(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す図面において、共通する部分には同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。また、部材のサイズおよび形状は、説明の便宜のため、変形または誇張して模式的に表す場合がある。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る加工ライン100の概略正面図である。
図2は、加工ライン100の概略側面図である。
図3は、
図1に示される工作機械80のワーク支持装置85周辺を示す概略斜視図である。
【0022】
なお、
図1および
図2において、X軸方向は左右方向(横方向)、Y軸方向は上下方向(鉛直方向)、Z軸方向は前後方向(奥行き方向)に相当している(
図3〜
図6でも同様)。また、
図2では、ガントリ型搬送装置10は、図示の簡略化のため、一部のみ表示している。
【0023】
図1〜
図2に示すように、加工ライン100は、被搬送物としてのワークWを搬送するガントリ型搬送装置10と、ワークWに対して加工を行う工作機械80と、を有している。加工ライン100には、工作機械80がX軸方向に沿って複数台設置されているが、
図1では、説明の都合上、1台のみ表示している。この場合、ガントリ型搬送装置10によって、ワークWの流れの上流端に設置された工作機械80へのワークWの搬入、隣接する工作機械80間のワークWの搬送、および下流端に設置された工作機械80からのワークWの搬出が行われる。ただし、加工ライン100に工作機械80が1台設置される構成であってもよい。この場合、ガントリ型搬送装置10によって、搬入用ワーク貯留部から工作機械80へのワークWの搬入、および工作機械80から搬出用ワーク貯留部へのワークWの搬出が行われる。
【0024】
図2に示すように、本実施形態では、工作機械80は、主軸81が水平方向に沿うように配置される横形の工作機械である。工作機械80は、ベース82と、コラム83と、サドル84と、ワーク支持装置85と、カバー86とを備えている。
【0025】
ベース82上には、コラム83がベース82に対してX軸方向(
図2の紙面に直交する方向)に移動可能に設けられている。このコラム83は、ベース82に取り付けられたモータ(図示せず)によるねじ軸(図示せず)の正逆回転によってねじ送りされることで、X軸方向に沿って移動させられる。サドル84は、コラム83に対してY軸方向(上下方向)に移動可能に設けられている。このサドル84は、コラム83に取り付けられたモータ(図示せず)によるねじ軸(図示せず)の正逆回転によってねじ送りされることで、Y軸方向に沿って移動させられる。
【0026】
サドル84は、工具Tが先端に取り付けられる主軸81を回転可能に支持している。サドル84の内部には、回転軸(図示せず)が配置されていて、この回転軸の一端側が主軸81に連結されるとともに、他端側がモータ(図示せず)に連結される。そして、このモータが駆動すると、主軸81が回転させられる構成となっている。
【0027】
ワーク支持装置85は、加工対象のワークWを支持する。ワーク支持装置85は、ベース82に対してビーム11(
図1参照)の延在方向と平面視して直交する水平方向、すなわちZ軸方向(前後方向)に移動可能に設けられている。このワーク支持装置85は、ベース82に取り付けられたモータ(図示せず)によるねじ軸(図示せず)の正逆回転によってねじ送りされることで、Z軸方向に沿って移動させられる。
【0028】
図3に示すように、ワーク支持装置85は、Z軸方向に移動可能なキャリッジ87と、キャリッジ87に取り付けられてワークWを保持する保持部88と、を有している。保持部88は、ビーム11(
図1参照)と平行なA軸のまわりで回転可能にキャリッジ87に取り付けられている。保持部88は、モータ89の駆動によってギアやベルト等の動力伝達機構(図示せず)を介して旋回させられる旋回台90と、旋回台90に取り付けられ、ワークWを位置決めしてセットするための治具91と、を有している。
【0029】
図1〜
図2に示すように、カバー86は、ワークWを加工する際の加工領域、ワーク支持装置85等を覆うように設けられており、クーラント等の飛散や漏洩を防止するものである。
【0030】
カバー86の前方上面92は、後方上面よりも高さが低くなるように形成されている。このようにすれば、ガントリ型搬送装置10の載置部14を高さ方向(Y軸方向)においてワーク支持装置85に対してより近付けることができるため、ワーク支持装置85に対してワークWを搬入または搬出し易くなる。
【0031】
また、カバー86の前方上面92には、例えば左右方向(X軸方向)にスライドして開閉可能な扉93が設けられている。扉93は、ワークWを工作機械80に搬入または搬出する際には開き、ワークWの加工を行う際には閉じられる。
【0032】
ガントリ型搬送装置10は、水平に設置されるビーム11と、ビーム11に沿って走行する走行体12と、走行体12に対して上下方向に移動可能に支持される昇降体13と、昇降体13の下部に支持され、ワークWを載置する載置部14と、を備えている。ビーム11は、複数の支柱15,15の上部に固定されている。
【0033】
図4は、
図1に示されるガントリ型搬送装置10の走行体12周辺の拡大正面図である。
図5は、ガントリ型搬送装置10の走行体12周辺の拡大側面図である。
図6は、ガントリ型搬送装置10の走行体12周辺の拡大平面図である。
図7(a)は、載置部14の拡大平面図、
図7(b)は、載置部14の拡大側面図である。なお、
図6では、説明の都合上、載置部14等の表示を省略している。
【0034】
図4に示すように、走行体12は、正面視で略矩形状の走行板16を備えている。走行板16上には、走行用サーボモータ17が搭載されている。
【0035】
図5に示すように、走行用サーボモータ17の駆動軸には、ピニオン18が接続されている。このピニオン18は、ビーム11に基準ブロック19を介して取り付けられたラック20に噛合されている。したがって、走行体12は、走行用サーボモータ17の駆動によって、ビーム11に沿って走行可能(
図4の矢印A1参照)となっている。
【0036】
基準ブロック19の上面には上部レール21が、ビーム11の下面には下部レール22がそれぞれ取り付けられている。一方、走行板16には荷重受けローラ23が回転自在に取り付けられている。この荷重受けローラ23は、上部レール21の上面に摺接されて転動するとともに、走行体12等の荷重を受けて支持する。また、ガイドローラ24,25で上部レール21および下部レール22がそれぞれ両側から挟み込まれることによって、走行体12の走行が案内されるようになっている。
【0037】
図6に示すように、昇降体13は、水平断面が略コの字(U字)形状の縦長の昇降部材26を備えている。昇降体13は、移動ガイド機構27によって、鉛直方向(Y軸方向)に移動可能に走行板16上に支持されている。移動ガイド機構27は、昇降部材26の背面(後面)に取り付けられた2本のガイドレール28と、各ガイドレール28に対してそれぞれ摺動自在に係合された複数のスライダ29と、を備えており、公知の直線移動機構である。
【0038】
図4に示すように、走行板16上には、昇降用サーボモータ30が搭載されている。昇降用サーボモータ30の駆動軸には、ピニオン31が接続されている。このピニオン31は、昇降体13の昇降部材26の側面に取り付けられたラック32に噛合されている。したがって、昇降体13は、昇降用サーボモータ30の駆動によって、走行体12に対して上下方向に移動可能(
図4の矢印A2参照)となっている。
【0039】
載置部14は、昇降体13の上下移動にともなって、ワークWをビーム11に沿って搬送する際の上方位置(
図8(a)等参照)と、ワークWを工作機械80に対して供給または取り出す際の下方位置(
図8(b)等参照)との間で昇降される。
【0040】
昇降体13の昇降部材26は、下端側に底壁33を有している。昇降部材26の底壁33の上面には、旋回用サーボモータ34が搭載されており、この旋回用サーボモータ34の駆動軸には、旋回軸35が接続されている。そして、旋回軸35の下端に、載置部14が固定されている。すなわち、載置部14は、昇降体13の下部の底壁33に、旋回用サーボモータ34および旋回軸35を介して、鉛直軸(Y軸)のまわりで旋回可能(
図4の矢印A3参照)に支持されている。
【0041】
図7に示すように、載置部14は、矩形の板状を呈している。ここで「矩形」というのは「厳密な矩形」に加えて、例えば角部が面取りされたり丸くされたり一部が切り欠かれたりした「略矩形」をも含む概念である。載置部14は、その上に複数のワークW(ここでは2個)を載置可能である。具体的には、載置部14は、旋回軸35の取付け中心36のまわりで点対称な形状となっており、取付け中心36を間にした両側にワークWがそれぞれ載置可能となっている。
【0042】
載置部14には、ワークWを載置部14上で水平面内において位置決めする位置決め部材としての位置決めピン37,38がねじ締結等によって固定されて設けられている。また、載置部14には、支持パッド39、およびガイド40がねじ締結等によってそれぞれ固定されて設けられている。ワークWは、ガイド40によって案内されながら、位置決めピン37,38がワークWの側面に当接することによって水平面上において位置決めされるとともに、支持パッド39で荷重を受けて支持されるように構成されている。
【0043】
なお、載置部14上にワークWを位置決めして載置する構造は、前記した構造に限定されるものではない。例えば、ワークWは、載置部14上に固定された位置決めピンがワークWに形成された穴部に嵌入することによって水平面上において位置決めされてもよい。この場合に、位置決めピンの下部に段付き形状の大径部を設けて、この大径部でワークWの荷重を受けて支持するように構成されてもよい。
【0044】
本実施形態では、工作機械80のワーク支持装置85(
図2参照)は、該ワーク支持装置85と載置部14との間でワークWを授受してZ軸方向(前後方向)に移動させる機能を備えている。
【0045】
次に、前記したように構成された本実施形態の作用について説明する。
まず、
図8〜
図10を参照して、ワークWの下面を治具91に対向する取付け基準面としてワークWを搬送する方法について説明する。
【0046】
図8〜
図10における治具91は、ワークWの下面を取付け基準面としてワーク支持装置85の保持部88に取り付けるための治具である。また、
図8〜
図10において、ハッチングを施していないワークWは、該当する工作機械80での加工前のワークWを示し、ハッチングを施したワークWは、加工後のワークWを示す(
図12〜
図14でも同様)。
【0047】
図8(a)に示すように、ガントリ型搬送装置10が制御装置(図示せず、以下同様)の指令にしたがって作動されると、走行体12(
図4参照、以下同様)が、走行用サーボモータ17(
図4参照、以下同様)の駆動によって、ビーム11(
図4参照、以下同様)に沿って走行する。そして、走行体12は、工作機械80のカバー86の前方上面92に設けられた扉93(いずれも
図2参照、以下同様)の直上まで移動して停止する。
【0048】
このとき、載置部14は、ワークWをビーム11に沿って搬送する際の上方位置にある。また、ワーク支持装置85は、ガントリ型搬送装置10の載置部14よりもZ軸方向(前後方向)において後ろに設定された後方位置にある。また、加工後のワークWが、ワーク支持装置85の保持部88(
図3参照、以下同様)に設けられるクランプ機構(図示せず、以下同様)によってクランプされている。
【0049】
続いて、扉93が開かれるとともに、
図8(b)に示すように、昇降体13が、昇降用サーボモータ30(
図4参照、以下同様)の駆動によって下降する。これに伴い、載置部14が、ワークWを工作機械80に対して供給または取り出す際の下方位置まで下降して停止する。
【0050】
続いて、
図8(c)に示すように、ワーク支持装置85が、ワークWを授受する際の前方位置まで前進して停止する。すると、載置部14におけるワークWが載置されていなくて空いている部分が、ワーク支持装置85の治具91に取り付けられた加工後のワークWの下方に挿入される。
【0051】
続いて、クランプ機構によるワークWのクランプが解除されるとともに、
図8(d)に示すように、昇降体13が、昇降用サーボモータ30の駆動によって所定距離だけ上昇する。これに伴い、載置部14は、前記した上方位置と下方位置との間であって下方位置よりも少し高い中間位置まで上昇して停止する。これにより、加工後のワークWが、所定距離だけ持ち上げられて、載置部14上に載置される。
【0052】
続いて、
図9(a)に示すように、ワーク支持装置85が、前記した前方位置と後方位置との間であって前方位置よりも少し後方の退避位置まで後退して停止する。
【0053】
続いて、
図9(b)に示すように、載置部14が、旋回用サーボモータ34の駆動によって鉛直軸(Y軸)のまわりで180度旋回する。これにより、加工前のワークWと加工後のワークWとの前後位置が入れ替わる。
【0054】
続いて、
図9(c)に示すように、ワーク支持装置85が、退避位置から前方位置まで前進して停止する。
【0055】
続いて、
図9(d)に示すように、昇降体13が、昇降用サーボモータ30の駆動によって所定距離だけ下降する。これに伴い、載置部14は、中間位置から下方位置まで下降して停止する。これにより、加工前のワークWが治具91に載置されて位置決めされるとともに、クランプ機構によってクランプされる。
【0056】
続いて、
図10(a)に示すように、ワーク支持装置85が、前記した後方位置まで後退して停止する。すると、載置部14における加工前のワークWが載置されていた部分が、加工前のワークWの下方から相対的に引き出されて現れる。
【0057】
続いて、
図10(b)に示すように、昇降体13が、昇降用サーボモータ30の駆動によって上昇する。これに伴い、載置部14が、前記した上方位置まで上昇して停止し、扉93が閉じられる。この後、工作機械80が、ワーク支持装置85に支持された加工前のワークWに対して所定の加工を行う。
【0058】
次に、
図11〜
図14を参照して、ワークWの上面を治具91に対向する取付け基準面としてワークWを搬送する方法について説明する。
【0059】
図11は、保持部88の治具91が
図3に示す下位置からA軸のまわりで180度回転させられて上位置にある状態におけるワーク支持装置85周辺を示す概略斜視図である。
図12〜
図14は、ワークWの上面を治具91に対向する取付け基準面としてワークWを搬送する方法を説明するための概略側面図である。
図12〜
図14における治具91は、ワークWの上面を取付け基準面としてワーク支持装置85の保持部88に取り付けるための治具である。
【0060】
図12(a)に示すように、ガントリ型搬送装置10が制御装置の指令にしたがって作動されると、走行体12が、走行用サーボモータ17の駆動によって、ビーム11に沿って走行する。そして、走行体12は、工作機械80のカバー86の前方上面92に設けられた扉93の直上まで移動して停止する。
【0061】
このとき、載置部14は、ワークWをビーム11に沿って搬送する際の上方位置にある。また、ワーク支持装置85は、Z軸方向(前後方向)において載置部14よりも後ろに設定された後方位置にある。また、ワークWは、
図11に示すように上位置にある保持部88に設けられるクランプ機構によってクランプされている。
【0062】
続いて、扉93が開かれるとともに、
図12(b)に示すように、昇降体13が、昇降用サーボモータ30の駆動によって下降する。これに伴い、載置部14が、ワークWを工作機械80に対して供給または取り出す際の下方位置まで下降して停止する。
【0063】
続いて、
図12(c)に示すように、ワーク支持装置85が、ワークWを授受する際の前方位置まで前進して停止する。すると、載置部14におけるワークWが載置されていなくて空いている部分が、ワーク支持装置85の治具91に取り付けられた加工後のワークWの下方に相対的に挿入される。
【0064】
続いて、
図12(d)に示すように、昇降体13が、昇降用サーボモータ30の駆動によって所定距離だけ上昇する。これに伴い、載置部14は、前記した上方位置と下方位置との間であって下方位置よりも少し高い中間位置まで上昇して停止する。この中間位置にて、クランプ機構によるワークWのクランプが解除され、加工後のワークWは、載置部14上に載置されることになる。
【0065】
続いて、
図13(a)に示すように、昇降体13が、昇降用サーボモータ30の駆動によって所定距離だけ下降する。これに伴い、載置部14は、前記した下方位置まで下降して停止する。
【0066】
続いて、
図13(b)に示すように、ワーク支持装置85が、前記した前方位置と後方位置との間であって前方位置よりも少し後方の退避位置まで後退して停止する。
【0067】
続いて、
図13(c)に示すように、載置部14が、旋回用サーボモータ34の駆動によって鉛直軸(Y軸)のまわりで180度旋回する。これにより、加工前のワークWと加工後のワークWとの前後位置が入れ替わる。
【0068】
続いて、
図13(d)に示すように、ワーク支持装置85が、退避位置から前方位置まで前進して停止する。
【0069】
続いて、
図14(a)に示すように、昇降体13が、昇降用サーボモータ30の駆動によって所定距離だけ上昇する。これに伴い、載置部14は、前記した中間位置まで上昇して停止する。この中間位置にて、加工前のワークWがクランプ機構によってクランプされる。
【0070】
続いて、
図14(b)に示すように、昇降体13が、昇降用サーボモータ30の駆動によって所定距離だけ下降する。これに伴い、載置部14は、前記した下方位置まで下降して停止する。
【0071】
続いて、
図14(c)に示すように、ワーク支持装置85が、前記した後方位置まで後退して停止する。すると、載置部14における加工前のワークWが載置されていた部分が、加工前のワークWの下方から相対的に引き出されて現れる。
【0072】
続いて、
図14(d)に示すように、昇降体13が、昇降用サーボモータ30の駆動によって上昇する。これに伴い、載置部14が、前記した上方位置まで上昇して停止し、扉93が閉じられる。この後、工作機械80が、ワーク支持装置85に支持された加工前のワークWに対して所定の加工を行う。
【0073】
前記したように、本実施形態に係るガントリ型搬送装置10は、ビーム11に沿って走行する走行体12と、走行体12に対して上下方向に移動可能に支持される昇降体13と、昇降体13の下部に支持され、ワークWを載置する載置部14と、を備えている。
【0074】
したがって、本実施形態では、ワークWは、ビーム11に沿って走行する走行体12に対して上下方向に移動可能な昇降体13の下部に支持された載置部14上に載せられて搬送される。つまり、ワークWは、載置部14で持ち上げられて移動(リフトアンドキャリー)させられる。このように、ガントリ型搬送装置10において、従来のようにワークWをクランプせずに、載置部14に載せるだけでワークWを保持して搬送することができるため、クランプ駆動手段等の機器が不要となる。
したがって、本実施形態によれば、部品点数を削減でき、コンパクトで簡易な構成とすることができるガントリ型搬送装置10を提供できる。
また、ガントリ型搬送装置10においてワークWのクランプ動作が行われないため、搬送時間の短縮化が図られる。さらに、ワークWの種類が変更された場合でも、載置部14は駆動手段や電気配線がなく簡易な構造であるため、ワークWの種類に応じて載置部14を容易に交換して対応することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態では、載置部14は、複数のワークWを載置可能であり、載置部14は、昇降体13の下部である底壁33に、旋回用サーボモータ34および旋回軸35を介して、鉛直軸のまわりで旋回可能に支持されている。
【0076】
この構成では、1つの載置部14に複数のワークWを載せて同時に搬送できるため、効率的な搬送が可能となる。例えば、従来のようなワークWのクランプが行われるガントリ型搬送装置では、工作機械80に対して加工前のワークWと加工後のワークWとを交換するため、装置には2つのロボットハンドをワーク交換用の1セットとして備える必要がある。これに対し、本実施形態によれば、例えば、1つの載置部14に加工前のワークWと加工後のワークWとを載せ、載置部14を鉛直軸のまわりで旋回させることによって、選択的に一方のワークWを工作機械80に対向する位置に移動させることができる。これにより、1つの載置部14を用いて加工前のワークWと加工後のワークWとの入替えを行うことができる。
【0077】
また、本実施形態では、載置部14には、ワークWを載置部14上で位置決めする位置決めピン37,38が設けられている。
【0078】
この構成では、ワークWが載置部14上からずれることを防止でき、載置部14と、例えば工作機械80のワーク支持装置85との間で、ワークWを確実に授受することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る加工ライン100は、ガントリ型搬送装置10と、工作機械80と、を有している。工作機械80は、ベース82と、該ベース82に対してビーム11の延在方向と平面視して直交する方向に移動可能に設けられたワーク支持装置85と、を備えている。
【0080】
この構成では、部品点数を削減でき、コンパクトで簡易な構成のガントリ型搬送装置10を工作機械80に適用した加工ライン100を提供することができる。また、ワークWをビームと直交する方向に搬送する機構として工作機械80のワーク支持装置85を利用して、被搬送物を三次元方向の任意の位置に搬送することができる。これにより、加工ライン100全体をよりコンパクトで簡易な構成とすることができる。
【0081】
また、本実施形態では、ワーク支持装置85は、ビーム11の延在方向と平面視して直交する方向に移動可能なキャリッジ87と、キャリッジ87に取り付けられてワークWを保持する保持部88と、を有し、保持部88は、ビーム11と平行なA軸のまわりで回転可能に構成されている。
【0082】
この構成では、ワークWを保持部88に保持させるときに、ワークWの保持部88に対向する取付け基準面として、ワークWの上面および下面の一方を選択することができる。つまり、保持部88に対するワークWの取付け基準面を入れ替えることができる。これにより、ワークWの例えば上面および下面の両方に対する加工が可能となる。
【0083】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記した各実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。また、前記した実施形態の構成の一部について、追加、削除、置換をすることができる。
【0084】
例えば、前記した実施形態では、横形の工作機械に対して適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種の工作機械に対して適用可能である。本発明は、例えば、縦形の工作機械や、工具自動交換装置を備えたマシニングセンタにも適用することが可能である。
【0085】
また、前記した実施形態では、ガントリ型搬送装置10が搬送する被搬送物がワークWである場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ガントリ型搬送装置10は、例えばワーク支持装置85に備えられワークWをセットするための治具91を搬送することも可能である。このような構成によれば、ワークWの種類が変更された場合でも、ガントリ型搬送装置10は、ワークWの種類に応じて治具91を搬送して交換することが可能となる。
【0086】
また、前記した実施形態では、走行体12および昇降体13をモータによって移動させる際の動力伝達機構として、ラックとピニオンを用いた機構が使用されているが、これに限定されるものではない。例えば、ねじ送り機構、ベルトとプーリを用いた機構等の他の動力伝達機構が使用されてもよい。また、前記した実施形態では、載置部14を旋回させる機構として、旋回用サーボモータ34の駆動軸に旋回軸35を接続した機構が使用されているが、これに限定されるものではない。例えば、旋回用サーボモータ34の駆動軸に固定されたギアが旋回軸35に固定されたギアに噛合された機構が使用されてもよい。
【0087】
また、前記した実施形態では、載置部14は、その上に2個のワークWを載置可能であるが、これに限定されるものではなく、3個以上のワークWを載置可能であってもよい。この場合、載置部14は、複数種類のワークWを同時に載置可能に構成されてもよい。また、載置部14は、矩形の板状を呈しているが、これに限定されるものではなく、例えば平面視して楕円形、十字形等の他の形状を呈していてもよい。
【0088】
また、前記した実施形態では、ワークWをビームと直交する方向に搬送する機構として工作機械80のワーク支持装置85を利用しているが、これに限定されるものではない。例えば、載置部14との間でワークWを授受してビーム11の延在方向と平面視して直交する方向(前後方向)に移動させるシフト装置が、ガントリ型搬送装置10に備えられていてもよい。この構成では、シフト装置によって、載置部14で持ち上げられてビーム11に沿って移動させられるワークWをビーム11と直交する方向に移動させることができる。これにより、ワークWを三次元方向の任意の位置に搬送することができる。