(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水酸基含有樹脂(a)、平均粒子径0.01〜2.0μmの硫酸バリウム(a1)、平均粒子径が10μm以上のタルク(a2)、有機樹脂粒子(a3)及び着色顔料(a4)、並びにポリイソシアネート化合物(b)を含有する塗料組成物であって、
前記水酸基含有樹脂(a)は水酸基含有アクリル樹脂であり、
水酸基含有樹脂(a)の固形分合計100質量部を基準にして、硫酸バリウム(a1)を1〜130質量部、タルク(a2)を1〜50質量部、有機樹脂粒子(a3)を0.1〜20質量部、着色顔料(a4)を1〜100質量部、ポリイソシアネート化合物(b)を10〜60質量部含有する塗料組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、水酸基含有樹脂(a)、平均粒子径0.01〜2.0μmの硫酸バリウム(a1)、平均粒子径が10μm以上のタルク(a2)、有機樹脂粒子(a3)及び着色顔料(a4)、並びにポリイソシアネート化合物(b)を所定量含有する塗料組成物である。以下、詳細に説明する。
【0015】
水酸基含有樹脂(a):
水酸基含有樹脂(a)は、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する樹脂である。水酸基含有樹脂(a)としては、例えば、水酸基を有する、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂等の樹脂が挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも水酸基含有樹脂(a)は、塗膜硬度と耐候性の点から、水酸基含有アクリル樹脂であることが好ましい。
【0016】
水酸基含有アクリル樹脂は、通常、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーの
共重合体である。共重合体を得る方法は、それ自体既知の方法、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法等が挙げられる。
【0017】
水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であって、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシチル(メタ)アクリレート、7−ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8(好ましくは2〜4)の2価アルコールとのモノエステル化物;該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール、さらに、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。尚、本発明においては、後述する2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマーは、水酸基含有重合性不飽和モノマーではなく、水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーに包含される。
【0018】
また、水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン化合物との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩、アンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー化合物等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0019】
水酸基含有樹脂(a)は、塗膜硬度、防食性の点から、30〜300mgKOH/g、特に40〜250mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好ましい。
【0020】
水酸基含有樹脂(a)は、ポリイソシアネート化合物(b)との反応性の点から、20mgKOH/g以下、特に1〜15mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。
【0021】
水酸基含有樹脂(a)は、一般に3,000〜100,000、特に3,000〜50,000、さらに特に4,000〜30,000の範囲内の重量平均分子量を有することが好ましい。
【0022】
明細書中の「重量平均分子量」は、JIS K 0124−2011に記載の方法に準じ、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。
【0023】
ゲルパーミエーションクロマトグラフは、「HLC8120GPC」(東ソー社製)を使用した。カラムとしては、「TSKgel G−4000HXL」「TSKgel G−3000HXL」「TSKgel G−2500HXL」「TSKgel G−2000HXL」(いずれも東ソー株式会社社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1ml/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
【0024】
但し、本発明においては、後述する有機樹脂粒子(a3)に該当する水酸基含有樹脂は、「水酸基含有樹脂(a)」からは除かれる。
【0025】
硫酸バリウム(a1):
本発明の塗料組成物は、平均粒子径0.01〜2.0μm、好ましくは平均粒子径0.02〜1.0μmの硫酸バリウム(a1)を含有する。
【0026】
このような硫酸バリウム(a1)の市販品としては、バリファインBF−20(堺化学工業社製、商品名、平均粒子径0.03μm)、SS−50(堺化学工業社製、商品名、平均粒子径0.5μm)、硫酸バリウム100(堺化学工業社製、商品名、平均粒子径0.6μm)、沈降性硫酸バリウムPS−07(Guangxi Xiangzh、商品名、平均粒子径0.74μm)、沈降性硫酸バリウムBlanc Fixe HD80(Solvay Barice Derivati SpA、商品名、平均粒子径0.8μm)、硫酸バリウムHF、深州嘉信化工、商品名、平均粒子径0.9μmが挙げられる。
【0027】
なお、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法による粒度分布測定により得られる値、より具体的にはUPA−EX250(商品名、日機装株式会社製)を用いて測定される値を意味する。
【0028】
なお硫酸バリウム(a1)の配合量は、水酸基含有樹脂(a)の固形分合計100質量部を基準にして、1〜130質量部、好ましくは20〜110質量部であることによって、仕上り性、塗膜硬度、艶消塗膜の光沢安定性、耐薬品性及び防食性に優れた塗膜を得ることができる。
【0029】
タルク(a2):
本発明の塗料組成物は、平均粒子径10μm以上、好ましくは平均粒子径11〜20μmのタルク(a2)を含有する。
【0030】
上記タルク(a2)とは、層状構造を持った鱗片状の粒子であり、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO
2・3MgO・2H
2Oで表され、通常SiO
2を56〜65質量%、MgOを28〜35質量%、H
2O約5質量%程度から構成されている。
【0031】
その他の少量成分としてFe
2O
3が0.03〜1.2質量%、Al
2O
3が0.05〜1.5質量%、CaOが0.05〜1.2質量%、K
2Oが0.2質量%以下、Na
2Oが0.2質量%以下などを含有しており、比重は約2.7、モース硬度は1である。
【0032】
なお、タルク(a2)の市販品は、例えば、タルクGTA(協和鉱業社製、商品名、平均粒子径10μm)、タルクCTA−2(キハラ化成社製、商品名、平均粒子径11μm、Sタルク(日本滑石製錬社製、商品名、平均粒子径11μm)、TALCAN POWDER PK−S(林化成社製、商品名、平均粒子径11μm)、タルク1号(竹原化学工業社製、商品名、平均粒子径11μm)、タルク2号(竹原化学工業社製、商品名、平均粒子径11μm)、タルクT−1(富士タルク工業社製、商品名、平均粒子径11μm)、タルクSW−D(浅田製粉社製、商品名、平均粒子径12μm)、タルクSSS(日本タルク社製、商品名、平均粒子径12μm)、タルクDNB(日本タルク社製、商品名、平均粒子径12μm)、PSタルク(竹原化学工業社製、商品名、平均粒子径14μm)、タルクMA(日本タルク社製、商品名、平均粒子径14μm)、タルクM(日本タルク社製、商品名、平均粒子径16μm)、TTKタルク(竹原化学工業社製、商品名、平均粒子径17μm)、Tタルク(竹原化学工業社製、商品名、平均粒子径17μm)、クラウンタルク3S(松村産業社製、商品名、平均粒子径18μm)等が挙げられる。
【0033】
本発明の塗料組成物におけるタルク(a2)の配合量は、水酸基含有樹脂(a)の固形分合計100質量部に対して、1〜50質量部、好ましくは10〜40質量部の範囲が、塗膜硬度、艶消塗膜の光沢安定性及び耐薬品性に優れた塗膜を得るために望ましい。
【0034】
有機樹脂粒子(a3):
本発明の塗料組成物は、有機樹脂粒子(a3)を含有する。有機樹脂粒子(a3)は、平均粒子径6〜22μm、好ましくは8〜20μmであることが望ましい。有機樹脂粒子(a3)としては、アクリル樹脂粒子等が挙げられる。
【0035】
さらに、平均粒子径が6〜15μmと平均粒子径が16〜22μmの2種類の有機樹脂粒子(a3)を混合することによって、さらに艶消塗膜の光沢安定性の向上を図ることができる。
【0036】
なお有機樹脂粒子(a3)の市販品としては、具体的には、テクポリマー MBX−12(積水化成品工業社製、平均粒子径12μm、アクリル樹脂)、テクポリマー MBX−15(積水化成品工業社製、平均粒子径15μm、アクリル樹脂)、テクポリマー MBX−20(積水化成品工業社製、平均粒子径20μm、アクリル樹脂)、テクポリマー MB30X−20(積水化成品工業社製、平均粒子径20μm、アクリル樹脂)、テクポリマー BM30X−20(積水化成品工業社製、平均粒子径20μm、アクリル樹脂)、Diasphere MPB−X10(KOLON社製、商品名、平均粒径10μm、アクリル樹脂)が挙げられる。
【0037】
なお、有機樹脂粒子(a3)の配合割合は、水酸基含有樹脂(a)の固形分合計100質量部に対して、0.1〜20質量部、好ましくは1〜10質量部の範囲であることが、艶消塗膜の光沢安定性に優れた塗膜を得る為にも望ましい。
【0038】
以上に述べた、硫酸バリウム(a1)、タルク(a2)及び有機樹脂粒子(a3)を配合することによって、仕上り性、塗膜硬度、艶消塗膜の光沢安定性、耐薬品性及び防食性のバランスに優れた塗膜を得ることができる。
【0039】
着色顔料(a4)
本発明の塗料組成物の硬化塗膜の色相や明度を調整することを目的として、着色顔料(a4)を配合することができる。該着色顔料(a4)としては、特に制限されるものではないが、具体的には、酸化チタン等の白系の着色顔料;カーボンブラック、黒鉛(グラファイト)、鉄黒(アイアンブラック)等の黒系の着色顔料;紺青、群青、コバルトブルー、銅フタロシアニンブルー、インダンスロンブルー等の青系の着色顔料;合成黄色酸化鉄、透明べんがら(黄)、ビスマスバナデート、チタンイエロー、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、イソインドリノンイエロー、金属錯塩アゾイエロー、キノフタロンイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー等の黄系の着色顔料;べんがら、透明べんがら(赤)、モノアゾレッド、モノアゾレッド、無置換キナクリドンレッド、アゾレーキ(Mn塩)、キナクリドンマゼンダ、アンサンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、ペリレンレッド、ジケトピロロピロールクロムバーミリオン等の赤系の着色顔料;塩素化フタロシアニングリーン、臭素化フタロシアニングリーン等の緑系の着色顔料;ピラゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンオレンジ、ジオキサジンバイオレット、ペリレンバイオレットなどのその他の着色顔料が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組合わせて使用することができる。
【0040】
本発明の塗料組成物における着色顔料(a4)の配合割合は、水酸基含有樹脂(a)の固形分合計100質量部を基準にして、1〜100質量部、好ましくは10〜60質量部の範囲であることが、仕上り性、艶消塗膜の光沢安定性及び防食性に優れた塗膜を得ることができる。
【0041】
ポリイソシアネート化合物(b):
本発明の塗料組成物におけるポリイソシアネート化合物(b)は、1分子中に遊離のイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、イソシアネート基はブロック剤でブロックされていない。
【0042】
具体的には、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。このようなポリイソシアネートには、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環式ポリイソシアネート化合物、芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物及びその粗製物、これらのポリイソシアネート化合物の変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が含まれる。
【0043】
上記脂肪族ポリイソシアネート化合物の具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
【0044】
上記脂環式ポリイソシアネート化合物の具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び/又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0045】
上記芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物の具体例としては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’, α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
【0046】
上記芳香族ポリイソシアネート化合物の具体例としては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−又は4,4’−ビフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、粗製MDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられる。
【0047】
また、上記ポリイソシアネート化合物(b)の変性物には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI、イソシアヌレート変性IPDI等のポリイソシアネートの変性物;及びこれらの2種以上の混合物[例えば、変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート基含有プレポリマー)との併用]が含まれる。イソシアヌレート変性HDI等が好ましい。
【0048】
上記のポリイソシアネート化合物(b)として好ましいものは、耐薬品性や防食性の面から、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環式ポリイソシアネート化合物である。ポリイソシアネート化合物(b)の数平均分子量は、3,000以下、特に100〜1,500の範囲内に含まれていることが好ましい。
【0049】
このようなポリイソシアネート化合物(b)の市販品としては、Bayhydur(バイヒジュール) TP−LS2550、スミジュールN3300(以上、住化バイエルウレタン株式会社製)、TPA100(旭化成ケミカルズ株式会社製)、BASONAT(バソナート) HI100(BASF株式会社製)等が挙げられる。
【0050】
ポリイソシアネート化合物(b)の配合量は、水酸基含有樹脂(a)の固形分合計100質量部を基準にして、10〜60質量部、好ましくは15〜45質量部の範囲が、塗膜硬度、耐薬品性及び防食性の面から好ましい。
【0051】
シランカップリング剤(b1)
本発明の塗料組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤(b1)を配合することができる。
【0052】
上記シランカップリング剤(b1)としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリル基含有シランカップリング剤;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシキシシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシキシシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤;トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート基含有シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤などが挙げられる。これらのシランカップリング剤の中でも、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシキシシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤が防食性向上の面から好ましい。また、これらのシランカップリング剤(b1)は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
【0053】
なおシランカップリング剤(b1)の市販品としては、KBM−402、KBM−403、KBM−502、KBM−503、KBM−603、KBM−907、KBM−9659、KBE−903、KBE−602、KBE−603(以上、信越シリコーン社製、商品名)などが挙げられる。
【0054】
上記シランカップリング剤(b1)を配合する場合の配合量は、水酸基含有樹脂(a)の固形分合計100質量部を基準にして、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜8質量部含有することが、仕上り性、防食性向上の為に望ましい。
【0055】
耐汚染化剤(b2)
本発明の塗料組成物は、必要に応じて、耐汚染化剤(b2)として、下記式(1)で表されるオルガノシリケート化合物又はその縮合物を含有できる。
【0056】
(R
1)
n−Si−(OR
2)
4−n ・・・式(1)
(式(1)中、R
1はメルカプト基で置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基又はフェニル基であり、R
2は炭素数が1〜6のアルキル基であり、nは0または1である)
上記耐汚染化剤(b2)は、塗布後に効率よく基材表面で耐汚染性が持続するために使用されるものであり、この効果の観点から、上記オルガノシリケートの縮合物がより好ましい。
【0057】
上記一般式におけるR
1の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、グリシジル、メチルグリシジル(2−メチルグリシジル)、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、2−メルカプトプロピル、3−メルカプトプロピル、4−メルカプトブチル、フェニル、p−メルカプトフェニル基などを挙げることができる。
【0058】
オルガノシリケート及び/又はその縮合物のオルガノシリケートの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトライソブトキシシランなどの4官能シラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn−ブトキシシラン、メチルトリイソブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリn−ブトキシシラン、フェニルトリイソブトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ラウリルトリメトキシシラン、ラウリルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトエチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の3官能シランが挙げられる。上記オルガノシリケートの縮合物としては、これらの4官能もしくは3官能シランの1種又は2種以上の組合せでの縮合物などが挙げられる。
【0059】
オルガノシリケートの縮合物の市販品としては、例えば、MKCシリケートMS51、MKCシリケートMS56、MKCシリケートMS57、MKCシリケートMS56S、MKCシリケートMS56SB5、MKCシリケートMS58B15、MKCシリケートMS58B30、MKCシリケートES40、MKCシリケートEMS31、MKCシリケートBTS(以上、いずれも三菱化学株式会社製、商品名)、メチルシリケート51、エチルシリケート40、エチルシリケート40T、エチルシリケート48(以上、いずれもコルコート株式会社製、商品名)、KR500、KR9218、X−41−1805、X−41−1810、X−41−1818、X−41−1053、X−41−1056(以上、いずれも信越化学工業株式会社製、商品名)等を挙げることができる。
【0060】
本発明の塗料組成物において耐汚染化剤(b2)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。前記一般式で表わされるオルガノシリケート及び/又はその縮合物において、OR
2基としてメトキシ基と炭素原子数2〜6のアルコキシ基とを有し、メトキシ基/炭素原子数2〜6のアルコキシ基との数の比が95/5〜30/70の範囲内であることが、貯蔵安定性の面から好適である。
【0061】
本発明の塗料組成物において、耐汚染化剤(b2)の配合量は、水酸基含有樹脂(a)の固形分合計100質量部を基準にして、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜8質量部であることが、仕上り性、耐汚染性の面から好適である。
【0062】
その他の成分
本発明の塗料組成物には、必要に応じて、その他の成分として、クレー、マイカ、炭酸カルシウム等の体質顔料;酸化亜鉛、シリカ微粉末、水酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマス、硝酸ビスマス、ケイ酸ビスマス、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム等の防錆顔料;紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、顔料分散剤、表面調整剤、界面活性剤、硬化触媒、増粘剤、防腐剤、凍結防止剤、その他の艶消し剤、その他の樹脂等を配合することができる。
【0063】
本発明の塗料組成物の製造について
本発明の塗料組成物としては、ベース塗料(I)と硬化剤成分(II)を混合して得られる2液型塗料組成物であることが好ましい。2液型塗料組成物は、例えば、下記の工程1〜工程3によって製造できる。
【0064】
工程1:
ベース塗料(I)を製造する工程である。ベース塗料(I)は、水酸基含有樹脂(a)、平均粒子径0.01〜2.0μmの硫酸バリウム(a1)、平均粒子径が10μm以上のタルク(a2)、有機樹脂粒子(a3)及び着色顔料(a4)を混合して製造できる。
【0065】
ベース塗料(I)には、必要に応じて、着色顔料、防錆顔料、上記以外の体質顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、顔料分散剤、表面調整剤、界面活性剤、硬化触媒、増粘剤、防腐剤、凍結防止剤、その他の艶消し剤、その他の樹脂などを配合できる。
【0066】
また、上記ベース塗料(I)は、固形分濃度が65〜80質量%、好ましくは68〜75質量%であっても、従来のベース塗料に比べて貯蔵安定性が良好である。
【0067】
工程2:
硬化剤成分(II)を製造する工程である。硬化剤成分(II)は、ポリイソシアネート化合物(b)に、必要に応じて、前記シランカップリング剤(b1)、前記耐汚染化剤(b2)、界面活性剤、表面調整剤等を混合して製造できる。
【0068】
工程3:
本発明の塗料組成物を製造する工程である。塗料組成物は、前記ベース塗料(I)に、上記硬化剤成分(II)を加えて得ることができる。また、本発明の塗料組成物には、上記ベース塗料(I)と硬化剤成分(II)とを混合していない状態、ベース塗料(I)と硬化剤成分(II)を混合した状態も含まれる。
【0069】
塗膜形成方法
なお本発明の塗料組成物を用いた塗膜形成方法は、例えば、被塗物に、下塗塗料を施し又は下塗塗料を施さずに、前記塗料組成物を塗装する工程、次いで当該塗料組成物を塗装した被塗物を50〜160℃で10〜120分間焼付け乾燥する工程を含む、方法が挙げられる。
【0070】
なお上記被塗物としては、冷延鋼板、黒皮鋼板、合金化亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム等が挙げられる。さらに必要に応じて、ショットブラスト、表面調整、化成処理等を施すことができる。また、被塗物が、熱容量が大きく塗膜を十分に加熱できない被塗物に対しては、低温硬化(50〜100℃)が可能である。
【実施例】
【0071】
以下、製造例、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。各例中の「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
【0072】
製造例1 アクリル樹脂溶液の製造
反応容器中に、混合溶剤(キシレン/n−ブチルアルコール=80/20)113部を仕込み80℃に保持した中へ、以下の「混合物」を4時間掛けて滴下し、次いでジ−tert−ブチルハイドロパーオキサイド8部を添加し、80℃で3時間保持して反応を行い、さらに混合溶剤(キシレン/n−ブチルアルコール=80/20)で調整して、固形分60質量%のアクリル樹脂溶液を製造した。得られたアクリル樹脂溶液は、水酸基価94.9mgKOH/g、酸価3.9mgKOH/g、重量平均分子量11,000を有していた。
【0073】
「混合物」
スチレン 41.6部
n−ブチルアクリレート 6.9部
イソブチルメタクリレート 19部
プラクセルFM−3(注1) 15部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 17部
アクリル酸 0.5部
(注1)プラクセルFM−3:ダイセル化学工業株式会社製、商品名、2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン変性ビニルモノマー。
【0074】
塗料組成物の製造
実施例1 塗料組成物No.1
以下の工程1〜3によって塗料組成物No.1を得た。
【0075】
工程1 製造例1で得たアクリル樹脂溶液を20部(固形分)、バリファインBF−20(注2)を40部(固形分)、タルクMA(注6)を30部(固形分)、タイペークCR−95(注10)6部(固形分)、FASTONGN BLUE RSK(注11)0.5部及び酢酸エチルを適量加えてボールミルで12時間分散し、顔料分散ペーストを得た。
【0076】
工程2 製造例1で得たアクリル樹脂溶液を80部(固形分)に、上記工程1によって得た顔料分散ペーストを加えて攪拌し、次いでテクポリマー MBX−8(注15)8部を配合し、酢酸エチルを加えて固形分を調整し、固形分65質量%のベース塗料を得た。
【0077】
工程3 上記工程1によって得た顔料分散ペーストに、スミジュールN3300(注18)を50部(固形分)を配合して、酢酸エチルにて固形分を調整して、固形分60質量%の塗料組成物No.1を得た。
【0078】
実施例2〜31 塗料組成物No.2〜No.31
表1及び表2の配合内容とする以外は実施例1と同様にして、塗料組成物No.2〜No.31を得た。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
比較例1〜15 塗料組成物No.32〜No.46
表3の配合内容とする以外は、実施例1と同様にして、塗料組成物No.32〜No.46を得た。さらに、試験板の作製に従って試験に供して得た結果を併せて示す。
【0082】
【表3】
【0083】
(注2)バリファインBF−20:堺化学工業社製、商品名、平均粒子径0.03μmの硫酸バリウム
(注3)沈降性硫酸バリウムPS−07:Guangxi Xiangzh社製、商品名、平均粒子径0.74μmの硫酸バリウム
(注4)SPARWITE W−5HB:ウィルバーエリス社製、商品名、平均粒子径1.6μm
(注5)LAKABAR SF:LAKAVISUTH(ラカヴィッシュ)社製、商品名、硫酸バリウム粉末、平均粒子径14μmg
(注6)タルクMA:日本タルク社製、商品名、タルク、14μm
(注7)TTKタルク:竹原化学社製、商品名、タルク、平均粒子径17μm
(注8)Tタルク:竹原化学社製、商品名、タルク、平均粒子径9μm
(注9)ハイラック:竹原化学社製、商品名、タルク、平均粒子径7μm
(注10)タイペークCR−95:石原産業社製、商品名、二酸化チタン
(注11)FASTONGN BLUE RSK:DIC社製、商品名、銅フタロシアニンブルー
(注12)サイリシア445:富士シリシア化学社製、商品名、シリカ微粉末、艶消し剤
(注13)ネオライトSA−200:竹原化学工業株式会社、商品名、炭酸カルシウム、吸油量32ml/100g
(注14)テクポリマー MBX−8:積水化成品工業社製、アクリル系樹脂微粒子、平均粒子径8μm
(注15)テクポリマー MBX−15:積水化成品工業社製、アクリル系樹脂微粒子、平均粒子径15μm
(注16)テクポリマー MBX−20:積水化成品工業社製、商品名、アクリル系樹脂微粒子、平均粒子径20μm
(注17)テクポリマー MB30X−20:積水化成品工業社製、アクリル系樹脂微粒子、平均粒子径20μm
(注18)スミジュールN3300:住化バイエルウレタン社製、商品名、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、NCO当量193
(注19)BASONAT HI100:BASF社製、商品名、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、NCO当量190
(注20)KBM−403:信越化学株式会社、商品名、エポキシ基含有シランカップリング剤
(注21)KBM−603:信越化学株式会社、商品名、アミノ基含有シランカップリング剤
(注22)MKCシリケートMS56S:三菱化学株式会社製、商品名、テトラメトキシシランの縮合物であるメチルエステル化シリケート。
(注23)MKCシリケートMS58B30:三菱化学株式会社製、商品名、テトラアルコキシシランの縮合物であるメチル/ブチル混合エステル化シリケート、メチル/ブチル数の比率は70/30。
【0084】
なお、試験板の作成及び性能評価は、下記に従って試験板を作成し、試験に供して得た結果を表1〜表3に併せて示す。
【0085】
試験板の作成
リン酸亜鉛処理化成処理を施した冷延鋼板(100mm×300mm×2.0mm)に、上記の実施例及び比較例にて得た塗料組成物No.1〜No.48を乾燥膜厚50μmとなるようにスプレー塗装した。次いで、電気熱風乾燥機を用いて、95℃20分間で加熱乾燥して各試験板を得た。
【0086】
性能評価
(注24)ベース塗料の貯蔵安定性:
各ベース塗料を、250mlのガラス容器に入れて暗所で20℃にて4時間貯蔵し、状態をチェックした。
【0087】
◎は、塗料組成物のゲル化、相分離、沈降いずれも認められない
○は、塗料組成物のゲル化、相分離が認められず、沈降がやや認められるがゆるやかな攪拌でもとに戻る
△は、塗料組成物のゲル化及び相分離の少なくともいずれかがわずかにみられる
×は、塗料組成物のゲル化及び相分離の少なくとも一つが著しくみられる。
【0088】
(注25)仕上り性:95℃にて20分間加熱乾燥した試験板につき、塗面外観を目視で評価した。
【0089】
○は、平滑性が良好で問題なし
△は、うねり、ツヤビケ、チリ肌等の仕上り性の低下がやや見られる、
×は、うねり、ツヤビケ、チリ肌等の仕上り性の低下が大きい。
【0090】
(注26)塗膜硬度:95℃にて20分間加熱乾燥した試験板を、JIS K 5600−5−4に準じて、試験塗板面に対し約45°の角度に鉛筆の芯を当て、芯が折れない程度に強く試験塗板面に押し付けながら前方に均一な速さで約10mm動かした。塗膜が破れなかったもっとも硬い鉛筆の硬度記号を鉛筆硬度とした。
【0091】
(注27)艶消塗膜の光沢安定性:リン酸亜鉛化成処理を施した冷延鋼板(70mm×300mm×2.0mm)に乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装を施し、焼付け乾燥して電着塗装板を得た。
【0092】
次いで、上記の実施例、比較例にて得た各塗料組成物を用いて乾燥膜厚50μmとなるように被塗物面を垂直にしてスプレー塗装し、60℃20分間焼付けの塗板の光沢度と、160℃20分間焼付けの塗板の光沢度の「光沢度差(△)」を求めた。
【0093】
なお各塗膜の光沢度は、JIS K 5600−4−7(1999)の「60度鏡面光沢度」に従い、入射角と受光角とがそれぞれ60度のときの反射率を、試験板の長手方向に約2.5cm間隔でn=10で測定して「平均値」を求め、下記基準に従って評価した。
【0094】
◎は、光沢度差(△)が±2以内、
〇は、光沢度差(△)の絶対値が2を超えて、5以内、
△は、光沢度差(△)の絶対値が5を超えて、10以内、
×は、光沢度差(△)の絶対値が10を超える。
【0095】
(注28)耐薬品性:95℃20分間加熱乾燥した試験板を、40℃の脱イオン水に240時間浸漬後、引上げ、JIS K 5600−5−6(1999)碁盤目−テープ法に準じて、塗装板の塗膜面に素地に達するようにナイフを使用して約2mmの間隔で縦、横それぞれ平行に11本の切目を入れてゴバン目を形成し、その表面にセロハン(登録商標)粘着テープを貼着し、テープを急激に剥離した後のゴバン目塗面を下記基準にて評価した:
◎は、塗膜の剥離が全く認められない
〇は、ナイフ傷における塗膜の一部にわずかに剥離が認められる
△は、100個のゴバン目のうち全てが剥離したものが1〜20個である
×は、100個のゴバン目のうち全てが剥離したものが21個以上である。
【0096】
(注29)防食性: 95℃20分間加熱乾燥した試験板を用い、ナイフでクロスカット傷を入れ、これをJIS Z−2371に準じて120時間耐塩水噴霧試験を行い、ナイフ傷からの錆、フクレ幅によって以下の基準で評価した:
◎は、錆又はフクレの最大幅が、カット部から2mm未満(片側)、
○は、錆又はフクレの最大幅が、カット部から2mm以上でかつ3mm未満(片側)、
△は、錆又はフクレの最大幅が、カット部から3mm以上でかつ4mm未満(片側)、
×は、錆又はフクレの最大幅が、カット部から4mm以上(片側)。
【0097】
(注30)耐汚染性:試験板を、軒先をモデル化した設置台に、塗膜が北側に面するように、垂直から4度の角度を付けて取り付け、兵庫県尼崎市の関西ペイント株式会社屋上にて曝露試験を行い、暴露開始から1ヶ月後において、初期塗板との色差(△E)をJIS Z8370に基づいて、スガ試験機株式会社製の多光源分光測色計MSC−5Nを用いて測定し、以下の基準により評価した。
【0098】
◎は、△Eが1未満、
○は、△Eが1以上かつ2未満、
△は、△Eが2以上かつ5未満、
×は、△Eが5以上。