特許第6746368号(P6746368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6746368
(24)【登録日】2020年8月7日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】車両用情報提示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20200817BHJP
【FI】
   B60R16/02 640K
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-92953(P2016-92953)
(22)【出願日】2016年5月6日
(65)【公開番号】特開2017-200800(P2017-200800A)
(43)【公開日】2017年11月9日
【審査請求日】2019年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】長橋 謙一
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏二
(72)【発明者】
【氏名】兒島 弘貴
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−021833(JP,A)
【文献】 特開2013−121804(JP,A)
【文献】 特開2001−143191(JP,A)
【文献】 特開2009−025972(JP,A)
【文献】 特開2016−013743(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0095000(US,A1)
【文献】 特開2008−168799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが乗員に情報を提示する複数の提示部と、
乗員に提示する複数の情報が同時期又は異なる時期に入力される入力部と、
前記入力部に入力される情報毎に、優先度と、前記複数の提示部の中で当該情報の提示先となる対象提示部との関係を規定した第1のテーブルと、
前記複数の情報についてのパターン毎に、各情報についての優先度及び前記対象提示部に応じた情報の提示方法を規定した第2のテーブルと、
前記第1のテーブルと前記第2のテーブルとに基づいて、前記入力部に入力された情報を提示する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記複数の情報の入力態様と、個々の情報についての前記優先度及び前記対象提示部とに基づいて、前記入力部に入力された前記複数の情報についての提示方法をそれぞれ決定すると共に、前記第2のテーブルから提示態様を決定し、
前記提示態様は、最も優先度の高い情報についての通常の提示態様と、優先度の低い情報についての通常よりも簡易な表現による提示態様とを含むことを特徴とする車両用情報提示装置。
【請求項2】
前記複数の情報が前記入力部に同時期に入力された場合には、
前記制御部は、最も優先度の高い情報については、前記第1のテーブルに規定の内容に則った提示方法を決定し、優先度の低い情報については、当該情報の前記優先度及び前記対象提示部に基づいて提示方法を決定し、当該決定した提示方法に従って情報を提示することを特徴とする請求項1に記載された車両用情報提示装置。
【請求項3】
前記入力部に情報が入力された際に、当該情報よりも先行して前記入力部に入力した情報についての情報提示がなされている場合には、
前記制御部は、前記優先度及び前記対象提示部に基づいて2つの情報の提示方法を決定し、当該決定した提示方法に従って情報提示を行うことを特徴とする請求項1に記載された車両用情報提示装置。
【請求項4】
前記提示方法は、最も優先度の高い情報については提示し、優先度の低い情報については提示しないことを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載された車両用提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用情報提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、安全で快適な運転ができるように、車両の乗員に対して種々の情報を提示する車両用情報提示装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、車両各部及び車両周囲の状況を検出する報知情報送信装置から入力される情報(報知要求情報)に応じて、当該情報を表示部に表示させる報知制御装置が開示されている。報知制御装置は、複数の情報が入力された場合には、情報の優先度を規定したテーブルに従って最も優先度の高い情報を表示部に優先して表示することとしている。また、最も優先度の高い情報以外の情報については、情報そのものを表示することはしないものの、情報の入力があることをユーザが認識できるような表示を行っている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、車両用情報報知装置が開示されている。この装置では、車両内に第1の情報が生成されたときに、車両内に第2の情報が生成されているときは、第1の情報及び第2の情報に含まれる報知優先度に応じて、第1の情報及び第2の情報のいずれかを優先して報知する情報の調停、第1の情報及び第2の情報を合わせて報知する情報の統合、及び第1の情報及び第2の情報を未処理のまま報知する未対処のいずれかを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−320451号公報
【特許文献2】特開2010−179783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2に開示された手法によれば、複数の情報が入力したタイミングや、個々の情報の優先度、当該情報の提示先となる対象提示部といった要素が十分に考慮されておらず、必要な情報が乗員に提示されない可能性がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の乗員に対して必要な情報を適切に提示することができる車両用情報提示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、本発明は、それぞれが乗員に情報を提示する複数の提示部と、乗員に提示する複数の情報が同時期又は異なる時期に入力される入力部と、入力部に入力される情報毎に、優先度と、複数の提示部の中で当該情報の提示先となる対象提示部との関係を規定した第1のテーブルと、複数の情報についてのパターン毎に、各情報についての優先度及び対象提示部に応じた情報の提示方法を規定した第2のテーブルと、第1のテーブルと第2のテーブルとに基づいて、入力部に入力された情報を提示する制御部と、を有し、制御部は、複数の情報の入力態様と、個々の情報についての前記優先度及び対象提示部とに基づいて、入力部に入力された複数の情報についての提示方法をそれぞれ決定すると共に、第2のテーブルから提示態様を決定し、提示態様は、最も優先度の高い情報についての通常の提示態様と、優先度の低い情報についての通常よりも簡易な表現による提示態様とを含む
【0009】
ここで、本発明において、複数の情報が入力部に同時期に入力された場合には、制御部は、最も優先度の高い情報については、第1のテーブルに規定の内容に則った提示方法を決定し、優先度の低い情報については、当該情報の優先度及び対象提示部に基づいて提示方法を決定し、当該決定した提示方法に従って情報を提示することが好ましい。
【0010】
また、本発明において、入力部に情報が入力された際に、当該情報よりも先行して入力部に入力した情報についての情報提示がなされている場合には、制御部は、優先度及び対象提示部に基づいて2つの情報の提示方法を決定し、当該決定した提示方法に従って情報提示を行うことが好ましい。
【0012】
また、本発明において、提示方法は、最も優先度の高い情報については提示し、優先度の低い情報については提示しないことを含むことが好ましい
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両の乗員に対して必要な情報を適切に提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る車両用情報提示装置の構成を示すブロック図
図2】優先度テーブルの一例を示す説明図
図3】提示方法選択テーブルの一例を示す説明図
図4】本実施形態に係る車両用情報提示装置の情報提示に関する処理を示すフローチャート
図5】第2の実施形態に係る情報の提示方法を示す説明図
図6】第2の実施形態に係る情報の提示方法を示す説明図
図7】第2の実施形態に係る情報の提示方法を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る車両用情報提示装置1の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る車両用情報提示装置1は、車両の乗員(典型的にはドライバ)に各種の情報の提示を行う装置である。
【0016】
この車両用情報提示装置1は、制御部10、記憶部11と、入力部12と、HUD(Head-Up Display)13と、MID(Multi Information Display)14とを主体に構成されている。本実施形態において、車両用情報提示装置1は、HUD13と、MID14とからなる2つの提示部(表示部)を備え、これら2つの提示部を通じてドライバに情報を提示する。
【0017】
制御部10は、車両用情報提示装置1全体の制御を司るものであり、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。CPUは、制御プログラムに従い、各種の制御を行う。ROMは、CPUが実行するプログラム、又はそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際の作業領域である。
【0018】
記憶部11は、例えばハードディスク装置や不揮発メモリ等の記憶装置で構成されている。この記憶部11には、優先度テーブル11a、及び提示方法選択テーブル11bが格納されている。
【0019】
図2は、優先度テーブル11aの一例を示す説明図である。優先度テーブル11aは、情報毎に、情報の優先度と情報の提示先となる提示部(対象提示部)との関係を規定したテーブル(第1のテーブル)である。同図において、「A」〜「G」は、ドライバに提示する各種の情報を示し、全部で7つの情報A〜Gについての関係が示されている。ここで、優先度はその数値が小さいもの程、優先度の高い情報であることを示している。また、同図に示す例では、対象提示部に関する優先順位として、HUD13の方がMID14よりも高くなるように設定されている。
【0020】
制御部10は、この優先度テーブル11aを参照することで、各情報A〜Gについて、優先度と対象提示部とを把握することができる。例えば、情報Aは、優先度が「1」で(最も優先度の高い情報)、その情報の対象提示先がHUD13であることが分かる。
【0021】
図3は、提示方法選択テーブル11bの一例を示す説明図である。提示方法選択テーブル11bは、入力部12に入力される複数の情報のパターン(組み合わせ)毎に、情報の提示方法を規定したテーブル(第2のテーブル)である。同図に示す例では、入力部12に入力される複数の情報を2つとし、2つの情報のパターン(組み合わせ)毎に、情報の提示方法を規定している。
【0022】
情報の提示方法は、(1)2つの情報のなかで提示対象とする情報、(2)当該情報についての対象提示部、(3)当該情報についての提示態様で定義されている。
【0023】
提示方法選択テーブル11bに規定される情報の提示方法は、2つの情報の入力態様と、個々の情報についての優先度及び対象提示部とに応じて決定されている。本実施形態では、2つの情報の入力態様は、これらの情報が入力部12に同時期に入力されたことを想定している。そして、情報の提示方法は、2つの情報の優先度の差、対象提示部が同じか異なるかといったことを考慮した上で決定される。さらに、個々の情報の提示態様(表示態様)が似ているか否か、その情報を簡易表現してもドライバが認識できるかどうか、といった要素も考慮される。
【0024】
このような考慮を前提に、図3に示す提示方法選択テーブル11bは、以下に示すように情報の提示方法が規定されている。まず、入力部12に入力した2つの情報のなかで、最も優先度の高い情報(優先度「1」)については、優先度テーブル11aに規定の内容に則った提示方法(通常の提示方法)で情報の提示を行う。これに対して、この情報よりも優先度の低い情報については、対象提示部及び当該情報についての提示態様の少なくとも一方を通常の提示方法から変更して情報の提示を行う。
【0025】
例えば、最も優先度の高い2つの情報A,Bが入力された場合には、通常の提示方法でそれぞれ提示される。すなわち、個々の情報A,Bは、HUD13から通常の提示態様(すなわち、各情報A,Bが個別的に入力された際の提示態様)で提示される。同様に、最も優先度の高い2つの情報A,Cが入力された場合には、通常の提示方法でそれぞれ提示される。すなわち、一方の情報Aは、HUD13から通常の提示態様で提示され、他方の情報Cは、MID14から通常の提示態様で提示される。
【0026】
これに対して、最も優先度の高い情報Aと、優先度の低い情報Dとが入力された場合には、情報Aについては通常の提示方法で提示され、情報Dについては通常の提示方法から変更した提示方法で提示される。具体的には、情報Aは、HUD13から通常の提示態様で提示され、他方の情報Dは、通常の対象提示部であるHUD13から、通常の提示態様よりも簡易化された簡易表現の提示態様で提示される。同様に、最も優先度の高い情報Bと、優先度の低い情報Eとが入力された場合には、情報Bについては通常の提示方法で提示され、情報Eについては通常の提示方法から変更した提示方法で提示される。具体的には、情報BはHUD13から通常の提示態様で提示され、他方の情報Eは、変更した対象提示部であるHUD13から簡易表現の提示態様で提示される。ここで、図3において、小文字で示すアルファベットは、その情報を簡易表現による提示態様とすることを示している。
【0027】
また、最も優先度の高い情報Aと、優先度の低い情報Fとが入力された場合には、情報Aについては通常の提示方法で提示され、情報Fについては通常の提示方法から変更した提示方法で提示される。具体的には、情報Aは、HUD13から通常の提示態様で提示され、他方の情報Fは、HUD13から提示されない。このように、対象提示部及び提示態様の変更には、当該情報を提示しないことも含まれる。
【0028】
入力部12は、制御部10と車両側の各種制御装置(ECU:Electric Control Unit)等との間の通信を行うためのインターフェースであり、例えばCAN(Controller Area Network)規格に対応している。この入力部12を介して、ドライバに提示する情報が入力される。
【0029】
ここで、ドライバに提示する情報としては、車両の横滑り警報、シートベルト解離警報、前方衝突警報、ETCゲート接近警報、燃料低下警報等に関する情報が挙げられる。
【0030】
HUD13は、ドライバに情報を提示する提示部であり、具体的には、ウインドシールドやコンバイナに映像を投影することにより、虚像による遠方表示を通じて所定の情報をドライバに視認させる装置である。ドライバは、HUD13から照射される光の像と、ウインドシールドを通して見える車両前方の風景とを重ね合わせた状態で同時に視認することができる。
【0031】
MID14は、ドライバに情報を提示する提示部であり、具体的には、メータユニットにおいて各種の計器とともに配設され、所定の情報を表示するディスプレイである。
【0032】
本実施形態の特徴の一つとして、制御部10は、入力部12に入力された情報に基づいて、2つの提示部であるHUD13及びMID14の少なくとも一方を制御して情報の提示を行う。具体的には、制御部10は、入力部12に1つの情報が入力された場合には、優先度テーブル11aに基づいて対象提示部を決定し、当該対象提示部を介して情報の提示を行う。一方、制御部10は、入力部12に2つの情報が同時期に入力された場合には、最も優先度の高い情報については、優先度テーブル11aに規定の内容に則った提示方法を決定し、当該決定した提示方法に従って情報を提示する。一方、制御部10は、優先度の低い情報(最も優先度の高い情報よりも優先度の低い情報)については、当該情報の優先度及び対象提示部に基づいて提示方法を決定し、当該決定した提示方法に従って情報を提示する。特に、本実施形態では、制御部10は、提示方法選択テーブル11bに基づいて個々の情報の提示方法を決定し、当該決定した情報の提示方法に従って情報の提示を行う。
【0033】
図4は、本実施形態に係る車両用情報提示装置1の情報提示に関する処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、制御部10によって実行される。
【0034】
まず、ステップ10(S10)において、制御部10は、入力部12に情報が入力されたか否かを判断する。入力部12に情報が入力された場合には、ステップ10において肯定判定され、ステップ11(S11)に進む。一方、入力部12に情報が入力されていない場合には、ステップ10において否定判定され、ステップ10に戻る。
【0035】
ステップ11において、制御部10は、入力部12に入力された情報が複数か否かを判断する。入力された情報が複数である場合には、ステップ11において肯定判定され、ステップ13(S13)に進む。一方、入力された情報が一つである場合には、ステップ11において否定判定され、ステップ12(S12)に進む。なお、入力された情報が複数か否かを判断するにあたり、個々の情報の入力タイミングが厳密に一致している必要は無く、個々の情報の入力タイミングに多少のずれが存するものであってもよい。
【0036】
ステップ12において、制御部10は、優先度テーブル11aに基づいて情報の提示を行う。具体的には、制御部10は、優先度テーブル11aに基づいて提示方法(対象提示部及び提示態様)を決定し、当該決定した提示方法で情報の提示を行う。例えば、情報Aが入力された場合には、その情報がHUD13を介して通常の提示態様で提示される。
【0037】
ステップ13において、制御部10は、提示方法選択テーブル11bに基づいて情報の提示方法を決定し、当該決定した提示方法に従って情報の提示を行う。例えば、最も優先度の高い2つの情報A,Bが入力された場合には、通常の提示方法がそれぞれ決定され、2つの情報A,Bは、HUD13から通常の提示態様で提示される。あるいは、最も優先度の高い情報Aと、優先度の低い情報Bとが入力された場合には、情報Aについては通常の提示方法が決定され、情報Bについては通常の提示方法から変更した提示方法が決定される。そして、情報Aは、HUD13から通常の提示態様で提示され、他方の情報Bは、HUD13から簡易表現の提示態様で提示される。
【0038】
このように本実施形態において、車両用情報提示装置1は、それぞれがドライバに情報を提示する2つの提示部であるHUD13,MID14と、ドライバに提示する情報が入力される入力部12と、入力部12に入力される情報毎に、優先度と、2つの提示部のなかで情報の提示先となる対象提示部との関係を規定した優先度テーブル11aと、優先度テーブル11aに基づいて、入力部12に入力された情報を提示する制御部10とを有している。この場合において、制御部10は、入力部12に複数の情報が入力された場合には、複数の情報の入力態様と、個々の情報についての優先度及び対象提示部とに基づいて、複数の情報についての提示方法をそれぞれ決定している。
【0039】
特に、複数の情報が入力部12に同時期に入力された場合には、制御部10は、複数の情報の中で最も優先度の高い情報については、優先度テーブル11aに規定の内容に則った提示方法を決定し、優先度の低い情報については、当該情報の優先度及び対象提示部に基づいて提示方法を決定し、当該決定した提示方法に従って情報を提示している。
【0040】
この構成によれば、複数の情報が同時期に入力されるシーンにおいて、個々の情報の提示方法を適切に決定することができる。すなわち、複数の情報の優先度や対象提示部に応じて、最も優先度の高い2つの情報を提示したり、或いは、優先度が2番目以降の情報も併せて提示したり、これとは逆に、優先度が2番目以降の情報を提示しなかったりすることができる。このため、情報が複数あっても必要な情報(最も優先度の高い情報)は全て提示されることとなる。また、優先度が2番目以降の情報であっても、提示することが必要な情報についてはこれが提示されるため、ドライバはより安全な運転を行うことができる。一方、優先度が2番目以降の情報であって、提示することが不必要な情報についてはこれが提示されないため、ドライバはより快適に運転を行うことができる。このように、複数の情報の入力態様と、個々の情報についての優先度及び対象提示部とを考慮することで、車両のドライバに対して必要な情報を適切に提示することができる。
【0041】
すなわち、従来の手法によれば、複数の情報の優先度がほぼ同じであるように、残余の情報も提示した方がよいと考えられる場合であっても、その情報が提示されることがない。また、最も優先度の高い情報以外の情報については、情報の入力があることのみを表示するだけであるから、ドライバによってはその内容が何であるかが気になり、運転に対する注意力が散漫になる可能性があるが、本実施形態によれば、このような不都合を解決することができる。
【0042】
また、本実施形態において、車両用情報提示装置1は、複数の情報についてのパターン毎に、各情報についての優先度及び前記対象提示部に応じた情報の提示方法を規定した提示方法選択テーブル11bをさらに有している。この場合、制御部10は、提示方法選択テーブル11bから提示態様を決定している。
【0043】
この構成によれば、予めルールが定められた提示方法選択テーブル11bを参照することで、個々の情報の提示方法を決定することができる。これにより、情報の提示方法を効率的に決定することができるとともに、演算負荷の軽減を図ることができる。
【0044】
また、本実施形態において、提示方法選択テーブル11bは、複数の情報のなかで提示対象とする情報と、当該情報について対象提示部と、当該情報についての提示態様とを規定している。
【0045】
この構成によれば、複数の情報が入力された場合における、これらの情報の適切な提示方法を規定することができる。
【0046】
また、本実施形態において、制御部10は、優先度の低い情報については、当該情報について提示を行う提示部及び当該情報についての提示態様の少なくとも一方を通常の提示方法から変更して情報の提示を行う。
【0047】
これにより、優先度の低い情報であっても、提示することが必要となる情報については提示されるため、ドライバはより安全な運転を行うことができる。一方、優先度が低い情報であって、提示することが不必要な情報については提示されなかったり、その対象提示部や提示態様が変更されたりする。そのため、必要な情報のみがドライバに提示されるので、ドライバはより快適に運転を行うことができる。これにより、車両のドライバに対して必要な情報を適切に提示することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係る車両用情報提示装置1について説明する。以下、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、相違点を中心に説明を行う。
【0049】
本実施形態において、制御部10は、2つの情報の入力態様と、個々の情報についての優先度及び対象提示部とに応じて情報の提示方法を決定している。本実施形態では、2つの情報の入力態様は、入力部12に情報が入力された際に、当該情報よりも先行して入力部12に入力した情報があり、この先行する情報についての情報提示がなされていることを想定している。そして、情報の提示方法は、2つの情報の優先度の差、対象提示部が同じか異なるかといったことを考慮した上で決定される。
【0050】
具体的には、制御部10は、入力部12に情報(以下「情報A」という)が入力された際に、この情報Aよりも先行して入力部12に入力した情報(以下「情報B」という)についての情報提示がなされているか否かを判断する。すなわち、制御部10は、2つの情報A,Bについての情報提示のタイミングが重複するか否かを判断している。
【0051】
情報Bについての情報提示がなされている場合には、制御部10は、優先度及び対象提示部に基づいて2つの情報A,Bの提示方法を決定し、当該決定した提示方法に従って情報提示を行う。一方、情報Bについての情報提示がなされていない場合には、制御部10は、通常の提示方法で、情報Aの提示を行う。
【0052】
図5は、2つの情報A,Bについての提示方法を示す説明図である。同図(a)に示す例では、情報Aの優先度が情報Bの優先度よりも高く、情報Aの対象提示部が提示部α、情報Bの対象提示部が提示部βであることを想定している。同図(b)の例では、情報Aの優先度が情報Bの優先度よりも低く、情報Aの対象提示部が提示部α、情報Bの対象提示部が提示部βであることを想定している。
【0053】
同図(a)の例では、制御部10は、優先度が高い情報Aを即座に提示しつつ、先行する情報Bの提示が終了しないように、情報A,Bの提示方法を決定する。具体的には、制御部10は、提示部βにおける情報Bの提示を継続しつつ、情報Aの入力に応答して提示部αから情報Aを提示する。
【0054】
一方、同図(b)の例では、制御部10は、先行して提示されている優先度の高い情報Bの提示が終了せず、かつ、それより後で入力されてかつ優先度の低い情報Aと同時に提示されることがないように提示方法を決定する。具体的には、制御部10は、情報Aの入力があっても、提示部βにおける情報Bの提示を継続する。そして、制御部10は、提示部βによる情報Bの提示が満了した後に、提示部αから情報Aを提示する。
【0055】
図6は、2つの情報A,Bについての提示方法を示す説明図である。同図(a)に示す例では、情報Aの優先度が情報Bの優先度よりも高く、情報A,Bの対象提示部がともに提示部αであることを想定している。同図(b)に示す例では、情報Aの優先度が情報Bの優先度よりも低く、情報A,Bの対象提示部がともに提示部αであることを想定している。
【0056】
同図(a)に示す例では、制御部10は、情報Bが先行して提示されている状況であっても、優先度が高い情報Aが提示されるように提示方法を決定する。具体的には、制御部10は、情報Aが入力されると、提示部αによる情報Bの提示を終了し、そして当該提示部αにより情報Aを提示する。
【0057】
一方、同図(b)に示す例では、制御部10は、先行して提示されている優先度の高い情報Bの提示が終了せず、かつ、それより後で入力されてかつ優先度の低い情報Aと同時に提示されることがないように提示方法を決定する。具体的には、制御部10は、情報Aの入力があっても、提示部αにおける情報Bの提示を継続する。そして、制御部10は、提示部αによる情報Bの提示が満了した後に、提示部αから情報Aを提示する。
【0058】
まず、情報A,Bの優先度が同じ、情報Aの対象提示部が提示部α、情報Bの対象提示部が提示部βであることを想定する。この場合においては、制御部10は、情報Aを即座に提示しつつ、先行する情報Bの提示が終了しないように、情報A,Bの提示方法を決定する。具体的には、制御部10は、提示部βにおける情報Bの提示を継続しつつ、情報Aの入力に応答して提示部αから情報Aを提示する。もっとも、この提示態様は、車両全体として管理されることが可能である。例えば、情報Aが提示されている場合に、情報Bを提示しないといった如くである。
【0059】
図7は、2つの情報A,Bについての提示方法を示す説明図である。同図に示す例では、情報A,Bの優先度が同じ、かつ、情報A,Bの対象提示部がともに提示部αであることを想定している。この場合においては、制御部10は、以下に示す3つの考え方に従って、提示方法を決定する。第1の考え方は、両方の情報A,Bを提示することである。第2の考え方は、先行して提示していた情報Bについては一定時間表示させることである。第3の考え方は、後に入力された情報Aを優先的に提示することである。
【0060】
これらの考え方は、対象提示部や優先度、提示内容(提示態様)などによって考慮される。例えば、対象提示部が提示部αである場合には、第1の考え方を採用し、情報の優先度が「2」の場合には、第2の考え方を採用し、特定の2つの情報を重畳して提示する場合には、第3の考え方を採用するといった如くである。一般的には、第1の考え方、第2の考え方、第3の考え方の順番で、その考え方が適用されるが、これらは、車両全体として管理することが可能である。
【0061】
同図(a)は、第1の考え方による提示方法を示すものである。この提示方法では、情報Aが入力された場合には、提示部αに情報Aを追加することで、情報A,Bの両方を提示する。
【0062】
同図(b),(c)は、第2の考え方による提示方法を示すものである。同図(c)に示す例では、情報Aが入力しても、情報Bについての提示時間が一定の時間(図中矢印の時間)に到達するまでは情報Bの提示を継続し、その時間が経過した後に、情報Bに代えて情報Aを提示する。一方、同図(c)に示す例では、情報Aが入力した際に、情報Bについての提示時間が一定の時間(図中矢印の時間)を既に経過している場合には、情報Aの入力に応じて情報Bに代え情報Aを提示する。
【0063】
同図(d)は、第3の考え方による提示方法を示すものである。この提示方法では、情報Aが入力された場合には、提示部αから提示される情報が情報Bから情報Aに切り替わり、情報Aが即座に提示される。
【0064】
このように、本実施形態において、制御部10は、入力部12に情報Aが入力された際に、当該情報よりも先行して入力部12に入力した情報Bについての情報提示がなされている場合には、優先度及び対象提示部に基づいて2つの情報の提示方法を決定し、当該決定した提示方法に従って情報提示を行う。
【0065】
この構成によれば、先行する情報Bに続き情報Aが入力されるシーンにおいて、個々の情報の提示方法を適切に決定することができる。すなわち、後から入力された情報Aを提示する際に、先行する情報Bも併せて提示したり、これとは逆に、先行する情報Bのみを提示し、その後に情報Aを提示したりすることができる。
【0066】
従来の手法によれば、優先度の高い情報Aが入力されると、先行して入力されていた情報Bが消されてしまう。そのため、ドライバが、それまで表示されていた情報が解消されたと勘違いしてしまう可能性があるが、本実施形態によれば、このような不都合を解消することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、情報の提示方法を制御部10がリアルタイムで決定する手法を説明したが、第1の実施形態に示すようにテーブルを参照して決定してもよい。また、第1の実施形態と同様に、個々の情報の提示態様(表示態様)が似ているか否か、その情報を簡易表現してもドライバが認識できるかどうか、といった要素も考慮し、その提示態様も含む提示方法を決定してもよい。
【0068】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、上述した実施形態では、2つの提示部にて情報を提示する手法を示したが、提示部の個数は3つ以上であってもよい。また、同時に入力される情報を2つとして説明をしたが、3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 車両用情報提示装置
10 制御部
11 記憶部
11a 優先度テーブル
11b 提示方法選択テーブル
12 入力部
13 HUD
14 MID
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7