【実施例】
【0021】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0022】
(バインダ接着不織布の準備)
原着ポリエステル繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:51mm)を100%用いて、カード機により開繊して繊維ウエブを形成した後、片面から針密度400本/cm
2でニードルパンチ処理を行い、ニードルパンチ不織布(目付:185g/m
2、厚さ:1.7mm)を製造した。
【0023】
他方、次の割合で配合したバインダ溶液を調製した。
(1)アクリルバインダ[DICNAL(登録商標)AB−886、DIC社製]・・・5.4部
(2)界面活性剤[ネオゲン(登録商標)S−20D、第一工業製薬社製]・・・1.0部
(3)増粘剤(セロゲン(登録商標)WS−C、第一工業製薬社製)・・・0.2部
【0024】
次いで、前記バインダ溶液を泡立てた後、前記ニードルパンチ不織布のニードリング面とは反対の面から塗布し、含浸させた後に、温度130℃のキャンドライヤーで乾燥し、外観がライトグレー色のバインダ接着不織布(目付:190g/m
2、厚さ:1.7mm)を製造した。
【0025】
(プリント液の準備)
次の割合で配合したプリント用の第1樹脂溶液及び第2樹脂溶液を調製した。
[第1樹脂溶液]
(1)増粘剤[カーボポール940、日本ルーブリゾール(株)製]・・・0.36部
(2)消泡剤[シンエツシリコーンKM−73、信越化学工業(株)製]・・・0.5部
(3)アクリルバインダ[ボンコート(登録商標)E−240N、DIC(株)製]・・・25.0部
(4)黄顔料[R.W YELLOW FF7G、DIC(株)製]・・・1.0部
(5)赤顔料[R.W RED FFGR、DIC(株)製]・・・0.04部
(6)白顔料[EP677 WHITE カイ、大日精化工業(株)製]・・・1.0部
(7)増粘剤[ニカゾール(登録商標)VT−253、日本カーバイド工業(株)製]・・・1.0部
(8)25%アンモニア水・・・1.0部
(9)水・・・70.1部
【0026】
[第2樹脂溶液]
(1)増粘剤[カーボポール940、日本ルーブリゾール(株)製]・・・0.36部
(2)消泡剤[シンエツシリコーンKM−73、信越化学工業(株)製]・・・0.5部
(3)アクリルバインダ[ボンコート(登録商標)E−240N、DIC(株)製]・・・25.0部
(4)黒顔料[R.W BLACK RC(V)、DIC(株)製]・・・0.03部
(5)青顔料[R.W NAVY BLUE FFTR、DIC(株)製]・・・0.03部
(6)赤顔料[R.W RED FFGR、DIC(株)製]・・・0.01部
(7)白顔料[EP677 WHITE カイ、大日精化工業(株)製]・・・1.0部
(8)増粘剤[ニカゾール(登録商標)VT−253、日本カーバイド工業(株)製]・・・1.0部
(9)25%アンモニア水・・・1.0部
(10)水・・・71.07部
【0027】
(実施例1)
準備した外観がライトグレー色のバインダ接着不織布10のバインダ付着面に対して、
図1に示すプリンタパターン1を印刷するために、
図1のグレーの大図形単位11に対応する開口を有するシリンダを用いて、前記第2樹脂溶液をプリントし、続いて、
図1のイエローの大図形単位12に対応する開口を有するシリンダを用いて、前記第1樹脂溶液をプリントした後、温度160℃のドライヤーで乾燥し、
図1に示すように、プリント樹脂による真円形の大図形単位(面積:67〜97cm
2)、及び真円同士が重なった非真円形の大図形単位(面積:39〜830cm
2)を、短手方向に不規則に有する装飾不織布を製造した。
【0028】
なお、大図形単位11,11a,11b,12は点又は線状の小図形単位の集合体からなり、小図形単位は直径1mm(=0.008cm
2)、2mm(=0.031cm
2)、又は3mm(=0.071cm
2)の真円、或いは幅1mm(=0.075cm
2)の直線から構成されていた。
図2に示すように、大図形単位11aは、直径1mmの点状の小図形単位13と、直径3mmの点状の小図形単位14の集合体とからなり、大図形単位11bは、線状の小図形単位15の集合体からなる。
また、中央部と左右端部が最大明度差を有する組合せの、中央部における大図形単位の明度は58.29で、左右端部における大図形単位の明度が60.62で、奥行きを感じ、空間を広く感じることができるものであった。
更に、バインダ接着不織布の明度、彩度はそれぞれL:59.95、C:4.16であり、グレーの大図形単位の中で、最も明度の低い大図形単位における明度、彩度はそれぞれL:58.29、C:1.98であり、イエローの大図形単位の中で、最も明度の高い大図形単位における明度、彩度はそれぞれL:60.62、C:14.07であり、この点からも奥行きを感じ、空間を広く感じることができるものであった。
【0029】
(比較例1)
実施例1と同様にして、バインダ接着不織布、プリント用第1樹脂溶液、及びプリント用第2樹脂溶液を用意した。
次いで、外観がライトグレー色のバインダ接着不織布80のバインダ付着面に対して、
図3に示すプリンタパターン8を印刷するために、
図3のグレーの大図形単位81に対応する開口を有するシリンダを用いて、前記第2樹脂溶液をプリントし、続いて、
図3のイエローの大図形単位82に対応する開口を有するシリンダを用いて、前記第1樹脂溶液をプリントした後、温度160℃のドライヤーで乾燥し、
図3に示すように、プリント樹脂による真円形の大図形単位(面積:67〜97cm
2)、及び真円同士が重なった非真円形の大図形単位(面積:39〜830cm
2)を、短手方向に不規則に有する装飾不織布を製造した。
【0030】
なお、大図形単位81,82は全面的にプリント樹脂を有する状態にあった。
また、中央部における大図形単位の明度は56.30で、左右端部における大図形単位の明度が61.79で、奥行きを感じ、空間を広く感じることができるものであった。
更に、バインダ接着不織布の明度、彩度はそれぞれL:59.95、C:4.16であり、グレーの大図形単位の明度、彩度はそれぞれL:56.30、C:0.90であり、イエローの大図形単位の明度、彩度はそれぞれL:61.79、C:34.78であり、この点からも奥行きを感じ、空間を広く感じることができるものであった。
【0031】
(参考例1)
実施例1と同様にして、バインダ接着不織布、プリント用第1樹脂溶液、及びプリント用第2樹脂溶液を用意した。
次いで、外観がライトグレー色のバインダ接着不織布90のバインダ付着面に対して、
図4に示すプリンタパターン9を印刷するために、
図4のグレーの大図形単位91に対応する開口を有するシリンダを用いて、前記第2樹脂溶液をプリントし、続いて、
図4のイエローの大図形単位92に対応する開口を有するシリンダを用いて、前記第1樹脂溶液をプリントした後、温度160℃のドライヤーで乾燥し、
図4に示すように、プリント樹脂によるグレー色で、真円形の大図形単位(面積:67cm
2)と、イエロー色で、真円形の大図形単位(面積:97cm
2)とを、短手方向に規則的に有する装飾不織布を製造した。
【0032】
なお、グレー色の大図形単位91は直径3mm(=0.071cm
2)の真円状小図形単位の集合体から、また、イエロー色の大図形単位92は直径2mm(=0.031cm
2)の真円状小図形単位の集合体から構成されていた。
また、中央部における大図形単位の明度は58.29で、左右端部における大図形単位の明度が60.62で、奥行きを感じ、空間を広く感じることができるものであった。
更に、バインダ接着不織布の明度、彩度はそれぞれL:59.95、C:4.16であり、グレー色の大図形単位の明度、彩度はそれぞれL:58.29、C:1.98であり、イエロー色の大図形単位の明度、彩度はそれぞれL:60.62、C:14.07であり、この点からも奥行きを感じ、空間を広く感じることができるものであった。
【0033】
(成形性の評価)
ポリウレタン発泡体の両面に、ポリメリックMDIとジメチルエタノールアミンとを含む溶液を塗布し、溶液上に水を散布した後、ガラス繊維シートをそれぞれ積層した。一方のガラス繊維シート上には実施例1、比較例1又は参考例1の装飾不織布を積層し、他方のガラス繊維シート上には、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなるホットメルトフィルム、ポリエステル不織布を順に積層した。
そして、この積層品の熱プレスを実施して、ポリメリックMDIと水とを反応させて形成したポリウレタン系樹脂の接着作用、及びホットメルトフィルムの融着作用により、これら全体を接着一体化するとともに、最大高さ6mmの凹凸を有する自動車天井形状に、それぞれ成形した。
この成形品を5名のパネラーにより、成形品の装飾不織布における皺及び大図形単位のずれについて評価し、その結果を表1に纏めた。なお、評価は次の基準で評価した。
【0034】
(皺)
○:目立たない
×:目立つ
(ずれ)
○:大図形単位の位置がずれているようには見えない
×:大図形単位の位置がずれているように見える
【0035】
【表1】