特許第6746213号(P6746213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6746213-シートベルトのバックル収納構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6746213
(24)【登録日】2020年8月7日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】シートベルトのバックル収納構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/00 20060101AFI20200817BHJP
   B60R 22/26 20060101ALI20200817BHJP
【FI】
   B60R22/00 201
   B60R22/26
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-189136(P2016-189136)
(22)【出願日】2016年9月28日
(65)【公開番号】特開2018-52249(P2018-52249A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】野村 秀政
(72)【発明者】
【氏名】浜浪 崇
(72)【発明者】
【氏名】星島 清人
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−301976(JP,A)
【文献】 実開昭58−146750(JP,U)
【文献】 特開2012−126164(JP,A)
【文献】 特開2010−208431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシートを構成するシートクッションの内部に、シートベルトのバックルを出没可能に収納するシートベルトのバックル収納構造において、
前記シートクッションに形成された車両前後方向よりも車幅方向に長い形状を有する収納凹部と、
端部が前記シートの固定部に固定され前記収納凹部を介して前記シートクッションの外部に導出されたバックルと、
前記収納凹部に設けられ前記バックルが車両前後方向に向くように前記バックルの導出方向を規制する規制手段と
を備え
前記規制手段は、前記収納凹部内に配設され、一端が前記バックルのウェビングとの接続部分に固定され、他端が前記シートクッション側に固定された弾性部材であることを特徴とするシートベルトのバックル収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートを構成するシートクッションに、シートベルトのバックルを出没可能に収納するリアシートベルトのバックル収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の3人掛け用のリアシートに設けられる3点式シートベルトは、例えば特許文献1に記載のように、天井やシートバックなどの所定の3箇所に設けられたベルト部分であるウェビングを巻き取る巻取り装置(リトラクタ)と、シートクッションに設けられたバックルとを備えている。そして、シートベルトの使用時に、巻取り装置からウェビングを引き出し、ウェビングに設けられたタングをバックルに係合させてウェビングにより乗員を拘束する。
【0003】
このとき、一部のバックルには、シートクッションに設けられた収納部に出没可能に収納される構成が採用され、使用時に収納部からバックルを取り出して露出させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−524549号公報(段落0022〜0024および図1図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のバックル収納構造では、バックルは車両の車幅方向を向いて収納部から出没するように収納されており、しかも3人掛けのリアシートのシートバックが分割して一部が傾倒可能に構成されているため、シートバックを前方に倒したときに、収納部から露出されたバックルがシートバックとシートクッションとの間から食み出した状態のままシートバックが倒されることによって、食み出したバックルがシートフレームなどの剛性を有するシート構造物に干渉し、バックルが破損してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、シートを倒すなどしても、シートクッションから露出した状態のバックルが、剛性を有するシート構造物に干渉して破損するのを未然に防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明のシートベルトのバックル収納構造は、車両のシートを構成するシートクッションの内部に、シートベルトのバックルを出没可能に収納するシートベルトのバックル収納構造において、前記シートクッションに形成された車両前後方向よりも車幅方向に長い形状を有する収納凹部と、端部が前記シートの固定部に固定され前記収納凹部を介して前記シートクッションの外部に導出されたバックルと、前記収納凹部に設けられ前記バックルが車両前後方向に向くように前記バックルの導出方向を規制する規制手段とを備え、前記規制手段は、前記収納凹部内に配設され、一端が前記バックルのウェビングとの接続部分に固定され、他端が前記シートクッション側に固定された弾性部材であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両前後方向よりも車幅方向に長い形状の収納凹部に配設され、一端がバックルのウェビングとの接続部分に固定され、他端がシートクッション側に固定された弾性部材である規制手段により、シートクッションの収納凹部から導出されたバックルが車両前後方向に向くようにバックルの導出方向が規制されるため、一部のシートバックが傾倒する構成であっても、バックルが傾倒したシートバックとシートクッションとの間から食み出すことを防止でき、シートを倒すなどしても、シートクッションから露出した状態のバックルが、剛性を有するシート構造物に干渉して破損するのを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るリアシートベルトのバックル収納構造の一実施形態におけるリアシートの斜視図である。
図2図1における収納凹部の斜視図である。
図3図2のX−X線における断面図である。
図4図1のバックルの固定状態を示す概略図である。
図5図1のバックル周辺部分の斜視図である。
図6図1のバックルのある状態における斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るシートベルトのバックル収納構造をリアシートに適用した一実施形態について、図1ないし図6を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態でいう前後、左右とはシートに着座した状態で見た前後、左右を意味する。
【0011】
図1に示すように、3人掛けのリアシート1は、シートバック1aおよびシートクッション1bを備え、例えば6対4の比率でシートバック1a1,1a2およびシートクッション1b1,1b2が分割されており、シートバック1a1,1a2が前方に傾倒可能に構成されている。このリアシート1には、3人の乗員をそれぞれ拘束するための3点式リアシートベルトが設けられ、それぞれのベルト部分であるウェビングを巻き取る巻取り装置(リトラクタ)は、天井やシートバックなどの所定の3箇所に設けられ、シートクッション1bの所定の3箇所には各ウェビングに設けられたタングを係脱自在に係合するバックルが設けられている。
【0012】
そして、図1に示すように、シートクッション1b2に収納凹部2が設けられ、この収納凹部2に1つのバックル3が出没可能に収納されている。このとき、図2に示すように、収納凹部2は、シートクッション1b2のシートパッドに形成された車両の前後方向よりも車幅方向に長い形状の開口と、この開口の一部を閉塞する布カバー2aとを備えている。
【0013】
詳細には、図3に示すように、シートパッド1cに車両前後方向よりも車幅方向に長い形状の開口1dが形成され、この開口1dの前側を除く部分に布カバー2aが配設されて、シートクッション1b2の表皮1eと布カバー2aの左右側および後側の3箇所とが縫合され、これによりバックル3の厚みと同等または若干小さい幅を有する車幅方向に長い導出口2bが形成され、この布カバー2bのない導出口2bからバックル3を出没させることができるようになっている。ここで、布カバー2aは伸縮性を有するため、導出口2bからバックル3を導出する際に、布カバー2aが伸びて簡単にバックル3を導出口2bから導出することができる。また、布カバー2aにより、導出口2bがバックル3の厚みと同等または若干小さい幅で車幅方向に長く形成されることで、導出口2bからのバックル3の導出方向を車両前後方向に規制することに寄与する。
【0014】
ところで、バックル3は、図4に示すように、バックル本体3aに短いウェビング3bの一端が接続され、このウェビング3bの他端が、シート構造物または車両構造物などの固定物に固定されたL字状のブラケット5に接続されて構成され、バックル本体3aが収納凹部2の導出口2bから出没可能に収納されるようになっている。
【0015】
さらに、図5に示すように、バックル本体3aとウェビング3bとの接続部分に、収納凹部2内部に配設されたゴムバンド6の一端が固定され、このゴムバンド6の他端は、図3に示すように、シートクッション1b2の下面側に配設されているS字ばね8の固定されており、収納凹部2の導出口2bから導出されたバックル3のバックル本体3aが車両前後方向に向く方向に付勢されている。
【0016】
このように、導出口2bおよびゴムバンド6の作用により、図6に示すように、収納凹部2の導出口2bから導出されるバックル3の導出方向が車両前後方向に向くように規制され、これら導出口2bおよびゴムバンド6が本発明における規制手段に相当する。
【0017】
そして、収納凹部2の導出口2bから導出されるバックル3の導出方向が車両前後方向に向くように規制することによって、シートバック1a2が傾倒する構成において、例えばバックル3が傾倒したシートバック1a2とシートクッション1b2との間から食み出すのを防止することができ、シートバック1a2を倒しても、シートクッション1b2から露出した状態のバックル3が剛性を有するシート構造物に干渉することがない。
【0018】
したがって、上記した実施形態によれば、収納凹部2に設けられた幅の狭い導出口2bおよびゴムバンド6により、シートクッション1b2の収納凹部2から導出されたバックル3が車両前後方向に向くようにバックル3の導出方向が規制されるため、シートバック1a2を倒しても、バックル3が傾倒したシートバック1a2とシートクッション1b2との間から食み出すのを確実に防止することができ、シートバック1a2を倒したときに、シートクッション1b2から露出した状態のバックル3が、剛性を有するシート構造物に干渉して破損するのを未然に防止することができる。
【0019】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。
【0020】
例えば、上記した実施形態では、本発明における規制手段を、バックル本体3aの厚みよりも幅の狭い車幅方向に長い導出口2bおよび付勢力を有するゴムバンド6により構成した例を示したが、ゴムバンド6を設けずに、収納凹部2の導出口2bのみにより、導出口2bから導出されるバックル3の導出方向が車両前後方向を向くよう規制するようにしてもよい。さらに、規制手段としてのゴムバンド6に代わり、ばね材その他の弾性部材を使用してもよい。
【0021】
また、上記した実施形態では、本発明に係るシートベルトのバックル収納構造をリアシートに適用した場合について説明したが、リアシート以外のシートであって、シートクッション内部に収納されたバックルを導出して使用する構成のシートであれば、本発明と同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 …リアシート
1b1,1b2 …シートクッション
2 …収納凹部
2b …導出口(規制手段)
3 …バックル
6 …ゴムバンド(規制手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6