特許第6746392号(P6746392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6746392
(24)【登録日】2020年8月7日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】カバー付スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/02 20060101AFI20200817BHJP
【FI】
   H01H9/02 E
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-119098(P2016-119098)
(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公開番号】特開2017-224491(P2017-224491A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105659
【氏名又は名称】日本電産コパル電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小國 篤史
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−108820(JP,U)
【文献】 実開平03−068323(JP,U)
【文献】 特開2003−257271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面にスイッチ機構を操作する操作子が配置され、前記第1の面と直交する第2の面と、前記第2の面と平行する第3の面に弾性を有する第1の係合部が配置されたスイッチ本体と、
前記操作子を覆う開閉可能なカバーを有し、前記スイッチ本体に装着された状態において、前記第1の係合部と係合される第2の係合部を有する枠体と
を具備し、前記スイッチ本体は、前記第1の面を覆う金属製のカバーを有し、前記第1の係合部は、前記金属製のカバーの一部により構成されることを特徴とするカバー付スイッチ装置。
【請求項2】
前記枠体は、前記スイッチ本体を収容可能な収容部を有し、前記第2の係合部は、前記収容部の内壁に設けられた突部であることを特徴とする請求項1記載のカバー付スイッチ装置。
【請求項3】
前記枠体に設けられ、前記スイッチ本体の前記第1の面に係合可能な少なくとも2つの第3の係合部と、を具備することを特徴とする請求項2記載のカバー付スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スイッチの不正操作や誤操作を防止することが可能なカバー付スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばアミューズメント装置の動作を設定するために押し釦スイッチが用いられている(例えば特許文献1参照)。押し釦スイッチの操作子は、スイッチ本体から露出されている。このため、操作子が不用意に操作されたり、不正に操作されたりすることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−257271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチの誤操作や不正操作を防止するため、スイッチ本体に設けられ、操作子を覆うカバーが開発されている。
【0005】
この種のカバーは、カバーが開閉可能に設けられた例えば樹脂製の枠体がスイッチ本体に装着された状態において、枠体が例えば超音波溶着のような手段を用いて熱カシメにより固定される。この熱カシメは製造工数が多く、さらに、十分な固定強度を得ることができなかった。
【0006】
本発明の実施形態は、スイッチ本体に容易且つ十分な強度でカバーを取り付けることが可能なカバー付スイッチ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態のカバー付スイッチ装置は、第1の面にスイッチ機構を操作する操作子が配置され、前記第1の面と直交する第2の面と、前記第2の面と平行する第3の面に弾性を有する第1の係合部が配置されたスイッチ本体と、前記操作子を覆う開閉可能なカバーを有し、前記スイッチ本体に装着された状態において、前記第1の係合部と係合される第2の係合部を有する枠体とを具備し、前記スイッチ本体は、前記第1の面を覆う金属製のカバーを有し、前記第1の係合部は、前記金属製のカバーの一部により構成される
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るカバー付スイッチ装置を示す斜視図。
図2図1に示すカバー付スイッチ装置のカバーを開けた状態を示す斜視図。
図3図1を分解して示す斜視図。
図4図3をさらに分解して示す斜視図。
図5図1のV-V線に沿って示す断面図。
図6図5のC部を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図面において、同一部分には同一符号を付している。
【0011】
(構成)
図1図2に示すように、カバー付スイッチ装置10は、図2に示すスイッチ本体11と、スイッチ本体11に装着された保護カバー12とにより構成されている。保護カバー12は、枠体13と、カバー14と、弾性部材としてのコイルばね、例えばねじりばね15により構成されている。
【0012】
カバー14は、例えば熱可塑性の樹脂により構成され、カバー14の一端部は、枠体13に図示矢印A、B方向に回動可能に取着されている。カバー14は、枠体13の一端部に設けられたねじりばね15により、常時閉じる方向(図示矢印A方向)に付勢されている。
【0013】
図2に示すように、カバー14は、枠体13に対して180°回動することが可能とされており、カバー14を開放した状態において、スイッチ本体11を操作することが可能とされている。
【0014】
図3に示すように、スイッチ本体11は、例えば押し釦スイッチ(タクタルスイッチ)である。スイッチ本体11は、ハウジング16、例えば金属製のカバー17、押し釦としての操作子18、複数の端子19a、19b、19c、19d(19dは、図5に示す)などを具備している。カバー17は、ハウジング16を覆い、ハウジング16内には、後述するスイッチ機構が収容される。スイッチ機構は、操作子18により操作される。
【0015】
スイッチ本体11は、第1の面(カバー17の表面)11aと、第1の面11aと直交する第2の面11b、第3の面11c、第4の面11d、第5の面11e(ハウジング16の4つの側面)、及び第1の面と平行する第6の面11f(ハウジング16の下面)を有している。第2の面11bは、第3の面11cに平行し、第4の面11dは、第5の面11eと平行し、第6の面11fは、第1の面11aに平行している。
【0016】
第1の面11aには、金属製のカバー17が設けられ、カバー17の中央部に操作子18が配置されている。保護カバー12は、スイッチ本体11の第1の面11aに装着され、操作子18を覆う。図1図2図3に示すように、端子19a、19bは、スイッチ本体11の第4の面11dに設けられ、端子19c、19d(図示せず)は、第5の面11eに設けられている。
【0017】
図4に示すように、ハウジング16は、収容部16aを有している。収容部16a内には、スイッチ機構SWを構成する第1の固定接点20、第2の固定接点21、第3の固定接点22、可動接片としてのコンタクト23、シールゴム24、スペーサ25、操作子18が配置される。
【0018】
すなわち、収容部16aの底部且つ中央部には、第1の固定接点20が設けられ、収容部16aの底部且つ第4の面11d、第5の面11eの近傍には、第2の固定接点21、第3の固定接点22が設けられている。第1の固定接点20は、例えば端子19b、19cに接続され、第2、第3の固定接点21、22は、例えば端子19a、19dに接続されている。
【0019】
コンタクト23は、例えばドーム状の導電性金属により構成され、収容部16a内に収容された状態において、周囲の一部が第2、第3の固定接点21、22に接触され、中央部が、第1の固定接点20から所定間隔離間される。
【0020】
図4図5に示すように、コンタクト23の上にシールゴム24が載置され、シールゴム24の周縁上にリング状のスペーサ25が載置される。操作子18は、スペーサ25内のシールゴム24上に載置される。操作子18は、底部中央部に突起18aを有している。突起18aはシールゴム24を介してコンタクト23の中央部上に配置される。
【0021】
スイッチ機構SWは、操作子18が押されると、突起18aによりコンタクト23の中央部がコンタクト23の有する弾性に抗して押し下げられ、第1の固定接点20に接触される。このため、第1の固定接点20と第2、第3の固定接点21、22が電気的に接続され、スイッチがオン状態となる。また、コンタクト23が湾曲される際、クリックが発生する。この状態より、操作子18に対する押圧力を解除すると、コンタクト23は、その弾性により元のドーム状に復帰する。このため、コンタクト23は第1の固定接点20と非接触状態となり、スイッチは、オフ状態に復帰する。
【0022】
金属製のカバー17は、中央部に操作子18が挿通され可能な開口部17aを有している。カバー17のスイッチ本体11の第2の面11b側及び第3の面11c側の辺には、図3図4に示すように、カバー17をハウジング16に固定するための複数の係合部17b、17c、17d、17eが設けられている。これら係合部17b、17c、17d、17eは、ハウジング16に設けられた複数の爪部16b、16c(16b、16cは、図示せず)、16d、16eにそれぞれ係合可能とされている。
【0023】
さらに、カバー17は、図5に示すように保護カバー12をスイッチ本体11に取着するための第1の係合部17f、17gを有している。図3図5に示すように、第1の係合部17fは、係合部17b、17cの間に設けられ、第1の係合部17gは、係合部17d、17eの間に設けられている。第1の係合部17f、17gは、先端がハウジング16の第2の面11b、第3の面11cから離れるように折曲され、弾性を有している。
【0024】
図4図5に示すように、保護カバー12の枠体13は、スイッチ本体11を収容可能な収容部13aを有し、収容部13aの内壁に第1の係合部17f、17gに係合可能な第2の係合部としての突部13b、13cを有している。
【0025】
さらに、保護カバー12の枠体13は、収容部13aの4隅に、スイッチ本体11の第1の面11aの四隅に当接可能な第3の係合部13d、13e、13f、13gが設けられている。
【0026】
上記構成において、図3に示すように、スイッチ本体11と保護カバー12は、それぞれ別に組み立てられる。この後、組み立てられたスイッチ本体11に組み立てられた保護カバー12が装着される。すなわち、保護カバー12がスイッチ本体11の第1の面11a側からスイッチ本体11に装着される。
【0027】
具体的には、図5図6に示すように、保護カバー12の枠体13の収容部13a内にスイッチ本体11が収容される。このとき、枠体13の内壁に設けられた第2の係合部としての突部13b、13cが第1の係合部17f、17gの弾性に抗して進み、突部13b、13cが第1の係合部17f、17gの先端を越えると、第1の係合部17f、17gが、元の形状に復帰し、図5図6に示すように、第1の係合部17f、17gの先端が突部13b、13cに係合される。このため、保護カバー12は、スイッチ本体11に対して固定される。このとき、スイッチ本体11の第1の面11aの四隅は、枠体13の四隅に設けられた第3の係合部13d、13e、13f、13gに当接される。このため、保護カバー12は、スイッチ本体11に対してがたつくことなく固定される。
【0028】
上記実施形態によれば、スイッチ本体11は、弾性を有する第1の係合部17f、17gを有し、保護カバー12の枠体13は、第1の係合部17f、17gに係合可能な第2の係合部としての突部13b、13cを有し、保護カバー12をスイッチ本体11に嵌め込むだけで、保護カバー12の突部13b、13cがスイッチ本体11の第1の係合部17f、17gに係合し、保護カバー12をスイッチ本体11に対して固定することができる。このため、熱カシメの場合に比べて設備コストを削減できるとともに、組み立てが容易であるため、組み立て工数を削減することが可能である。
【0029】
また、保護カバー12により、スイッチ本体11の操作子18を覆っているため、本カバー付スイッチ装置10がアミューズメント装置の基板に装着された状態において、誤操作や、針金などを用いた不正操作を防止することが可能である。
【0030】
しかも、スイッチ本体11の金属製の第1の係合部17f、17gが保護カバー12の突部13b、13cに係合しているため、熱カシメの場合に比べて十分な強度で保護カバー12をスイッチ本体11に固定することができる。このため、保護カバー12がスイッチ本体11から容易に脱落することを防止できる。したがって、本カバー付スイッチ装置10がアミューズメント装置の基板に装着された状態において、針金などを用いて保護カバー12を取り外すことが困難であり、不正操作を防止することが可能である。
【0031】
さらに、保護カバー12の枠体13に設けられた収容部13aの四隅に設けられた第3の係合部13d、13e、13f、13gは、保護カバー12がスイッチ本体11に取着された状態において、スイッチ本体11の第1の面11aの四隅に当接している。このため、保護カバー12がスイッチ本体11に対してがたつくことを防止でき、十分な強度で、保護カバー12をスイッチ本体11に固定することができる。
【0032】
また、第1の係合部17f、17gは、スイッチ本体11の第1の面11aと交差する第2の面11bと、第2の面11bに平行する第3の面11cに設けられ、第2の係合部としての突部13b、13cは、保護カバー12の枠体13の内壁に設けられている。このため、例えばスイッチ本体11のみを基板に実装した後、スイッチ本体11に保護カバー12を嵌め込むだけで、保護カバー12をスイッチ本体11に装着することができる。
【0033】
したがって、例えばスイッチ本体11のみを基板に実装した後、基板を洗浄し、この後、保護カバー12をスイッチ本体11に装着することができる。このように、基板を洗浄した後、保護カバー12をスイッチ本体11に装着することにより、保護カバー12内に洗浄剤が残るなどの不都合を防止することが可能である。
【0034】
尚、第1の係合部17f、17gは、カバー17と一体的に設けられ、スイッチ本体11の第1の面11aと直交する第2の面11bと、第2の面11bと平行する第3の面11cに配置した。しかし、これに限定されるものではなく、例えばハウジング16の第2の面11bと、第3の面11cに例えば第1の係合部としての凹部を設け、保護カバー12の枠体13の内壁に、凹部に係合可能な第2の係合部としての突部を設ける構成としてもよい。
【0035】
また、第3の係合部13d、13e、13f、13gは、枠体13の四隅に設けたが、これに限らず、少なくとも対向する2つの隅に設ければよい。
【0036】
その他、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示された複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…カバー付スイッチ装置、11…スイッチ本体、12…保護カバー、13…枠体、14…カバー、17…金属製のカバー、17f、17g…第1の係合部、13b、13c…突部(第2の係合部)、13d、13e、13f、13g…第3の係合部、18…操作子、SW…スイッチ機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6