特許第6746306号(P6746306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6746306自動運転制御支援装置および自動運転制御支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6746306
(24)【登録日】2020年8月7日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】自動運転制御支援装置および自動運転制御支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/0969 20060101AFI20200817BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20200817BHJP
   G09B 29/10 20060101ALN20200817BHJP
【FI】
   G08G1/0969
   G08G1/09 Q
   G08G1/09 V
   !G09B29/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-236750(P2015-236750)
(22)【出願日】2015年12月3日
(65)【公開番号】特開2017-102787(P2017-102787A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年5月31日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 学
【審査官】 田中 純一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/137012(WO,A1)
【文献】 特開2015−072651(JP,A)
【文献】 特開2004−304731(JP,A)
【文献】 特開2008−290680(JP,A)
【文献】 特開2011−027641(JP,A)
【文献】 特開平11−102157(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0253772(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
G09B 23/00 − 29/14
B60R 21/00 − 21/13
B60R 21/34 − 21/38
B60W 10/00 − 10/30
B60W 30/00 − 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の自動運転エリア内における自動運転制御を支援するようになされた自動運転制御支援装置であって、
前記車両の自動運転が開始されるときに、前記車両の目的地が設定されていない場合、前記自動運転エリアの範囲内に、前記自動運転の仮目的地を設定する仮目的地設定部と、
前記車両が前記仮目的地設定部によって設定された前記仮目的地までの前記自動運転を開始した後に、ユーザが所望する目的地の設定を受け付ける目的地設定部とを備え、
前記仮目的地設定部は、前記自動運転エリアの範囲内において、前記車両が現在走行中の道路の種類と異なる種類の道路に前記仮目的地が設定されないようにし、前記車両が現在走行中の道路と同種の道路上にある、前記車両の現在位置から最も遠い地点を、前記自動運転の仮目的地として設定する
ことを特徴とする自動運転制御支援装置。
【請求項2】
前記車両が前記仮目的地設定部によって設定された前記仮目的地までの前記自動運転を開始した後に、前記自動運転エリアの範囲内における、前記車両が現在走行中の道路と同種の道路上の各々について、前記車両の現在位置から最も遠い地点を、前記ユーザが所望する目的地の候補として前記ユーザに提示する目的地候補提示部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の自動運転制御支援装置。
【請求項3】
前記車両が前記自動運転エリア内に進入したことを検出する検出部と、
前記車両が前記自動運転エリア内に進入したことが前記検出部によって検出された場合、前記自動運転を開始する自動運転実行制御部と
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の自動運転制御支援装置。
【請求項4】
車両の自動運転エリア内における自動運転制御を支援するようになされた自動運転制御支援装置による自動運転制御支援方法であって、
前記自動運転制御支援装置の仮目的地設定部が、前記車両の自動運転が開始されるときに、前記車両の目的地が設定されていない場合、前記自動運転エリアの範囲内に、前記自動運転の仮目的地を設定する仮目的地設定工程と、
前記自動運転制御支援装置の目的地設定部が、前記車両が前記仮目的地設定部によって設定された前記仮目的地までの前記自動運転を開始した後に、ユーザが所望する目的地の設定を受け付ける目的地設定工程とを備え、
前記仮目的地設定工程において、前記仮目的地設定部は、前記自動運転エリアの範囲内において、前記車両が現在走行中の道路の種類と異なる種類の道路に前記仮目的地が設定されないようにし、前記車両が現在走行中の道路と同種の道路上にある、前記車両の現在位置から最も遠い地点を、前記自動運転の仮目的地として設定する
ことを特徴とする自動運転制御支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転制御支援装置および自動運転制御支援方法に関し、特に、車両の自動運転エリア内における自動運転制御を支援するようになされた自動運転制御支援装置および自動運転制御支援方法に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
現在、自動運転に関する研究開発が盛んに行われている。今後は、特定の一部の地域または道路を自動運転エリアとして設定し、この自動運転エリア内に限り自動運転を可能にすることが想定されている。一般的に、自動運転を行うか否かは、運転者が切り替えスイッチで選択するようになっている。また、目的地が設定されていることが、自動運転を行う前提となっている。したがって、目的地が設定されていないときに自動運転を開始したい場合には、車両を停車させて目的地を設定した後に、切り替えスイッチを操作する必要がある。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、運転者が自動運転スイッチをオンにするだけで、運転者が設定した目的地までの自動運転進路を生成して、当該目的地までの自動運転を開始するようにした技術が開示されている。なお、下記特許文献1の技術では、自動運転を開始するときに目的地が未設定の場合(誘導経路の設定なしの場合)、道なり自動運転のための進路(運転者の走行継続意志がある場合)または自動停車のための進路(運転者の走行継続意志がない場合)を生成して自動運転を開始するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/158347号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、目的地が未設定の場合に生成される道なり自動運転のための進路が、ユーザが所望する目的地の方向ではない場合、自動運転を途中で中止して、その地点からユーザが所望する目的地まで手動運転を行わなければならない。このため、運転者ができるだけ長く自動運転を行うことを望んでいたとしても、自動運転が短い期間で終了してしまうことがあるといった問題が生じる。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、自動運転を開始する際に目的地が設定されてなくとも、車両を停車させることなく自動運転を開始させて、自動運転エリア内でできるだけ長く自動運転を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明では、自動運転エリア内で車両の自動運転が開始されるときに、目的地が設定されていない場合、自動運転エリアの範囲内に自動運転の仮目的地を設定し、車両が設定された仮目的地までの自動運転を開始した後に、ユーザが所望する目的地の設定を受け付けるようにし、仮目的地の設定に際し、自動運転エリアの範囲内において、車両が現在走行中の道路の種類と異なる種類の道路に仮目的地が設定されないようにし、車両が現在走行中の道路と同種の道路上にある、車両の現在位置から最も遠い地点を、自動運転の仮目的地として設定するようにしている。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成した本発明によれば、車両の自動運転が開始されるときに、目的地が設定されていない場合であっても、一旦停車して目的地を設定する操作を行うことなく、ひとまず仮目的地を設定して自動運転を開始することができる。そして、その自動運転が行われている間に、ユーザが所望する目的地を設定することで、ユーザが所望する目的地のある方向へ自動運転を継続することができるようになる。すなわち、ユーザが所望する目的地への進行方向が、仮目的地への進行方向と異なる場合であっても、仮目的地までの自動運転から手動運転に切り替えて進行方向を修正する必要はない。このため、本発明によれば、自動運転を開始する際に目的地が設定されてなくとも、車両を停車させることなく自動運転を開始させて、自動運転エリア内でできるだけ長く自動運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る自動運転制御支援装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る自動運転制御支援装置による処理の一例を示すフローチャートである。
図3】仮目的地設定部による仮目的地の設定動作の一例を示す図である。
図4】目的地設定部による目的地の設定動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る自動運転制御支援装置10の機能構成例を示すブロック図である。
【0011】
図1に示す本実施形態の自動運転制御支援装置10は、予め定められた自動運転エリアの範囲内において自動運転装置20による自動運転が可能な車両に搭載されている。自動運転装置20は、自動運転エリアの範囲内において、車両の自動運転が行われるように、車両のアクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作等を制御する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の自動運転制御支援装置10は、地図データ記憶部11、自車位置検出装置12、目的地記憶部13、タッチパネル14およびディスプレイ15を備えている。また、自動運転制御支援装置10は、その機能構成として、検出部101、仮目的地設定部102、経路探索部103、自動運転実行制御部104、目的地候補提示部105および目的地設定部106を備えている。
【0013】
上記各機能ブロック101〜106は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック101〜106は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0014】
地図データ記憶部11は、地図データを記憶する。当該地図データには、ノード情報、道路リンク情報、施設データ、地名データ等が含まれている。また、地図データには、各道路の道路種別を示す情報、および、自動運転エリアの範囲を示す情報が含まれている。
【0015】
自車位置検出装置12は、車両の現在位置を検出する。自車位置検出装置12は、例えば、GPS(Global Positioning System)と自律航法ユニットとを備えて構成されている。
【0016】
目的地記憶部13は、後述する仮目的地設定部102によって自動運転の仮目的地が設定されると、当該仮目的地を記憶する。また、目的地記憶部13は、後述する目的地設定部106によってユーザが所望する目的地が設定されると、当該ユーザが所望する目的地を記憶する。
【0017】
タッチパネル14は、各種操作(例えば、ユーザが所望する目的地の設定操作等)を行うための操作部の一例である。タッチパネル14は、ディスプレイ15の表面に重ねて設けられている。
【0018】
ディスプレイ15は、各種表示画面(例えば、ユーザが所望する目的地の候補の提示画面等)を表示する。ディスプレイ15には、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が用いられる。
【0019】
検出部101は、車両が自動運転エリア内に進入したことを検出する。また、検出部101は、車両が自動運転エリア外に退出したことを検出する。具体的には、検出部101は、自車位置検出装置12によって検出された車両の現在位置が、予め定められている自動運転エリアの範囲外から範囲内に移動した場合、車両が自動運転エリア内に進入したことを検出する。また、検出部101は、自車位置検出装置12によって検出された車両の現在位置が、自動運転エリアの範囲内から範囲外に移動した場合、車両が自動運転エリア外に退出したことを検出する。
【0020】
自動運転実行制御部104は、車両が自動運転エリア内に進入したことが検出部101によって検出された場合、自動運転装置20による車両の自動運転を開始する。また、自動運転実行制御部104は、車両が自動運転エリア外に退出したことが検出部101によって検出された場合、自動運転装置20による車両の自動運転を終了する。
【0021】
ここで、車両が自動運転エリア内に進入したときに、目的地が設定されている場合、自動運転実行制御部104は、既に設定されている目的地までの自動運転を開始する。一方、車両が自動運転エリア内に進入したときに、目的地が設定されていない場合、自動運転実行制御部104は、経路探索部103によって探索された経路による、仮目的地設定部102によって設定された仮目的地までの自動運転を開始する。また、車両が仮目的地までの自動運転を行っているときに、ユーザが所望する目的地の設定を目的地設定部106が受け付けた場合、自動運転実行制御部104は、経路探索部103によって探索された経路による、ユーザが所望する目的地までの自動運転を開始する。
【0022】
仮目的地設定部102は、車両の自動運転が開始されるときに、車両の目的地が設定されていない場合、自動運転エリアの範囲内に、自動運転の仮目的地を設定する。例えば、仮目的地設定部102は、自動運転エリアの範囲内において、車両が現在走行中の道路と同種の道路上にある、車両の現在位置から最も遠い地点を、自動運転の仮目的地として設定する。これにより、仮目的地までの自動運転を開始してから、ユーザが所望する目的地が設定されるまでの間、できるだけ長く自動運転を行うことができる。なお、仮目的地設定部102が設定した仮目的地は、目的地記憶部13に記憶される。
【0023】
経路探索部103は、仮目的地設定部102によって設定された仮目的地が目的地記憶部13に記憶された場合、自車位置検出装置12によって検出された車両の現在位置から当該仮目的地までの経路を探索する。また、経路探索部103は、目的地設定部106によって設定されたユーザが所望する目的地が目的地記憶部13に記憶された場合、自車位置検出装置12によって検出された車両の現在位置から当該ユーザが所望する目的地までの経路を探索する。
【0024】
目的地候補提示部105は、車両が仮目的地設定部102によって設定された仮目的地までの自動運転を開始した後に、ユーザが所望する目的地の候補をユーザに提示(ディスプレイ15に表示)する。例えば、目的地候補提示部105は、車両が現在走行中の自動運転エリアの範囲内における、車両が現在走行中の道路と同種の道路上の各々について、車両の現在位置から最も遠い地点を、ユーザが所望する目的地の候補としてユーザに提示する。これにより、現在走行中の道路と同種の道路で自動運転が継続され、且つ、自動運転の継続後もできるだけ長く自動運転を行うことができるような目的地の設定をユーザに促すことができる。なお、現在走行中の道路は、ユーザが好んで選択した種類の道路である可能性が高い。よって、現在走行中の道路と同種の道路で自動運転が継続されることは、ユーザが好んで選択した種類の道路で、できるだけ長く自動運転を行うことができるということである。
【0025】
目的地設定部106は、車両が仮目的地設定部102によって設定された仮目的地までの自動運転を開始した後、ユーザが所望する目的地の候補を目的地候補提示部105がユーザに提示したときに、ユーザが所望する目的地の設定を受け付ける。例えば、目的地設定部106は、目的地候補提示部105が提示した目的地の中からユーザが選択した目的地の設定を受け付ける。また、目的地設定部106は、目的地候補提示部105が提示した目的地以外にユーザが任意に選択した目的地の設定を受け付ける。なお、目的地設定部106が設定したユーザが所望する目的地は、目的地記憶部13に記憶される。
【0026】
〔自動運転制御支援装置10による処理の一例〕
図2は、本発明の一実施形態に係る自動運転制御支援装置10による処理の一例を示すフローチャートである。図2に示す処理は、例えば、自動運転制御支援装置10を備えた車両が走行を開始したときに実行される。
【0027】
まず、検出部101が、車両が自動運転エリア内に進入したか否かを判断する(ステップS202)。ここで、車両が自動運転エリア内に進入していないと検出部101が判断した場合(ステップS202:No)、検出部101は、ステップS202の処理を再度実行する。
【0028】
一方、車両が自動運転エリア内に進入したと検出部101が判断した場合(ステップS202:Yes)、仮目的地設定部102が、目的地が設定されているか否かを判断する(ステップS204)。ここで、目的地が設定されていると仮目的地設定部102が判断した場合(ステップS204:Yes)、自動運転実行制御部104が、既に設定されている目的地までの自動運転を開始し(ステップS218)、自動運転制御支援装置10は、ステップS220へ処理を進める。
【0029】
一方、目的地が設定されていないと仮目的地設定部102が判断した場合(ステップS204:No)、仮目的地設定部102が、自動運転の仮目的地を設定する(ステップS206)。そして、経路探索部103が、ステップS206で設定された仮目的地までの経路を探索する(ステップS208)。また、自動運転実行制御部104が、ステップS208で探索された経路による、ステップS206で設定された仮目的地までの自動運転を開始する(ステップS210)。
【0030】
その後、目的地候補提示部105が、ユーザが所望する目的地の候補を提示する(ステップS212)。そして、目的地設定部106が、ユーザが所望する目的地の設定を受け付けたか否かを判断する(ステップS214)。ここで、ユーザが所望する目的地の設定を受け付けていないと目的地設定部106が判断した場合(ステップS214:No)、自動運転制御支援装置10は、ステップS220へ処理を進める。
【0031】
一方、ユーザが所望する目的地の設定を受け付けたと目的地設定部106が判断した場合(ステップS214:Yes)、経路探索部103が、ステップS214で設定されたユーザが所望する目的地までの経路を探索する(ステップS216)。また、自動運転実行制御部104が、ステップS216で探索された経路による、ステップS214で設定されたユーザが所望する目的地までの自動運転を開始する(ステップS218)。そして、自動運転制御支援装置10は、ステップS220へ処理を進める。
【0032】
ステップS220では、検出部101が、車両が自動運転エリアから退出したか否かを判断する。ここで、車両が自動運転エリアから退出していないと検出部101が判断した場合(ステップS220:No)、検出部101は、ステップS220の処理を再度実行する。一方、車両が自動運転エリアから退出したと検出部101が判断した場合(ステップS220:Yes)、自動運転実行制御部104が、自動運転を終了させる(ステップS222)。そして、自動運転制御支援装置10は、図2に示す一連の処理を終了する。
【0033】
〔仮目的地の設定動作の一例〕
図3は、仮目的地設定部102による仮目的地の設定動作の一例を示す図である。図3(a),(b)は、本実施形態の自動運転制御支援装置10が搭載されている車両Xが走行中の道路Aを含む自動運転エリア内の道路図を表している。このうち、図3(a)は、車両Xが道路A上の自動運転エリアの手前の地点を走行しているときを表している。また、図3(b)は、車両Xが道路Aを走行中に自動運転エリア内に進入したときを表している。
【0034】
図3(a),(b)において、車両Xが走行中の道路Aは、自動運転エリア内を横切る国道である。道路Aには、自動運転エリア内の交差点P0において、分岐路B〜Eが接続されている。分岐路B〜Eは、いずれも交差点P0から自動運転エリア外へと延伸する道路である。分岐路Bは、分岐路Aと同種の国道である高速道路であり、分岐路C〜Eは、分岐路Aと異なる種類の道路(例えば、県道)である。
【0035】
図3(a)に示すように、車両Xが自動運転エリアの手前を走行中のとき、車両Xでは手動運転が行われている。そして、図3(b)に示すように、車両Xが自動運転エリア内に進入したとき、車両Xでは、検出部101によって自動運転エリア内に進入したことが検出され、自動運転実行制御部104の制御により、自動運転装置20による自動運転が開始される。
【0036】
このとき、車両Xの目的地が設定されていない場合、仮目的地設定部102により、自動運転の仮目的地が自動運転エリア内に設定される。そして、自動運転実行制御部104の制御により、この仮目的地までの自動運転が開始される。
【0037】
特に、仮目的地設定部102は、自動運転エリアの範囲内において、車両Xが現在走行中の道路と同種の道路上にある、車両Xの現在位置から最も遠い地点を、自動運転の仮目的地として設定する。例えば、図3(b)に示す例では、車両Xが現在走行中の道路Aは国道であり、道路Aと同種の道路(国道)は道路Bである。道路Aにおける自動運転エリアの終点は地点P1である。一方、道路Bにおける自動運転エリアの終点は地点P2である。この場合、仮目的地設定部102は、地点P1,P2のうち、車両Xの現在位置から最も遠い地点である地点P2を、自動運転の仮目的地として設定する。そして、自動運転実行制御部104の制御により、この地点P2までの自動運転が開始される。
【0038】
〔目的地の設定動作の一例〕
図4は、目的地設定部106による目的地の設定動作の一例を示す図である。図3(b)に示したように、車両Xにおいて、仮目的地である地点P2までの自動運転が開始されると、目的地候補提示部105が、ユーザが所望する目的地の候補をユーザに提示する。特に、目的地候補提示部105は、車両Xが現在走行中の自動運転エリアの範囲内における、車両Xが現在走行中の道路と同種の道路上の各々について、車両Xの現在位置から最も遠い地点を、ユーザが所望する目的地の候補としてユーザに提示する。
【0039】
例えば、図4(a)に示す画面400は、車両Xが地点P2までの自動運転を開始した後に、目的地候補提示部105によってディスプレイ15に表示される、ユーザが所望する目的地の候補の提示画面の一例である。
【0040】
図3(b)に示したように、車両Xが現在走行中の道路Aは国道であり、道路Aと同種の道路(国道)は道路Bである。この場合、目的地候補提示部105は、自動運転エリア内における道路A,Bの各々について、車両Xの現在位置から最も遠い地点を、ユーザが所望する目的地の候補としてユーザに提示する。自動運転エリア内において、道路Aの車両Xの現在位置から最も遠い地点は地点P1である。一方、自動運転エリア内において、道路Bの車両Xの現在位置から最も遠い地点は地点P2である。よって、目的地候補提示部105は、地点P1,P2を、ユーザが所望する目的地の候補としてユーザに提示する。
【0041】
例えば、図4(a)に示す画面400では、地点P2を目的地とするための選択ボタン402と、地点P1を目的地とするための選択ボタン404とが設けられている。ユーザは、タッチパネル14により、選択ボタン402または選択ボタン404を選択することにより、地点P2または地点P1を、自身が所望する目的地として設定することができる。
【0042】
例えば、図4(b)に示す例では、図4(a)に示す画面400において、選択ボタン404がユーザによって選択されたことにより、道路A上の地点P1が、ユーザが所望する目的地として設定されている。これにより、車両Xは、道路B上の地点P2を仮目的地とする自動運転から、道路A上の地点P1を新たな目的地とする自動運転へと切り替わる。
【0043】
なお、図4(a)に示す画面400では、地点P1,P2以外の目的地を設定するための選択ボタン406がさらに設けられている。例えば、ユーザによって選択ボタン406が選択されると、所定の目的地設定画面(図示省略)がディスプレイ15に表示される。ユーザは、この目的地設定画面から、自身が所望する任意の目的地を設定することができる。このときに設定される目的地は、自動運転エリア内であってもよく、自動運転エリア外であってもよい。もし、自動運転エリア内に目的地が設定された場合、車両Xは、その目的地まで自動運転を行うことができる。一方、自動運転エリア外に目的地が設定された場合、車両Xは、その目的地までの経路を走行中に自動運転エリアから退出するまで、自動運転を行うことができる。
【0044】
以上説明したとおり、本発明の一実施形態によれば、車両Xの自動運転が開始されるときに、目的地が設定されていない場合であっても、一旦停車して目的地を設定する操作を行うことなく、ひとまず仮目的地を設定して自動運転を自動的に開始することができる。そして、その自動運転が行われている間に、ユーザが所望する目的地を設定することで、ユーザが所望する目的地のある方向へ自動運転を継続することができるようになる。すなわち、ユーザが所望する目的地への進行方向が、仮目的地への進行方向と異なる場合であっても、仮目的地までの自動運転から手動運転に切り替えて進行方向を修正する必要はない。このため、本発明の一実施形態によれば、自動運転を開始する際に目的地が設定されてなくとも、車両を停車させることなく自動運転を開始させて、自動運転エリア内でできるだけ長く自動運転を行うことができる。
【0045】
特に、本発明の一実施形態によれば、自動運転エリアの範囲内における、車両Xの現在位置から最も遠い地点が仮目的地として設定されるため、ユーザが所望する目的地を設定するまでの間、できるだけ長く自動運転を行うことができる。
【0046】
さらに、本発明の一実施形態によれば、自動運転エリアの範囲内における、車両Xが現在走行中の道路と同種の道路上の各々について、車両Xの現在位置から最も遠い地点が、ユーザが所望する目的地の候補としてユーザに提示されるため、現在走行中の道路(ユーザが好んで選択した種類の道路)と同種の道路で自動運転が継続され、且つ、自動運転の継続後もできるだけ長く自動運転を行うことができるような目的地の設定をユーザに促すことができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、車両Xが自動運転エリア内に進入したときに自動運転を自動的に開始するようにしているが、本発明はこれに限らない。例えば、車両Xが自動運転エリア内に進入したときに、切り替えボタンを画面表示させ、ユーザが切り替えボタンを手動で操作することにより、自動運転を開始するようにしてもよい。また、車両Xが自動運転エリア内を手動運転で走行中のときに、ユーザが任意のタイミングで切り替えボタンを手動で操作することにより、自動運転を開始するようにしてもよい。これらの場合、1回のボタン操作を行うだけで、仮目的地を設定して自動運転を開始させることができるので、車両を一旦停止させる必要はない。
【0048】
また、上記実施形態では、ユーザが所望する目的地の候補を選択ボタン形式で提示するようにしているが、本発明はこれに限らない。例えば、ユーザが所望する目的地の候補を地図画面上に明示して、この地図画面上で目的地をユーザに選択させるようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、現在走行中の道路と同種の道路上にある、車両の現在位置から最も遠い地点を、自動運転の仮目的地として設定するようにしているが、本発明はこれに限らない。例えば、道路の種類は問わず、単に車両の現在位置から最も遠い地点(例えば、図3における地点P3)を、自動運転の仮目的地として設定するようにしてもよい。また、現在走行中の道路の道なり上にある、車両の現在位置から最も遠い地点(例えば、図3における地点P1)を、自動運転の仮目的地として設定するようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、ユーザが所望する目的地の候補を提示して、これら候補の中から、または、これら候補以外から、ユーザが所望する目的地を設定するようにしているが、本発明はこれに限らない。例えば、ユーザが所望する目的地の候補を提示することなく、目的地設定画面をディスプレイ15に表示させて、この目的地設定画面からユーザが所望する目的地を設定するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、自動運転エリアが所定の地域である例を示したが、本発明はこれに限らない。例えば、自動運転エリアが所定の道路であってもよい。この場合、仮目的地設定部102は、その道路上の最も遠い地点に、仮目的地するとよい。目的地候補提示部105は、その道路上の一または複数の地点を、ユーザが所望する目的地の候補として提示するとよい。
【0052】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 自動運転制御支援装置
11 地図データ記憶部
12 自車位置検出装置
13 目的地記憶部
14 タッチパネル
15 ディスプレイ
20 自動運転装置
101 検出部
102 仮目的地設定部
103 経路探索部
104 自動運転実行制御部
105 目的地候補提示部
106 目的地設定部
図1
図2
図3
図4