特許第6746130号(P6746130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6746130-基板分断装置、及び、基板分断方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6746130
(24)【登録日】2020年8月7日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】基板分断装置、及び、基板分断方法
(51)【国際特許分類】
   B28D 5/00 20060101AFI20200817BHJP
   C03B 33/033 20060101ALI20200817BHJP
【FI】
   B28D5/00 Z
   C03B33/033
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-146478(P2016-146478)
(22)【出願日】2016年7月26日
(65)【公開番号】特開2018-15940(P2018-15940A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岩坪 佑磨
(72)【発明者】
【氏名】三浦 善孝
(72)【発明者】
【氏名】田端 淳
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−003633(JP,A)
【文献】 特開昭48−049812(JP,A)
【文献】 特開2015−164895(JP,A)
【文献】 特開2007−156310(JP,A)
【文献】 特開2010−128407(JP,A)
【文献】 特開2008−094691(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0011928(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0292444(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 5/00
C03B 33/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部を切り離すためのスクライブラインが表面に形成された第1基板と、前記第1基板の裏面に貼り合わされた第2基板とを有する、貼り合わせ基板の分断装置であって、
前記貼り合わせ基板を支持するテーブルと、
前記第1基板側から前記端部を押圧することで、前記端部を前記スクライブラインに沿って分断する押圧装置と、
ガスの流れを発生することで、前記端部を前記第1基板の本体部から剥がして移動させるブロー装置と、
を備えた基板分断装置。
【請求項2】
前記ブロー装置は、前記本体部において前記端部の上方に配置され、前記本体部の前記端部近傍に対して斜めに向いたノズルを有している、請求項1に記載の基板分断装置。
【請求項3】
端部を切り離すためのスクライブラインが表面に形成された第1基板と、前記第1基板の裏面に貼り合わされた第2基板とを有する、貼り合わせ基板の分断方法であって、
前記貼り合わせ基板をテーブルに載置する載置ステップと、
前記第1基板側から前記端部を押圧することで、前記端部を前記スクライブラインに沿って分断する分断ステップと、
ガスの流れを発生することで、前記端部を前記第1基板の本体部から剥がして移動させるブローステップと、
を備えた基板分断方法。
【請求項4】
前記ブローステップは、前記本体部において前記端部から離れた位置の上方から、前記本体部の端部近傍に対して斜めにガスの流れを当てる、請求項3に記載の基板分断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板分断装置、特に、端部を切り離すためのスクライブラインが表面に形成された第1基板と、第1基板の裏面に貼り合わされた第2基板とを有する、貼り合わせ基板の分断装置に関する。また、本発明は、基板分断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置は、液晶層を間に介在するように第1基板と第2基板とがシール材によって貼り合わされる、貼り合わせ基板によって構成される。このような貼り合わせ基板において、上記の基板のうちの一方(例えば、第1基板)にカラーフィルタがパターン形成され、他方の基板(例えば、第2基板)にTFT(Thin Film Transistor)及び接続端子が形成されている。
【0003】
上記の貼り合わせ基板において、外部の電子機器と接続するためには、第2基板に形成された接続端子を露出させる必要がある。液晶装置である貼り合わせ基板において、接続端子が形成された面を露出させる(貼り合わせ基板のうちの一方の基板の内側面を露出させる)ための基板の分離方法が、特許文献1に示されている。
【0004】
特許文献1では、まず、スクライブライン形成時に、第1基板にスクライブラインを形成するカッターの配置位置と、第2基板にスクライブラインを形成するカッターの配置位置と、をずらしてスクライブラインを形成する。その後、切れ端となる方の貼り合わせ基板(端材)と、装置となる方の貼り合わせ基板とを分離して接続端子を露出させる際に、端材をチャック部材により保持した状態にてチャック部材を、装置となる方の貼り合わせ基板から遠ざける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−250871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、チャック部材にて端材を保持し移動させる方法により端材を除去する場合、端材が、装置となる方の貼り合わせ基板の接続端子が形成された面を強く押さえつけないように、チャック部材の位置を精度よく調整する必要がある。なぜなら、接続端子が形成された面が端材により強い力にて押さえつけられた状態で端材を移動させると、接続端子が損傷する(例えば、接続端子に傷が形成される)からである。
【0007】
すなわち、従来の端材の分離方法では、チャック部材の位置の高精度な調整が必要となる。さらに、端材が貼り合わせ基板のうちの一方の基板にのみ形成される場合には、端材をチャック部材により保持することができないという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、スクライブラインを形成後に端材を除去して貼り合わせ基板のいずれかの基板の内側面を露出させる場合において、より単純な方法にて、端材を、露出しようとしている面を損傷させることなく除去することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面に係る基板分断装置は、端部を切り離すためのスクライブラインが表面に形成された第1基板と、第1基板の裏面に貼り合わされた第2基板とを有する、貼り合わせ基板の分断装置である。
基板分断装置は、テーブルと、押圧装置と、ブロー装置と、を備えている。
テーブルは、貼り合わせ基板を支持する。
押圧装置は、第1基板側から端部を押圧することで、端部をスクライブラインに沿って分断する。
ブロー装置は、ガスの流れを発生することで、端部を第1基板の本体部から剥がして移動させる。
【0010】
この装置では、従来のように端部を保持して第1基板の本体部から移動させるのではなく、ブロー装置により発生させたガスの流れにより、端部を第1基板の本体部から剥がして移動させる。
【0011】
このような分断によって、端部を第1基板の本体部から移動させる際に、端部の移動中の位置を精度よく調整しなくとも、端部が第2基板の表面を押圧することがなくなる。その結果、端部を貼り合わせ基板から分離する際に、端部が第2基板の露出面を損傷しなくなる。
【0012】
ブロー装置は、本体部において端部の上方に配置され、本体部の端部近傍に対して斜めに向いたノズルを有していてもよい。ここでは、ブロー装置が上記のノズルを有することにより、端部及び/又は本体部に対して、端部を本体部から移動できる最適なガスの流れを与えることができる。
【0013】
本発明の他の見地に係る基板分断方法は、端部を切り離すためのスクライブラインが表面に形成された第1基板と、第1基板の裏面に貼り合わされた第2基板とを有する、貼り合わせ基板の分断方法である。そして、以下のステップを有している。
【0014】
a:貼り合わせ基板をテーブルに載置する載置ステップ。
【0015】
b:第1基板側から端部を押圧することで、端部を前記スクライブラインに沿って分断する分断ステップ。
【0016】
c:ガスの流れを発生させることで、端部を第1基板の本体部から剥がして移動させるブローステップ。
【0017】
ブローステップは、本体部において端部から離れた位置の上方から、本体部の端部近傍に対して斜めにガスの流れを当ててもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、スクライブラインを形成後に端部を除去して貼り合わせ基板の第2基板の内側面を露出させる場合において、より単純な方法にて、第2基板の露出しようとしている面に過剰な力をかけることなく端材を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態による基板分断装置の模式図。
図2】基板分断方法の押圧ステップを説明するための模式図。
図3】基板分断方法のブローステップを説明するための模式図。
図4】ブローステップにおいて端材が分離される様子を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の一実施形態による基板分断装置の模式図である。この装置は、貼り合わせ基板Gの一方の表面の端部に位置する端材GLを除去するための装置である。貼り合わせ基板Gは、図1に示すように、第1基板G1と、第1基板G1の裏面に貼り合わされた第2基板G2と、から構成されている。ここでは、第1基板G1の表面にスクライブラインSが形成され、このスクライブラインSに沿って端材GLが除去される。
【0021】
分断装置は、押圧装置1と、テーブル2と、ブロー装置3と、を有している。押圧装置1は、図示しないガントリー等の支持機構に、図1の紙面垂直方向に支持されている。押圧装置1は、駆動機構M1によって昇降自在であり、押圧部11を有している。テーブル2は、第1基板G1が上方に位置するようにして、貼り合わせ基板Gが載置される。また、貼り合わせ基板Gは、端材GLがテーブル2の端面からさらに外側に位置するように、すなわち端材GLの下方にテーブル2の載置面が存在しないように配置される。テーブル2は、駆動モータやガイド機構等を含む駆動機構M2によって、図1の左右方向に移動可能である。
【0022】
押圧装置1の押圧部11は、押圧面11aにより、貼り合わせ基板Gに対して、第1基板G1側から端材GLを押圧する。これにより、端材GLはスクライブラインSに沿って分断される。押圧部11は、第1基板G1よりも剛性の低い樹脂等で形成されている。したがって、押圧部11は、端材GLを押圧した際に、弾性変形可能である。
【0023】
ブロー装置3は、第1基板G1の本体部の主面に対して斜め方向にガス(例えば、空気、窒素など)の流れFLを発生することで、押圧部11の押圧により分離された端材GLを、第1基板G1の本体部(端材GLではない方の第1基板G1)から剥がして移動させる。
【0024】
ブロー装置3は、第1基板G1の本体部の端部(端材GLに近い方)の上方において、本体部の端部近傍に対して斜めに向いて配置されたノズル31を有する。ブロー装置3では、ノズル31に接続されたガス供給装置33(ガスボンベなどを含むガスを供給する装置)を制御して、ノズル31から、所定の流速及び圧力を有するガスの流れFLを発生する。これにより、ブロー装置3は、端材GLを第1基板G1から移動できる最適なガスの流れを、端材GLに与えることができる。
【0025】
ガスの流れFLのガス流速や圧力は、例えば、端材GLの大きさや重さに基づいて、適宜調整できる。
【0026】
なお、ノズル31の個数は1個に限られず、例えば、第1基板G1の幅方向に沿って複数のノズルが配置されていてもよい。その他、ノズル31を第1基板G1の幅方向に移動可能となっていてもよい。これにより、第1基板G1(端材GL)の幅方向全体にガスの流れFLを供給して、端材GLを、その姿勢を制御しながら、第1基板G1の本体部から分離できる。
【0027】
次に、貼り合わせ基板Gから第1基板G1の端材GLを分断し、分断された端材GLを第1基板G1から取り除く方法について説明する。
【0028】
まず、第1基板G1及び第2基板G2が貼り合わされた貼り合わせ基板Gを準備し、図示しないスクライブライン形成装置によって、第1基板G1の表面(第2基板G2が貼り合わされていない側の表面)に、スクライブラインSを形成する。
【0029】
次に、貼り合わせ基板Gをテーブル2の載置面に載置する。ここで、貼り合わせ基板Gをテーブル2上に載置する際には、以下のようにして載置する。すなわち、図1に示すように、表面にスクライブラインSが形成された第1基板G1が上方に位置するように、かつスクライブラインS及び端部(端材GLとなる部分)が、テーブル2の載置面からさらに外側に位置するように、貼り合わせ基板Gを配置する。さらに、端材GLが、押圧部11の真下に位置するように配置する。
【0030】
次に、図2に示すように、押圧部11を下降させ、押圧面11aによって端材GLを下方に押圧する。このとき、端材GLの下方にはテーブル2の載置面が存在しないので、押圧部11により端材GL部分を押圧することによって、第1基板G1において、スクライブラインSの直下に形成されていたクラックが基板厚さ方向に伸展し、端材GLがフルカットされる。
【0031】
その後、図3に示すように、押圧部11を上昇させ、ガス供給装置33からノズル31にガスを供給して、ガスの流れFLを発生させる。ノズル31が、本体部の端部近傍(又は主面)に対して斜め(すなわち、垂直でない角度)に向いて配置されているので、ガスの流れFLは、第1基板G1の主面と平行な成分を有する。
【0032】
上記のガスの流れFLの第1基板G1の主面と平行な成分の風圧により、端材GLは、図4に示すように、第1基板G1の本体部から切り離されて、さらに、第1基板G1の本体部から遠ざかる方向へ移動する。
【0033】
このようにして、ガスの流れFLにより、端材GLを何らかの部材にて保持して移動させることなく、非接触にて、第1基板G1の本体部から分離できる。その結果、端材GLの分離中に第2基板G2の露出させる面が端材GLにより押圧されないので、端材GLが当該露出面を損傷することがなくなる。
【0034】
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0035】
前記実施形態では、端材GLを移動させるためのガスとして、空気又は窒素が用いられていたが、端材GLの分離が行われる環境(雰囲気)に応じて、他のガス(例えば、アルゴンなどの不活性ガス)を用いることもできる。
【符号の説明】
【0036】
1 押圧装置
11 押圧部
11a 押圧面
2 テーブル
3 ブロー装置
31 ノズル
33 ガス供給装置
FL ガスの流れ
G 貼り合わせ基板
G1 第1基板
G2 第2基板
GL 端材
S スクライブライン
図1
図2
図3
図4