(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移送駆動手段は、所定方向に回動される駆動カムと、前記第1トランスファー部材に装着された往動用カムフォロア及び復動用カムフォロアとを備え、前記駆動カムが所定方向に1回転すると、前記第1トランスファー部材が前記移送方向に1回往復動することを特徴とする請求項1に記載の移送装置。
前記第1トランスファー部材には、前記第2トランスファー部材を前記移送方向に往動させるための往動作用面と、前記第2トランスファー部材を前記移送方向に復動させるための復動作用面とが設けられ、前記第1トランスファー部材の前記往動作用面及び前記復動作用面と第2トランスファー部材との間に前記アイドル間隙が存在しており、前記移動駆動機構により前記第1トランスファー部材が前記移動方向に往動されると、前記第1トランスファー部材が前記第2トランファー部材に対して相対的に移動し、その後前記第1トランファー部材の前記往動作用面が前記第2トランスファー部材に当接して前記第2トランスファー部材が前記第1トランスファー部材とともに往動され、また前記移動駆動機構により前記第1トランスファー部材が前記移動方向に復動されると、前記第1トランスファー部材が前記第2トランスファー部材に対して相対的に移動し、その後前記第1トランスファー部材の前記復動作用面が前記第2トランスファー部材に当接して前記第2トランスファー部材が前記第1トランスファー部材と共に復動されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の移送装置。
前記第1トランスファー部材には、前記第2トランスファー部材に移送駆動力を伝達するための駆動伝達用凹部が設けられ、前記第2トランスファー部材の一部が前記駆動伝達用凹部に位置し、前記駆動伝達用凹部の上流側内面が前記第1トランスファー部材の前記往動作用面として作用し、前記駆動伝達用凹部の下流側内面が前記第1トランスファー部材の前記復動作用面として作用することを特徴とする請求項4に記載の移送装置。
前記第1トランスファー部材には、前記第2トランスファー部材に移送駆動力を伝達するための駆動伝達用段部が設けられ、前記第2トランスファー部材の一部が前記駆動伝達用段部の内側に位置し、前記第1トランスファー部材の先端面が前記第1トランスファー部材の前記往動作用面として作用し、前記駆動伝達用段部の段差面が前記第1トランスファー部材の前記復動作用面として作用することを特徴とする請求項4に記載の移送装置。
前記特定加工域の上流側には上流側加工域が存在し、前記上流側加工域に対応して設けられる上流側フィンガー手段が前記第1トランスファー部材に取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の移送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような移送装置を用いた場合に、次のような問題がある。従来のプレス装置においては、複数の加工域は、ボルスタに取り付けられた複数の固定下金型とラムに取り付けられた複数の可動上金型との間に存在し、これら加工域の間隔は等しくなるように構成されている。
【0007】
一方、プレス装置を用いた絞り加工などでは、加工初期においては被加工物の大きさは大きいが、絞り加工が進んでいくと被加工物の大きさは小さくなることがある。このように加工においては、加工域間(又は被加工物間)の間隔は、加工初期の被加工物の大きさを基準にして加工域間(又は被加工物間)の間隔を設定し、この加工域間(被加工物間)の間隔を基準にしてトランスファー部材の移送方向の移動量を設定している。それ故に、加工初期の被加工物の大きさが大きく、この被加工物を小さく加工する場合においても、加工域全体を通しての移送距離が長くなり、このような移送距離が長くなるということは、工場の占有面積が大きくなるととともに、用いるプレス装置も大型のものを用いる必要がある。
【0008】
本発明の目的は、特定加工域を境にして隣接する加工域間の間隔を変えることができる移送装置を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、特定加工域を境にして複数の被加工物間の間隔を変えることができる移送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本第1発明の移送装置は、複数の加工域を通して被加工物を移送し、前記複数の加工域において被加工物に所定の加工を施す加工装置に適用する移送装置において、
被加工物の移送方向に往復動される第1トランスファー部材と、前記第1トランスファー部材の往復動を利用して前記移送方向に往復動される第2トランスファー部材と、前記第1トランスファー部材を往復動させるための移動駆動機構と、被加工物を解除自在に保持するために前記複数の加工域に対応して配設されたフィンガー手段とを備えており、
特定加工域に対応する特定フィンガー手段が前記第1トランスファー部材に取り付けられ、前記特定加工域より下流側に位置する下流側加工域に対応する下流側フィンガー手段が前記第2トランスファー部材に取り付けられ、また前記第1トランスファー部材と前記第2トランスファー部材との間にアイドル間隙が設けられており、
前記移動駆動機構により前記第1トランスファー部材が前記移送方向に往動されると、前記第1トランスファー部材が前記アイドル間隙を移動した後に前記第2トランスファー部材が前記第1トランスファー部材の作用により往動され、また前記移動駆動機構により前記第1トランスファー部材が前記移送方向と反対方向に復動されると、前記第1トランスファー部材が前記アイドル間隙を移動した後に前記第2トランスファー部材が前記第1トランスファー部材の作用により復動されることを特徴とする。
【0011】
また、本第2発明の移送装置は、複数の加工域を通して被加工物を移送し、前記複数の加工域において一対の被加工物に所定の加工を施す加工装置に適用する移送装置において、
被加工物の移送方向に往復動される第1トランスファー部材と、前記第1トランスファー部材の往復動を利用して前記移送方向に往復動される第2トランスファー部材と、前記第1トランスファー部材を往復動させるための移動駆動機構と、被加工物を解除自在に保持するために前記複数の加工域に対応して配設された一対のフィンガー手段とを備えており、 特定加工域に対応する一対の特定フィンガー手段のうち上流側に位置する特定上流側フィンガー手段が前記第1トランスファー部材に取り付けられ、前記一対の特定フィンガー手段のうち下流側に位置する特定下流側フィンガー手段及び前記特定加工域より下流側に位置する下流側加工域に対応する一対の下流側フィンガー手段が前記第2トランスファー部材に取り付けられ、また前記第1トランスファー部材と前記第2トランスファー部材との間にアイドル間隙が設けられており、
前記移動駆動機構により前記第1トランスファー部材が前記移送方向に往動されると、前記第1トランスファー部材が前記アイドル間隙を移動した後に前記第2トランスファー部材が前記第1トランスファー部材の作用により往動され、また前記移動駆動機構により前記第1トランスファー部材が前記移送方向と反対方向に復動されると、前記第1トランスファー部材が前記アイドル間隙を移動した後に前記第2トランスファー部材が前記第1トランスファー部材の作用により復動されることを特徴とする。
【0012】
更に、本第3発明の移送装置は、複数の加工域を通して被加工物を移送し、前記複数の加工域において3つの被加工物に所定の加工を同時に施す加工装置に適用する移送装置において、
被加工物の移送方向に往復動される第1トランスファー部材と、前記第1トランスファー部材の往復動を利用して前記移送方向に往復動される第2及び第3トランスファー部材と、前記第1トランスファー部材を往復動させるための移動駆動機構と、被加工物を解除自在に保持するために前記複数の加工域に対応して配設された3つのフィンガー手段とを備えており、
特定加工域に対応する3つの特定フィンガー手段のうち上流側に位置する特定上流側フィンガー手段が前記第1トランスファー部材に取り付けられ、前記3つの特定フィンガー手段のうち下流側に位置する特定下流側フィンガー手段及び前記特定加工域より下流側に位置する下流側加工域に対応する3つの下流側フィンガー手段が前記第3トランスファー部材に取り付けられ、また前記3つの特定フィンガー手段のうち中間に位置する特定中間フィンガー手段が前記第2トランスファー部材に取り付けられ、前記第1トランスファー部材と前記第2トランスファー部材との間に第1アイドル間隙が設けられ、前記第1トランスファー部材と前記第3トランスファー部材との間に第2アイドル間隙が設けられており、
前記移動駆動機構により前記第1トランスファー部材が前記移送方向に往動されると、前記第1トランスファー部材が前記第1アイドル間隙を移動した後に前記第2トランスファー部材が前記第1トランスファー部材の作用により往動され、更に前記第1アイドル間隙を越えて前記第2アイドル間隙を移動した後に第3トランスファー部材が前記第1トランスファー部材の作用により往動され、また前記移動駆動機構により前記第1トランスファー部材が前記移送方向と反対方向に復動されると、前記第1トランスファー部材が前記第1アイドル間隙を移動した後に前記第2トランスファー部材が前記第1トランスファー部材の作用により復動され、更に前記第1アイドル間隙を越えて前記第2アイドル間隙を移動した後に第3トランスファー部材が前記第1トランスファー部材の作用により復動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本第1発明の移送装置によれば、被加工物の移送方向に往復動される第1トランスファー部材と、第1トランスファー部材の往復動を利用して移送方向に往復動される第2トランスファー部材と、第1トランスファー部材を往復動させるための移動駆動機構と、被加工物を解除自在に保持するために前記複数の加工域に対応して配設されたフィンガー手段とを備えている。そして、特定加工域に対応する特定フィンガー手段が第1トランスファー部材に取り付けられ、この特定加工域より下流側の下流側加工域に対応する下流側フィンガー手段が第2トランスファー部材に取り付けられ、また第1トランスファー部材と第2トランスファー部材との間にアイドル間隙が設けられているので、特定フィンガー手段に保持された被加工物の移送距離(即ち、加工域間の移送距離)と下流側フィンガー手段に保持された被加工物の移送距離が変わり、特定加工域とその下流側加工域との間を境にしてその下流側における加工域間の移送距離(即ち、移送ピッチ)を小さくすることができ、その結果、加工域全体を通しての移送距離を短くし、加工装置の小型化を図ることができる。また、1つの移動駆動機構により移送距離を変えて被加工物を移送することができる。尚、各加工域において被加工物を1つ加工する場合には、1つ送りの移送装置として適用することができ、各加工域において被加工物を同時に2つ加工する場合には、2つ送りの移送装置として適用することができ、また各加工域において被加工物を同時に3つ加工する場合には、3つ送りの移送装置として適用することができる。
【0014】
また、本第2発明の移送装置によれば、被加工物の移送方向に往復動される第1トランスファー部材と、第1トランスファー部材の往復動を利用して移送方向に往復動される第2トランスファー部材と、第1トランスファー部材を往復動させるための移動駆動機構と、被加工物を解除自在に保持するために前記複数の加工域に対応して配設されたフィンガー手段とを備えている。そして、特定加工域に対応する一対の特定フィンガー手段のうち上流側の特定上流側フィンガー手段が第1トランスファー部材に取り付けられ、一対の特定フィンガー手段のうち下流側の特定下流側フィンガー手段及びこの特定加工域より下流側の下流側加工域に対応する下流側フィンガー手段が第2トランスファー部材に取り付けられ、また第1トランスファー部材と第2トランスファー部材との間にアイドル間隙が設けられているので、特定上流側フィンガー手段に保持された被加工物の移送距離(即ち、加工域間の移送距離)と特定下流側フィンガー手段及び下流側フィンガー手段に保持された被加工物の移送距離(加工域間の移送距離)が変わり、特定加工域の特定上流側フィンガー手段と特定下流側フィンガー手段との間を境にして、加工域における一対の被加工物間の間隔を小さくすることができ、その結果、加工域全体を通しての移送距離を短くし、加工装置の小型化を図ることができる。また、1つの移動駆動機構により移送距離を変えて被加工物を移送することができる。
【0015】
更に、本第3発明の移送装置によれば、被加工物の移送方向に往復動される第1トランスファー部材と、この第1トランスファー部材の往復動を利用して移送方向に往復動される第2及び第3トランスファー部材と、第1トランスファー部材を往復動させるための移動駆動機構とを備え、複数の加工域に対応して3つのフィンガー手段が設けられている。そして、特定加工域に対応する3つの特定フィンガー手段のうち上流側に位置する特定上流側フィンガー手段が第1トランスファー部材に取り付けられ、3つの特定フィンガー手段のうち下流側に位置する特定下流側フィンガー手段及びこの特定加工域より下流側の下流側加工域に対応する3つの下流側フィンガー手段が第3トランスファー部材に取り付けられ、また3つの特定フィンガー手段のうち中間に位置する特定中間フィンガー手段が第2トランスファー部材に取り付けられ、第1トランスファー部材と第2トランスファー部材との間に第1アイドル間隙が設けられ、第1トランスファー部材と第3トランスファー部材との間に第2アイドル間隙が設けられているので、この特定加工域において、特定上流側フィンガー手段に保持された被加工物の移送距離と、特定中間フィンガー手段に保持された被加工物の移送距離と、特定下流側フィンガー手段及び下流側フィンガー手段に保持された被加工物の移送距離とが変わり、この特定加工域を境に三つの被加工物の間隔を小さくすることができ、その結果、このような形態の移送装置においても加工域全体を通しての移送距離を短くし、また1つの移動駆動機構により移送距離を変えて被加工物を移送することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う移送装置の各種実施形態について説明する。尚、以下の実施形態においては、本発明に従う移送装置を加工装置の一例としてのプレス装置に適用して説明するが、その他の加工装置にも広く適用することができる。
【0018】
〔第1の実施形態〕
図1〜
図8を参照して、本発明に従う移送装置の第1の実施形態について説明する。まず、
図1を参照して、移送装置が適用される加工装置としてのプレス装置について概説すると、図示のプレス装置は、プレス本体(図示せず)に取り付けられるボルスタ2を備え、このボルスタ2には、第1〜第4下金型取付部材4,6,8,10が間隔をおいて取り付けられ、第1〜第4下金型取付部材4,6,8,10には第1〜第4下固定金型12,14,16,18が取り付けられている。また、このプレス本体2にはスライド支持機構(図示せず)を介してラム20が上下方向に移動自在に支持され、このラム20は、駆動モータなどから構成される駆動源(図示せず)により往復動される。このラム20には第1〜第4上金型取付部材22,24,26,28が取り付けられ、第1〜第4上金型取付部材22,24,26,28には第1〜第4上可動金型30,32,34,36(例えば、第1〜第4上パンチなどから構成される)が取り付けられている。
【0019】
このプレス装置においては、ボルスタ2側の第1〜第4下固定金型12〜18とラム20側の第1〜第4上可動金型30〜36との間に、被加工物Pを加工するための第1〜第4加工域S1,S2,S3,S4が設けられ、第1〜第4加工域S1〜S4において、第1〜第4下固定金型12〜18及び第1〜第4上可動金型30〜38の作用によって、被加工物P(
図2参照)に所定のプレス加工が施される。
【0020】
この実施形態では、第1〜第4加工域S1〜S4において、2つの被加工物Pに対して同時に同じプレス加工が施されるように構成されている。即ち、第1〜第4下固定金型12〜18は、矢印40で示す移送方向に間隔をおいて配設された上流側下金型Q1及び下流側下金型Q2から構成され、また第1〜第4上可動金型30〜38は、第1〜第4下固定金型12〜18の上流側下金型Q1及び下流側下金型Q2に対応して配設された上流側上金型R1(例えば、上流側パンチ)及び下流側上金型R2(下流側パンチ)から構成され、第1〜第4加工域S1〜S4において、第1〜第4下固定金型12〜18の上流側下金型Q1及び下流側下金型Q2と第1〜第4上可動金型30〜38の上流側上金型R1及び下流側上金型R1によって、2つの被加工物Pに同時にプレス加工(例えば、プレスによる成形加工、絞り加工、打抜き加工など)が施される。
【0021】
このようなプレス装置には、
図2に示す通りの移送装置52が設けられ、この移送装置52によって一対の被加工物Pが第1〜第4加工域S1〜S4を通して移送される。図示の移送装置52は、第1トランスファー部材54と、この第1トランスファー部材54の移動によって移動される第2トランスファー部材56と、第1トランスファー部材52を移動させるための移動駆動機構58とを備えている。第1及び第2トランスファー部材54,56は、矢印40で示す移送方向に延び、図示していないが、この移送方向に往復移動自在に支持されている。移動駆動機構58は、駆動カム60、往動用カムフォロア62及び復動用カムフォロア64を備えている。
【0022】
駆動カム60は回転軸66に固定され、この回転軸66が第1トランスファー部材54に回転自在に支持されている。また、往動用カムフォロア62は、駆動カム60のカム作用面に接するようにその移送方向下流側に配置され、第1支持ピン68を介して回転自在に支持されている。また、復動用カムフォロア64は、駆動カム60のカム作用面にその移送方向上流側に配置去れ、第2支持ピン70を中心として回転自在に支持されている。
【0023】
この駆動カム60に関連して、電動モータなどから構成される駆動源(図示せず)が配設され、この駆動源が回転軸66に駆動連結されている。駆動源としては、プレス装置のラム20を上下動させるための駆動源(図示せず)を利用し、この駆動源からの駆動力をこの回転軸66に駆動伝達するようにしてもよい。このように駆動連結されているので、駆動カム60が矢印71で示す所定方向に回動されると、第1トランスファー部材54が後述するように往復動される。
【0024】
第1トランスファー部材54の一端部側には、移送方向に延びる一対の支持突部72,74が設けられている。また、この第1トランスファー部材54の下面の所定部位(一対の支持突部72,74の配設部位より長手方向内側の部位)に駆動伝達用凹部76が設けられている。この駆動伝達用凹部76の上流側内面78(即ち、
図2(b)において左側内面)が、第2トランスファー部材56を後述するように往動させるための往動作用面として機能し、その下流側内面80(即ち、
図2(b)において右側内面)が、第2トランスファー部材56を後述するように復動させるための復動作用面として機能する。
【0025】
また、第2トランスファー部材56の一端部(
図2(a)において左端部)には矩形状の開口82が設けられ、この開口82から移送方向下流側に向けて挟持空間84が延び、この挟持空間84の両側に第2トランスファー部材56の一対の支持本体部86,88が対向して延びている。この形態では、第1トランスファー部材54の一端部側は、この第2トランスファー部材56の一端接続部90を跨いで第2トランスファー部材56の開口82内に位置し、その一対の支持突部72,74は、この開口82内で移送方向に往復動される。
【0026】
また、この構成に関連して、第1トランスファー部材56の駆動伝達用凹部76内に第2トランスファー部材56の一端接続部90が位置し、この駆動伝達用凹部76の移送方向の幅W1は、第2トランスファー部材56の一端接続部90の移送方向の幅W2よりも大きく、この駆動伝達用凹部76(換言すると、第1トランスファー部材56)と一端接続部90(換言すると、第2トランスファー部材56)との間にアイドル間隙Hが設けられており、このようにアイドル間隙Hを設けることにより、第1加工域S1における一対の被加工物P間の間隔と、第2〜第4加工域S2〜S4における一対の被加工物P間の間隔を変えることができる。
【0027】
このように構成されているので、第1トランスファー部材54が第2トランスファー部材56に対して矢印40で示す移送方向に移動すると、その駆動伝達用凹部76の上流側内面78(往動作用面)が第2トランスファー部材56の一端接続部90に当接してこれに作用する(
図6参照)。また、この第1トランスファー部材54が第2トランスファー部材56に対して矢印92で示す方向(移送方向に対して反対方向)に移動すると、その駆動伝達用凹部76の下流側内面80(復動作用面)が第2トランスファー部材56の一端接続部90に作用する(
図2参照)。
【0028】
この実施形態では、第1〜第4加工域S1〜S4において2つの被加工物Pに同時に加工が施されるので、第1〜第4加工域S1〜S4に対応して、第1及び第2トランスファー部材54,56に一対の第1〜第4フィンガー手段94、96、98(
図2、
図5〜
図7において第4フィンガー手段については図示していない)が次のように配設されている。
【0029】
第1加工域S1(特定加工域)においては、被加工物Pの大きさが大きく、このことに関連して、一対の第1フィンガー手段94(一対の特定フィンガー手段)の間隔が大きく設定され、この第1加工域S1(特定加工域)より下流側の第2〜第4加工域S2〜S4における一対の第2〜第4フィンガー手段96,98の間隔は、第1加工域S1における第1フィンガー手段94の間隔より小さく設定されている。
【0030】
図2とともに
図3(
図3においては、一対のフィンガー部材の一方のみを示す)を参照して更に説明すると、第1加工域S1(特定加工域)に対応する一対の第1フィンガー手段94(一対の特定フィンガー手段)については、それらのうち上流側に位置する第1上流側フィンガー手段94A(特定上流側フィンガー手段)が第1トランスファー部材54の一対の支持突部72,74に装着され、それらのうち下流側に位置する第1下流側フィンガー手段94B(特定下流側フィンガー手段94B)が第2トランスファー56の一対の支持本体部86,88に装着されている。
【0031】
また、第2〜第4加工域S2〜S4に対応する第2〜第4フィンガー手段96(下流側フィンガー手段)については、第1フィンガー手段94の第1下流側フィンガー手段94Bに続いて、第2フィンガー手段96(第2加工域S2に対応して上流側に位置する第2上流側フィンガー手段96A及び下流側に位置する第2下流側フィンガー手段96B)、第3フィンガー手段(第3加工域S3に対応して上流側に位置する第3上流側フィンガー手段98A及び下流側に位置する第3下流側フィンガー手段98B)及び第4フィンガー手段(図示せず)(第4加工域S4に対応して上流側に位置する第4上流側フィンガー手段及び下流側に位置する第4下流側フィンガー手段)が移送方向に向けてこの順で第2トランスファー部材56の一対の支持本体部86,88に装着されている。
【0032】
第1〜第4フィンガー手段94〜98の第1〜第4上流側フィンガー手段94A〜98A及び第1〜第4下流側フィンガー手段94B〜98Bは、実質上同一の構成であり、次に、第2フィンガー手段9の第2上流側フィンガー手段9A(第2下流側フィンガー手段96B)について説明する。図示の第2上流側フィンガー手段96A(第2下流側フィンガー手段96B)は、一対のフィンガー部材102,104を備え、一対のフィンガー部材102,104が相互に対向して配設されている。フィンガー部材102,104は、被加工物Pを挟持するための挟持部106と、この挟持部106から延びる軸部108とを有し、一方のフィンガー部材102は、その軸部108が第2トランスファー部材56の一方の支持本体部86に設けられた取付孔110に挿入されて取り付けられ、他方のフィンガー部材104は、その軸部108が他方の支持本体部88の取付孔112に挿入されて取り付けられている。支持本体部86,88の取付孔110,112内にはコイルばね114,116が収容され、コイルばね114、116は、フィンガー部材102,104の軸部108,110に作用して内側に向けて、即ち被加工物Pを挟持するように弾性的に偏倚する。尚、第1フィンガー手段94の第1上流側フィンガー手段94Aの第1トランスファー部材54(具体的には、一対の支持突部72,74)への取付け、また第1下流側フィンガー手段94Bの第2トランスファー部材56(具体的には、支持本体部86,88)への取付けについては、上述と同様に行われる。
【0033】
この第2フィンガー手段96の第2上流側フィンガー手段96A(第2下流側フィンガー手段96B)による被加工物Pの保持、保持解除は、次のように行われる。
図2とともに
図3を参照して、第2フィンガー手段96側においては、第2上流側フィンガー部材104(102)の上端部に環状テーパ部118が設けられ、この環状テーパ部118は、上方に向けて径方向外方に拡がっている。また、上流側上金型R1(下流側上金型R2)には、円筒状のシンブル120が取り付けられ、このシンブル120の先端部には、先端側に向けて径方向内側に延びる先端テーパ部122が設けられている。
【0034】
このように構成されているので、ラム20(
図1参照)が下方に下死点に向けて移動すると、
図3(a)に示すように、上流側上金型R1(下流側上金型R2)及びシンブル120がボルスタ2(
図1参照)側の上流側下金型Q1(下流側下金型Q2)に近接する方向に移動し、更に下死点に向けて移動すると、
図3(b)に示すように、上流側上金型R1(下流側上金型R2)に設けられたシンブル120の先端テーパ部122が第2上流側フィンガー手段96A(第2下流側フィンガー手段96B)の一対のフィンガー部材102,104に作用する。
【0035】
この状態からシンブル120が更に下方へ移動すると、
図3(c)に示すように、一対のフィンガー部材102,104がコイルばね114.114の弾性偏倚作用に抗して外側に移動され、このようにして一対のフィンガー部材102,104が開放状態となり、保持されていた被加工物Pは第2加工域S2に位置付けられ、第2加工域S2に位置する被加工物Pに対し、上流側下金型Q1(下流側下金型Q2)及び上流側上金型R1(下流側上金型R2)によりプレス加工が施される。
【0036】
このプレス加工の際に、第1及び第2トランスファー部材54,56が後述するように復動することにより、第2フィンガー手段96の第2上流側フィンガー手段96A(第2下流側フィンガー手段96B)は上流側に移動され、上流側の加工域、即ち第2加工域S2にて加工された被加工物Pを挟持するようになる。
【0037】
第1及び第2トランスファー部材54,56が上流側の加工域(この場合、第2加工域S2)に復動すると、第2上流側フィンガー手段96A(第2下流側フィンガー手段96B)は、
図4(d)で示す状態となり、第2上流側フィンガー手段96A(第2下流側フィンガー手段96B)の一対のフィンガー部材102,104は、シンブル120により開放した状態に保持される。
【0038】
そして、このような状態からラム20が上方に上死点に向けて移動すると、
図4(e)で示すように、上流側上金型R1(下流側上金型R2)のシンブル120の先端テーパ部122と第2上流側フィンガー手段96A(第2下流側フィンガー手段96B)の一対のフィンガー部材102,104の環状テーパ部118とが接触するようになり、この上流側上金型R1(下流側上金型R2)の更なる上昇に伴い、コイルばね114,116の弾性偏倚作用により、一対のフィンガー部材102,104は被加工物Pを挟持方向に移動される。
【0039】
このような状態からラム20が更に上方に移動すると、
図4(f)で示すように、シンブル120が第2上流側フィンガー手段96A(第2下流側フィンガー手段96B)から上方に離れ、これにより、第2上流側フィンガー手段96A(第2下流側フィンガー手段96B)の一対のフィンガー部材102,104が挟持状態となり、第2加工域S2にて加工された被加工物Pを挟持保持する。このように保持された被加工物Pは、後に説明するように、第1及び第2トランスファー部材54,56の往動により下流側の加工域(この場合、第3加工域S3)に移動される。
【0040】
次に、
図2とともに
図5〜
図7を参照して、この移送装置52を用いた被加工物Pの移送について説明する。第1及び第2トランスファー部材54,56が復動したときには、
図2に示す状態になる。この状態から駆動カム60が矢印71で示す方向に回動すると、
図5に示すように、この駆動カム60のカム作用面が往動用カムフォロア62に作用し、第1トランスファー部材54が矢印40で示す移送方向に移動される。このとき、第1トランスファー部材54は、第2トランスファー部材56に対して相対的に移送方向に移動されるので、第2トランスファー部材56の一端接続部90は、第1トランスファー部材54の駆動伝達用凹部76内を
図5において相対的に左方に移動するのみで、この駆動伝達用凹部76の上流側内面78(往動作用面)が一端接続部90に作用しない。
【0041】
図5に示す状態から駆動カム60が矢印71で示す方向に更に回動すると、
図6に示すように、この駆動カム60のカム作用面が往動用カムフォロア62に更に作用し、第1トランスファー部材54が矢印40で示す移送方向に移動されるとともに、この第1トランスファー部材54の移動に伴い、その駆動伝達用凹部76の上流側内面78が第2トランスファー部材56の一端接続部90に作用し、これによって、第2トランスファー部材56も移送方向に移動される。かくして、かかる第1及び第2トランスファー部材54,56に移動によって、上流側の加工域(第1〜第3加工域S1〜S3)にて加工された被加工物Pを下流側の加工域(第2〜第4加工域S2〜S4)に移送し、下流側の加工域にてこの被加工物Pに加工を施すことができる。
【0042】
このとき、第1トランスファー部材54の駆動伝達用凹部76と第2トランスファー部材56の一端接続部90との間にアイドル間隙Hが存在するので、第1加工域S1から第2加工域S2に移送される間に、第1上流側フィンガー手段94Aの移動距離が第1下流側フィンガー手段94Bの移動距離よりも大きくなり、これによって、第1加工域S1における一対の被加工物P間の間隔が第2加工域S2に移送されたときに一対の被加工物P間の間隔が小さくなる。従って、このように一対の被加工物Pを移送することにより、第1加工域S1(特定加工域)より下流側の加工域(第2〜第4加工域S2〜S4)における一対の被加工物Pの間隔を小さくすることができ、その結果、加工域全体を通しての移送距離を短くし、加工装置の小型化を図ることができる。また、1つの移動駆動機構58により第1及び第2トランスファー部材54,56の移送距離を変えて被加工物を移送することができる。
【0043】
この
図6に示す状態から駆動カム60が更に矢印71で示す方向に回動すると、
図7に示すように、この駆動カム60のカム作用面が復動用フォロア62に作用し、第1トランスファー部材54が矢印92で示す移送方向と反対方向に移動される。このとき、第1トランスファー部材54は、第2トランスファー部材56に対して相対的に移送方向と反対方向に移動されるので、第2トランスファー部材56の一端接続部90は、第1トランスファー部材54の駆動伝達用凹部76内を
図7において相対的に右方に移動するのみで、この駆動伝達用凹部76の下流側内面80(復動作用面)が一端接続部90に作用しない。
【0044】
この
図7に示す状態から駆動カム60が更に矢印71で示す方向に回動して1回転すると、
図2に示す状態に戻り、この駆動カム60のカム作用面が更に復動用フォロア64に作用し、第1トランスファー部材54が移送方向と反対方向に移動されるとともに、この第1トランスファー部材54の移動に伴い、その駆動伝達用凹部76の下流側内面80(復動作用面)が第2トランスファー部材56の一端接続部90に作用し、これによって、第2トランスファー部材56も移送方向と反対方向に移動され、第1及び第2トランスファー部材54,56が元の状態に戻り、かくして、駆動カム60の1回転により第1及び第2トランスファー部材54,56を移送方向に1往復動させることがでえきる。
【0045】
この復動のときには、第1トランスファー部材54の駆動伝達用凹部76と第2トランスファー部材56の一端接続部90との間のアイドル間隙Hの存在により、第2加工域S2から第1加工域S1に移送される間に、第1上流側フィンガー手段94Aの移動距離が第1下流側フィンガー手段94Bの移動距離よりも大きくなり、これによって、第1加工域S1における一対の被加工物P間の間隔が元の状態に戻って大きくなり、第1加工域S1にて加工した被加工物Pを上述したようにして第2加工域S2へ移送することが可能となる。
【0046】
第1の実施形態の移送装置52では、第1加工域S1が特定加工域となり、この第1加工域S1の下流側に第2〜第4加工域S2〜S4が存在し、第1加工域S1の上流側には加工域(上流側加工域)が存在していないが、このような形態のものに限定されず、第1加工域S1の上流側に加工域(上流側加工域)が存在するものにも同様に適用することができる。この場合、上流側加工域における上流側フィンガー手段及び下流側フィンガー手段は第1トランスファー部材54に取り付けられ、この上流側フィンガー手段及び下流側フィンガー手段の間隔は、第1加工域S1(特定加工域)における第1上流側フィンガー手段94A及び第1下流側フィンガー手段94Bの間隔と等しくなるように設定される。
【0047】
〔第2の実施形態〕
次いで、
図8及び
図9を参照して、本発明に従う移送装置の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態においては、第1トランスファー部材に修正が施されている。尚、以下の説明において、上述の第1の実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0048】
図8及び
図9において、この第2の実施形態の移送装置52Aにおいては、第1トランスファー部材54Aには、第1の実施形態における駆動伝達用凹部76に代えて、駆動伝達用段部132が設けられ、復動の際にこの駆動伝達用段部132の段差面134が第2トランスファー部材56の一端接続部90に作用し、この段差面134が往動作用面として機能する。また、この第1トランスファー部材54Aの一対の支持突部72A,74Aは、第1の実施形態のものよりも移動方向下流側に更に延び、これら支持突部72A,74Aの先端面が往動の際に第2トランスファー部材56の一部(具体的には、第1トランスファー部材54Aの一対の支持突部72A,74Aが位置する開口82の下流側面を規定する部位)に作用し、かかる一対の支持突部72A,74Aの先端面が往動作用面として機能する。この第2の実施形態におけるその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0049】
被加工物Pを矢印40で示す移送方向に移動するときには、移動駆動機構58の駆動カム60が
図8に示す状態から矢印71で示す方向に
図9に示す状態に回動される。駆動カム60がこのように回動すると、第1トランスファー部材54Aがアイドル間隙H(
図8(a)参照)を移動した後に、その一対の支持突部72A,74Aの先端面(往動作用面)が、
図9(a)に示すように、第2トランスファー部材56の一部(具体的には、開口82を規定する部位)に当接してこれを移送方向に移動し、第1及び第2トランスファー部材54A,56のかかる往動によって、上流側の加工域(第1〜第4加工域S1〜S4)にて加工された被加工物Pが下流側の加工域(第2〜第4加工域S2〜S4)に移送される。
【0050】
また、第1及び第2トランスファー部材54A,56を元の状態に戻すときには、駆動カム60が
図9に示す状態から更に矢印71で示す方向に
図8に示す状態に回動される。駆動カム60がこのように回動すると、第1トランスファー部材54Aがアイドル間隙H(
図9(b)参照)を移動した後に、その駆動伝達用段部132の段差面134(復動作用面)が第2トランスファー部材56の一端接続部90に当接してこれを移送方向と反対方向に移動し、かかる復動によって、第1及び第2トランスファー部材54A,56は元の位置に戻され、次に加工された被加工物Pの下流側への移送が可能となる。
【0051】
この第2の実施形態の移送装置52Aにおいても、その基本的構成が上述の第1の実施形態と同様であるので、この第1の実施形態と同様の作用効果が達成される。尚、この第2の実施形態においても、第1加工域S1(特定加工域)の上流側に加工域(上流側加工域)が存在するものにも同様に適用することができ、この場合、上流側加工域における上流側フィンガー手段及び下流側フィンガー手段は第1トランスファー部材54Aに取り付けられる。
【0052】
〔第3の実施形態〕
次に、
図10及び
図11を参照して、本発明に従う移送装置の第3の実施形態について説明する。上述した第1及び第2の実施形態においては、各加工域において同時に2つの被加工物に加工を施すプレス装置(加工装置)に適用されるが、この第3の実施形態においては、各加工域において1つの被加工物に加工を施すプレス装置(加工装置)に適用される。
【0053】
図10及び
図11において、この第3の実施形態の移送装置52Bにおいては、第1〜第7加工域S1〜S7において1つの被加工物Pが加工され、このようなプレス装置にも同様に適用することができる。この第3の実施形態においては、第1加工域S1(特定加工域)に対応する第1フィンガー手段152が第1トランスファー部材54Bの一対の支持突部72B,74Bに取り付けられ、第2〜第7加工域S2〜S7に対応する第2〜第7フィンガー手段154,156,158,160,162、164が第2トランスファー部材56Bの一対の支持本体部86,88に取り付けられている。この第3の実施形態におけるその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0054】
この第3の実施形態において、被加工物Pを矢印40で示す移送方向に移動するときには、移動駆動機構58の駆動カム60が
図10に示す状態から矢印71で示す方向に
図11に示す状態に回動される。駆動カム60がこのように回動すると、第1トランスファー部材54Bがアイドル間隙H(
図10(b)参照)を移動した後に、その駆動伝達用凹部76の上流側内面78(往動作用面)が、
図11(a)に示すように、第2トランスファー部材56Bの一端接続部90に当接してこれを移送方向に移動し、第1及び第2トランスファー部材54B,56Bのかかる移動によって、上流側の加工域(第1〜第7加工域S1〜S7)にて加工された被加工物Pが下流側の加工域(第2〜第8加工域S2〜S8)に移送される。
【0055】
このとき、駆動伝達用凹部76の上流側内面78と第2トランスファー部材56Bの一端接続部90との間にアイドル間隙Hが存在するので、第1加工域S1にて加工された被加工物Pを第2加工域S2に移送する際に、このアイドル間隙Hだけ移送距離が短くなり、これにより、第1加工域S1と第2加工域S2との間隔を小さくすることができ、第2加工域S2以降の加工域の間隔は、この短い間隔となり、かくして、このような移送装置52Bにおいても全体の移送距離を短くすることができる。
【0056】
また、第1及び第2トランスファー部材54B,56Bを矢印92で示す移送方向と反対方向に移動するときには、駆動カム60が
図11に示す状態から矢印71で示す方向に
図10に示す状態に回動される。駆動カム60がこのように回動すると、第1トランスファー部材54Bがアイドル間隙H(
図11(b)参照)を移動した後に、その駆動伝達用凹部76の下流側内面80(復動作用面)が、
図10(b)に示すように、第2トランスファー部材56の一端接続部90に当接してこれを移送方向と反対方向に移動し、第1及び第2トランスファー部材54B,56Bは、
図10に示す元の状態に戻り、上流側加工域にて加工された被加工物Pの下流側加工域への移動が可能となる。
【0057】
尚、この第3の実施形態の移送装置52Bは、第1及び第2実施形態のものと同様に、第1加工域S1(特定加工域)の上流側に加工域(上流側加工域)が存在するものにも同様に適用することができ、この場合、上流側加工域におけるフィンガー手段は第1トランスファー部材54Bに取り付けられる。
【0058】
〔第4の実施形態〕
次に、
図12を参照して、本発明に従う移送装置の第4の実施形態について説明する。上述の第3の実施形態においては、各加工域において1つの被加工物に加工を施すプレス装置(加工装置)に適用されるが、この第4の実施形態においては、各加工域において2つの被加工物に加工を同時に施すプレス装置(加工装置)に適用される。
【0059】
図12において、この第4の実施形態の移送装置52Cにおいては、第1〜第3加工域S1〜S3において2つの被加工物Pが同時に加工され、このようなプレス装置にも同様に適用することができる。この第4の実施形態においては、第1加工域S1(特定加工域)に対応する第1フィンガー手段172(第1上流側フィンが手段172A及び第1下流側フィンガー手段172B)が第1トランスファー部材54Bの一対の支持突部72C,74Cに取り付けられ、第2〜第3加工域S2〜S3に対応する第2フィンガー手段174(第2上流側フィンガー手段174A及び第2下流側フィンガー手段174B)及び第3フィンガー手段176(第3上流側フィンガー手段176A及び第3下流側フィンガー手段176B)が第2トランスファー部材56Cの一対の支持本体部86C,88Cに取り付けられている。この第4の実施形態におけるその他の構成は、上述した第3の実施形態と実質上同一である。
【0060】
この第4の実施形態においては、被加工物Pを矢印40で示す移送方向に移動するときには、移動駆動機構58の駆動カム60が
図12に示す状態(
図12は、第1及び第2トランスファー部材54C,58が復動された状態を示す)から矢印71で示す方向に180度回動される。駆動カム60がこのように回動すると、第1トランスファー部材54Cがアイドル間隙Hを移動した後に、その駆動伝達用凹部76の上流側内面78(往動作用面)が第2トランスファー部材56の一端接続部90に当接してこれを移送方向に移動し、第1及び第2トランスファー部材54B,56Bのかかる移動によって、上流側の加工域(第1〜第3加工域S1〜S3)にて加工された2つの被加工物Pが下流側の加工域(第2〜第3加工域S2〜S3)に移送される。
【0061】
このとき、駆動伝達用凹部76の上流側内面78と第2トランスファー部材56Bの一端接続部90との間にアイドル間隙Hが存在するので、第1加工域S1にて加工された2つの被加工物Pを第2加工域S2に移送する際に、このアイドル間隙Hだけ移送距離が短くなり、これにより、この第1加工域S1を境にして、第1加工域S1と第2加工域S2との間隔を小さくすることができ、第2加工域S2以降の加工域の間隔は、この短い間隔となり、かくして、このような移送装置52Bにおいても全体の移送距離を短くすることができる。
【0062】
〔第5の実施形態〕
次に、
図13〜
図15を参照して、本発明に従う移送装置の第5の実施形態について説明する。この第5の実施形態においては、各加工域において3つの被加工物に加工を同時に施すプレス装置(加工装置)に適用され、第1加工域から第2加工域に移送する際に、3つの被加工物Pの間隔が小さくなるように構成されている。
【0063】
図13〜
図15において、この第5の実施形態の移送装置52Dにおいては、第1加工域S1(特定加工域)において3つの被加工物Pが同時に加工されることに関連して、3つの被加工物Pを下流側に移送するように、移動駆動機構58により往復動される第1トランスファー部材182と、この第1トランスファー部材182により移動される第2及び第3トランスファー部材184,186を備え、第1〜第3トランスファー部材182,184,186が矢印40で示す移送方向に往復動自在に支持されている。
【0064】
第1トランスファー部材182の一端部側には、移送方向に延びる一対の支持突部188,190が設けられている。また、この第1トランスファー部材182の下面の所定部位(一対の支持突部188,192の配設部位より長手方向内側の部位)に駆動伝達用凹部194が設けられている。この駆動伝達用凹部194の上流側内面196(即ち、
図13(b)において左側内面)が、第2及び第3トランスファー部材184,186を後述するように往動させるための往動作用面として機能し、その下流側内面198(即ち、
図13(b)において右側内面)が、第2及び第3トランスファー部材184,186を後述するように復動させるための復動作用面として機能する。
【0065】
また、第2トランスファー部材184の中央大部分には矩形状の中間開口200が設けられ、この中間開口200から移送方向下流側に向けて中間挟持空間202が延び、中間挟持空間202の両側に第2トランスファー部材56の一対の第2支持本体部204,206が対向して設けられ、一対の第2支持本体部204,206の一端側が第2接続部207により接続されている。
【0066】
更に、第3トランスファー部材186の一端部には矩形状の外側開口208が設けられ、この外側開口208から移送方向下流側に向けて下流側挟持空間210が延び、この下流側挟持空間210の外側に第3支持本体部212,214が対向して設けられ、第3支持本体部212,214の一端側が第3接続部215により接続されている。
【0067】
この形態では、第3トランスファー部材186の第3接続部215の上側に第2トランスファー部材184の第2接続部207が配置され、第3トランスファー部材186の外側開口208内に第2トランスファー部材184の一対の第2支持本体部204,206が位置し、一対の第2支持本体部204,206は、かかる外側開口208内で移送方向に往復動される。また、第1トランスファー部材182の一端部側は、第2及び第3トランスファー部材184,186の第2及び第3接続部207,215を跨いで第2トランスファー部材184の中間開口200内に位置し、その一対の支持突部188,190は、この中間開口200内で移送方向に往復動される。
【0068】
また、この構成に関連して、第1トランスファー部材182の駆動伝達用凹部194内に第2トランスファー部材184の第2接続部207及び第3トランスファー部材186の第3接続部215が位置し、この駆動伝達用凹部176の移送方向の幅は、第2トランスファー部材184の第2接続部207の移送方向の幅よりも大きく、これらの幅の差が第2トランファー部材184のアイドル間隙H1(
図13(b)参照)となる。また、駆動伝達用凹部176の移送方向の幅は、第3トランスファー部材186の第3接続部215の移送方向の幅よりも大きく、これらの幅の差が第3トランスファー部材186のアイドル間隙H2(
図13(b)参照)となり、かかる第3トランスファー部材186のアイドル間隙H2は、第2トランスファー部材184のアイドル間隙H1よりも大きく(H1<H2)、このようにアイドル間隙H1,H2を設けることにより、第2加工域S2における3つの被加工物Pの間隔が第1加工域S1(特定加工域)における3つの被加工物P間の間隔よりも小さくなるように変えることができる。
【0069】
このように構成されているので、上述した記載から理解されるように、第1トランスファー部材182が第2及び第3トランスファー部材184,186に対して矢印40で示す移送方向に移動(往動)すると、その駆動伝達用凹部194の上流側内面196(往動作用面)が第2トランスファー部材184の第2接続部207に当接してこれに作用し(
図14参照)、更に移送方向に移動すると、その駆動伝達用凹部194の上流側内面196(往動作用面)が第3トランスファー部材186の第3接続部215に当接してこれに作用し(
図14参照)、その後、この駆動伝達用凹部194の上流側内面196によって第2及び第3トランスファー部材184,186が移動される。また、この第1トランスファー部材182が第2及び第3トランスファー部材184,186に対して矢印92で示す方向(移送方向に対して反対方向)に移動(復動)すると、その駆動伝達用凹部194の下流側内面198(復動作用面)が第2トランスファー部材184の第2接続部207に作用し、更に移送方向と反対方向に移動すると、その駆動伝達用凹部194の下流側内面198(復動作用面)が第3トランスファー部材186の第3接続部215に当接してこれに作用し(
図13参照)、その後、この駆動伝達用凹部194の下流側内面198によって第2及び第3トランスファー部材184,186が移動される。
【0070】
この実施形態では、第1〜第2加工域S1〜S2において3つの被加工物Pに同時に加工が施されるので、第1〜第2加工域S1〜S2に対応して、第1〜第3トランスファー部材182〜186に第1〜第2フィンガー手段222,224が次のように配設されている。第1加工域S1(特定加工域)に対応する第1フィンガー手段222については、上流側に位置する第1上流側フィンガー手段222A(特定上流側フィンガー手段)が第1トランスファー部材182の一対の支持突部188,190に取り付けられ、下流側に位置する第1下流側フィンガー手段222C(特定下流側フィンガー手段)が第3トランスファー部材186の一対の第3支持本体部212,214に取り付けられ、また中間に位置する第1中間フィンガー手段222B(特定中間フィンガー手段)が第2トランスファー部材184に取り付けられている。
【0071】
更に、第1加工域S1(特定加工域)より下流側の加工域、即ち第2加工域S2に対応する第2フィンガー手段224(第2上流側フィンガー手段224A、第2中間フィンガー手段224B及び第2下流側フィンガー手段224C)が第3トランスファー部材186の一対の第3支持本体部212,214(具体的には、第1下流側フィンガー手段222Cの配設部位よりも下流側部位)に取り付けられる。この第5の実施形態の移送装置52Dのっその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0072】
この第5の実施形態の移送装置52Dにおいて、加工後の3つの被加工物Pを矢印40で示す移送方向に移動するときには、移動駆動機構58の駆動カム60が
図13に示す状態から矢印71で示す方向に
図14に示す状態を経て
図15に示す状態まで回動される。駆動カム60の回動によって、第1トランスファー部材182がアイドル間隙H1(
図13(b)参照)まで移動すると、
図14に示す状態となり、第1トランスファー部材182の駆動伝達用凹部194の上流側内面196(往動作用面)が第2トランスファー部材184の第2接続部207に当接してこれを移送方向に移動し、更にアイドル間隙H2(
図13(b)参照)を超えて移動すると、第1トランスファー部材182の駆動伝達用凹部196の上流側内面196が第3トランスファー部材186の第3接続部215にも当接してこれを移送方向に移動し、このようにして第1〜第3トランスファー部材182〜186が
図15に示す状態まで往動し、このように復動することによって、上流側の加工域(第1〜第2加工域S1〜S2)にて加工された3つ被加工物Pが下流側の加工域(第2及び第3加工域S2〜S3)に移送される。
【0073】
このとき、第1トランスファー部材182の駆動伝達用凹部194と第2トランスファー部材184の第2接続部207との間にアイドル間隙H1が存在し、この駆動伝達用凹部194と第3トランスファー部材186の第3接続部215との間にアイドル間隙H2が存在するので、第1加工域S1から第2加工域S2に移送される間に、第1上流側フィンガー手段222A(特定上流側フィンガー手段)の移動距離が第1中間フィンガー手段222B(特定中間フィンガー手段)の移動距離よりも大きく、また第1中間フィンガー手段222Bの移動距離が第1下流側フィンガー手段222C(特定下流側フィンガー手段)の移動距離よりも大きくなり、これによって、第1加工域S1における3つ被加工物P間の間隔が第2加工域S2に移送されたときに3つの被加工物P間の間隔が小さくなる。
【0074】
従って、このように3つの加工物Pを移送することにより、第1加工域S1(特定加工域)より下流側の加工域(第2〜第3加工域S2〜S3)における3つ被加工物Pの間隔を小さくすることができ、その結果、加工域全体を通しての移送距離を短くし、加工装置の小型化を図ることができる。また、1つの移動駆動機構58により第1〜第3トランスファー部材182〜186の移送距離を変えて3つの被加工物を所要の通りに移送することができる。
【0075】
また、第1〜第3トランスファー部材182〜186を元の状態に戻すときには、駆動カム60が
図15に示す状態から更に矢印71で示す方向に
図13に示す状態に回動される。駆動カム60がこのように回動すると、
図15から理解されるように、第1トランスファー部材182がアイドル間隙H1(
図15(b)参照)を移動すると、第1トランスファー部材182の駆動伝達用凹部194の下流側内面198(復動作用面)が第2トランスファー部材184の第2接続部207に当接してこれを移送方向に移動し、更にアイドル間隙H2(
図15(b)参照)を超えて移動すると、第1トランスファー部材182の駆動伝達用凹部196の下流側内面198が第3トランスファー部材186の第3接続部215にも当接してこれを移送方向に移動する。そして、この駆動カム60が
図13に示す状態まで回動すると、第1〜第3トランスファー部材182〜186が
図15に示す状態まで往動され、このように復動するによって、上流側の加工域(第1〜第2加工域S1〜S2)にて加工された3つ被加工物Pを下流側の加工域(第2及び第3加工域S2〜S3)に移送することが可能となる。
【0076】
尚、この第5の実施形態の移送装置52Dにおいても、第1加工域S1(特定加工域)の上流側に加工域(上流側加工域)が存在するものにも同様に適用することができ、この場合、各上流側加工域における上流側フィンガー手段、中間フィンガー手段及び下流側フィンガー手段は第1トランスファー部材182に取り付けられる。
【0077】
以上、本発明における移送装置の各種の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。