【実施例】
【0037】
以下、本開示に係る実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を限定するものではない。例えば、以下の実施例で例示する化合物の合成方法、精製方法及び結晶化方法は、本発明の結晶を得るための方法の例示であり、本発明の結晶が以下に開示する合成方法、精製方法及び結晶化方法によってのみ得られた結晶に限定されるものではない。
【0038】
実施例の結晶に係る化合物及び合成の際に単離された新規化合物の構造は、
1H−NMR又はLC/MS(液体クロマトグラフ/質量分析計)を用いる質量分析法により確認した。
【0039】
1H−NMRについては、JEOL JNM−ECZ400S(400MHz)を用いた。溶媒がCDCl
3の場合はテトラメチルシラン(0.0ppm)を、DMSO−d6の場合はジメチルスルホキシドのピーク(2.49ppm)を標準ピークとして用いた。
1H−NMRスペクトル(400MHz、DMSO−d
6、CD
3OD、またはCDCl
3)については、その化学シフト(δ:ppm)およびカップリング定数(J:Hz)を示す。なお、以下の略号はそれぞれ次のものを表す。s=singlet、d=doublet、t=triplet、q=quartet、brs=broad singlet、m=multiplet。
【0040】
LC/MSの結果については、各化合物の[M+H]
+の値(分子量実測値(Obs. MS):すなわち化合物の分子質量[M]にプロトン[H]
+が付加した実測値)を示す。
【0041】
実施例に係る結晶の粉末X線回折スペクトルは、以下の条件で測定した。
装置:ブルカー・エイエックスエス製 D8 DISCOVER With GADDS CS、 線源:Cu・Kα、 波長:1.541838(10
−10m)、管電圧−管電流:40kv−40mA、入射側平板グラファイトモノクロメータ、コリメータφ300μm、2次元PSPC検出器、スキャン3〜40°
【0042】
実施例に係る視差走査熱量は、以下の条件で測定した。
装置:パーキンエルマー製DSC8000、昇温速度:毎分10℃、雰囲気:窒素、サンプルパン:アルミニウム、サンプリング:0.1秒、測定温度範囲:25〜300℃
【0043】
実施例に係る赤外吸収スペクトル(KBr法)は、日本薬局方の一般試験法に記載された赤外吸収スペクトル測定法の臭化カリウム錠剤法に従い、以下の条件で測定した。
装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック製 AVATAR320 Nicolet iS5、測定範囲:4000〜400cm
−1、分解能:4cm
−1、積算回数:16
【0044】
実施例に係る固体NMRスペクトルは、以下の条件で測定した。
装置:ブルカー製 DSX300WB、測定核:13C及び15N、パルス繰り返し時間:5秒、パルスモード:CP/MAS測定
【0045】
[実施例1]
本実施例では、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オン(化合物(a))のD晶について説明する。
まず、化合物(a)の合成方法について説明する。
【0046】
<化合物(a)−1の合成>
以下の化合物(a)−1で示されるメチル 5−ブロモ−2−メチルチオピリミジン−4−カルボキシレートの合成を行った。
【0047】
【化2】
【0048】
5−ブロモ−2−(メチルチオ)ピリミジン−4−カルボン酸(110g、0.44mol)のメタノール溶液(1.1L)を撹拌しながら0℃に冷却し、塩化チオニル(50mL、0.66mol)を滴下した。反応溶液をゆっくりと加熱し、加熱還流下で4時間反応させた。反応の完結をLC/MSとTLCで確認し、反応溶液を室温で冷却した。揮発成分を減圧下で留去し、残渣を酢酸エチル(1L)に溶解させ、10%炭酸ナトリウム水溶液(200mL)で3回、飽和食塩水(200mL)で2回洗浄し、得られた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、固体を濾別した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物(88g、75%)を得た。
【0049】
<化合物(a)−2の合成>
以下の化合物(a)−2で示される5−ブロモ−2−メチルチオピリミジン−4−カルバルデヒドの合成を行った。
【0050】
【化3】
【0051】
化合物(a)−1(25g、95mmol)のTHF(テトラヒドロフラン)溶液(375mL)を窒素雰囲気下で−78℃に冷却し、撹拌した。この溶液に水素化ジイソブチルアルミニウム(84mL、143mmol、1.7Mトルエン溶液)を滴下し、−78℃で4時間撹拌し、反応の完結をTLCで確認後、−78℃でメタノールを滴下して反応を停止させ、反応溶液をゆっくりと0℃まで昇温させた。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、セライトを通して吸引濾過した。濾液を飽和食塩水(200mL)で2回洗浄し、得られた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、固体を濾別した。濾液を濃縮することで、表題化合物(25g、粗体)を得た。この粗体は更に精製することなく次の反応に用いた。
【0052】
<化合物(a)−3の合成>
以下の化合物(a)−3で示される(R)−3−(4−ホルミル−2−メチルチオピリミジン−5−イル)−1−メチル−2−プロピニル ベンゾエートの合成を行った。
【0053】
【化4】
【0054】
PdCl
2(PPh
3)
2Cl
2(7.832g、11.2mmol)、ヨウ化銅(2.12g、11.2mmol)との1,4−ジオキサン溶液(60ml)を脱気およびアルゴン置換し、ジイソプロピルエチルアミン(25.29mL、145.1mmol)を室温で添加した。この反応溶液を室温で5分間撹拌し、化合物(a)−2と(5−ブロモ−2−メチルチオピリミジン−4−イル)メトキシメタノールの混合物(26.0g、粗体)の1,4−ジオキサン溶液(50mL)を室温にて添加した後、(R)−1−メチループロパルギルベンゾエート(23.3g、133.9mmol)の1,4−ジオキサン溶液(55mL)をゆっくりと滴下し、反応溶液を室温で16時間撹拌した。反応の進行をLC/MSで追跡し、反応が完結したら、反応混合物を酢酸エチル(400mL)で希釈し、セライトを通して吸引濾過し、セライトを酢酸エチルで洗浄した。得られた濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗体をそのまま次の反応に使用した。
なお、化合物(a)−2と(5−ブロモ−2−メチルチオピリミジン−4−イル)メトキシメタノールの混合物の合成については、参考例1に記載する。
【0055】
(参考例1)
化合物(a)−2と(5−ブロモ−2−メチルチオピリミジン−4−イル)メトキシメタノールの混合物の合成
【0056】
【化5】
【0057】
化合物(a)−2(25g、95mmol)のTHF溶液(375mL)を窒素雰囲気下で−78℃に冷却し、撹拌した。この溶液にジイソブチルアルミニウムヒドリド(84mL、143mmol、1.7Mトルエン溶液)を滴下し、−78℃で4時間撹拌し、反応の完結をTLCで確認後、−78℃でメタノールを滴下して反応を停止させ、反応溶液をゆっくりと0℃まで昇温させた。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、セライトを通して吸引濾過した。濾液を飽和食塩水(200mL)で2回洗浄し、得られた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、固体を濾別した。濾液を濃縮することで、表題化合物の混合物(25g、粗体)を得た。この粗体は更に精製することなく次の反応に用いた。
【0058】
<化合物(a)−4の合成>
以下の化合物(a)−4で示される(R)−6−(1−(ベンゾイルオキシ)エチル)−2−(メチルチオ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−オキシドの合成を行った。
【0059】
【化6】
【0060】
化合物(a)−3(26.0g、79.8mmol)のエタノール溶液(260ml)にヒドロキシアミン・一塩酸塩(8.31g、119.6mmol)および酢酸ナトリウム(9.81g、119.6mmol)を室温にて加え、室温にて16時間撹拌した。この反応溶液にエタノール(250ml)を追加し、さらに室温にて炭酸カリウム(27.5g、199.4mmol)を室温にて加えた後、50℃で3時間撹拌した。反応の進行をLC/MSで追跡し、反応が完結したら、反応混合物をセライトを通して吸引濾過し、セライトを酢酸エチル(1.0L)および少量のメタノールで洗浄した。得られた濾液を減圧下で濃縮し、得られた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、固体を濾別した。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題の化合物(a)−4(13.0g、48%)を得た。
【0061】
化合物(a)−4の
1H−NMRスペクトルは次の通りであった。
1H−NMR(CDCl
3)δ:9.04(1H,s),8.79(1H,s),8.14(2H,d,J=7.5Hz),7.77−7.40(4H,m),6.66(1H,q,J=6.3Hz),2.65(3H,s),1.79(3H,d,J=6.6Hz)
【0062】
<化合物(a)−5の合成>
以下の化合物(a)−5で示される(R)−1−(8−クロロ−2−(メチルチオ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−6−イル)エチル ベンゾエート の合成を行った。
【0063】
【化7】
【0064】
化合物(a)−4(8.0g、23.5mmol)のジクロロメタン溶液(130ml)に塩化チオニル(51ml、704mmol)を窒素雰囲気下で0℃にて滴下し、反応溶液を室温にて16時間撹拌した。反応の進行をTLC(薄層クロマトグラフィー)で追跡し、反応が完結したら反応溶液を減圧下で濃縮し、得られた有機相をアルミナカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(a)−5(3.2g、37%)を得た。
【0065】
化合物(a)−5の
1H−NMRの結果は次の通りであった。
1H−NMR(CDCl
3)δ:9.19(1H,s),8.16−8.12(2H,m),7.68(1H,s),7.64−7.58(1H,m),7.53−7.46(2H,m), 6.27(1H,q,J=6.8Hz),2.74(3H,s),1.81(3H,d,J=6.4Hz)
【0066】
<化合物(a)−6>
以下の化合物(a)−6で示される(R)−1−(8−(イソプロピルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−6−イル)エチル ベンゾエートの合成
【0067】
【化8】
【0068】
化合物(a)−5(3.06g、8.5mmol)とイソプロピルアミン(18mL)の混合物を80℃で1時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。反応溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去して得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、表題の化合物(a)−6(1.78g、収率55%)を得た。
【0069】
得られた化合物(a)−6の
1H−NMRの結果は次の通りであった。
1H−NMR(DMSO−d
6) δ:9.28(1H,s),8.08(2H,d,J=7.4Hz),7.70(1H,t,J=7.4Hz),7.57(2H,t,J=7.7Hz),7.05(1H,d,J=8.0Hz),6.99(1H,s),5.34(2H,s),4.32(1H,m),2.66(3H,s),1.25(6H,d,J=6.5Hz)
【0070】
<化合物(a)−7の合成>
以下の化合物(a)−7で示される(R)−1−(8−(イソプロピルアミノ)−2−(メチルスルホニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−6−イル)エチル ベンゾエートの合成を行った。
【0071】
【化9】
【0072】
化合物(a)−6(1.78g、4.7mmol)のテトラヒドロフラン(47ml)と水(47ml)の混合溶液に0℃でオキソン(ペルオキシ一硫酸カリウム)(5.72g、9.3mmol)を加え、室温にて18時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで抽出し、得られた有機相を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去して得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、表題の化合物(a)−7(1.61g、収率87%)を得た。
LC/MS:(M+H)
+=415.0
【0073】
<化合物(a)−8の合成>
以下の化合物(a)−8で示されるtert−ブチル 4−(6−ニトロピリジン−3−イル)−3−オキソピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。
【0074】
【化10】
【0075】
2−ニトロ−5−ブロモピリジン(1.01g、5.0mmol)、tert−ブチル 2−オキソ−4−ピペラジン−カルボキシレート(1.00g、5.0mmol)と炭酸セシウム(3.26g、10.0mmol)を1,4−ジオキサンに懸濁させ、30分間窒素ガスをバブリングさせた。この懸濁液に、Xantphos(4,5’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9’−ジメチルキサンテン)(246mg、0.43mmol)とトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(229mg、0.25mmol)を添加し、加熱還流下で2時間撹拌した。反応溶液を室温で冷却した後、水と酢酸エチルを加え、セライトを通してろ過した。濾液の有機相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出した。得られた有機相を混合し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させたのち、固体を濾別し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題の化合物(a)−8(1.08g、67%)を得た。
1H−NMR(CDCl
3)δ:8.67(1H,d,J=2.4Hz),8.32(1H,d,J=8.8Hz),8.15(1H,dd,J=8.8,2.4Hz),4.33(2H,s),3.93−3.83(4H,m),1.51(9H,s)
【0076】
<化合物(a)−9の合成>
以下の化合物(a)−9で示されるtert−ブチル 4−(6−アミノピリジン−3−イル)−3−オキソピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。
【0077】
【化11】
【0078】
化合物(a)−8(1.08g、3.34mmol)をエタノール(45mL)とTHF(22mL)に溶解させた。この溶液にパラジウム炭素(108mg)を加え、水素雰囲気下で24時間撹拌した。反応溶液をセライトを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して表題の化合物(a)−9(0.928g、95%)を得た。
1H−NMR(CDCl
3)δ:7.99(1H,d,J=2.4Hz),7.38(1H,dd,J=8.8,2.4Hz),6.53(1H,d,J=8.8Hz),4.50(2H,brs),4.24(2H,s),3.78(2H,t,J=5.1Hz),3.67(2H,t,J=5.4Hz),1.50(9H,s)
【0079】
<化合物(a)−10の合成>
以下の化合物(a)−10で示されるtert−ブチル (R)−4−(6−((6−(1−(ベンゾイロキシ)エチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)ピリジン−3−イル)−3−オキソピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。
【0080】
【化12】
【0081】
化合物(a)−7(62mg、0.15mmol)と化合物(a)−9(88mg、0.30mmol)をトルエン(0.375ml)中で6日間、100℃にて撹拌した。反応溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して表題化合物(0.0092g、10%)を得た。
1H−NMR (DMSO)δ:10.27(1H,s),9.27(1H,s),8.33(2H,m),8.07(2H,m),7.86(1H,m),7.70(1H,m),7.58(3H,m),7.00(1H,s),6.55(1H,d),5.98(1H,q),4.27(1H,m),4.11(2H,s),3.74(4H,m),1.68(3H,d),1.45(9H,s),1.30(6H,m)
【0082】
<化合物(a)の合成及び精製>
化合物(a)で示される1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンの合成を行った。
【0083】
【化13】
【0084】
化合物(a)−10(9.2mg、0.15mmol)のジクロロメタン溶液(0.35ml)にとりフルオロ酢酸(0.15ml)を室温にて加え、1時間撹拌した。反応溶液を濃縮乾固した後、テトラヒドロフラン(0.15ml)とメタノール(0.15ml)を加え、4M水酸化リチウム水溶液(0.018ml)加えた。反応溶液をギ酸にて中和した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して表題化合物を得た。
1H−NMR(DMSO)δ:10.16(1H,s),9.26(1H,s),8.31(1H,m),8.29(1H,s),7.81(1H,m),7.00(1H,s),6.42(1H,m),5.18(1H,d),4.63(1H,m),4.27(1H,m),3.65(2H,m),3.41(2H,s),3.05(2H,m),1.39(3H,d),1.30(6H,m)
【0085】
<化合物(a)のD晶の製造>
前述のシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製された化合物(a)の溶液を濃縮して飽和化し、結晶を析出させた。これにより、化合物(a)のD晶を得た。
【0086】
<化合物(a)のD晶の評価>
得られた結晶のXRDを
図1に示す。回折角2θ=6.3°、6.6°、11.6°、16.9°及び20.0°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは277℃であった。
得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を
図10に示す。波数703cm
−1、896cm
−1及び3418cm
−1にピークが観測された。
【0087】
得られた結晶の固体NMRスペクトル(
13C)を
図17−1(6500Hz)及び
図17−2(14000Hz)に示す。化学シフト136.0ppm、111.2ppm、105.1ppm、101.8ppm、52.7ppm、49.6ppm、42.9ppm、23.8ppm及び18.5ppmにピークが観測された。
得られた結晶の固体NMRスペクトル(
15N)を
図18に示す。化学シフト248.6ppm、245.7ppm、229.2ppm、214.5ppm、174.3ppm、86.5ppm、54.7ppm及び−12.4ppmにピークが観測された。
【0088】
[実施例2]
本実施例では、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オン(化合物(a))のA晶について説明する。
【0089】
<化合物(a)のA晶の製造>
化合物(a)のA晶は、実施例1で得られた化合物(a)のD晶を変換させて製造した。
具体的には、D晶をD晶の5〜50倍量のエタノールに懸濁させた後、反応溶液を6時間加熱撹拌し、次いで反応溶液を0℃で撹拌した後、析出物を濾取、乾燥して結晶を得た。
なお、溶媒量、加熱時間、撹拌条件、濾別までの時間は特に限定されないが、それらの条件が結晶の収率、化学純度、粒子径、粒度分布などに影響することがあるので、目的に応じて組み合わせて設定することが好ましい。濾取は通常の方法、例えば自然濾過、加圧濾過、減圧濾過、加熱乾燥、減圧加熱乾燥を用いることができる。
【0090】
<化合物(a)のA晶の評価>
得られた結晶のXRDを
図2に示す。回折角2θ=5.3°、7.3°、10.3°、15.1°及び17.4°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは277℃であった。
得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を
図11に示す。874cm
−1、1330cm
−1、及び3314cm
−1にピークが観測された。
得られた結晶の固体NMRスペクトル(
13C)を
図19−1(6500Hz)及び
図19−2(14000Hz)に示す。化学シフト154.7ppm、138.8ppm、133.6ppm、113.2pm、101.6ppm、100.4ppm、67.4ppm、51.8ppm、26.6ppm及び23.3ppmにピークが観測された。
得られた結晶の固体NMRスペクトル(
15N)を
図20に示す。化学シフト243.6ppm、86.7ppm、56.7ppm及び−12.4ppmにピークが観測された。
【0091】
[実施例3]
本実施例では、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オン(化合物(a))のB晶について説明する。
【0092】
<化合物(a)のB晶の製造>
実施例1におけるカラムクロマトグラフィーで使用した溶媒をジクロロメタン/メタノール=20/1に変えて精製された化合物(a)の溶液を濃縮して飽和化し、結晶を析出させた。これにより化合物(a)のB晶を得た。
【0093】
<化合物(a)のB晶の評価>
得られた結晶のXRDを
図6に示す。回折角2θ=5.3°、6.0°、6.7°、10.4°及び20.8°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは271℃であった。
【0094】
[実施例4]
<化合物(a)のC晶の製造>
化合物(a)のD晶(900mg)にジメチルスルホキシド(5.4mL)を加え、70℃に加熱した。得られた溶液を40℃に冷却した後、アセトニトリル(6.75mL)を加え15℃に冷却し、2時間撹拌した。得られた固体を濾過し、アセニトニトリル(2.5mL)で洗浄した後、40℃で減圧乾燥し、ジメチルスルホキシド和物である表題化合物(986mg、92%)を得た。
【0095】
<化合物(a)のC晶の評価>
得られた結晶のXRDを
図7に示す。回折角2θ=6.0 °、10.0°、13.7°、20.3°及び23.0°にピークが観測された。
示差走査熱量分析における吸熱ピークの補外開始点温度が100℃及び278℃であった。
得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を
図12に示す。波数840cm
−1、904cm
−1、955cm
−1、1490cm
−1、及び3281cm
−1にピークが観測された。
【0096】
[実施例5]
<化合物(a)のI晶の製造>
化合物(a)のA晶(500mg)に水(10mL)を加え、室温で4日間撹拌した。得られた固体を濾過し、30℃で減圧乾燥し、表題化合物(432mg、86%)を得た。
【0097】
<化合物(a)のI晶の評価>
得られた結晶のXRDを
図8に示す。回折角2θ=5.2°、7.2°、9.5°、14.5°、16.5°、20.9°、25.0°及び27.9°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは272℃であった。
得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を
図13に示す。波数1081cm
−1及び1260cm
−1にピークが観測された。
【0098】
[実施例6]
本実施例では、1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジン(化合物(b))のA晶について説明する。
まず、化合物(b)の合成方法について説明する。
【0099】
<化合物(b)−1の合成>
以下の化合物(b)−1で示される(R)−N−イソプロピル−6−(1−メトキシエチル)−2−(メチルチオ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−8−アミンの合成を行った。
【0100】
【化14】
【0101】
化合物(b)−1は、前述した化合物(a)−3、化合物(a)−4、化合物(a)−5及び化合物(a)−6と同様の手順によって合成した。
1H−NMR(DMSO−d
6)δ:9.27(7H,s),6.94(1H,brs),6.92(1H,s),4.30−4.23(1H,m),3.29(3H,s),2.66(3H,s),1.38(3H,d,J=6.4Hz),1.32−1.25(6H,m)
【0102】
<化合物(b)−2の合成>
以下の化合物(b)−2で示される(R)−N−イソプロピル−6−(1−メトキシエチル)−2−(メチルスルホニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−8−アミンの合成
【0103】
【化15】
【0104】
化合物(b)−1のテトラヒドロフラン(THF)と水の混合溶液に0℃でオキソンを加え、室温にて18時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで抽出し、得られた有機相を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去して得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、表題の化合物(b)−2を得た。
LC/MS:(M+H)
+=325.10
【0105】
<化合物(b)−3の合成>
以下の化合物(b)−3で示されるtert−ブチル 4−(6−クロロピリダジン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。
【0106】
【化16】
【0107】
3,6−ジクロロピリダジン−(5.01g、33.6mmol)とtert−ブチル ピペラジン−1−カルボキシレート(6.88g、37.0mmol)をDMF(50mL)に溶解させ、トリエチルアミン(11.7mL、50.4mmol)を添加して、80℃で終夜撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、水を加えた後、ジクロロメタンとメタノールの95:5混合溶液(50mL)で3回抽出した。混合した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、固体を濾別した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗体をジエチルエーテルで洗浄することで、表題の化合物(b)−3(7.0g、70%)を得た。
【0108】
<化合物(b)−4の合成>
以下の化合物(b)−4で示されるtert−ブチル 4−(6−((ジフェニルメチレン)アミノ)ピリダジン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートの合成を実施した。
【0109】
【化17】
【0110】
化合物(b)−3(59.8mg、0.20mmol)、ベンゾフェノンイミン(43.5mg、0.24mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(9.2mg、0.010mmol)、BINAP(2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル)(12.5mg、0.020mmol)と炭酸セシウム(130.3mg、0.40mmol)をトルエン(1.0mL)に懸濁させ、100℃で終夜撹拌した。室温で冷却した後、反応溶液をセライトを通して濾過し、セライトを酢酸エチルで洗浄した。得られた濾液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、固体を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題の化合物(b)−4(67mg、76%)を得た。
【0111】
<化合物(b)−5の合成>
以下の化合物(b)−5で示されるtert−ブチル 4−(6−アミノピリダジン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。
【0112】
【化18】
【0113】
化合物(b)−4(67mg、0.151mmol)をTHF(0.76mL)に溶解させ、クエン酸水溶液(0.378mL、0.755mmol、2mol/L)を加えて室温で終夜撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)を加えて中和し、酢酸エチル(5mL)で2回抽出した。有機相を混合し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、固体を濾別した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗体をtert−ブチルメチルエーテル(5mL)で洗浄することで、表題の化合物(b)−5(0.30g、71%)を得た。
その他、本実施例に関連する化合物として、6−アミノピリジン−3−カルバルデヒドと、tert−ブチル 4−[(6−アミノピリジン−3−イル)メチル]ピペラジン−1−カルボキシレートの合成方法を参考例として以下に示す。
【0114】
<化合物(b)−6の合成>
化合物(b)−6で示されるtert−ブチル (R)−4−(6−((8−(イソプロピルアミノ)−6−(1−メトキシエチル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)ピリダジン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。
【0115】
【化19】
【0116】
実施例1で合成した化合物(a)−5(708mg、2.2mmol)と化合物(b)−5(732mg、2.6mmol)のトルエン溶液(5.5ml)を100℃にて3日間撹拌した。室温に戻した後、酢酸エチル(20ml)とジクロロメタン(100ml)で希釈し、飽和食塩水(90ml)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10ml)で洗浄した後、分離した有機相を濃縮乾固し、シリカゲルカラムにて精製し、表題の化合物(b)−6(510mg、45%)を得た。
【0117】
<化合物(b)の合成>
以下の化合物(b)で表される1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジンの合成を行った。
【0118】
【化20】
【0119】
化合物(b)−6(33.2mg、0.063mmol)のジクロロメタン溶液(0.44ml)に室温でトリフルオロ酢酸(0.2ml)を加え、室温にて1時間撹拌した。得られた溶液を濃縮乾固し、さらにHPLCを用いて分取精製し、表題化合物(23.8mg、88%)を得た。
1H−NMR(DMSO)δ:10.24(1H,s),9.20(1H,s),8.16(1H,d),7.36(1H,d),6.86(1H,s),6.35(1H,d),6.42(1H,m),4.22(2H,m),3.43(4H,m),3.26(4H,m),2.81(3H,m),1.37(3H,d),1.26(6H,m)
【0120】
<化合物(b)のA晶の製造>
HPLCによって分取精製された化合物(b)のTFA塩(トリフルオロ酢酸塩)を得た。次に得られたTFA塩を、水−ジクロロメタン中で撹拌した。次に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で水相をpH8〜9の弱アルカリ性に調整し、有機相を分離した。その後、飽和食塩水で洗浄、Na
2SO
4で乾燥させて溶媒を留去し、結晶を得た。
【0121】
<化合物(b)のA晶の評価>
得られた結晶のXRDを
図3に示す。回折角2θ=5.2°、7.6°、8.4°、10.5°、15.2°、16.9°、20.1°、21.0°、23.3°及び26.6°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは225℃であった。
得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を
図14に示す。波数1369cm
−1、1424cm
−1、1508cm
−1、1545cm
−1及び1566cm
−1にピークが観測された。
得られた結晶の固体NMRスペクトル(
13C)を
図21−1(6500Hz)及び
図21−2(14000Hz)に示す。化学シフト163.4ppm、157.6ppm、155.5ppm、117.8ppm、82.2ppm、56.1ppm及び42.3ppmピークが観測された。
得られた結晶の固体NMRスペクトル(
15N)を
図22に示す。化学シフト311.7ppm、232.4ppm、168.5ppm、79.5ppm、53.3ppm、32.9ppm及び-4.3ppmにピークが観測された。
【0122】
[実施例7]
本実施例では、1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジン(化合物(b))のB晶について説明する。
【0123】
<化合物(b)のB晶の製造>
本実施例は、A晶の製造の過程で析出したTFA塩に、テトラヒドロフラン(0.15ml)とメタノール(0.15ml)加え、4M水酸化リチウム水溶液(0.018ml)加えた。反応溶液をギ酸にて中和した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。これにより得られた化合物(b)の溶液を濃縮して飽和化し、結晶を析出させた。これにより、化合物(b)のB晶を得た。
【0124】
<化合物(b)のB晶の評価>
得られた結晶のXRDを
図4に示す。回折角2θ=5.2°、6.6°、8.1°、15.2°、15.9°、16.2°、18.8°、20.5°、20.8°及び21.7°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは、221℃であった。
【0125】
[実施例8]
<化合物(b)のC晶の製造>
化合物(b)のC晶(1.1g)にエタノール(11mL)を加え、室温で終夜撹拌した。得られた固体を濾過し、40℃で減圧乾燥し、表題化合物(945mg、86%)を得た。
【0126】
<化合物(b)のC晶の評価>
得られた結晶のXRDを
図9に示す。回折角2θ=5.2°、7.6°、8.4°、10.0°、10.5°、11.9°、15.2°、17.0°、 20.9°及び 21.2°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは223℃であった。
得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を
図15に示す。波数1369cm
−1、1424cm
−1、1507cm
−1、1546cm
−1及び1566cm
−1にピークが観測された。
【0127】
[実施例9]
本実施例では、(R)−N8−イソプロピル−6−(1−メトキシエチル)−N2−(5−(ピペラジン−1−イルメチル)ピリジン−2−イル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2,8−ジアミン(化合物(c))のA晶について説明する。
まず、化合物(c)の合成方法について説明する。
【0128】
<化合物(c)−1の合成>
以下の化合物(c)−1に示される6−アミノピリジン−3−カルバルデヒドの合成の合成を行った。
【0129】
【化21】
【0130】
6−アミノピリジン−3−カルボニトリル(1.9g、16mmol)をTHF(160mL)に溶解させ、撹拌しながら−78℃に冷却した。この溶液に−78℃で水素化ジイソブチルアルミニウム(106.5mL、1.5Mトルエン溶液)をゆっくりと滴下し、撹拌しながら20℃まで昇温した後、2時間撹拌を継続した。反応溶液に氷水(100mL)を加えて反応を停止させ、ジクロロメタン(50mL)で3回抽出した。得られた有機相を混合した後、食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。固体を濾別した後、濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーで粗精製し、表題化合物の粗体(1.7g)を得た。この粗体はこれ以上精製せずに次の反応に用いた。
【0131】
<化合物(c)−2の合成>
以下の化合物(c)−2に示されるtert−ブチル 4−[(6−アミノピリジン−3−イル)メチル]ピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。
【0132】
【化22】
【0133】
6−アミノピリジン−3−カルボニトリル(1.9g、16mmol)をTHF(160mL)に溶解させ、撹拌しながら−78℃に冷却した。この溶液に−78℃で水素化ジイソブチルアルミニウム(106.5mL、1.5Mトルエン溶液)をゆっくりと滴下し、撹拌しながら20℃まで昇温した後、2時間撹拌を継続した。反応溶液に氷水(100mL)を加えて反応を停止させ、ジクロロメタン(50mL)で3回抽出した。得られた有機相を混合した後、食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。固体を濾別した後、濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで粗精製し、表題化合物の粗体(1.7g)を得た。
【0134】
次いで、得られた粗体(1.7g、13.9mmol)とtert−ブチル ピペラジン−1−カルボキシレート(3.2g、17.2mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶解させ、室温で8時間撹拌した。この反応溶液にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(8.84g、40.9mmol)を添加し、室温で2時間撹拌した。反応の進行はLC/MSで追跡し、反応終了後、飽和炭酸ナトリウム水溶液(50mL)を加えて反応を停止させ、酢酸エチル(50mL)で3回抽出した。得られた有機相を混合し、食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。固体を濾別した後、濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで粗精製し、表題化合物(3.3g、81%)を得た。
【0135】
<化合物(c)−3の合成>
以下の化合物(c)−3で示される、tert−ブチル (R)−4−((6−((8−(イソプロピルアミノ)−6−(1−メトキシエチル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)ピリジン−3−イル)メチル)ピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。
【0136】
【化23】
【0137】
実施例2で合成した化合物(b)−2と化合物(c)−2を化合物(b)−6と同様の方法で合成し、表題の化合物(c)−3の合成を行った。
【0138】
<化合物(c)の合成>
以下の化合物(c)で示される(R)−N8−イソプロピル−6−(1−メトキシエチル)−N2−(5−(ピペラジン−1−イルメチル)ピリジン−2−イル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2,8−ジアミンの合成
【0139】
【化24】
【0140】
化合物(c)−3を用いて実施例1の化合物(a)と同様にして表題化合物を得た。
1H−NMR (CDCl
3)δ:9.04(1H,s),8.34(1H,d),8.26(1H,s),7.74(1H,dd),6.84(1H,s),6.14(1H,d),4.41(1H,m),4.33(1H,q),3.49 (2H,s),3.41(3H,s),2.91(4H,m),2.46(4H,br),1.50(3H,d),1.36(6H,m)
【0141】
<化合物(c)のA晶の製造>
HPLCによって分取精製された化合物(c)の溶液を濃縮して飽和化し、結晶を析出させた。これにより、化合物(c)のA晶を得た。
【0142】
<化合物(c)のA晶の評価>
得られた結晶のXRDを
図5に示す。回折角2θ=4.8°、7.6°、8.2°、9.7°、15.3°、16.6°、19.1°、19.8°、22.4°及び26.2°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは、182℃であった。
得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を
図16に示す。波数1115cm
−1、1446cm
−1、1508cm
−1、1560cm
−1及び1601cm
−1にピークが観測された。
得られた結晶の固体NMRスペクトル(
13C)を
図23−1(6500Hz)及び
図23−2(14000Hz)に示す。化学シフト161.3ppm、150.8ppm、138.9ppm、128.1ppm、109.8ppm、82.7ppm、47.6ppm、42.5ppm、41.5ppm、24.5ppm、及び21.7ppmにピークが観測された。
得られた結晶の固体NMRスペクトル(
15N)を
図24に示す。化学シフト242.8ppm、233.8ppm、219.0ppm、171.7ppm、86.9ppm、54.9ppm、11.3ppm及び-5.5ppm にピークが観測された。
【0143】
[実施例10]
ヒトCDK4/サイクリン D3阻害活性評価
化合物(a)、化合物(b)および化合物(c)について、ヒトCDK4/サイクリン D3阻害活性の評価を行った。
評価は、カルナバイオサイエンス株式会社から購入したアッセイキット(QS S Assist CDK4/Cyclin D3_FPキット)を用いて、化合物のCDK4/サイクリン D3阻害活性を測定した。本アッセイキットはモレキュラーデバイス社のIMAPテクノロジーに基づき、キナーゼによってリン酸化された蛍光基質がIMAP結合試薬に結合することで引き起こされる蛍光偏光の変化を定量することにより、キナーゼ活性を測定するものである。
【0144】
キット添付の10×アッセイバッファー又はキット添付と同組成の自家調製アッセイバッファーを各溶液調製に用いた。キット添付の10×アッセイバッファーを精製水で10倍希釈してアッセイバッファーを調製した。アッセイバッファーは、20mM HEPES(pH7.4)、0.01% Tween20及び2mM ジチオトレイトールからなる。試験化合物溶液は、試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で終濃度の100倍に調製したのちに、アッセイバッファーで25倍希釈して終濃度の4倍に調製した。ATP/基質/Metal溶液は、キット添付の5×ATP/基質/Metal溶液をアッセイバッファーで5倍希釈して調製した。酵素溶液は、キット添付のCDK4/サイクリン D3を終濃度の2倍になるようアッセイバッファーで希釈して調製した(CDK4/サイクリン D3終濃度は、12.5〜25ng/ウェル)。検出試薬は、5×IMAP結合バッファーA及び5×IMAP結合バッファーBを各々精製水で5倍希釈したのち、IMAP結合バッファーA:IMAP結合バッファーB=85:15となるよう混合し、ここにIMAP結合試薬を400倍希釈になるよう添加して調製した。
【0145】
384ウェルプレートに試験化合物溶液を5μL、ATP/基質/Metal溶液を5μL添加し、さらに酵素溶液又はアッセイバッファー10μLを添加後、混合して酵素反応を開始した。総反応液量は20μL/ウェルであり、反応液組成は20mM HEPES(pH7.4)、0.01% Tween20、2mM ジチオトレイトール、100nM FITC標識ペプチド基質(カルナバイオサイエンス)、100μM ATP、1mM 塩化マグネシウム、1% DMSO、12.5〜25ng/ウェル CDK4/サイクリン D3とした。室温にて45分間反応させたのちに、各ウェルに検出試薬を60μL添加し、室温・遮光条件にてさらに30分間反応させた。次いで、マイクロプレートリーダーを使用し、励起波長:485nm、測定波長:535nmでの蛍光偏光を測定した。
【0146】
酵素溶液を添加し、試験化合物溶液の代わりにDMSOを添加したときの酵素活性を100%、酵素溶液の代わりにアッセイバッファーを添加し、試験化合物溶液の代わりにDMSOを添加したときの酵素活性を0%として試験化合物の酵素活性阻害率を計算し、用量反応曲線にフィットさせてCDK4/サイクリン D3に対する50%阻害濃度を計算した。
その結果、各化合物のCDK4/サイクリン D3活性に対する阻害活性は、いずれもIC
50値<10nMであった。
【0147】
[実施例11]
ヒトCDK2/サイクリン A2阻害活性の評価
化合物(a)、化合物(b)および化合物(c)について、ヒトCDK2/サイクリン A2阻害活性の評価を行った。カルナバイオサイエンス株式会社から購入したアッセイキット(QS S Assist CDK2/Cyclin A2_FPキット)を用いて、化合物のCDK2/サイクリン A2阻害活性を測定した。本アッセイキットはモレキュラーデバイス社のIMAPテクノロジーに基づき、キナーゼによってリン酸化された蛍光基質がIMAP結合試薬に結合することで引き起こされる蛍光偏光の変化を定量することにより、キナーゼ活性を測定するものである。
【0148】
キット添付の10×アッセイバッファーを精製水で10倍希釈してアッセイバッファーを調製し、各溶液調製に用いた。アッセイバッファーは、20mM HEPES(pH7.4)、0.01% Tween20及び2mM ジチオトレイトールからなる。試験化合物溶液は、試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で終濃度の100倍に調製したのち、アッセイバッファーで25倍希釈して終濃度の4倍に調製した。ATP/基質/Metal溶液は、キット添付の5×ATP/基質/Metal溶液をアッセイバッファーで5倍希釈して調製した。酵素溶液は、キット添付のCDK2/サイクリン A2を終濃度の2倍になるようアッセイバッファーで希釈して調製した(CDK2/サイクリン A2終濃度は、2.5ng/ウェル)。検出試薬は、5×IMAP結合バッファーAを精製水で5倍希釈したものに、IMAP結合試薬を400倍希釈になるよう添加して調製した。
【0149】
384ウェルプレートに試験化合物溶液を5μL、ATP/基質/Metal溶液を5μL添加し、さらに酵素溶液又はアッセイバッファー10μLを添加し、混合して酵素反応を開始した。総反応液量は20μL/ウェルであり、反応液組成は20mM HEPES(pH7.4)、0.01% Tween20、2mM ジチオトレイトール、100nM FITC標識ペプチド基質(カルナバイオサイエンス)、30μM ATP、5mM 塩化マグネシウム、1% DMSO、2.5ng/ウェル CDK2/サイクリン A2とした。室温にて60分間反応させたのちに、各ウェルに検出試薬を60μL添加し、室温・遮光条件にてさらに30分間反応させた。次いで、マイクロプレートリーダーを使用し、励起波長:485nm、測定波長:535nmでの蛍光偏光を測定した。
【0150】
酵素溶液を添加し、試験化合物溶液の代わりにDMSOを添加したときの酵素活性を100%、酵素溶液の代わりにアッセイバッファーを添加し、試験化合物溶液の代わりにDMSOを添加したときの酵素活性を0%として試験化合物の酵素活性阻害率を計算し、用量反応曲線にフィットさせてCDK2/サイクリン A2に対する50%阻害濃度を計算した。
その結果、各化合物のCDK2/サイクリンA2活性に対する阻害活性は、100nM≦IC
50値であった。
【0151】
[実施例12]
ヒトCDK6/サイクリン D3阻害活性の評価
CDK6/サイクリン D3阻害活性の測定は、Off−chip Mobility Shift Assay(MSA)法により行った。 MSA法は、タンパク質の分子量や電荷の違いによって電気泳動時の移動度が異なることを利用して、分離する方法である。キナーゼ活性測定においては、キナーゼによりリン酸化された基質電荷の陰性への変化を電気泳動の原理で分離してリン酸化の程度を定量することにより、キナーゼ活性を測定するものである。
【0152】
20mM HEPES(pH7.5)、0.01% Triton X−100、2mM ジチオトレイトールからなるアッセイバッファーを各溶液調製に用いた。試験化合物溶液は、試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で終濃度の100倍に調製したのち、アッセイバッファーで25倍希釈して終濃度の4倍に調製した。ATP/基質/Metal溶液は、終濃度の4倍のものを調製した。酵素溶液は、終濃度の2倍のものを調製した。酵素濃度は、酵素活性によるシグナルと陽性対照化合物の阻害活性値をもとに、適切な終濃度を設定した。
【0153】
384ウェルプレートに試験化合物溶液を5μL、ATP/基質/Metal溶液を5μL添加し、さらに酵素溶液又はアッセイバッファー10μLを添加、混合して酵素反応を開始した。総反応液量は20μL/ウェルであり、反応液組成は20mM HEPES(pH7.5)、0.01% Triton X−100、2mM ジチオトレイトール、1000nM ペプチド基質(DYRKtide−F)、300μM ATP、5mM 塩化マグネシウム、1% DMSO、設定した濃度のCDK6/サイクリン D3とした。室温にて5時間反応させたのち、各ウェルにターミネーションバッファー(QuickScout Screening Assist MSA;カルナバイオサイエンス社製)を60μL添加し、反応を停止させた。次いで、キャリパーライフサイエンス社のLabChip3000を使用し、反応溶液中の基質ペプチドとリン酸化ペプチドを分離、定量した。キナーゼ反応は基質ペプチドピーク高さ(S)とリン酸化ペプチドピーク高さ(P)から計算される生成物比(P/(P+S))にて評価した。
【0154】
酵素溶液を添加し、試験化合物溶液の代わりにDMSOを添加したときの酵素活性を100%、酵素溶液の代わりにアッセイバッファーを添加し、試験化合物溶液の代わりにDMSOを添加したときの酵素活性を0%として、試験化合物の酵素活性阻害率を計算し、用量反応曲線にフィットさせてCDK6/サイクリン D3に対する50%阻害濃度を計算した。
その結果、各化合物のCDK6/サイクリン D3活性に対する阻害活性は、IC
50値<10nMであった。