(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天井材はその側辺部内に縁部から内方へ伸びた一対の切れ目が設けられ、この一対の切れ目の間の部分が下方へ折り曲げられた突面部としてランナーの凹部内に差し入れられる構成を有することを特徴とする請求項1に記載の吊り天井の取り付け構造。
四側辺部にそれぞれ突面部が設けられた天井材が、支持部材の各格子区画部に取り付けられた構成を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の吊り天井の取り付け構造。
天井材が、主体繊維とバインダー繊維を含む繊維構造体の少なくとも一表面又は内部に不燃シートを積層してなる複合繊維構造体からなる請求項1から4の何れかに記載の吊り天井の取り付け構造。
構造躯体から垂下した吊り材の下端に固定されたハンガーカプラーに支持部材が取り付けられ、前記ハンガーカプラーと支持部材との間に天井材を下方へ弾圧付勢する固定手段が設けられた構成を有することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の吊り天井の取り付け構造。
固定手段は、天井材の表面に接するパッドと、このパッドの両端部間にアーチ状に架け渡した線状バネからなることを特徴とする請求項6に記載の吊り天井の取り付け構造。
突面部がランナーの凹部内に差し入れられた天井材と固定手段との間に、押さえ材が取り付けられた構成を有する請求項6から8の何れかに記載の吊り天井の取り付け構造。
構造躯体から垂下した複数の吊り材にハンガーカプラーをそれぞれ取り付け、取り付けられたハンガーカプラー間に、断面略U字形のランナーを縦横に架け渡し、格子状に組み付けて支持部材を形成する工程と、
四側辺内に下方へ折れた突面部がそれぞれ設けられてなる平面視方形状の天井材を、前記支持部材の各格子区画部に上方から被せて、各辺部の突面部をランナーの凹部内に差し入れて係合させるとともに、天井材の周辺部をランナーの凹部上に重ねて各格子区画部に取り付ける工程と、
前記支持部材のランナー同士が十字状に交差した部分に固定手段を取り付けて、天井材の隅角部を固定手段で固定する工程と、
を有して構造躯体の下方に吊り天井を取り付けることを特徴とする吊り天井の施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図示した従来の設置態様にあっては、天井材100はその側辺部を天井レール102の下端部の両側に突出した水平張り出し面102a上に載せて支持されるようになっているが、天井面を室内から見上げたときに、天井レール102の水平張り出し面102aの幅の広さが目に付き、また、水平張り出し面102aと天井材100との段差が小さいため、輪郭がはっきりとしない起伏がなくのっぺりとした天井に見えるものであった。
また、天井材100の縁部100bを天井レール102にビス103で留め付ける作業がしにくく、施工に手間を要するという問題があった。
【0005】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、吊り天井の天井材とこれを支持する支持材を、シャープで奥行感のあるすっきりとした印象を与える外観のものとして、室内から天井を見上げたときの見栄えをより良くするとともに、簡易な作業により施工することができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明の吊り天井の取り付け構造は、構造躯体の下方に吊り下げられた、断面略U字形のランナーが格子状に組み付けられてなる支持部材と、側辺部に下方へ折れた突面部が設けられてなる天井材とを備え、
前記ランナーの凹部内に前記天井材の突面部が差し入れられて、天井材が支持部材上に取り付けられた構成を有することを特徴とする。
【0007】
これによれば、ランナーを格子状に組み付けて支持部材を構成し、天井材の側辺部の下方に折り曲げた突面部をランナーに差し入れるという簡易な作業で天井材を取り付けることができる。また、ランナーは幅の狭いものを用いることができ、支持部材上に天井材が取り付けられることで、天井面を、凹凸が表出した奥行感のある見栄えのよい外観のものに仕上げることが可能である。
【0008】
前記構成の吊り天井の取り付け構造において、天井材として側辺部内に縁部から内方へ伸びた一対の切れ目が設けられた形態のものを用い、この天井材の前記一対の切れ目の間の部分を下方へ折り曲げられた突面部とし、これをランナーの凹部内に差し入れて取り付けるように構成することができる。
【0009】
また、前記構成の吊り天井の取り付け構造において、天井材の四側辺部にそれぞれ突面部を設け、これを支持部材の各格子区画部に取り付けて構成することができる。
天井材の四側辺のうちの少なくとも対向二側辺、或いは隣接二側辺に突面部を設け、これらの突面部をランナーの凹部内に差し入れて、天井材を支持部材上に取り付けるようにしてもよい。
【0010】
前記天井材は、単位面積質量が2.0kg以下の構成のものを用いることができる。
かかる構成のものとしては、例えば、主体繊維とバインダー繊維を含む繊維構造体の少なくとも一表面又は内部に不燃シートを積層してなる複合繊維構造体からなるものがあり、商品名「かるてん」(登録商標:帝人フロンティア株式会社)として販売されている繊維系不燃天井材の利用が好ましい。ガラス繊維などの他の不燃性材料により形成された天井材を用いてもよい。
【0011】
また、前記構成の吊り天井の取り付け構造において、構造躯体から垂下した吊り材の下端に固定されたハンガーカプラーに支持部材が取り付けられ、前記ハンガーカプラーと支持部材との間に天井材を下方へ弾圧付勢する固定手段が設けられた構成とすることができる。
【0012】
前記固定手段としては、天井材の表面に接するパッドと、このパッドの両端部間にアーチ状に架け渡した線状バネからなる構成のものや、下端部に大径の天井材支持部を設けたコイルバネを用いることができる。
【0013】
さらに、突面部がランナーの凹部内に差し入れられた天井材と固定手段との間に、天井材のランナーとの取り付け部をランナーに沿って上方から押さえる押さえ材が取り付けられた構成としてもよい。
【0014】
また、本発明の吊り天井の施工方法は、構造躯体から垂下した複数の吊り材にハンガーカプラーをそれぞれ取り付け、取り付けられたハンガーカプラー間に、断面略U字形のランナーを縦横に架け渡し、格子状に組み付けて支持部材を形成する工程と、
四側辺内に下方へ折れた突面部がそれぞれ設けられてなる平面視方形状の天井材を、前記支持部材の各格子区画部に上方から被せて、各辺部の突面部をランナーの凹部内に差し入れて係合させるとともに、天井材の周辺部をランナーの凹部上に重ねて各格子区画部に取り付ける工程と、
前記支持部材のランナー同士が十字状に交差した部分に固定手段を取り付けて、天井材の隅角部を固定手段で固定する工程と、
の各処理工程を経て構造躯体の下方に吊り天井を取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の吊り天井の取り付け構造によれば、構造躯体の下方に断面略U字形を呈するランナーを格子状に組み付けて支持部材を構成し、天井材の側辺部の下方に折り曲げた部分をランナーに差し入れるという簡易な作業で天井材を取り付けることが可能である。取り付けられた吊り天井は、表面に凹凸が表出した奥行感のある見栄えのよい外観のものに仕上げることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による吊り天井の一実施形態の概略構成を示した断面図である。
【
図2】
図1の支持部材を構成する部材の一つであるハンガーカプラーの外観図である。
【
図3】ランナーを格子状に組み付けて支持部材を構成する工程を説明するための図である。
【
図5】
図4の天井材の四側辺に設けた切れ目に沿って縁部を下方へ折り曲げた状態の外観図である。
【
図6】(A)は
図5の天井材を支持部材のランナーに取り付ける操作を説明するための図、(B)はランナーの両側の天井材を取り付けた状態を示した断面図である。
【
図7】支持部材の十字形にランナーが交差した部分に設置される固定手段の外観図である。
【
図8】支持部材の縁部に設置される固定手段の外観図である。
【
図9】構造躯体の下方に支持部材を吊り下げる工程を説明するための図である。
【
図10】支持部材に天井材を取り付ける工程を説明するための図である。
【
図11】
図7の固定手段を設置した状態の外観図である。
【
図12】
図7の固定手段を設置する工程を説明するための図である。
【
図13】天井材が取り付けられた支持部材の縁部に
図8の固定手段を設置した状態の要部破断概略構成図である。
【
図14】天井材が取り付けられた支持部材の角部に
図8の固定手段を設置した状態の要部破断概略構成図である。
【
図15】本発明の吊り天井の他の実施形態における、天井材が取り付けられた支持部材の十字形にランナーが交差した部分に固定手段を設置した状態の要部破断概略構成図である。
【
図17】他の実施形態における、天井材が取り付けられた支持部材の縁部に固定手段を設置した状態の要部破断概略構成図である。
【
図19】他の実施形態における天井材の外観図である。
【
図20】
図19の天井材の突面部を下方へ折り曲げた状態の要部拡大外観図である。
【
図21】
図19の天井材をランナーの両側に取り付けた状態を示した断面図である。
【
図23】
図22(B)に示した押さえ材を用いた天井材の取り付け構造の他の形態を示した概略構成断面図である。
【
図24】(A)は天井材の側辺部に突面部を複数設けた態様、(B)は天井材に別部材を取り付けて突面部を形成する態様を示した図である。
【
図25】従来の吊り天井の一例の概略構成を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明の技術的思想は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1から
図18は本発明の一実施形態の吊り天井の構成を示している。
図1に示されるように、この吊り天井1は、構造躯体(図示せず)の下方にハンガーカプラー3を介して吊り下げられた支持部材2と、支持部材2上に取り付けられる天井材4と、天井材4を取り付け位置に固定するためにハンガーカプラー3と支持部材2の間に設置される固定手段5,6とを主要な部材として構成されている。
【0019】
支持部材2は、断面略U字形を呈する鋼製の複数のランナー21を、ハンガーカプラー3を介して格子状に組み付けて形成してある。
【0020】
詳しくは、ハンガーカプラー3は、鋼板を折り曲げて形成されており、
図2に示されるように、その主面部31の上部に吊り材7の下端部が挿入される孔部32aを有する折れ片部32を備え、主面部31の下部に、ランナー21内に挿入し得るように略U字形に折り返された折り返し面部33を連ねて形成してある。主面部31と折り返し面部33には、後述するランナー21の端部に形成されたスリット21aが係合するスリット31a,33aとビスなどの留め具が挿入される孔部31b,33bが形成してある。ハンガーカプラー3は、前記折れ片部32の孔部32aに構造躯体から垂下した吊り材7の下端部を通し、折れ片部32の上下両面をナットで締め付けて吊り材7に固定される。
【0021】
ランナー21は、前記吊り材7の配置間隔と略同じ長さのランナーとそれよりも長尺なランナーの二種類のランナーからなり、
図3に示されるように、長尺なランナー21を、吊り材7に固定されたハンガーカプラー3の下部に挿入し、当該ランナー21の両側面に形成されたスリット21aと孔部21bを、ハンガーカプラー3の主面部31と折り返し面部33に形成されたスリット31a,33aと孔部31b,33bとの位置を揃えた状態で、孔部21bと孔部31b及び孔部21bと孔部33bにリベットなどの留め具(図示せず)を留め付けて一体に固定し、固定された長尺なランナー21の両側から、短尺なランナー21,21をあてがい、その端部に形成されたスリット21aを、前記位置を揃えたスリット21aとスリット31a及びスリット21aとスリット33aに、上方から差し込んで係合することで、ランナー21を格子状に組み付けた支持部材2を構成することができる。
【0022】
天井材4は、本形態では有機繊維や無機繊維を主要材料として単位面積質量が2.0kg以下の軽量に形成された化粧材が用いられ、前記支持部材2の縦横のランナー21で区画された一つの格子区画部よりも、縦横の長さが若干大きな寸法で平面視正方形状に形成してある。
【0023】
詳しくは、天井材4は、
図4に示されるように、その四側辺部の中央部分に、適宜な間隔を開けて縁部から内方に伸びた一対の切れ目41,41が形成され、両切れ目41,41で区画された間の部分を、その周辺部4bよりも外方へ突出した突面部4aとしてある。
【0024】
そして、
図5に示されるように、四側辺部の各切れ目41,41で区画された突面部4aを下方へ垂直に折り曲げた状態で、支持部材2の格子区画部に天井材4を被せ、
図6(A)に示されるように、下方に折れた各辺部の突面部4aを周辺のランナー21の凹部内に差し入れて係合させることで、天井材4が支持部材2上に取り付けられるようになっている。
また、このとき、天井材4の周辺部4bがランナー21の凹部上に重なり、
図6(B)に示されるように、ランナー21を挟んで隣接する前記格子区画部に取り付けられた天井材4,4の周辺部4b,4bがともにランナー21の凹部上に重なることで高い遮光効果が得られるようになっている。さらに、同図に示されるように、ランナー21の凹部上で、隣接する天井材4,4の周辺部4b,4b同士が面一に連なるように接し、或いは隙間がほぼなくなる程度まで近づけて配置されることで、取り付けた天井材4が横ずれすることを防止し、当初の取り付け位置に保持することができるようになっている。
【0025】
固定手段5は、
図7に示されるように、合成樹脂製のパッド51の対向端部間に線状バネ52を架け渡して形成されており、支持部材2のランナー21同士が十字状に交差した部分に設置してある。
【0026】
詳しくは、パッド51は、平面視円形乃至楕円形状を呈する板材であり、その側端部に縁部から当該パッドの中心を通って内方へ伸びたスリット51aが設けてあり、その上面全体には多数の凹部51bを縦横に列設して軽量に形成してある。
線状バネ52は、適宜な太さの線状鋼材をアーチ状に湾曲させて形成されたバネであり、その両端部52a,52aをパッド51の対向側端部に形成された穴部(図示せず)に挿入し係合させて、パッド51の両側端部間に架設してある。線状バネ52のアーチ状に湾曲した中央部分は、当該アーチ状に湾曲する軌跡とは逆方向に、弓形に緩やか湾曲させてある。また、線状バネ52は、前記パッド51の穴部に挿通した両端部52a,52aを軸として回転自在となっており、不使用時には
図7に示されるようにパッド51の側方に倒して嵩張らずに保管することができ、使用時には、パッド51の表面の上方に起立させることができるようになっている。また、線状バネ52をパッド51の裏面の上方に起立させて利用することで、パッド51の表裏何れの面も後述する押圧部位として使用できるようになっている。
【0027】
固定手段5は、
図11及び
図12に示されるように、支持部材2のランナー21同士が十字状に交差した部分で、パッド51のスリット51aにハンガーカプラー3の主面部31を係入させて、支持部材2上に取り付けられた前記交差した部分の廻りの四枚の天井材4の各角部の表面にパッド51を重ねて置いた状態で、パッド51の上方に起立させた線状バネ52を弾性変形させつつハンガーカプラー3の折れ片部32の下面に係合させることで設置され、かかる設置状態で、線状バネ52の弾性力によりパッド51が下方へ押圧されてパッド51が重なった前記各天井材4の角部にパッド51から押圧力が加わり、パッド51と支持部材2に挟まった前記各天井材4の角部を下方へ弾圧付勢して各天井材4を取り付け位置に固定することができるようになっている。
【0028】
固定手段6は、
図8に示されるようなコイルバネであり、支持部材2の縁部、つまりランナー21同士がT字状に交差した、又はL字状に交差した部分に設置してある。
【0029】
詳しくは、固定手段6のコイルバネは、そのコイル内径を前記吊り材7の外径よりも若干大きな寸法に設定して吊り材7の外周に装着することができるように形成されているとともに、その下端部に前記コイル内径よりも大きな径で湾曲した天井材支持部61を設け、この天井材支持部61の端部に下方折れ部62を設けて形成してある。
【0030】
固定手段6は、
図13及び
図14に示されるように、支持部材2の縁部において、ハンガーカプラー3の折れ片部32の下方に突出した吊り材7の外周に装着して、その上端部を前記折れ片部32の下部に係合させるとともに、全体を軸方向に圧縮させながら、その下端部の天井材支持部61を支持部材2に取り付けられた天井材4の角部の表面に重ねることで設置される。天井材支持部61の端部の下方折れ部62は、ハンガーカプラー3の主面部31と折り返し面部33の間の空隙部に挿入される。かかる設置状態で、固定手段6であるコイルバネに軸方向に伸長する方向への弾性力が作用して、前記天井材支持部61が重なった天井材4の角部を下方に押圧せしめることで、天井材4を取り付け位置に固定することができるようになっている。
【0031】
これらの部材からなる本形態の吊り天井1は、例えば以下の手順により施工することができる。
【0032】
先ず、構造躯体から垂下した各吊り材7にハンガーカプラー3を固定し、
図9に示されるように、固定されたハンガーカプラー3間にランナー21を縦横に架け渡し、格子状に組み付けて支持部材2を形成する。
【0033】
次いで、
図10に示されるように、支持部材2の各格子区画部に上方から、前記
図5に示された、四側辺部の各切れ目41,41で区画された突面部4aを下方へ垂直に折り曲げた天井材4を被せ、下方に折れた各辺部の突面部4aをランナー21の凹部内に差し入れて係合させるとともに、天井材4の周辺部4bをランナー21の凹部上に重ねて天井材4を各格子区画部に取り付ける。
【0034】
支持部材2上に天井材4を取り付けたならば、
図11に示されるように、支持部材2のランナー21同士が十字状に交差した部分に固定手段5を取り付けて天井材4を固定する。
固定手段5の取り付けは、
図12に示されるように、パッド51の上方に線状バネ52を立ち上げた状態で、パッド51に形成されたスリット51aの先端にハンガーカプラー3の主面部31を係入させ、そのまま、図中の矢符方向へパッド51をスライドさせて、線状バネ52をハンガーカプラー3の折れ片部32の下側に弾性変形させつつ圧入することにより行うことができる。
【0035】
そして、固定手段5を取り付けた後、或いは固定手段5の取り付けと並行して、
図13に示される、支持部材2のランナー21同士がT字状に交差した部分と、
図14に示される、支持部材2のランナー21同士がL字状に交差した部分に、固定手段6であるコイルバネを取り付けて天井材4を固定することにより吊り天井1の施工が完了する。
【0036】
図15から
図22は本発明の他の実施形態の吊り天井の構成を示している。
図示した形態の吊り天井1は、前記
図4に示された、四側辺部に内方に伸びた一対の切れ目41,41を設け、両切れ目41,41で区画された間の部分の外方へ突出した突面部4aが切れ目41,41に沿って下方へ折り曲げられるように形成された天井材4に代えて、
図19に示される、四側辺部に外方へ突出した突面部4aを設け、この突面部4aを下方へ折り曲げられるように形成された天井材4を用いたものである。また、前記下方へ折れた突面部4aをランナー21の凹部内に差し入れた支持部材2の各格子区画部に被せた天井材4の周辺部4bを、ランナー21の凹部に沿って取り付けられた押さえ材8,9で下向きに押さえて、天井材4が支持部材2上に取り付けられるように構成したものである。
【0037】
詳しくは、本形態の天井材4も前記形態と同様に有機繊維や無機繊維を主要材料として単位面積質量が2.0kg以下の軽量に形成された化粧材からなり、
図19に示されるように、前記支持部材2の縦横のランナー21で区画された一つの格子区画部よりも、縦横の長さが若干大きな寸法で平面視正方形状に形成されているとともに、その四側辺部の中央部分に適宜な幅及び長さで外方へ突出した突面部4aをそれぞれ設けて形成してある。そして、各突面部4aは、その上面根元部に沿って点線状に切れ目が設けられ、
図20に示されるように、下方へ垂直に折り曲げることができるように形成してある。
【0038】
天井材4は、前記形態と同様に、突面部4aを下方へ垂直に折り曲げた状態で、支持部材2の格子区画部に被せ、下方に折れた各辺部の突面部4aを周辺のランナー21の凹部内に差し入れることで、支持部材2上に取り付けられるようになっている。
【0039】
このとき、天井材4の周辺部4bがランナー21の凹部上に重なり、
図21に示されるように、ランナー21を挟んで隣接する前記格子区画部に取り付けられた天井材4,4の周辺部4b,4bがともにランナー21の凹部上に重なることで高い遮光効果が得られるとともに、ランナー21の凹部上で、隣接する天井材4,4の周辺部4b,4b同士が面一に連なるように接し、又は隙間がほぼなくなる程度まで近づけて配置され、或いは後述する押さえ材8,9に当接するように配置することで、取り付けた天井材4が横ずれすることを防止し、当初の取り付け位置に保持することができるようになっている。
【0040】
押さえ材8,9は、アルミニウムなどの軽量な鋼材又は合成樹脂材を用いて、前記支持部材2の縦横のランナー21で区画された一つの格子区画部の一辺の長さと略同じ長さに形成されたアングル材である。
【0041】
押さえ材8は、
図22(A)に示されるように、断面T型のアングル材であり、その上面部81を、ランナー21を挟んで隣接する前記格子区画部に取り付けられた天井材4,4の周辺部4b,4b上に架け渡すとともに、その垂下面部82をランナー21の凹部内に差し入れられた突面部4a,4aに当接させて取り付けられるようになっている(
図15及び
図16参照)。
【0042】
また、押さえ材9は、同図(B)に示されるように、断面L型のアングル材であり、その上面部91を支持部材2の縁部のランナー21に取り付けられた天井材4の周辺部4bに重ね合わせるとともに、その折れ面部92を当該ランナー21の凹部内に差し入れられた突面部4aに当接させて取り付けられるようになっている(
図17及び
図18参照)。
【0043】
押さえ材8,9は、前記ランナー21の凹部内に突面部4aを差し入れた天井材4の周辺部4bに上面部81,91を重ね、且つランナー21の凹部内に垂下面部82,折れ面部92を差し入れて支持部材2上に設置した状態で、その長手両端部が固定手段5又は固定手段6により下方へ弾圧付勢されることにより支持部材2上に固定される。押さえ材8,9が固定されることで天井材4の周辺部4bが押さえ材8,9により下方に押さえつけられ、これにより天井材4とランナー21との間にできやすい隙間が完全に密閉されるようになっている。
図23に示されるように、ランナー21を挟んで隣接する前記格子区画部に取り付けられた天井材4,4の周辺部4b,4b上に架け渡される押さえ材8に代えて、二つの押さえ材9,9を隣り合わせに配置して天井材4,4が押さえつけられるようにしてもよい。
【0044】
これらの部材からなる本形態の吊り天井1は、例えば以下の手順により施工することができる。
【0045】
先ず、前記形態と同様に、構造躯体から垂下した各吊り材7にハンガーカプラー3を固定し、固定されたハンガーカプラー3間にランナー21を縦横に架け渡し、格子状に組み付けて支持部材2を形成する。
【0046】
次いで、支持部材2の各格子区画部に上方から、前記
図19及び
図20に示された、四側辺部の設けた突面部4aを下方へ垂直に折り曲げた天井材4を被せ、下方に折れた各辺部の突面部4aをランナー21の凹部内に差し入れるとともに、天井材4の周辺部4bをランナー21の凹部上に重ねて天井材4を各格子区画部に取り付ける。
【0047】
さらに、各格子区画部の各ランナー21に沿って、天井材4に重なるようにして、押さえ材8と押さえ材9を取り付ける。
【0048】
支持部材2上に天井材4と押さえ材8,9を取り付けたならば、
図15示されるように、支持部材2のランナー21同士が十字状に交差した部分の押さえ材8の上面部81に固定手段5のパッド51を重ねて固定手段5を取り付け、パッド51で押さえ材8及び天井材4を押さえつけて固定する。
【0049】
そして、固定手段5を取り付けた後、或いは固定手段5の取り付けと並行して、
図17に示される、支持部材2のランナー21同士がT字状に交差した部分と、支持部材2のランナー21同士がL字状に交差した部分に、固定手段6であるコイルバネを取り付け、コイルバネで押さえ材9及び天井材4を押さえつけて固定することにより吊り天井1の施工が完了する。
【0050】
なお、図示した吊り天井1の構成や固定手段5,6の形態、押さえ材8,9の形態は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、本発明はこれに限定されず、他の適宜な形態で構成することが可能である。
天井材4の側辺部に設ける突面部4aは、
図24(A)に示されるように、各側辺に複数設けてもよい。また、天井材4とは別体に突面部4aを形成し、同図(B)に示されるように、例えば合成樹脂材を用いて軽量なL字アングル材を突面部4aとして形成し、これを天井材4aの側辺部に接着などの固定手段を用いて一体に固定するようにしてもよい。
【0051】
また、実施形態では、天井材4として有機繊維や無機繊維を主要材料として形成されたものを用いたが、適宜な不燃材料、例えばガラス繊維などを用いて軽量に形成されたシート材や布材などからなる天井材を用いてもよい。天井材4は、その形成材料や厚みなどによっては、曲げに対する反発力が大きく、切れ目41,41の間の部分や外方へ突出した突面部4aを直角に折り曲げても元の位置に弾性回復することがある。その場合、前記折り曲げた部位をその曲げ位置に維持させるための加工、例えば天井材4の表面に、アルミニウム製のシートやフィルム、或いはその他の材料からなるシートやフィルムを貼り合わせるなどの、天井材のスプリングバッグ性を低下させるための加工を適宜に施すことで対応可能である。例えば前記図示した形態では、天井材4を支持部材2に取り付けたときに天井材4が構造躯体に向き合う側の面(
図5における突面部4aの折り曲げ方向とは逆側の面)にアルミニウム製のシートを貼り合わせることで天井材4の曲げに対する復元性を低下させることが可能である。
前記固定手段5,6に代えて、粘着テープなどを用いてもよい。
【解決手段】構造躯体の下方に吊り下げられた、断面略U字形のランナーが格子状に組み付けられてなる支持部材と、四側辺部内に突面部が形成されてなる天井材とを備える。天井材は、突面部が下方へ折り曲げられ、この下方へ折り曲げられた部分をランナーの凹部内に差し入れて支持部材上に取り付ける。