特許第6746418号(P6746418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6746418
(24)【登録日】2020年8月7日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】電源装置、および、電源装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20200817BHJP
【FI】
   H02M7/12 Q
   H02M7/12 W
   H02M7/12 B
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-147113(P2016-147113)
(22)【出願日】2016年7月27日
(65)【公開番号】特開2018-19489(P2018-19489A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 健一
(72)【発明者】
【氏名】押方 哲也
【審査官】 白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−023606(JP,A)
【文献】 特開2008−125310(JP,A)
【文献】 特表2009−543532(JP,A)
【文献】 特開2011−078179(JP,A)
【文献】 特開2017−216858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/00〜 7/98
H02M 3/00〜 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターリーブ方式の力率改善回路を含み、負荷に電源を供給する電源装置であって、 交流電圧を第1の電源端子と第2の電源端子との間に出力する交流電源と、
前記負荷の高電位側の端子が接続される第1の負荷端子、および、前記負荷の低電位側の端子が接続される第2の負荷端子と、
前記第1の負荷端子と前記第2の負荷端子との間に接続された出力コンデンサと、
一端が前記第1の電源端子に接続され、他端が第1ノードに接続された第1のチョークコイル、及び、一端が前記第1の電源端子に接続され、他端が第2ノードに接続された第2のチョークコイルと、
一端が前記第1ノードに接続され、他端が前記第2ノードに接続された電流蓄積用インダクタと、
一端が前記第1の負荷端子に接続され、他端が前記第1ノードに接続された第1のスイッチ素子、及び、一端が前記第1ノードに接続され、他端が前記第2の負荷端子に接続された第2のスイッチ素子と、
一端が前記第1の負荷端子に接続され、他端が前記第2の電源端子に接続された、極性切換用の第3のスイッチ素子、及び、一端が前記第2の電源端子に接続され、他端が前記第2の負荷端子に接続された、極性切換用の第4のスイッチ素子と、
一端が前記第1の負荷端子に接続され、他端が前記第2ノードに接続された第5のスイッチ素子、及び、一端が前記第2ノードに接続され、他端が前記第2の負荷端子に接続された第6のスイッチ素子と、
前記第1の電源端子の入力電圧の極性に応じて、前記第1ないし第6のスイッチ素子の動作を制御する制御部と、を備える
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記入力電圧が正相である場合において、前記第2、第4及び第6のスイッチ素子をオンし且つ前記第1、第3及び第5のスイッチ素子をオフした第1の状態から、前記第2のスイッチ素子をオフし且つ第1のスイッチ素子をオンした第2の状態に制御し、
前記第2の状態に制御した後、前記第2の状態から前記第6のスイッチ素子をオフした第3の状態に制御し、前記第3の状態に制御した後、前記第3の状態から前記第5のスイッチ素子をオンした第4の状態に制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第4の状態に制御した後、前記第4の状態から前記第1のスイッチ素子をオフした第5の状態に制御し、
前記第5の状態に制御した後、前記第5の状態から前記第2のスイッチ素子をオンした第6の状態に制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第6の状態に制御した後、前記第6の状態から前記第5のスイッチ素子をオフした第7の状態に制御し、
前記第7の状態に制御した後、前記第7の状態から前記第6のスイッチ素子をオンした第8の状態に制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第8の状態に制御した後、前記第8の状態から前記第2のスイッチ素子をオフした第9の状態に制御し、
前記第9の状態に制御した後、前記第9の状態から前記第1のスイッチ素子をオンした第10の状態に制御する
ことを特徴とする請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記電流蓄積用インダクタの断面積は、前記第1および第2のチョークコイルの断面積よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項7】
前記電流蓄積用インダクタに流れる電流の平均値は、前記第1および第2のチョークコイルに流れる電流の平均値よりも小さい
ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項8】
前記電流蓄積用インダクタのインダクタンスは、前記第1および第2のチョークコイルのインダクタンスよりも大きい
ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項9】
前記第1ないし第6のスイッチ素子は、それぞれMOSトランジスタであり、前記制御部は、パルス波のPWM制御信号により、前記MOSトランジスタのゲート・ソース間の電圧を制御して、前記MOSトランジスタのオン/オフを制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項10】
前記第2のスイッチ素子を制御するPWM制御信号の位相は、前記第6のスイッチ素子を制御するPWM制御信号の位相に対して、ずれている
ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項11】
前記第1ないし第6のスイッチ素子は、MOSトランジスタ、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、又はIGBTの何れかである
ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項12】
インターリーブ方式の力率改善回路を含み、負荷に電源を供給する電源装置であって、交流電圧を第1の電源端子と第2の電源端子との間に出力する交流電源と、前記負荷の高電位側の端子が接続される第1の負荷端子、および、前記負荷の低電位側の端子が接続される第2の負荷端子と、前記第1の負荷端子と前記第2の負荷端子との間に接続された出力コンデンサと、一端が前記第1の電源端子に接続され、他端が第1ノードに接続された第1のチョークコイル、及び、一端が前記第1の電源端子に接続され、他端が第2ノードに接続された第2のチョークコイルと、一端が前記第1ノードに接続され、他端が前記第2ノードに接続された電流蓄積用インダクタと、一端が前記第1の負荷端子に接続され、他端が前記第1ノードに接続された第1のスイッチ素子、及び、一端が前記第1ノードに接続され、他端が前記第2の負荷端子に接続された第2のスイッチ素子と、一端が前記第1の負荷端子に接続され、他端が前記第2の電源端子に接続された、極性切換用の第3のスイッチ素子、及び、一端が前記第2の電源端子に接続され、他端が前記第2の負荷端子に接続された、極性切換用の第4のスイッチ素子と、一端が前記第1の負荷端子に接続され、他端が前記第2ノードに接続された第5のスイッチ素子、及び、一端が前記第2ノードに接続され、他端が前記第2の負荷端子に接続された第6のスイッチ素子と、前記第1の電源端子の入力電圧の極性に応じて、前記第1ないし第6のスイッチ素子の動作を制御する制御部と、を備えた電源装置の制御方法であって、
前記制御部により、前記入力電圧が正相である場合において、前記第2、第4及び第6のスイッチ素子をオンし且つ前記第1、第3及び第5のスイッチ素子をオフした第1の状態から、前記第2のスイッチ素子をオフし且つ第1のスイッチ素子をオンした第2の状態に制御し、
前記制御部により、前記第2の状態に制御した後、前記第2の状態から前記第6のスイッチ素子をオフした第3の状態に制御し、前記第3の状態に制御した後、前記第3の状態から前記第5のスイッチ素子をオンした第4の状態に制御する
ことを特徴とする電源装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、および、電源装置の制御方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来の電源装置には、インターリーブ方式の力率改善(Power Factor Correction)回路を含むものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この従来の電源装置では、インターリーブ方式の力率改善回路として、2つのMOSFETで構成されたマスターアームと、2つのMOSFETで構成されたスレーブアームと、2つのMOSFETで構成された極性切換アームと、を備える。
【0004】
この従来の電源装置では、ZVS(Zero Volt Switching)動作が困難である。
【0005】
例えば、自由振動方式の場合には、入力電圧が高い時、出力電圧との差が小さくなり、ZVS動作ができない。
【0006】
また、強制的にチョークコイルにZVS電流を印加する方式は、電流監視、電圧監視が複雑化し、回路規模が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015−023606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明では、簡素化された構成でZVS動作しつつ、力率改善を図ることが可能な電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る実施例に従った電源装置は、
インターリーブ方式の力率改善回路を含み、負荷に電源を供給する電源装置であって、
交流電圧を第1の電源端子と第2の電源端子との間に出力する交流電源と、
前記負荷の高電位側の端子が接続される第1の負荷端子、および、前記負荷の低電位側の端子が接続される第2の負荷端子と、
前記第1の負荷端子と前記第2の負荷端子との間に接続された出力コンデンサと、
一端が前記第1の電源端子に接続され、他端が第1ノードに接続された第1のチョークコイル、及び、一端が前記第1の電源端子に接続され、他端が第2ノードに接続された第2のチョークコイルと、
一端が前記第1ノードに接続され、他端が前記第2ノードに接続された電流蓄積用インダクタと、
一端が前記第1の負荷端子に接続され、他端が前記第1ノードに接続された第1のスイッチ素子、及び、一端が前記第1ノードに接続され、他端が前記第2の負荷端子に接続された第2のスイッチ素子と、
一端が前記第1の負荷端子に接続され、他端が前記第2の電源端子に接続された、極性切換用の第3のスイッチ素子、及び、一端が前記第2の電源端子に接続され、他端が前記第2の負荷端子に接続された、極性切換用の第4のスイッチ素子と、
一端が前記第1の負荷端子に接続され、他端が前記第2ノードに接続された第5のスイッチ素子、及び、一端が前記第2ノードに接続され、他端が前記第2の負荷端子に接続された第6のスイッチ素子と、
前記第1の電源端子の入力電圧の極性に応じて、前記第1ないし第6のスイッチ素子の動作を制御する制御部と、を備える
ことを特徴とする。
【0010】
前記電源装置において、
前記制御部は、
前記入力電圧が正相である場合において、前記第2、第4及び第6のスイッチ素子をオンし且つ前記第1、第3及び第5のスイッチ素子をオフした第1の状態から、前記第2のスイッチ素子をオフし且つ第1のスイッチ素子をオンした第2の状態に制御し、
前記第2の状態に制御した後、前記第2の状態から前記第6のスイッチ素子をオフした第3の状態に制御し、前記第3の状態に制御した後、前記第3の状態から前記第5のスイッチ素子をオンした第4の状態に制御する
ことを特徴とする。
【0011】
前記電源装置において、
前記制御部は、
前記第4の状態に制御した後、前記第4の状態から前記第1のスイッチ素子をオフした第5の状態に制御し、
前記第5の状態に制御した後、前記第5の状態から前記第2のスイッチ素子をオンした第6の状態に制御する
ことを特徴とする。
【0012】
前記電源装置において、
前記制御部は、
前記第6の状態に制御した後、前記第6の状態から前記第5のスイッチ素子をオフした第7の状態に制御し、
前記第7の状態に制御した後、前記第7の状態から前記第6のスイッチ素子をオンした第8の状態に制御する
ことを特徴とする。
【0013】
前記電源装置において、
前記制御部は、
前記第8の状態に制御した後、前記第8の状態から前記第2のスイッチ素子をオフした第9の状態に制御し、
前記第9の状態に制御した後、前記第9の状態から前記第1のスイッチ素子をオンした第10の状態に制御する
ことを特徴とする。
【0014】
前記電源装置において、
前記電流蓄積用インダクタの断面積は、前記第1および第2のチョークコイルの断面積よりも小さいことを特徴とする。
【0015】
前記電源装置において、
前記電流蓄積用インダクタに流れる電流の平均値は、前記第1および第2のチョークコイルに流れる電流の平均値よりも小さい
ことを特徴とする。
【0016】
前記電源装置において、
前記電流蓄積用インダクタのインダクタンスは、前記第1および第2のチョークコイルのインダクタンスよりも大きい
ことを特徴とする。
【0017】
前記電源装置において、
前記第1ないし第6のスイッチ素子は、それぞれMOSトランジスタであり、前記制御部は、パルス波のPWM制御信号により、前記MOSトランジスタのゲート・ソース間の電圧を制御して、前記MOSトランジスタのオン/オフを制御する
ことを特徴とする。
【0018】
前記電源装置において、
前記第2のスイッチ素子を制御するPWM制御信号の位相は、前記第6のスイッチ素子を制御するPWM制御信号の位相に対して、ずれている
ことを特徴とする。
【0019】
前記電源装置において、
前記負荷は、前記第1の負荷端子と第2の負荷端子との間の電圧をDC−DC変換して出力するDC−DCコンバータである
ことを特徴とする。
【0020】
前記電源装置において、
前記第1ないし第6のスイッチ素子は、MOSトランジスタ、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、又はIGBTの何れかである
ことを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様に係る実施例に従った電源装置の制御方法は、
インターリーブ方式の力率改善回路を含み、負荷に電源を供給する電源装置であって、交流電圧を第1の電源端子と第2の電源端子との間に出力する交流電源と、前記負荷の高電位側の端子が接続される第1の負荷端子、および、前記負荷の低電位側の端子が接続される第2の負荷端子と、前記第1の負荷端子と前記第2の負荷端子との間に接続された出力コンデンサと、一端が前記第1の電源端子に接続され、他端が第1ノードに接続された第1のチョークコイル、及び、一端が前記第1の電源端子に接続され、他端が第2ノードに接続された第2のチョークコイルと、一端が前記第1ノードに接続され、他端が前記第2ノードに接続された電流蓄積用インダクタと、一端が前記第1の負荷端子に接続され、他端が前記第1ノードに接続された第1のスイッチ素子、及び、一端が前記第1ノードに接続され、他端が前記第2の負荷端子に接続された第2のスイッチ素子と、一端が前記第1の負荷端子に接続され、他端が前記第2の電源端子に接続された、極性切換用の第3のスイッチ素子、及び、一端が前記第2の電源端子に接続され、他端が前記第2の負荷端子に接続された、極性切換用の第4のスイッチ素子と、一端が前記第1の負荷端子に接続され、他端が前記第2ノードに接続された第5のスイッチ素子、及び、一端が前記第2ノードに接続され、他端が前記第2の負荷端子に接続された第6のスイッチ素子と、前記第1の電源端子の入力電圧の極性に応じて、前記第1ないし第6のスイッチ素子の動作を制御する制御部と、を備えた電源装置の制御方法であって、
前記制御部により、前記入力電圧が正相である場合において、前記第2、第4及び第6のスイッチ素子をオンし且つ前記第1、第3及び第5のスイッチ素子をオフした第1の状態から、前記第2のスイッチ素子をオフし且つ第1のスイッチ素子をオンした第2の状態に制御し、
前記制御部により、前記第2の状態に制御した後、前記第2の状態から前記第6のスイッチ素子をオフした第3の状態に制御し、前記第3の状態に制御した後、前記第3の状態から前記第5のスイッチ素子をオンした第4の状態に制御する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様に係る電源装置は、インターリーブ方式の力率改善回路を含み、負荷に電源を供給する電源装置であって、交流電圧を第1の電源端子と第2の電源端子との間に出力する交流電源と、負荷の高電位側の端子が接続される第1の負荷端子、および、負荷の低電位側の端子が接続される第2の負荷端子と、第1の負荷端子と第2の負荷端子との間に接続された出力コンデンサと、一端が第1の電源端子に接続され、他端が第1ノードに接続された第1のチョークコイル、及び、一端が第1の電源端子に接続され、他端が第2ノードに接続された第2のチョークコイルと、一端が第1ノードに接続され、他端が第2ノードに接続された電流蓄積用インダクタと、一端が第1の負荷端子に接続され、他端が第1ノードに接続された第1のスイッチ素子、及び、一端が第1ノードに接続され、他端が第2の負荷端子に接続された第2のスイッチ素子と、一端が第1の負荷端子に接続され、他端が第2の電源端子に接続された、極性切換用の第3のスイッチ素子、及び、一端が第2の電源端子に接続され、他端が第2の負荷端子に接続された、極性切換用の第4のスイッチ素子と、一端が第1の負荷端子に接続され、他端が第2ノードに接続された第5のスイッチ素子、及び、一端が第2ノードに接続され、他端が第2の負荷端子に接続された第6のスイッチ素子と、第1の電源端子の入力電圧の極性に応じて、第1ないし第6のスイッチ素子の動作を制御する制御部と、を備える。
【0023】
例えば、制御部は、入力電圧が正相である場合において、第2、第4及び第6のスイッチ素子をオンし且つ第1、第3及び第5のスイッチ素子をオフした第1の状態から、第2のスイッチ素子をオフし且つ第1のスイッチ素子をオンした第2の状態に制御し、第2の状態に制御した後、第2の状態から第6のスイッチ素子をオフした第3の状態に制御し、第3の状態に制御した後、第3の状態から第5のスイッチ素子をオンした第4の状態に制御する。
【0024】
これにより、第5のスイッチ素子をZVS動作させることができる。
【0025】
このように、本発明に係る電源装置は、簡素化された構成でZVS動作しつつ、力率改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の一態様である第1の実施形態に係る電源装置100の構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1に示す電源装置100の入力電圧Vinの極性が正相である場合における動作を説明するための図である。
図3図3は、図1に示す電源装置100の入力電圧Vinの極性が正相である場合における動作波形の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の一態様である第1の実施形態の変形例に係る電源装置200の構成の一例を示す図である。
図5図5は、図4に示す電源装置200の入力電圧Vinの極性が正相である場合における動作波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る各実施例について図面に基づいて説明する。
【第1の実施形態】
【0028】
図1は、本発明の一態様である第1の実施形態に係る電源装置100の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、この電源装置100は、インターリーブ方式の力率改善回路を含み、負荷LOADに電源を供給するようになっている。
【0029】
この電源装置100は、例えば、図1に示すように、交流電源ACSと、第1の電源端子TS1と、第2の電源端子TS2と、第1の負荷端子TOUT1と、第2の負荷端子TOUT2と、第1のチョークコイルL1と、第2のチョークコイルL2と、電流蓄積用インダクタLAと、第1のスイッチ素子Q1と、第2のスイッチ素子Q2と、極性切換用の第3のスイッチ素子Q3と、極性切換用の第4のスイッチ素子Q4と、第5のスイッチ素子Q5と、第6のスイッチ素子Q6と、第1の駆動部X1と、第2の駆動部X2と、第3の駆動部X3と、第4の駆動部X4と、第5の駆動部X5と、第6の駆動部X6と、制御部CONと、出力コンデンサCOUTと、第1のノードN1と、第2のノードN2と、を備える。
そして、図1に示すように、交流電源ACSは、交流電圧Vinを第1の電源端子TS1と第2の電源端子TS2との間に出力するようになっている。なお、交流電源ACSの交流電圧(入力電圧)Vinの正相の期間と逆相の期間とは、例えば、約10msである。
【0030】
また、第1の負荷端子TOUT1は、負荷LOADの高電位側の端子TL1が接続されている。
【0031】
また、第2の負荷端子TOUT2は、負荷LOADの低電位側の端子TL2が接続されている。
【0032】
なお、負荷LOADは、例えば、第1の負荷端子TOUT1と第2の負荷端子TOUT2との間の電圧をDC−DC変換して出力するDC/DCコンバータである。
【0033】
また、図1に示すように、出力コンデンサCOUTは、第1の負荷端子TOUT1と第2の負荷端子TOUT2との間に接続されている。
【0034】
また、図1に示すように、第1のチョークコイルL1は、一端が第1の電源端子TS1に接続され、他端が第1ノードN1に接続されている。
【0035】
また、第2のチョークコイルL2は、一端が第1の電源端子TS1に接続され、他端が第2ノードN2に接続されている。
【0036】
また、ハイサイドの第1のスイッチ素子Q1は、一端(ドレイン)が第1の負荷端子TOUT1に接続され、他端(ソース)が第1ノードN1に接続されている。なお、この第1のスイッチ素子Q1は、例えば、図1に示すように、寄生容量を有するnMOSトランジスタである。
【0037】
そして、ローサイドの第2のスイッチ素子Q2は、一端(ドレイン)が第1ノードN1に接続され、他端(ソース)が第2の負荷端子TOUT2に接続されている。なお、この第2のスイッチ素子Q2は、例えば、図1に示すように、nMOSトランジスタである。
【0038】
また、ハイサイドの極性切換用の第3のスイッチ素子Q3は、一端(ドレイン)が第1の負荷端子TOUT1に接続され、他端(ソース)が第2の電源端子TS2に接続されている。なお、この第3のスイッチ素子Q3は、例えば、図1に示すように、nMOSトランジスタである。
【0039】
そして、ローサイドの極性切換用の第4のスイッチ素子Q4は、一端(ドレイン)が第2の電源端子TS2に接続され、他端(ソース)が第2の負荷端子TOUT2に接続されている。なお、この第4のスイッチ素子Q4は、例えば、図1に示すように、nMOSトランジスタである。
【0040】
また、ハイサイドの第5のスイッチ素子Q5は、一端(ドレイン)が第1の負荷端子TOUT1に接続され、他端(ソース)が第2ノードN2に接続されている。なお、この第5のスイッチ素子Q5は、例えば、図1に示すように、寄生容量を有するnMOSトランジスタである。
【0041】
そして、ローサイドの第6のスイッチ素子Q6は、一端(ドレイン)が第2ノードN2に接続され、他端(ソース)が第2の負荷端子TOUT2に接続されている。なお、この第6のスイッチ素子Q6は、例えば、図1に示すように、寄生容量を有するnMOSトランジスタである。
【0042】
なお、第1ないし第6のスイッチ素子Q1〜Q6にnMOSトランジスタを用いているが、例えば、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBTなどであってもよい。
【0043】
また、第1の駆動部X1は、ゲートパルス信号(パルス波のPWM制御信号)GP1を第1のスイッチ素子Q1であるnMOSトランジスタのゲート・ソース間に印加するようになっている。
【0044】
また、第2の駆動部X2は、ゲートパルス信号(パルス波のPWM制御信号)GP2を第2のスイッチ素子Q2であるnMOSトランジスタのゲート・ソース間に印加するようになっている。
【0045】
また、第3の駆動部X3は、ゲートパルス信号(パルス波のPWM制御信号)GP3を第3のスイッチ素子Q3であるnMOSトランジスタのゲート・ソース間に印加するようになっている。
【0046】
また、第4の駆動部X4は、ゲートパルス信号(パルス波のPWM制御信号)GP4を第4のスイッチ素子Q4であるnMOSトランジスタのゲート・ソース間に印加するようになっている。
【0047】
また、第5の駆動部X5は、ゲートパルス信号(パルス波のPWM制御信号)GP5を第5のスイッチ素子Q5であるnMOSトランジスタのゲート・ソース間に印加するようになっている。
【0048】
また、第6の駆動部X6は、ゲートパルス信号(パルス波のPWM制御信号)GP6を第6のスイッチ素子Q6であるnMOSトランジスタのゲート・ソース間に印加するようになっている。
【0049】
また、電流蓄積用インダクタLAは、例えば、図1に示すように、一端が第1ノードN1に接続され、他端が第2ノードN2に接続されている。
【0050】
さらに、この電流蓄積用インダクタLAの断面積は、第1および第2のチョークコイルL1、L2の断面積よりも小さくなるように設定されているとよい。
【0051】
さらに、この電流蓄積用インダクタLAに流れる電流の平均値は、第1および第2のチョークコイルL1、L2に流れる電流の平均値よりも小さくなるように設定されているとよい。
【0052】
さらに、この電流蓄積用インダクタLAのインダクタンスは、第1および第2のチョークコイルL1、L2のインダクタンスよりも大きくなるように設定されているとよい。
【0053】
また、制御部CONは、第1ないし第6の駆動部X1〜X6を制御することで、第1ないし第6のスイッチ素子Q1〜Q6であるnMOSトランジスタのゲート・ソース間の電圧(ゲートパルス信号(パルス波のPWM制御信号)GP1〜GP6)を制御して、当該nMOSトランジスタのオン/オフを制御するようになっている。なお、上記PWM制御信号のパルス波には、デッドタイムが設定されている。
【0054】
特に、制御部CONは、第1の電源端子TS1の入力電圧Vinの極性に応じて、第1ないし第6の駆動部X1〜X6により第1ないし第6のスイッチ素子Q1〜Q6の動作を制御して、PFC(Power Factor Correction)動作を実行するようになっている。
【0055】
既述のように、本実施形態においては、第1ないし第6のスイッチ素子Q1〜Q6は、それぞれ寄生容量を有するMOSトランジスタである。そして、制御部CONは、パルス波のPWM制御信号GP1〜GP6により、MOSトランジスタのゲート・ソース間の電圧を制御して、MOSトランジスタQ1〜Q6のオン/オフを制御するようになっている。
【0056】
ここで、制御部CONは、第1の電源端子TS1の入力電圧Vinの極性が正相である場合には、PFC動作時において、極性切換用の第3のスイッチ素子Q3をオフし且つ極性切換用の第4のスイッチ素子Q4をオンするようになっている。
【0057】
そして、制御部CONは、この入力電圧Vinが正相である場合、第3のスイッチ素子Q3をオフし且つ第4のスイッチ素子Q4をオンした状態で、第1及び第2のスイッチ素子Q1、Q2を相補的にオン/オフを切り替えるように制御しつつ第5及び第6のスイッチ素子Q5、Q6を相補的にオン/オフを切り替えるように制御してPFC動作を実行するようになっている。
【0058】
例えば、制御部CONは、入力電圧Vinが正相である場合において、第2、第4及び第6のスイッチ素子Q2、Q4、Q6をオンし且つ第1、第3及び第5のスイッチ素子Q1、Q3、Q5をオフした第1の状態から、第2のスイッチ素子Q2をオフし且つ第1のスイッチ素子Q1をオンした第2の状態に制御するようになっている。
【0059】
さらに、制御部CONは、上記第2の状態に制御した後、この第2の状態から第6のスイッチ素子Q6をオフした第3の状態に制御するようになっている。
【0060】
そして、制御部CONは、上記第3の状態に制御した後、この第3の状態から第5のスイッチ素子Q5をオンした第4の状態に制御するようになっている。
【0061】
また、制御部CONは、上記第4の状態に制御した後、この第4の状態から第1のスイッチ素子Q1をオフした第5の状態に制御するようになっている。
【0062】
そして、制御部CONは、上記第5の状態に制御した後、この第5の状態から第2のスイッチ素子Q2をオンした第6の状態に制御するようになっている。
また、制御部CONは、上記第6の状態に制御した後、この第6の状態から第5のスイッチ素子Q5をオフした第7の状態に制御するようになっている。
【0063】
そして、制御部CONは、上記第7の状態に制御した後、この第7の状態から第6のスイッチ素子Q6をオンした第8の状態に制御するようになっている。
【0064】
また、制御部CONは、上記第8の状態に制御した後、この第8の状態から第2のスイッチ素子Q2をオフした第9の状態に制御するようになっている。
【0065】
そして、制御部CONは、上記第9の状態に制御した後、この第9の状態から第1のスイッチ素子Q1をオンした第10の状態に制御するようになっている。
【0066】
この制御により、入力電圧Vinの極性が正相である場合には、第1、第2のチョークコイルL1、L2に流れる電流が、第4のスイッチ素子Q4を介して第2の電源端子TS2に流れることとなる。
【0067】
一方、制御部CONは、第1の電源端子TS1の入力電圧Vinの極性が逆相である場合には、PFC動作時において、極性切換用の第3のスイッチ素子Q3をオンし且つ極性切換用の第4のスイッチ素子Q4をオフするようになっている。
【0068】
そして、制御部CONは、この入力電圧Vinが逆相である場合、第3のスイッチ素子Q3をオンし且つ第4のスイッチ素子Q4をオフした状態で、第1及び第2のスイッチ素子Q1、Q2を相補的にオン/オフを切り替えるように制御しつつ第5及び第6のスイッチ素子Q5、Q6を相補的にオン/オフを切り替えるように制御してPFC動作を実行するようになっている。
【0069】
この制御により、入力電圧Vinの極性が逆相である場合には、第1、第2のチョークコイルL1、L2に流れる電流が、第3のスイッチ素子Q3を介して第1の電源端子TS1に流れることとなる。
【0070】
なお、入力電圧Vinの極性が逆相である場合、第1及び第2のスイッチ素子Q1、Q2を相補的にオン/オフを切り替えるように制御しつつ第5及び第6のスイッチ素子Q5、Q6を相補的にオン/オフを切り替えるように制御する具体的な動作は、上述の入力電圧Vinが正相である場合の第1から第10の状態の制御と同様である。
【0071】
次に、以上のような構成を有する電源装置100の動作の一例について説明する。図2は、図1に示す電源装置100の入力電圧Vinの極性が正相である場合における動作を説明するための図である。また、図3は、図1に示す電源装置100の入力電圧Vinの極性が正相である場合における動作波形の一例を示す図である。なお、図2においては、簡単のため、図1に示す第1ないし第6の駆動部X1〜X6および制御部CONの構成を省略している。
【0072】
既述のように、制御部CONは、第1の電源端子TS1の入力電圧の極性に応じて、第1ないし第6の駆動部X1〜X6により第1ないし第6のスイッチ素子Q1〜Q6の動作を制御して、PFC動作を実行するようになっている。
【0073】
ここで、例えば、制御部CONは、入力電圧Vinが正相である場合において、第2、第4及び第6のスイッチ素子Q2、Q4、Q6をオンし且つ第1、第3及び第5のスイッチ素子Q1、Q3、Q5をオフした第1の状態(図3の時刻t1)から、デッドタイムtdの経過後、第2のスイッチ素子Q2をオフし且つ第1のスイッチ素子Q1をオンした第2の状態に制御する(図3の時刻t2)。
【0074】
そして、制御部CONは、上記第2の状態に制御した後、この第2の状態から第6のスイッチ素子Q6をオフした第3の状態(図3の時刻t3)に制御する。
【0075】
これにより、電流蓄積用インダクタLAにはマスターアーム(Q1、Q2)とスレーブアーム(Q5、Q6)の位相差の時間だけ、出力電圧Vout相当の電圧が印加され、電流蓄積用インダクタLAに電流ILAが蓄積される。このとき、電流蓄積用インダクタLAが第5のスイッチ素子(nMOSトランジスタ)Q5の寄生容量を放電し、第6のスイッチ素子Q6の電位Q6Vdsが出力電圧Voutに到達する。
【0076】
これにより、第5のスイッチ素子Q5のZVS動作が可能になる。
【0077】
そして、制御部CONは、上記第3の状態に制御した後、デッドタイムtdの経過後、この第3の状態から第5のスイッチ素子Q5をオンした第4の状態に制御する(図3の時刻t4)。このとき、電流蓄積用インダクタLAが第1のスイッチ素子Q1及び第5のスイッチ素子Q5に短絡され、電流蓄積用インダクタLAの電流が保持される。
【0078】
そして、制御部CONは、上記第4の状態に制御した後、この第4の状態から第1のスイッチ素子Q1をオフした第5の状態に制御する(図3の時刻t5)。このとき、電流蓄積用インダクタLAが第2のスイッチ素子(nMOSトランジスタ)Q2の寄生容量を放電し、第2のスイッチ素子Q2の電位Q2Vdsがゼロになる。
【0079】
そして、制御部CONは、上記第5の状態に制御した後、この第5の状態から第2のスイッチ素子Q2をオンした第6の状態に制御する(図3の時刻t6)。
【0080】
これにより、第2のスイッチ素子Q2のZVS動作が可能になる。
【0081】
そして、制御部CONは、上記第6の状態に制御した後、この第6の状態から第5のスイッチ素子Q5をオフした第7の状態に制御する(図3の時刻t7)。これにより、電流蓄積用インダクタLAにはマスターアーム(Q1、Q2)とスレーブアーム(Q5、Q6)の位相差の時間だけ、上記第3の状態と逆方向の出力電圧Vout相当の電圧が印加され、電流蓄積用インダクタLAに電流ILAが蓄積される。このとき、電流蓄積用インダクタLAが第6のスイッチ素子(nMOSトランジスタ)Q6の寄生容量を放電し、第6のスイッチ素子Q6の電位Q6Vdsがゼロになる。
【0082】
これにより、第6のスイッチ素子Q6のZVS動作が可能になる。
【0083】
そして、制御部CONは、上記第7の状態に制御した後、この第7の状態から第6のスイッチ素子Q6をオンした第8の状態に制御する(図3の時刻t8)。このとき、電流蓄積用インダクタLAが第2のスイッチ素子Q2及び第6のスイッチ素子Q6に短絡され、電流蓄積用インダクタLAの電流が保持される。
【0084】
そして、制御部CONは、上記第8の状態に制御した後、この第8の状態から第2のスイッチ素子Q2をオフした第9の状態に制御する(図3の時刻t9)。このとき、電流蓄積用インダクタLAが第1のスイッチ素子(nMOSトランジスタ)Q1の寄生容量を放電し、第1のスイッチ素子Q1の電位Q6Vdsがゼロになる。
【0085】
そして、制御部CONは、上記第9の状態に制御した後、この第9の状態から第1のスイッチ素子Q1をオンした第10の状態に制御する(図3の時刻t10)。
【0086】
これにより、第1のスイッチ素子Q1のZVS動作が可能になる。
【0087】
以降同様の動作を制御部CONが実行することとなる。
【0088】
これにより、入力電圧Vinの極性が正相である場合には、第1、第2のチョークコイルL1、L2に流れる電流が、第4のスイッチ素子Q4を介して第2の電源端子TS2に流れることとなる。
【0089】
なお、第2のスイッチ素子Q2を制御するPWM制御信号GP2の位相は、第6のスイッチ素子Q6を制御するPWM制御信号GP6の位相に対して、ずれている。
【0090】
以上のように、本発明の一態様に係る電源装置は、インターリーブ方式の力率改善回路を含み、負荷に電源を供給する電源装置であって、交流電圧を第1の電源端子と第2の電源端子との間に出力する交流電源と、負荷の高電位側の端子が接続される第1の負荷端子、および、負荷の低電位側の端子が接続される第2の負荷端子と、第1の負荷端子と第2の負荷端子との間に接続された出力コンデンサと、一端が第1の電源端子に接続され、他端が第1ノードに接続された第1のチョークコイル、及び、一端が第1の電源端子に接続され、他端が第2ノードに接続された第2のチョークコイルと、一端が第1ノードに接続され、他端が第2ノードに接続された電流蓄積用インダクタと、一端が第1の負荷端子に接続され、他端が第1ノードに接続された第1のスイッチ素子、及び、一端が第1ノードに接続され、他端が第2の負荷端子に接続された第2のスイッチ素子と、一端が第1の負荷端子に接続され、他端が第2の電源端子に接続された、極性切換用の第3のスイッチ素子、及び、一端が第2の電源端子に接続され、他端が第2の負荷端子に接続された、極性切換用の第4のスイッチ素子と、一端が第1の負荷端子に接続され、他端が第2ノードに接続された第5のスイッチ素子、及び、一端が第2ノードに接続され、他端が第2の負荷端子に接続された第6のスイッチ素子と、第1の電源端子の入力電圧の極性に応じて、第1ないし第6のスイッチ素子の動作を制御する制御部と、を備える。
【0091】
例えば、制御部は、入力電圧が正相である場合において、第2、第4及び第6のスイッチ素子をオンし且つ第1、第3及び第5のスイッチ素子をオフした第1の状態から、第2のスイッチ素子をオフし且つ第1のスイッチ素子をオンした第2の状態に制御し、第2の状態に制御した後、第2の状態から第6のスイッチ素子をオフした第3の状態に制御し、第3の状態に制御した後、第3の状態から第5のスイッチ素子をオンした第4の状態に制御する。これにより、第5のスイッチ素子をZVS動作させることができる。
【0092】
このように、本発明に係る電源装置は、簡素化された構成でZVS動作しつつ、力率改善を図ることができる。
【0093】
(変形例)
ここで、図4は、本発明の一態様である第1の実施形態の変形例に係る電源装置200の構成の一例を示す図である。なお、図4において、図1と同じ符号は、図1に示す電源装置100と同様の構成を示し、その説明を省略する。また、図4においては、簡単のため、駆動部および制御部の構成を省略している。
【0094】
図4に示すように、変形例に係る電源装置200は、例えば、交流電源ACSと、第1の電源端子TS1と、第2の電源端子TS2と、第1の負荷端子TOUT1と、第2の負荷端子TOUT2と、第1のチョークコイルL1と、第2のチョークコイルL2と、電流蓄積用インダクタLAと、第1のスイッチ素子Q1と、第2のスイッチ素子Q2と、極性切換用の第3のスイッチ素子Q3と、極性切換用の第4のスイッチ素子Q4と、第5のスイッチ素子Q5と、第6のスイッチ素子Q6と、出力コンデンサCOUTと、第1のノードN1と、第2のノードN2と、第3のチョークコイルL3と、第4のチョークコイルL4と、電流蓄積用インダクタLBと、第7のスイッチ素子Q7と、第8のスイッチ素子Q8と、第9のスイッチ素子Q9と、第10のスイッチ素子Q10と、第3のノードN3と、第4のノードN4と、を備える。
【0095】
すなわち、図4に示す変形例に係る電源装置200は、図1に示す電源装置100と比較して、第3のチョークコイルL3と、第4のチョークコイルL4と、電流蓄積用インダクタLBと、第7のスイッチ素子Q7と、第8のスイッチ素子Q8と、第9のスイッチ素子Q9と、第10のスイッチ素子Q10と、第3のノードN3と、第4のノードN4とを、さらに備えている。
【0096】
例えば、図4に示すように、第3のチョークコイルL3は、一端が第1の電源端子TS1に接続され、他端が第3ノードN3に接続されている。
【0097】
また、第4のチョークコイルL4は、一端が第1の電源端子TS1に接続され、他端が第4ノードN4に接続されている。
【0098】
また、ハイサイドの第7のスイッチ素子Q7は、一端(ドレイン)が第1の負荷端子TOUT1に接続され、他端(ソース)が第3ノードN3に接続されている。なお、この第7のスイッチ素子Q7は、例えば、図1に示すように、寄生容量を有するnMOSトランジスタである。
【0099】
そして、ローサイドの第8のスイッチ素子Q8は、一端(ドレイン)が第3ノードN3に接続され、他端(ソース)が第2の負荷端子TOUT2に接続されている。なお、この第8のスイッチ素子Q8は、例えば、図1に示すように、寄生容量を有するnMOSトランジスタである。
【0100】
また、ハイサイドの第9のスイッチ素子Q9は、一端(ドレイン)が第1の負荷端子TOUT1に接続され、他端(ソース)が第4ノードN4に接続されている。なお、この第9のスイッチ素子Q9は、例えば、図1に示すように、寄生容量を有するnMOSトランジスタである。
【0101】
そして、ローサイドの第10のスイッチ素子Q10は、一端(ドレイン)が第4ノードN4に接続され、他端(ソース)が第2の負荷端子TOUT2に接続されている。なお、この第10のスイッチ素子Q10は、例えば、図1に示すように、寄生容量を有するnMOSトランジスタである。
【0102】
なお、第7ないし第10のスイッチ素子Q7〜Q10にnMOSトランジスタを用いているが、例えば、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBTなどであってもよい。
【0103】
また、電流蓄積用インダクタLBは、例えば、図1に示すように、一端が第3ノードN3に接続され、他端が第4ノードN4に接続されている。
【0104】
さらに、この電流蓄積用インダクタLBの断面積は、第3および第4のチョークコイルL3、L4の断面積よりも小さいくなるように設定されているとよい。
【0105】
さらに、この電流蓄積用インダクタLBに流れる電流の平均値は、第3および第4のチョークコイルL3、L4に流れる電流の平均値よりも小さくなるように設定されているとよい。
【0106】
さらに、この電流蓄積用インダクタLBのインダクタンスは、第3および第4のチョークコイルL3、L4のインダクタンスよりも大きくなるように設定されているとよい。
【0107】
また、制御部CONは、第1ないし第10のスイッチ素子Q1〜Q10であるnMOSトランジスタのゲート・ソース間の電圧(ゲートパルス信号(パルス波のPWM制御信号)GP1〜GP10)を制御して、当該nMOSトランジスタのオン/オフを制御するようになっている。なお、上記PWM制御信号のパルス波には、デッドタイムが設定されている。
【0108】
特に、制御部CONは、第1の電源端子TS1の入力電圧Vinの極性に応じて、第1ないし第10のスイッチ素子Q1〜Q10の動作を制御して、PFC動作を実行するようになっている。
【0109】
既述のように、本実施形態においては、第1ないし第10のスイッチ素子Q1〜Q10は、それぞれ寄生容量を有するMOSトランジスタである。そして、制御部CONは、パルス波のPWM制御信号GP1〜GP10により、MOSトランジスタのゲート・ソース間の電圧を制御して、MOSトランジスタQ1〜Q10のオン/オフを制御するようになっている。
【0110】
なお、第1のチョークコイルL1、第2のチョークコイルL2、及び電流蓄積用インダクタLAと、第3のチョークコイルL3、第4のチョークコイルL4、及び電流蓄積用インダクタLBとは、回路的に対称の関係になっている。さらに、第1、第2、第5、第6のスイッチ素子Q1、Q2、Q5、Q6と、第7ないし第10のスイッチ素子Q7〜Q10とは、回路的に対称の関係になっており、動作位相が180度ずれている。
【0111】
すなわち、制御部CONは、例えば、第1のスイッチ素子Q1に供給するPWM制御信号GP1と、第7のスイッチ素子Q7に供給するPWM制御信号GP7との位相が180度ずれるように制御する。さらに、制御部CONは、例えば、第2のスイッチ素子Q2に供給するPWM制御信号GP2と、第8のスイッチ素子Q8に供給するPWM制御信号GP8との位相が180度ずれるように制御する。さらに、制御部CONは、例えば、第5のスイッチ素子Q5に供給するPWM制御信号GP5と、第9のスイッチ素子Q9に供給するPWM制御信号GP9との位相が180度ずれるように制御する。さらに、制御部CONは、例えば、第6のスイッチ素子Q6に供給するPWM制御信号GP6と、第10のスイッチ素子Q10に供給するPWM制御信号GP10とが同様になるように制御する。
【0112】
ここで、制御部CONは、第1の電源端子TS1の入力電圧Vinの極性が正相である場合には、PFC動作時において、極性切換用の第3のスイッチ素子Q3をオフし且つ極性切換用の第4のスイッチ素子Q4をオンするようになっている。
【0113】
そして、制御部CONは、この入力電圧Vinが正相である場合、第3のスイッチ素子Q3をオフし且つ第4のスイッチ素子Q4をオンした状態で、第7及び第8のスイッチ素子Q7、Q28を相補的にオン/オフを切り替えるように制御しつつ第9及び第10のスイッチ素子Q9、Q10を相補的にオン/オフを切り替えるように制御してPFC動作を実行するようになっている。
【0114】
例えば、制御部CONは、入力電圧Vinが正相である場合において、第8、第4及び第10のスイッチ素子Q8、Q4、Q10をオンし且つ第7、第3及び第9のスイッチ素子Q7、Q3、Q9をオフした第1の状態から、第8のスイッチ素子Q8をオフし且つ第7のスイッチ素子Q7をオンした第2の状態に制御するようになっている。
【0115】
さらに、制御部CONは、上記第2の状態に制御した後、この第2の状態から第10のスイッチ素子Q10をオフした第3の状態に制御するようになっている。
【0116】
そして、制御部CONは、上記第3の状態に制御した後、この第3の状態から第9のスイッチ素子Q9をオンした第4の状態に制御するようになっている。
【0117】
これにより、第9のスイッチ素子Q9のZVS動作が可能になる。
【0118】
また、制御部CONは、上記第4の状態に制御した後、この第4の状態から第7のスイッチ素子Q7をオフした第5の状態に制御するようになっている。
【0119】
そして、制御部CONは、上記第5の状態に制御した後、この第5の状態から第8のスイッチ素子Q8をオンした第6の状態に制御するようになっている。
これにより、第8のスイッチ素子Q8のZVS動作が可能になる。
【0120】
また、制御部CONは、上記第6の状態に制御した後、この第6の状態から第9のスイッチ素子Q9をオフした第7の状態に制御するようになっている。
【0121】
そして、制御部CONは、上記第7の状態に制御した後、この第7の状態から第10のスイッチ素子Q10をオンした第8の状態に制御するようになっている。
【0122】
これにより、第10のスイッチ素子Q10のZVS動作が可能になる。
【0123】
これらの動作において、第2のスイッチQ2と第6のスイッチQ6、第1のスイッチQ1と第5のスイッチQ5、第8のスイッチQ8と第10のスイッチQ10、および、第7のスイッチQ7と第9のスイッチQ9、のぞれぞれの動作時間差は小さく設定されている。
【0124】
また、制御部CONは、上記第8の状態に制御した後、この第8の状態から第8のスイッチ素子Q8をオフした第9の状態に制御するようになっている。
【0125】
そして、制御部CONは、上記第9の状態に制御した後、この第9の状態から第7のスイッチ素子Q7をオンした第10の状態に制御するようになっている。
【0126】
これにより、第7のスイッチ素子Q7のZVS動作が可能になる。
【0127】
この制御により、入力電圧Vinの極性が正相である場合には、第3、第4のチョークコイルL3、L4に流れる電流が、第4のスイッチ素子Q4を介して第2の電源端子TS2に流れることとなる。
【0128】
一方、制御部CONは、第1の電源端子TS1の入力電圧Vinの極性が逆相である場合には、PFC動作時において、極性切換用の第3のスイッチ素子Q3をオンし且つ極性切換用の第4のスイッチ素子Q4をオフするようになっている。
【0129】
そして、制御部CONは、この入力電圧Vinが逆相である場合、第3のスイッチ素子Q3をオンし且つ第4のスイッチ素子Q4をオフした状態で、第7及び第8のスイッチ素子Q7、Q8を相補的にオン/オフを切り替えるように制御しつつ第9及び第10のスイッチ素子Q9、Q10を相補的にオン/オフを切り替えるように制御してPFC動作を実行するようになっている。
【0130】
この制御により、入力電圧Vinの極性が逆相である場合には、第3、第4のチョークコイルL3、L4に流れる電流が、第3のスイッチ素子Q3を介して第1の電源端子TS1に流れることとなる。
【0131】
なお、入力電圧Vinが逆相である場合、第7及び第8のスイッチ素子Q7、Q8を相補的にオン/オフを切り替えるように制御しつつ第9及び第10のスイッチ素子Q9、Q10を相補的にオン/オフを切り替えるように制御する具体的な動作は、上述の入力電圧Vinが正相である場合の第1から第10の状態の制御と同様である。
【0132】
この電源装置200のその他の構成及び機能は、図1に示す第1の実施形態に係る電源装置100と同様である。
【0133】
次に、以上のような構成を有する変形例に係る電源装置200の動作の一例について説明する。
【0134】
また、図5は、図4に示す電源装置200の入力電圧Vinの極性が正相である場合における動作波形の一例を示す図である。また、図5においては、省略されているゲートパルス信号GP2、GP6は、PFC動作においては、ゲートパルス信号GP1、GP5を反転した信号である。
【0135】
制御部CONは、第1の電源端子TS1の入力電圧Vinの極性が逆相である場合には、PFC動作時において、極性切換用の第3のスイッチ素子Q3をオンし且つ極性切換用の第4のスイッチ素子Q4をオフする。
【0136】
そして、制御部CONは、この入力電圧Vinの極性が正相である場合、例えば、図5に示すように、第3のスイッチ素子Q3をオフし且つ第4のスイッチ素子Q4をオンした状態で、第7及び第8のスイッチ素子Q7、Q8を相補的にオン/オフを切り替えるように制御しつつ第9及び第10のスイッチ素子Q9、Q10を相補的にオン/オフを切り替えるように制御してPFC動作を実行する。
【0137】
この制御により、入力電圧Vinの極性が正相である場合には、第3、第4のチョークコイルL3、L4に流れる電流が、第4のスイッチ素子Q4を介して第1の電源端子TS1に流れることとなる。
【0138】
そして、第1の実施形態と同様に、第1、第2、第5、第6のスイッチ素子Q1、Q2、Q5、Q6と、第7ないし第10のスイッチ素子Q7〜Q10とが、ZVS動作することとなる。
【0139】
すなわち、変形例に係る電源装置200は、第1の実施形態と同様に、簡素化された構成でZVS動作しつつ、力率改善を図ることができる。
【0140】
また、第1、第2、第5、第6のスイッチ素子Q1、Q2、Q5、Q6と、第7ないし第10のスイッチ素子Q7〜Q10と、の間で180度インターリーブ動作が可能になる。
【0141】
さらに、電流蓄積用インダクタLAおよび電流蓄積用インダクタLBの小型化を図ることもできる。
【0142】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0143】
100 電源装置
ACS 交流電源
TS1 第1の電源端子
TS2 第2の電源端子
TOUT1 第1の負荷端子
TOUT2 第2の負荷端子
L1 第1のチョークコイル
L2 第2のチョークコイル
L3 第3のチョークコイル
L4 第4のチョークコイル
Q1 第1のスイッチ素子
Q2 第2のスイッチ素子
Q3 第3のスイッチ素子
Q4 第4のスイッチ素子
Q5 第5のスイッチ素子
Q6 第6のスイッチ素子
Q7 第7のスイッチ素子
Q8 第8のスイッチ素子
Q9 第9のスイッチ素子
Q10 第10のスイッチ素子
X1 第1の駆動部
X2 第2の駆動部
X3 第3の駆動部
X4 第4の駆動部
X5 第5の駆動部
X6 第6の駆動部
CON 制御部
COUT 出力コンデンサ
N1 第1のノード
N2 第2のノード
N3 第3のノード
N4 第4のノード
LA 電流蓄積用インダクタ
LB 電流蓄積用インダクタ
図1
図2
図3
図4
図5