特許第6745949号(P6745949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6745949
(24)【登録日】2020年8月6日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】光学素子
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20200817BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-102707(P2019-102707)
(22)【出願日】2019年5月31日
(65)【公開番号】特開2020-109461(P2020-109461A)
(43)【公開日】2020年7月16日
【審査請求日】2019年5月31日
(31)【優先権主張番号】16/240,476
(32)【優先日】2019年1月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】林 國峰
(72)【発明者】
【氏名】謝 錦全
【審査官】 井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−343470(JP,A)
【文献】 特開2016−225584(JP,A)
【文献】 特開2006−237122(JP,A)
【文献】 特開2004−031532(JP,A)
【文献】 特開2007−181209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面およびエッジを有する基板と、
前記基板の上に形成された複数のカラーフィルタと、
前記カラーフィルタ間に形成され、第1の側壁と、前記第1の側壁に対向する第2の側壁をそれぞれ有する複数のスペーサとを含み、
各スペーサの前記第1の側壁と前記基板の前記上面の法線の間には第1の角度があり、各スペーサの前記第2の側壁と前記基板の前記上面の前記法線の間には角度がなく
前記第1の角度は、前記基板のエッジに向かうにつれて徐々に増加する光学素子。
【請求項2】
前記基板は中央領域と、中間領域と、エッジ領域とを含み、前記中間領域は前記中央領域と前記エッジ領域の間に配置され、前記第1の角度は前記中央領域内で0度であり、前記スペーサは、約1.2から約1.5の範囲にある屈折率を有する請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記第1の角度は0度より大きく、前記中間領域内で約8度以上、且つ約16度以下の範囲にある請求項2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記エッジ領域内の前記第1の角度は、前記中間領域内の前記第1の角度より大きく、前記第1の角度は、前記エッジ領域内で約16度より大きく、且つ約30度以下の範囲にある請求項3に記載の光学素子。
【請求項5】
前記カラーフィルタおよび前記スペーサの上に形成され、屈折率を有する第1の高屈折率材料層と、前記第1の高屈折率材料層の上に形成され、屈折率を有する平坦化層と、前記平坦化層の上に形成され、屈折率を有する反射防止層と、前記第1の高屈折率材料層と前記平坦化層の間に形成され、屈折率を有する第2の高屈折率材料層とを更に含み、前記第1の高屈折率材料層及び前記第2の高屈折率材料層の屈折率は、前記スペーサの屈折率よりも高い請求項1に記載の光学素子。
【請求項6】
各カラーフィルタは、前記第1の高屈折率材料層の前記屈折率より大きい屈折率を有し、前記第1の高屈折率材料層の前記屈折率は、前記第2の高屈折率材料層の前記屈折率より大きく、前記第2の高屈折率材料層の前記屈折率は、前記平坦化層の前記屈折率より大きく、前記平坦化層の前記屈折率は前記反射防止層の前記屈折率より大きい請求項に記載の光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子に関するものであり、特に、傾斜した低屈折率グリッドを有する光学素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複合金属グリッド(composite metal grid; CMG)型構造を有する光学素子では、カラーフィルタの上にマイクロレンズが必要とされる。導波路カラーフィルタ(wave guide color filter; WGCF)型構造を有する光学素子では、導波路構造を形成するために、マイクロレンズの代わりにカラーフィルタを囲む低屈折率材料層が用いられる。
【0003】
しかしながら、導波路カラーフィルタ(WGCF)型構造を有する光学素子では、金属グリッドによる斜光の吸収のために、特に基板の周辺領域内に位置する画素については、現在の画素の量子効果(QE)は低下する。
【0004】
従って、エッジ画素にシフト設計を導入することなく、量子効果(QE)を向上させ、カラーフィルタ間のクロストークを低く抑えることができる導波路カラーフィルタ(WGCF)型構造の光学素子の開発が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
傾斜した低屈折率グリッドを有する光学素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による、光学素子が提供される。光学素子は、基板と、基板の上に形成された複数のカラーフィルタと、カラーフィルタ間に形成された複数のスペーサとを含む。各スペーサは、第1の側壁と、第1の側壁に対向する第2の側壁を有する。各スペーサの第1の側壁と基板の上面の法線の間には第1の角度がある。各スペーサの第2の側壁と基板の上面の法線の間には第2の角度がある。第1の角度および第2の角度の少なくとも1つは、基板のエッジに向かうにつれて徐々に増加する。
【0007】
いくつかの実施形態では、基板は中央領域と、中間領域と、エッジ領域とを含み、中間領域は中央領域とエッジ領域の間に配置されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の角度および第2の角度は中央領域内で0(ゼロ)度である。いくつかの実施形態では、中間領域内で、第1の角度は0度より大きく、第2の角度は0度である。いくつかの実施形態では、第1の角度は、中間領域内で約8度以上、且つ約16度以下の範囲にある。いくつかの実施形態では、エッジ領域内の第1の角度は中間領域内の第1の角度より大きく、第2の角度はエッジ領域内で0度である。いくつかの実施形態では、第1の角度は、エッジ領域内で約16度より大きく、且つ約30度以下の範囲にある。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の角度は中間領域内で第2の角度と等しい。いくつかの実施形態では、第1の角度および第2の角度は中間領域内で0度より大きい。いくつかの実施形態では、第1の角度および第2の角度は、中間領域内で約8度以上、且つ約16度以下の範囲内ある。いくつかの実施形態では、エッジ領域内の第1の角度は中間領域内の第1の角度より大きく、エッジ領域内の第2の角度は中間領域内の第2の角度より大きい。いくつかの実施形態では、第1の角度および第2の角度は、エッジ領域内で約16度より大きく、且つ約30度以下の範囲にある。
【0010】
いくつかの実施形態では、スペーサは、約1.2から約1.5の範囲にある屈折率を有する。いくつかの実施形態では、光学素子は、カラーフィルタおよびスペーサの上に形成された第1の高屈折率材料層を更に含む。いくつかの実施形態では、光学素子は、第1の高屈折率材料層の上に形成された平坦化層を更に含む。いくつかの実施形態では、光学素子は、平坦化層の上に形成された反射防止層を更に含む。いくつかの実施形態では、光学素子は、第1の高屈折率材料層と平坦化層の間に形成された第2の高屈折率材料層を更に含む。いくつかの実施形態では、各カラーフィルタは、第1の高屈折率材料層の屈折率より大きい屈折率を有し、第1の高屈折率材料層の屈折率は、第2の高屈折率材料層の屈折率より大きく、第2の高屈折率材料層の屈折率は、平坦化層の屈折率より大きく、平坦化層の屈折率は反射防止層の屈折率より大きい。
【0011】
本発明では、スペーサ(即ち、低屈折率グリッド)の片側の側壁の傾斜角を調整することによって、スペーサの傾斜角は基板の中央領域からエッジ領域に向かうにつれて徐々に増加する。従って、基板のエッジ領域に位置するスペーサの傾斜角は、最適な導波効果を提供するために十分であり、基板のエッジ領域に位置する画素の量子効果(QE)を向上させる(即ち、角度の大きな入射光に対する光学効率応答(optical efficiency response)を向上させる)。
【0012】
同様に、スペーサの両側の側壁の傾斜角を調整することによって、スペーサの傾斜角は基板の中央領域からエッジ領域に向かうにつれて徐々に増加する。従って、基板のエッジ領域に位置するスペーサの傾斜角は、最適な導波効果を提供するために十分であり、基板のエッジ領域に位置する画素の量子効果(QE)を向上させる。
【0013】
詳細な説明は、添付の図面と併せて以下の実施形態で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明及び例を読むことで、より完全に理解することができる。
図1図1は、本発明の一実施形態による光学素子の断面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による光学素子におけるQEデータと様々な傾斜プロファイル(tilted profiles)を有する低屈折率スペーサとの関係を示している。
図3図3は、本発明の一実施形態による光学素子の断面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態による光学素子におけるQEデータと様々な傾斜プロファイルを有する低屈折率のスペーサとの関係を示している。
図5図5は、本発明の一実施形態による光学素子の構造ユニットの断面図である。
図6図6は、本発明の一実施形態による光学素子の構造ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述の説明では、本発明を実施するベストモードを開示している。この説明は、本発明の一般原理を例示する目的のものであり、本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参考にして決定される。
【0016】
図1に示されるように、本発明の一実施形態による光学素子が提供される。図1は、光学素子10の断面図を示している。
【0017】
光学素子10は、基板12、複数のカラーフィルタ(14a、14b、および14c)、および複数のスペーサ(16a、16b、および16c)を含む。基板12は、中央領域12a、中間領域12b、およびエッジ領域12cを有する。中間領域12bは、中央領域12aとエッジ領域12cの間に位置する。カラーフィルタ(14a、14b、および14c)は、基板12の上に形成される。スペーサ(16a、16b、および16c)(即ち、低屈折率グリッド、LNG)は、カラーフィルタ(14a、14b、および14c)の間に形成される。各スペーサ(16a、16b、および16c)は、第1の側壁S1、および第1の側壁S1と対向する第2の側壁S2を有する。各スペーサ(16a、16b、および16c)の第1の側壁S1と基板12の上面Sの法線18の間には、第1の角度「θ1」がある。各スペーサ(16a、16b、および16c)の第2の側壁S2と基板12の上面Sの法線18の間には、第2の角度(図示せず)がある。具体的には、第1の角度「θ1」は基板12のエッジ12’に向かうにつれて徐々に増加し、第2の角度(図示せず)は中央領域12a、中間領域12b、およびエッジ領域12c内で0度である。
【0018】
いくつかの実施形態では、カラーフィルタ(14a、14b、および14c)は、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、および青色カラーフィルタを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、スペーサ(16a、16b、および16c)の屈折率は、約1.2から約1.5の範囲にある。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の角度「θ1」は、基板12の中央領域12aからエッジ領域12cまで約0度から約30度の範囲にある。
【0021】
いくつかの実施形態では、基板12の中央領域12a内の第1の角度「θ1」は約0度である。
【0022】
いくつかの実施形態では、基板12の中間領域12b内の第1の角度「θ1」は、0度より大きく、例えば、約8度以上、且つ約16度以下である。
【0023】
いくつかの実施形態では、基板12のエッジ領域12c内の第1の角度「θ1」は、約16度より大きく、且つ約30度以下の範囲にある。
【0024】
図1では、スペーサ(16a、16b、および16c)の傾斜プロファイルは、低屈折率グリッド(LNG)の片側の側壁の傾斜としてみなされることもできる。
【0025】
いくつかの実施形態では、様々な角度の入射光は、基板12の中央領域12a、中間領域12b、およびエッジ領域12cにそれぞれ対応する。例えば、約0度の角度の入射光は、中央領域12aに対応する。約15度の角度の入射光は、中間領域12bに対応する。約30度の角度の入射光は、周辺領域12cに対応する。
【0026】
図2は、入射光が30度のときの、光学素子におけるQEデータと様々な傾斜プロファイル(即ち、様々なLNG角度)を有するスペーサ(即ち、低屈折率材料層; 低屈折率グリッド(LNG))との関係を示している。
【0027】
図2では、曲線「G」は、様々な傾斜プロファイルを有するスペーサによって囲まれた緑色(G)カラーフィルタの様々なQEデータを示している。曲線「R」は、様々な傾斜プロファイルを有するスペーサによって囲まれた赤色(R)カラーフィルタの様々なQEデータを示している。曲線「B」は、様々な傾斜プロファイルを有するスペーサによって囲まれた青色(B)カラーフィルタの様々なQEデータを示している。
【0028】
曲線「G」では、緑色カラーフィルタを囲むスペーサが傾いていないとき、緑色カラーフィルタのQEデータはわずか約0.66である。この状況では、斜光の大部分は金属グリッドによって吸収され、隣接する画素に漏れる。しかしながら、緑色カラーフィルタを囲むスペーサの傾斜角が増加するにつれて、緑色カラーフィルタのQEデータは増加する(即ち、より多くの斜光が現在の画素に偏って存在し、隣接する画素への光漏れが減少する)。例えば、緑色カラーフィルタを囲むスペーサが約5度傾けられたとき、緑色カラーフィルタのQEデータは約0.70に向上する。同様に、緑色カラーフィルタを囲むスペーサが約25度傾けられたとき、緑色カラーフィルタのQEデータも約0.70に向上する。さらに、緑色カラーフィルタを囲むスペーサが約16度傾けられたとき、緑色カラーフィルタのQEデータが約0.75に向上することは注目に値する。従って、入射光が30度であるとき(即ち、基板のエッジ領域に位置する画素に対応するとき)、緑色カラーフィルタを囲むスペーサが約16度傾けられた場合、緑色カラーフィルタは最大のQEの性能を達成する。
【0029】
図3に示すように、本発明の一実施形態による光学素子10が提供される。図3は光学素子10の断面図を示している。
【0030】
光学素子10は、基板12、複数のカラーフィルタ(14a、14b、および14c)、および複数のスペーサ(16a、16b、および16c)を含む。基板12は、中央領域12a、中間領域12b、およびエッジ領域12cを有する。中間領域12bは、中央領域12a、およびエッジ領域12cとの間に位置する。カラーフィルタ(14a、14b、および14c)は、基板12の上に形成される。スペーサ(16a、16b、および16c)(即ち、低屈折率グリッド、LNG)は、カラーフィルタ(14a、14b、および14c)の間に形成される。各スペーサ(16a、16b、および16c)は、第1の側壁S1、および第1の側壁S1と対向する第2の側壁S2を有する。各スペーサ(16a、16b、および16c)の第1の側壁S1と基板12の上面Sの法線18の間には、第1の角度「θ1」がある。各スペーサ(16a、16b、および16c)の第2の側壁S2と基板12の上面Sの法線18の間には、第2の角度「θ2」がある。具体的には、第1の角度「θ1」および第2の角度「θ2」は基板12のエッジ12’に向かうにつれて徐々に増加する。
【0031】
いくつかの実施形態では、カラーフィルタ(14a、14b、および14c)は、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、および青色カラーフィルタを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、スペーサ(16a、16b、および16c)の屈折率は、約1.2から約1.5の範囲にある。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1の角度「θ1」および第2の角度「θ2」は、基板12の中央領域12aからエッジ領域12cまで約0度から約30度の範囲にある。
【0034】
いくつかの実施形態では、基板12の中央領域12a内の第1の角度「θ1」および第2の角度「θ2」は約0度である。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1の角度「θ1」は、基板12の中間領域12b内で第2の角度「θ2」と等しい。
【0036】
いくつかの実施形態では、基板12の中間領域12b内の第1の角度「θ1」および第2の角度「θ2」は、0度より大きく、例えば、約8度以上、且つ約16度以下である。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の角度「θ1」は、基板12のエッジ領域12c内で第2の角度「θ2」と等しい。
【0038】
いくつかの実施形態では、基板12のエッジ領域12c内の第1の角度「θ1」および第2の角度「θ2」は、約16度より大きく、且つ約30度以下の範囲にある。
【0039】
図3では、スペーサ(16a、16b、および16c)の傾斜プロファイルは、低屈折率グリッド(LNG)の両側の側壁の傾斜としてみなされることもできる。
【0040】
いくつかの実施形態では、様々な角度の入射光は、基板12の中央領域12a、中間領域12b、およびエッジ領域12cにそれぞれ対応する。例えば、約0度の角度の入射光は、中央領域12aに対応する。約15度の角度の入射光は、中間領域12bに対応する。約30度の角度の入射光は、周辺領域12cに対応する。
【0041】
図4は、入射光がそれぞれ0度と30度のときの、光学素子におけるQEデータと様々な傾斜プロファイル(即ち、様々なLNG角度)を有するスペーサとの関係を示している。
【0042】
図4では、曲線「G」は、様々な傾斜プロファイルを有するスペーサによって囲まれた緑色(G)カラーフィルタの様々なQEデータを示している。曲線「R」は、様々な傾斜プロファイルを有するスペーサによって囲まれた赤色(R)カラーフィルタの様々なQEデータを示している。曲線「B」は、様々な傾斜プロファイルを有するスペーサによって囲まれた青色(B)カラーフィルタの様々なQEデータを示している。
【0043】
曲線「G」では、入射光が0度のとき、緑色カラーフィルタのQEデータは約0.78である。入射光が30度であり、緑色カラーフィルタを囲むスペーサが傾いていないとき、緑色カラーフィルタのQEデータは約0.66に減少する。この状況では、斜光の大部分は金属グリッドによって吸収され、隣接する画素に漏れる。入射光が30度であり、緑色カラーフィルタを囲むスペーサの片側の側壁が約16度傾けられたとき(即ち、低屈折率グリッドの片側の側壁の傾斜)、緑色カラーフィルタのQEデータは約0.72に向上する。緑色カラーフィルタを囲むスペーサの傾斜した側壁の数が増加するにつれて、緑色カラーフィルタのQEデータは増加する(即ち、より多くの斜光が現在の画素に偏って存在し、隣接する画素への光漏れが減少する)。例えば、入射光が30度であり、緑色カラーフィルタを囲むスペーサの両側の側壁が同時に約16度傾けられたとき(即ち、低屈折率グリッドの両側の側壁の傾斜)、緑色カラーフィルタのQEデータは約0.78に向上し、これは入射光が0度である状況と同様である。従って、入射光が30度であるとき(即ち、基板12のエッジ領域12cに位置する画素に対応するとき)、緑色カラーフィルタを囲むスペーサの両側の側壁が同時に約16度傾けられた場合、緑色カラーフィルタは最大のQEの性能を達成する。
【0044】
図5に示すように、本発明の一実施形態による、図3に示された光学素子10の構造ユニット10’が提供される。図5は構造ユニット10’の断面図を示している。
【0045】
一例として挙げられる構造ユニット10’は、基板12のエッジ領域12cに配置される。構造ユニット10’は、基板12、カラーフィルタ14、スペーサ16、高屈折率材料層20、平坦化層22、および反射防止層24を含む。カラーフィルタ14は、基板12の上に形成される。スペーサ16は、第1の側壁S1、および第1の側壁S1と対向する第2の側壁S2を有する。スペーサ16の第1の側壁S1または第2の側壁S2と基板12の法線18との間には角度「θ」がある。スペーサ16は、カラーフィルタ14に隣接して形成される。高屈折率材料層20は、カラーフィルタ14およびスペーサ16の上に形成される。平坦化層22は、高屈折率材料層20の上に形成される。反射防止層24は、平坦化層22の上に形成される。
【0046】
いくつかの実施形態では、カラーフィルタ14は、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、または青色カラーフィルタを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、スペーサ16の屈折率は、約1.2から約1.5の範囲にある。
【0048】
いくつかの実施形態では、基板12のエッジ領域12c内のスペーサ16の第1の側壁S1または第2の側壁S2と基板12の法線18との間の角度「θ」は、約16度より大きく、且つ約30度以下の範囲にある。
【0049】
いくつかの実施形態では、カラーフィルタ14の屈折率は高屈折率材料層20の屈折率より大きい。高屈折率材料層20の屈折率は、平坦化層22の屈折率より大きい。平坦化層22の屈折率は、反射防止層24の屈折率より大きい。
【0050】
いくつかの実施形態では、赤色(R)カラーフィルタ14の上方に位置する高屈折率材料層20の屈折率は、緑色(G)カラーフィルタ14の上方に位置する高屈折率材料層20の屈折率より大きい。緑色(G)カラーフィルタ14の上方に位置する高屈折率材料層20の屈折率は、青色(B)カラーフィルタ14の上方に位置する高屈折率材料層20の屈折率より大きい。これらの条件下で、赤色(R)カラーフィルタ14、緑色(G)カラーフィルタ14、および青色(B)カラーフィルタ14を囲むスペーサ16は、同じ傾斜角「θ」を有する。赤色(R)カラーフィルタ14、緑色(G)カラーフィルタ14、青色(B)カラーフィルタ14を囲むスペーサ16の傾斜角「θ」は、カラーフィルタ14の上方に高屈折率材料層20を配置することにより、減少することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、約30度の角度の入射光はエッジ領域12cに対応する。
【0052】
図6に示すように、本発明の一実施形態による、図3に示された光学素子10の構造ユニット10’が提供される。図6は構造ユニット10’の断面図を示している。
【0053】
一例として挙げられる構造ユニット10’は、基板12のエッジ領域12cに配置される。構造ユニット10’は、基板12、カラーフィルタ14、スペーサ16、第1の高屈折率材料層20、第2の高屈折率材料層26、平坦化層22、および反射防止層24を含む。カラーフィルタ14は、基板12の上に形成される。スペーサ16は、第1の側壁S1、および第1の側壁S1と対向する第2の側壁S2を有する。スペーサ16の第1の側壁S1または第2の側壁S2と基板12の法線18との間には角度「θ」がある。スペーサ16は、カラーフィルタ14に隣接して形成される。第1の高屈折率材料層20は、カラーフィルタ14およびスペーサ16の上に形成される。第2の高屈折率材料層26は、第1の高屈折率材料層20の上に形成される。平坦化層22は、第2の高屈折率材料層26の上に形成される。反射防止層24は、平坦化層22の上に形成される。
【0054】
いくつかの実施形態では、カラーフィルタ14は、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、または青色カラーフィルタを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、スペーサ16の屈折率は、約1.2から約1.5の範囲にある。
【0056】
いくつかの実施形態では、基板12のエッジ領域12c内のスペーサ16の第1の側壁S1または第2の側壁S2と基板12の法線18との間の角度「θ」は、約16度より大きく、且つ約30度以下の範囲にある。
【0057】
いくつかの実施形態では、カラーフィルタ14の屈折率は第1の高屈折率材料層20の屈折率より大きい。第1の高屈折率材料層20の屈折率は、第2の高屈折率材料層26の屈折率より大きい。第2の高屈折率材料層26の屈折率は、平坦化層22の屈折率より大きい。平坦化層22の屈折率は、反射防止層24の屈折率より大きい。
【0058】
いくつかの実施形態では、赤色(R)カラーフィルタ14の上方に位置する第1の高屈折率材料層20の屈折率は、緑色(G)カラーフィルタ14の上方に位置する第1の高屈折率材料層20の屈折率より大きい。緑色(G)カラーフィルタ14の上方に位置する第1の高屈折率材料層20の屈折率は、青色(B)カラーフィルタ14の上方に位置する第1の高屈折率材料層20の屈折率より大きい。これらの条件下で、赤色(R)カラーフィルタ14、緑色(G)カラーフィルタ14、および青色(B)カラーフィルタ14を囲むスペーサ16は、同じ傾斜角「θ」を有する。赤色(R)カラーフィルタ14、緑色(G)カラーフィルタ14、青色(B)カラーフィルタ14を囲むスペーサ16の傾斜角「θ」は、カラーフィルタ14の上方に第1の高屈折率材料層20および第2の高屈折率材料層26を配置することにより、減少することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、約30度の角度の入射光はエッジ領域12cに対応する。
【0060】
本発明では、スペーサ(即ち、低屈折率グリッド)の片側の側壁の傾斜角を調整することによって、スペーサの傾斜角は基板の中央領域からエッジ領域に向かうにつれて徐々に増加する。従って、基板のエッジ領域に位置するスペーサの傾斜角は、最適な導波効果を提供するために十分であり、基板のエッジ領域に位置する画素の量子効果(QE)を向上させる(即ち、角度の大きな入射光に対する光学効率応答(optical efficiency response)を向上させる)。
【0061】
同様に、スペーサの両側の側壁の傾斜角を調整することによって、スペーサの傾斜角は基板の中央領域からエッジ領域に向かうにつれて徐々に増加する。従って、基板のエッジ領域に位置するスペーサの傾斜角は、最適な導波効果を提供するために十分であり、基板のエッジ領域に位置する画素の量子効果(QE)を向上させる。
【0062】
本発明は、例として及び望ましい実施の形態によって記述されているが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。逆に、当業者には自明の種々の変更及び同様の配置をカバーするものである。よって、添付の特許請求の範囲は、最も広義な解釈が与えられ、全てのこのような変更及び同様の配置を含むべきである。
【符号の説明】
【0063】
10 光学素子
10’ 光学素子の構造ユニット
12 基板
12’ 基板のエッジ
12a 基板の中央領域
12b 基板の中間領域
12c 基板のエッジ領域
14、14a、14b、14c カラーフィルタ
16、16a、16b、16c スペーサ
18 法線
20 (第1)高屈折率材料層
22 平坦化層
24 反射防止層
26 (第2)高屈折率材料層
G 曲線(様々な傾斜プロファイルを有するスペーサによって囲まれた緑色(G)カラーフィルタの様々なQEデータ)
R 曲線(様々な傾斜プロファイルを有するスペーサによって囲まれた赤色(R)カラーフィルタの様々なQEデータ)
B 曲線(様々な傾斜プロファイルを有するスペーサによって囲まれた青色(B)カラーフィルタの様々なQEデータ)
S1 第1の側壁
S2 第2の側壁
θ 角度
θ1 第1の角度
θ2 第2の角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6