si
5N
8:Euクラスの発光材料またはMLiAl
3N
4:Euクラスの発光材料を含むセラミック材料を含み、そして、第2赤色発光材料は、光透過マトリクスの中に分散されているMLiAl
3N
4:Euクラスの発光材料またはM
2Si
5N
8:Euクラスの発光材料を含む。一つの特定の実施例においては、上記にも示されるように、第1赤色発光材料は、M
2Si
5N
8:Euクラスの発光材料を含むセラミック材料(つまり、セラミック本体)を含み、そして、第2赤色発光材料は、光透過マトリクスの中に分散されているMLiAl
3N
4:Euクラスの発光材料を含む。従って、特定の実施例において、光透過マトリクスは、ポリマーを含む。なおもより特には、光透過マトリクスは、シリコーンを含む。上記のMLiAl
3N
4:Euクラスの材料、及び/又は、M
2Si
5N
8:Euクラスの材料の代わりに、または、加えて、MD:Euクラス(上記も参照のこと)の材料といった、一つまたはそれ以上の他の赤色発光材料が適用されてよい。なおもより特定的な実施例において、MLiAl
3N
4:Euクラスの発光材料は、第1光源の下流に構成された光透過マトリクスにおいて分散され、そして、M
2Si
5N
8:Euクラスの発光材料を含むセラミック材料は、光透過マトリクスの中に分散されているMLiAl
3N
4:Euクラスの発光材料の下流に構成されている。これは、第1光源とM
2Si
5N
8:Euクラスの発光材料を含むセラミック材料との間に挟まれているMLiAl
3N
4:Euレイヤを伴う、サンドイッチ構造を提供し得るものである。そうした構造は、中間レイヤの安定性を追加し得る。例えば、そうしたレイヤが、酸素、及び/又は、水(蒸気)に対して比較的に脆弱なときである。
【0035】
そうしたコンバータは、例えば、第1赤色発光材料および第2赤色発光材料を含んでいる、マルチレイヤ、または、セラミック本体、または、セラミック本体のラミネート、もしくは、ポリマー(シリコーンといったもの)マトリクス、等を含んでよい。一つの実施例において、そうしたコンバータは、第1光源(ダイ)に対して配置され得る。しかしながら、コンバータは、また、第1光源(ダイ)から遠くに配置されてもよい。従って、発光材料(およびコンバータ)は、照明デバイスまたは照明ユニットの中に構成されるときに、放射的に結合される。用語「放射的に結合される(”radiationally coupled”)」は、特には、光源と発光材料が、光源から発せられた放射の少なくとも一部が発光材料によって受け取られ(かつ、少なくとも部分的に発光へと変換される)ように、光源と発光材料がお互いに関連していることを意味している。
【0036】
用語「上流(”upstream”)」と「下流(”downstream”)」は、光生成手段(ここでは特に第1光源)からの光の伝播に関するアイテムまたは機能の配置に関する。ここでは、光生成手段から光線の内側(within a beam of light)の第1位置と比較して、光生成手段により近い光線における第2位置が「上流」であり、そして、光生成手段からより遠くの光線の内側の第3位置が「下流」である。
【0037】
照明デバイスは、以下のシステムの一部であり、または、そこに適用され得るものである。例えば、オフィス照明システム、家庭アプリケーションシステム、ショップ照明システム、ホーム照明システム、アクセント照明システム、スポット照明システム、シアター照明システム、光ファイバー照明システム、プロジェクションシステム、セルフリット(self−lit)ディスプレイシステム、ピクセル化(pixelated)ディスプレイシステム、セグメント化(segmented)ディスプレイシステム、警告サインシステム、医療照明アプリケーションシステム、標示サインシステム、装飾照明システム、ポータブルシステム、自動車アプリケーション、温室照明システム、園芸照明、または、LCDバックライト、である。
【0038】
上述のように、照明ユニットは、LCDディスプレイ装置のバックライトユニットとして使用され得る。従って、本発明は、また、ここにおいて定められるように、バックライトユニットとして構成された、照明ユニットも含んでいる。本発明は、また、さらなる態様において、バックライトユニットを含んでいる液晶ディスプレイ装置も提供する。ここで、バックライトユニットは、ここにおいて定められるような一つまたはそれ以上の照明デバイスを含む。
【0039】
望ましくは、光源は、オペレーションの最中に、200−490nmの範囲から選択された波長において少なくとも発光(光源光)する光源であり、特には、400−490nmの範囲から選択された波長において少なくとも発光する光源であって、さらにもっと特別には、440−490nmの範囲におけるものである。この光は、波長コンバータナノ粒子(nanoparticle)によって部分的に使用され得る(さらに以下も参照のこと)。従って、特定の実施例において、光源は、青色光を生成するように構成されている。
【0040】
特定の実施例において、光源は、LED光源(LEDまたはレーザーダイオードといったもの)を含む。
【0041】
用語「光源(”light source”)」は、また、2−20個の(半導体)LED光源といった、複数の光源にも関連し得る。従って、用語LEDは、また、複数のLEDも参照し得るものである。
【0042】
ここにおける用語である白色光は、当業者にとって知られたものである。それは、特に、約2000と20000Kとの間、特には2700−20000Kの相関色温度(CCT)を有する光に関する。一般的な照明のためには、特に、約2700Kと6500Kの範囲におけるものであり、そして、バックライト目的のためには、特に、約7000Kと20000Kの範囲におけるものである。そして、特に、BBL(黒体軌跡)から約15SDCM(カラーマッチング標準偏差)以内であり、特には、BBLから約10SDCM以内であり、さらにもっと特別には、BBLから約5SDCM以内である。
【0043】
用語「紫色光(”violet light”)」または「紫色放射(”violet emission”)」は、特に、約380−440nmの範囲における波長を有する光に関する。用語「青色光(”blue light”)」または「青色放射(”blue emission”)」は、特に、約440−490nmの範囲における波長を有する光(いくらかの紫色とシアン色を含んでいる)に関する。用語「緑色光(”green light”)」または「緑色放射(”green emission”)」は、特に、約490−560nmの範囲における波長を有する光に関する。用語「黄色光(”yellow light”)」または「黄色放射(”yellow emission”)」は、特に、約540−570nmの範囲における波長を有する光に関する。用語「オレンジ色光(”orange light”)」または「オレンジ色放射(”orange emission”)」は、特に、約570−600nmの範囲における波長を有する光に関する。用語「赤色光(”red light”)」または「赤色光放射(”red emission”)」は、特に、約600−750nmの範囲における波長を有する光に関する。用語「ピンク色光(”pink light”)」または「ピンク色放射(”pink emission”)」は、青色および赤色成分を有する光を参照する。用語「可視(”visible”)」、「可視光(”visible light”)」、または「可視放射(”visible emission”)」は、約380−750nmの範囲における波長を有する光を参照する。
【0044】
ここにおける用語「実質的に(”substantially”)」、「実質的に大丈夫」または「実質的に含む」といったものは、当業者によって理解される。用語「実質的に」は、また、「全く(”entirely”)」、「完全に(”completely”)」、「全て(”all”)」、等を用いる実施例も含み得る。従って、実施例において、形容詞の実質的は、また、取り除かれてもよい。適用可能なときに、用語「実質的に」は、また、90%又はそれ以上、に関する。95%又はそれ以上、といったものであり、特には、95%又はそれ以上、さらにもっと特別には、99.5%又はそれ以上、であり、100%を含んでいる。用語「含む(”comprise”)」は、また、「含む」が「からなる(”consists of”)」を意味する実施例も含む。用語「及び/又は(”and/or”)」は、特に、「及び/又は」前と後に言及されている一つまたはそれ以上のアイテムに関する。例えば、フレーズ「アイテム1及び/又はアイテム2」および同様なフレーズは、アイテム1とアイテム2のうち一つまたはそれ以上に関し得るものである。用語「含んでいる(”comprising”)」は、一つの実施例において、「からなる」を参照してよいが、別の実施例においては、また、「少なくとも定められた種(species)、および、任意的に一つまたはそれ以上の他の種を含んでいる」を参照してもよい。
【0045】
さらに、明細書および請求項における用語 第1、第2、第3、および同様のものは、類似のエレメントを区別するための使用されるものであり、かつ、必ずしも連続的または時系列的な順序を記述するためのものではない。そのように使用される用語は、適切な事情の下で交換可能であり、そして、ここにおいて説明される本発明の実施例は、ここにおいて記述され、または、図示された以外のシーケンスにおいてオペレーション可能であることが理解されるべきである。
【0046】
ここにおけるデバイスは、数ある中でも、オペレーションの最中が記述されている。当業者にとっては明らかなように、本発明は、オペレーションの方法、または、オペレーション中のデバイスに限定されるものではない。
【0047】
上述の実施例は、本発明を限定するより、むしろ、説明するものであること、そして、当業者であれば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替的な実施例をデザインすることができることが留意されるべきである。請求項において、括弧の間に置かれたあらゆる参照番号も、特許請求の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。動詞「含む(”comprise”)」及びその語形変化の使用は、請求項において挙げられたもの以外のエレメントまたはステップの存在を排除するものではない。エレメントに先立つ冠詞「一つの(”a”または”an”)」は、複数のそうしたエレメントの存在を排除するものではない。本発明は、いくつかの別個のエレメントを含むハードウェア手段によって、および、好適にプログラムされたコンピューターによって実行され得る。いくつかの手段を列挙しているあらゆるデバイスの請求項において、これらの手段のいくつかは、一つの、そして同一のハードウェアのアイテムによって実施され得る。相互に異なる従属請求項において、特定の手段が引用されているという事実だけでは、これらの手段の組み合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0048】
本発明は、さらに、明細書において説明された、及び/又は、添付の図面において示された、一つまたはそれ以上の特徴的な機能を含んでいるデバイスに対して適用される。本発明は、さらに、明細書において説明された、及び/又は、添付の図面において示された、一つまたはそれ以上の特徴的な機能含んでいる方法またはプロセスに関連する。
【0049】
この特許において説明された様々な態様は、追加的な利点を提供するために組み合わされ得る。さらに、いくつかの機能は、一つまたはそれ以上の分割申請のための基礎を形成し得るものである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1aは、本発明に係る照明デバイス100の限定的でない数多くの実施例を模式的に示している。各照明デバイス100は、赤色照明デバイス光101を提供するように構成されている。照明デバイス100は、ピーク波長λlsを有する第1光源光111を提供するように構成されている第1光源1、ここでは例として半導体光源(LED)、を含んでいる。さらに、各照明デバイス100は、第1光源光111の少なくとも一部分を吸収し、かつ、第1赤色放射ピーク波長λm1を有する第1赤色発光材料光221へと変換するように構成されている第1赤色発光材料21を含んでいる。第1赤色発光材料21は、
最大励起
波長λx1を有している。同様に、第1光源光111の少なくとも一部分を吸収し、かつ、第2赤色放射ピーク波長λm2を有する第2赤色発光材料光221へと変換するように構成されている第2赤色発光材料22を含んでおり、第2赤色発光材料22は、第2
最大励起
波長λx2を有している。照明デバイス100から抜け出る光は、参照番号101で示されているが、このように、第1赤色発光材料光221と第2赤色発光材料光221を含んでいる。任意的に、照明デバイス光101は、また、光源光111も含んでよい。参照番号110は、LEDダイ(LED die)(つまり、LEDの光放射面)を示している。
【0052】
照明デバイスの6つの実施例は示されている。実施例Iにおいては、コンバータ、参照番号20で示されているものが、両方の発光材料21、22を含んでいる。コンバータは、例えば、両方の発光材料21、22を含んでいる光透過マトリクスを含んでよい。実施例IIにおいては、第1発光材料21と第2発光材料が、ドームまたはレンズのような透明マトリクス、例えばシリコーン(silicone)製、の中にエンベッドされている。実施例IとIIの両方においては、発光材料と光源1、特にはLEDダイ110、との間には実質的に距離が存在しない。参照番号30は、PCB(プリント回路基板)といった、サポートを示している。
【0053】
実施例IIIにおいては、2つのレイヤが備えられる。複数のコーティングとセラミック本体、または、複数の高分子マトリクス、もしくは、一つのコーティングとセラミック本体、または、一つの高分子マトリクス、等といったものである。ここでは、例として、第2発光材料22は、光源1から(より多く)離れており、一方で、第1発光材料21は、第1光源1の光放射面、ここではLEDダイ110、と直接的に接触してよい。実施例IVにおいては、実施例IIIと実質的に同一なコンフィグレーションが示されている。しかしながら、今や、第2発光材料は、レンズまたはドーム形状において提供され得る、シリコーンといった、高分子マトリクスの中にエンベッドされている。
【0054】
実施例Vにおいては、チャンバ28を伴うデバイスが示されている。両方の発光材料21と22は、ここでは、例として、一つのコンバータレイヤにおいて、離れて(remote)構成されている。参照番号12は、ウィンドウを示している。さらに、ウィンドウ12の下流には、さらに、光学エレメントが任意的に利用可能であってよい(図示なし)。ここで、第2赤色発光材料22は、ウィンドウとして構成されている。しかしながら、ウィンドウ(材料)は、例えば、また、(発光材料21、22のうち一つまたはそれ以上の)コーティングのためのサポート、等としても、使用され得ることに留意する。(光源1に対するリモート発光材料の)距離は、参照記号dを用いて示されており、例えば、0.5−100mmの範囲内にあってよい。実施例VIは、実施例IIとVのハイブリッドシステムを示している。発光材料のうち一つ、ここでは第2発光材料22、離れた他の発光材料、ここでは第1発光材料21、が光源1において配置されているチャンバ28を伴うものである。
【0055】
しかしながら、上記の実施例のうちいくつかの組み合せを含む、もっと多くの実施例が可能であることに留意する。さらに、第1発光材料21と第2発光材料22の配置は、また、逆であってもよい。さらに、任意的に、両方の発光材料21、22は、実施例III−VIに示されている両方のオプションにおいて配置される。
【0056】
図1bは、本発明の照明ユニット10に係る3つの限定的でない実施例を模式的に示している。各照明ユニット10は、照明ユニット光11を提供するように構成されている。各照明ユニット10は、一つまたはそれ以上の照明デバイス100を含んでいる(ここでは、例として、1つだけが模式的に示されている)。これらの実施例I−IIIにおいて、照明ユニット10は、さらに、第2光源光321を生成するように構成された第2光源2(実施例I−III)を含み、そして、任意的に、第3光源光331を生成するように構成された第3光源3(実施例I−III)を含む。ここで、第2光源2と任意的な第3光源3は、青色光、緑色光、黄色光、オレンジ色光、深紅色光、および紫外線のうち一つまたはそれ以上を提供するように構成されている。参照番号12は、ウィンドウを示しており、例えば、散乱材料を含んでよい。しかしながら、そうしたウィンドウは、また、光方向(light direction)エレメントを含んでもよい。さらに、ウィンドウ12の下流には、光学エレメントが利用可能であってよい(図示なし)。実施例において、ウィンドウは、コーティングのためのサポートとして構成されてよい。
【0057】
実施例Iにおいて、例えば、照明デバイス100は、第1光源1を含んでおり、赤色光照明デバイス光101を提供する(この照明デバイス100に対する任意的な実施例について上記も参照のこと)。第2光源2は、例えば、第2光源光321(かつ、特には第1光源が青色光源光111を提供し得るので、従って、光111としても示されている。
図1aを参照)として青色光を提供するように構成されてよい。そして、第3光源3は、第3光源光として緑色光源光331を提供するように構成されてよい。従って、第1光源1と第2光源2は、任意的に同一のものであってよい。前者について、しかしながら、第1光源光111は、発光材料によって赤色照明デバイス光101へと実質的に変換されているものである(これらの実施例には図示されていない。詳細は、
図1aを参照のこと)。
【0058】
実施例IIにおいては、照明デバイスと、黄色コンバータを伴う青色LED(第2光源)との組み合せが模式的に示されている。第2光源2は、第3コンバータ23を備えている。第2光源2の(青色)光源光321の一部を黄色光へと変換するように構成され得るものである。第3コンバータ321の発光は、参照番号231を用いて示されており、そして、第3発光材料光を示している。青色光源光321と黄色第3発光材料光231は、白色照明ユニット光11を提供するために使用されてよく、赤色照明デバイス光101は、例えば、より暖かな白色光を提供するように、照明ユニット光11を調整するために使用されてよい。従って、照明ユニット光11は、例えば白色光を仮定して、青色第2光源光321と黄色第3発光材料光231、任意的に(いくつかの)青色第1光源光も含んでよく、そして、任意的に、例えば所望の色温度に応じて、赤色照明デバイス光101も含んでよい。
【0059】
実施例IIIにおいては、例えば、実施例IIと実質的に同一の実施例が示されている。しかしながら、今や、第3コンバータ23は、離れて配置されている。
【0060】
図1cは、ここにおいて定められる照明デバイス100の実施例をより詳細に模式的に示している。参照番号40は、レンズ(例えば、シリコーン、ガラス、プラスチック材料、等)を示している。参照番号21と22は、赤色蛍光体であり、シリコーン/ガラス/プラスチック材料の粉末として、セラミックとして、マルチレイヤ干渉フィルタを伴うセラミックまたはガラス、等として、提供されてよい。ここでは、例として、2つの発光材料レイヤ、例えばセラミック本体、がコンバータ20として提供されている。参照番号110は、青色ダイを示している。さらに、参照番号30は、メカニカルなサポート/ソケットを示している。さらに、参照番号50は、シリコーン、ガラス、プラスチック材料、またはエポキシ樹脂、等といった、サイドコート(side coat)またはエッジエレメント(edge element)を示している。例えば、一つまたはそれ以上のリフレクタ材料(チタニウム、アルミナ、等)、クリストバライト(crystobalite)及び/又はアルミナのような熱伝導サポート、任意的に、一つまたはそれ以上の赤色蛍光体、湿度に対する保護レイヤ、等を伴うものである。レンズまたはドーム40は、コンバータの実質的な部分、ここではセラミック材料、を包み込んでいることに留意する。
図1cは、特に、一つの実施例を示しており、そこで、本発明は、第1光源1、特には半導体光源(ダイ110)、を伴うサンドイッチ構造、および、発光材料を含んでいるマトリクスレイヤをサンドイッチしているセラミック本体、を提供している(後者は、従って、光源(ダイ110)の上に直接的に提供されている)。特には、サンドイッチ構造を提供し、そこでは、エッジにおけるマトリクスレイヤが、反射性リム(rim)といった、エッジエレメント50を用いて、さらに包み込まれ得る。従って、マトリクスレイヤは、光源(ダイ)、セラミック本体、およびエッジエレメントによって実質的に完全に包み込まれている。さらに特には、セラミック本体はM
2Si
5N
8:Euクラスの発光材料を含み、そして、マトリクスレイヤはMLiAl
3N
4:Euクラスの発光材料を含み、マトリクス材料は、例えば、シリコーン(接着剤)である。さらに、第1光源は、特に、半導体光源を含む。特には、(青色光を提供するように構成された)高出力半導体光源である。従って、一つの実施例において、MLiAl
3N
4:Euクラスの発光材料は、第1光源の下流に構成された光透過マトリクスにおいて分散され、そして、M
2Si
5N
8:Euクラスの発光材料を含むセラミック材料は、光透過マトリクスの中に分散されているMLiAl
3N
4:Euクラスの上記の発光材料の下流に構成されている。
【0061】
図2aにおいては、ソケット温度の関数として30℃のソケット温度でのフラックスに対して正規化された放射フラックスが示されている。正規化されたフラックス(F)は、y軸(ルーメン)において示されている。直接放射しているAlInGaP LED(直線c)については、温度によるフラックス損失が明らかである。120℃において損失は40%より大きく(>40%)、一方で、2つの専用赤色変換蛍光体(a、b)の混合物(破線:a+b)について、放射フラックスは、温度の関数としてほとんど一定である。これらの実施例において、第1蛍光材料は、高密焼結(dense sintered)セラミック形状における(Ba、Sr、Ca)
2Si
5−xAl
xO
xN
8−x:Eu(ここにおいては、発光材料aまたは蛍光体aとしても示されている)を含み、そして、第2蛍光材料は、シリコーンマトリクスにおいてサスペンドされた粉末形状における(Sr、Ba)LiAl
3N
4:Eu(ここにおいては、発光材料bまたは蛍光体bとしても示されている)を含む。
【0062】
図2bは、直接赤色放射LED(AlInGaP)、および、本発明に従った赤色放射蛍光体の混合物について、重心波長(centroid wavelength、CW)が温度によりどのように変動するかを示している。典型的には、直接赤色放射AlInGaP LEDについて、CWは、0.05nm/℃の温度係数を伴って変動する。蛍光材料混合物(a+b)のCWは、典型的には、−0.02nm/℃の温度係数を伴い、630nmから640nmまでの範囲にあり、このことは、より安定したカラーポイントへ、そして、温度に依存しないフラックスへと変換する。
図2bにおいては、
図2Fの放射スペクトルについて重心波長の計算がなされており、そして、また、スペクトルにおける残りの青色光も含んでいる。これは例外であるが、2つの赤色放射に係る重心波長が決定されるときに、このことは、赤色放射に関係するだけである。
図2bでは、しかしながら、赤色LEDと本発明に従ったデバイスとの間で重心波長が比較されている。比較の目的のために、小さな青色の貢献は問題ではない。本発明のデバイスは、赤色LEDよりも、温度からの依存が大変少ないことが明らかである。
【0063】
Eu
2+活性蛍光体(activated phosphor)は、温度の増加に伴って、より短い波長へシフトする。この効果を補償するために、2つの赤色蛍光体の混合物が青色LEDについて適用される。混合物は、例として、例えば、440nmより小さい(<440nm)最大吸収を伴い、例えば、600−630nmの範囲における第1ピーク波長λ1において放射する、第1蛍光体、および、例えば、440nmより大きい(>440nm)最大吸収を伴い、例えば、630nmより大きい第2波長λ2(λ2>630nm)において放射する、第2蛍光体で構成される。430から460nmまでの範囲いおいて放射する青色LEDについて、放射スペクトルは、ソケット温度の増加に伴って、より長い波長へシフトする(ここにおいては、ベース温度としても示されている)(
図2c、表1)
【表1】
【0064】
表1における青色LEDのピーク波長は、従って、
図2cにおける最大値に対応している。
【0065】
このように、温度の増加に伴って、第1赤色蛍光体に対する変換は減少し、かつ、(より長い波長を伴う)第2赤色蛍光体に対する変換は増加する(
図2c)。そして、
図2dに示されるように、赤色フラックスにおける変化、および、蛍光体変換LEDのカラーポイントは減少する。
図2cは、2つの蛍光材料((Ba、Sr、Ca)
2Si
5−xAl
xO
xN
8−x:Eu (a)と(Sr、Ba)LiAl
3N
4:Eu (b))の混合物を示している。一方は、他方より短い最大波長を有しており、そして、両方は、光源放射に近い最大励起
波長(excitation maximum
wavelength)を有している。しかし、第1発光材料は、最大励起
波長よりも短い波長において最大励起を有しており、そして、第2発光材料は、最大励起
波長よりも長い波長において最大励起を有している。ここにおいて説明される最
大は、ピーク波長に関連するものである。飽和カラーポイント(saturated color point)のシフトは、また、2つの赤色蛍光体を混合することによっても、積極的に影響される。
図2cを参照すると、赤色発光材料の励起は、第1光源の放射波長分布と実質的にオーバーラップしていることがわかる。
【0066】
図2dにおいては、単一の蛍光体と比較して、混合物は、温度に伴うシフトが小さいことが明らかである。表2においては、30℃から120℃までの最大カラーポイントシフトが一覧にされている。
【表2】
【0067】
図2eは、一つのグラフにおいて、2つの赤色発光材料に係る励起スペクトルと放射スペクトルを示している。それぞれの励起ピーク波長が、435と480nmにおいて見い出され、それぞれに、発光材料aとbのものである(
図2cも参照のこと)。それぞれの放射ピーク(中心)波長が、616(632)と650(662)nmにおいて見い出され、また、それぞれに、発光材料aとbのものである。y軸における任意の単位での強度を用いて、温度の関数としての青色LEDにおける放射の混合が、
図2fに示されている。これらの赤色発光材料の混合物の重心波長は、それぞれ、640.9nm、640.6nm、640.2nm、および639.6nmにおいて見い出される(温度が増加する順序におけるもの)。このグラフ2fから、示される重心波長は、赤色放射だけに基づくものであり、そして、グラフにおける残りの青色放射に基づくものではない。従って、重心波長は、およそ510−800nmの範囲において評価されている。