(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6746207
(24)【登録日】2020年8月7日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】杭打機及び杭打機の積載方法
(51)【国際特許分類】
B60S 9/02 20060101AFI20200817BHJP
B62D 55/06 20060101ALI20200817BHJP
E02D 7/14 20060101ALI20200817BHJP
B66C 23/78 20060101ALN20200817BHJP
E02F 9/08 20060101ALN20200817BHJP
【FI】
B60S9/02
B62D55/06
E02D7/14
!B66C23/78 A
!E02F9/08 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-133937(P2016-133937)
(22)【出願日】2016年7月6日
(65)【公開番号】特開2018-2043(P2018-2043A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】武藤 啓志
【審査官】
神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−053296(JP,A)
【文献】
実開昭55−153257(JP,U)
【文献】
実開昭55−096934(JP,U)
【文献】
特開2015−178733(JP,A)
【文献】
実開昭63−119463(JP,U)
【文献】
特開平11−100191(JP,A)
【文献】
特開2006−016208(JP,A)
【文献】
韓国登録特許第10−0790919(KR,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0055789(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 9/00 − 9/22
E02F 9/08
E02F 9/16
E02D 7/00
E02D 7/14
B66C 23/78
B62D 55/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックフレームと前記トラックフレームに着脱可能に設けられた左右一対のクローラとを備えた下部走行体、及び、該下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体からなるベースマシンと、前記上部旋回体の前部に着脱可能に設けられたフロントブラケットと、該フロントブラケットの前端部に起伏可能に設けられたリーダと、前記フロントブラケットの両側面にそれぞれ設けられたフロントジャッキと、前記上部旋回体の後部に設けられたアウトリガジャッキとを備えた杭打機であって、前記下部走行体におけるトラックフレームの前面部及び後面部に、ベースマシン積み降ろし用のジャッキ装置をそれぞれ1基ずつ設けたことを特徴とする杭打機。
【請求項2】
前記ジャッキ装置は、前記トラックフレームの前面部又は後面部に、水平方向に回動可能に取り付けられた回動アームと、該回動アームの先端部に取り付けられたジャッキシリンダとを備え、前記ジャッキシリンダは、前記トラックフレームの前面部及び後面部を輸送車の荷台の側方に向けた状態で、前記回動アームの回動により、前記輸送車の荷台の外側に位置する積み降ろし位置と、前記輸送車の荷台の幅内に収まる格納位置とに移動可能に形成されていることを特徴とする請求項1記載の杭打機。
【請求項3】
前記ジャッキシリンダは、前記回動アームの先端部に対して、該ジャッキシリンダの軸線を鉛直方向に向けた積み降ろし方向と、該積み降ろし方向に対して傾斜した格納方向とに傾動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の杭打機。
【請求項4】
前記回動アームは、前記トラックフレームの前面部又は後面部の幅方向中心に対して、幅方向一側に偏位した位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項2又は3記載の杭打機。
【請求項5】
トラックフレームと前記トラックフレームに着脱可能に設けられた左右一対のクローラとを備えた下部走行体、及び、該下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体からなるベースマシンと、前記上部旋回体の前部に着脱可能に設けられたフロントブラケットと、該フロントブラケットの前端部に起伏可能に設けられたリーダと、前記フロントブラケットの両側面にそれぞれ設けられたフロントジャッキと、前記上部旋回体の後部に設けられたアウトリガジャッキとを備えた杭打機の積載方法であって、前記フロントブラケットから前記リーダを取り外した後、前記フロントジャッキ及びアウトリガジャッキを伸長させた状態で前記トラックフレームからクローラを取り外す段階と、前記上部旋回体に対してトラックフレームを90度回転させた後、該トラックフレームの前面部及び後面部にそれぞれ1基ずつ設けたベースマシン積み降ろし用のジャッキ装置を格納位置から積み降ろし位置に移動させてから伸長させてアウトリガジャッキ及びジャッキ装置でベースマシンを支持する段階と、前記上部旋回体からフロントブラケットを取り外す段階と、前記アウトリガジャッキ及び前記ジャッキ装置を更に伸長させてベースマシンを上昇させる段階と、上昇したベースマシンの下方に輸送車の荷台を進入させる段階と、アウトリガジャッキ及びジャッキ装置を短縮させて前記輸送車の荷台上にベースマシンを載置する段階と、前記ジャッキ装置を積み降ろし位置から格納位置に戻す段階とを順次行うことを特徴とする杭打機の積載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打機及び杭打機の積載方法に関し、詳しくは、ベースマシンからリーダやクローラを取り外して輸送する大型の杭打機及び該杭打機におけるベースマシンを荷台に積載するための積載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
杭打機は、一般的に、クローラを備えた下部走行体の上部に上部旋回体を旋回可能に設け、該上部旋回体の前部に設けられたフロントブラケットにリーダを起伏可能に設けるとともに、上部旋回体に、駆動源となるエンジンや、ウインチ、制御機器などを搭載した構成を有している。小型乃至中型の杭打機は、リーダを上部旋回体の後方に向けて倒すことにより、低床トレーラの荷台に積載して輸送することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、大型の杭打機を輸送する際には、寸法や重量といった輸送制限をクリアするため、下部走行体及び上部旋回体からなるベースマシンを輸送可能な形態にするため、リーダやフロントブラケットなどを取り外すようにしており、さらに、重量や幅寸法によっては、下部走行体からクローラを取り外すことが行われている。しかし、下部走行体からクローラを取り外すと、自走することができなくなるため、荷台への積み降ろしの際にクレーンで吊り上げる必要があるが、重量物であることから、大型のクレーンを必要とするなどの問題があった。このため、一部のクローラクレーンでは、下部走行体におけるトラックフレームの前後各2箇所にジャッキアップ装置を設け、該ジャッキアップ装置を使用することにより、クローラの拡縮及び着脱を行ったり、荷台への積み降ろしの際にベースマシンを昇降できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−178733号公報
【特許文献2】特開2006−16208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、大型の杭打機では、上部旋回体の前後にフロントジャッキ及びリアジャッキ(アウトリガジャッキ)が設けられているため、クローラを着脱する際には、これらのジャッキを利用してベースマシンを上昇させることにより行うことができる。また、これらのジャッキでベースマシンを十分に上昇させることにより、荷台へのベースマシンの積み降ろしを行うことができる。しかし、フロントジャッキは、上部旋回体の前端部に設けられたフロントブラケットに取り付けられており、フロントブラケットは、リーダを起伏可能、傾動可能に支持するために強固な構造を有していることから、大型で、重量物であるため、フロントブラケットを装着したままのベースマシンを荷台に積載して走行することはできない。したがって、荷台上でフロントブラケットの着脱を行う必要があるが、大型で重量物であるフロントブラケットを荷台上で着脱する作業は、極めて困難であった。
【0006】
また、前記クローラクレーンのように、トラックフレームの前後各2箇所にジャッキアップ装置を設けることも考えられるが、4箇所にジャッキアップ装置を設けるためにコスト上昇を招くことになる。また、ジャッキアップ装置同士の間隔を十分に広くできないため、大型杭打機のベースマシンを上昇させたときの安定性に難点があった。
【0007】
そこで本発明は、リーダやクローラを取り外した状態のベースマシンを、積み降ろしする際の作業を安定した状態で、容易に行うことができる構造を備えた杭打機を提供するとともに、該杭打機を荷台に積載するための杭打機の積載方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の杭打機は、
トラックフレームと前記トラックフレームに着脱可能に設けられた左右一対のクローラ
とを備えた下部走行体
、及び
、該下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体からなるベースマシンと、前記上部旋回体の前部に着脱可能に設けられたフロントブラケットと、該フロントブラケットの前端部に起伏可能に設けられたリーダと、前記フロントブラケットの両側面にそれぞれ設けられたフロントジャッキと、前記上部旋回体の後部に設けられたアウトリガジャッキとを備えた杭打機
であって、前記下部走行体におけるトラックフレームの前面部及び後面部に、ベースマシン積み降ろし用のジャッキ装置をそれぞれ1基ずつ設けたことを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明の杭打機は、前記ジャッキ装置が、前記トラックフレームの前面部又は後面部に、水平方向に回動可能に取り付けられた回動アームと、該回動アームの先端部に取り付けられたジャッキシリンダとを備え、前記ジャッキシリンダが、前記トラックフレームの前面部及び後面部を輸送車の荷台の側方に向けた状態で、前記回動アームの回動により、前記輸送車の荷台の外側に位置する積み降ろし位置と、前記輸送車の荷台の幅内に収まる格納位置とに移動可能に形成されていることを特徴としている。
【0010】
加えて、前記ジャッキシリンダが、前記回動アームの先端部に対して、該ジャッキシリンダの軸線を鉛直方向に向けた積み降ろし方向と、該積み降ろし方向に対して傾斜した格納方向とに傾動可能に取り付けられていること、前記回動アームが、前記トラックフレームの前面部又は後面部の幅方向中心に対して、幅方向一側に偏位した位置にそれぞれ設けられていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の杭打機の積載方法は、
トラックフレームと前記トラックフレームに着脱可能に設けられた左右一対のクローラ
とを備えた下部走行体
、及び
、該下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体からなるベースマシンと、前記上部旋回体の前部に着脱可能に設けられたフロントブラケットと、該フロントブラケットの前端部に起伏可能に設けられたリーダと、前記フロントブラケットの両側面にそれぞれ設けられたフロントジャッキと、前記上部旋回体の後部に設けられたアウトリガジャッキとを備えた杭打機
の積載方法
であって、
前記フロントブラケットから前記リーダを取り外した後、前記フロントジャッキ及びアウトリガジャッキを伸長させた状態で前記
トラックフレームからクローラを取り外す段階と、前記
上部
旋回体に
対してトラックフレームを90度回転させた後、該トラックフレームの前面部及び後面部にそれぞれ1基ずつ設けたベースマシン積み降ろし用のジャッキ装置を格納位置から積み降ろし位置に移動させてから伸長させてアウトリガジャッキ及びジャッキ装置でベースマシンを支持する段階と、前記上部旋回体からフロントブラケットを取り外す段階と、前記アウトリガジャッキ及び前記ジャッキ装置を更に伸長させてベースマシンを上昇させる段階と、上昇したベースマシンの下方に輸送車の荷台を進入させる段階と、アウトリガジャッキ及びジャッキ装置を短縮させて前記輸送車の荷台上にベースマシンを載置する段階と、前記ジャッキ装置を積み降ろし位置から格納位置に戻す段階とを順次行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トラックフレームに設けたベースマシン積み降ろし用のジャッキ装置とアウトリガジャッキとを使用することにより、輸送車の荷台への積み降ろしを安定した状態で容易に行うことができ、積み降ろし用のクレーンを必要とせず、荷台上でのフロントブラケットの着脱も必要なくなるので、大型の杭打機を輸送する際のコストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の杭打機の一形態例を示す作業状態の側面図である。
【
図2】リーダ及びバックステーを取り外したベースマシンの側面図である。
【
図4】クローラ着脱状態を示すベースマシンの側面図である。
【
図5】フロントブラケット着脱状態を示すベースマシンの側面図である。
【
図6】荷台に積載したベースマシンのアウトリガジャッキ着脱状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図は本発明の杭打機及び積載方法を示すもので、
図1は、作業状態の杭打機を示している。杭打機11は、下部走行体12及び該下部走行体12の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体13からなるベースマシン14と、前記上部旋回体13の前部に着脱可能に設けられたフロントブラケット15と、該フロントブラケット15の前端部に起伏可能に設けられたリーダ16と、前記フロントブラケット15の両側面にそれぞれ設けられた左右一対のフロントジャッキ17と、前記上部旋回体13の後部に着脱可能に設けられた左右一対のアウトリガジャッキ18と、前記リーダ16を上部旋回体13の後部から支持する左右一対のバックステー19と、前記上部旋回体13の後部上方に設けられた屈曲可能なガントリ20とを備えている。
【0015】
リーダ16の前面には、図示しないオーガなどの作業装置がリーダ16に沿って昇降可能に設けられており、上部旋回体13に搭載した複数のウインチドラムにそれぞれ巻回した各ワイヤを巻き取ったり、巻き出したりするとともに、上部旋回体13に搭載した油圧ユニットを作動させることにより、作業装置の昇降を含めた各種作業を行うようにしている。
【0016】
前記下部走行体12は、トラックフレーム21と、該トラックフレーム21に着脱可能に設けられた左右一対のクローラ22,22とを有するもので、トラックフレーム21は、上部旋回体13を支持する旋回ベアリング23を備えたセンター部材24と、該センター部材24の前後にそれぞれ設けられた前後一対のアクスル部材25,25とによって平面視が略H字状に形成されている(
図7参照)。アクスル部材25の両端には、クローラ22のフレーム22aに形成された取付孔22bに挿通されるクローラ装着部25aがそれぞれ設けられている。
【0017】
図7及び
図8に示すように、トラックフレーム21の前面部21a及び後面部21bには、ベースマシン14を輸送車の荷台に積み降ろしする際に使用するベースマシン積み降ろし用のジャッキ装置26がそれぞれ1基ずつ設けられている。ジャッキ装置26は、トラックフレーム21の前面部21a又は後面部21bに取り付けられた回動アーム27と、該回動アーム27の先端部に取り付けられたジャッキシリンダ28とを備えている。
【0018】
回動アーム27は、トラックフレーム21の前面部21a又は後面部21bの中央より左側に変位した位置にそれぞれ固着されたコ字状のアームブラケット29に、鉛直方向の回動軸30によって水平方向に回動可能に取り付けられており、回動アーム27の基端上部には、アームブラケット29の上辺部材29aに設けられた固定孔31a,31bに対応した係止孔27aが設けられている。
【0019】
したがって、回動アーム27は、係止孔27aを一方の固定孔31aに合わせて固定ピン32を挿通することにより、前面部21a又は後面部21bに沿った状態の格納位置で固定され、係止孔27aを他方の固定孔31bに合わせて固定ピン32を挿通することにより、前面部21a又は後面部21bに対して直角に突出した状態の積み降ろし位置で固定される。このように形成することにより、両ジャッキシリンダ28,28を、格納位置では輸送車の荷台幅内に収めることができるとともに、積み降ろし位置では、両ジャッキシリンダ28,28間の間隔を輸送車の荷台幅より広い間隔にすることができる。
【0020】
また、ジャッキシリンダ28のシリンダ中央部には、鉛直方向の傾動用突片28aが突設されるとともに、傾動用突片28aよりシリンダ上部には係止突片28bが突設されている。傾動用突片28aの上部は、回動アーム27の先端上部に設けられた水平方向の傾動ピン33によって鉛直方向に傾動可能に取り付けられており、傾動用突片28aの下部には、回動アーム27の先端下部に設けられた固定孔27bに対応した係止孔28cが設けられている。さらに、回動アーム27の上面には、係止突片28bに対応した固定突片27cが設けられており、係止突片28b及び固定突片27cには、固定ピン34を挿通するためのピン挿通孔28d,27dがそれぞれ設けられている。
【0021】
したがって、係止突片28bのピン挿通孔28dと固定突片27cのピン挿通孔27dとを合わせて固定ピン34を挿通することにより、ジャッキシリンダ28を斜めに傾けた状態で固定でき、傾動用突片28aの係止孔28cと回動アーム27の固定孔27bとを合わせて固定ピン34を挿通することにより、ジャッキシリンダ28を鉛直方向に向けた状態で固定できる。
【0022】
杭打機11の作業中におけるジャッキ装置26は、回動アーム27をトラックフレーム21の前面部21a又は後面部21bに沿った状態とし、ジャッキシリンダ28を斜めに傾けた状態とした格納状態で固定されている(
図3参照)。
【0023】
次に、作業状態の前記杭打機11を輸送する際の手順を、
図4乃至
図8を参照して説明する。まず、従来と同様に、寸法や重量といった輸送制限をクリアするため、ベースマシン14からリーダ16,バックステー19,カウンタウエイトなどを取り外し、ガントリ20を屈曲させる。そして、
図4に示すように、フロントジャッキ17及びアウトリガジャッキ18を伸長させてベースマシン14を上昇させ、クローラ22を着脱可能な状態とし、アクスル部材25からクローラ22を取り外す。ここまでは、従来と同様の手順である。また、フロントジャッキ17及びアウトリガジャッキ18の接地板下部には、必要に応じてスペーサ35が配置される。
【0024】
図5に示すように、クローラ22を取り外した後、旋回操作を行い、上部旋回体13に対してトラックフレーム21を90度回転させる。このとき、ベースマシン積み降ろし用のジャッキ装置26がベースマシン14の前部側に位置するように、トラックフレーム21の回転方向を設定する。また、係止孔27a及び一方の固定孔31aから固定ピン32を抜き取り、回動軸30を中心にして回動アーム27を水平方向に回動させ、トラックフレーム21の前面部21a又は後面部21bに沿った格納位置から、トラックフレーム21の前面部21a又は後面部21bから外方に向かって直角に突出した積み降ろし位置に回動させた後、固定ピン32を係止孔27a及び他方の固定孔31bに挿通し、回動アーム27を積み降ろし位置に固定する。
【0025】
さらに、係止突片28b及び固定突片27cのピン挿通孔28d,27dから固定ピン34を抜き取り、ジャッキシリンダ28を傾動ピン33を中心にして鉛直方向に回動させ、固定孔27b及び係止孔28cに固定ピン34を挿通することにより、ジャッキシリンダ28を鉛直方向に固定する。そして、ジャッキシリンダ28を伸長させ、ジャッキシリンダ28とアウトリガジャッキ18とでベースマシン14を支持した状態にした後、フロントジャッキ17を短縮させるとともに、フロントジャッキ17を含むフロントブラケット15を上部旋回体13から取り外す。さらに、ジャッキシリンダ28及びアウトリガジャッキ18を伸長させてベースマシン14を輸送車の荷台36より高い位置に上昇させ、輸送車をバックさせて荷台36をベースマシン14の下方に進入させる。また、ジャッキシリンダ28の接地板下部にも、必要に応じてスペーサ37を配置する。
【0026】
図6乃至
図8に示すように、荷台36の上に所定の固定治具38を設置してからジャッキシリンダ28及びアウトリガジャッキ18を短縮させてベースマシン14を荷台36に積載した後、アウトリガジャッキ18を上部旋回体13から取り外すとともに、固定ピン32,34を抜き差しすることにより、ジャッキシリンダ28を鉛直方向の積み降ろし状態から斜めに傾斜させた格納状態に固定してから回動アーム27を格納位置に戻して固定する。これにより、ジャッキ装置26を荷台36の幅内に収めることができる。また、アウトリガジャッキ18は、形状、重量によっては、上部旋回体13に取り付けたままにすることもできる。
【0027】
このように、トラックフレーム21の前面部21a及び後面部21bにそれぞれ設けたベースマシン積み降ろし用のジャッキ装置26を使用することにより、クローラ22を取り外したベースマシン14を容易に荷台36の上に積載することができる。また、フロントブラケット15の取り外しも、地上で容易に行うことができる。このような手順を逆に行うことにより、分解して輸送されてきた杭打機を組み立てることができる。さらに、ジャッキシリンダ28を、トラックフレーム21に回動可能に設けた回動アーム27に傾動可能に取り付けたことにより、ジャッキ装置26をベースマシン14に一体化できるので、積み降ろし作業をより容易に行うことができる。また、ジャッキ装置26を偏位した位置に設けたことにより、アウトリガジャッキ18からの距離を拡げることができるので、ベースマシン14を安定した状態で支持することができる。
【0028】
なお、ジャッキ装置は、トラックフレームの前面部及び後面部に着脱可能に設けることもできる。また、回動アームに代えてトラックフレームの内外方向に出没可能な直動式のアームでジャッキシリンダを支持することもでき、トラックフレームの高さに対するジャッキシリンダの長さによっては傾動構造を省略することも可能である。
【符号の説明】
【0029】
11…杭打機、12…下部走行体、13…上部旋回体、14…ベースマシン、15…フロントブラケット、16…リーダ、17…フロントジャッキ、18…アウトリガジャッキ、19…バックステー、20…ガントリ、21…トラックフレーム、21a…前面部、21b…後面部、22…クローラ、22a…フレーム、22b…取付孔、23…旋回ベアリング、24…センター部材、25…アクスル部材、25a…クローラ装着部、26…ジャッキ装置、27…回動アーム、27a…係止孔、27b…固定孔、27c…固定突片、27d…ピン挿通孔、28…ジャッキシリンダ、28a…傾動用突片、28b…係止突片、28c…係止孔、28d…ピン挿通孔、29…アームブラケット、29a…上辺部材、30…回動軸、31a,31b…固定孔、32…固定ピン、33…傾動ピン、34…固定ピン、35…スペーサ、36…荷台、37…スペーサ、38…固定治具