(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6746269
(24)【登録日】2020年8月7日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】ラベル発行装置及びラベル発行方法
(51)【国際特許分類】
B41J 3/36 20060101AFI20200817BHJP
B41J 3/44 20060101ALI20200817BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20200817BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20200817BHJP
【FI】
B41J3/36 Z
B41J3/44
B41J29/38 Z
G09F3/00 G
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-173836(P2014-173836)
(22)【出願日】2014年8月28日
(65)【公開番号】特開2016-47638(P2016-47638A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2017年7月7日
【審判番号】不服2019-6407(P2019-6407/J1)
【審判請求日】2019年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 和之
【合議体】
【審判長】
藤本 義仁
【審判官】
河内 悠
【審判官】
清水 康司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平5−42753(JP,A)
【文献】
特開2009−96111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/01-3/54,3/62,5/00-5/52,11/00-11/70,21/00-21/18,29/00-29/70
B65C 1/00-11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発行予定のラベルの識別情報に関連する印字データを複数のラベルを連ねて構成されるラベル連続体の先頭に位置するラベルに印字するラベル発行装置であって、
各識別情報に関連づけられた前記印字データとは別に用意される前記発行予定のラベルの識別情報が列挙されたリストから前記発行予定のラベルの識別情報を取得し、
前記先頭に位置するラベルを印字部の下流に配置されるスキャナの読み取り位置まで移送し、
前記先頭に位置するラベルの識別部に格納されている識別情報を前記スキャナによって読み取り、
読み取られた識別情報が前記リストから取得された前記発行予定のラベルの前記識別情報と一致している場合に、前記先頭に位置するラベルを前記印字部まで逆移送して前記リストから取得された前記発行予定のラベルの前記識別情報に関連づけられた前記印字データを前記先頭に位置するラベルに前記印字部によって印字し、
読み取られた識別情報が前記リストから取得された前記発行予定のラベルの前記識別情報と一致していない場合に、前記先頭に位置するラベルに前記印字部によって印字しない、
ラベル発行装置。
【請求項2】
請求項1に記載のラベル発行装置であって、
前記ラベル連続体は複数あり、
複数の前記ラベル連続体の各々に対応して設けられる前記印字部、前記スキャナ及び前記先頭に位置するラベルを移送する手段の複数の組の各々によって前記印字が行われ、
前記印字は、複数の前記ラベル連続体の各々の先頭に位置するラベルの識別部から読み取られた識別情報が互いに一致、かつ、前記発行予定のラベルの前記識別情報と一致している場合に行われる、
ラベル発行装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のラベル発行装置であって、
前記印字が完了すると、前記先頭に位置するラベルと次に位置するラベルとの境界部をカッタの位置まで移動させ、前記カッタによって前記先頭に位置するラベルを切断、分離する、
ラベル発行装置。
【請求項4】
発行予定のラベルの識別情報に関連する印字データを複数のラベルを連ねて構成されるラベル連続体の先頭に位置するラベルに印字するラベル発行方法であって、
各識別情報に関連づけられた前記印字データとは別に用意される前記発行予定のラベルの識別情報が列挙されたリストから前記発行予定のラベルの識別情報を取得し、
前記先頭に位置するラベルを印字部の下流に配置されるスキャナの読み取り位置まで移送し、
前記先頭に位置するラベルの識別部に格納されている識別情報を前記スキャナによって読み取り、
読み取られた識別情報が前記リストから取得された前記発行予定のラベルの前記識別情報と一致している場合に、前記先頭に位置するラベルを前記印字部まで逆移送して前記リストから取得された前記発行予定のラベルの前記識別情報に関連づけられた前記印字データを前記先頭に位置するラベルに前記印字部によって印字し、
読み取られた識別情報が前記リストから取得された前記発行予定のラベルの前記識別情報と一致していない場合に、前記先頭に位置するラベルに前記印字部によって印字しない、
ラベル発行方法。
【請求項5】
請求項4に記載のラベル発行方法であって、
前記ラベル連続体は複数あり、
複数の前記ラベル連続体の各々に対応して設けられる前記印字部、前記スキャナ及び前記先頭に位置するラベルを移送する手段の複数の組の各々によって前記印字が行われ、
前記印字は、複数の前記ラベル連続体の各々の先頭に位置するラベルの識別部から読み取られた識別情報が互いに一致、かつ、前記発行予定のラベルの前記識別情報と一致している場合に行われる、
ラベル発行方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のラベル発行方法であって、
前記印字が完了すると、前記先頭に位置するラベルと次に位置するラベルとの境界部をカッタの位置まで移動させ、前記カッタによって前記先頭に位置するラベルを切断、分離する、
ラベル発行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の情報をそれを印字すべきラベルに確実に印字する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製品、荷物等の管理対象物毎に固有の識別情報(シリアル番号、ロット番号、伝票番号等)を割り当て、識別情報が記載されたラベルを管理対象物に貼り付ける又は添付することによって、管理対象物を管理することが一般的に行われている。
【0003】
管理の態様によっては、識別情報が記載されたラベルにさらに識別情報に関連づけられた情報(仕様、製造日、検査日、宛名等)を印字したい場合があり、この場合、ラベルの誤発行防止や偽造防止の観点から、識別情報に関連づけられた情報を当該識別情報が記載されたラベルに確実に印字することが求められる。
【0004】
印字が確実に行われたかを確認する技術としては特許文献1が知られている。特許文献1が開示する技術によれば、ラベルに印字された情報(バーコード)がスキャナで読み取られ、印字しようとした情報と読み取られた情報とを照合することで、印字しようとした情報がラベルに正しく印字されたかどうかの確認が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−238390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1が開示する技術では、印字しようとした情報と印字された情報との同一性を確認することはできても、印字しようとした情報がその情報を印字すべきラベルに印字されたどうかまでは確認できない。
【0007】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、特定の情報をそれを印字すべきラベルに確実に印字できるラベル発行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、発行予定のラベルの識別情報に関連する印字データを複数のラベルを連ねて構成されるラベル連続体の先頭に位置するラベルに印字するラベル発行装置であって、各識別情報に関連づけられた前記印字データとは別に用意される前記発行予定のラベルの識別情報が列挙されたリストから前記発行予定のラベルの識別情報を取得し、前記先頭に位置するラベルを印字部の下流に配置されるスキャナの読み取り位置まで移送し、前記先頭に位置するラベルの識別部に格納されている識別情報を前記スキャナによって読み取り、読み取られた識別情報が前記リストから取得された前記発行予定のラベルの前記識別情報と一致している場合に、前記先頭に位置するラベルを前記印字部まで逆移送して前記リストから取得された前記発行予定のラベルの前記識別情報に関連づけられた前記印字データを前記先頭に位置するラベルに前記印字部によって印字に関連づけられた前記印字データを前記先頭に位置するラベルに前記印字部によって印字
し、読み取られた識別情報が前記リストから取得された前記発行予定のラベルの前記識別情報と一致していない場合に、前記先頭に位置するラベルに前記印字部によって印字しないラベル発行装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、先頭に位置するラベルの識別情報が発行予定のラベルの識別情報と一致していることを確認した上で印字が行われるので、発行予定のラベルの識別情報に関連づけられた印字データをそれを印字すべきラベルに確実に印字することが可能である。
【0010】
また、スキャナを印字部の下流に配置したことにより、スキャナを印字部から離れた位置に配置しても先頭に位置するラベルの識別情報を読み取ることができ、スキャナの設置自由度が高くなるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るラベル発行装置の概略構成図である。
【
図3】管理コンピュータの処理内容を示したフローチャートである。
【
図4】印字コントローラの処理内容を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るラベル発行装置100の概略構成を示している。ラベル発行装置100は、ラベルR(ラベル連続体RR)の移送と印字を行う印字装置10と、ラベルRから識別情報を読み取るスキャナ20と、発行するラベルRの管理と印字装置10及びスキャナ20の制御を行う管理コンピュータ30とで構成される。
【0014】
印字装置10は、ラベル連続体RR上のラベルRを加熱し、ラベルRに所望の文字、図形等を印字する装置である。ラベル連続体RRは、
図2に示すように、複数のラベルRを連ねて構成され、この例では帯状の台紙Mに感熱紙で作られたラベルRを等間隔で剥離可能に貼り付けて構成されるロールラベルである。各ラベルRは識別部IDを有しており、この例では識別部IDは、印字装置10とは別の印字装置によって各ラベルRに予め印字された二次元コードであり、識別部IDには、シリアル番号、ロット番号、伝票番号等の識別情報が格納されている。
【0015】
印字装置10は、一般的なサーマルプリンタと同様に、ラベル連続体RRのロール部がセットされる供給軸11と、ラベル連続体RRをガイドするガイドローラ12と、ラベル連続体RR上のラベルRに印字を行うサーマルヘッド13と、サーマルヘッド13を保持するヘッドユニット14と、ラベル連続体RRをサーマルヘッド13に押し付けるとともにラベル連続体RRの移送を行うプラテンローラ15と、プラテンローラ15を駆動する駆動モータ16と、ラベル連続体RRを切断するカッタ17と、ラベル連続体RRの位置を検出するラベル位置センサ18と、サーマルヘッド13、駆動モータ16及びカッタ17を制御する印字コントローラ19とを備える。
【0016】
ヘッドユニット14は、揺動軸14sを中心に揺動可能に構成され、ラベル連続体RRをサーマルヘッド13とプラテンローラ15との間に挟持して印字部Pを形成するクローズ位置(実線)と、サーマルヘッド13がラベル連続体RR及びプラテンローラ15から離間したオープン位置(破線)とを切り換えることができる。
【0017】
ヘッドユニット14がクローズ位置にある状態でサーマルヘッド13に通電すると、ラベル連続体RR上のラベルRがサーマルヘッド13によって加熱され、ラベルRが自己発色することで所望の文字、図形等がラベルRに印字される。また、同状態で駆動モータ16によってプラテンローラ15を回転させると、ラベル連続体RRを上流又は下流に移送することができる。なお、以下の説明においては、ラベル連続体RRを下流に移送することを単に「移送」と表現し、上流に移送することを「逆移送」と表現する。
【0018】
ラベル位置センサ18は、ラベル連続体RRの裏面に所定の間隔で予め印字されている位置検出用のアイマークを検出する反射型光電センサである。ラベル位置センサ18は、サーマルヘッド13、カッタ17及びスキャナ20に対するラベルRの位置、特に、ラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRの位置を検出するために利用される。
【0019】
印字コントローラ19には、サーマルヘッド13、駆動モータ16、カッタ17、ラベル位置センサ18及び管理コンピュータ30が接続されている。印字コントローラ19は、管理コンピュータ30から印字データを受信すると、サーマルヘッド13、駆動モータ16及びカッタ17を制御してラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRに印字を行うとともに当該ラベルRをラベル連続体RRから切断、分離し、印字済みのラベルRを一枚ずつ発行する。
【0020】
スキャナ20は、カメラ21と画像処理ユニット22とを備え、印字装置10の印字部Pの下流に配置される。この例では、スキャナ20は印字装置10から独立した汎用のスキャナであり、印字装置10の筐体の外側に配置される。
【0021】
カメラ21はCCDカメラ又はCMOSカメラである。スキャナ20は、管理コンピュータ30からスキャン指示を受信すると、カメラ21の正面に配置されるラベルRの識別部IDをカメラ21によって撮影する。そして、スキャナ20は、画像処理ユニット22によって、撮影された画像に含まれる識別部IDを自動認識するとともに識別部IDに格納されている識別情報を読み取り、読み取った識別情報を管理コンピュータ30に送信する。
【0022】
管理コンピュータ30は、発行するラベルRの管理を行うコンピュータである。管理コンピュータ30は、発行予定のラベルRの識別情報が列挙されたリストと各識別情報に関連づけられた印字データ(仕様、製造日、検査日、宛名等)とを持っており、リスト上位のラベルRから順に印字が行われるように印字装置10に印字データを送信する。
【0023】
このとき、管理コンピュータ30は、ラベルRの誤発行、偽造等を防止するために、識別情報に関連づけられた印字データが当該識別情報が記載されたラベルRに確実に印字されるように、これから印字するラベルR(ラベル連続体RRの先頭に位置するラベルR)の識別部IDに格納されている識別情報をスキャナ20によって読み取り、読み取った識別情報と発行予定のラベルRの識別情報との照合を行う。
【0024】
そして、管理コンピュータ30は、これから印字するラベルRが発行予定のラベルRであることが確認できた場合にのみ、印字装置10に識別情報に関連づけられた印字データを送信し、印字が行われるようにする。
【0025】
図3及び
図4に示すフローチャートを参照しながら上記ラベル発行装置100の具体的な動作についてさらに説明する。
【0026】
図3は、管理コンピュータ30の処理内容を示している。
【0027】
これによると、管理コンピュータ30は、ラベル発行要求の有無を判断し、ラベル発行要求ありと判断するまで待機する(ステップS11)。ラベル発行要求は、作業者が管理コンピュータ30又は印字装置10の特定のキーを押下した場合、管理コンピュータ30の画面上に表示される発行ボタンをクリックした場合、外部のコンピュータからラベル発行指示を受けた場合等に「あり」と判断される。
【0028】
管理コンピュータ30は、ラベル発行要求ありと判断すると、発行予定のラベルRの識別情報をリストから取得するとともに、処理をステップS11からステップS12に進める。
【0029】
ステップS12では、管理コンピュータ30は、ラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRの識別情報を読み取る。具体的には、管理コンピュータ30は、スキャナ20にスキャン指示を送信してスキャナ20にラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRの識別情報を読み取らせ、その結果をスキャナ20から受信する。
【0030】
なお、後述するように、ラベルRの発行が完了すると次にラベル連続体RRの先頭に位置することになるラベルRがスキャナ20の読み取り位置まで移送されるので、ステップS12では改めてラベル連続体RRを移送する必要はないが、ラベル発行要求ありと判断されてからラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRをスキャナ20の読み取り位置まで移送する構成であってもよい。
【0031】
ステップS13では、管理コンピュータ30は、ラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRの識別情報が発行予定のラベルRの識別情報と一致しているか判断する。両者が一致している場合は、管理コンピュータ30は処理をステップS13からステップS14に進め、発行予定のラベルRの識別情報に関連づけられた印字データを印字装置10の印字コントローラ19に送信し、処理をステップS11に戻す。
【0032】
これに対し、両者が一致しない場合は、管理コンピュータ30は処理をステップS13からステップS15に進め、エラーを発報し、ラベルRへの印字を行わずに処理を終了する。エラーの発報態様は、管理コンピュータ30又は印字装置10のディスプレイにメッセージ、画像を表示する、印字装置10の筐体に設けられたランプを点灯、点滅させる、管理コンピュータ30又は印字装置10のスピーカーから音声、警告音を発する等、様々な態様であってよい。
【0033】
図4は、印字コントローラ19の処理内容を示している。
【0034】
これによると、印字コントローラ19は、管理コンピュータ30から印字データを受信したかを判断し、印字データを受信するまで待機する(ステップS21)。上記の通り、印字データは発行予定のラベルRの識別情報に関連づけられたデータであり、ラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRの識別情報が発行予定のラベルRの識別情報と一致した場合のみ管理コンピュータ30から印字コントローラ19に送信される。管理コンピュータ30から印字データを受信したと判断した場合は、印字コントローラ19は処理をステップS21からステップS22に進める。
【0035】
ステップS22では、印字コントローラ19は、プラテンローラ15を逆回転させてラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRを印字部Pまで逆移送する。
【0036】
ステップS23では、印字コントローラ19は、印字データに応じてサーマルヘッド13を通電するとともに駆動モータ16によってプラテンローラ15を回転させてラベル連続体RRを移送し、ラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRに受信した印字データを印字する。
【0037】
ステップS24では、印字コントローラ19は、駆動モータ16によってプラテンローラ15を回転させて、ラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRと次に位置するラベルRとの境界部をカッタ17の位置まで移動させる。
【0038】
ステップS25では、印字コントローラ19は、カッタ17を動作させてラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRをラベル連続体RRから切り離し、ラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRを一枚のラベルRとして発行する。
【0039】
ステップS26では、印字コントローラ19は、駆動モータ16によってプラテンローラ15をさらに回転させて新たにラベル連続体RRの先頭に位置することになったラベルRをスキャナ20の読み取り位置まで移送し、処理をステップS21に戻す。
【0040】
図5は、ラベル発行装置100によってラベルRが発行される様子を示している。
図5では、ラベル連続体RRが移送される様子が分かりやすいように、各ラベルRには先頭から順に[1]〜[5]の番号を振ってある。
【0041】
ラベルRの発行要求があると、まず、ラベル連続体RRの先頭に位置するラベルR(番号[1]のラベルR)の識別情報がスキャナ20によって読み取られ、読み取られた識別情報と発行予定のラベルRの識別情報が照合される(状態A)。
【0042】
両者が一致していればラベル連続体RRが逆移送され(状態A→状態B)、ラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRが印字部Pに配置される(状態B)。
【0043】
そして、発行予定のラベルRの識別情報に関連づけられた印字データがラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRに印字され(状態B→状態C)、印字が完了するとラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRと次のラベルRとの境界部がカッタ17の位置まで移送され(状態C→状態D)、カッタ17によってラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRが切断、分離される(状態D)。
【0044】
そして、新たにラベル連続体RRの先頭に位置することになったラベルR(番号[2]のラベルR)がスキャナ20の読み取り位置まで移送される(状態D→状態E)。
【0045】
ラベル発行装置100は、ラベルRを1枚発行する毎に状態(A)〜状態(E)の動作を繰り返す。
【0046】
なお、ラベルの偽造防止の観点からは、上記動作中にヘッドユニット14がオープン位置に移動した場合は、印字中又はこれから印字するラベルRが取り替えられた可能性があるので、印字中又はこれから印字するラベルRについては発行禁止とするのが好ましい。
【0047】
続いて、本実施形態による作用効果について説明する。
【0048】
本実施形態によれば、発行予定のラベルRの識別情報に関連する印字データをラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRに印字する場合、先頭に位置するラベルRがスキャナ20の読み取り位置まで移送され、先頭に位置するラベルRが有する識別部IDに格納されている識別情報がスキャナ20によって読み取られる。
【0049】
そして、読み取られた識別情報が発行予定のラベルRの識別情報と一致している場合に先頭に位置するラベルRが印字部Pまで逆移送され、発行予定のラベルRの識別情報に関連する印字データが先頭に位置するラベルRに印字される。
【0050】
この処理によれば、先頭に位置するラベルRの識別情報が発行予定のラベルRの識別情報と一致していることを確認した上で印字が行われるので、発行予定のラベルRの識別情報に関連づけられた印字データを、それを印字すべきラベルR、すなわち、発行予定のラベルRの識別情報と同一の識別情報が識別部IDに格納されているラベルRに確実に印字することが可能である。
【0051】
また、スキャナ20を印字部Pの下流に配置したことにより、スキャナ20の読み取り位置までのラベルRの移送と印字部PまでのラベルRの逆移送とが必要になるが、本構成によれば、スキャナ20を印字部Pから離れた位置に配置しても先頭に位置するラベルRの識別情報を読み取ることができ、スキャナ20の設置自由度が高くなるという利点がある。
【0052】
これに対し、スキャナ20を印字部Pの上流に配置する場合は、先頭に位置するラベルRが印字部Pから脱落しない範囲(サーマルヘッド13とプラテンローラ15とによるラベルRの挟持状態を維持できる範囲)でしかラベルRを逆移送できないので、スキャナ20を印字部Pの極近傍に配置する必要があり、本実施形態のようなスキャナ20の設置自由度は期待することができない。
【0053】
さらに、本構成によれば、スキャナ20を印字装置10の筐体の外側に配置することができ、印字装置10とスキャナ20とを別個の装置として構成することができる。これは、汎用の印字装置と汎用のスキャナとを組み合わせて本実施形態に係るラベル発行装置100を構成できることを意味し、印字装置10内にスキャナ20を組み込む場合と比較して、ラベル発行装置100の製造コストを下げることができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0055】
例えば、
図6に示すように、印字装置10及びスキャナ20の組がLAN経由で複数管理コンピュータ30に接続されており、複数のラベル連続体RRの先頭に位置するラベルRにそれぞれ印字を行う構成の場合は、読み取られた識別情報と発行予定のラベルRの識別情報とが一致していることに加え、読み取られた識別情報が互いに一致していることも印字を行う条件として加えてもよい。
【0056】
このような条件を加えることで、特定の識別情報に対応するラベルRが複数あり、それぞれのラベルRに特定の識別情報に関連づけられた印字データを印字する必要がある場合に、確実にそのような印字を行わせることが可能になる。
【0057】
また、発行予定のラベルRの識別情報をリストから取得しているが、識別情報がシリアル番号のような通し番号であれば管理コンピュータ30において自動的に生成するようにしてもよい。
【0058】
また、ラベル連続体RRとして、帯状の台紙Mに複数のラベルRを剥離可能に貼り付けたロールラベルを用いているが、ラベル連続体RRはこれに限定されず、表面が剥離面、裏面が粘着面であるライナーレスラベル(台紙無しロールラベル)であってもよい。
【0059】
また、ラベルRは、粘着面を有さないラベルであってもよい。この場合、ラベル連続体RRは、粘着面を有さないロール紙、ファンフォールド紙である。
【0060】
また、識別部IDとして、二次元コードを用いているが、識別部IDはこれに限定されず、一次元コード(バーコード)、色の配列を用いて情報を表現する識別コード、RFタグ等であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 印字装置
11 供給軸
12 ガイドローラ
13 サーマルヘッド(印字部)
14 ヘッドユニット
15 プラテンローラ(印字部、移送部)
16 駆動モータ
17 カッタ
18 ラベル位置センサ
19 印字コントローラ(制御手段)
20 スキャナ
21 カメラ
22 画像処理ユニット
30 管理コンピュータ(制御手段)
100 ラベル発行装置
ID 識別部
P 印字部
R ラベル
M 台紙
RR ラベル連続体