特許第6745912号(P6745912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チンタオ ゴーアテック テクノロジー カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6745912-仮想現実ヘルメット及びその使用方法 図000002
  • 特許6745912-仮想現実ヘルメット及びその使用方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6745912
(24)【登録日】2020年8月6日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】仮想現実ヘルメット及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20200817BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20200817BHJP
   H04N 5/765 20060101ALI20200817BHJP
【FI】
   H04N5/64 511A
   G02B27/02 Z
   H04N5/765
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-558725(P2018-558725)
(86)(22)【出願日】2016年12月31日
(65)【公表番号】特表2019-525510(P2019-525510A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】CN2016114056
(87)【国際公開番号】WO2017202023
(87)【国際公開日】20171130
【審査請求日】2018年12月27日
(31)【優先権主張番号】201610352732.6
(32)【優先日】2016年5月25日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515132700
【氏名又は名称】チンタオ ゴーアテック テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO GOERTEK TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,キー
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チャオ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シャオチェン
【審査官】 大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−048234(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/197229(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/024753(WO,A1)
【文献】 特表2014−532190(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/013269(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0339861(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B27/00−27/64
H04N 5/64−5/655
H04N 5/76−5/775
H04N 5/80−5/907
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションプロセッサと、表示モジュールと、電源管理モジュールと、メモリモジュールと、ビデオインタフェース変換モジュールと、動きセンサと、を含み、前記電源管理モジュール、前記メモリモジュール、前記ビデオインタフェース変換モジュール、及び前記動きセンサが、前記アプリケーションプロセッサに接続されると共に、前記表示モジュールが、前記ビデオインタフェース変換モジュールを介して前記アプリケーションプロセッサに接続される、仮想現実ヘルメットであって、
VRビデオが記憶された記憶モジュールをさらに含み、
前記アプリケーションプロセッサは、HDMI入力インタフェース及びUSBインタフェースを介してビデオ入力機器に接続され、
前記記憶モジュールに記憶されたVRビデオを再生するモードと、ビデオ入力機器が接続されたことを検出したときに、前記ビデオ入力機器から入力されたVRビデオを再生するモードとの二つの再生モードを有しており、
VRビデオの再生中に、前記動きセンサがユーザの頭の動きを検出すると共に、当該検出された動きデータを前記アプリケーションプロセッサのCPUチップに伝送し、
前記記憶モジュールに記憶されたVRビデオを再生する場合、前記CPUチップは、前記動きデータを解析してインタラクション情報を取得すると共に、対応するビデオ情報を、前記ビデオインタフェース変換モジュールを介して前記表示モジュールに伝送し、
前記ビデオ入力機器から入力されたVRビデオを再生する場合、前記CPUチップは、前記動きデータを解析せずに前記USBインタフェースを介して前記ビデオ入力機器に転送し、前記ビデオ入力機器は、前記動きデータを解析してインタラクション情報を取得すると共に、対応するビデオ情報を、前記CPUチップを介して前記ビデオインタフェース変換モジュールに転送してから、前記ビデオインタフェース変換モジュールを介して前記表示モジュールに伝送する、
ことを特徴とする仮想現実ヘルメット。
【請求項2】
前記表示モジュールは、対称な左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンを含み、
前記ビデオインタフェース変換モジュールは、2つのMIPI−DSIインタフェースを含み、該各MIPI−DSIインタフェースを介して前記表示モジュールの左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンにそれぞれ接続され、
前記アプリケーションプロセッサは、GPUチップをさらに含み、前記記憶モジュールに記憶されたVRビデオ、又は、前記ビデオ入力機器から入力されたVRビデオが、前記アプリケーションプロセッサの前記GPUチップによって画像変形処理が行われてから、前記ビデオインタフェース変換モジュールを介して左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンにそれぞれ伝送されて再生される、
ことを特徴とする請求項に記載の仮想現実ヘルメット。
【請求項3】
前記動きセンサは、9軸センサであって、ジャイロセンサと、地磁気センサと、加速度センサと、を含み、
前記アプリケーションプロセッサは、SPIインタフェースを介して前記動きセンサに接続され、HDMI出力インタフェースを介して前記ビデオインタフェース変換モジュールに接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の仮想現実ヘルメット。
【請求項4】
IICインタフェースを介して前記アプリケーションプロセッサに接続される近接センサをさらに含み、
ユーザが前記仮想現実ヘルメットを装着している時、前記近接センサの検出数値が大きくなり、前記アプリケーションプロセッサが、低消費電力のスタンバイモードを終了して、前記表示モジュールをオンにし、
ユーザが前記仮想現実ヘルメットを外した時、前記近接センサの検出数値が小さくなり、前記アプリケーションプロセッサが、前記表示モジュールをオフにして、低消費電力のスタンバイモードに入る、
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の仮想現実ヘルメット。
【請求項5】
請求項1に記載の仮想現実ヘルメットの使用方法であって、
前記仮想現実ヘルメットの前記記憶モジュールにVRビデオを記憶するか、又は、前記アプリケーションプロセッサに設けられたHDMI入力インタフェース及びUSBインタフェースを介してビデオ入力機器を接続し、
前記記憶モジュールに記憶されたVRビデオを再生することを選択するか、又は、前記ビデオ入力機器が接続されたことを検出したときに、前記ビデオ入力機器から入力されたVRビデオを再生することを選択するように、前記仮想現実ヘルメットの再生モードを選択し、
VRビデオの再生中に、前記仮想現実ヘルメットの前記動きセンサによってユーザの頭の動きを検出すると共に、当該検出された動きデータを前記アプリケーションプロセッサのCPUチップに伝送し、
前記記憶モジュールに記憶されたVRビデオを再生する場合、前記CPUチップは、前記動きデータを解析してインタラクション情報を取得すると共に、対応するビデオ情報を、前記ビデオインタフェース変換モジュールを介して前記表示モジュールに伝送し、
前記ビデオ入力機器から入力されたVRビデオを再生する場合、前記CPUチップは、前記動きデータを解析せずに前記USBインタフェースを介して前記ビデオ入力機器に転送し、前記ビデオ入力機器は、前記動きデータを解析してインタラクション情報を取得すると共に、対応するビデオ情報を、前記CPUチップを介して前記ビデオインタフェース変換モジュールに転送してから、前記ビデオインタフェース変換モジュールを介して前記表示モジュールに伝送する、
ことを特徴とする仮想現実ヘルメットの使用方法。
【請求項6】
前記表示モジュールを、対称な左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンになるように設けて、
前記ビデオインタフェース変換モジュールを、2つのMIPI−DSIインタフェースを介して、前記表示モジュールの左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンにそれぞれ接続し、
前記アプリケーションプロセッサ内にGPUチップを設けて、前記記憶モジュールに記憶されたVRビデオ、又は、前記ビデオ入力機器から入力されたVRビデオに対して、前記GPUチップによって画像変形処理を行ってから、画像変形処理されたVRビデオを、前記ビデオインタフェース変換モジュールを介して左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンにそれぞれ伝送して再生する、
ことを特徴とする請求項に記載の仮想現実ヘルメットの使用方法。
【請求項7】
前記仮想現実ヘルメットに近接センサを設けて、前記近接センサを、IICインタフェースを介して前記アプリケーションプロセッサに接続しユーザが前記仮想現実ヘルメットを装着している時、前記近接センサの検出数値が大きくなり、ユーザが前記仮想現実ヘルメットを外した時、前記近接センサの検出数値が小さくなり、
前記近接センサの検出数値が大きくなった場合、前記アプリケーションプロセッサが、低消費電力のスタンバイモードを終了して、前記表示モジュールをオンにし、
前記近接センサの検出数値が小さくなった場合、前記アプリケーションプロセッサが、前記表示モジュールをオフにして、低消費電力のスタンバイモードに入る、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の仮想現実ヘルメットの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想現実の技術分野に関し、特に、仮想現実ヘルメット及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年登場した先端技術である仮想現実(Virtual Reality:以下では「VR」と略称する場合がある)は、コンピュータシミュレーションによって3次元空間の仮想世界を創り出し、ユーザの視覚や聴覚、触覚などをシミュレートしてユーザに没入感を与える。仮想現実を適用するシーンでは、通常、ユーザが仮想現実ヘルメットを装着し、様々なセンサを利用して頭の様々な動きを追跡し、行動インタープリタによって行動データを生成してから仮想環境に入力することで、ユーザとインタラクションを行う。
【0003】
現在、ほとんどの仮想現実ヘルメットは、外付けのビデオ入力装置を必要とし、接続方式もほとんど有線接続方式になっている。しかしながら、有線接続は、ユーザが自由に歩くことができないという欠点を有し、仮想現実に要求される快適性及び現実感が大きく制限される。無線でビデオを伝送する一部の解決策は高価であり、その技術はまだ成熟していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題に鑑みて、本発明は、従来の仮想現実ヘルメットに存在する問題、即ち、再生するには外付けのビデオ入力装置が不可欠であり、再生モードが単一であり、多くの場合、有線接続の制限により自由に歩くことができないという問題を解決する、仮想現実ヘルメット及びその使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的に達するために、本発明の技術的解決策は、下記のように実現される。
本発明の第一の態様によれば、仮想現実ヘルメットが提供される。この仮想現実ヘルメットは、アプリケーションプロセッサと、表示モジュールと、電源管理モジュールと、メモリモジュールと、ビデオインタフェース変換モジュールと、動きセンサと、を含み、前記電源管理モジュール、前記メモリモジュール、前記ビデオインタフェース変換モジュール、及び前記動きセンサが、前記アプリケーションプロセッサに接続されると共に、前記表示モジュールが、前記ビデオインタフェース変換モジュールを介して前記アプリケーションプロセッサに接続されている。前記仮想現実ヘルメットは、VRビデオが記憶された記憶モジュールをさらに含み、前記アプリケーションプロセッサが、HDMI入力インタフェース及びUSBインタフェースを介してビデオ入力機器に接続される。また、前記仮想現実ヘルメットは、前記記憶モジュールに記憶されたVRビデオを再生するモードと、前記ビデオ入力機器が接続されたことを検出したときに、前記ビデオ入力機器から入力されたVRビデオを再生するモードとの二つの再生モードを有する。
【0006】
前記仮想現実ヘルメットは、VRビデオの再生中に、前記動きセンサがユーザの頭の動きを検出すると共に、当該検出された動きデータを前記アプリケーションプロセッサのCPUチップに伝送する。前記記憶モジュールに記憶されたVRビデオを再生する場合、前記CPUチップは、前記動きデータを解析してインタラクション情報を取得すると共に、対応するビデオ情報を、前記ビデオインタフェース変換モジュールを介して前記表示モジュールに伝送する。前記ビデオ入力機器から入力されたVRビデオを再生する場合、前記CPUチップは、前記動きデータを解析せずにUSBインタフェースを介して前記ビデオ入力機器に転送し、前記ビデオ入力機器は、前記動きデータを解析してインタラクション情報を取得すると共に、対応するビデオ情報を、前記CPUチップを介して前記ビデオインタフェース変換モジュールに転送してから、前記ビデオインタフェース変換モジュールを介して前記表示モジュールに伝送する。
【0007】
好ましくは、前記表示モジュールが、対称な左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンを含む。前記ビデオインタフェース変換モジュールは、2つのMIPI−DSIインタフェースを含み、該各MIPI−DSIインタフェースを介して、前記表示モジュールの左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンにそれぞれ接続される。前記アプリケーションプロセッサは、GPUチップをさらに含み、前記記憶モジュールに記憶されたVRビデオ、又は、前記ビデオ入力機器から入力されたVRビデオが、前記アプリケーションプロセッサのGPUチップによって画像変形処理が行われてから、前記ビデオインタフェース変換モジュールを介して左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンにそれぞれ伝送されて再生される。
【0008】
好ましくは、前記動きセンサは、9軸センサであって、ジャイロセンサと、地磁気センサと、加速度センサと、を含む。前記アプリケーションプロセッサは、SPIインタフェースを介して前記動きセンサに接続され、HDMI(登録商標)出力インタフェースを介して前記ビデオインタフェース変換モジュールに接続される。
【0009】
好ましくは、前記仮想現実ヘルメットは、IICインタフェースを介して前記アプリケーションプロセッサに接続される近接センサをさらに含む。ユーザが前記仮想現実ヘルメットを装着している時、前記近接センサの検出数値が大きくなり、前記アプリケーションプロセッサが、低消費電力のスタンバイモードを終了して、前記表示モジュールをオンにする。ユーザが前記仮想現実ヘルメットを外した時、前記近接センサの検出数値が小さくなり、前記アプリケーションプロセッサが、前記表示モジュールをオフにして、低消費電力のスタンバイモードに入る。
【0010】
本発明の第二の態様によれば、前記仮想現実ヘルメットの使用方法がさらに提供される。この使用方法は、前記仮想現実ヘルメットの前記記憶モジュールにVRビデオを記憶するか、又は、前記アプリケーションプロセッサに設けられたHDMI入力インタフェース及びUSBインタフェースを介してビデオ入力機器を接続するステップと、前記記憶モジュールに記憶されたVRビデオを再生することを選択するか、又は、前記ビデオ入力機器が接続されたことを検出したときに、前記ビデオ入力機器から入力されたVRビデオを再生することを選択するように、前記仮想現実ヘルメットの再生モードを選択するステップと、を含む。
【0011】
前記使用方法は、VRビデオの再生中に、仮想現実ヘルメットの動きセンサによってユーザの頭の動きを検出すると共に、当該検出された動きデータをアプリケーションプロセッサのCPUチップに伝送する。前記記憶モジュールに記憶されたVRビデオを再生する場合、前記CPUチップは、前記動きデータを解析してインタラクション情報を取得すると共に、対応するビデオ情報を、前記ビデオインタフェース変換モジュールを介して前記表示モジュールに伝送する。前記ビデオ入力機器から入力されたVRビデオを再生する場合、前記CPUチップは、前記動きデータを解析せずにUSBインタフェースを介して前記ビデオ入力機器に転送し、前記ビデオ入力機器は、前記動きデータを解析してインタラクション情報を取得すると共に、対応するビデオ情報を、前記CPUチップを介して前記ビデオインタフェース変換モジュールに転送してから、前記ビデオインタフェース変換モジュールを介して前記表示モジュールに伝送する。
【0012】
好ましくは、前記表示モジュールを、対称な左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンになるように設ける。前記ビデオインタフェース変換モジュールを、2つのMIPI−DSIインタフェースを介して前記表示モジュールの左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンにそれぞれ接続する。前記アプリケーションプロセッサ内にGPUチップを設けて、前記記憶モジュールに記憶されたVRビデオ、又は、前記ビデオ入力機器から入力されたVRビデオに対して、前記GPUチップによって画像変形処理を行ってから、画像変形処理されたVRビデオを、前記ビデオインタフェース変換モジュールを介して左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンにそれぞれ伝送して再生する。
【0013】
好ましくは、前記仮想現実ヘルメットに近接センサを設けて、前記近接センサを、IICインタフェースを介して前記アプリケーションプロセッサに接続するユーザが前記仮想現実ヘルメットを装着している時、前記近接センサの検出数値が大きくなり、ユーザが前記仮想現実ヘルメットを外した時、前記近接センサの検出数値が小さくなる。前記近接センサの検出数値が大きくなった場合、前記アプリケーションプロセッサは、低消費電力のスタンバイモードを終了して、前記表示モジュールをオンにする。前記近接センサの検出数値が小さくなった場合、前記アプリケーションプロセッサは、前記表示モジュールをオフにして、低消耗電力のスタンバイモードに入る。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は、下記の通りになる。本発明による仮想現実ヘルメット及びその使用方法によれば、仮想現実ヘルメットには、前記記憶モジュールに記憶されたVRビデオを再生するモードと、ビデオ入力機器が接続されたことを検出したとき該ビデオ入力機器から入力されたVRビデオを再生するモードとの二種類の選択可能な再生モードがあり、ビデオを有線方式で入力するという従来の仮想現実ヘルメットの機能を満たすこともできるし、ローカルに予め記憶されたビデオを再生することもできる。このため、ユーザは、ローカルのビデオを再生するとき、有線入力に制限されずに自由に歩くことが可能であり、それはヘルメットの快適性とユーザ体験を大幅に向上させている。
【0015】
好ましい実施形態では、仮想現実ヘルメットは、近接センサを設けることでユーザの装着状態を監視し、ユーザがヘルメットを外したことが検出されると、スタンバイモードに入り、表示モジュールをオフにして、ヘルメットの消費電力を低減し、ユーザがヘルメットを装着していることが検出されると、低消費電力のスタンバイモードを終了して、表示モジュールをオンにすることにより、ユーザ体験を向上させている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例による仮想現実ヘルメットの模式図である。
図2】本発明の実施例による仮想現実ヘルメットの使用方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、技術的解決策、及び利点が更に明白になるように、以下、図面を参照して本発明の実施形態を更に詳しく説明する。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施形態による仮想現実ヘルメットは、アプリケーションプロセッサ110と、電源管理モジュール120と、記憶モジュール160と、メモリモジュール150と、ビデオインタフェース変換モジュール170と、動きセンサ140と、表示モジュール180と、を含み、電源管理モジュール120、記憶モジュール160、メモリモジュール150、ビデオインタフェース変換モジュール170、動きセンサ140がアプリケーションプロセッサ110にそれぞれ接続され、表示モジュール180がビデオインタフェース変換モジュール170に接続されている。メモリモジュール150は、例えば、DDR(Double Data Rate、倍速メモリ)であってもよく、記憶モジュール160は、例えば、SDカード又はeMMC(Embedded Multi Media Card、内蔵メモリ)であってもよい。
【0019】
本発明の実施形態において、アプリケーションプロセッサ110が、CPUチップと、GPUチップと、いくつかのペリフェラルインタフェースとを含み、そのうち、GPUは、Graphics Processing Unitの略語であり、即ちグラフィックスプロセッサであって、パソコン、ワークステーション、ゲーム機及び一部のモバイル機器(例えば、タブレット、スマートフォン等)で画像計算作業を専門的に行うマイクロプロセッサである。電源管理モジュール120、記憶モジュール160、メモリモジュール150、ビデオインタフェース変換モジュール170、動きセンサ140が、それぞれ、対応するペリフェラルインタフェースを介してアプリケーションプロセッサ110に接続される。凸レンズが用いられた表示モジュール180は、対称な左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンを含み、ビデオインタフェース変換モジュール170が、左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンにそれぞれ接続される。アプリケーションプロセッサ110は、再生するVRビデオを、GPUチップによって画像変形処理を行ってから、ビデオインタフェース変換モジュール170を介して左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンにそれぞれ伝送して再生することで、ユーザが3D立体映像を見ることを可能にしている。
【0020】
本発明の実施形態において、アプリケーションプロセッサ110が備えるペリフェラルインタフェースは、HDMI入力インタフェースと、HDMI出力インタフェースと、USBインタフェースと、SPIインタフェースとを含む。アプリケーションプロセッサ110は、SPIインタフェースを介して動きセンサ140に接続され、HDMI出力インタフェースを介してビデオインタフェース変換モジュール170に接続され、HDMI入力インタフェース及びUSBインタフェースを介してビデオ入力機器190に接続され、そのうち、ビデオ入力機器190のビデオ信号がHDMI入力インタフェースを介して伝送される。ビデオインタフェース変換モジュール170は、HDMI出力インタフェースをMIPI−DSIインタフェースに変換する。ビデオインタフェース変換モジュール170は、2つのMIPI−DSIインタフェース(Display Serial Interface、ディスプレイシリアルインタフェース)を含み、2つのMIPI−DSIインタフェースが、表示モジュール180の左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンにそれぞれ接続される。
【0021】
本発明の実施形態において、仮想現実ヘルメットの再生モードが2つある。一つのモードでは、仮想現実ヘルメットは、ビデオ入力機器190が接続されたことを検出したときに、ビデオ入力機器190から入力されたVRビデオを再生する。もう一つのモードでは、仮想現実ヘルメットは、記憶モジュール160に予め記憶されたVRビデオを再生する。これで分かるように、本発明の実施例による仮想現実ヘルメットは、ビデオを有線方式で入力するという従来のヘルメットの機能を満たすこともできるし、ローカルに予め記憶されたビデオを再生することもでき、ユーザは、有線入力に制限されず、仮想現実ヘルメットを身に付けて自由に歩くことができ、ヘルメットの快適性とユーザ体験を大幅に向上させている。
【0022】
仮想現実ヘルメットは、VRビデオの再生中に、動きセンサ140がユーザの頭の動きを検出すると共に、当該検出された動きデータをアプリケーションプロセッサ110に伝送する。記憶モジュール160に記憶されたVRビデオを再生する場合、CPUチップは、前記動きデータを解析してインタラクション情報を取得すると共に、対応するビデオ情報を、ビデオインタフェース変換モジュール170を介して表示モジュール180に伝送する。ビデオ入力機器190から入力されたVRビデオを再生する場合、CPUチップは、前記動きデータを解析せずにUSBインタフェースを介してビデオ入力機器190に転送し、ビデオ入力機器190は、前記動きデータを解析してインタラクション情報を取得すると共に、対応するビデオ情報を、CPUチップを介してビデオインタフェース変換モジュール170に転送してから、ビデオインタフェース変換モジュール170を介して表示モジュール180に伝送する。これにより、ユーザの仮想現実体験を大きく満足させている。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、動きセンサ140は、9軸センサであって、偏向及び傾斜時の回転角速度の変化を検出するためのジャイロセンサと、軸方向の線形運動を検出するための加速度センサと、ユーザの動きによる磁界の変化を検出することにより、加速度センサや角速度センサのオフセット補正を行い、センシングの結果をより正確にするための地磁気センサと、を含む。動きセンサ140としての9軸センサは、検出された動きデータを、SPIインタフェースを介してアプリケーションプロセッサ110のCPUチップに伝送する。アプリケーションプロセッサ110は、動きデータを解析してUSBインタフェースを介してビデオ入力機器190に伝送し、ビデオ入力機器190は、解析を行ってインタラクション情報を取得すると共に、対応するビデオ信号を出力する。これにより、表示されたビデオがユーザの頭の動きに従って変化することが可能になる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態において、仮想現実ヘルメットは、IICインタフェースを介してアプリケーションプロセッサ110に接続される近接センサ130をさらに含む。ユーザが仮想現実ヘルメットを装着している時には、近接センサ130の検出数値が大きくなり、アプリケーションプロセッサ110が、低消費電力のスタンバイモードを終了して、表示モジュール180をオンにする。ユーザが仮想現実ヘルメットを外した時には、近接センサ130の検出数値が小さくなり、アプリケーションプロセッサ110が、表示モジュール180をオフにして、低消費電力のスタンバイモードに入り、仮想現実ヘルメットの消費電力を低減する。
【0025】
本発明の実施形態では、上述した仮想現実ヘルメットの使用方法がさらに提供される。図2に示すように、この使用方法は、仮想現実ヘルメットの記憶モジュールにVRビデオを記憶するか、又は、アプリケーションプロセッサに設けられたHDMI入力インタフェース及びUSBインタフェースを介してビデオ入力機器を接続するステップS210と、記憶モジュールに記憶されたVRビデオを再生することを選択するか、又は、ビデオ入力機器が接続されたことを検出したときに、ビデオ入力機器から入力されたVRビデオを再生することを選択するように、仮想現実ヘルメットの再生モードを選択するステップS220と、を含む。
【0026】
本発明の実施形態において、図2に示す使用方法は、さらに、VRビデオの再生中に、仮想現実ヘルメットの動きセンサによってユーザの頭の動きを検出すると共に、当該検出された動きデータをアプリケーションプロセッサのCPUチップに伝送するステップを含む。記憶モジュールに記憶されたVRビデオを再生する場合、CPUチップは、前記動きデータを解析してインタラクション情報を取得すると共に、対応するビデオ情報を、ビデオインタフェース変換モジュールを介して表示モジュールに伝送する。ビデオ入力機器から入力されたVRビデオを再生する場合、CPUチップは、前記動きデータを解析せずにUSBインタフェースを介して前記ビデオ入力機器に転送し、ビデオ入力機器は、前記動きデータを解析してインタラクション情報を取得すると共に、対応するビデオ情報を、CPUチップを介してビデオインタフェース変換モジュールに転送してから、ビデオインタフェース変換モジュールを介して表示モジュールに伝送する。
【0027】
本発明の実施形態において、図2に示す使用方法は、さらに、表示モジュールを、対称な左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンになるように設けるステップと、ビデオインタフェース変換モジュールを、2つのMIPI−DSIインタフェースを介して表示モジュールの左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンにそれぞれ接続するステップと、を含む。
【0028】
アプリケーションプロセッサ内にGPUチップを設け、記憶モジュールに記憶されたVRビデオ、又は、ビデオ入力機器から入力されたVRビデオに対して、GPUチップによって画像変形処理を行ってから、画像変形処理されたVRビデオを、ビデオインタフェース変換モジュールを介して左目用ディスプレイスクリーン及び右目用ディスプレイスクリーンにそれぞれ伝送して再生する。
【0029】
本発明の実施形態において、図2に示す使用方法は、さらに次のステップを含む。仮想現実ヘルメットに近接センサを設けて、その近接センサを、IICインタフェースを介してアプリケーションプロセッサに接続する。近接センサは、ユーザが仮想現実ヘルメットを装着している時、その検出数値が大きくなり、ユーザが仮想現実ヘルメットを外した時、その検出数値が小さくなる。近接センサの検出数値が大きくなった場合、アプリケーションプロセッサが、低消費電力のスタンバイモードを終了して、表示モジュールをオンにする。近接センサの検出数値が小さくなった場合、アプリケーションプロセッサが、表示モジュールをオフにして、低消費電力のスタンバイモードに入るようにする。
【0030】
要約すると、本発明の実施形態による有益な効果は、下記の通りになる。本発明の実施形態では、仮想現実ヘルメット及びその使用方法が提供されており、仮想現実ヘルメットには、記憶モジュールに記憶されたVRビデオを再生するモードと、ビデオ入力機器が接続されたことを検出したときに、ビデオ入力機器から入力されたVRビデオを再生するモードとの二種類の選択可能な再生モードがあり、ビデオを有線方式で入力するという従来のヘルメット機能を満たすこともできるし、ローカルに予め記憶されたビデオを再生することもでき、ローカルのビデオを再生する時、ユーザは、有線入力に制限されずに自由に歩くことができ、ヘルメットの快適性とユーザ体験を大幅に向上させている。
【0031】
好ましい実施形態において、仮想現実ヘルメットは、近接センサを設けることでユーザの装着状態を監視し、ユーザがヘルメットを外したことを検出すると、スタンバイモードに入り、表示モジュールをオフにして、ヘルメットの消費電力を低減し、ユーザがヘルメットを装着していることを検出すると、低消費電力のスタンバイモードを終了して、表示モジュールをオンにすることにより、ユーザ体験を向上させている。
【0032】
上記の説明は、あくまでも本発明の好ましい実施形態であり、本発明の保護範囲を制限するものではない。本発明の精神及び原則内になされたいかなる変更、均等的置換、改善等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
図1
図2