【文献】
YIN, Y. et al.,A general and feasible method for the fabrication of functional nanoparticles in mesoporous silica hollow composite spheres,J. Mater. Chem. ,英国,The Royal Society of Chemistry,2012年 6月14日,Vol. 22,pp. 11245-11251
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のシランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラペンチルオキシオキシシラン、テトラヘキシルオキシシラン、またはこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
前記第2のシランが、1−ナフタリトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、またはこれらの混合物から選択される、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
前記第1のシランと前記第2のシランとの反応が、溶媒の存在下で行われ、前記溶媒が、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ブタノール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートとブタノールとの混合物、トルエンとブタノールとの混合物、キシレンとブタノールとの混合物、またはクロロホルムとブタノールとの混合物から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
前記半導体ナノ結晶が、II−VI族化合物、III−V族化合物、I−III−VI族化合物、IV−VI族化合物、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
「電子デバイス」とは、電子工学の原理に依存し、その動作に電子流の操作を使用するデバイスを指す。
【0013】
「アルキル」とは、非環式飽和一価炭化水素基を指し、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、チオール、シアノ、スルホ、ニトロ、アルキル、ペルフルオロアルキル、もしくはこれらの組み合わせによって置換された、水素を有する直鎖及び分岐鎖の基を含む。
【0014】
「ヘテロアルキル」とは、アルキル基内の炭素原子のうちの1つ以上が、ヘテロ原子で、または少なくとも1つのヘテロ原子を含有するヘテロ官能基で置き換えられている、直鎖または分岐鎖構造を有する飽和炭化水素基を指す。ヘテロ原子は、例えば、O、N、P、Sなどを含み得る。本明細書の少なくとも1つのヘテロ原子を含有するヘテロ官能基としては、例えば、COOR’、OCOOR’、OR’、NR’
2、PR’
2、P(=O)R’
2またはSiR’
3を挙げることができ、式中、各R’は、H、非置換もしくは置換のC
1−C
30アルキル基、または非置換もしくは置換のC
6−C
30芳香族基である。
【0015】
「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する不飽和炭化水素を指す。置換アルケニルとは、炭素二重結合上の水素のうちの少なくとも1つが、H以外の原子または基で置き換えられているアルケニルを指す。同様に、「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する不飽和炭化水素を指す。置換アルケニルとは、炭素二重結合上の水素のうちの少なくとも1つが、H以外の原子または基、例えばC
1−C
30アルキル基またはC
6−C
30芳香族基で置き換えられているアルケニルを指す。アルケニル基またはアルキニル基が2つ以上の不飽和結合を含有する場合、これらの結合は、通常は累積されないが、−[CH=CH−]
x(式中、xは2〜50の範囲であり得る)の場合のように、交互の順序で配置されてもよい。別段定義されない場合、好ましいアルキルは、1〜22個の炭素原子を含有し、好ましいアルケニル及びアルキニルは、2〜22個の炭素原子を含有する。
【0016】
「アルコキシ」とは、酸素と単結合したアルキル基を指す。C
1−C
24アルコキシなどのアルコキシは、直鎖または分岐鎖ラジカル、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、及びオクタデシルオキシである。置換アルコキシとは、酸素と単結合した置換アルキル基を指す。
【0017】
「脂肪族環式基」は、脂肪族及び環式の両方である有機基を指す。脂肪族環式基は、飽和または不飽和のいずれかであり得る1つ以上の炭素環を含有する。置換脂肪族環式基は、結合した1つ以上の側鎖を有してもよく、この側鎖は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、または置換もしくは非置換のアルコキシであり得る。脂肪族環式基の例には、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、1−アダマンチル、及び2−アダマンチルが挙げられる。
【0018】
「複素環式基」とは、その環(複数可)の環員として少なくとも2つの異なる元素の原子を有する環式化合物を指す。複素環式基は、通常、5〜7個の環員を含有し、そのうち、通常O、S、NR’から選択される少なくとも1個、特に1〜3個のヘテロ部分を含有する。例としては、ピペリジル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニル、及びモルホリニルなどの、O、S、またはNR’が介在するC
4−C
18シクロアルキルが挙げられる。不飽和変異型は、隣接する環員上の水素原子の引抜きによって、これらの間の二重結合の形成を伴って、これらの構造に由来することができ、そのような部分の例がシクロヘキセニルである。置換脂複素環式基は、結合した1つ以上の側鎖を有してもよく、この側鎖は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルコキシ、または一緒に直接結合するか、もしくは連結基を介して結合した別の複素環式基であり得る。
【0019】
「芳香族基」とは、環を形成する炭素原子の間のシグマ結合及び非局在化パイ電子を有する炭化水素であって、通常はベンゼン系またはアリール基を指す。アリールは、任意に、互いに縮合しているか、または炭素−炭素単結合によって互いに結合している、1〜4個の芳香族環(各環は、6個の共役炭素原子を含有し、ヘテロ原子を含有しない)を含有する芳香族または多環芳香族置換基として定義される。置換芳香族またはアリール基とは、環上の水素原子に取って代わる1つ以上の置換基を有するアリール環を指す。アリール基は、非置換であるか、または独立してハロゲン、シアノ、スルホ、カルボキシ、アルキル、ペルフルオロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、モノアルキルアミノ、またはジアルキルアミノである置換基の、任意の合成的にアクセス可能かつ化学的に安定な組み合わせによって、任意にかつ独立して置換される。例としては、フェニルの置換もしくは非置換の誘導体;ビフェニル;o−、m−、またはp−テルフェニル;1−ナフタール;2−ナフタール;1−、2−、または9−アントリル;1−、2−、3−、4−、または9−フェナントレニル、及び1−、2−、または4−ピレニルが挙げられる。好ましい芳香族またはアリール基は、フェニル、置換フェニル、ナフチルまたは置換ナフチルである。
【0020】
「ヘテロ芳香族基」、または「ヘテロアリール基」とは、追加の6員芳香族環(複数可)に任意に縮合されているか、または5員もしくは6員のヘテロ芳香族環に任意に縮合されている、5員もしくは6員ヘテロ芳香族環を指す。ヘテロ芳香族環は、O、S、またはNからなる群から選択される少なくとも1つ、かつ多くとも3つのヘテロ原子を任意の組み合わせで含有する。置換ヘテロ芳香族基またはアリール基とは、環上の水素原子に取って代わる1つ以上の置換基を有するヘテロ芳香族基またはヘテロアリール環を指す。ヘテロ芳香族基またはヘテロアリール基は、非置換であるか、または独立して、H、ハロゲン、シアノ、スルホ、カルボキシ、アルキル、ペルフルオロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、モノアルキルアミノ、またはジアルキルアミノである置換基の、任意の合成的にアクセス可能かつ化学的に安定な組み合わせによって、任意にかつ独立して置換される。例としては、2−または3−フラニル;2−または3−チエニル;N−、2−または3−ピロロイル;2−または3−ベンゾフラニル;2−または3−ベンゾチエニル;N−、2−、または3−インドリル;2−、3−、または4−ピリジル;2−、3−、または4−キノリル;1−、3−または4−イソキノリル;2−ベンゾオキサゾリル;2−、4−、または5−(1,3−オキサゾリル);2−、4−、または5−(1,3−チアゾリル);2−ベンゾチアゾリル;3−、4−、または5−イソキサゾリル;N−、2−、または4−イミダゾリル;N−、または2−ベンズイミダゾリル;1−、または2−ナフトフラニル;1−、または2−ナフトチニル;N、2−または3−ベンズインドリル;もしくは2−、3−、または4−ベンゾキノリルの置換もしくは非置換の誘導体が挙げられる。
【0021】
半導体ナノ結晶の「量子収率」は、吸収された光子の数に対する放出された光子の数の比である。
【0022】
「半導体ナノ結晶」は、1〜100ナノメートル(nm)の範囲の典型的な寸法を有し、かつ寸法に依存する光学的及び電子的性質を示す、小さな結晶粒子である。これは、単離された原子及び分子を連想させる別個の電子遷移を表す。
【0023】
「量子ドット」は、20nm未満、またはより典型的には10nmの典型的な寸法を有するコロイド状半導体ナノ結晶である。半導体ナノ結晶のサイズは、量子閉じ込め効果によりそのサイズに反比例するバンドギャップエネルギーを用いて電子特性を決定する。異なるサイズのQDは、単一の波長の光によって励起されると、異なる波長の光を放出し得る。
【0024】
「励起状態」は、電子が、分子に関する別のエネルギー状態よりも高いエネルギー状態を埋める分子の電子状態である。
【0025】
「ゾルゲル」プロセスは、溶液またはゾルがゾルゲル転移を受けるプロセスを指す。この転移では、溶液は、固い非流体塊になる。「ゾルゲルケイ酸塩」は、加水分解条件下でのゾルゲル重合によって調製されるSi−O−Si化学結合のネットワークを含有する材料である。
【0026】
本発明において有用なゾルゲルケイ酸塩は、1つ以上の第1のシランと1つ以上の第2のシランとの反応生成物である。ゾルゲルケイ酸塩の調製に有用な第1のシランは、式(I)、Si(OR
1)
4の構造を有し、式中、R
1は、置換もしくは非置換のC
1−C
8アルキル、置換もしくは非置換のC
1−C
4アルキル、または置換もしくは非置換のC
1−C
2アルキル;あるいは置換もしくは非置換のC
1−C
8ヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC
1−C
4ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換のC
1−C
2ヘテロアルキルから選択される。
【0027】
適切な第1のシランの例としては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラペンチルオキシシラン、テトラヘキシルオキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(エトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシプロポキシ)シラン、テトラキス(2−メチル−ヘキソキシ)シラン、テトラアリルオキシシランなどのテトラ−C
2−C
4アルケニルオキシシラン、またはそれらの混合物が挙げられる。第1のシランは、好ましくはTEOS、TMOS、またはこれらの混合物である。
【0028】
ゾルゲルケイ酸塩の調製において有用な第2のシランは、式(II)、R
2SiR
3n(OR
4)
3−nの構造を有し、
式中、nは、0、1、及び2から選択される整数であり、
R
2及びR
3は、各々独立して、水素、置換もしくは非置換のC
1−C
36アルキル、置換もしくは非置換のC
1−C
18アルキル、または置換もしくは非置換のC
1−C
12アルキル;置換もしくは非置換のC
1−C
36ヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC
1−C
18ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換のC
1−C
12ヘテロアルキル;置換もしくは非置換のアルケニル、例えば、置換もしくは非置換のC
2−C
24アルケニル、置換もしくは非置換のC
2−C
18アルケニル、または置換もしくは非置換のC
2−C
12アルケニル;置換もしくは非置換のアルキニル、例えば、置換もしくは非置換のC
2−C
24アルキニル、置換もしくは非置換のC
2−C
18アルキニル、または置換もしくは非置換のC
2−C
12アルキニル;置換もしくは非置換のアルコキシ、例えば、置換もしくは非置換のC
1−C
24アルコキシ、置換もしくは非置換のC
1−C
18アルコキシ、または置換もしくは非置換のC
1−C
12アルコキシ(メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシなど);置換もしくは非置換の芳香族基、例えば、置換もしくは非置換のC
6−C
24芳香族基、置換もしくは非置換のC
6−C
18芳香族基、または置換もしくは非置換のC
6−C
12芳香族基(フェニル、1−ナフチル、2−ナフタレン、ビフェニル、o−、m−またはp−ターフェニル、1−、2−、または9−アントリル、1−、2−、3−、4−、または9−フェナントレニル、及び1−、2−または4−ピレニルなど);脂肪族環式基、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、1−アダマンチル、及び2−アダマンチル;例えば、ピペリジル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニル、及びモルホリニルを含有する複素環式基;ヘテロ芳香族基、例えば、2−または3−フラニル;2−または3−チエニル;N−、2−または3−ピロロイル;2−または3−ベンゾフラニル;2−または3−ベンゾチエニルの置換もしくは非置換の誘導体;から選択され、かつ
R
4は、置換もしくは非置換のC
1−C
8アルキル、置換もしくは非置換のC
1−C
4アルキル、または置換もしくは非置換のC
1−C
2アルキル;あるいは置換もしくは非置換のC
1−C
8ヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC
1−C
4ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換のC
1−C
2ヘテロアルキルから選択される。本発明におけるヘテロアルキルは、カルボキシル基、エステル基、カルボニル基、アルデヒド基、エーテル基、メルカプト基、アミノ基、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、アミド基、またはこれらの混合物から選択される官能基を有するヘテロアルキルであり得る。
【0029】
好ましくは、式(II)において、nは0であり、R
2は、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、メルカプト基、またはアミノ基から選択される官能基を有するフェニル、ナフチル、C
1−C
18アルキルまたはC
1−C
8ヘテロアルキルから選択される。好ましくは、R
4はC
1−C
2アルキルである。
【0030】
一実施形態では、ゾルゲルケイ酸塩の調製において有用な第2のシランは、式(II)の構造を有する1つの化合物(式中、nは0であり、R
2は、アルキルまたは芳香族基から選択される)と、式(II)の構造を有する別の化合物(式中、nは0であり、R
2は、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、メルカプト基、またはアミノ基から選択される官能基を有するヘテロアルキルである)との混合物である。好適な第2のシランの例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、エテニルトリメトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]トリメトキシシラン、3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−(2,3−エポキシプロピルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、3−[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3−(メタクリロイルオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、n−(2−アミノエチル)−3−(トリメトキシシリル)プロピルアミン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、(3−アニリノプロピル)トリメトキシシラン、n−[2−(n−ビニルベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、n−(トリエトキシシリルプロピル)尿素、ジメトキシ−(3−メルカプトプロピル)メチルシラン、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3−イソシアナトプロピル)トリエトキシシラン、11−(アミノオキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、11−(2−メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
本発明において有用なゾルゲルケイ酸塩は、−O−M−O−結合を含む部分を更に含有してもよく、式中、Mは、Al、Ti、Zr、及びこれらの組み合わせから選択される。そのようなゾルゲルケイ酸塩は、1つ以上の前駆体化合物を第1及び第2のシランと反応させることによって得ることができる。適切な前駆体化合物の例としては、トリ−n−、−i−プロポキシアルミネート、トリ−n−ブトキシアルミネートのようなトリ−C
1−C
4アルコキシアルミネート、ジ−C
1−C
4アルコキシアルミノキシトリ−C
1−C
4アルコキシシラン、例えば、ジブトキシ−アルミノキシ−トリエトキシ−シラン;テトラ−n−ブトキシジルコネート、テトラエトキシジルコネート、及びテトラ−n−、−i−プロポキシジルコネート;テトラ−C
1−C
4アルコキシジルコネート、例えば、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、及びテトラ−n−、−i−プロポキシチタネート;またはこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
本発明において有用なゾルゲルケイ酸塩は、第1のシラン、第2のシラン、及び任意に、−O−M−O−結合を生成するのに有用な前駆体化合物を、化学分野における当業者に既知のゾルゲル反応のための条件を使用して反応させることによって得ることができる。ゾルゲル反応は、触媒、好ましくは酸または塩基、及びある特定の量の水の存在下で、一定時間行うことができる。ゾルゲル反応の持続時間は、触媒、反応温度ならびに使用される第1及び第2のシランに応じて、数ヶ月から数分(min)まで、例えば数日〜30分、または24時間〜2時間で変化し得る。ゾルゲル反応のための温度は、0℃〜600℃、10℃〜200℃、または20℃〜150℃の範囲であり得る。ゾルゲル反応に適した触媒は、HF、HCl、HNO
3、H
2SO
4、HOAc、HCOOH、p−トルエンスルホン酸、NH
4OH、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、オクチルアミン、またはこれらの混合物から選択され得る。好ましい触媒は、HOAc、H
2SO
4、HCl、またはこれらの混合物である。ゾルゲル反応は、溶媒の存在下で行われ得る。好ましい溶媒は、有機溶媒である。好適な溶媒の例としては、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンチルアルコール、ヘキサノール、2−エトキシエタノール、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、PGMEAとブタノールとの混合物、トルエンとブタノールとの混合物、キシレンとブタノールとの混合物、クロロホルムとブタノールとの混合物などが挙げられる。第1及び第2のシランは加水分解及び縮合重合を受けて、ゾルゲルケイ酸塩またはゾルゲルケイ酸塩溶液をもたらす。全第2のシランに対する全第1のシランのモル比は、95/5〜5/95、90/10〜30/70、または90/10〜50/50であり得る。
【0033】
本発明において有用なゾルゲルケイ酸塩は、500以上、500〜10,000、600〜7,000、800〜5,000、または1,000〜3,000の数平均分子量を有し得る。数平均分子量は、標準的なゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン標準で測定することができる。
【0034】
本発明において有用なゾルゲルケイ酸塩溶液は、1重量%〜90重量%、2重量%〜50重量%、または4重量%〜30重量%の固形分を有し得る。固形分は、全ての溶媒を除去するようにゾルゲルケイ酸塩溶液を110℃の真空オーブン中で一定時間アニーリングした後に、測定することができる。
【0035】
本発明において有用な半導体ナノ結晶は、II−VI族化合物、III−V族化合物、I−III−VI族化合物、IV−VI族化合物、またはこれらの組み合わせを含むことができ、ここで、「族」という用語は、元素の周期表の族を指す。II−VI族化合物としては、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、MgSe、MgS、またはこれらの混合物から選択される二元化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、MgZnSe、MgZnS、またはこれらの混合物から選択される三元化合物;HgZnTeS、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、またはこれらの混合物から選択される四元化合物を挙げることができる。III−V族化合物としては、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AIN、AlP、AIAs、AISb、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、またはこれらの混合物を挙げることができる。I−III−VI族化合物としては、CuInS
2、CuInSe
2、CuGaSe
2、AgInS
2、AgInSe
2、AgGaS
2、AgGaSe
2、またはこれらの混合物を挙げることができる。V−VI族化合物としては、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、またはこれらの混合物を挙げることができる。半導体ナノ結晶は、1つ以上の元素でドープされた、上記の材料から選択されたII−VI族、III−V族、I−III−V族、及びIV−VI族化合物を更に含むことができる。ドーパント元素は、Mn、Ag、Eu、S、P、Cu、Ce、Tb、Au、Pb、Tb、Sb、SnまたはTiから選択することができる。ドープされた半導体ナノ結晶の例は、ZnSe:Mn、ZnS:Mn、ZnSe:Cu、及びZnS:Cuである。
【0036】
本発明において有用な半導体ナノ結晶は、第1の半導体ナノ結晶が第2の半導体ナノ結晶で包囲されたコア/シェル構造を有し得る。シェル材料の例としては、ZnS、ZnSe、MgS、MgSe、AlP、GaP、及びZnO、Fe
2O
3、SiO
2などの酸化物、またはこれらの混合物が挙げられる。加えて、半導体ナノ結晶は、半導体ナノ結晶コアと、このコアを取り囲む多層シェルとを含む構造を有し得る。多層シェルは、2つまたは3つ以上の層状シェル構造を有してもよい。コア−シェル半導体ナノ結晶は、好ましくは、20nm未満、15nm未満、または2〜5nmの範囲のコアサイズを有する。本発明において有用な半導体ナノ結晶は、1nm〜100nm、1nm〜20nm、または1nm〜10nmの粒径を有することができる。半導体ナノ結晶の粒径は、透過電子顕微鏡(TEM)によって測定され得る。
【0037】
半導体ナノ結晶の表面は、表面原子を有機基で不動態化することによって更に処理され得る。この有機層(キャッピング配位子)は、表面トラップを不動態化し、粒子−粒子凝集を防止し、異なる有機溶媒中でナノ結晶を安定化させ、及び半導体ナノ結晶をその周辺の電子的ならびに化学的環境から保護するために役立つ。ほとんどの場合、キャッピング配位子は、ナノ結晶の調製に使用される溶媒であり、ルイス塩基化合物、またはルイス酸化合物からなる。キャッピング配位子の例としては、長鎖脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、ステアリン酸)、ホスフィン類(例えば、トリオクチルホスフィン、t−ブチルホスフィン)、ホスフィンオキシド(例えば、トリオクチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド)、アルキルアミン(例えば、ヘキサデシルアミン、オクチルアミン)、チオール(例えば、ウンデカニルチオール、ドデカンチオール)、ピリジン、及びアルキルホスホン酸、またはこれらの混合物が挙げられる。これらのキャッピング配位子はまた、他の無機、有機、または生物材料への結合として使用され得る追加の官能基も提供し得る。
【0038】
半導体ナノ結晶の使用を制限し得る1つの要因は、通常、長いアルキル鎖からなる非極性表面キャッピング配位子に起因する、極性または水性媒体との非相溶性である。半導体ナノ結晶の表面を改質するために最も広く使用されている手順は、配位子交換として知られている。調製反応中にナノ結晶表面上に配位する親油性配位子分子は、その後、1つまたは2つ以上の極性もしくは荷電配位子分子と交換され得る。代替的な表面改質戦略は、極性もしくは荷電配位子分子またはポリマー分子を、ナノ結晶表面上に既に存在する配位子分子で相互キレート化(interchelate)することである。リガンド交換手順はまた、追加の官能基を半導体ナノ結晶表面に導入することを補助することもできる。
【0039】
半導体ナノ結晶の形状は、球形、楕円形、立方体、ピラミッド形、マルチアーム、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノプレートなどを含み得る。
【0040】
半導体ナノ結晶は、当該技術分野において既知の一般方法に従って合成され得る。コロイド状半導体ナノ結晶、すなわち量子ドットは、従来の湿式化学的な加工処理と同様に、溶液中に溶解した前駆体化合物から合成することができる。例えば、量子ドットの合成は、量子ドット前駆体、有機界面活性剤、及び溶媒を用いて溶液を形成し、溶液を高温で加熱し、前駆体を分解し、及びその後核形成してナノ結晶を生成するモノマーを形成することによって行われる。
【0041】
本発明において有用な半導体ナノ結晶は、好ましくは約400〜900nm、より好ましくは400〜700nmの波長を有する光を放出する。半導体ナノ結晶は、以下の実施例に記載の試験方法に従って、20%〜100%、50%以上、70%以上、または更には85%以上の量子収率を有し得る。加えて、半導体ナノ結晶の発光波長の半値全幅(FWHM)は、用途に応じてより狭くまたはより広いように選択されてもよい。表示デバイス内の色純度または色域を改善するために、これは、より狭いスペクトルを有してもよい。これに関して、半導体ナノ結晶は、発光波長が60nm以下、または50nm以下、または40nm以下のFWHMを有してもよい。
【0042】
本発明の複合体を調製するための方法は、ゾルゲルケイ酸塩中に半導体ナノ結晶を封止し、または埋め込んで、半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体とも呼ばれる複合体を形成することを含むことができる。本方法は、(i)ゾルゲルケイ酸塩溶液を提供することと、(ii)半導体ナノ結晶をゾルゲルケイ酸塩と混合して、混合物、好ましくは溶液形態の混合物を形成することと、(iii)混合物を乾燥させて、複合体を形成させることと、(iv)任意に複合体を粉砕することと、を含む。ステップ(ii)で形成される混合物は、1つまたは2つ以上の種類の半導体ナノ結晶を含有することができる。混合物はまた、1つまたは2つ以上の種類のゾルゲルケイ酸塩も含有することができる。乾燥ステップ(すなわち、複合体の調製方法のステップ(iii))は、0℃〜1000℃、25℃〜300℃、50℃〜200℃、または80℃〜150℃の範囲の温度で行うことができる。乾燥ステップの持続時間は、1分〜数ヶ月、1分〜数日、1分〜24時間、または10分〜12時間の範囲であり得る。乾燥ステップは、大気圧または好ましくは減圧下で、外気中または不活性雰囲気下で行うことができる。任意の種類の容器が乾燥ステップで使用されてもよい。好ましい容器の種類としては、ガラス、ポリテトラフルオロエチレン成型器、及び金属トレイが挙げられる。
【0043】
複合体の調製方法において、半導体ナノ結晶と混合する前に、ゾルゲルケイ酸塩溶液を処理して、そのpH値を5〜9、5〜8、または6〜8の範囲に調節して、ゾルゲル反応において使用された触媒を除去することができる。pH調節方法は、化学分野における当業者に既知である。pH値調節に有用な物質としては、例えば、酸、塩基、弱塩基性イオン交換樹脂、強塩基性イオン交換樹脂、弱酸性イオン交換樹脂、及び強酸性イオン交換樹脂などのイオン交換樹脂が挙げられる。ゾルゲルケイ酸塩を調製するときにゾルゲル反応に使用された触媒の除去は、ゾルゲルケイ酸塩及び半導体ナノ結晶が一緒に混合されるとき、半導体ナノ結晶の化学的及び物理的特性または安定性に与える悪影響がより少ないゾルゲルケイ酸塩またはゾルゲルケイ酸塩溶液を提供するであろう。
【0044】
複合体の調製方法において、ゾルゲルケイ酸塩と混合する前に、ゾルゲルケイ酸塩またはゾルゲルケイ酸塩溶液との相溶性を改善するために、半導体ナノ結晶は上記のように配位子交換プロセスを受けてもよい。有用な配位子は、2つの種類の官能基を含んでもよく、1つの種類の官能基は、半導体ナノ結晶の表面と配位することができ、他の種類の官能基は、ゾルゲルケイ酸塩サウンディングとの相溶性を促進することができるものである。好適な配位子の例としては、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール4−メルカプトブタノール、5−メルカプトペンタノール、6−メルカプトヘキサノール、7−メルカプトヘプタノール、8−メルカプトオクタノール、9−メルカプトノナノール、10−メルカプトデカノール、11−メルカプト−1−ウンデカノール、18−メルカプトオクタデカノール、2−メルカプト−酢酸、3−メルカプト−プロパン酸、4−メルカプトブタノール、5−メルカプトペンタン酸、6−メルカプトヘキサン酸、7−メルカプトヘプタン酸、8−メルカプトオクタン酸、9−メルカプトノナン酸、10−メルカプトデカン酸、11−メルカプト−1−ウンデカン酸、18−メルカプトオクタデカン酸、1−(3−メルカプトプロピル)−シラントリオール、3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンチオール、6−(トリメトキシシリル)−1−ヘキサンチオール、10−(トリメトキシシリル)−1−デカンチオール、18−(トリメトキシシリル)−1−オクタデカンチオール、6−アミノ−1−ヘキサンチオール、6−(トリメトキシシリル)−ヘキサン酸、7−(トリメトキシシリル)−ヘプタン酸、8−(トリメトキシシリル)−オクタン酸、9−(トリメトキシシリル)−ノナン酸、10−(トリメトキシシリル)−デカン酸、11−(トリメトキシシリル)−1−ウンデカン酸、18−(トリメトキシシリル)−オクタデカン酸、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
複合体の調製方法において、ゾルゲルケイ酸塩と半導体ナノ結晶の混合中に、半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体の最終性能を改善させるために、1つまたは2つ以上の化学的または物理的添加剤を添加することができる。添加剤は、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)誘導体、6−メルカプトヘキサノール、10−メルカプトデカノール、11−メルカプト−1−ウンデカノール、またはこれらの混合物などの、半導体ナノ結晶とゾルゲルケイ酸塩との間の相溶性を改善するであろう化合物であり得る。添加剤はまた、複合体形成プロセスが半導体ナノ結晶の物理的または化学的特性に影響を与えないか、または影響を最小レベルに制限するように、半導体ナノ結晶の表面を保護するであろう化合物であり得る。添加剤は更に、複合体の安定性、例えば光安定性を改善するであろう化合物であってもよい。添加剤の投入量は、複合体の重量に基づいて、0〜10重量%、0〜8重量%、または0.01重量%〜5重量%の量であり得る。
【0046】
本発明の半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体は、複合体の総重量に基づいて、0.01重量%〜50重量%、0.1重量%〜25重量%、または0.1重量%〜10重量%の半導体ナノ結晶を含み得る。重量パーセントは、ゾルゲルケイ酸塩が半導体ナノ結晶を効果的に取り囲んで保護し、これにより半導体ナノ結晶の安定性を増加させることができるようなものであろう。例えば、本複合体は、以下の実施例に記載の試験方法に従って、外気中で同じ時間に保存後のより高いQY保持によって示すことができる、半導体ナノ結晶よりも良好な保存安定性を有する。重量パーセントはまた、応用分野に応じて調整されてもよい。
【0047】
本発明の複合体の調製方法は、その他の特性を維持しながら、酸素、水分、ならびに酸、塩基、及びフリーラジカルなどの有害な化学物質に対する安定性を含む半導体ナノ結晶の安定性の改善につながる。好ましくは、得られた半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体は、半導体ナノ結晶の初期QYの>60%、初期QYの70%以上、または更には初期QYの80%以上を維持する。本方法はまた、異なる種類の半導体結晶、例えばIII−V族型QDにも適用可能である。
【0048】
本発明の方法のステップ(iii)から得られる結果として生じた半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体は、粉砕され、マイクロサイズまたはナノサイズの半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体を提供してもよい。粉砕方法及び粉砕デバイスは、当業者によって選択されてもよい。粉砕デバイスは、単純に乳鉢と乳棒であるか、または自動乳鉢粉砕器であってもよい。粉砕時間、温度及び圧力は、ゾルゲルケイ酸塩複合体及び目標の複合体サイズに応じて調整することができる。粉砕は、外気中または不活性雰囲気下で行うことができる。理論によって拘束されることを望むものではないが、半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体の主として無機的な性質は、所望のサイズを達成するために、低温ミリングなどの高価なミリング方法を必要としないであろうと考えられる。また、低温ミリングプロセス中に導入された化学物質または無機粉末による複合体の汚染を回避することも補助するであろう。
【0049】
得られたマイクロサイズ化またはナノサイズ化半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体は、200マイクロメートル以下、100マイクロメートル以下、50マイクロメートル以下、または 20マイクロメートル以下の粒径を有し得る。マイクロサイズ化またはナノサイズ化された複合体のサイズは、走査型透過電子顕微鏡(SEM)によって決定され得る。マイクロサイズ化またはナノサイズ化された複合体は、望ましくない大きなサイズの粒子を除去するためにふるいを通して更にふるい分けされてもよい。このふるいは、50マイクロメートル以下、20マイクロメートル以下、または10マイクロメートル以下のメッシュサイズを有し得る。
【0050】
本発明の半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体は、粉砕前または後に、ホスト材料中に更に埋め込まれて、色変換素子を提供することができる。ホスト材料は、本質的に、有機、無機またはハイブリッドであり得る。好ましくは、ホスト材料は、紫外(UV)及び/または可視光を通し、特に420〜700nmの全範囲で通す。一実施形態では、ホスト材料は、例えば、ポリスチレン、ポリアクリレート酸、ポリアクリレート酸塩、ポリアクリレートなどのアクリルポリマー、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンナフタレートまたはポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、シリコーンポリマー、エポキシ樹脂、アルキド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセタール、酢酸酪酸セルロース、ポリジメチルシロキサンなどのシロキサンポリマー、またはこれらの混合物から選択される1つ以上の材料を含んでもよい。別の実施形態では、ホスト材料は、例えば、セラミックス、ガラス、ポリシルセスキオキサン、及びケイ酸塩から選択される無機材料を含んでもよい。任意選択で、ホスト材料は、半導体ナノ結晶または他の種類の発光材料であり得る発光材料などの、目的とする応用分野に望ましい機能を有する追加の材料を含んでもよい。任意選択で、ホスト材料は、1つまたは2つ以上の添加剤を更に含んでもよい。好適な添加剤の例としては、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、無機充填剤粒子、有機充填剤粒子、またはこれらの混合物が挙げられる。これらの添加剤の投入量は、複合体の重量に基づいて、0〜10重量%、0〜8重量%、または0.01重量%〜5重量%の量であり得る。
【0051】
本発明はまた、半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体と、上記のホスト材料とを含むフィルムも提供し、複合体はホスト材料中に分散されている。
【0052】
本発明はまた、本発明の半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体を含む電子デバイスも提供する。本発明の電子デバイスは、有機電子デバイスであっても無機電子デバイスであってもよい。電子デバイスは、液晶ディスプレイデバイス、有機発光デバイス、及び無機発光デバイスから選択され得る。本発明の電子デバイスは、発光装置を含むことができ、発光装置は、任意に、上記のようにホスト材料中に埋め込まれた半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体を含む層を含む。
【0053】
本発明はまた、本発明の半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体を含む層を含む発光装置も提供する。発光装置中の複合体を含む層は、上記の1つ以上のホスト材料によって形成されたフィルム内に埋め込まれてもよい。発光装置は、水または酸素分子の輸送を実質的に排除するバリア層を更に含んでもよい。
【0054】
本発明はまた、上記の発光装置を含む表示装置用バックライトユニットも提供する。一実施形態では、表示装置は液晶材料を更に含み得る。別の実施形態では、表示装置は、有機発光ダイオード(OLED)物質を更に含む。更なる別の実施形態では、表示装置は、カラーフィルタ材料を更に含み得る。好ましくは、表示装置は、カラーフィルタアレイ、液晶、偏光フィルム、及びバックライトユニットを含み、このバックライトユニットは、本発明の半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体の層を含む。
【実施例】
【0055】
本発明のいくつかの実施形態は、以下の実施例において記載され、ここで、全ての部及びパーセンテージは、別途記載のない限り重量による。実施例では以下の材料が使用される:
【0056】
[表1−1]
【0057】
[表1−2]
【0058】
以下の標準的な分析装置及び方法を実施例で使用する:
GPC実験(連続真空脱気を有するAgilent1200 Isoポンプ、Agilent屈折率検出器)を実施して。ゾルゲルケイ酸塩の分子量を測定した。データを取得し、Agilent Chemstation(バージョンB 02.01−SR1)及びAgilent GPC−Addonソフトウェア(Rev.B01.01)を使用して処理した。検量線は、三次多項式適応度を用いる316,500〜580g/molの範囲の分子量を有するPLポリスチレンナロースタンダード(部品番号210−0101)であった。移動相溶媒は、テトラヒドロフランであった。流速は、1.0mL/分であって、カラム温度は40℃であった。
【0059】
pH値を、METTER TOLEDO SevenGo pHメーターによって試験した。
【0060】
ゾルゲルケイ酸塩の固形分を、溶液を110℃の真空オーブン内で1.5時間硬化することによって測定した。硬化後、得られたケイ酸塩を秤量し、これを初期溶液重量で割って、固形分を得た。
【0061】
走査透過型電子顕微鏡(STEM、Nova(商標)NanoSEM630)を用いて、粉砕後の半導体ナノ結晶−ケイ酸塩複合体の粒径を決定した。
【0062】
QDの溶液吸収及び発光スペクトルは、それぞれUV−VIS−NIR分光光度計(SHIMADZU UV3600)及び分光蛍光計(HORIBA FluoroMax−4)によって特徴付けられた。
【0063】
溶液量子収率を、溶液中のフォトルミネッセンス量子収率測定法についての基準に従って記録した(IUPAC technical report,Pure Appl.Chem.,83(12),2213−2228,2011)。参照系は、エタノール中のローダミン6G(QY=95%)及びエタノール中の4,4−ジフルオロ−1,3,5,7,8−ペンチメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(QY=99%)であった。
【0064】
固体状態量子収率は、分光蛍光計(HORIBA FluoroMax−4)の積分球(QUANTA−PHI)によって測定した。
【0065】
試料の保存安定性を、ある特定の日数の間外気中で保存した後のQY保持によって評価した。より高いQY保持は、より良好な保存安定性を示唆する。
【0066】
InP/ZnSeS QDの合成
全ての化学物質を脱気し、アルゴン(Ar)下で、グローブボックス内で保管した。3つ口フラスコに、ミリチン酸を(0.12g、0.52mmol)、ウンデシレン酸亜鉛(0.132g、0.36mmol)、及び7mLの1−オクタデセン(ODE)を添加した。次いで、反応フラスコをポンピングし、Arで3回パージし、Arの過圧力の状態で310℃まで加熱した。トリメチルインジウム(0.024g、0.15mmol)、オレアミン(0.1mmol)、及び2mLのODEをすぐさまフラスコに注入した。結果として生じた混合物を、270℃で6分間撹拌し、次いで室温に冷却した。次いで、フラスコをグローブボックスに移した。
【0067】
酢酸亜鉛(0.069g、0.376mmol)を、グローブボックス内のフラスコに添加した。混合物を、240℃で2.5時間撹拌し、次いで温度を230℃に設定した。Se(30mg、0.38mmol)及びトリ−n−ブチルホスフィン(200μL)を5mLのODE中に溶解することによって調製したTBPSe溶液を、次いで、激しく撹拌しながら滴加した。添加後、反応混合物を230℃で10分間維持し、次いで温度を280℃まで上昇させた。64mgのイオウを2mLのトリオクチルホスフィン(TOP)中に溶解させることによって調製したTOPS溶液2mL、及び30mmolの酢酸亜鉛を19mLのオレイン酸と、41mLのODE中で反応させることによって調製したオレイン酸亜鉛4mLを、次いで滴加した。反応を、280℃で更に20分続けて、その後、300℃まで昇温させた。この温度で、TOPS溶液(3mL)及びオレイン酸亜鉛(6mL)を滴加して、追加のシェルを形成させた。結果として生じた混合物を、300℃で1時間保ち、次いで室温に冷却した。調製されたQD溶液を、グローブボックスに移した。非溶媒アセトンを添加し、遠心分離を行った。上清を廃棄し、沈殿物をトルエン中に更に溶解させて、続いて非溶媒エタノールを添加し、遠心分離を行った。トルエン−エタノールプロセスを、更に2回繰り返した。沈殿物を、トルエン中に最終的に溶解させ、InP/ZnSeS QD溶液を提供した。
【0068】
配位子交換InP/ZnSeS QDの合成
配位子交換InP/ZnSeS QD(a):グローブボックス中に、160mgの6−メルカプトヘキサン−1−オールと共に2.5mLの無水エタノール及び2.5mLの無水クロロホルムを25mLのガラス瓶に添加して均質な溶液を形成し、続いて、上記で得た0.5mLのInP/ZnSeS QD溶液を添加した。混合物を3時間超音波処理し、続いてヘキサンを添加して、配位子交換QDを沈殿させる。遠心分離後、得られた配位子交換QDを無水エタノール中に溶解した。
【0069】
配位子交換InP/ZnSeS QD(b):グローブボックス中に、180mgの11−メルカプト−1−ウンデカノールと共に2.5mLの無水エタノール及び2.5mLの無水クロロホルムを、25mLのガラス瓶に添加して均質な溶液を形成し、続いて、上記で得た0.5mLのInP/ZnSeS QD溶液を添加した。混合物を3時間超音波処理し、続いてヘキサンを添加して、配位子交換QDを沈殿させた。遠心分離後、得られた配位子交換QDを無水エタノール中に溶解した。
【0070】
実施例(Ex)1
ゾルゲルケイ酸塩1溶液の調製
テトラエトキシシラン(TEOS、56.16g、0.27mol)及び1−ナフタリトリメトキシシリケート(NaphTMS、7.44g、0.03mol)を、PGMEA(200mL)中に溶解した。この溶液に、酢酸/H
2O(21g中3.96g)を室温で滴加した。完全に添加した後、混合物を、Dean−Stark装置を用いて、100℃の油浴中で加熱して、得られたアルコールを蒸留で取り除いた。5時間の反応後、反応混合物を冷却した。次いで、100mLのPGMEAを添加して、反応物をクエンチした。AMBERJET 4200OHを用いて、結果として生じた溶液をpH≧6に中和した。次いで、得られたゾルゲルケイ酸塩1溶液を、更なる使用のために−20℃で保管した。
【0071】
QD−ケイ酸塩1複合体の調製
上記で得られたInP/ZnSeS QD溶液1mLを、ゾルゲルケイ酸塩−1溶液(8g、PGMEA中、7重量%の固形分)と室温で混合した。溶液混合物を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)型またはアルミニウムトレイ中に注ぎ、100℃の真空オーブン中で30分間乾燥させて、QD−ケイ酸塩1複合体を得た。QD−ケイ酸塩1複合体の発光特性を、表1にまとめる。
【0072】
実施例2
ゾルゲルケイ酸塩2(a)溶液の調製
テトラエトキシシラン(TEOS、21.84g、105mmol)、ナフチルトリメトキシシリケート(NapTMS、5.58g、22.5mmol)、及び3−メルカプトプロピルトリメチルシラン(HS−TMS、4.41g、22.5mmol)をPGMEA(100mL)中に溶解した。この溶液に、酢酸/H
2O(10g中1.88g)を室温で滴加した。完全に添加した後、混合物を、Dean−Stark装置を用いて、100℃の油浴中で加熱して、得られたアルコールを蒸留して取り除いた。5時間の反応後、反応系を冷却した。次いで、50mLのPGMEAを添加して、反応物をクエンチした。AMBERJET 4200OHを用いて、結果として生じた溶液をpH≧5に中和した。得られたゾルゲルケイ酸塩2(a)溶液を、更なる使用のために−20℃で保管した。
【0073】
ゾルゲルケイ酸塩2(b)溶液の調製
実験手順は、溶媒が1:1体積比のPGMEA:ブタノールであることを除いては、上記ゾルゲルケイ酸塩2(a)溶液の調製と実質的に同じであった。
【0074】
ゾルゲルケイ酸塩2(c)溶液の調製
実験手順は、溶媒が1:1体積比のキシレン:ブタノールであることを除いては、上記ゾルゲルケイ酸塩2(a)溶液の調製と実質的に同じであった。
【0075】
ゾルゲルケイ酸塩2(d)溶液の調製
実験手順は、溶媒が2:3体積比のキシレン:ブタノールであることを除いては、ゾルゲルケイ酸塩2(a)の調製と実質的に同じであった。
【0076】
実施例2(a):QD−ケイ酸塩2(a)複合体の調製
上記で得られたInP/ZnSeS QD溶液1mLを、ゾルゲルケイ酸塩2(a)溶液と室温で混合した。溶液混合物を、PTFE型またはアルミニウムトレイ中に注ぎ、100℃の真空オーブン中で30分間乾燥させて、QD−ケイ酸塩2(a)複合体を得た。
【0077】
実施例2(b):QD−ケイ酸塩2(b)複合体の調製
上記で得られたInP/ZnSeS QD溶液1mLを、ゾルゲルケイ酸塩2(b)溶液と室温で混合した。溶液混合物を、PTFE型またはアルミニウムトレイ中に注ぎ、100℃の真空オーブン中で30分間乾燥させて、QD−ケイ酸塩2(b)複合体を得た。得られた複合体の発光特性及びQY保持を、それぞれ表2及び3にまとめる。
【0078】
実施例2(b)−LE:配位子交換QD(a)−ケイ酸塩2(b)複合体の調製
上記で得られた配位子交換InP/ZnSeS QD溶液1mLを、ゾルゲルケイ酸塩2(b)溶液と室温で混合した。溶液混合物を、PTFE型またはアルミニウムトレイ中に注ぎ、100℃の真空オーブン中で30分間乾燥させて、配位子交換QD(a)−ケイ酸塩2(b)複合体を得た。得られた複合体の発光特性を、表2にまとめる。
【0079】
実施例2(c):QD−ケイ酸塩2(c)複合体の調製
上記で得られたInP/ZnSeS QD溶液1mLを、ゾルゲルケイ酸塩2(c)溶液と室温で混合した。溶液混合物を、PTFE型またはアルミニウムトレイ中に注ぎ、100℃の真空オーブン中で30分間乾燥させて、QD−ケイ酸塩2(c)複合体を得た。
【0080】
実施例2(d):QD−ケイ酸塩2(d)複合体の調製
上記で得られたInP/ZnSeS QD溶液1mLを、ゾルゲルケイ酸塩2(d)溶液と室温で混合した。溶液混合物を、PTFE型またはアルミニウムトレイ中に注ぎ、100℃の真空オーブン中で30分間乾燥させて、QD−ケイ酸塩2(d)複合体を得た。
【0081】
実施例3
ゾルゲルケイ酸塩3溶液の調製
TEOS(21.84g、105mmol)及びフェニルトリメトキシシリケート(PhTMS)(4.46g、22.5mmol)、及びHS−TMS(4.41g、22.5mmol)をPGMEA(100mL)中に溶解した。この溶液に、酢酸/H
2O(10g中1.88g)を室温で滴加した。完全に添加した後、混合物を、Dean−Stark装置を用いて、100℃の油浴中で加熱し、得られたアルコールをDean−Stark装置を用いて蒸留してアルコールを取り除いた。5時間の反応後、反応系を冷却した。AMBERJET 4200OHを用いて、結果として生じた溶液をpH≧5に中和した。得られたゾルゲルケイ酸塩3溶液を、更なる使用のために−20℃で保管した。
【0082】
QD−ケイ酸塩3複合体の調製
上記で得られたInP/ZnSeS QD溶液1mLを、ゾルゲルケイ酸塩3溶液(8g、PGMEA中、11重量%の固形分)と室温で混合した。溶液混合物を、PTFE型またはアルミニウムトレイ中に注ぎ、100℃の真空オーブン中で30分間乾燥させて、QD−ケイ酸塩3複合体を得た。得られた複合体の発光特性を、表1にまとめる。
【0083】
実施例4
ゾルゲルケイ酸塩4溶液の調製
n−C
18H
37Si(OMe)
3(3.75g、0.01mmol)及びTEOS(6.24g、0.03mmol)をPGMEA(25mL)中に溶解した。この溶液に、AcOH/H
2O(2.7g中0.50g)を室温で滴加した。完全に添加した後、混合物を、Dean−Stark装置を用いて、105°Cの油浴中で加熱し、得られたアルコールをDean−Stark装置を用いて蒸留してアルコールを取り除いた。4時間の反応後、反応混合物を室温まで冷却した。50mLのPGMEAを添加した。遠心分離後に白色固形物を得た.これらの固形物を、100mLの乾燥トルエン中に更に溶解した。AMBERJET 4200OH樹脂(4g)を用いて、ゾルゲルケイ酸塩溶液をpH≧6に中和した。得られたゾルゲルケイ酸塩4溶液を、更なる使用のために−20℃で保管した。
【0084】
QD−ケイ酸塩4複合体の調製
上記で得られたInP/ZnSeS QD溶液1mLを、ゾルゲルケイ酸塩4溶液(5g、PGMEA中、3重量%の固形分)と室温で混合した。溶液混合物を、PTFE型またはアルミニウムトレイ中に注ぎ、100℃の真空オーブン中で30分間乾燥させて、QD−ケイ酸塩4複合体を得た。
【0085】
実施例5
ゾルゲルケイ酸塩5溶液の調製
TEOS(20.8g、99.84mmol)及びHS−TMS(4.9g、24.96mmol)をn−ブタノール(17.5g)中に溶解した。1.25gの0.1M HCl及び6.2gのH
2Oを一緒に混合し、次いで、この溶液に室温で滴加した。完全に添加した後、混合物を70℃の油浴中で加熱した。6〜8時間後の反応後、加熱を停止し、反応系が冷却されるまで撹拌を続けた。次いで、17.5gのブタノールを反応混合物に添加した。結果として生じた溶液を、弱アルカリ性陰イオン交換器によって(DOWEX MS77)によって濾過し、HClを除去して、pH≧6を得た。
【0086】
実施例5(a):QD−ケイ酸塩5複合体の調製
InP/ZnSeS QD溶液1mLを、5gのゾルゲルケイ酸塩5溶液(固形分:6.7重量%)と室温で混合した。溶液混合物を、PTFE型またはアルミニウムトレイ中に注ぎ、100℃の真空オーブン中で30分間乾燥させて、このQD−ケイ酸塩5複合体を得た。得られた複合体の発光特性を、表2にまとめる。
【0087】
実施例5(b):配位子交換QD(a)−ケイ酸塩5複合体の調製
配位子交換InP/ZnSeS QD溶液1mLを、5gのゾルゲルケイ酸塩5溶液(固形分:6.7重量%)と室温で混合した。溶液混合物を、PTFE型またはアルミニウムトレイ中に注ぎ、100℃の真空オーブン中で30分間乾燥させて、配位子交換QD(a)−ケイ酸塩5複合体を得た。得られた複合体の発光特性を、表2にまとめる。
【0088】
実施例6:QD−ケイ酸塩1複合体PMMAフィルムの調製
300mgの実施例1の複合体を、この複合体粒子の大部分のサイズが20μm未満に低減するまで、外気中室温で乳棒と乳鉢で粉砕した。次いで、これを3gのPMMA溶液(PGMEA中30重量%)と混合して、均質スラリーを形成し、次いで、このスラリーを、自動ギャップコートを介して、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にコーティングした。次いで、このフィルムを真空オーブンで60℃で3時間乾燥させて、PGMEA溶媒を蒸発させた。QY保持曲線を、
図1にまとめる。
【0089】
実施例7:QD−ケイ酸塩3複合体PMMAフィルムの調製
300mgの実施例3の複合体を、この複合体粒子の大部分のサイズが20μm未満に低減するまで、外気中室温で乳棒と乳鉢で粉砕した。次いで、これを3gのPMMA溶液(PGMEA中30重量%)と混合して、均質スラリーを形成し、次いで、このスラリーを、自動ギャップコートを介して、PETフィルム上にコーティングした。次いで、このフィルムを真空オーブンで60℃で3時間乾燥させて、PGMEA溶媒を蒸発させた。QY保持曲線を、
図1にまとめる。
【0090】
比較(Comp)実施例A
上記で得られたInP/ZnSeS QD溶液1mLを、3gのPMMA溶液(PGMEA中30重量%)と混合して、均質スラリーを形成し、次いで、このスラリーを、自動ギャップコートを介して、PETフィルム上にコーティングした。次いで、このフィルムを真空オーブンで60℃で3時間乾燥させて、PGMEA溶媒を蒸発させた。QY保持曲線を、
図1にまとめる。
【0091】
比較実施例B
QD−ケイ酸塩複合体をその場で形成するために、上記で得られたInP/ZnSeS QD溶液を、エタノール中、TEOSと3−メルカプトプロピルシランとの混合物と室温で混合し、次いで、触媒が酸である場合、反応混合物のpH値を約2〜4に調整するために、または触媒が塩基である場合、約9〜11に調整するために、触媒を添加した。ギ酸、酢酸、p−トルエンスルフリン酸、塩酸、オレイン酸、アンモニア水溶液、トリエタノールアミン、セチルアミン、及びトリメチルアミンを含む一連の触媒をスクリーニングして、QDの発光特性に対するそれらの影響を研究した。全ての場合で、得られたQDからの蛍光を、ゾルゲル反応の最初の6時間以内にクエンチした。
【0092】
表1は、実施例1及び3の固体状態QD−ケイ酸塩複合体の発光特性及び溶液QD(対照C)の発光特性を提供する。全ての試料を、InP/ZnSeS QDと同じバッチを使用して調製した。表1に示されるように、実施例1及び3の複合体は、QD(対照C)の初期QYの61%超を維持した。
【表1】
【0093】
表2は、溶液QD(対照D)と比較した、実施例2(b)、2(b)−LE、5(a)及び5(b)の固体状態QD−ケイ酸塩複合体の発光特性を提供する。全ての試料を、InP/ZnSeS QDと同じバッチを使用して調製した。表2に示されるように、本発明の複合体は、QD(対照D)の初期QYの81%超を維持した。
【0094】
【表2】
【0095】
表3は、配位子交換QD(a)−ケイ酸塩2(b)複合体のQY保持及び比較実施例Aの複合体のものを提供する。全ての試料を、InP/ZnSeS QDと同じバッチを使用して調製し、この場合、両試料は、外気中に放置した。表3に示されるように、配位子交換QD(a)−ケイ酸塩2(b)複合体(実施例2(b)−LE)を含むフィルムについての18日後のQY保持は、比較例Aのものよりも著しく高く、このことは、本発明の複合体が、比較例Aよりも良好な安定性を有することを示している。
【0096】
【表3】
【0097】
図1は、PMMAフィルム中のQD−ケイ酸塩1複合体(実施例6)及びPMMAフィルム中のQD−ケイ酸塩3複合体(実施例7)についてのQY保持を比較実施例Aのものと比較して提供しており、ここでは、全ての試料をInP/ZnSeS QDと同じバッチを使用して調製した。
図1に示されるように、実施例6及び7の複合体を含むフィルムは、外気中に放置される場合、比較例Aの複合体を含むフィルムよりも高いQY保持を示しており、このことは、実施例6及び7がより良好な安定性を提供することを示している。