特許第6746214号(P6746214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6746214
(24)【登録日】2020年8月7日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】シートベルトのガイド構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/24 20060101AFI20200817BHJP
   B62D 25/06 20060101ALI20200817BHJP
【FI】
   B60R22/24
   B62D25/06 Z
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-191132(P2016-191132)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-52313(P2018-52313A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】野村 秀政
(72)【発明者】
【氏名】浜浪 崇
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 陽彦
(72)【発明者】
【氏名】星島 清人
(72)【発明者】
【氏名】坪内 京子
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−203992(JP,A)
【文献】 特開2007−022518(JP,A)
【文献】 特開2009−292267(JP,A)
【文献】 特開2014−076740(JP,A)
【文献】 特開2014−168988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02,22/18
B62D 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の天井内側の収納部の開口を閉塞し、前記収納部に収納されたリトラクタから引き出されるウェビングをガイドするシートベルトのガイド構造において、
前記開口を閉塞して前記天井に取り付けられ、前記リトラクタから引き出される前記ウェビングをガイドするガイド口が一部に形成された皿状のガイド本体と、
前記ガイド本体の周縁部に設けられ、前記天井の前記開口付近に設けられた被係合部に係合する係合体を備え
前記係合体は
記ガイド本体の周縁の一部の上面側に複数並んで形成された縦リブと、
前記複数の縦リブの前記ガイド本体の周縁側に形成されて前記被係合部に係合する切欠部と、
前記各切欠部の上部であって前記ガイド口の幅方向の中間点を通り当該幅方向に直交する線上に位置し、前記複数の縦リブの前記ガイド本体の周縁側を連結するように形成された連結リブと
有することを特徴とするシートベルトのガイド構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の天井に収納されたリトラクタから引き出されるウェビングをガイドするシートベルトのガイド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リアシートに使用される3点式シートベルト装置は、例えば特許文献1に記載のように、車両の天井の所定位置に開口が形成されて天井内部の収納部にリトラクタが収納され、この開口を閉塞するようにベゼルが取り付けられ、ベゼルに形成されたガイド口を介してリトラクタから引き出されたウェビングがガイドされる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−168988号公報(段落0018〜0022および図1図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した特許文献1に記載のベゼル自体は樹脂成形により形成されるが、従来、この種のベゼル天井の開口周縁に係合爪を形成し、この係合爪を天井の開口部分に係合して仮止めした状態で、ベゼルに設けた取付部に装着したクリップ天井の取付孔に嵌挿することにより、ベゼルを天井に取り付けることが行われることがある。しかし、ベゼルの形状が平板状であれば、上記した係合爪をベゼルと一体成形する場合であっても、簡単な成形金型により容易に形成することができるものの、ベゼルの形状が深皿状の意匠を有する場合には、係合爪をベゼルと一体成形できず、係合爪の形状によってベゼルの意匠が制約されてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、樹脂成形により形成でき、ガイド本体の意匠が係合体により制約されることのないシートベルトのガイド構造を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明のシートベルトのガイド構造は、車両の天井内側の収納部の開口を閉塞し、前記収納部に収納されたリトラクタから引き出されるウェビングをガイドするシートベルトのガイド構造において、前記開口を閉塞して前記天井に取り付けられ、前記リトラクタから引き出される前記ウェビングをガイドするガイド口が一部に形成された皿状のガイド本体と、前記ガイド本体の周縁部に設けられ、前記天井の前記開口付近に設けられた被係合部に係合する係合体を備え、前記係合体は、前記ガイド本体の周縁の一部の上面側に複数並んで形成された縦リブと、前記複数の縦リブの前記ガイド本体の周縁側に形成されて前記被係合部に係合する切欠部と、前記各切欠部の上部であって前記ガイド口の幅方向の中間点を通り当該幅方向に直交する線上に位置し、前記複数の縦リブの前記ガイド本体の周縁側を連結するように形成された連結リブとを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ガイド本体の周縁の一部の上面側に、複数の縦リブを並んで形成し、複数の縦リブのガイド本体の周縁側に切欠部を形成し、複数の縦リブのガイド本体の周縁側の各切欠部の上部を連結するように連結リブを形成して係合体を構成したため、ガイド本体の形状が、下向きに湾曲した周縁部を有する深皿状であっても、各縦リブの上面側および連結リブの下方の切欠部が開放していることから、樹脂成形する際の成形型の抜き方向として、各縦リブ部分における上方、および、切欠部におけるガイド本体周縁の外方に確保することができ、これら縦リブおよび連結リブを備える係合体を、ガイド本体に樹脂成形により一体形成することが可能になり、従来のようにガイド本体の意匠が係合体により制約を受けるのを防止することができる。
【0008】
このとき、係合体として、複数の縦リブのガイド本体の周縁側に切欠部を形成したため、この切欠部を天井の開口付近に設けられた被係合部に係合することにより、ガイド本体を天井の開口周縁部に簡単に仮止めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るシートベルトのガイド構造の一実施形態を適用したリアシートの斜視図である。
図2図1のガイド構造におけるガイド本体の下面側から見た斜視図である。
図3図2のガイド本体を上面側から見た斜視図である。
図4図3の一部の斜視図である。
図5】(a),(b)はそれぞれ図3のA−A線、B−B線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るシートベルトのガイド構造の一実施形態について、図1ないし図5を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態でいう前後、左右とはシートに着座した状態で見た前後、左右を意味する。
【0011】
図1に示すように、車両1が3人掛けのリアシート2を備えるに場合に、中央席の乗員を拘束するシートベルト装置は車両の天井3の内側の収納部にリトラクタ(図示せず)が収納され、リトラクタから引き出されるウェビング4が天井3に取り付けられたガイド構造5によりガイドされて、ウェビング4に取り付けられたタング6が、シートクッションに設けられたバックルに装着されることにより、乗員を拘束するようになっている。
【0012】
ところで、図1におけるガイド構造5は、図2に示すように構成され、天井3の収納部に該当する位置に開口(図示せず)が形成され、ほぼ円形の深皿状を有する樹脂製のガイド本体10が開口を閉塞するように天井3に取り付けられようになっている。このとき、ガイド本体10のほぼ中央部には上方に膨出した凸部11が形成され、この凸部11とほぼ同形状の開口が天井3に形成されている。
【0013】
そして、凸部11の前寄りの位置には、車幅方向に長尺のガイド口12が形成され、天井3の内側の収納部に収納されたリトラクタから引き出されたウェビング4が、ガイド本体10にガイド口12を介して外部に導出される。
【0014】
ところで、ガイド本体10の周縁の上面前端部には、図3に示すように、ガイド本体10を天井3の開口周縁に仮止めするための係合体14が設けられ、凸部11周辺のガイド体10の内面の4箇所には、天井3に接する高さのクリップ座15が形成され、各クリップ座15に形成された孔15aにクリップが装着され、係合体14が係合されてガイド本体10が天井3に仮止めされた状態で、天井3の開口周縁の嵌挿孔にクリップ座15のクリップが係止されるとともに、ガイド本体10の周縁の数箇所(本実施形態では8箇所)に一体形成された係止爪16が、天井3に形成された被係止部に係止されることにより、ガイド本体10が天井3の収納部付近の所定位置に取り付けられる。
【0015】
このとき、図3図4に示すように、係合体14は、複数(本実施形態では4個)の縦リブ14aと、各縦リブ14aの上端部を連結する連結リブ14bとを備えている。複数の縦リブ14aはガイド本体10の上面前端部に一定間隔で並んで一体形成され、図5(a)に示すように、複数の縦リブ14aのガイド本体10の周縁側には切欠部14cが形成されており、図4および図5(b)に示すように、連結リブ14bは、複数の縦リブ14aのガイド本体10の周縁側の各切欠部14cの上部を連結して形成されている。
【0016】
そして、各縦リブ14aの切欠部14cを天井3の開口付近に設けられた被係合部(図示せず)に係合してガイド本体10を仮止めし、この仮止め状態で、天井3の開口周縁の嵌挿孔にクリップ座15のクリップを係止するとともに、ガイド本体10の複数の係止爪16を天井3の被係止部に係止することにより、ガイド本体10を天井3の収納部付近の所定位置に取り付けることができる。
【0017】
したがって、上記した実施形態によれば、ガイド本体10の周縁の上面前端部に、複数の縦リブ14aを並んで形成し、複数の縦リブ14aのガイド本体10の周縁側に切欠部14cを形成し、複数の縦リブ14aのガイド本体10の周縁側の各切欠部14cの上部を連結するように連結リブ14bを形成して係合体14を構成したため、ガイド本体10が深皿形状を有する場合であっても、各縦リブ14aの上面側および連結リブ14bの下方の切欠部14cが開放していることから、樹脂成形する際の成形型の抜き方向として、各縦リブ14a部分における上方、および、切欠部14cにおけるガイド本体10周縁の外方に確保することができ、これら縦リブ14aおよび連結リブ14bを備える係合部14をガイド本体10に樹脂成形により一体形成することが可能になり、従来のようにガイド本体の意匠が係合体により制約を受けるのを防止することができ、ガイド本体の意匠設計の自由度を上げることができる。
【0018】
また、係合体14として、複数の縦リブ14aのガイド本体10の周縁側に切欠部14cを形成したため、この切欠部14cを天井の開口付近に設けられた被係合部に係合することにより、ガイド本体10を天井3の開口周縁部に簡単に仮止めすることができ、ガイド本体10の取付作業の効率を向上することができる。
【0019】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、例えばガイド本体10は上記したようなほぼ円形ではなく、矩形状であっても、本発明を同様に適用することができる。
【0020】
また、上記した実施形態では、係合体14の縦リブ14aを4個とした例を示したが、縦リブは4個に限らず、2個、3個或いは5個以上であってもよい。
【0021】
また、上記した実施形態では、係合体14をガイド本体10の上面前端部に設けた場合について説明したが、ガイド本体10の上面前端部以外の位置に係合体14を設けてもよいのは勿論である。
【0022】
また、本発明が適用できるのは上記したリアシートに限るものではなく、要するに天井にリトラクタ等の主要部分が収納されるシートベルト装置が使用可能なシートであれば、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 …車両
3 …天井
5 …ガイド構造
4 …ウェビング
10 …ガイド本体
12 …ガイド口
14 …係合体
14a …縦リブ
14b …連結リブ
14c …切欠部
図1
図2
図3
図4
図5