【文献】
佐々木 大輔,初めてのInstaVR,[online],2017年 3月13日,[令和元年8月6日検索],インターネット,URL,https://dev.classmethod.jp/instavr/instavr-first-impression/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
VR(Virtual Reality)とは
VRとは、一般的に、「みかけや名前など表層的には少々異なるが、それぞれの目的に合わせて効果や機能などの本質的な部分が合致するように作られた現実。」のことをいう。学術的には以下の3種の条件を満たすものをVRという。
条件1:人間にとって自然な3次元空間がある
条件2:作られた環境と自分との間にリアルタイム相互作用がある
条件3:自分がその環境と繋がっていると感じる状態
これらの条件を高いレベルで実現するものから、手軽に実現するものまで種々のVRが存在し、この中でさらに以下のように様々なカテゴリーが存在する。VRを含むコンテンツをVRコンテンツと呼ぶが、このVRコンテンツを体験するためには、基本的には、ヘッドセット、ディスプレイ、計算機の3つのハードウェア、及びVRコンテンツやそれが集まるプラットフォーム(PF)が必要となる。
現在、VRは様々な分野で利用されており。市場においてVRは様々なカテゴリーのものが存在する。
【0003】
ローエンドVR
スマートホン(Smart Phone:以下、スマホと呼ぶ)が計算機とディスプレイを兼ねる所謂スマホVRをローエンドVRと呼ぶ。このローエンドVRは、下記2種がある。
(1)様々なスマホに対応するヘッドセット(Head Set)又はVRグラス(VR glass)を用いる方法
この方法の概念図が
図9に示されている。この図に示すように、Webブラウザを用いる方法と、Android(登録商標)や、iOS(登録商標)を用いる方法とがある。この方法の下では、様々なVRを体験できるアプリケーションプログラム(以下、単にアプリと称する)が製作されている。Google Cardboard(登録商標)のコンテンツも多くがこの
図9に示す方法に集中している。
なお、Webブラウザを用いる方法と、Androidや、iOSを用いる方法の一部についてが、本件発明の対象部分である。
【0004】
(2)特定のスマホと、その特定のスマホにセットされる独自のヘッドセットとの組み合わせ
この方法の概念図が
図10に示されている。この図に示すように、Gear VR(登録商標)を用いる方法と、Day Dream(登録商標)を用いる方法とがある。この方法によれば、映像を利用者の目の前に映すディスプレイとしてスマホを使う。そして、当該スマホと、スマホを利用者の頭部に装着するヘッドセット又はVRグラスと、を合わせて使用するものである。
【0005】
ハイエンドVR
PCやゲーム機など能力の高い計算機を使って実現するVRを、ハイエンドVRと呼ぶ。このハイエンドVRは、映像を利用者の目の前に映すディスプレイがヘッドセットと一体となったヘッドマウントディスプレイを使うものである。
この方法の概念図が
図11に示されている。この図に示すように、Oculus rift(登録商標)を用いるもの、HTC vive(登録商標)を用いるもの、PS VR(登録商標)を用いるもの、等が知られている。これらはいずれも、VRコンテンツが動作する個別のプラットフォーム(PF)をそれぞれのハードウェアとともに提供しているものである。
【0006】
<先行特許文献>
下記特許文献1には、利用者の姿勢によって、VRの表示状態を適切に変化させる技術が開示されている。
下記特許文献2には、コンテンツ関連情報を、様々なタイミングで提供することができる技術が開示されている。同文献2に開示されている技術では、VRコンテンツの再生状況に合わせてコンテンツ関連情報を視聴者の属性状況に応じて出力する。
また、下記特許文献3においては、現実空間の環境情報と、コンテンツの動作状態とを、仮想現実でリアルタイムに表現できる技術が開示されている。この技術によって、現場の生動感を使用者に提供することができるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来からVRコンテンツの再生技術は様々な工夫がなされているが、VRコンテンツを効率的に生成する技術はこれまでほとんど知られていない。そのため、個々のVRコンテンツを技術者が手作業で生成しており、煩雑な作業が必要であった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、VRコンテンツをより効率的に生成する装置・方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記事情に鑑み、本願発明者は、携帯端末をディスプレイに用いるVR分野(いわゆるスマホVR)において、クラウドソフトウェア上で、スマホやタブレットなどの携帯端末でVRアクションのプログラムを、直感的な操作で利用者が設定でき、そのVRプログラムを自動的に生成するソフトウェアを構築した。
なお、本文で言うVRコンテンツは、ウェブブラウザの仕様で再生が可能なVRコンテンツで、Play Station VR(登録商標)などが扱うコンテンツとは異なる種類のコンテンツである。また、スクリーンに360度パノラマを全画面に表示し、そこをスクロールして画面を動かしながら直感的な操作でVRアクションを作ることが可能なコンテンツである。具体的な内容は、後述する実施形態において詳述する。
【0010】
この技術の発展系では、VR映像となる360度映像上で、どのタイミングのどの場所に、所定のVRアクションを追加する、という作業を、利用者がクラウド上で直感的に実行することができる。
また、利用者の設定部分自体も、閲覧する閲覧者に合わせて自動的にプログラムで設定することができる。その結果、VRアクションを、さまざまな時点で自動的に生成することも可能となる。
【0011】
このように、本発明において特徴的なことは、ウェブブラウザにおける360度もしくはVR空間の描写に特化したソフトウェアフレームワークと、データーベース管理やプログラム生成に適したソフトウェアフレームワークと、の間で様々なデータのやり取りを行うための仕組みを構築したことである。
なお、描写に特化したフレームワークは、請求の範囲の「描写部」の好適な一例に相当し、データベース管理に適したフレームワークは、請求の範囲の「管理部」の好適な一例に相当する。
具体的には、様々なデータを両フレームワークの間で直接相互にやり取りするために、新たにルールを規定した。そして、この規定したルールの下で、様々なデータをやり取りすることによって、様々な分野への展開が可能になる。例えば、リアルタイムの在庫情報をVR空間に反映した360度パノラマやVR上でのコマースや、閲覧者のVR上での行動をリアルタイムに反映しての広告表示などもウェブブラウザを基盤にしたVR空間において可能となる。
【0012】
<VRアクション>
なお、本文でVRアクションとは、VR空間内で、その空間環境と閲覧者との間のリアルタイムの相互作用の総称をいう。例えば、閲覧者がVR空間内のある地点を見ると、以下のようなVRアクションが生じさせることができる。例えば、説明コメントがVR空間内に表示される、別のシーンに移動する、等がVRアクションの好適な例である。
また、閲覧者が、あるタイミングである地点を見ている時に生じるVRアクションとしては、次のようなVRアクションを設定することもできる。例えば、所望の画像をVR空間内に表示する、所望の音声を流す、等がVRアクションの好適な例である。
【0013】
本発明は、具体的には下記のような構成を採用する。
第1の発明は、(以下同様)は、VRコンテンツを生成するVRコンテンツ生成装置であって、VRコンテンツを描写する描写部と、VRコンテンツを構成するVRアクションを管理する管理部と、を備え、前記描写部は、動画像を利用者に対して描写しながら、利用者が指定したVRアクション及び場所を入力し、前記利用者が指定したVRアクション及び場所とを前記管理部に送信し、前記管理部は、前記送られてきた前記利用者が指定したVRアクション及び場所を受信し、前記管理部内部に記憶するとともに、場所に関するパラメータを含むVRアクションに必要な描写部で作動するためのプログラムを自動生成した上で、当該プログラムを前記描写部に送信し、前記描写部は、前記プログラムを受信し、動画像中に当該プログラムを読み込むように保存することによって、VRコンテンツを生成することを特徴とするVRコンテンツ生成装置である。
【0014】
第2の本発明は、請求項1記載の発明において、前記描写部は、前記動画像を、前記利用者から受信することを特徴とする。
【0015】
第3の本発明は、請求項1記載の発明において、前記描写部は、前記動画像を撮影しながら、撮影した動画像を利用者に対して描写しながら、利用者が指定したVRアクション及び場所を入力し、前記利用者が指定したVRアクション及び場所とを前記管理部に送信することを特徴とする。
【0016】
第4の本発明は、請求項1記載の発明において、前記描写部は、前記保存したVRコンテンツを描写する際に、前記生成されたプログラムを用いて、前記VRアクションを描画することを特徴とする。
【0017】
第5の発明は、前記管理部において、前記描写部がVRアクションを描画するために必要なプログラムを自動生成することを特徴とする。
【0018】
第6の本発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のVRコンテンツ生成装置を用いてVRコンテンツを生成する方法であって、動画像を前記VRコンテンツ生成装置に送信するステップと、前記VRコンテンツ生成装置の前記描写部が、動画像を利用者に対して描写しながら、利用者が指定したVRアクション及び場所を入力し、前記利用者が指定したVRアクション及び場所とを前記管理部に送信するステップと、前記管理部が、前記送られてきた前記利用者が指定したVRアクション及び場所を受信し、前記管理部内部に記憶するとともに、場所に関するパラメータを含むVRアクションに必要な描写部で作動するためのプログラムを自動生成した上で、前記プログラムを前記描写部に送信するステップと、前記描写部が、前記プログラムを受信し、前記動画像中に当該プログラムを読み込むように保存することによって、VRコンテンツを生成するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のVRコンテンツ生成装置、VRコンテンツ生成方法によれば、より効率的にVRコンテンツを生成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明を具体化した実施形態について説明する。
第1.サーバー及びソフトウェアの構成及び具体例
(1)実施形態におけるVRコンテンツ生成装置は、S3サーバーと、ec2サーバーとの、2種のサーバーとから構成されている。以下、説明を簡単にするために、S3サーバーを、「Aサーバー」、ec2サーバーを、「Bサーバー」と呼ぶ。
その様子が
図1に示されている。この図に示すように、VRコンテンツ生成装置10は、Aサーバー12と、Bサーバー14と、から構成されている。Aサーバー12は、単一のサーバーでもよいし、上述したS3サーバーと同類の複数のサーバーの集合体であってもよい。同様に、Bサーバー14は、単一のサーバーでもよいし、上述したec2サーバーと同類の複数のサーバーの集合体であってもよい。また、Aサーバー12、Bサーバー14、はいわゆるクラウドで構成されていてもよい。以下の説明では、クラウドを用いてAサーバー12、Bサーバー14が構成されている例(すなわち、VRコンテンツ生成装置10が、クラウドで構成されている例)を中心として説明を進める。
【0022】
(2)操作の流れ
実施形態のVRコンテンツ生成装置10を利用する利用者は、まず、所定の動画像を撮影し、VRコンテンツ生成装置10(のAサーバー12)にアップロードする。この動画像は、いわゆる360度画像(全周画像)であってもよい。
【0023】
(a)VRアクションの選択
次に、利用者は、アップロードした動画像をVRコンテンツ生成装置10上で操作し、所望のVRアクションを設定していく。利用者は、アップロードした動画像をAサーバー12上で閲覧し、設定するVRアクションを選択する。この様子が
図2の(a)VRアクションの選択において示されている。この
図2の(a)は、スマホで、アップロードした動画像を閲覧している様子のスマホの画面を示している。
Aサーバー12は、請求の範囲の描写部の好適な一例に相当し、Aサーバーは、利用者から提供された動画像を利用者(のスマホの画面)に対して描写する。
【0024】
(b)VRアクションを埋め込む場所の選択
次に、利用者は、選択したVRアクションを埋め込む場所を選択する。この様子が
図2の(b)埋め込み場所の選択において示されている。この
図2の(b)は、
図2の(a)と同様に、利用者がスマホで、アップロードした動画像を閲覧している様子のスマホの画面である。
これら
図2の(a)(b)においては、360度画像をスムーズに動かすwebGLの仕様に基づくコンテンツを利用者は(スマホで)閲覧している。この中で、あらかじめパッケージ化されている様々なVRアクション、例えば「画像の埋め込み」及び「視線によるポップアップ表示」、等を埋め込む場所の位置を指定する。この指定は、例えば、利用者が、指定を行うための起動アイコンを動作させて、360度画面上で位置を決めることができる。また、埋め込むVRアクションは、画面上の所定のメニューから選択できるように構成してもよい。
【0025】
この
図2の(a)(b)の操作を行っている段階では、利用者は、あらかじめてVRコンテンツ生成装置10において用意されているアイコンを新しい物体としてコピーして移動させてある地点に置く、という操作を行っている。このコピーした物体は一時的に画面上に保存される(動画像中に埋め込まれる)。この物体は、実際のVRアクションに必要なデータを一時保存するとともに、実際のVRアクションが起動する対象物としての役割をいずれ果たすことになる。
webGLの中では、jsやC#によるプログラムを動作させることが可能であり、
図2の(a)(b)の操作の部分では、webGLの中でjsによってこのような処理を行う動作プログラムがあらかじめ設定されている。ここで、jsとは、Java Scriptの意味である。
さて、このようにしてコピーした上記物体は、その名前と、空間のどの場所に配置されているかという位置情報と、あらかじめ定義して生成したパラメータなどの情報と、を一時的に保持している。あらかじめVRコンテンツ生成装置10において設定されているルールに基づき、それらの情報が保持される。この結果、物体は、実際のVRアクションが起動する対象物として動作する。
【0026】
(c)埋め込み画像などのアップロード設定
次に、例えば、設定しようとするVRアクションが、「画像の埋め込み」の場合、利用者は、その埋め込み画像などをアップロードする。この様子が
図3の(c)「埋め込み画像などをそのままアップロード設定」において示されている。この
図3の(c)は、
図2の(a)(b)と同様に、利用者がスマホで、アップロードした動画像を閲覧している様子を示すスマホの画面である。この
図3の(c)においては、アップロードする画像ファイルを選択するようにダイアログが画面上に示されている。利用者は、かかるダイアログの指示に従い、所望の画像ファイルを選択してアップロードを行う。この画像ファイルの表示動作が、設定しようとするVRアクションの好適な一例に相当する。
なお、テキストを入力すると、自動的に画像に変換されて埋め込まれる。
【0027】
図3の(c)においては、画像ファイルをそのプロセスでアップロードできるようになっているが、具体的には、Aサーバー12上のjsで記述されたプログラムによって、新たなウェブページを画面上の所定の場所(例えば正面)に表示する。Aサーバー12は、そのウェブページでファイルをアップロードするフォームを出し、利用者からアップロードされた画像ファイルを、別のBサーバー14に送る。
【0028】
Bサーバー14は、画像ファイルがアップロードされた際、その画像ファイルが、この360度画像内に埋め込む画像であることを、送信元のURLから識別する。同時に、Bサーバー14は、当該画像ファイルのファイル名を特定できるランダムな名前を生成しその名前(例えば、thumb640_9ed118f4.JPG)を、Aサーバー12に返す。これらの動作は、Bサーバー14が実行するプログラムによって記述されている。
【0029】
Bサーバー14は、請求の範囲の管理部の好適な一例に相当する。Bサーバー14は、VRアクションの一例である上記埋め込み画像ファイルを保管する。そして、Aサーバー12がこの埋め込み画像ファイルへアクセスするためのリンクであるファイル名等をAサーバーに送信する(返す)。
このような操作や動作の結果、その情報(ファイル名)を含めて物体が描画部に一時保存されることとなる。このような物体のパラメータには、様々なデータが含められて保存されており、Aサーバー12は、この様々なデータを、上述の画像データとともにサーバーBへ送る。
【0030】
ここで、Bサーバー14から、Aサーバー12へ送られる具体的データ(情報)は、例えば、下記のような情報である。
・画像ポップアップのVRプラグラムをいくつ設定したかという記録
・クラスやオブジェクト、インスタンスの定義と名前
・VR空間の位置データ
・VRアクションに必要な画像データ
・画像データが格納されるべきサーバーA上のURL
Aサーバー12は、これらの情報に基づき、Bサーバー14からVRアクションに必要なデータを受け取る、またはBサーバー14がAサーバー12からVRアクションに必要なデータを受け取ることができる。
【0031】
(d)保存
以上、操作(a)〜(c)までが完了した後、VRコンテンツ生成装置10は保存処理を行う。この保存処理を行う際のスマホの画面の様子が
図3の(d)に示されている。
図3の(4)においては、利用者が画面上の保存ボタンを押すと、一時保存された物体のパラメータをVRコンテンツ生成装置10のjsがいったん文字列として扱う。換言すれば、そのような動作を実行するように、VRコンテンツ生成装置10のjsプログラムが記述されている。
【0032】
すなわち、Aサーバー12からBサーバー14に、Aサーバー12上にあるjQuery(jsのライブラリー)のプログラムによりデータが飛ばされるようなプログラムが組まれている。そして、Bサーバー14上では、Bサーバー14が、あるルールに基づいて記録された文字列を受け取り、これに対応するVRアクションに必要なプログラムファイルをBサーバー14が自動生成(例B:次節で説明)する。
このような自動生成の結果、上述した種々のパラメータをBサーバー14上のデータベースに保存するとともに、プログラムファイルとして処理された必要な画像データ(画像ファイル)は、Aサーバー12の所定の場所に格納される。換言すれば、このような動作を実行するように、Aサーバー12及びBサーバー14のプログラムが記述されている。
【0033】
(e)VRアクションの動作
以上説明したような動作によって、
図4の(e)(f)に示すように、VRアクションも含めて動作するVRコンテンツが生成される。
図4の(e)(f)にも、VRコンテンツを表示するスマホの画面の様子が示されている。
図4の(e)に示すように、VRコンテンツは既に動作をしており、利用者がスマホの画面上で所定の場所をタップもしくは視線カーソルを当てるなどすれば、所定のVRアクションが実行される。例えば、VRアクションがテキストデータの表示である場合のスマホ画面の様子が
図4の(e)に示されている。ここでは、テキストの例を示すが、画像ポップアップでもよい。
【0034】
(3)操作と、構成との関係
以上、
図2〜
図4に基づき、本実施形態のVRコンテンツ生成装置10の利用動作の一一例を説明したが、これらの操作とVRコンテンツ生成装置10の構成との関係図が
図5に示されている。
図5に示すように、VRコンテンツ生成装置10はAサーバー12と、Bサーバー14とから構成されており、主としてAサーバー12が、上述した
図2の(a)(b)、
図4の(e)(f)に対応している。また、Aサーバー12と、Bサーバー14との動的な情報の受け渡しが、上記
図3の(c)(d)に対応する。
【0035】
このように、本実施形態においては、クラウド上で、VRコンテンツを生成する効率的な手法として、異なるフレームワークをそれぞれに適した違う種のサーバー(クロスドメイン)上で動作させることによって、VRコンテンツ生成装置10を実現している。
このようなフローを実現するために、一定のルールを定め、当該ルールの下で配列化したデータのやり取りを行っている。また、同フローを実現するために、それぞれのサーバー上のフレームワークが所望のデータを生成、解読できるようなプログラムがインストールされており、その結果、上記のフローが実現されている。
【0036】
(4)生成されるVRアクションのプログラム
以上説明したような操作の流れによってVRアクションのプログラムが生成される。このようにして生成されたVRアクションのプログラムは、例えば、ある場所のアイコンをクリックすることや、閲覧者が視線を当てる(視線を向ける)と、画像が浮かび上がり、その場所から視線を外すと画像が消えるというインターラクションがプログラムされていてもよい。Aサーバー12上でこのようなプログラムが生成され、Bサーバー14に格納されている。画像データと、画像データが格納されている場所と、VR空間上の当該画像データの位置及びサイズと、生じる具体的なVRアクションと、視線を当ててVRアクションが動作するまでの時間設と、がVRアクションに関わるパラメータとしてプログラムされている。パラメータとしては、より少なくてもかまわないし、またより多くのパラメータを用いてもよい。
【0037】
(5)やりとりされる具体的データの種類
本実施形態においてVRコンテンツ生成装置10は、Aサーバー12と、Bサーバー14とが具体的なデータをやりとりすることによって、VRコンテンツを生成するが、その際にやりとりされる具体的なデータの例を説明する。
【0038】
(5a) Aサーバー12からBサーバー14へ送られるデータの例
1)VR空間でのユーザー行動の結果に係るテキストデータ
2)画像データ
3)音声データ
4)動画データ
5)3Dモデルデータ
等が上げられる。ここで、上記1)には、次の内容を含めてよい。
・VRアクションの動作状況(どのアクションが何回、どのタイミングでどのように動作したかなど)、
・クラスやオブジェクトやインスタンスの定義や名前、
・VR空間の位置データ、
・データが格納されているURL、
・ファイル名、
・ユーザーの視線(デバイス姿勢)情報
・ユーザーの現実の場所の情報(GPSデータ含む)
・ユーザーID
・ユーザーの名前や住所、クレジット情報、
・商品の購入や選別情報やその導線に係る情報、
・時間情報、
などを含めてよい。
【0039】
(5b) Bサーバー14からAサーバー12へ送られるデータの例
1)VR空間での相互作用のために関連する必要な情報が組み込まれたプログラムファイル(テキストデータ)
2)画像データ
3)音声データ
4)動画データ
5)3Dモデルデータ
等が上げられる。ここで、上記1)には、VRの相互作用を定義するプログラム自体の他、次の内容を含めてよい。
・クラスやオブジェクトやインスタンスの定義や名前、
・VR空間の位置情報、
・データが格納されているURL、
・描写のサイズ、
・ユーザー情報(IDの他、その他のステータス、例えばどのコンテンツをどのくらいどのように見たかなど)、
・商品在庫ステータス情報を含む商品情報、
・地図に関する位置情報(GPSデータ含む)、
・他サイトのURL、
・時間情報、
・他システムのAPIに関連した情報、
などを含めてよい。
【0040】
(6)利用しているフレームワークおよびその特徴
以上説明したように、本実施形態に係るVRコンテンツ生成装置10は、様々なフレームワークを利用している。以下、各フレームワークを簡単に説明する。
【0041】
(6a)webGL / krpano
webGLはウェブ上に3Dを描写したり綺麗にグラフィックを描写するための標準仕様である。この延長で、VRコンテンツをウェブ上で描写するためにも、最近は用いられているフレームワークである。1世代前のflashに類似するフレームワークであるが、描写がより滑らかであり、広く世の中に普及しつつある。Html5やJava Scriptなどによって、プログラムされるが、上記タイトルにあるkrpanoはもともとそれに基づきパノラマ表現に有用な便利なパッケージを用意したライブラリーであり、欧州企業が開発したものである。また、krpanoは、主に開発者用にラインセンスされているライブラリーである。なお、Mozila社開発のA-Frameというライブラリーも、krpanoと同様にwebGLの標準仕様に基づくライブラリーであり、よりグラフィックの表現に広く用いられている傾向があるライブラリーである。このように、webGL及びこれらのライブラリーは、その特徴として、描写に特化しており、ゲームのように、このフレームワークの中で動くプログラムをあらかじめ開発して利用者にそれを楽しんでもらうためのものである。逆に、データの書き込みや保存、プログラムを自動で作成する、のような動作には適していないフレームワークと言えよう。
【0042】
(6b)Java script(js) / jQuery
これらは、ウェブ上でインタラクティブな表現をする為に開発されたオブジェクト指向の言語(簡易プログラミング言語)である。HTML内にプログラムを埋め込み、ウェブページに様々な機能を付加することを主たる用途としている。本実施形態においては、上で説明したように、VRコンテンツの描写と、利用者のインプットの間のインタラクティブな動作や、別サーバーとのデータのやり取りを担当している。
【0043】
(6c)Ruby on rails
これは、ウェブアプリケーションを開発するためのフレームワークの一つである。主に、利用者がブラウザ上で行ったインプットに対して、サーバーが結果を返す、の如きオペレーションをプログラムするのに用いられている。Jsは、ユーザーのインプットをウェブブラウザ上で返す、の如きオペレーションをプログラムするのに適しているので、主としてそのような使い方をしている。本実施形態では、別サーバーから送られたデータ配列のインプットに対し、VRアクション用のプログラムファイルを生成し、適切な場所に格納するという動作を記述する役割を果たしている。
【0044】
第2.他のVR(アクション)の例
上では、簡単な例に基づき、本実施形態にかかるVRコンテンツ生成装置10の構成と動作を説明したが、設定するVR(アクション)は様々なものを利用することができる。以下、様々なVRアクションの例を説明する。
【0045】
(1)シーン移動VRアクションの設定
VRアクションとして、例えば、シーン移動VRアクションを利用することができる。シーン移動VRアクションを利用する場合のスマホの画面の例が
図6に示されている。
この図においては、利用者がスマホの画面をスクロールしながら位置とシーン移動のVRプログラムを設定する様子が示されている。
図6の(a)−(b)−(c)のように画面をスクロールさせながら(動かしながら)(
図6の(a))、同時に画面上の矢印(カーソル)をドラッグやタッチで動かしながら、VRプログラム(シーン移動VRアクション)を設ける位置を設定する(
図6の(b))。すると移動先のシーンの選択肢が表れるので(
図6の(c))、シーン移動VRアクションの移動先シーンをそこで選ぶことがでる。このような動作によって、VRアクションの設定が完了する。
【0046】
(2)画像埋め込みVRアクションの設定
VRアクションとして、例えば、画像埋め込みVRアクションを利用することができる。画像埋め込みVRアクションを利用する場合のスマホの画面の例は、既に説明した
図2の(a)(b)と、
図3の(c)に至る流れで示されている。
この図に示すように、利用者がスマホの画面をスクロールしながら(画面を動かしながら)(
図2の(a))、同時に写真アイコンをドラッグやタッチで動かす(
図2の(b))ことによってVRアクションの位置を設定することができる。すると、
図3の(a)のように、ファイルをアップロードする旨の指示が表示されるので、指示に従ってファイルをアップロードして、VRアクションの設定が完了する。VR空間でアイコンを見ると、画像ポップアップが表示されるというVRアクションが設定されていることを確認することができる。
【0047】
(3)コメント埋め込みVRアクションの設定
VRアクションとして、例えば、コメント埋め込みVRアクションを利用することができる。コメント埋め込みVRアクションを利用する場合のスマホの画面の例は、
図7に示されている。
【0048】
この図においては、利用者がスマホの画面をスクロールしながらコメント埋め込みVRアクションを設定する様子が示されている。
図7の(a)−(b)−(c)のように画面をスクロールさせながら(動かしながら)(
図7の(a))、同時に画面上のインフォアイコン(i)をドラッグやタッチで動かしながら、VRプログラム(コメント埋め込みVRアクション)を設ける位置を設定する(
図7の(b))。するとテキスト入力の画面が表れるので(
図7の(c))、テキストを入力して、VRアクションの設定が完了する。VR空間でアイコンを見ると、コメントがポップアップ表示されるというVRアクションが設定されていることを確認することができる。この確認の画面は、既に説明した
図3の(d)の保存から、
図4の(e)(f)に至るような表示によって、コメントがポップアップすることを確認することができる。なお、コメントは画像化され、テキスト情報でなく画像情報であってもよい。
【0049】
(4)VRアクションが埋め込まれたVR映像コンテンツ
360度映像の中に、これまで説明してきたようなポップアップによるVRアクションを描写するようなクラウドサービスは、本願発明者が知る限り、現在は存在していない。
本実施形態に係るVRコンテンツ生成装置10によれば、埋め込むデータに特に制限はなく、映像コンテンツに埋め込むことも、上述したような操作によって可能である。このような映像コンテンツに埋め込んだVRコンテンツの説明図が
図8に示されている。スマホの画面20にはVRコンテンツが表示されており、その中にさらに画像コンテンツ22が表示されている。また、コマース等に用いる場合は中身が表示されたカート等が表示されていてもよい。
【0050】
このようなVRアクションを直感的に編集できるような仕組みは、従来存在せず、本実施形態で開示する技術に新規性・進歩性があることは明らかである。
なお、技術者による複雑な手作業で作製した単一のVR動画コンテンツとして、このようなVRアクションが含まれているものはアプリなどでは存在している。しかし、本実施形態のように直感的にVRコンテンツを編集できるような仕組みは、従来知られていない。
【0051】
第3.類似サービスとその相違点
上述した本実施形態で説明したVRコンテンツ生成装置、VRコンテンツ生成方法は、従来知られていないが、本実施形態に類似のサービスは知られている。それらのサービスと、本実施形態のVRコンテンツ生成装置、VRコンテンツ生成方法とを比較・検討する。
【0052】
(1)NURVE(ナーブ株式会社)
ナーブ株式会社のサービスが、Webサイト: http://www.nurve.jp/に記載されている。そして、VR内見サービス内容動画が、https://www.youtube.com/watch?v=ozhdJDdsL_Iに記載されている。
本実施形態との相違点は、ナーブ株式会社の完成したVRコンテンツ中には、VRアクションは含まれていないという点である。これに対して、本実施形態の技術によれば、完成したVRコンテンツ中に、VRアクションを含めることが可能である。
【0053】
(2)InstaVR (InstaVR株式会社)
InstaVR株式会社のサービスがWebサイト: http://jp.instavr.co/ に記載されている。そのコンテンツ例は、http://jp.instavr.co/show_iframe_component/603934に記載されている。
本実施形態との相違点は、InstaVR株式会社の完成したVRコンテンツ中には、VRアクションは含まれていないという点である。これに対して、本実施形態の技術によれば、完成したVRコンテンツ中に、VRアクションを含めることが可能である。すなわち、VRアクションはそもそもInstaVRによって完成したウェブブラウザで再生可能なVRコンテンツ中に含まれていない。さらに、InstaVRのシステムでは、スマホでのVRコンテンツの編集作業は不可能である。
【0054】
第4.変形例
(1)上述した実施形態では、Aサーバー12と、Bサーバー14とが別体の構成を示したが、両サーバーの位置関係はどのような関係でもよく、同一場所に位置している必要はない。互いに送信・受信が可能であれば、どこに配置されていてもよい。また、上述した例では、クラウドで構成する例を説明したが、オンプレミスで構成してもよい。
【0055】
(2)上述した実施形態では、利用者が撮影した動画像をVRコンテンツ生成装置にアップロードしてから、スマホでVRアクションを設定・埋め込む例を説明した。しかし、動画像を撮影しながら、同時にVRコンテンツを埋め込んでいくように構成してもよい。 このような撮影を続行し、順次動画像が生成されていくので、その生成されていく動画像にVRアクションを埋め込んでいけばよい。言い換えれば、請求の範囲(請求項1)の「動画像」はどこから取得した動画像でもよい。利用者が撮影した動画像でもよいし、システムがライブラリーとして用意しておいた動画像でもよい。また、その場でリアルに撮影している動画像でもよい。
【0056】
以上に示した本実施形態は、発明の構成の一例を示したものであり、構成は発明の範囲内において適宜変更することができる。