特許第6746493号(P6746493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6746493特に車両用の不法侵入防止システムに使用可能な容積測定器を有する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6746493
(24)【登録日】2020年8月7日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】特に車両用の不法侵入防止システムに使用可能な容積測定器を有する装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/31 20130101AFI20200817BHJP
   G08B 13/00 20060101ALI20200817BHJP
【FI】
   B60R25/31
   G08B13/00 B
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-520769(P2016-520769)
(86)(22)【出願日】2014年6月3日
(65)【公表番号】特表2016-523760(P2016-523760A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】IB2014061923
(87)【国際公開番号】WO2014203102
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2017年5月31日
【審判番号】不服2019-4549(P2019-4549/J1)
【審判請求日】2019年4月5日
(31)【優先権主張番号】MO2013A000173
(32)【優先日】2013年6月18日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516032517
【氏名又は名称】メタ システム エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】META SYSTEM S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(72)【発明者】
【氏名】シモナッチ、 ジュゼッペ
【合議体】
【審判長】 氏原 康宏
【審判官】 出口 昌哉
【審判官】 一ノ瀬 覚
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第1995114(EP,A1)
【文献】 実開昭61−146460(JP,U)
【文献】 特開平8−43421(JP,A)
【文献】 実開平4−103098(JP,U)
【文献】 特開2007−306043(JP,A)
【文献】 特開昭60−209348(JP,A)
【文献】 特開2012−198110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00 - 99/00
G08B 1/00 - 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内で車両の構造と関連付けられる支持手段(2)と、前記支持手段(2)に関連付けられた少なくとも1つの電子制御基板(3)と、前記電子制御基板(3)に接続され、室内への不法侵入を検出するのに適した少なくとも1つの容積測定センサ(4)とを備え、
前記少なくとも1つの容積測定センサ(4)は、前記電子制御基板(3)に一体に関連付けられ、
装置(1)は、前記容積測定センサ(4)に関連付けられた第1口部(7)と、前記容積測定センサ(4)で生成および/または室内の少なくとも1つの障害物で反射された音波を放射および/または受信するための少なくとも1つの第2口部(8)とを有する少なくとも1つの音響ダクト(6)を備え、
前記第1口部(7)と前記第2口部(8)とは、互いに実質的に直交し、
前記第1口部(7)の外形は、前記少なくとも1つの容積測定センサ(4)の送信/受信面の外形を実質的に再現し、
前記音響ダクト(6)は、少なくとも1つの湾曲部位(9)を備え、前記音響ダクト(6)は、前記湾曲部位(9)から前記第2口部(8)まで延在する少なくとも1つの第2部位(11)を備え、前記第2部位(11)は、前記湾曲部位(9)から前記第2口部(8)まで増大横断部位を有し、前記第2部位(11)の前記増大横断部位は、水平拡大方向のみに沿って実質的に拡大した外形を有し、前記第2口部(8)は、水平拡大方向のみに沿って実質的に前記第1口部(7)の外形よりも拡大した外形を有することを特徴とする、特に車両用の不法侵入防止システムに使用可能な容積測定器を有する装置(1)。
【請求項2】
前記音響ダクト(6)、前記第1口部(7)および前記第2口部(8)のうちの少なくとも1つは、前記室内の所定の検出範囲容積を規定するように、前記容積測定センサ(4)の放射/受信ローブの形状および/または方向を変更するのに適した少なくとも1つの形状および/または制限機能(shaping)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記音響ダクト(6)は、前記第1口部(7)から前記湾曲部位(9)まで延在する少なくとも1つの第1部位(10)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記第1部位(10)は、実質的に直線であることを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記第1部位(10)は、前記容積測定センサ(4)の送信/受信面の法線と実質的に平行な方向に沿って延在することを特徴とする、請求項3または4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記第2部位(11)は、実質的に直線であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記第2部位(11)は、前記容積測定センサ(4)の送信/受信面の法線と実質的に直交する方向に沿って延在することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記容積測定センサ(4)に関連付けられた単一の第1口部(7)と、互いに実質的に異なる方向に沿って音波を放射/受信するのに適した個別の第2放射および/または受信口部(8)とを有する複数の音響ダクト(6)を備えることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの容積測定センサ(4)は、前記電子制御基板(3)から、前記電子制御基板(3)自体の平面に実質的に直交する方向に沿って延在することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記容積測定センサ(4)は、前記電子制御基板(3)に直接接続された少なくとも1つの電気端子を有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両用の不法侵入防止システムに使用可能な容積測定器を有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車および車両用の容積測定不法侵入防止システムを使用することが一般に知られている。
既知のタイプの容積測定不法侵入防止システムは、例えば、ドアの開扉、窓ガラスの破壊または人の不要な接近などの動きを検出するように、車両の室内に適切に配置かつ方向付けられた複数の超音波センサを備えている。
【0003】
センサは、超音波信号の送受信および不法侵入の信号伝達を管理するのに適しており、特別な電子基板を使用して一般的に作製された電子制御ユニットに接続されている。
一般的に、既知のタイプの容積測定不法侵入防止システムは、室内の天井または室内の他のエリアに設置可能であり、制御電子機器および適切に方向付けられた超音波センサを有する特別な天井ライトで通常構成される特別なモジュールを使用することを想定している。
【0004】
一例として、図1は、一般的に符号Aで特定された既知のタイプのセンサを有する天井ライトを示す。
天井ライトAは、容積測定センサDを収容するためのハウジングCを有する筐体Bを備えている。
通常、容積測定センサDは、超音波信号の送信/受信面を有する超音波センサで構成されている。
【0005】
特に、ハウジングCは、筐体B上に直接作製されるとともに、超音波信号を、関連放射図を変形することなくかつその球形を変更することなく、室内の異なるエリアに広く拡散するように、所望の方向に向けて容積測定センサDを位置決めし得るように形作られている。
【0006】
容積測定センサDは、個別の電気ケーブルによって、筐体B自体内に収容された制御電子機器に接続されている。
しかしながら、既知のタイプの天井ライトは、いくつかの欠点を有している。
特に、使用されるセンサは、大きくかつ変更できない形状および寸法を有するので、特別なハウジングを、容積測定センサの放射/受信面を所望の方向に正確に向けることを可能とするのに適した外側筐体上に作製する必要があることから、筐体自体は最低限の無視できない厚みを必然的に伴う。
【0007】
従って、これは、設置後に天井ライトがかなりの寸法を有することを意味している。
また、これらの寸法は、室内の天井ライトの美的外観を損なう。
さらに、天井ライトの設置には、車両の所定の場所または天井に、モジュールを含む筐体を固定する工程に先立って、特別な電気ケーブルを使用して容積測定センサを制御電子機器に接続する工程が必然的に含まれる。
これは、モジュールまたは天井ライトの設置手順を否応なく複雑にし、組み立ておよび設置の時間を延長させる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の主な目的は、既知のタイプの天井ライトに比べて小さい寸法であり、特に車両用の不法侵入防止システムに使用可能な容積測定器を有する装置を考案することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、既知のタイプの天井ライトより簡便かつ迅速な方法で車両のボード上に設置可能であり、特に車両用の不法侵入防止システムに使用可能な容積測定器を有する装置を考案することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、設置後に既知のタイプの天井ライトより見えにくい、特に車両用の不法侵入防止システムに使用可能な容積測定器を有する装置を考案することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、車両の室内に対応して良好かつより効果的に超音波を拡散し得る、特に車両用の不法侵入防止システムに使用可能な容積測定器を有する装置を考案することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、単純、合理的、容易かつ効果的な使用および低コストの解決策の範囲において、前述の先行技術の欠点を克服する、特に車両用の不法侵入防止システムに使用可能な容積測定器を有する装置を提供することにある。
前述の目的は、請求項1に係る容積測定器を有する本装置によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面において直接的であるが非限定な方法で示された、特に車両用の不法侵入防止システムに使用可能な容積測定器を有する装置の好適であるが非排他的な実施形態の説明から明らかになるであろう。
図2は、車両の室内に設置された本発明に係る装置の不等角投影図である。
図3は、本発明に係る装置の不等角投影分解図である。
図4は、本発明に係る装置の不等角投影図である。
図5は、本発明に係る装置の図4のV−V面に沿った側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を特に参照して、車両の室内に設置可能であり、不法侵入防止システムに使用可能な容積測定器を有する装置は、全体を通して符号1で示されている。
特に、図面に示された実施形態を参照して、装置1は、車両の室内の天井に設置された天井ライトによって構成されている。
しかしながら、異なる実施形態は排除されず、例えば、装置1は、天井ライトではなく、車両の室内の他のエリアに設置可能な特別なモジュールで構成されてもよい。
装置1は、室内の車両の構造に関連付けられる支持手段2を備えている。
【0015】
特に、支持手段2は、例えば、高分子材料で作製され、車両の天井に固定し得る部分および室内の内側に臨むための部分を有する筐体で構成されている。
装置1は、筐体2によって支持された電子制御基板3と、電子制御基板3に接続され、室内への不法侵入を検出するのに適した複数の容積測定センサ4とを備えている。
特に、図面に示された実施形態を参照して、装置1は、互いに離間して配置され、車室によって画成された全容積内への不法侵入を検出するように設計された3つの個別の容積測定センサ4を備えている。
【0016】
しかしながら、容積測定センサの異なる数および/または異なる配置は排除されない。
好ましくは、容積測定センサ4は、超音波センサで構成される。
有利には、超音波センサ4は、電子制御基板3に一体に関連付けられている。
特に、容積測定センサ4の電気端子5は、電子制御基板3に直接接続されている。
【0017】
さらに、図面に示された好適実施形態を参照して、容積測定センサ4は、電子制御基板3の一方の面から、電子制御基板自体の平面に実質的に直交する方向に沿って延在している。
【0018】
有利には、装置1は、個別の容積測定センサ4に接続され、室内の所定のエリア内に、センサから放射された超音波信号を適切に方向付けることが可能な複数の音響ダクト6を備えている。
このような音響ダクト6の構造および延在方向によれば、車両の室内の検出範囲を拡大するように、容積測定センサ4によって放射された超音波信号を適切に方向付けることができる。
【0019】
特に、例えば車室内に位置するOBD(オンボード診断)ソケットなどの既存の技術でこれまでカバーできないエリアにまでも検出範囲を拡大することができる。
特に、各音響ダクト6は、個別の容積測定センサ4に関連付けられた第1口部7と、容積測定センサ4によって生成および/または室内の少なくとも1つの障害物で反射された音波を放射および/または受信するための少なくとも1つの第2口部8とを備えている。
【0020】
従って、放射用の音響ダクト6、第1口部7および第2口部8は、室内の所定の検出範囲容積を規定し、かつ室内自体での音波の正確な拡散を確保するように、適切に寸法付けられ、かつ容積測定センサ4の放射/受信ローブの形状および/または方向を変更するのに適した構造および制限機能を備えることができる。
【0021】
図面に示された装置1の好適実施形態を特に参照して、第1口部7および第2口部8は、互いに実質的に直交し、各音響ダクト6は湾曲部位9を備えている。
好ましくは、音響ダクト6は実質的に肘状をなす。
各音響ダクト6は、第1口部7から湾曲部位9まで延在する実質的に直線の第1部位10と、湾曲部位9から第2口部8まで延在する実質的に直線の第2部位11とを有している。
【0022】
特に、第1部位10は、個別の容積測定センサ4の送信/受信面の法線と実質的に平行な方向に沿って延在し、一方、第2部位11は、送信/受信面の法線に実質的に直交する方向に沿って延在している。
有益には、各音響ダクト6の第1口部7の外形は、個別の容積測定センサ4の送信/受信面の外形を実質的に再現している。
従って、各容積測定センサ4は、音響ダクト6の個別の第1口部7内に少なくとも部分的に挿入されている。
【0023】
有益には、音響ダクト6の各第2口部8は、(例えば、図1に示すように、車両の天井に設置された際の装置1の配置を考慮して)少なくとも実質的に水平拡大方向に沿って実質的に拡大した外形を有している。
各音響ダクト6の第2部位11は、少なくとも水平拡大方向に沿って実質的に拡大した外形を有する横断部位を有している。
この横断部位は、湾曲部位9から第2口部8に向かって増大している。
有益には、装置1の2つの外側容積測定センサ4のそれぞれは、室内に正面および側面の両方向に超音波を拡散するように設計された個別の第2口部8を有する音響ダクト6の1組に接続されている。
【0024】
特に、2つの音響ダクト6は、内部に容積測定センサ4が少なくとも部分的に固定された単一の第1口部7と、互いに実質的に異なる方向に沿って音波を放射/受信するのに適した対応する第2口部8において終わる個別の第2部位11とを有している。
記載された発明が、提案された目的を達成することが実際に見い出された。
特に、超音波信号の方向付けおよび拡散のための特別な音響ダクトを使用するとともに、容積測定センサを電子制御基板へ直接固定することにより、既知のタイプの天井ライトより装置の寸法を低減させ得るという事実が明確に示される。
【0025】
さらに、容積測定センサを電子制御基板へ直接固定することにより、既知のタイプの天井のライトに対して、装置の設置手順を簡素化および高速化することができる。
利点は、本発明に係る装置の寸法を低減させても、既知のタイプの天井ライトより審美的なインパクトを小さくすることなく与えられる。
図1
図2
図3
図4
図5